JP2008122451A - ハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像補充液用濃縮液 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像補充液用濃縮液 Download PDF

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Abstract

【課題】発色現像液として必要なすべての組成を含有し、発色現像補充液の保恒剤としてジエチルヒドロキシルアミン等の臭気の有る保恒剤を使用せずに濃縮液として1〜2パートで高濃縮化が可能な発色現像補充液用の濃縮液を提供すること。
【解決手段】下記(1)及び(2)を含有するハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像液の補充用濃縮液。(1) カチオン性ポリマー(2) 下記一般式(I)又は/及び(II)で表される化合物一般式(I)
Figure 2008122451

一般式(II)
Figure 2008122451

【選択図】 なし

Description

本発明は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理に使用する発色現像液の補充液用濃縮液に関するもので、特に、安定性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料用発色現像補充液用濃縮液に関するものである。
ハロゲン化銀カラー感光材料の処理は自動現像機による処理が主流であり、多量の写真を自動的に処理出来るようになっている。現像液は写真の処理によって疲労、劣化していくのでこれに対処する為、必要な量の処理液を補充液として補充しながら処理を行なうことで安定的な処理が可能になっている。
このようなハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理は、感光材料の像露光後、発色現像処理、漂白処理と定着処理を同時に行なう漂白定着処理、水洗処理もしくは水洗処理に代るリンス処理、乾燥処理が通常行なわれ、これらの処理に用いられる夫々の処理液に対応した其々の補充液が補充される。これらの補充液は、通常、濃縮液として、液体の形態で供給され、水により希釈するだけで処理液とすることができるようになっている。
水で希釈される補充用の濃縮液は長期間の保存状態で変質が起こらない様にしなければならず、また高濃縮化して流通時や保管時の容量を小さくする為に、複数パートに分けられて濃縮化されている。そして、発色現像補充液は、通常3又はそれ以上のパートに分けられ、具体的には現像液のpHを維持する為のアルカリパート、発色現像主薬を含有する主薬パート及び主薬パートの劣化を防ぐ為の保恒剤パート等に分けられて供給され、高濃縮化と保存時の安定性の向上を可能にしている。
しかし、補充液を作製の際に、各パート液の量を間違えてしまい適正な補充液が作製できないといった問題や、処理量が多く忙しい時間に複数パートの液を秤とって混合する手間がかかる為、濃縮液は少ないパートであるほうが望ましく、出来ればすべての組成を含有する一液の高濃縮液の方が好ましい。
このように濃縮液は少パート化が望まれるが、パート数を減らそうとした場合、析出物が生じ濃縮化が困難になる。特に最近の処理剤は廃液を低減させる目的で低補充化されており、希釈された補充液の状態でも濃度の高い状態になっており、この液を更に濃縮化し、少パート化をするのは困難となっている。
また、従来の保恒剤として使用されているジエチルヒドロキシルアミン(DEHA)は、近年補充量の低減に伴い処理槽で現像液の液交換率が下がることによって減少傾向に有り、これを補う為にDEHAの添加量を増加させる必要が有るが、DEHAは多量に添加すると、写真特性を低下させる傾向があると共に独特の臭気があり、店の中にこの臭気が発散されてしまい、特にスーパーなどの店舗内に自動現像機がある場合は、不都合が生じてしまう。
一方、DEHAを少量に抑えて無臭のポリエチレンイミンを添加することで保恒能力は向上するが、このようにして調製された現像液が感光材料によって現像槽から次槽の漂白定着槽に持ち込まれた際、不溶物が発生し、これが感材に付着して汚れとなってしまい、安定して処理を行なうことができなかった。特に漂白定着液の補充量が70ml/m以下の場合は、漂白定着中の現像液の割合が上昇し、不溶物が多量に発生することになる。
