JP2904006B2 - ドロス除去装置および方法 - Google Patents
ドロス除去装置および方法Info
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- JP2904006B2 JP2904006B2 JP12192494A JP12192494A JP2904006B2 JP 2904006 B2 JP2904006 B2 JP 2904006B2 JP 12192494 A JP12192494 A JP 12192494A JP 12192494 A JP12192494 A JP 12192494A JP 2904006 B2 JP2904006 B2 JP 2904006B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融めっきにおいてめ
っき浴中に生じるボトムドロスを浴中から除去するボト
ム除去装置および方法に関し、溶融めっきの中でも特
に、溶融Al−Zn合金めっきまたは溶融Alめっきに
有効なドロス除去装置および方法に関する。
っき浴中に生じるボトムドロスを浴中から除去するボト
ム除去装置および方法に関し、溶融めっきの中でも特
に、溶融Al−Zn合金めっきまたは溶融Alめっきに
有効なドロス除去装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融Al−Zn合金めっき鋼板は、Al
を3.5〜75wt%含み、残りがZnと、さらに必要に
応じて微量添加されたSi,Mg,ミッシュメタル(C
e,La,Nd,Sm)などの第三成分とからなる合金
によってめっきされた鋼板である。
を3.5〜75wt%含み、残りがZnと、さらに必要に
応じて微量添加されたSi,Mg,ミッシュメタル(C
e,La,Nd,Sm)などの第三成分とからなる合金
によってめっきされた鋼板である。
【0003】現在製品化されているものは、Alを3.5
〜5.5wt%含み、残りがZnと、微量のミッシュメタ
ル(Ce,La,Nd,Sm)、またはミッシュメタル
およびMgとからなる合金をめっきした低Al−Zn合
金めっき鋼板と、Alを55wt%、Znを43.4wt
%、Siを1.6wt%それぞれ含む合金をめっきした高
Al−Zn合金めっき鋼板の二種類である。
〜5.5wt%含み、残りがZnと、微量のミッシュメタ
ル(Ce,La,Nd,Sm)、またはミッシュメタル
およびMgとからなる合金をめっきした低Al−Zn合
金めっき鋼板と、Alを55wt%、Znを43.4wt
%、Siを1.6wt%それぞれ含む合金をめっきした高
Al−Zn合金めっき鋼板の二種類である。
【0004】一般に使用されている溶融Znめっき鋼板
に比べて、低Al−Zn合金めっき鋼板は、同じ厚みの
めっき層で比較して、塩害地、重工業地帯での耐食性が
1.5〜2倍と良好なため、高級プレコート鋼板として屋
根材、壁材、プレハブ住宅の骨材、自動車部品等に使用
されている。また、高Al−Zn合金めっき鋼板は、溶
融Znめっき鋼板に比べて3〜6倍の優れた耐食性能を
有している上、銀白色の美麗な外観を持つため、溶融Z
nめっきプレコート鋼板の代替として、自動車足廻り部
材、乾燥機等の家電用品としての用途もあり、今後需要
の急増が見込まれている。
に比べて、低Al−Zn合金めっき鋼板は、同じ厚みの
めっき層で比較して、塩害地、重工業地帯での耐食性が
1.5〜2倍と良好なため、高級プレコート鋼板として屋
根材、壁材、プレハブ住宅の骨材、自動車部品等に使用
されている。また、高Al−Zn合金めっき鋼板は、溶
融Znめっき鋼板に比べて3〜6倍の優れた耐食性能を
有している上、銀白色の美麗な外観を持つため、溶融Z
nめっきプレコート鋼板の代替として、自動車足廻り部
材、乾燥機等の家電用品としての用途もあり、今後需要
の急増が見込まれている。
【0005】一方、その製造においては、低Al−Zn
合金めっきの場合は、通常の溶融Znめっきに比べてめ
っき浴の融点が低いため、低温でめっき作業が可能であ
る反面、めっき浴と鋼板とのぬれ付着張力が小さいた
め、点状不めっきがでやすい性質がある。この点状不め
っきを防止するために微量のミッシュメタルがめっき浴
に添加されるが、十分な不めっき防止効果を得るために
は、溶解度に対し過剰に添加せざるを得ない。その結
果、過剰添加分は経時的にZn−ミッシュメタル金属間
化合物として粒成長してボトムドロスを形成し、これが
鋼帯に付着すると、凸状欠陥となり、高級プレコート鋼
板としての商品価値を消失させることになる。
合金めっきの場合は、通常の溶融Znめっきに比べてめ
っき浴の融点が低いため、低温でめっき作業が可能であ
る反面、めっき浴と鋼板とのぬれ付着張力が小さいた
め、点状不めっきがでやすい性質がある。この点状不め
っきを防止するために微量のミッシュメタルがめっき浴
