A.実施形態:
A−1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を「上方向」といい、Z軸負方向を「下方向」というものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)発電単位102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。なお、上記配列方向(上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)のZ軸方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、「連通孔108」という。
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿入されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の上端を構成するエンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の下端を構成するエンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24とエンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102に供給するガス流路である酸化剤ガス導入マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、例えば空気が使用される。本実施形態における酸化剤ガスOGは、特許請求の範囲における第2のガスに相当する。
また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102に供給する燃料ガス導入マニホールド171として機能し、該辺の反対側の辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿入された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド172として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。本実施形態における燃料ガスFGは、特許請求の範囲における第1のガスに相当する。また、本実施形態における燃料ガス導入マニホールド171は、特許請求の範囲におけるガス供給路に相当し、本実施形態において燃料ガス導入マニホールド171を構成する各部材(後述するセパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150)は、特許請求の範囲におけるガス供給部材に相当する。
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、図2に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス導入マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、図3に示すように、燃料ガス導入マニホールド171を形成するボルト22Dの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス導入マニホールド171に連通しており、燃料ガス排出マニホールド172を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。
図4および図5に示すように、発電単位102は、単セル110と、セパレータ120と、空気極側フレーム130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム140と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150におけるZ軸方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿入される連通孔108に対応する孔が形成されている。
インターコネクタ150は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばフェライト系ステンレスにより形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100は一対のエンドプレート104,106を備えているため、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図2および図3参照)。
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで上下方向(発電単位102が並ぶ配列方向)に互いに対向する空気極層(カソード)114および燃料極層(アノード)116とを備える。本実施形態における空気極層114は、特許請求の範囲における第2の電極層に相当し、本実施形態における燃料極層116は、特許請求の範囲における第1の電極層に相当する。
電解質層112は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、CaSZ(カルシア安定化ジルコニア)等の固体酸化物により形成されている。このように、本実施形態の単セル110は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。空気極層114は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物)、LSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)、LNF(ランタンニッケル鉄))により形成されている。燃料極層116は、略矩形の平板形状部材であり、例えば、Ni(ニッケル)、Niとセラミック粒子とからなるサーメット、Ni基合金等により形成されている。燃料極層116は、主として、電解質層112から供給される酸素イオンと燃料ガスFGに含まれる水素等との反応場として機能する。
単セル110は、さらに、燃料極層116に対して電解質層112とは反対側(すなわち、燃料極層116の下側)に配置された支持体300を備える。支持体300は、導電性の多孔体により構成された略矩形の平板形状部材であり、例えば、Ni、Niとセラミック粒子とからなるサーメット、Ni基合金等により形成されている。支持体300には、燃料ガスFGが流れる複数のガス流路孔350が形成されている。本実施形態では、複数のガス流路孔350はX軸方向に1列に並ぶように形成されており、各ガス流路孔350はY軸方向に延伸している。支持体300は、主として、単セル110を構成する他の層(燃料極層116、電解質層112、空気極層114)を支持すると共に、燃料ガスFGを燃料極層116側に拡散させる機能を有する。
支持体300の下側の表面は、インターコネクタ150の上側の表面に接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における支持体300は、下側のエンドプレート106の上側の表面に接触している。支持体300は、このような構成であるため、燃料極層116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)とを電気的に接続する。支持体300の構成については、後に詳述する。
なお、燃料極層116の触媒活性を高めるために、燃料極層116におけるNiの含有率(mol%)は、支持体300におけるNiの含有率より高いことが好ましい。また、支持体300の強度を高めるために、支持体300の上下方向(Z軸方向)における厚さは燃料極層116の上下方向における厚さより厚いことが好ましい。また、支持体300のガス拡散性を高めるために、支持体300の気孔率は燃料極層116の気孔率より高いことが好ましい。なお、燃料極層116と支持体300との境界は、例えば、単セル110において、上下方向(Z軸方向)に平行な1つの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮影して得られるSEM画像において、燃料極層116と支持体300とのNiの含有率、Niの平均粒径や気孔率の相違等に基づき特定することができる。
セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。セパレータ120における孔121の周囲部分は、電解質層112における空気極層114の側の表面の周縁部に対向している。セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、電解質層112(単セル110)と接合されている。セパレータ120により、単セル110に面する空間の内の空気極層114側の空間である空気室166と燃料極層116側の空間である燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極層側から他方の電極層側へのガスのリークが抑制される。
空気極側フレーム130は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130の孔131は、上述した空気室166を構成する。空気極側フレーム130は、セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における空気極層114に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス導入マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通孔132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通孔133とが形成されている。
燃料極側フレーム140は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140の孔141は、上述した燃料室176を構成する。燃料極側フレーム140は、セパレータ120における電解質層112に対向する側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における燃料極層116に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、燃料極側フレーム140には、燃料ガス導入マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通孔142と、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通孔143とが形成されている。
図5に示すように、燃料極側フレーム140の孔141の内周面と、単セル110の外周面との間には、フェルト部材190が充填されている。フェルト部材190には、燃料極側フレーム140に形成された燃料ガス供給連通孔142と、支持体300に形成された各ガス流路孔350の一方側の開口と、を連通する供給側フェルト孔191と、燃料極側フレーム140に形成された燃料ガス排出連通孔143と、支持体300に形成された各ガス流路孔350の他方側の開口と、を連通する排出側フェルト孔192とが形成されている。このような構成により、燃料ガスFGの流路、すなわち、燃料ガス導入マニホールド171から燃料極側フレーム140の燃料ガス供給連通孔142およびフェルト部材190の供給側フェルト孔191を経て支持体300の各ガス流路孔350に至り、さらに、各ガス流路孔350からフェルト部材190の排出側フェルト孔192および燃料極側フレーム140の燃料ガス排出連通孔143を経て燃料ガス排出マニホールド172に至るガス流路が確保される。
空気極側集電体134は、空気室166内に配置されている。空気極側集電体134は、複数の略四角柱状の集電体要素135から構成されており、例えば、フェライト系ステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極層114における電解質層112に対向する側とは反対側の表面と、インターコネクタ150における空気極層114に対向する側の表面とに接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、上側のエンドプレート104に接触している。空気極側集電体134は、このような構成であるため、空気極層114とインターコネクタ150(またはエンドプレート104)とを電気的に接続する。なお、空気極側集電体134とインターコネクタ150とが一体の部材として形成されていてもよい。
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給され、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通孔132を介して、空気室166に供給され、さらに、空気室166に面する空気極層114に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通孔142および供給側フェルト孔191を介して支持体300に形成された各ガス流路孔350に供給され、さらに、多孔体である支持体300の内部を拡散して燃料極層116に供給される。
各発電単位102の単セル110の空気極層114に酸化剤ガスOGが供給され、単セル110の燃料極層116に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極層114は空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極層116は支持体300を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
各発電単位102の空気室166から排出された酸化剤オフガスOOGは、図2および図4に示すように、酸化剤ガス排出連通孔133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出され、さらに酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、各発電単位102の支持体300に形成された各ガス流路孔350から排出された燃料オフガスFOGは、図3および図5に示すように、排出側フェルト孔192および燃料ガス排出連通孔143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出され、さらに燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
なお、燃料電池スタック100を構成する各単セル110において、図2および図4に示すように、空気極層114に供給される酸化剤ガスOGの流れ方向は概ねX軸方向であり、図3および図5に示すように、燃料極層116に供給される燃料ガスFGの流れ方向(すなわち、ガス流路孔350の延伸方向)は概ねY軸方向である。そのため、本実施形態の燃料電池スタック100では、酸化剤ガスOGの流れ方向は、燃料ガスFGの流れ方向(ガス流路孔350の延伸方向)と交差していると言える。なお、酸化剤ガスOGの流れ方向は、燃料ガスFGの流れ方向(ガス流路孔350の延伸方向)と略直交していることが好ましい。
A−3.支持体300の詳細構成:
図6は、支持体300の詳細構成を示す説明図である。図6には、支持体300を含む単セル110の、ガス流路孔350の延伸方向(すなわち、Y軸方向)に直交する断面(すなわち、XZ断面であり、以下「特定断面」という)の構成が示されている。
以下の説明では、支持体300の特定断面(XZ断面)において、Z軸方向視で電解質層112と空気極層114と燃料極層116とのすべてに重なる領域を、「特定領域R1」という。また、特定領域R1をZ軸方向に直交する方向(本実施形態ではX軸方向であり、特許請求の範囲における第2の方向に相当する)に2等分する仮想的な直線を、「仮想直線VL」という。また、支持体300の特定断面を仮想直線VLにより2つの部分に分けたとき、酸化剤ガスOGの流れ方向の下流側(X軸負方向側)に位置する部分を「下流側支持体部分301」といい、酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側(X軸正方向側)に位置する部分を「上流側支持体部分302」という。本実施形態における下流側支持体部分301は、特許請求の範囲における第1の支持体部分に相当し、本実施形態における上流側支持体部分302は、特許請求の範囲における第2の支持体部分に相当する。
