JP3463635B2 - 溶融亜鉛めっき浴中のドロスの低減方法および溶融亜鉛めっき方法 - Google Patents
溶融亜鉛めっき浴中のドロスの低減方法および溶融亜鉛めっき方法Info
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Description
っき処理中に生成するドロスの低減方法、そのための装
置および溶融亜鉛めっき方法に関する。
産業分野において、溶融亜鉛めっき鋼板が広く用いられ
ている。この溶融亜鉛めっき鋼板は、冷間圧延または熱
間圧延後の鋼板を、脱脂、洗浄した後、非還元性雰囲気
または還元性雰囲気中で予熱し、水素と窒素の還元性雰
囲気中で焼鈍し、次いで、めっき温度付近まで冷却し、
溶融亜鉛めっき浴に浸漬する一連の工程を連続的に行う
ことにより製造される。
〜0.20質量%程度のアルミニウム(Al)が含まれ
ている。これは、Al含有量が0.05%未満ではめっ
き時に形成される合金層の厚さが厚く、めっき付着量の
制御が困難になり、一方、Al含有量が高すぎると、め
っき処理後合金化する場合に、合金化が遅延するからで
ある。そのため、めっき金属(亜鉛)の補給のために投
入する亜鉛インゴットとしてAl含有量の異なる亜鉛イ
ンゴットが適宜使用され、めっき浴中のAl含有量が所
定の範囲に入るように調整される。
処理を施すに際し、めっき浴中で、鋼板の溶解によりめ
っき浴に溶出したFeと、ZnまたはAlとが反応し
て、Fe−Al系ドロス(Fe2 Al5 )、Fe−Zn
系ドロス(FeZn7 )等からなるドロスが生成する。
そのうちの、亜鉛よりも比重の小さいFe2 Al5 (比
重:約4.2)は、鋼板のめっき浴中への進入によって
引き起こされる浴の攪拌流および浮力によってめっき浴
の浴面近傍に浮かんでトップドロスとなり、亜鉛よりも
比重の大きいFeZn7 (比重:約7.3)はめっき槽
の底部に沈降し、堆積してボトムドロスとなる。これら
のドロスのうちの一部は、Fe−Al−Zn三元系等の
金属間化合物に変化する過程で粗大化し、再び浴中を浮
遊する。
っき浴内を通過する鋼板の表面に付着する。その結果、
製造された溶融亜鉛めっき鋼板の表面にドロスの付着に
起因する凸状の欠陥が発生し、製品の外観が著しく損な
われるという問題が発生する。
−47956号公報では、溶融金属めっき浴中に浸漬さ
れたシンクロールの下方に遮蔽板を配置してめっき槽の
底部に溜まったボトムドロスの巻き上げを抑制する方法
が提案されている。しかし、この方法では、ボトムドロ
スの巻き上げを抑制するのみで、浴中のドロスを低減す
ることはできず、遮蔽板の下に堆積したドロスを定期的
に除去する必要があるという問題が残っている。
き槽の内部にめっき部とめっき金属溶解部とを仕切る
(ただし、上方、下方は連通する)めっき金属整流構造
体を設けてボトムドロスの巻き上げを防止するととも
に、めっき金属溶解部とめっき部の間の浴面部に設置し
た堰によってトップドロス(Fe−Al系ドロス)の鋼
板への付着を防止できる連続溶融亜鉛めっき用めっき槽
が開示されている。しかしながら、このめっき槽を用い
ても、ボトムドロスの巻き上げを完全には防止すること
ができず、浴中のドロス量が増加する。
は、溶融金属浴内のインゴット溶解部を堰で囲み、その
内部の浴温を制御することにより浴温の低下を抑え、ド
ロスの生成を防止する方法が記載されている。しかしな
がら、この方法では、インゴット溶解部以外の鋼板近傍
部やスナウト内部でドロスが大量に生成するので、ドロ
スの付着に起因するめっき鋼板表面における欠陥の発生
を防止することはできない。
を解決するためになされたものであって、鋼板に溶融亜
鉛めっき処理を施すに際し、アルミニウムを含む溶融亜
鉛めっき浴中のドロスを減少させて、表面外観の優れた
溶融亜鉛めっき鋼板を製造し得る溶融亜鉛めっき浴中の