に添加されるが、十分な不めっき防止効果を得るために
は、溶解度に対し過剰に添加せざるを得ない。その結
果、過剰添加分は経時的にZn−ミッシュメタル金属間
化合物として粒成長してボトムドロスを形成し、これが
鋼帯に付着すると、凸状欠陥となり、高級プレコート鋼
板としての商品価値を消失させることになる。
【0006】また、高Al−Zn合金めっきの場合は、
通常の溶融Znめっきに比べてボトムドロスの発生量が
多く、しかも経時的にドロスが造塊するため、除去不能
となり、時にはめっき作業が不可能になる場合があると
いう問題点がある。
通常の溶融Znめっきに比べてボトムドロスの発生量が
多く、しかも経時的にドロスが造塊するため、除去不能
となり、時にはめっき作業が不可能になる場合があると
いう問題点がある。
【0007】従来、溶融めっき浴中のボトムドロスを除
去する方法として、最も一般的な方法は、めっき浴中A
l濃度を上昇させてFe−ZnボトムドロスをFe−A
lに変化させ、トップドロス化させる方法である。この
他、箱型装置をめっき浴槽底部に設置し、金属露出面に
ボトムドロスを付着凝着させる方法(特開平4−337
056号)、ドロス回収用ポットにめっき浴を移送し、
溶解度差を利用してボトムドロスを凝集沈澱させる方法
(特開平4−221050号)などがある。
去する方法として、最も一般的な方法は、めっき浴中A
l濃度を上昇させてFe−ZnボトムドロスをFe−A
lに変化させ、トップドロス化させる方法である。この
他、箱型装置をめっき浴槽底部に設置し、金属露出面に
ボトムドロスを付着凝着させる方法(特開平4−337
056号)、ドロス回収用ポットにめっき浴を移送し、
溶解度差を利用してボトムドロスを凝集沈澱させる方法
(特開平4−221050号)などがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来のボトムドロス除
去方法のうち、浴中Al濃度を上昇させる方法について
は、溶融Znめっき浴で発生するボトムドロスと、低A
l−Zn合金めっき浴または高Al−Zn合金めっき浴
で発生するボトムドロスとでは生成する金属間化合物が
全く異なるため、溶融Al−Zn合金めっきに対しては
効果がない。
去方法のうち、浴中Al濃度を上昇させる方法について
は、溶融Znめっき浴で発生するボトムドロスと、低A
l−Zn合金めっき浴または高Al−Zn合金めっき浴
で発生するボトムドロスとでは生成する金属間化合物が
全く異なるため、溶融Al−Zn合金めっきに対しては
効果がない。
【0009】箱型装置を用いる方法は、低Al−Zn合
金めっき浴に関しては、ボトムドロスの一部が浮遊する
ため十分な効果が得られにくい上、ボトムドロスがポッ
トの底のコーナー部に堆積しやすいため、複数の設置が
必要となる。また、高Al−Zn合金めっき浴に関して
は、めっき浴温が600℃と高いため、長期間浸漬に耐
え得る材料がなく、しかも、ボトムドロスがポットの底
のコーナー部で大量発生し、容易に造塊するため、箱型
装置をコーナー部に据え付けても、その引き上げが困難
になる。
金めっき浴に関しては、ボトムドロスの一部が浮遊する
ため十分な効果が得られにくい上、ボトムドロスがポッ
トの底のコーナー部に堆積しやすいため、複数の設置が
必要となる。また、高Al−Zn合金めっき浴に関して
は、めっき浴温が600℃と高いため、長期間浸漬に耐
え得る材料がなく、しかも、ボトムドロスがポットの底
のコーナー部で大量発生し、容易に造塊するため、箱型
装置をコーナー部に据え付けても、その引き上げが困難
になる。
【0010】ドロス回収ポットを用いる方法について
は、回収用ポットの設置が必要であること、回収ポット
に堆積したドロスの除去が困難であること、更に、高A
l−Zn合金めっきに関しては、ボトムドロスがめっき
用ポットの底部で造塊することが問題になる。
は、回収用ポットの設置が必要であること、回収ポット
に堆積したドロスの除去が困難であること、更に、高A
l−Zn合金めっきに関しては、ボトムドロスがめっき
用ポットの底部で造塊することが問題になる。
【0011】特に、高Al−Zn合金めっき浴のボトム
ドロスについての問題は深刻であり、発生したボトムド
ロスを放置しておくと容易に造塊し、除去不能となるた
め、製造終了後、毎回、めっき浴が入ったまま、スコッ
プまたはバケットを用いて機械的にボトムドロス除去を
行っているのが現状である。
ドロスについての問題は深刻であり、発生したボトムド
ロスを放置しておくと容易に造塊し、除去不能となるた
め、製造終了後、毎回、めっき浴が入ったまま、スコッ
プまたはバケットを用いて機械的にボトムドロス除去を
行っているのが現状である。
【0012】溶融Znめっきとの浴替えを行うと、ボト
ムドロスがトップドロス化し、除去が可能になることが