本実施形態の燃料電池スタック100では、各単セル110に含まれる支持体300が、以下のような構成となっている。すなわち、支持体300には、7個のガス流路孔350が形成されている。支持体300の特定断面(XZ断面)において、各ガス流路孔350の断面形状は、互いに略同一である。より具体的には、各ガス流路孔350の断面形状は略矩形であり、各ガス流路孔350の幅(X軸方向における大きさ)および高さ(Z軸方向における大きさ)は互いに略同一である。ただし、各ガス流路孔350の間隔は均等ではない。より具体的には、上流側支持体部分302における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間のX軸方向における距離L2は、下流側支持体部分301における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間のX軸方向における距離L1より短い。その結果、上流側支持体部分302に形成されたガス流路孔350の個数(4.5個)は、下流側支持体部分301に形成されたガス流路孔350の個数(2.5個)より多くなっている。そのため、本実施形態では、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計は、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きくなっている。なお、本実施形態では、仮想直線VL上に1つのガス流路孔350(以下、「中央部ガス流路孔350c」という)の中心が位置するため、この中央部ガス流路孔350cは下流側支持体部分301および上流側支持体部分302のそれぞれに0.5個ずつ存在するものとみなした。また、本実施形態における支持体300の上記構成は、換言すれば、上流側支持体部分302における電解質層112に対向するガス流路孔350の断面積の合計は、下流側支持体部分301における電解質層112に対向するガス流路孔350の断面積の合計より大きい構成であると言える。
また、本実施形態の燃料電池スタック100では、各単セル110に含まれる支持体300の特定断面(XZ断面)において、各ガス流路孔350について、Z軸方向におけるガス流路孔350の縁から燃料極層116までの最短距離D1が互いに略等しい。なお、各ガス流路孔350についての上記最短距離D1が互いに略等しいとは、各ガス流路孔350についての上記最短距離D1の内、最大値D1maxと最小値D1minとの差が最大値D1maxの5%以下であること(すなわち、D1max−D1min≦0.05×D1maxの関係を満たすこと)を意味する。また、各ガス流路孔350についての上記最短距離D1は、Z軸方向におけるガス流路孔350の高さの1/2以上であることが好ましい。また、各ガス流路孔350についての上記最短距離D1は、Z軸方向におけるガス流路孔350の縁から支持体300の燃料極層116側とは反対側の表面までの最短距離D2(図6参照)以下であることが好ましい。
A−4.支持体300の製造方法:
上述した構成の支持体300は、例えば、以下の方法により製造することができる。図7は、支持体300の製造方法の一例を模式的に示す説明図である。
はじめに、支持体用グリーンシート410を作製する。具体的には、NiO粉末(50重量部)とYSZ粉末(50重量部)との混合粉末(100重量部)に対して、造孔材である有機ビーズ(混合粉末に対して15重量%)と、ブチラール樹脂と、可塑剤であるDOPと、分散剤と、トルエン+エタノール混合溶剤とを加え、ボールミルにて混合して、スラリーを調整する。有機ビーズは、例えば、ポリメタクリル酸メチルやポリスチレンなどの高分子により形成された球状粒子である。得られたスラリーをドクターブレード法により薄膜化して、例えば厚さ125μmの支持体用グリーンシート410を作製する。なお、支持体用グリーンシート410のNiO粉末とYSZ粉末との比率は、その性能を満足する限り適宜変更可能であり、例えばNiO粉末:YSZ粉末が60:40や40:60であっても構わない。つまり、NiO粉末とYSZ粉末との混合粉末が100重量部となるように、NiO粉末は40〜60重量部の間で適宜変更でき、残りをYSZ粉末とすることができる。
次に、1層目の支持体用グリーンシート410(以下、「第1の支持体用グリーンシート410A」という)を配置する。また、2層目および3層目の支持体用グリーンシート410のそれぞれを切断して複数の短冊状シート(410B,410C)を作製する。そして、2層目の支持体用グリーンシート410から作製した短冊状シート410Bを、第1の支持体用グリーンシート410Aの上面に配置する。Z軸方向視で、配置された各短冊状シート410Bのそれぞれの長手方向は、第1の支持体用グリーンシート410Aの一の辺(Y軸に平行な辺)に略平行である。また、短冊状シート410B同士は、当該一の辺に直交する方向において互いに所定の間隔を空けて配置されている。これにより、短冊状シート410B間に溝Mが形成されている。次に、3層目の支持体用グリーンシート410から作製した複数の短冊状シート410Cを、短冊状シート410Bの上面に重ねるように配置する。なお、短冊状シートを重ねる層数は、2層に限定されず、3層以上でもよい。次に、4層目の支持体用グリーンシート410(以下、「第4の支持体用グリーンシート410D」という)を、短冊状シート410Cの上面を跨ぐように配置する。以上の工程により、4層の支持体用グリーンシート410により構成された支持体用グリーンシート積層体412が作製される。
次に、支持体用グリーンシート積層体412を、例えば1400℃にて焼成を行う。これにより、支持体用グリーンシート積層体412の焼成体である支持体300が作製される。なお、予め支持体用グリーンシート積層体412の上記溝M内に可燃性材料ペーストを配置した上で焼成し、可燃性材料ペーストを焼失させてもよい。これによって、可燃性材料ペーストを使用しない場合に比べて、ガス流路孔350の形状が焼成によって変形することを抑制することができる。また、支持体用グリーンシート積層体412の焼成は、他のグリーンシート(例えば、燃料極層用グリーンシートや電解質層用グリーンシート)と同時に行われてもよい。また、支持体300の製造方法としては、上述したグリーンシートを積層する方法に限られず、押し出し成形による方法等の他の方法を採用することができる。
なお、単セル110における支持体300以外の構成や、複数の単セル110を備える燃料電池スタック100は、公知の方法により製造することができるため、本明細書においては記載を省略する。
A−5.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の燃料電池スタック100は、Z軸方向に並べて配置された複数の単セル110を備える。各単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで互いに対向する燃料極層116および空気極層114と、燃料極層116に対して電解質層112とは反対側に配置された支持体300とを含む。支持体300は、多孔体により構成され、燃料極層116に供給される燃料ガスFGが流れる複数のガス流路孔350が形成されている。また、本実施形態の燃料電池スタック100は、各支持体300の各ガス流路孔350に燃料ガスFGを供給する燃料ガス導入マニホールド171を構成するガス供給部材(セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150)を備える。また、本実施形態の燃料電池スタック100では、空気極層114に供給される酸化剤ガスOGの流れ方向は、各支持体300の各ガス流路孔350の延伸方向(Y軸方向)と交差している。また、本実施形態の燃料電池スタック100では、各支持体300について、ガス流路孔350の延伸方向(Y軸方向)に直交する特定断面(XZ断面)において、Z軸方向視で電解質層112と空気極層114と燃料極層116とに重なる特定領域R1をZ軸方向に直交する方向(X軸方向)に2等分する仮想直線VLにより、支持体300の特定断面が、下流側支持体部分301と、下流側支持体部分301より酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い上流側支持体部分302とに分けられる。このとき、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計は、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きい。本実施形態の燃料電池スタック100は、このような構成であるため、発電性能を十分に向上させることができる。以下、この点について説明する。