ドロスの低減方法、そのための装置および溶融亜鉛めっ
き方法を提供することを目的としている。
的を達成するために、ドロスに関する基礎的な物性につ
いて検討を重ね、以下の知見を得た。
のFeの溶出量に依存しており、ドロスそれ自体の発生
を抑制することは困難である。
粒の成長)は、浴温が低下し、かつめっき浴のAl濃度
が高い部分で起こり易く、主に、めっき金属の補給のた
めに投入するAl含有量の高い亜鉛インゴットの周辺部
で起こる。亜鉛インゴットの周辺部で生成するドロスは
主として、Fe−Al系ドロスとFe−Zn系ドロスで
ある。
ロスの生成および成長は、めっき金属の補給のために投
入する亜鉛インゴットの融点に依存し、亜鉛インゴット
の融点が高いと減少し、融点が低いと増大する。なお、
亜鉛インゴットの融点は、インゴット中のAl含有量が
6%のときに最も低く、Al含有量がそれより低くても
高くても上昇する。
Fe−Al系ドロスとFe−Zn系ドロスの成長は、イ
ンゴットの溶解が終了した後1時間程度まで続くが、そ
の後、Fe−Al−Zn三元系等の金属間化合物からな
るドロスに変化して急激に粗大化し、粒径が100μm
以上となる。この粒径100μm以上のドロスがめっき
浴中を通過する鋼板のめっき表面に付着すると、製品に
凸状の欠陥が発生し、その外観が著しく損なわれる。
系等の金属間化合物からなるドロスはめっき浴中を鋼板
が通過する際に生じる随伴流による浴の攪伴によりトッ
プドロスやボトムドロスから巻き込まれたものであり、
亜鉛インゴットの周辺部で生成したトップドロス、ボト
ムドロスを除去し、減少させることによってこの浴中の
ドロス量は低減する。
成長したドロスの除去手段として、亜鉛インゴット投入
部(亜鉛インゴットを投入し、溶解する部分)と浴部
(鋼板を浸漬してめっきを施す部分。なお、「浴」また
は「めっき浴」といえば、特に断らない限り、この浴部
と亜鉛インゴット投入部を含めためっき浴全体を指す)
との間に遮蔽板を設け、遮蔽板の内側(亜鉛インゴット
投入部側)の浴面近傍からFe−Al系のトップドロス
を除去し、めっき槽の底部からFe−Zn系のボトムド
ロス除去する方法を採用するのが好適である。
その要旨は、下記(1)の溶融亜鉛めっき浴中のドロス
の低減方法、および(2)の溶融亜鉛めっき方法にあ
る。
ニウムを含む溶融亜鉛めっき浴中に鋼板を連続的に導入
してその表面に溶融亜鉛めっき処理を施すに際し、下記
式を満たし、残部が亜鉛および不純物からなり、かつ
Al含有量が異なる複数の亜鉛インゴットを前記めっき
浴に投入して亜鉛およびアルミニウムをめっき浴に供給
するとともに、生成したドロスを除去することを特徴と
する溶融亜鉛めっき浴中のドロスの低減方法である。さ
らに、Al含有量が6%以下の亜鉛インゴットと、Al
含有量が6%を超える亜鉛インゴットを組み合わせて前
記めっき浴に投入することができる。
で囲み、亜鉛インゴット投入部の浴面近傍に浮上したド
ロスと前記遮蔽板で囲まれた部分の底部に堆積したドロ
スを除去する方法により行えば、効率よくドロスを低減
することができる。
ニウムを含む溶融亜鉛めっき浴中に鋼板を連続的に導入
してその表面に溶融亜鉛めっき処理を施すに際し、下記
式を満たし、残部が亜鉛および不純物からなり、かつ
Al含有量が異なる複数の亜鉛インゴットの投入部を遮
蔽板で囲み、亜鉛インゴット投入部の浴面近傍に浮上し
たドロスと前記遮蔽板で囲まれた部分の底部に堆積した
ドロスを除去することを特徴とする溶融亜鉛めっき方法
である。さらに、Al含有量が6%以下の亜鉛インゴッ
トと、Al含有量が6%を超える亜鉛インゴットを組み
合わせて前記めっき浴に投入することができる。
説明する。なお、めっき浴中および亜鉛インゴット中に
含まれるAlの「%」は「質量%」を意味する。
減方法では、めっき浴中のAl含有量を0.05〜0.