知られているが、浴替え用の別のポットが必要な上、浴
替え時に高Al−Zn合金めっき浴が残存することによ
り、溶融Znめっき浴のAl濃度管理(通常0.2wt
%)が困難になり、更に、高Al−Zn合金めっきの場
合は、通常1〜3wt%のSiを添加するため、Si混
入により溶融Znめっき鋼板の品質が悪影響を受けると
いう問題もある。
ムドロスがトップドロス化し、除去が可能になることが
知られているが、浴替え用の別のポットが必要な上、浴
替え時に高Al−Zn合金めっき浴が残存することによ
り、溶融Znめっき浴のAl濃度管理(通常0.2wt
%)が困難になり、更に、高Al−Zn合金めっきの場
合は、通常1〜3wt%のSiを添加するため、Si混
入により溶融Znめっき鋼板の品質が悪影響を受けると
いう問題もある。
【0013】このように、高Al−Zn合金めっき鋼板
製造時に発生するボトムドロスに関しては、有効なドロ
ス除去方法が存在しないのが実情である。
製造時に発生するボトムドロスに関しては、有効なドロ
ス除去方法が存在しないのが実情である。
【0014】本発明の目的は、高Al−Zn合金めっき
鋼板製造時に発生するボトムドロスを容易かつ効率的に
除去でき、合わせて低Al−Zn合金めっき鋼板製造時
および溶融Alめっき鋼板製造時に生じるボトムドロス
に関しても、これを容易かつ効率的に除去できるボトム
ドロス除去装置および方法を提供することにある。
鋼板製造時に発生するボトムドロスを容易かつ効率的に
除去でき、合わせて低Al−Zn合金めっき鋼板製造時
および溶融Alめっき鋼板製造時に生じるボトムドロス
に関しても、これを容易かつ効率的に除去できるボトム
ドロス除去装置および方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】高Al−Zn合金めっき
鋼板製造時に発生するボトムドロスをスコップやバケッ
トによる機械的除去を行うことなしに、また、めっき用
ポット以外のポットを用いることなく製造終了後、比較
的短時間で物理的または化学的に除去する方法を開発す
るため、本発明者らは、まず、高Al−Zn合金めっき
鋼板製造時のドロス発生挙動に関して、実用化されてい
るZn−55%Al−1.6%Siめっきに対して基礎調
査を行った。
鋼板製造時に発生するボトムドロスをスコップやバケッ
トによる機械的除去を行うことなしに、また、めっき用
ポット以外のポットを用いることなく製造終了後、比較
的短時間で物理的または化学的に除去する方法を開発す
るため、本発明者らは、まず、高Al−Zn合金めっき
鋼板製造時のドロス発生挙動に関して、実用化されてい
るZn−55%Al−1.6%Siめっきに対して基礎調
査を行った。
【0016】その結果、ボトムドロスはZn−Al−F
e−Siの4元系金属間化合物であり、その発生は鋼帯
の成分であるFeのめっき浴中への溶解により決まるこ
とが判った。
e−Siの4元系金属間化合物であり、その発生は鋼帯
の成分であるFeのめっき浴中への溶解により決まるこ
とが判った。
【0017】また、ボトムドロス発生要因として、め
っき浴温低下部でのドロス発生、鋼帯めっき時のめっ
き−鉄素地界面合金層の欠落があり、特に、の場合ド
ロスが容易に造塊し、大きなものでは粒径が100mm
程度にまで到達することが判明した。
っき浴温低下部でのドロス発生、鋼帯めっき時のめっ
き−鉄素地界面合金層の欠落があり、特に、の場合ド
ロスが容易に造塊し、大きなものでは粒径が100mm
程度にまで到達することが判明した。
【0018】すなわち、めっき浴中では、鋼帯を連続的
にめっきする過程において、めっき浴中のFe量は絶え
ず飽和溶解度であるが、めっきボット内に浴温低下部が
存在すると、浴温低下部でドロスが発生し、鋼帯からは
絶えず飽和量に到達するだけのFeが溶出しており、浴
温低下部で析出したドロスは成長を続けることになるの
である。
にめっきする過程において、めっき浴中のFe量は絶え
ず飽和溶解度であるが、めっきボット内に浴温低下部が
存在すると、浴温低下部でドロスが発生し、鋼帯からは
絶えず飽和量に到達するだけのFeが溶出しており、浴
温低下部で析出したドロスは成長を続けることになるの
である。
【0019】本発明者らは、このようなめっき浴温低下
部で析出するドロスの成長を定量化するため、高Al−
Zn合金めっき浴中での浴温とFe溶解度の関係を調査
したところ、図1の如く、従来の溶融亜鉛めっき浴の約
十倍と非常に大きいことを見出した。
部で析出するドロスの成長を定量化するため、高Al−
Zn合金めっき浴中での浴温とFe溶解度の関係を調査
したところ、図1の如く、従来の溶融亜鉛めっき浴の約
十倍と非常に大きいことを見出した。
【0020】そして、めっき浴温低下部での発生ドロス
は容易に造塊すること、および高Al−Zn合金めっき
浴が流体の領域である580℃(Zn−55%Al−1.