図8は、比較例の燃料電池スタック100に含まれる単セル110Xの構成を示す説明図である。比較例の単セル110Xでは、上記実施形態の単セル110と同様に、支持体300Xに7個のガス流路孔350が形成されており、各ガス流路孔350の断面形状は互いに略同一である。しかしながら、比較例の単セル110Xでは、支持体300Xの各ガス流路孔350の間隔が均等である。すなわち、比較例の単セル110Xでは、上流側支持体部分302における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L2は、下流側支持体部分301における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L1と等しい。その結果、上流側支持体部分302に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)は、下流側支持体部分301に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)と同一となっている。従って、比較例の単セル110Xでは、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計と等しくなっている。
ここで、上述したように、本実施形態(および比較例)の燃料電池スタック100では、酸化剤ガスOGの流れ方向(X軸方向)が、燃料ガスFGの流れ方向(ガス流路孔350の延伸方向であり、Y軸方向)と交差している(図6および図8参照)。そのため、燃料電池スタック100に含まれる各単セル110における酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側(X軸正方向側)に近い部分において、酸化剤ガスOGの濃度が高くなり、図9において曲線C12で表すように、この部分における潜在的な発電密度が高くなる。なお、図9は、単セル110の酸化剤ガスOGの流れ方向(X軸方向)に沿った各位置における発電密度を模式的に示す説明図である。
また、上述したように、本実施形態(および比較例)の燃料電池スタック100では、各単セル110に含まれる支持体300に形成された各ガス流路孔350は、燃料ガス導入マニホールド171に連通している。
また、燃料ガス導入マニホールド171では、燃料ガス導入マニホールド171の延伸方向(Z軸方向)に直交する方向(X軸方向)の両端部(壁面)付近において、流体抵抗の影響により燃料ガスFGの流速が低下する。そのため、各単セル110の支持体300に形成された複数のガス流路孔350の内、燃料ガス導入マニホールド171の上記両端部に近いガス流路孔350、すなわち、支持体300のX軸方向両端部に近い位置のガス流路孔(以下、「端部ガス流路孔350e」という。図6および図8参照)では、燃料ガスFGの流量が低下しやすい。その結果、単セル110における端部ガス流路孔350eに近い部分において、図10において曲線C21で表すように、燃料ガスFGの供給量が低下しやすい。なお、図10は、単セル110の酸化剤ガスOGの流れ方向(X軸方向)に沿った各位置における燃料ガスFGの供給量を模式的に示す説明図である。
上述したように、比較例の燃料電池スタックでは、各単セル110Xに含まれる支持体300Xにおいて、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計と等しくなっている。そのため、各単セル110Xにおける酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分(すなわち、上流側支持体部分302に対応する部分)において、酸化剤ガスOGの流れ方向の下流側に近い部分(すなわち、下流側支持体部分301に対応する部分)と比べて、燃料ガスFGの供給量が多くない。従って、比較例の燃料電池スタックでは、各単セル110Xにおける酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分において、酸化剤ガスOGの供給量に対して燃料ガスFGの供給量が不足し、この部分における実際の発電密度(図9において曲線C22で表す)を潜在的な発電密度(図9において曲線C12で表す)に近い値まで高めることができず、その結果、燃料電池スタックの発電性能が十分に向上しない。
これに対し、本実施形態の燃料電池スタック100では、上述したように、各単セル110に含まれる支持体300において、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きい。そのため、図10において曲線C11で表すように、各単セル110における酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分(上流側支持体部分302に対応する部分)において、酸化剤ガスOGの流れ方向の下流側に近い部分(下流側支持体部分301に対応する部分)と比べて、燃料ガスFGの供給量が多くなる。従って、本実施形態の燃料電池スタックでは、各単セル110における酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分において、酸化剤ガスOGの供給量に対して燃料ガスFGの供給量が不足することを抑制することができ、この部分における実際の発電密度を潜在的な発電密度(図9において曲線C12で表す)に近い値まで高めることができ、その結果、燃料電池スタック100の発電性能を十分に向上させることができる。
また、本実施形態の燃料電池スタック100では、各単セル110に含まれる支持体300の特定断面(XZ断面)において、各ガス流路孔350について、Z軸方向におけるガス流路孔350の縁から燃料極層116までの最短距離D1が互いに略等しい。そのため、本実施形態の燃料電池スタック100では、単セル110の各位置における燃料極層116への燃料ガスFGの供給量のばらつきを抑制することができ、その結果、発電量のばらつきを抑制することができ、発電量のばらつきに伴う不具合(例えば単セル110の割れ)の発生を抑制することができる。
A−6.本実施形態の変形例:
(第1の変形例)
図11は、第1の変形例における単セル110の構成を示す説明図である。以下では、第1の変形例の単セル110の構成の内、上述した実施形態の単セル110の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図11に示す第1の変形例における単セル110では、上述した実施形態における単セル110と同様に、支持体300に7個のガス流路孔350が形成されており、支持体300の特定断面(XZ断面)において、各ガス流路孔350の断面形状は互いに略同一である。また、支持体300の特定断面(XZ断面)において、各ガス流路孔350について、Z軸方向におけるガス流路孔350の縁から燃料極層116までの最短距離D1は、互いに略等しい。また、上流側支持体部分302における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離は、下流側支持体部分301における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離より短く、その結果、上流側支持体部分302に形成されたガス流路孔350の個数(4.5個)は、下流側支持体部分301に形成されたガス流路孔350の個数(2.5個)より多くなっている。そのため、第1の変形例における単セル110では、上述した実施形態における単セル110と同様に、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きくなっている。