そこで、写真特性を低下させず、十分な保恒性を持ち無臭な化合物として、特開平6−273905(特許文献1)や特開2000−162750(特許文献2)に開示される保恒剤が提案されている。
又、特開平11−15119(特許文献3)に安定性の優れた一液の発色現像液濃縮液の発明が開示されている。この発明の一液の発色現像液濃縮液は、濃縮率の高い組成を得る為に、現像に関与しない不溶な成分である硫酸塩を除去することで高濃縮化を行なっている。この硫酸塩は、発色現像主薬が通常原料として酸付加物の状態で供給されており、この酸が現像濃縮液を製造する際に塩として生成する。通常の3パートの形態では問題無いものの、一液濃縮液では硫酸塩濃度は高濃度になり他の必要な成分の添加が妨げられることになる。塩類の付加されていない所謂フリーの発色現像主薬も有るが、安定性が悪く直ぐに着色してしまい、安定した製品の供給が出来無い為、一般には酸付加物が使用されている。発色現像主薬CD−3も硫酸付加物であり、これらの硫酸塩を除去することで安定性に優れた一液高濃縮の発色現像用補充液を可能にしている。
特開平6−273905号公報 特開2000−162750号公報 特開平11−15119号公報
特許文献1及び2に開示された化合物は漂白定着での不溶物の発生を生じさせることが無く、高濃縮化も良好では有るが、蛍光増白剤と混合して高濃縮化する場合、濁りが発生し易く、濃縮化には限界が生じてしまう。
この濁りは濃縮液の塩類濃度によって大きく変化する為、組成の一部を減量することで濁りを回避することができるが、炭酸カリウムなどの緩衝剤を減量させた場合、処理量の多い日と少ない日で処理液のpHにずれを生じてしまい、写真特性が不安定になり、安定した処理がし難くなる傾向があるという問題点がある。
又、特許文献3に開示された発明は、硫酸塩を除去することが必要であるが、発色現像主薬の酸付加物から酸を取り除くことは容易ではなく、製造時にろ過を行なう等の複数の工程が必要になり、また、取り除かれた硫酸根も残渣として残ってしまうという問題点があり、原料の発色現像主薬に付加されている酸から生成される塩類を除去すること無く濃縮可能な処理剤が求められている。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、発色現像液として必要なすべての組成を含有し、発色現像補充液の保恒剤としてジエチルヒドロキシルアミン等の臭気の有る保恒剤を使用せずに濃縮液として1〜2パートで高濃縮化が可能な発色現像補充液用の濃縮液を提供することを目的とし、又、この発色現像補充液用濃縮液が長時間に亘り安定であること、更に使用に当たって容易に迅速に発色現像液とすることが出来る発色現像補充液用濃縮液を提供することを目的とする。更に発色現像主薬として通常の酸付加物を用い、濃縮液の製造時に、これらの酸に起因する塩を除去または減量させること無く、濁りや低温時の析出の発生が起こらない1液又は2液の発色現像補充液用濃縮液を提供することを目的とする。
本発明者は、この問題を解決するために鋭意検討等を重ねた結果、ハロゲン化銀カラー感光材料を像露光後、発色現像処理するハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像液の補充用濃縮液において、少なくとも、下記(1)及び(2)を含有することで、高濃縮で高安定な発色現像液用濃縮液を得ることが出来た。
(1) カチオン性ポリマー
(2) 下記一般式(I)又は/及び(II)で表される化合物
一般式(I)
Figure 2008122451
式中、R、R、R、Rはカルボキシル基、アルキル基、カルボキシメチル基、アルコキシ基、スルホン酸基、ヒドロキシ基を表し、それぞれ異なっても良いし、総て同一でも或いは一部同一でも良い。
一般式(II)
Figure 2008122451
式中、nは1または2を表し、
、R、Rはそれぞれアルキル基を表す。
特にR、Rがメチル基でRが炭素数12〜18のアルキル基が好適に使用できる。
特に、前記一般式(I)で表される化合物が、安息香酸及びその塩である場合、CD−3等の発色現像主薬に付加している酸が塩の状態で多量に存在する場合でも、冬季の析出や濁りなどの発生を良好に抑えることが出来、高濃縮な発色現像液用濃縮液を得ることが出来る。
一般式(I)又は/及び(II)の化合物の添加量としては、濃縮補充液中に2〜20重量%含有させることが出来、この量を添加することで、濁りのない発色現像用補充液の濃縮液が可能になる。更に望ましくは濃縮補充液中に4〜7重量%程度が効率よく濁りを解消でき好適である。