6%Siの場合、固−液共存温度域は371〜570
℃)でのFe溶解度と、650℃での溶解度との差が0.
5wt%と大きいことを最大限利用することにより、従
来はその除去が困難であった高Al−Zn合金めっき製
造時に発生するボトムドロスを容易に効率よく除去でき
ることを見出した。また、その技術は低Al−Zn合金
めっき鋼板製造時に発生するZn−ミッシュメタル系の
ボトムドロスの除去や、溶融Alめっき鋼板製造時に発
生するFe−Si系のボトムドロスの除去に対しても有
効であることが判った。
は容易に造塊すること、および高Al−Zn合金めっき
浴が流体の領域である580℃(Zn−55%Al−1.
6%Siの場合、固−液共存温度域は371〜570
℃)でのFe溶解度と、650℃での溶解度との差が0.
5wt%と大きいことを最大限利用することにより、従
来はその除去が困難であった高Al−Zn合金めっき製
造時に発生するボトムドロスを容易に効率よく除去でき
ることを見出した。また、その技術は低Al−Zn合金
めっき鋼板製造時に発生するZn−ミッシュメタル系の
ボトムドロスの除去や、溶融Alめっき鋼板製造時に発
生するFe−Si系のボトムドロスの除去に対しても有
効であることが判った。
【0021】本発明は上記知見に基づきなされたもの
で、溶融めっき浴中に溶解させたボトムドロスを装置表
面に析出させて浴中から除去するドロス除去装置であっ
て、系外から搬入されて前記めっき浴に浸漬され、内部
を流通する冷却媒体により強制冷却されると共に、前記
めっき浴から引き上げて系外へ搬出することができる可
搬式の冷却体により構成されており、且つ、当該冷却体
が、浴体積をA(cm 3 )とし浸漬部表面積をB(cm
2 )として、A/B≦300cmの表面積をもつドロス
除去装置を要旨とする。
で、溶融めっき浴中に溶解させたボトムドロスを装置表
面に析出させて浴中から除去するドロス除去装置であっ
て、系外から搬入されて前記めっき浴に浸漬され、内部
を流通する冷却媒体により強制冷却されると共に、前記
めっき浴から引き上げて系外へ搬出することができる可
搬式の冷却体により構成されており、且つ、当該冷却体
が、浴体積をA(cm 3 )とし浸漬部表面積をB(cm
2 )として、A/B≦300cmの表面積をもつドロス
除去装置を要旨とする。
【0022】また、溶融めっき浴の下部に堆積したボト
ムドロスを溶解できる温度まで浴温を上昇させた状態
で、前記冷却体をめっき浴に浸漬して浴中に溶解するボ
トムドロスを前記冷却体の表面に析出させ、しかる後
に、前記冷却体をめっき浴から引き上げて系外へ搬出す
ることを特徴とするドロス除去方法を要旨とする。
ムドロスを溶解できる温度まで浴温を上昇させた状態
で、前記冷却体をめっき浴に浸漬して浴中に溶解するボ
トムドロスを前記冷却体の表面に析出させ、しかる後
に、前記冷却体をめっき浴から引き上げて系外へ搬出す
ることを特徴とするドロス除去方法を要旨とする。
【0023】本発明は、Alを40wt%以上含む高A
l−Zn合金めっき浴において生じるボトムドロスの除
去に有効である。Alが40wt%未満ではボトムドロ
スの発生量が少なく、ドロス除去の必要性が小さい。
l−Zn合金めっき浴において生じるボトムドロスの除
去に有効である。Alが40wt%未満ではボトムドロ
スの発生量が少なく、ドロス除去の必要性が小さい。
【0024】従来、実用化されている55%近傍Al
(Alが52wt%以上58wt%以下、Znが40w
t%以上47wt%以下)の高Al−Zn合金めっき鋼
板の製造では、めっき−地鉄界面の合金層の生成を抑制
し、加工性を確保するため、めっき浴中にSiが添加さ
れている。Si添加量が1.2wt%未満ではめっき−地
鉄界面の合金層抑制に対して不十分であり、Si添加量
が3.0wt%を超えるとめっき皮膜組織中に多量のSi
金属が析出するため、十分な耐食性が得られない。スパ
ングルサイズの点からも、一般的には、Si添加量は1.
