JP2008121065A - 溶融金属めっき装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メインポット3内には、鋼板Sがプリメルトポット側の斜め上方からメインポット3内に進入するようにスナウト1を、進入してきた鋼板Sが方向転換後メインポット3から引き上げられるようにシンクロール2をそれぞれ配し、プリメルトポット5内には、鋼板Sに付着して減少するめっき金属を補うために金属インゴット4を配している。さらに、前記メインポット3と前記プリメルトポット5を同一浴面にて連接する流路9を備え、前記メインポット3の一部から流路9を経て前記プリメルトポット5の一部までの浴面にはカバー6を配している。また、好ましい構造として、プリメルトポット5内もしくは流路9内に、少なくとも一つ以上の仕切板7を配している。
【選択図】図1
Description
図2は、従来の溶融金属めっき設備の縦横断面の概略図であり、図2によれば、冷延、前処理工程での表面洗浄、非酸化性あるいは還元性雰囲気中での加熱、焼鈍、冷却の各々の工程を経た鋼板Sは、矢印の方向に走向してスナウト1からメインポット3中に連続的に浸漬される。次いで、シンクロール2で方向転換後、メインポット3から引き上げられ、メインポット3中で鋼板Sの表面に付着した過剰の溶融金属はガスワイピング等の図示しない付着量制御装置でめっき付着量を調整後、冷却され、所定の後処理を施され、所望のめっき鋼板になる。一方で、鋼板Sに付着して減少するめっき金属を補うために、金属のインゴット4をプリメルトポット5で溶解し、適宜、必要に応じて、プリメルトポット5からメインポット3へめっき金属が補充される。
そこで、上記問題を解決するために、いくつかの技術が提案されている。
特許文献1では、めっき槽への成分補給方法として、補給成分を予め溶融、保持した複数個のプリメルトポットを用い、必要な補給成分の濃度及びめっき槽の減少量に対応するようプリメルトポットから成分をめっき槽に補給する方法や、補給成分を予め溶融、保持した少なくとも1つのプリメルトポット及び補給成分の金属塊あるいは金属粉粒を入れた少なくとも1つのホッパを用い、必要な補給成分の濃度及びめっき槽の減少量に対応するよう前記プリメルトポット及びホッパから成分をめっき槽に補給する方法が開示されている。
また、特許文献2では、補給成分を予め溶融、保持した複数個のプリメルトポット又は少なくとも一つのホッパを用い、必要な補給成分の濃度及びめっき浴の減少量に対応するよう、めっき浴内に設けた混合槽に前記プリメルトポット、又はプリメルトポット及びホッパから成分を供給し、該混合槽内から噴射ノズルを用いてめっき浴内へ噴射して成分を補給するめっき浴への成分補給方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の方法では、めっき槽(浴)に補給成分を供給するための箇所とそれ以外の場所では成分濃度がばらついて、めっき槽(浴)内の濃度分布が不均一になり、鋼板全体でめっき品質が不均一になるという問題が生じる。
特許文献3では、プリメルトポット又は混合層から、溶融めっき金属を被めっき鋼板が該めっき浴に浸入する部分の板幅方向全域に供給する方法が開示されている。しかしながら、特許文献3の方法では、鋼板が浸入する部分への溶融金属の直接供給により浸入波面の揺らぎによりアッシュ、スリキズなどの別な素材欠陥が発生する。
このように、現状では、充分に優れためっき品質を有する製品を得るに至っていない。
しかしながら、数多くの提案が行われているにも関わらず、従来の提案は実用化されていない。この理由は、これらの提案の技術は机上では成立するものであるが、実設備では機構の複雑さや耐久性、操業性に多くの問題があり、実際には不可能であるためである。
例えば、特許文献4では、メインポットとプリメルトポットを連結する溶湯導入路を浴面レベルよりも低い位置で設置することによりドロスの流出を食い止める方法が、特許文献5では、発生したボトムドロス(Fe-Zn系)を直ちにめっき槽から除去するために側部及び底部でメインポットとプリメルトポットを接続する方法が開示されている。しかしながら、特許文献4および5では、設備が複雑化し、また、配管からめっき浴が漏れるような事態になった場合は漏れを食い止める方策がない。さらに、めっき浴の加熱が不十分の場合、例えば停電になった場合には、配管内のめっき浴は容易に凝固する。すなわち、単に設備が複雑で操業に支障をきたすだけでなく、エンジニアリング上にも多くの解決しなければならない問題があり、実機への適用は容易に行えない。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]スナウトを有し、溶融金属を収容し鋼板を浸漬してめっきを施すメインポットと、めっきに使用するインゴットを溶解するプリメルトポットと、前記メインポットと前記プリメルトポットを同一浴面にて連接する流路を備える溶融金属めっき装置であって、