また、特にカチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン及び/または下記一般式(III)で示される構造を有する化合物であることによって、濃縮液状態と補充液状態で発色現像液の各成分を良好に維持することが出来、高安定な発色現像液用濃縮液を得られる。
一般式(III)
Figure 2008122451
式中、Rはアルキレン基を表し、該アルキレン基は、ヒドロキシル基、アルキル基に置換されても良く、またエーテル結合を含んでも良い。
本発明の一般式(III)のカチオン性ポリマーおよびポリエチレンイミンは、補充液1リッター中に3〜12g含有させることでの保恒能力の高い状態を維持することが出来る。
一般式(III)で示される構造を有する化合物の中でも特に下記一般式(IV)の構造が濃縮状態でも溶解性に優れ良好な性能を示す。
一般式(IV)
Figure 2008122451
式中Rはアルキレン基又はアルカントリイル基を示し、このアルキレン基又はアルカントリイル基は炭素数2〜8のアルキル基で置換されてもよい。Cはアルキレン基の場合0となり、アルカントリイル基の場合は1となる。Cが1の場合に、Aは一般式(IV)で表されるポリマーを示す。aは0〜30の整数、bは1〜1000の整数を示す。尚、Aが一般式(IV)で表されるポリマーを示す場合、実際の構造は網状の構造となる。
また、これらの発色現像用補充液用濃縮液中1リッター当り、発色現像液主薬を0.1モルから0.2モル含有し、1液タイプであることによって、容易に補充液を作成でき、充分な能力をもつ高濃縮な発色現像液用濃縮液を得られる。
以上述べたように本発明によれば、発色現像液として必要なすべての組成を含有し、発色現像補充液の保恒剤としてジエチルヒドロキシルアミン等の臭気の有る保恒剤を使用せずに濃縮液として1〜2パートで高濃縮化が可能な発色現像補充液用の濃縮液を提供することが可能となった。
又、この発色現像補充液用濃縮液が長時間に亘り安定であること、更に使用に当たって容易で迅速に発色現像液とすることが出来る発色現像補充液用濃縮液を提供することが可能となった。
更に発色現像主薬として通常の酸付加物を用い、濃縮液の製造時に、これらの酸に起因する塩を除去または減量させること無く、濁りや低温時の析出の発生が起こらない1液又は2液の発色現像補充液用濃縮液を提供することが可能となった。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像液の補充用濃縮液は、(1)カチオン性ポリマー及び(2)下記一般式(I)又は/及び(II)で表される化合物を含有する。
一般式(I)
Figure 2008122451
式中、R、R、R、Rはカルボキシル基、アルキル基、カルボキシメチル基、アルコキシ基、スルホン酸基、ヒドロキシ基を表し、それぞれ異なっても良いし、総て同一でも或いは一部同一でも良い。
一般式(II)
Figure 2008122451
式中、nは1または2を表し、
、R、Rはそれぞれアルキル基を表す。
一般式(I)又は/及び(II)の化合物は、総量で濃縮補充液中に2〜20重量%含有させることが好ましい。2重量%未満では析出が生じてしまい、20重量%より多いと、溶解し難くなるからである。この量を添加することで、濁りのない発色現像用補充液の濃縮液が可能になる。更に望ましくは、濃縮補充液中に4〜7重量%程度が効率よく濁りを解消でき好適である。一般式(I)、(II)の化合物は、単独で用いてもよいが、2種以上を適宜選択して組合わせて用いてもよい。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像液の補充用濃縮液は、発色現像主薬を含有した1液タイプのもの、発色現像主薬は別パートとして2液タイプのものとした2パートの内の発色現像主薬を含有しないパートを含む。
本発明に使用する一般式(I)の具体例として、安息香酸を含む下記一般式(I−1)〜(I−34)で示す化合物、本発明に使用する一般式(II)の具体例として、下記一般式(II−1)〜(II−4)で示す化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。尚、これらの化合物はアルカリ金属の塩の形でもよい。特に、一般式(I)で表される化合物が安息香酸又はその塩であることは、より効率よく濁りを解消でき、しかも安価であるので好ましい。
(I−1)
Figure 2008122451
(I−2)
Figure 2008122451
(I−3)
Figure 2008122451
(I−4)
Figure 2008122451
(I−5)
Figure 2008122451
(I−6)
Figure 2008122451