20%とする。Al含有量が0.20%を超えると、溶
融亜鉛めっき浴ではFe−Zn系ドロスはほとんど生成
しないので、めっき槽の底部におけるボトムドロスの堆
積は認められず、ドロスの付着に起因するめっき鋼板表
面における欠陥(以下、「ドロス欠陥」という)の発生
という問題は生じない。一方、Al含有量が0.05%
未満では、めっき時に形成される合金層の厚さが厚く、
めっき付着量の制御が困難になり、所定のめっき付着量
を有する製品の製造に支障をきたす。なお、溶融亜鉛め
っき浴には、上記の範囲のAlの他に、通常用いられて
いる浴に含まれている程度の不純物が存在してもよい。
囲は0.08%以上であり、これによってめっき付着量
の制御が容易に行える。また、めっき処理後、合金化す
る場合は、めっき浴中のAl含有量が高いと合金化が遅
延するので、0.15%以下とするのが好ましい。
減方法では、上記の溶融亜鉛めっき浴中に鋼板を連続的
に導入してその表面に溶融亜鉛めっき処理を施すに際
し、下記式を満たし、残部が亜鉛および不純物からな
る亜鉛インゴットを前記めっき浴に投入して亜鉛および
アルミニウムをめっき浴に供給するとともに、生成した
ドロスを除去する。
l含有量とするのは、亜鉛インゴット中のAl含有量が
めっき浴中のAl含有量より低ければ、めっき処理を連
続して行う間に、めっき浴中のAl含有量が低下し、上
述したように、めっき時におけるめっき付着量の制御が
困難になるからである。
限を15%とするのは、以下の理由による。
の生成および成長は浴温低下部で、かつAl含有量の高
い領域で起こり易く、主に、めっき金属補給用に投入す
るAl含有量の高い亜鉛インゴットの周辺部で起こる。
〜470℃に保たれているが、亜鉛インゴット中のAl
含有量が15%を超える場合には、インゴットの融点が
浴温より高くなり、インゴットの溶解速度が低下する。
そのため、めっき浴へのAlの供給速度が低減し、イン
ゴット周辺部でのドロスの生成量が著しく減少する。め
っき浴中におけるドロスの生成量は鋼板からのFeの溶
出量に依存しており、Feの溶出量は一定であるからめ
っき浴全体ではドロスの生成量も一定とみなされる。そ
のため、インゴット周辺部でのドロスの生成量が著しく
減少すると、インゴット周辺部以外の鋼板近傍部やスナ
ウト内部等でドロスが大量に生成し、ドロス欠陥が発生
し易く、製品の外観が著しく損なわれるという問題が発
生する。したがって、亜鉛インゴット中Al含有量の上
限は、15%とした。
有量は、めっき浴中Al含有量以上で15%以下とする
が、Al含有量がこの範囲内にあってもドロスは生成す
る。すなわち、亜鉛インゴット中のAl含有量が15%
以下では、インゴットの融点が浴温より低くなるためイ
ンゴットの溶解が促進され、浴温が低下する。浴温低下
に伴い、めっき浴中に溶出したFeとAlとが過飽和に
なり、Fe−Al系ドロス(Fe2 Al5 )とFe−Z
n系ドロス(FeZn7 )が生成し、成長する。亜鉛イ
ンゴット中のAl含有量が高いほど、Fe−Al系ドロ
ス(Fe2 Al5 )の発生比率が増大する。
で浮遊するが、亜鉛よりも比重の小さいFe−Al系ド
ロスは鋼板のめっき浴中への進入により引き起こされる
浴の攪拌によってめっき浴の浴面近傍に浮かんでトップ
ドロスとなり、一方、亜鉛よりも比重の大きいFe−Z
n系ドロスはめっき槽の底部に沈降し、堆積してボトム
ドロスとなる。これらFe−Al系ドロスとFe−Zn
系ドロスの成長は、亜鉛インゴットを浴中へ投入した後
1時間程度まで続き、粒径が20μm程度となる。
Al−Zn三元系等の金属間化合物からなるドロスに変
化して、粒径が100μm以上に粗大化する。その際、
ドロスの比重が浴の比重と近くなり、再び浴中を浮遊し