前記スナウトより前記流路側にかけての前記メインポットの一部から、前記流路を経て、前記金属インゴットより前記流路側にかけての前記プリメルトポットの一部まで浴面を覆う手段を配設することを特徴とする溶融金属めっき装置。
[2]前記[1]において、前記プリメルトポット内もしくは前記流路内に、少なくとも一つ以上の仕切板を配設することを特徴とする溶融金属めっき装置。ただし、前記プリメルトポット内とは、前記金属インゴットより前記流路側にかけての部分とする。
図1は本発明の実施形態の一つである溶融Znめっき鋼板の製造装置を示す図であり、(a)は側断面図、(b)はA−A矢視面である。そして、図1は、溶融金属を収容し鋼板を浸漬してめっきを施すメインポット3と、めっきに使用するインゴット4を溶解するプリメルトポット5と、前記メインポット3と前記プリメルトポット4を同一浴面にて連接する流路9から構成される。
メインポット3内には、鋼板Sがプリメルトポット側の斜め上方からメインポット3内に進入するようにスナウト1を、そして進入してきた鋼板Sが方向転換後、メインポット3から引き上げられるようにシンクロール2を配している。
プリメルトポット5内には、鋼板Sに付着して減少するめっき金属を補うために用いられる金属のインゴット4を溶解可能な程度に浸漬するように配している。
さらに、本発明では、前記メインポット3と前記プリメルトポット5を同一浴面にて連接する流路9を備えてあり、前記スナウトより前記流路側にかけての前記メインポットの一部から、前記流路を経て、前記金属インゴットより前記流路側にかけての前記プリメルトポットの一部まで浴面を覆うカバー6を配している。
以上の基本構造に対し、好ましい構造として、プリメルトポット5内(ただし、金属インゴット4より流路側9にかけての部分)もしくは流路9内に、少なくとも一つ以上の仕切板7を配している。
図1によれば、鋼板Sは、矢印の方向に走向してスナウト1からメインポット3中に連続的に浸漬される。次いで、シンクロール2で方向転換後、メインポット3から引き上げられ、メインポット3中で鋼板Sの表面に付着した過剰の溶融金属はガスワイピング等の図示しない付着量制御装置でめっき付着量を調整後、冷却され、所定の後処理を施され、所望のめっき鋼板になる。一方で、鋼板Sに付着して減少するめっき金属を補うために、金属のインゴット4をプリメルトポット5で溶解し、適宜、必要に応じて、プリメルトポット5から流路を介してメインポット3へめっき金属が補充される。ここで、本発明では、前記スナウトより前記流路側にかけての前記メインポットの一部から、前記流路を経て、前記金属インゴットより前記流路側にかけての前記プリメルトポットの一部まで、浴面を覆うカバー6を配設することで、前記メインポット3の一部から流路9を経て前記プリメルトポット5の一部までの浴面の温度は一定温度以上に保持される。さらに、好ましくは、プリメルトポット5内(ただし、金属インゴット4より流路側9にかけての部分)もしくは流路9内に、少なくとも一つ以上の仕切板7を配設することで、メインポット3とプリメルトポット5との流れを一部止める堰の役割を果たし、トップドロス8等の浮上しているドロスのメインポット3への流入を防ぐ。このように、カバー6と、好ましくは仕切板7を配設することは本発明において重要な要件であり、このようにカバー6と仕切板7を配設することによって、本発明が解決される。詳細な作用については後述する。
また、めっき浴の温度についても特に限定はしない。目的、めっきの種類や、設備的な設計事項に応じて適宜設定される。
また、このようにカバー6を浴面に配することで、浴面の温度を高くして鉄の溶解量を増加することに加え、鉄が溶解していない部分へ溶解した鉄の拡散を行うことの相乗効果が望める。ゆえに、浴面の温度はメインポット3の温度と同じよりは高い方が望ましく、カバー6によって覆われる浴面の温度は、鉄が飽和しない温度である440℃以上に保持することが好ましい。