6%程度が最適のようである。
(Alが52wt%以上58wt%以下、Znが40w
t%以上47wt%以下)の高Al−Zn合金めっき鋼
板の製造では、めっき−地鉄界面の合金層の生成を抑制
し、加工性を確保するため、めっき浴中にSiが添加さ
れている。Si添加量が1.2wt%未満ではめっき−地
鉄界面の合金層抑制に対して不十分であり、Si添加量
が3.0wt%を超えるとめっき皮膜組織中に多量のSi
金属が析出するため、十分な耐食性が得られない。スパ
ングルサイズの点からも、一般的には、Si添加量は1.
6%程度が最適のようである。
【0025】本系では、Siの添加により多量のボトム
ドロスが生じる。また、めっき浴温が600℃と高いた
め、浴中ロールには一般的にSUS316L等のステン
レスロールが使用されているが、SUS316Lの溶損
によるボトムドロスも生じる。
ドロスが生じる。また、めっき浴温が600℃と高いた
め、浴中ロールには一般的にSUS316L等のステン
レスロールが使用されているが、SUS316Lの溶損
によるボトムドロスも生じる。
【0026】本発明は、特に本系、すなわちAlを52
wt%以上58wt%以下、Znを40wt%以上47
wt%以下、Siを1.2wt%以上3.0wt%以下、F
e,Cr,Ni,Moのうちの一種または二種以上を含
む高Al−Zn合金めっき浴において発生するボトムド
ロスの除去に有効である。Fe,Cr,Ni,Moとい
った成分は、鋼帯や浴中機器に用いられるステンレス鋼
から溶出するものである。
wt%以上58wt%以下、Znを40wt%以上47
wt%以下、Siを1.2wt%以上3.0wt%以下、F
e,Cr,Ni,Moのうちの一種または二種以上を含
む高Al−Zn合金めっき浴において発生するボトムド
ロスの除去に有効である。Fe,Cr,Ni,Moとい
った成分は、鋼帯や浴中機器に用いられるステンレス鋼
から溶出するものである。
【0027】本発明は又、溶融Alめっき鋼板製造時に
発生するFe−Al−Si系のボトムドロスの除去に有
効である。
発生するFe−Al−Si系のボトムドロスの除去に有
効である。
【0028】溶融Alめっき鋼板の製造では、めっき浴
温が670℃前後と高温であるため、高Al−Zn合金
めっき鋼板の場合と同様に、鋼板−めっき界面での合金
層成長を抑制するため約10%前後のSiがめっき浴に
添加されており、Fe−Al−Si系のボトムドロスを
発生する。本発明はこのドロス除去にも有効である。
温が670℃前後と高温であるため、高Al−Zn合金
めっき鋼板の場合と同様に、鋼板−めっき界面での合金
層成長を抑制するため約10%前後のSiがめっき浴に
添加されており、Fe−Al−Si系のボトムドロスを
発生する。本発明はこのドロス除去にも有効である。
【0029】本発明は又、低Al−Zn合金めっき鋼板
製造時に発生するZn−ミッシュメタル系のボトムドロ
スの除去に有効である。
製造時に発生するZn−ミッシュメタル系のボトムドロ
スの除去に有効である。
【0030】低Al−Zn合金めっき鋼板の製造に際し
ては、点状不めっき防止を目的としてミッシュメタルが
めっき浴に添加される。このミッシュメタルは、Zn−
Al地金中には粒径が20ミクロン以下のZn−Alミ
ッシュメタル金属間化合物として存在するが、めっき浴
に添加されると、過飽和分はボトムドロスとして沈降
し、経時的にZn−ミッシュメタル金属化合物として成
長する。ここで、ミッシュメタルのめっき浴中への溶解
度は浴温が500℃を超えると急激に増大する(図
3)。そのため、浴温によるミッシュメタルの溶解度差
を利用することにより、Zn−ミッシュメタル系のボト
ムドロスの除去が可能となる。
ては、点状不めっき防止を目的としてミッシュメタルが
めっき浴に添加される。このミッシュメタルは、Zn−
Al地金中には粒径が20ミクロン以下のZn−Alミ
ッシュメタル金属間化合物として存在するが、めっき浴
に添加されると、過飽和分はボトムドロスとして沈降
し、経時的にZn−ミッシュメタル金属化合物として成
長する。ここで、ミッシュメタルのめっき浴中への溶解
度は浴温が500℃を超えると急激に増大する(図
3)。そのため、浴温によるミッシュメタルの溶解度差
を利用することにより、Zn−ミッシュメタル系のボト
ムドロスの除去が可能となる。
【0031】また、低Al−Zn合金めっき浴には、塩
害地での耐食性向上およびめっき時に発生するスパング
粒界の軽減を目的としてMgが0.03wt%以上0.20
wt%以下添加される場合があるが、そのような低Al
−Zn合金めっき浴に発生するZn−ミッシュメタル系