(I−7)
Figure 2008122451
(I−8)
Figure 2008122451
(I−9)
Figure 2008122451
(I−10)
Figure 2008122451
(I−11)
Figure 2008122451
(I−12)
Figure 2008122451
(I−13)
Figure 2008122451
(I−14)
Figure 2008122451
(I−15)
Figure 2008122451
(I−16)
Figure 2008122451
(I−17)
Figure 2008122451
(I−18)
Figure 2008122451
(I−19)
Figure 2008122451
(I−20)
Figure 2008122451
(I−21)
Figure 2008122451
(I−22)
Figure 2008122451
(I−23)
Figure 2008122451
(I−24)
Figure 2008122451
(I−25)
Figure 2008122451
(I−26)
Figure 2008122451
(I−27)
Figure 2008122451
(I−28)
Figure 2008122451
(I−29)
Figure 2008122451
(I−30)
Figure 2008122451
(I−31)
Figure 2008122451
(I−32)
Figure 2008122451
(I−33)
Figure 2008122451
(I−34)
Figure 2008122451
(II−1)
Figure 2008122451
(II−2)
Figure 2008122451
(II−3)
Figure 2008122451
(II−4)
Figure 2008122451
これら一般式(I)又は/及び(II)の化合物を添加することによって、高濃縮の状態で蛍光増白剤とカチオン性のポリマーが溶け難い物質を作ることを防止することが出来、析出の発生が生じない濃縮液を作成することが出来る。
本発明に使用するカチオン性ポリマーとして、ポリエチレンイミン及び/または下記一般式(III)で示される構造を有する化合物を用いることが出来る。これらの化合物を用いることにより、濃縮液状態と補充液状態で発色現像液の各成分を良好に維持することが出来、高安定な発色現像液用濃縮液を得られる。特に、一般式(III)のカチオン性ポリマー及び/またはポリエチレンイミンは、総量で補充液1リッター中に3〜12g含有させることでの保恒能力の高い状態を維持することが出来る。ポリエチレンイミン、下記一般式(III)で示される構造を有する化合物は単独で用いてもよいが、2種以上を適宜選択して組合わせて用いてもよい。
一般式(III)
Figure 2008122451
式中、Rはアルキレン基を表し、該アルキレン基は、ヒドロキシル基、アルキル基に置換されても良く、またエーテル結合を含んでも良い。
一般式(III)で示される構造を有する化合物の具体例として、下記一般式(III−2)〜(III−9)で示すものが好適に用いることが出来る。勿論、以下のものに限定されるものではない。
(III−1)
ポリエチレンイミン
(III−2)
Figure 2008122451
式中x及びyは、(x+y)が5〜30を表す。
(III−3)
Figure 2008122451
(III−4)
Figure 2008122451
(III−5)
Figure 2008122451
m=5〜10
(III−6)
Figure 2008122451
(III−7)
Figure 2008122451
(III−8)
Figure 2008122451
(III−9)
Figure 2008122451
一般式(III)で示される構造を有する化合物の中でも特に下記一般式(IV)の構造が濃縮状態でも溶解性に優れ良好な性能を示す。
一般式(IV)
Figure 2008122451
式中Rはアルキレン基又はアルカントリイル基を示し、このアルキレン基又はアルカントリイル基は炭素数2〜8のアルキル基で置換されてもよい。Cはアルキレン基の場合0となり、アルカントリイル基の場合は1となる。Cが1の場合に、Aは一般式(IV)で表されるポリマーを示す。aは0〜30の整数、bは1〜1000の整数を示す。尚、Aが一般式(IV)で表されるポリマーを示す場合、実際の構造は網状の構造となる。
又、本発明に使用する蛍光増白剤としては特に限定されないが、下記一般式(VI−1)〜(VI−3)で示す化合物を使用できる。