て、めっき浴内を通過する鋼板の表面に付着する。その
結果、製造された溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面にド
ロス欠陥が発生し、製品の外観が著しく損なわれる。
ロスの低減方法では、生成したFe−Al系ドロスおよ
びFe−Zn系ドロスをできるだけ早く除去する。すな
わち、Fe−Al系ドロスとFe−Zn系ドロスがFe
−Al−Zn三元系等の金属間化合物からなるドロスに
変化する前に、好ましくは、亜鉛インゴットを浴中へ投
入した後、2時間以内に除去する。これによって、浴中
で浮遊するドロスを効果的に低減し、ドロス欠陥の発生
を防止することができる。
ゴットを使用することによって、Fe−Al系ドロスと
Fe−Zn系ドロスの生成量を調整し、両者が混じり合
った浮上または沈降しにくいドロスの生成を抑えて、ト
ップドロスとボトムドロスを生成させることが可能であ
り、ドロスの除去を一層簡便かつコスト的に有利に行う
ことができる。例えば、前述したように、亜鉛インゴッ
トのAl含有量が6%のときにインゴットの融点が最も
低く、そのAl含有量を境にして、Al含有量が6%以
下ではトップドロスに比べてボトムドロスの堆積量が多
く、6%を超えるとボトムドロスに比べてトップドロス
の生成量が多くなる。したがって、Al含有量が6%以
下の亜鉛インゴットと6%を超えるインゴットを組み合
わせて使用するのが好ましい。
の溶融亜鉛めっき浴中のドロスの低減装置を用いるのが
好ましく、めっき浴中に生成したドロスを効率よく除去
することができる。
亜鉛インゴット投入部を囲む遮蔽板と、亜鉛インゴット
投入部の浴面近傍および前記遮蔽板で囲まれた部分の底
部のドロスを除去する手段を有している。なお、遮蔽板
で囲まれた部分の底部とは、めっき槽の底部、または、
例えば後述する図1(e)に示すように、下方部がめっ
き槽1の底部に平行方向に折り曲げられた縦断面がL字
形の遮蔽板8の底部(めっき槽1の底部に平行方向にあ
る部分)を意味する。
スの低減装置の構成例を示す概略縦断面図である。
めっき材である鋼板2は、スナウト4を通過して所定温
度の溶融亜鉛めっき浴10が満たされためっき槽1内に
導入され、めっき処理が施されるとともにシンクロール
3で反転されて槽1外へ搬出される。めっき槽1の亜鉛
インゴット5投入部(図示しためっき槽1の右側部分)
には、その部分を囲むステンレス鋼(SUS316L)
製の遮蔽板8がめっき槽1の底部から浴面下50mmの
高さまで垂直に設けられている。亜鉛インゴット投入部
の浴面近傍にはトップドロス6(Fe−Al系ドロス)
が生成し、めっき槽1の底部にはボトムドロス7(Fe
−Zn系ドロス)が堆積している。
記のSUS316L製遮蔽板8と、トップドロス6(F
e−Al系ドロス)を除去する手段(図示せず)と、ボ
トムドロス7(Fe−Zn系ドロス)を除去する手段
(図示せず)を有する装置である。
ス)6は、浴面がほとんど流動しないので、柄杓や金網
を用い、酸化亜鉛と一緒に浴外に除去することが可能で
ある。もちろん、除去用ロボットを使用してもよい。
ス)7の除去手段としては、溶融金属用のポンプを用い
ればよく、ボトムドロス7をめっき槽1の底部から除去
することが可能である。柄杓やバケットによる機械的な
除去手段を用いてもよく、ガスリフトポンプの利用も可
能である。
の下部がめっき槽1の底部に、また、両側はめっき槽1
の内壁に密接しており、浴部(鋼板にめっきを施す部
分)と亜鉛インゴット投入部とが完全に遮断されてい
る。したがって、ボトムドロス7を除去する際、ドロス
7を浴部へ逃がさずに効率的に浴外に除去することがで
きる。
では遮蔽板8が設けられていない。亜鉛インゴット投入