のボトムドロスの除去に対しても本発明は効果がある。
Mgが0.03wt%未満では耐食性、スパングル粒界凹
み軽減の効果が小さく、また、Mgが0.20wt%超え
では、めっき皮膜の延性が低下するため、薄板の連続め
っきとしては好ましくない。
害地での耐食性向上およびめっき時に発生するスパング
粒界の軽減を目的としてMgが0.03wt%以上0.20
wt%以下添加される場合があるが、そのような低Al
−Zn合金めっき浴に発生するZn−ミッシュメタル系
のボトムドロスの除去に対しても本発明は効果がある。
Mgが0.03wt%未満では耐食性、スパングル粒界凹
み軽減の効果が小さく、また、Mgが0.20wt%超え
では、めっき皮膜の延性が低下するため、薄板の連続め
っきとしては好ましくない。
【0032】すなわち、本発明は、Al3.5wt%以上
5.5wt%以下およびミッシュメタル(La,Ce,N
d,Sn等)を含む低Al−Zn合金めっき浴、または
Al3.5wt%以上5.5wt%以下、Mg0.03wt%
以上0.2wt%以下およびミッシュメタル(La,C
e,Nd,Sn等)を含む低Al−Zn合金めっき浴に
おいて発生するZn−ミッシュメタル系のボトムドロス
の除去に有効である。
5.5wt%以下およびミッシュメタル(La,Ce,N
d,Sn等)を含む低Al−Zn合金めっき浴、または
Al3.5wt%以上5.5wt%以下、Mg0.03wt%
以上0.2wt%以下およびミッシュメタル(La,C
e,Nd,Sn等)を含む低Al−Zn合金めっき浴に
おいて発生するZn−ミッシュメタル系のボトムドロス
の除去に有効である。
【0033】
【作用】本発明の骨子は、めっき浴温を上げてボトムド
ロスを溶解した状態で、冷却体の表面をめっき浴中の浴
温最低下部とすることで、その表面にドロスを析出、造
塊させることである。冷却体の表面にドロスが析出、造
塊すると、その冷却体をめっき浴から引き上げ、オフラ
インでそのドロスを酸洗溶解または機械的手段等により
除去する。かくして、めっき浴中のボトムドロスが系外
へ排出される。
ロスを溶解した状態で、冷却体の表面をめっき浴中の浴
温最低下部とすることで、その表面にドロスを析出、造
塊させることである。冷却体の表面にドロスが析出、造
塊すると、その冷却体をめっき浴から引き上げ、オフラ
インでそのドロスを酸洗溶解または機械的手段等により
除去する。かくして、めっき浴中のボトムドロスが系外
へ排出される。
【0034】ドロス除去作業終了直前に、冷却体をON
の状態でめっき浴に浸漬したまま、インダクターをOF
Fにし、めっき融点近傍まで浴温を低下させると、温度
差分のFe量に対応するドロスが除去されるので、更に
効率よくドロス除去ができ、しかも、めっき浴中のFe
濃度は低い状態となる。
の状態でめっき浴に浸漬したまま、インダクターをOF
Fにし、めっき融点近傍まで浴温を低下させると、温度
差分のFe量に対応するドロスが除去されるので、更に
効率よくドロス除去ができ、しかも、めっき浴中のFe
濃度は低い状態となる。
【0035】Fe系のボトムドロスが生じる高Al−Z
n合金めっき鋼板製造時または溶融Alめっき鋼板製造
時には、めっき浴をドロス以外からFeが供給されにく
い状態にすることが望まれる。この状態は、例えば鋼帯
がめっき浴に浸漬されていない状態である。
n合金めっき鋼板製造時または溶融Alめっき鋼板製造
時には、めっき浴をドロス以外からFeが供給されにく
い状態にすることが望まれる。この状態は、例えば鋼帯
がめっき浴に浸漬されていない状態である。
【0036】除去すべきボトムドロスを一旦溶解させる
ためのめっき浴温としては、高Al−Zn合金めっき
浴、溶融Alめっき浴の場合は、融点+30℃以上融点
+120℃以下が望ましい。融点+30℃未満では溶解
Fe量が少なく、ボトムドロスの溶解が不十分であるた
め、冷却体を使用しても、ドロスを回収するのに時間が
かかる。一方、融点+120℃を超えると、めっき浴の
蒸発が激しくなり(特にZn量が多い組成で顕著)、作
業上、安全上好ましくない。特に望ましい浴温は、下限
については融点+40℃以上、上限については融点+1
00℃以下である。
ためのめっき浴温としては、高Al−Zn合金めっき
浴、溶融Alめっき浴の場合は、融点+30℃以上融点
+120℃以下が望ましい。融点+30℃未満では溶解
Fe量が少なく、ボトムドロスの溶解が不十分であるた
め、冷却体を使用しても、ドロスを回収するのに時間が
かかる。一方、融点+120℃を超えると、めっき浴の
蒸発が激しくなり(特にZn量が多い組成で顕著)、作
業上、安全上好ましくない。特に望ましい浴温は、下限