特に、ビス(トリアジニルアミノスチルベンゼン)ジスルホン酸誘導体として、下記一般式(VI−1)で示すものが写真の白地を白くするために好適に用いることができる。
(VI−1)
Figure 2008122451
式中R〜Rには以下のものが入り、それぞれ異なっても良いし、総て同一でも或いは一部同一でも良い。
−NH2
−NH−Ph
−NH−(Phenylene)−CH3
−NH−(Phenylene)−OCH3
−NH−(Phenylene)−SONa
−NH−(Phenylene)−SO2NH2
−NH−(Phenylene)−COONa
−OH
−OCH3
−OCH2CH2OCH3
−Cl
−NH−CH
−NH−CH
−N(C2H5)2
−NH−CH2CH2OH
−NH(CH3)CH2CH2OH
−NH−CH2−C(CH2OH)HOH
−N(C2H4OH)2
−モルホリノ基
−NH−CH2CH2SO3H
−N(CH3)CH2CH2SO3H
−HN−(C6H3)−(SO3H)2
これ以外にビフェニル誘導体として、以下のものを用いることができる。
(VI−2)
Figure 2008122451
式中Rは−SONa、Rは−H又は−Clを示す。
(VI−3)
Figure 2008122451
式中Rは−SONa、Rは−H又は−Clを示す。
特にビス(トリアジニルアミノスチルベンゼン)ジスルホン酸誘導体が好適に使用でき、具体的には、
Hakkol AP, APL, PHL, PHNL, PSL, KIP(昭和化学工業(株))
Illuminarl BM(昭和化工(株))
Kayaphor SN、PASL、JBL(日本化薬(株))
Mikephor BN(三井東圧化学(株))
Whitex BB(住友化学工業(株))
Tinopal BOP-X, SFP、 Uvitex 2BF(Ciba-Geigy)
Kaycoll BX, BX conc.(日曹化工(株))等の市販品を使用することが出来る。
又、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像液の補充用濃縮液は、発色現像主薬を、発色現像用補充液用濃縮液1リッター当り、0.1モルから0.2モル含有した1液タイプであることが好ましい。これにより、容易に補充液を作成でき、充分な能力をもつ高濃縮な発色現像液用濃縮液を得られる。尚、発色現像主薬としては、通常使用されるものを使用し、具体的には、CD−3等が挙げられる。
この他、本発明の発色現像補充液用濃縮液には通常使用される種々の成分、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ剤、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸塩、塩化カリウム、塩化ナトリウム、臭化カリウム、臭化ナトリウム、沃化カリウム、沃化ナトリウム等のハロゲン化合物、アミノポリカルボン酸、ポリスチレンスルフォン酸、ポリホスフォン酸等の水軟化剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の現像促進剤を含有させることができる。
ジエチルヒドロキシルアミンは含有しないことが好ましいが、含有する場合でも、発色現像用補充液用濃縮液1リッター当り、10g以下とすることが好ましい。10g程度であれば、臭気も微臭程度であり、特性にさほど影響を与えないが、それ以上では臭気が強くなると共に、特性を低下させてしまうからである。
次に、本発明の発色現像補充液用濃縮液を用いた発色現像処理の後に行う漂白定着処理に用いる漂白定着液について使用される化合物としては、漂白剤の主剤としては有機酸の金属錯塩であり、該錯塩として、アミノポリカルボン酸、クエン酸等の有機酸と鉄、コバルト、銅等の金属等が挙げられる。このような有機酸の金属錯塩を形成するために用いられる最も好ましい有機酸として、ポリカルボン酸があり、これらのポリカルボン酸又はアミノポリカルボン酸はアルカリ金属塩、アンモニウム塩、水溶性アミン塩であってもよい。
これらの具体例としては、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、エチレンジアミン−N−(β−オキシエチル)−N,N’,N’−トリ酢酸、プロピンジアミンテトラ酢酸、ニトリロトリ酢酸、イミノジ酢酸、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸、ジヒドロキシエチルグリシンクエン酸、エチルエーテルジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラプロピン酸、フェニレンジアミンテトラ酢酸等及びこれらの酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、水溶性アミン塩等が挙げられる。