さらに、上記カバー6を配することで、めっき浴組成と空気中の酸素との酸化反応により発生する金属酸化物系のドロスを抑制することが可能となる。例えば、溶融Znめっき鋼板を製造する場合、めっき浴組成のZnと空気中のO2の酸化反応により金属酸化物系のドロスが発生する。ドロスによる品質の低下の問題は上述した通りであり、品質向上の点からも、浴面への酸素の供給を絶ち、金属酸化物系のドロスを発生させないことが重要となる。この点からも、本発明ではカバー6を設けることにより浴面と酸素の接触を遮断し酸化反応そのものを抑える作用を有することとなる。
カバー6として用いる素材は、めっき液に浸食されにくく、めっき液に浮けばよく、その他は特に限定しない。浴温を保温し、浴面への酸素の供給を絶ち金属酸化物系のドロスを発生させない点から、酸素を透過しにくく断熱性に優れた材質が好ましい。例えば、セラミックスなどが挙げられる。また、気孔率は、本発明の保温効果と酸素遮断効果に直接影響を及ぼすので40%以下が好ましい。気孔率が前記範囲であれば、浴面への酸素の供給を絶ち金属酸化物系ドロスの発生抑制に極めて高い効果が得られる。
カバー6の厚みは、特に限定するものではないが、割れ防止、保温性の観点から10mm以上が好ましい。
カバー6を溶融金属めっき装置内に配設するにあたっては、位置は浴機器交換に支障のないプリメルトポット側、流路、プリメルトポット内とし、被覆率はメインポット内が10%以上、流路が80%以上、プリメルトポット内が40%以上が好ましい。
仕切り板7としては、めっき液に浸食されない素材であればよく、また、厚みも割れない程度であればよい。
仕切り板7の設置箇所についても特に限定しない。しかし、プリメルトポット内でかつ流路側端部に設置することが好ましい。流路側端部に設けることで、メインポットへの流入(逆流)をより効率よく防止できる。また、堰き止めたドロスの除去もしやすくなる。
また、仕切板7は、表面に浮くトップドロスの流入をさける目的を達成できれば深さについては特に限定しない。仕切板7は長い方が液面の変動などがあっても確実に堰き止めることができるが、長すぎると浴内の対流がしにくくなり成分の拡散が遅くなるため、必要以上に長くする必要はない。例えば、プリメルトポット内の流路端部に仕切り板7を設ける場合、浴面から深さ50mm以上に設置するのが好ましい。さらに好ましくは100mm以上である。
比較例として図1にてカバー6および仕切板7の設置を行わない装置を準備し、それ以外は上記本発明例と同様の方法にて溶融Znめっき鋼板を製造した。
<ドロス個数>
鋼帯各部から500×500mmの大きさの試験片を12個採取し、試験片の表面を目視にて観察し、品質欠陥(ドロス)の個数を測定した。
一方、比較例では、鋼板付着のドロスの個数は40個/m2と高かった。比較例では、依然としてドロスによる問題が生じていることがわかる。
上記各々の溶融Znめっき鋼板の製造に用いた亜鉛浴に対して、各種気孔率のカバーを設置後、5時間を経過した時点でカバーを取り外し、浴面を観察した。そして、上記亜鉛浴の浴面の外観から、以下に示す評価方法により、ZnOの発生の有無を確認し評価した。
<評価方法>
◎:全面に金属光沢(純Zn浴面)
○:一部わずかに金属光沢なし(Zn+ZnO浴面)
△:わずかに金属光沢なし(Zn+ZnO浴面)
×:全面に金属光沢なし(ZnO浴面)
以上より得られた結果を表1に示す。
上記各々の溶融Znめっき鋼板の製造に用いた亜鉛浴に対して、金属インゴット4を投入後、5時間を経過した時点で、流路9の浴面のドロス量の測定を行った。ドロスの測定は、流路9の浴面のドロスを柄杓で採取し、その重量を測定した。得られた結果を表2に示す。
2 シンクロール
3 メインポット
4 金属インゴット
5 プリメルトポット
6 カバー
7 仕切板
8 トップドロス
9 流路
S 鋼板
Claims (2)
- スナウトを有し、溶融金属を収容し鋼板を浸漬してめっきを施すメインポットと、めっきに使用するインゴットを溶解するプリメルトポットと、前記メインポットと前記プリメルトポットを同一浴面にて連接する流路を備える溶融金属めっき装置であって、
前記スナウトより前記流路側にかけての前記メインポットの一部から、前記流路を経て、前記金属インゴットより前記流路側にかけての前記プリメルトポットの一部まで浴面を覆う手段を配設することを特徴とする溶融金属めっき装置。 - 前記プリメルトポット内もしくは前記流路内に、少なくとも一つ以上の仕切板を配設することを特徴とする請求項1に記載の溶融金属めっき装置。ただし、前記プリメルトポット内とは、前記金属インゴットより前記流路側にかけての部分とする。
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