ただし、図11に示す第1の変形例における単セル110では、上述した実施形態における単セル110と異なり、上流側支持体部分302における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離は互いに同一ではなく、かつ、下流側支持体部分301における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離も互いに同一ではない。より具体的には、支持体300の全体にわたって、互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離は、酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近いほど短くなっている。すなわち、各図心間距離を酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側から下流側に向けて順に、L21,L22,L23,L24,L11,L12とすると、以下の式(1)の関係が成り立っている。
L21<L22<L23<L24<L11<L12 ・・・(1)
以上説明したように、図11に示す第1の変形例における単セル110は、上述した実施形態における単セル110と同様に、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きい。そのため、第1の変形例における単セル110によれば、酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分において、酸化剤ガスOGの供給量に対して燃料ガスFGの供給量が不足することを抑制することができ、この部分における実際の発電密度を潜在的な発電密度に近い値まで高めることができ、その結果、この単セル110を複数備える燃料電池スタックの発電性能を十分に向上させることができる。
また、図11に示す第1の変形例における単セル110は、上述した実施形態における単セル110と同様に、支持体300の特定断面(XZ断面)において、各ガス流路孔350について、Z軸方向におけるガス流路孔350の縁から燃料極層116までの最短距離D1が互いに略等しい。そのため、第1の変形例における単セル110によれば、単セル110の各位置における燃料極層116への燃料ガスFGの供給量のばらつきを抑制することができ、その結果、発電量のばらつきを抑制することができ、発電量のばらつきに伴う不具合(例えば単セル110の割れ)の発生を抑制することができる。
さらに、図11に示す第1の変形例における単セル110では、互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離が、酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近いほど短くなっているため、支持体300における酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い位置ほど燃料ガスFGの供給量が多くなる。従って、第1の変形例の単セル110によれば、単セル110の各位置において、酸化剤ガスOGの供給量と燃料ガスFGの供給量とのバランスを適切にすることによって単セル110の発電密度を効果的に高くすることができ、その結果、この単セル110を複数備える燃料電池スタックの発電性能を効果的に向上させることができる。
(第2の変形例)
図12は、第2の変形例における単セル110の構成を示す説明図である。以下では、第2の変形例の単セル110の構成の内、上述した実施形態の単セル110の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図12に示す第2の変形例における単セル110では、上述した実施形態における単セル110と同様に、支持体300に7個のガス流路孔350が形成されており、支持体300の特定断面(XZ断面)において、各ガス流路孔350の断面形状は略矩形である。
ただし、図12に示す第2の変形例における単セル110では、上述した実施形態における単セル110と異なり、上流側支持体部分302における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L2は、下流側支持体部分301における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L1と同一であり、その結果、上流側支持体部分302に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)は、下流側支持体部分301に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)と同一となっている。
また、図12に示す第2の変形例における単セル110では、上述した実施形態における単セル110と異なり、各ガス流路孔350の断面積が互いに略同一ではない。より具体的には、7個のガス流路孔350の内、酸化剤ガスOGの最も下流側に位置する1つのガス流路孔350は、他の6個のガス流路孔350と比べて、断面の幅(X軸方向における大きさ)および高さ(Z軸方向における大きさ)が小さく、その結果、断面積が小さい。換言すれば、第2の変形例における単セル110では、支持体300の特定断面(XZ断面)において、酸化剤ガスOGの流れ方向の最も上流側のガス流路孔350の断面積が最も大きい。なお、本明細書では、酸化剤ガスOGの流れ方向の最も上流側のガス流路孔350の断面積が最も大きいとは、ガス流路孔350に形成されたM(Mは2以上の整数)個のガス流路孔350の内、酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側から数えてN(Nは1以上の整数(ただし、N<M))個のガス流路孔350の断面積が互いに略等しく、かつ、該N個のガス流路孔350の断面積が他の((M−N)個の)ガス流路孔350の断面積よりも大きい場合(例えば、図12に示す場合)を含む。
図12に示す第2の変形例における単セル110は、上述した構成であるため、上述した実施形態における単セル110と同様に、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きい。そのため、第2の変形例における単セル110によれば、酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分において、酸化剤ガスOGの供給量に対して燃料ガスFGの供給量が不足することを抑制することができ、この部分における実際の発電密度を潜在的な発電密度に近い値まで高めることができ、その結果、この単セル110を複数備える燃料電池スタックの発電性能を十分に向上させることができる。
また、図12に示す第2の変形例における単セル110では、支持体300の特定断面(XZ断面)において、酸化剤ガスOGの流れ方向の最も上流側のガス流路孔350の断面積が最も大きい。そのため、支持体300における酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に最も近いガス流路孔350における燃料ガスFGの流量が大きくなる。従って、第2の変形例における単セル110によれば、酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分において、酸化剤ガスOGの供給量に対して燃料ガスFGの供給量が不足することを効果的に抑制することができ、この部分における実際の発電密度を潜在的な発電密度に近い値まで高めることができ、その結果、この単セル110を複数備える燃料電池スタックの発電性能を効果的に向上させることができる。
(第3の変形例)