定着剤の主剤としては、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩等で、その具体例として、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等で、更に、チオ尿素、チオエーテル等の化合物等が挙げられる。
その他、定着成分の保恒剤として、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸塩等で、その具体例として、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等が挙げられる。
緩衝剤として、無機の弱酸及び有機酸とアルカリ剤を組み合わせて使用する。無機の弱酸としては、炭酸、ホウ酸、リン酸、有機酸としては、酢酸、クエン酸、コハク酸等であり、これらの具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、コハク酸アンモニウム等が使用出来る。
本発明の発色現像補充液用濃縮液は、感材が処理される度に漂白定着処理タンクに持ち込まれる。この為、漂白定着槽のpHは上昇し、脱銀能力を落とす傾向にあるが一般式(I)又は/及び(II)の化合物を添加する事によってpHの上昇を抑えることが出来、脱銀能力を維持することができる。
本発明の発色現像補充液用濃縮液を用いた発色現像処理の後に行う、正確には更に漂白定着処理の後に行う水洗処理は、水洗もしくはそれに代るリンス液で処理が行われる。
リンス液には、安定化処理槽に前槽の漂白定着成分が持ち込まれるため、漂白定着成分の分解防止として分解防止剤を添加することが出来る。分解防止剤としては、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム等の重亜硫酸塩、メタ重亜硫酸アンモニウム、メタ重亜硫酸カリウム等のメタ重亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン類、アスコルビン酸等のレダクトン類及びスルフィン酸等を必要に応じて使用することができる。
分解防止剤の使用量は、リンス液1リットル当り、0.005〜3.0mol/lの範囲で使用できるが、好ましくは0.005〜2.0mol/l、より好ましくは0.005〜1.0mol/lの範囲が良い。
又、リンス液には、経時でリンス液が腐敗しないように、防菌防黴剤を添加することも出来る。防菌防黴剤としては、イソチアゾリン系化合物やハロゲン放出型化合物などを使用することができる。
更にリンス液には、その他に感材等から溶け出してくるCaによるスケール防止剤として、キレート剤を添加することが出来る。キレート剤としては、前述の定着液と同様に、アミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、アルキルホスホン酸、ホスホノカルボン酸等を含有することができ、使用量としては、リンス液1リットル当り、0.1〜5.0g/lが好ましい。
以下、実施例により本発明の詳細を説明するが、これにより本発明が限定されるものではない。
表1に示す本発明の発色現像補充液用濃縮液(表中Part1で示す)(本発明1〜12)を作成すると共に、発色現像主薬を含む発色現像補充液用濃縮液(表中Part2で示す)を作成し、更に比較例として比較例14〜17の発色現像補充液用濃縮液を作成し、夫々水4000mlを加えて、5000mlの発色現像補充液を作成し、液の濁りや冷却時の析出の発生を試験した。また、自動現像機にP1スターターキット(中外写真薬品製)を発色現像槽に充填し、VPII−2R(中外写真薬品製)を2倍に希釈した物を漂白定着槽に充填、リンス槽(4槽カスケード)にはリンスの補充液を充填し、処理m毎にこの組成で補充を行い特性の動きを確認した。
各処理液の使用量は、発色現像補充液は45ml/m2、漂白定着液は55ml/m2、リンス液は350ml/m2として像露光したカラーペーパーを500m2処理した。別に感光計を使用して一定露光を与えたカラーペーパーを、処理の状態を知るための試料として一定間隔で処理を行い、これで得られた処理の状態を表1に示す。
Figure 2008122451
蛍光増白剤 チノパールSFP(チバガイギー社製)を使用
DEHA:ジエチルヒドロキシルアミン
TEA:トリエタノールアミン