部でドロスを除去することとすれば、遮蔽板8の上方で
浴部と亜鉛インゴット投入部とが必ずしも完全に遮断さ
れている必要はないからで、浴部と亜鉛インゴット投入
部間のめっき液の流通(連絡)はこの部分で行われる。
なお、浴面と遮蔽板8の上端部との距離(d1 )は50
mm以上とするのが好ましい。
ドロスが底部に沈降し、Fe−Al系ドロスが浴面に浮
上することを利用して、遮蔽板を底部の近傍と浴面近傍
の二ヶ所に設け、その間の遮蔽板を設けていない部分で
浴部と亜鉛インゴット投入部とが連絡する構造としても
よい。この場合、浴の流動が極めて小さいという状況が
好ましいが、浴の流動が大きくても、ドロスが亜鉛イン
ゴット投入部から浴部内に流入しなければ、構造上は問
題はない。
な隔壁(例えば、図1(a)に示したSUS316L
や、SUS304、セラミックス等の遮蔽板)であれば
十分使用可能である。また、めっき金属(溶融亜鉛)の
浴部への供給を円滑に行うために、めっき金属は通過す
るが、ドロスは通過しないフィルター(例えば、セラミ
ックス製、SUS316L製のもの)を用いてもよい。
遮蔽板8が、浴面下50mmから、めっき槽1の底部上
方200mmまでの部分に設けられ、浴部と亜鉛インゴ
ット投入部とが浴面から下方へ50mmまでの部分と、
めっき槽1の底部からその上方200mmまでの部分と
で連絡している例である。めっき槽1の底部では浴の流
動がないので、遮蔽板8の下部がめっき槽1の底部に密
接して浴部と亜鉛インゴット投入部とが底部の近傍で必
ずしも完全に遮断されている必要はないからである。
の底部からその上方200mmまでの部分のみで浴部と
亜鉛インゴット投入部とが連絡している方式の、SUS
316L製の遮蔽板8が用いられた例である。
μm以上のドロスを捕捉するセラミックス製のフィルタ
ー9が用いられた例である。フィルター9はめっき槽1
の底部から浴面まで連続して設けられており、浴部と亜
鉛インゴットの投入部とはフィルターを介して連絡して
いる。
っき槽1の底部の上方で底部に平行方向に折り曲げられ
た、縦断面がL字形のSUS316L製の遮蔽板8が用
いられた例である。浴面から50mm下までの部分で浴
部と亜鉛インゴット投入部とが連絡している。ボトムド
ロスの除去が柄杓やバケットによる機械的な除去手段を
用いて簡便に行えるので、コスト的に有利である。
っき槽1の底部に平行方向に折り曲げられた、縦断面が
L字形で、かつ、図1(d)と同様のセラミックス製の
フィルター9が用いられた例である。浴部と亜鉛インゴ
ット投入部とはフィルターを介して連絡しており、ま
た、ボトムドロスの除去が簡便に行えるので、コスト的
に有利である。
っき槽1の底部に平行方向に折り曲げられた、縦断面が
L字形のSUS316L製の遮蔽板8が用いられた例で
ある。浴面下50mmから遮蔽板8の底部上方200m
mまでの間で浴部と亜鉛インゴット投入部とが連絡して
いる。
蔽板の液絡部(浴部と亜鉛インゴット投入部とが連絡し
ている部分)にセラミックス製のフィルター9が用いら
れた例である。
蔽板またはフィルターはいずれも両側がめっき槽の内壁
に密接した平板状をなすものであるが、必ずしもこのよ
うな形状に限定されず、例えば、亜鉛インゴットの投入
部を上方から見て「コ」の字形に囲む遮蔽板またはフィ
ルターであってもよい。
明の装置を用いて実施すれば、溶融亜鉛めっき浴中に生
成したドロスを効率よく除去することができ、これによ
って、めっき浴内を通過する鋼板の表面へのドロスの付
着に起因するドロス欠陥の発生を防止し、表面外観の優
れた溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができる。