については融点+40℃以上、上限については融点+1
00℃以下である。
【0037】低Al−Zn合金めっき浴において、Zn
−ミッシュメタル系のボトムドロスを除去する場合の浴
温は、ミッシュメタルのめっき浴中への溶解度が浴温5
00℃以上で急激に増大するので、500℃以上が望ま
しく、530℃以上が更に望ましい。ただし、浴温が6
00℃を超えると、めっき浴からのZnの蒸発が激しく
なるので、600℃以下が望ましく、580℃以下が更
に望ましい。
−ミッシュメタル系のボトムドロスを除去する場合の浴
温は、ミッシュメタルのめっき浴中への溶解度が浴温5
00℃以上で急激に増大するので、500℃以上が望ま
しく、530℃以上が更に望ましい。ただし、浴温が6
00℃を超えると、めっき浴からのZnの蒸発が激しく
なるので、600℃以下が望ましく、580℃以下が更
に望ましい。
【0038】冷却体は、めっき浴に簡単に浸漬でき、且
つ、そのめっき浴から引き上げて系外へ搬出することが
できる可搬式あれば、箱状、パイプ状等いずれでもよ
く、また、材質もめっき浴に侵食されないものであれ
ば、ステンレス鋼、セラミックス、WC−Co等の合金
を溶射したものなど特に限定しない。
つ、そのめっき浴から引き上げて系外へ搬出することが
できる可搬式あれば、箱状、パイプ状等いずれでもよ
く、また、材質もめっき浴に侵食されないものであれ
ば、ステンレス鋼、セラミックス、WC−Co等の合金
を溶射したものなど特に限定しない。
【0039】好ましくは、図4に示す如く、パイプを蛇
行させて1方向あるいは2方向に並列させ、その内部に
冷却媒体を流通させる冷却体1である。この冷却体1は
その体積に比して大きい表面積をもち、めっき浴中に溶
解したドロスを効率よく析出させることができる。冷却
体1の平面形状は、表面積確保のため、めっき浴槽の平
面形状に対応した出来るだけ大きい角形が望ましい。冷
却体1の下方には、析出したドロスが引き上げ時にめっ
き浴中に落ちないように、受け皿のような物を付設する
のが良い。
行させて1方向あるいは2方向に並列させ、その内部に
冷却媒体を流通させる冷却体1である。この冷却体1は
その体積に比して大きい表面積をもち、めっき浴中に溶
解したドロスを効率よく析出させることができる。冷却
体1の平面形状は、表面積確保のため、めっき浴槽の平
面形状に対応した出来るだけ大きい角形が望ましい。冷
却体1の下方には、析出したドロスが引き上げ時にめっ
き浴中に落ちないように、受け皿のような物を付設する
のが良い。
【0040】ドロスを除去する際には、図5に示す如
く、クレーン等で吊り下げて冷却体1をめっき浴槽2内
のめっき浴3に浸漬する。その浸漬深さは、槽底からの
距離で表わしてめっき浴深さの1/2〜1/3が望まし
い。冷却体1を上げすぎると、ポット浴底で溶解したド
ロスを有効に冷却体表面に再析出させられず、下げすぎ
た場合は、冷却体1の表面に析出したドロスが槽底に付
着し、冷却体1の引き上げが困難になる。
く、クレーン等で吊り下げて冷却体1をめっき浴槽2内
のめっき浴3に浸漬する。その浸漬深さは、槽底からの
距離で表わしてめっき浴深さの1/2〜1/3が望まし
い。冷却体1を上げすぎると、ポット浴底で溶解したド
ロスを有効に冷却体表面に再析出させられず、下げすぎ
た場合は、冷却体1の表面に析出したドロスが槽底に付
着し、冷却体1の引き上げが困難になる。
【0041】冷却体の表面積は、めっき浴量をAc
m3、浴中浸漬部の表面積をBcm2として、A/B≦
300cmを満足できるものとする。300cmを超え
た場合は、めっき浴との接触面積が不十分となり、効率
良くドロスを析出させることができない。特に望ましく
はA/B≦100cmである。
m3、浴中浸漬部の表面積をBcm2として、A/B≦
300cmを満足できるものとする。300cmを超え
た場合は、めっき浴との接触面積が不十分となり、効率
良くドロスを析出させることができない。特に望ましく
はA/B≦100cmである。
【0042】冷却体の浸漬時間については、冷却体の表
面積とめっき浴温に大きく依存する。冷却体の表面積が
大きくめっき浴温が高いほど、効率良くドロスを析出さ
せることができるため、浸漬時間は短くてよい。
面積とめっき浴温に大きく依存する。冷却体の表面積が
大きくめっき浴温が高いほど、効率良くドロスを析出さ
せることができるため、浸漬時間は短くてよい。
【0043】冷却体に流通させる冷却媒体としては、空
気,N2 ガス,Arガス,Heガス,水等何れでも良い
が、N2 ガスなど比較的安価で、冷却媒体の温度制御が
容易なものが好ましい。
気,N2 ガス,Arガス,Heガス,水等何れでも良い