キレート剤:1ヒドロキシエチリデン‐1、1ジホスホン酸3Na
表中、特に単位の指定のないものの単位はグラム(g)である。
写真特性は中外写真薬品(株)製アクリンメーカコンストを使用し500m処理するまでの感度、コントラスト、最低濃度(ステイン)を測定し、感度とコントラストについてはスタートから±0.1以内、ステインについては±0.03以内で推移する状態を合格(表中○で示す。)として判断した。
発色現像液以外の処理液は、漂白定着液を以下の表2、リンス液を以下の表3に示す組成で行った。
Figure 2008122451
Figure 2008122451
以上の結果から分かるように、一般式(I)、(II)で表される化合物を添加することによって、濃縮液状態での析出が起こらず、漂白定着槽(P2)に持ち運ばれた場合も不溶物を生成しない。濃縮状態で濁りや析出が起こらないことから、炭酸カリ等が十分に添加でき、処理量に因らず安定した処理が可能な処理液とすることができる。
表4に示す、発色現像主薬を含む一液の本発明の発色現像補充液用濃縮液(表中Part1で示す)を作成し(本発明21〜32)、更に比較例として比較例34〜37の発色現像補充液用濃縮液を作成し、夫々水3000mlを加えて、4000mlの発色現像補充液を作成し、液の濁りや冷却して析出の発生を試験した。
また、実施例1と同様に自動現像機にP1スターターキット(中外写真薬品製)を発色現像槽に充填し、VPII−2R(中外写真薬品製)を2倍に希釈した物を漂白定着槽に充填、リンス槽(4槽カスケード)にはリンスの補充液を充填し、処理m毎に補充を行い特性の動きを確認した。表4の補充液は45ml/mで補充を行い像露光したカラーペーパーを500m処理した。別に感光計を使用して一定露光を与えたカラーペーパーを処理の状態を知るための試料として一定間隔で処理を行い、これで得られた処理の状態を表2に示す。
写真特性は、中外写真薬品(株)製アクリンメーカコンストを使用し500m処理するまでの感度、コントラスト、最低濃度(ステイン)を測定し、感度とコントラストについてはスタートから±0.1以内、ステインについては±0.03以内で推移する状態を合格(表中○で示す。)として判断した。
Figure 2008122451
表中、特に単位の指定のないものの単位はグラム(g)である。
以上の結果から分かるように、一般式(I)、(II)で表される化合物を添加することによって、硫酸塩が十分に残っている状態でも濃縮液状態での析出が起こらず、漂白定着槽(P2)に持ち運ばれた場合も不溶物を生成しない。濃縮状態で濁りや析出が起こらないことから、炭酸カリ等が充分に添加でき、処理量に因らず安定した処理が可能な処理液とすることができる。

Claims (5)

  1. 下記(1)及び(2)を含有するハロゲン化銀カラー写真感光材料用の発色現像液の補充用濃縮液。
    (1) カチオン性ポリマー
    (2) 下記一般式(I)又は/及び(II)で表される化合物
    一般式(I)
    Figure 2008122451
    式中、R、R、R、Rはカルボキシル基、アルキル基、カルボキシメチル基、アルコキシ基、スルホン酸基、ヒドロキシ基を表し、それぞれ異なっても良いし、総て同一でも或いは一部同一でも良い。
    一般式(II)
    Figure 2008122451
    式中、nは1または2を表し、
    、R、Rはそれぞれアルキル基を表す。
  2. 前記一般式(I)で表される化合物が安息香酸及びその塩であることを特徴とする請求項1に記載の発色現像液用の濃縮補充液。
  3. 前記カチオン性ポリマーが、ポリエチレンイミン及び/または下記一般式(III)で示される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の発色現像液用の濃縮補充液。
    一般式(III)
    Figure 2008122451
    式中、Rはアルキレン基を表し、該アルキレン基は、ヒドロキシル基、アルキル基に置換されても良く、またエーテル結合を含んでも良い。
  4. 前記一般式(I)又は/及び(II)の化合物を濃縮補充液中に2〜20重量%含有させることを特徴とする請求項1から3のうち何れかに記載の発色現像液用の濃縮補充液。
  5. 発色現像用補充液用濃縮液1リッター当り、発色現像主薬を0.1モルから0.2モル含有し、1液タイプであることを特徴とする請求項1から4のうち何れかに記載の発色現像補充液用の濃縮液。
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