述した本発明のドロスの低減方法を実施しつつ行うめっ
き方法である。
0.20%のアルミニウムを含む溶融亜鉛めっき浴中に
鋼板を連続的に導入してその表面に溶融亜鉛めっき処理
を施すに際し、前記式を満たし、残部が亜鉛および不
純物である亜鉛インゴットの投入部を遮蔽板で囲み、亜
鉛インゴット投入部の浴面近傍に浮上したドロスと前記
遮蔽板で囲まれた部分の底部に堆積したドロスを除去す
るので、先に詳述したように、アルミニウムを含む溶融
亜鉛めっき浴中のドロスを減少させることができ、表面
外観の優れた溶融亜鉛めっき鋼板を製造することが可能
となる。
ンレス鋼(SUS316L)製の遮蔽板8をめっき槽1
に取り付け、めっき槽1に0.13%のAlと不純物を
含むZnからなる200tのめっき浴10(浴温460
℃)を満たし、遮蔽板8に囲まれた部分(亜鉛インゴッ
ト投入部)に、0.4%のAlと不純物を含むZnから
なる直方体状の亜鉛インゴット1tを常温で投入した。
3mで、下端および両側はめっき槽1の底部および内壁
に密接させ、上端と浴面間の距離(d1 )は50mmと
した。遮蔽板8に相対するめっき槽1の内壁面までの距
離(図1(a)に示したw)は0.5mとした。
溶解した。投入直後から、亜鉛インゴット5の周辺部で
は多量のドロスが生成し、遮蔽板8に囲まれた部分のト
ップドロス6とボトムドロス7の量が次第に増加した。
投入直後から30分間隔で行った。トップドロス6は金
網で汲み上げ、ボトムドロス7は柄杓で汲み上げた。
6およびボトムドロス7)量の測定結果を示す図であ
る。亜鉛インゴットの投入後、溶解が終了するまでの約
1時間で、ドロス汲み出し量は一定、つまり飽和状態に
なることを確認した。
Al5 )およびボトムドロス(FeZn7 )のそれぞれ
の平均粒径の測定結果を示す図である。なお、トップド
ロスの平均粒径は、汲み上げたドロスを冷却し、上部を
機械研磨した後、光学顕微鏡の視野内で1cm2 当りに
存在するドロスの粒径を測定し、その平均値として求め
た。また、ボトムドロスの平均粒径は、汲み上げたドロ
スを冷却し、その底部について同様に求めた。図3に示
すように、亜鉛インゴットの投入後、溶解が終了するま
での約1時間で、Fe−Al系ドロスおよびFe−Zn
系ドロスの平均粒径はほぼ一定になる。さらに1時間
後、すなわち、インゴットを投入した後2時間経過後に
は、一部がFe−Al−Zn三元系等の金属間化合物か
らなるドロスに変化してドロスは急激に粗大化し、浮遊
することを確認した。
クロール3の直上で、かつ浴面下100mmの浴中から
めっき浴サンプルを柄杓で汲み上げ、そのサンプルの底
部を冷却した後機械研磨し、光学顕微鏡で観察した。
ロス(FeZn7 、Fe2 Al5 およびFe−Al−Z
n)の数を測定した結果を1cm2 当たりに換算して示
す。同表には、比較のために遮蔽板を取り付けずに上記
と同様の試験を行い、同様にめっき浴サンプルを採取
し、測定した粒径10μm以上のドロス数の測定結果も
示した。
視観察により調査し、ドロス欠陥の発生割合が0.05
個/m2 未満の場合は「良好」、0.05個/m2 以上
の場合は「不良」と評価した。
スを除去することによって、めっき浴中のドロス量(1
cm2 当たりの粒径10μm以上のドロス数で表した浴
中のドロス量)が低減することが確認できた。なお、
「評価」の欄の◎印は、前記の1cm2 当たりの粒径1
0μm以上のドロス数で表した浴中のドロス量が20個
/cm2 以下であることを表し、このときは、ドロス欠
陥の発生割合が0.03個/m2 未満で、表面性状が良
好なめっき鋼板が得られた。×印は、浴中のドロス量が
31個/cm2 以上であることを表し、このときは、ド
ロス欠陥の発生割合が0.05個/m2 以上となり、め