図13は、第3の変形例における単セル110の構成を示す説明図である。以下では、第3の変形例の単セル110の構成の内、上述した実施形態の単セル110の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図13に示す第3の変形例における単セル110では、上述した実施形態における単セル110と同様に、支持体300に7個のガス流路孔350が形成されており、支持体300の特定断面(XZ断面)において、各ガス流路孔350の断面形状は略矩形である。
ただし、図13に示す第3の変形例における単セル110では、上述した実施形態における単セル110と異なり、上流側支持体部分302における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L2は、下流側支持体部分301における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L1と同一であり、その結果、上流側支持体部分302に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)は、下流側支持体部分301に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)と同一となっている。
また、図13に示す第3の変形例における単セル110では、上述した実施形態における単セル110と異なり、各ガス流路孔350の断面積が互いに略同一ではない。より具体的には、7個のガス流路孔350の内、酸化剤ガスOGの最も上流側に位置する1つのガス流路孔350は、他の6個のガス流路孔350と比べて、断面の幅(X軸方向における大きさ)および高さ(Z軸方向における大きさ)が大きく、その結果、断面積が大きい。
図13に示す第3の変形例における単セル110は、上述した構成であるため、上述した実施形態における単セル110と同様に、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きい。そのため、第3の変形例における単セル110によれば、酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分において、酸化剤ガスOGの供給量に対して燃料ガスFGの供給量が不足することを抑制することができ、この部分における実際の発電密度を潜在的な発電密度に近い値まで高めることができ、その結果、この単セル110を複数備える燃料電池スタックの発電性能を十分に向上させることができる。
また、図13に示す第3の変形例における単セル110では、支持体300の特定断面(XZ断面)において、酸化剤ガスOGの流れ方向の最も上流側のガス流路孔350の断面積が最も大きい。そのため、支持体300における酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に最も近いガス流路孔350における燃料ガスFGの流量が大きくなる。従って、第3の変形例における単セル110によれば、酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分において、酸化剤ガスOGの供給量に対して燃料ガスFGの供給量が不足することを効果的に抑制することができ、この部分における実際の発電密度を潜在的な発電密度に近い値まで高めることができ、その結果、この単セル110を複数備える燃料電池スタックの発電性能を効果的に向上させることができる。
(第4の変形例)
図14は、第4の変形例における単セル110の構成を示す説明図である。以下では、第4の変形例の単セル110の構成の内、上述した実施形態の単セル110の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
図14に示す第4の変形例における単セル110では、上述した実施形態における単セル110と同様に、支持体300に7個のガス流路孔350が形成されており、支持体300の特定断面(XZ断面)において、各ガス流路孔350の断面形状は略矩形である。また、支持体300の特定断面(XZ断面)において、各ガス流路孔350について、Z軸方向におけるガス流路孔350の縁から燃料極層116までの最短距離D1は、互いに略等しい。
ただし、図14に示す第4の変形例における単セル110では、上述した実施形態における単セル110と異なり、上流側支持体部分302における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L2は、下流側支持体部分301における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L1と同一であり、その結果、上流側支持体部分302に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)は、下流側支持体部分301に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)と同一となっている。
また、図14に示す第4の変形例における単セル110では、上述した実施形態における単セル110と異なり、各ガス流路孔350の断面積が互いに略同一ではない。より具体的には、7個のガス流路孔350の内、酸化剤ガスOGの最も上流側に位置する1つのガス流路孔350は、他の6個のガス流路孔350と比べて、断面の幅(X軸方向における大きさ)が大きく、その結果、断面積が大きい。なお、ガス流路孔350の高さ(Z軸方向における大きさ)に関しては、7個のガス流路孔350の高さは互いに略同一である。
図14に示す第4の変形例における単セル110は、上述した構成であるため、上述した実施形態における単セル110と同様に、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きい。そのため、第4の変形例における単セル110によれば、酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分において、酸化剤ガスOGの供給量に対して燃料ガスFGの供給量が不足することを抑制することができ、この部分における実際の発電密度を潜在的な発電密度に近い値まで高めることができ、その結果、この単セル110を複数備える燃料電池スタックの発電性能を十分に向上させることができる。
また、図14に示す第4の変形例における単セル110は、上述した実施形態における単セル110と同様に、支持体300の特定断面(XZ断面)において、各ガス流路孔350について、Z軸方向におけるガス流路孔350の縁から燃料極層116までの最短距離D1が互いに略等しい。そのため、第4の変形例における単セル110によれば、単セル110の各位置における燃料極層116への燃料ガスFGの供給量のばらつきを抑制することができ、その結果、発電量のばらつきを抑制することができ、発電量のばらつきに伴う不具合(例えば単セル110の割れ)の発生を抑制することができる。
また、図14に示す第4の変形例における単セル110では、支持体300の特定断面(XZ断面)において、酸化剤ガスOGの流れ方向の最も上流側のガス流路孔350の断面積が最も大きい。そのため、支持体300における酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に最も近いガス流路孔350における燃料ガスFGの流量が大きくなる。従って、第4の変形例における単セル110によれば、酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分において、酸化剤ガスOGの供給量に対して燃料ガスFGの供給量が不足することを効果的に抑制することができ、この部分における実際の発電密度を潜在的な発電密度に近い値まで高めることができ、その結果、この単セル110を複数備える燃料電池スタックの発電性能を効果的に向上させることができる。
A−7.性能評価:
上述した実施形態および変形例の単セル110を複数備える燃料電池スタック100の複数のサンプル(S1〜S6)を用いて、性能評価を行った。図15は、性能評価の結果を示す説明図である。
A−7−1.各サンプルについて:
性能評価に用いられた6つのサンプル(S1〜S6)の内、サンプルS1は、上述した実施形態の単セル110(図6参照)に対応するものである。すなわち、サンプルS1では、上流側支持体部分302における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L2は、下流側支持体部分301における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L1より短い。その結果、上流側支持体部分302に形成されたガス流路孔350の個数(4.5個)は、下流側支持体部分301に形成されたガス流路孔350の個数(2.5個)より多くなっている。また、サンプルS1では、各ガス流路孔350の断面形状は略矩形であり、各ガス流路孔350の幅および高さは互いに略同一である。サンプルS1は、このような構成であるため、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きい。
また、サンプルS2は、上述した第1の変形例の単セル110(図11参照)に対応するものである。すなわち、サンプルS2では、支持体300の全体にわたって、互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離が、酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近いほど短くなっている。すなわち、L21<L22<L23<L24<L11<L12という関係が成り立っている。その結果、上流側支持体部分302に形成されたガス流路孔350の個数(4.5個)は、下流側支持体部分301に形成されたガス流路孔350の個数(2.5個)より多くなっている。また、サンプルS2では、各ガス流路孔350の断面形状は略矩形であり、各ガス流路孔350の幅および高さは互いに略同一である。サンプルS2は、このような構成であるため、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きい。
また、サンプルS3は、上述した第2の変形例の単セル110(図12参照)に対応するものである。すなわち、サンプルS3では、上流側支持体部分302における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L2は、下流側支持体部分301における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L1と同じである。その結果、上流側支持体部分302に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)は、下流側支持体部分301に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)と同一となっている。また、サンプルS3では、各ガス流路孔350の断面形状はすべて略矩形であるが、酸化剤ガスOGの最も下流側に位置する1つのガス流路孔350は、他の6個のガス流路孔350と比べて、断面の幅および高さが小さく、その結果、断面積が小さい。サンプルS3は、このような構成であるため、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きい。
また、サンプルS4は、上述した第3の変形例の単セル110(図13参照)に対応するものである。すなわち、サンプルS4では、上流側支持体部分302における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L2は、下流側支持体部分301における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L1と同じである。その結果、上流側支持体部分302に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)は、下流側支持体部分301に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)と同一となっている。また、サンプルS4では、各ガス流路孔350の断面形状はすべて略矩形であるが、酸化剤ガスOGの最も上流側に位置する1つのガス流路孔350は、他の6個のガス流路孔350と比べて、断面の幅および高さが大きく、その結果、断面積が大きい。サンプルS4は、このような構成であるため、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きい。
また、サンプルS5は、上述した第4の変形例の単セル110(図14参照)に対応するものである。すなわち、サンプルS5では、上流側支持体部分302における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L2は、下流側支持体部分301における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L1と同じである。その結果、上流側支持体部分302に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)は、下流側支持体部分301に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)と同一となっている。また、サンプルS5では、各ガス流路孔350の断面形状はすべて略矩形であるが、酸化剤ガスOGの最も上流側に位置する1つのガス流路孔350は、他の6個のガス流路孔350と比べて、断面の高さは同じであるが幅が大きく、その結果、断面積が大きい。サンプルS5は、このような構成であるため、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きい。
また、サンプルS6は、上述した比較例の単セル110X(図8参照)に対応するものである。すなわち、サンプルS6では、上流側支持体部分302における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L2は、下流側支持体部分301における互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離L1と同じである。その結果、上流側支持体部分302に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)は、下流側支持体部分301に形成されたガス流路孔350の個数(3.5個)と同一となっている。また、サンプルS6では、各ガス流路孔350の断面形状は略矩形であり、各ガス流路孔350の幅および高さは互いに略同一である。サンプルS6は、このような構成であるため、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計と同一である。
なお、いずれのサンプルも、酸化剤ガスOGの流れ方向がガス流路孔350の延伸方向に略直交するような構成である。
A−7−2.評価項目および評価方法:
本性能評価では、燃料電池スタックの発電性能の評価を行った。具体的には、各サンプルを用いた燃料電池スタックについて、約700℃で空気極層114に酸化剤ガスOGを供給し、燃料極層116に燃料ガスFGを供給し、電流密度が0.55A/cm2のときの単セル110の出力電圧を測定し、その測定値を、初期電圧(定格発電運転前の出力電圧)とした。初期電圧が0.920V以上である場合に「秀(◎)」と判定し、初期電圧が0.9175V以上、0.920V未満である場合に「優(〇)」と判定し、初期電圧が0.9150V以上、0.9175V未満である場合に「良(△)」と判定し、初期電圧が0.9150V未満である場合に「不良(×)」と判定した。
A−7−3.評価結果:
図15に示すように、サンプルS6は、発電性能が「不良(×)」であると判定された。サンプルS6では、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計と等しい。そのため、各単セル110Xにおける酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分(すなわち、上流側支持体部分302に対応する部分)において、酸化剤ガスOGの流れ方向の下流側に近い部分(すなわち、下流側支持体部分301に対応する部分)と比べて、燃料ガスFGの供給量が多くない。従って、サンプルS6では、各単セル110Xにおける酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分において、酸化剤ガスOGの供給量に対して燃料ガスFGの供給量が不足し、この部分における実際の発電密度を潜在的な発電密度に近い値まで高めることができず、その結果、燃料電池スタックの発電性能が十分に向上しなかったものと考えられる。
これに対し、サンプルS1〜S5は、いずれも発電性能が「良(△)」以上であると判定された。サンプルS1〜S5では、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きい。そのため、各単セル110における酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分(上流側支持体部分302に対応する部分)において、酸化剤ガスOGの流れ方向の下流側に近い部分(下流側支持体部分301に対応する部分)と比べて、燃料ガスFGの供給量が多くなる。従って、サンプルS1〜S5では、各単セル110における酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近い部分において、酸化剤ガスOGの供給量に対して燃料ガスFGの供給量が不足することを抑制することができ、この部分における実際の発電密度を潜在的な発電密度に近い値まで高めることができ、その結果、燃料電池スタック100の発電性能を十分に向上させることができたものと考えられる。
このように、本性能評価により、酸化剤ガスOGの流れ方向がガス流路孔350の延伸方向と交差する燃料電池スタックにおいて、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きい構成を採用すれば、燃料電池スタックの発電性能を十分に向上させることができることが確認された。
なお、サンプルS2では、サンプルS6と比較して、支持体300(下流側支持体部分301および上流側支持体部分302)に形成されたガス流路孔350の断面積の総計が小さいが、発電性能の評価結果はサンプルS6の結果(不良(×))より良かった(「良(△)」であった)。このことから、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きい構成を採用することが、燃料電池スタックの発電性能の向上に極めて有効であることが確認された。
また、サンプルS2では、最も高い評価である「秀(◎)」と判定された。このことから、支持体300の全体にわたって、互いに隣り合う2つのガス流路孔350の図心間の距離が、酸化剤ガスOGの流れ方向の上流側に近いほど短くなっている構成を採用すれば、燃料電池スタックの発電性能を効果的に向上させることができることが確認された。
B.その他の変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における単セル110、発電単位102または燃料電池スタック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、支持体300の下側の表面が、インターコネクタ150(またはエンドプレート106)の上側の表面に接触しているとしているが、支持体300とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)との間に導電性の集電体が設けられ、該集電体を介して両者が電気的に接続されるとしてもよい。
また、上記実施形態では、燃料極側フレーム140の孔141の内周面と単セル110の外周面との間に、フェルト部材190が充填されているが、必ずしもフェルト部材190が充填されている必要はない。フェルト部材190が充填されていない構成では、燃料ガスFGは、燃料ガス導入マニホールド171から燃料極側フレーム140の燃料ガス供給連通孔142を経て燃料室176内に供給され、燃料室176から支持体300の各ガス流路孔350内に供給される。あるいは、フェルト部材190が充填されていない構成において、燃料極側フレーム140の孔141の内周面と単セル110の外周面との間に隙間が存在せず、燃料ガスFGが、燃料ガス導入マニホールド171から燃料極側フレーム140の燃料ガス供給連通孔142を経て、直接、支持体300の各ガス流路孔350内に供給されるとしてもよい。
また、上記実施形態では、支持体300に7個のガス流路孔350が形成されているが、支持体300に形成されるガス流路孔350の個数は7個以外であってもよい。また、上記実施形態では、支持体300の特定断面(XZ断面)における各ガス流路孔350の断面形状は略矩形であるが、各ガス流路孔350の断面形状は他の形状(例えば略円形や略楕円形)であってもよい。
また、上記実施形態の単セル110では、ガス流路孔350の並ぶ方向(Y軸方向)において、空気極層114と電解質層112と燃料極層116とが連続的に形成されているが、図16に示す変形例のように、空気極層114と電解質層112と燃料極層116との内の少なくとも1つの層(例えば、図16の例では空気極層114)が不連続に形成されているとしてもよい。なお、この場合には、支持体300の特定断面(YZ断面)における特定領域R1は、Z軸方向視で、電解質層112と空気極層114と燃料極層116とのそれぞれの不連続部分を含むY軸方向の一方の端から他方の端に至る領域のすべてに重なる領域である。
また、上記実施形態では、支持体300における任意の特定断面において、上述した構成(例えば、上流側支持体部分302に存在するガス流路孔350の断面積の合計が、下流側支持体部分301に存在するガス流路孔350の断面積の合計より大きくなっている構成)が採用されているが、少なくとも1つの特定断面において上述した構成が採用されていればよい。
また、上記実施形態において説明した支持体300の構成は、燃料電池スタック100に含まれるすべての単セル110において採用されていてもよいし、燃料電池スタック100に含まれる一部の単セル110のみにおいて採用されていてもよい。
また、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる発電単位102の個数(すなわち、単セル110の個数)は、あくまで一例であり、発電単位102の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。また、上記実施形態では、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間の空間を各マニホールドとして利用しているが、これに代えて、各ボルト22の軸部に軸方向の孔を形成し、その孔を各マニホールドとして利用してもよい。また、各マニホールドを各ボルト22が挿入される各連通孔108とは別に設けてもよい。
また、上記実施形態では、燃料電池スタック100に含まれる各単セル110が、燃料極層116に対して電解質層112とは反対側に配置され、燃料ガスFGが流れる複数のガス流路孔350が形成された支持体300を有するが、本願発明は、燃料電池スタック100に含まれる各単セル110が、空気極層114に対して電解質層112とは反対側に配置され、酸化剤ガスOGが流れる複数のガス流路孔が形成された支持体を有する構成にも同様に適用可能である。なお、本願発明がこのような構成に適用される場合には、空気極層114が特許請求の範囲における第1の電極層に相当し、燃料極層116が特許請求の範囲における第2の電極層に相当し、酸化剤ガスOGが特許請求の範囲における第1のガスに相当し、燃料ガスFGが特許請求の範囲における第2のガスに相当する。
また、上記実施形態では、複数の略平板状の単セル110を備える燃料電池スタック100を例に説明したが、本願発明は、複数の扁平筒状の単セルを備える燃料電池スタックといった他の構成の燃料電池スタックにも同様に適用可能である。
また、上記実施形態では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に説明したが、本願発明は、固体高分子形燃料電池(PEFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)といった他のタイプの燃料電池スタックにも適用可能である。