っき鋼板の表面性状は不良であった。
(a)に示したステンレス鋼(SUS316L)製の遮
蔽板8を実施例1の場合と同様に取り付け、めっき浴中
のAl含有量と亜鉛インゴット中のAl含有量を変化さ
せて、実施例1の場合と同様の試験を実施した。なお、
一部については、1tの亜鉛インゴットを投入する際
に、Al含有量が異なる10kgの亜鉛インゴットを同
時に投入する試験も行った。
よび表3に示す。なお、これらの表において、「亜鉛イ
ンゴット」の欄の「Al含有量」欄および「投入量」欄
に示した括弧〔 〕内の値は、それぞれ、上記1tの亜
鉛インゴットと同時に投入した10kg(0.01t)
の亜鉛インゴット中のAl含有量およびその亜鉛インゴ
ットの投入量である。「評価」の欄の◎印および×印は
実施例1の場合と同じで、◎印は浴中のドロス量が20
個/cm2 以下であることを表し(このときは、ドロス
欠陥の発生割合が0.03個/m2 未満で、めっき鋼板
の表面性状は良好)、×印は、浴中のドロス量が31個
/cm2 以上であることを表す(ドロス欠陥の発生割合
が0.05個/m2 以上で、めっき鋼板の表面性状は不
良)。また、○印は、浴中のドロス量が21〜30個/
cm2 であることを表し、このときは、ドロス欠陥の発
生割合は0.03個/m2 以上0.05個/m2 未満で
あったが、表面性状に問題ないめっき鋼板が得られた。
ゴット中のAl含有量が溶融亜鉛めっき浴のAl含有量
より高く、かつ、15%以下である場合に、めっき浴中
のドロス量(1cm2 当たりの粒径10μm以上のドロ
ス数で表した浴中のドロス量)が低減した。また、10
kg(0.01t)の亜鉛インゴットを同時に投入する
ことによって、めっき浴中のドロス量はさらに低減し
た。
(b)〜(h)に示した遮蔽板8またはフィルター9を
それぞれ別個に取り付け、実施例1の場合と同様の試験
を実施した。
いずれも、横3mで、両側はめっき槽1の内壁に密接さ
せ、遮蔽板8またはフィルター9に相対するめっき槽1
の内壁面までの距離(図1(a)に示したwに相当する
距離)は0.5mとした。なお、図1(b)に示した遮
蔽板8の縦(高さ)は、1.8mで、d2 およびd3は
それぞれ50mmおよび200mmとした。また、図1
(c)に示した遮蔽板8の縦(高さ)は、2m、d4 は
200mmとし、図1(d)に示したフィルター9の縦
(高さ)は、2.2m、図1(e)に示した遮蔽板8で
は、d5 は50mm、d6 は1.5mとした。図1
(f)に示した遮蔽板8では、d7 は1.5mとし、図
1(g)に示した遮蔽板8では、d8 は50mm、d9
は100mm、d10は1.5mとした。また、図1
(h)に示した遮蔽板8は、前記(g)に示した遮蔽板
とおなじであるが(d11=1.5m)、d9 の部分にフ
ィルター9を取り付けたものである。
示す。なお、「評価」の欄の◎印および×印の意味は、
実施例1の場合と同じである。この結果から明らかなよ
うに、いずれの遮蔽板8またはフィルター9を取り付け
た場合でも、亜鉛インゴット投入後、ドロスを除去する
ことによってドロス量が低減することを確認した。特
に、図1(d)〜(h)に示した遮蔽板8またはフィル
ター9を用いた場合、良好な結果が得られた。
融亜鉛めっき浴中に生成したドロスを効率よく除去する
ことができ、この方法を実施する本発明の溶融亜鉛めっ
き方法により表面外観の優れた溶融亜鉛めっき鋼板を製
造することができる。これらの方法は、本発明の装置に
より容易に実施することができる。
図である。
時間と汲み上げたドロスの質量との関係を示す図であ
る。
時間と汲み上げたトップドロス(Fe2 Al5 )および
ボトムドロス(FeZn7 )の平均粒径との関係を示す
図である。
Claims (7)
- 【請求項1】0.05〜0.20質量%のアルミニウム
を含む溶融亜鉛めっき浴中に鋼板を連続的に導入してそ
の表面に溶融亜鉛めっき処理を施すに際し、下記式を
満たし、残部が亜鉛および不純物からなり、かつアルミ
ニウム(Al)含有量が異なる複数の亜鉛インゴットを
前記めっき浴に投入して亜鉛およびアルミニウムをめっ
き浴に供給するとともに、生成したドロスを除去するこ
とを特徴とする溶融亜鉛めっき浴中のドロスの低減方
法。 めっき浴中Al含有量(質量%)≦亜鉛インゴット中A
l含有量(質量%)≦15(質量%) ・・ - 【請求項2】0.05〜0.20質量%のアルミニウム
を含む溶融亜鉛めっき浴中に鋼板を連続的に導入してそ
の表面に溶融亜鉛めっき処理を施すに際し、下記式を
満たし、残部が亜鉛および不純物からなり、かつアルミ
ニウム(Al)含有量が6%以下の亜鉛インゴットと、
下記式を満たし、残部が亜鉛および不純物からなり、
かつアルミニウム(Al)含有量が6%を超える亜鉛イ
ンゴットを組み合わせて前記めっき浴に投入して亜鉛お
よびアルミニウムをめっき浴に供給するとともに、生成
したドロスを除去することを特徴とする溶融亜鉛めっき
浴中のドロスの低減方法。 めっき浴中Al含有量(質量%)≦亜鉛インゴット中A
l含有量(質量%)≦15(質量%) ・・ - 【請求項3】前記亜鉛インゴットの投入部を遮蔽板で囲
み、亜鉛インゴット投入部の浴面近傍に浮上したドロス
と前記遮蔽板で囲まれた部分の底部に堆積したドロスを
除去することを特徴とする請求項1または2に記載の溶
融亜鉛めっき浴中のドロスの低減方法。 - 【請求項4】上記遮蔽板がめっき金属を通過させるがド
ロスを通過させないフィルターで構成されていることを
特徴とする請求項3に記載の溶融亜鉛めっき浴中のドロ
スの低減方法。 - 【請求項5】0.05〜0.20質量%のアルミニウム
を含む溶融亜鉛めっき浴中に鋼板を連続的に導入してそ
の表面に溶融亜鉛めっき処理を施すに際し、下記式を
満たし、残部が亜鉛および不純物からなり、かつアルミ
ニウム(Al)含有量が異なる複数の亜鉛インゴットの
投入部を遮蔽板で囲み、亜鉛インゴット投入部の浴面近
傍に浮上したドロスと前記遮蔽板で囲まれた部分の底部
に堆積したドロスを除去することを特徴とする溶融亜鉛
めっき方法。 めっき浴中Al含有量(質量%)≦亜鉛インゴット中A
l含有量(質量%)≦15(質量%) ・・ - 【請求項6】0.05〜0.20質量%のアルミニウム
を含む溶融亜鉛めっき浴中に鋼板を連続的に導入してそ
の表面に溶融亜鉛めっき処理を施すに際し、下記式を
満たし、残部が亜鉛および不純物からなり、かつアルミ
ニウム(Al)含有量が6%以下の亜鉛インゴットと、
下記式を満たし、残部が亜鉛および不純物からなり、
かつアルミニウム(Al)含有量が6%を超える亜鉛イ
ンゴットを組み合わせて投入する投入部を遮蔽板で囲
み、亜鉛インゴット投入部の浴面近傍に浮上したドロス
と前記遮蔽板で囲まれた部分の底部に堆積したドロスを
除去することを特徴とする溶融亜鉛めっき方法。 めっき浴中Al含有量(質量%)≦亜鉛インゴット中A
l含有量(質量%)≦15(質量%) ・・ - 【請求項7】上記遮蔽板がめっき金属を通過させるがド
ロスを通過させないフィルターで構成されていることを
特徴とする請求項5または6に記載の溶融亜鉛めっき方
法。
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JP2001164349A JP2001164349A (ja) | 2001-06-19 |
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