が、N2 ガスなど比較的安価で、冷却媒体の温度制御が
容易なものが好ましい。
【0044】冷却体の表面温度は融点近傍が好ましい。
融点以下であると、冷却体の表面にドロス以外にAlリ
ッチ層が析出するため、めっき浴成分が低Al側にシフ
トしてしまう。一方、めっき浴温近傍では、溶解度差に
よるドロス成分の析出量が小さく、十分な効果が得られ
ない。従って、ドロス成分を最も有効に系外除去するに
は、冷却体の表面温度をめっき浴組成の融点近傍に制御
する必要がある。そのため、冷却媒体の流量および/ま
たは温度を制御できる冷却体が好ましい。
融点以下であると、冷却体の表面にドロス以外にAlリ
ッチ層が析出するため、めっき浴成分が低Al側にシフ
トしてしまう。一方、めっき浴温近傍では、溶解度差に
よるドロス成分の析出量が小さく、十分な効果が得られ
ない。従って、ドロス成分を最も有効に系外除去するに
は、冷却体の表面温度をめっき浴組成の融点近傍に制御
する必要がある。そのため、冷却媒体の流量および/ま
たは温度を制御できる冷却体が好ましい。
【0045】なお、冷却媒体により強制冷却される冷却
器をめっき浴に浸漬させて、浴温を調整する技術は、実
公昭55−51795号公報および実開昭2−1360
55号公報に開示されている。その冷却器は、めっき浴
に溶解させたボトムドロスの析出に一応は使用可能であ
る。しかし、可搬式ではなく定置式のため、ドロス析出
後に系外で析出ドロスを除去するようなことはできな
い。また、めっき浴との接触面積等についての配慮もな
い。そのため、ボトムドロスの除去装置として使用する
ことは不可能である。
器をめっき浴に浸漬させて、浴温を調整する技術は、実
公昭55−51795号公報および実開昭2−1360
55号公報に開示されている。その冷却器は、めっき浴
に溶解させたボトムドロスの析出に一応は使用可能であ
る。しかし、可搬式ではなく定置式のため、ドロス析出
後に系外で析出ドロスを除去するようなことはできな
い。また、めっき浴との接触面積等についての配慮もな
い。そのため、ボトムドロスの除去装置として使用する
ことは不可能である。
【0046】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。
【0047】〔実施例1〕SUS316Lからなるパイ
プを用いて、図6に示す実験用の冷却体1を製作した。
プを用いて、図6に示す実験用の冷却体1を製作した。
【0048】図6(A)の冷却体1は、大面積用で、上
下の盤状ヘッダ1a,1aと、盤状ヘッダ1a,1a間
に設けた外径が20mmの複数本の垂直なパイプ1b,
1b…とからなり、全体をめっき浴に浸漬しパイプ本数
により浸漬部表面積を200cm2 (1本)、500c
m2 (6本)、666cm2 (7本)、2000cm2
(16本)に調整する構成とした。図6(B)の冷却体
1は、小面積用で、逆台形状に加工した1本のパイプの
外径(20mmまたは40mm)と浸漬深さにより、浸
漬部表面積を18cm2 、25cm2 、33cm2 に調
整するものとした。
下の盤状ヘッダ1a,1aと、盤状ヘッダ1a,1a間
に設けた外径が20mmの複数本の垂直なパイプ1b,
1b…とからなり、全体をめっき浴に浸漬しパイプ本数
により浸漬部表面積を200cm2 (1本)、500c
m2 (6本)、666cm2 (7本)、2000cm2
(16本)に調整する構成とした。図6(B)の冷却体
1は、小面積用で、逆台形状に加工した1本のパイプの
外径(20mmまたは40mm)と浸漬深さにより、浸
漬部表面積を18cm2 、25cm2 、33cm2 に調
整するものとした。
【0049】いずれの冷却体1においても、冷却媒体に
はN2 ガスを用いて、冷却体1の表面に溶接した熱電対
により、その表面温度を測定し、測定温度が目標温度と
なるように、N2 ガスの流量を制御する。
はN2 ガスを用いて、冷却体1の表面に溶接した熱電対
により、その表面温度を測定し、測定温度が目標温度と
なるように、N2 ガスの流量を制御する。
【0050】実験としてまず、めっき槽を想定したマグ
ネシアからなるるつぼ内に、表1および表2に示す4種
類の高Al−Zn合金めっき浴(No.1〜4,5,6
〜12,13〜14)および1種類の溶融Alめっき浴
(No.15〜16)をそれぞれ10000cm3 調製
した。
ネシアからなるるつぼ内に、表1および表2に示す4種
類の高Al−Zn合金めっき浴(No.1〜4,5,6
〜12,13〜14)および1種類の溶融Alめっき浴
(No.15〜16)をそれぞれ10000cm3 調製
した。
【0051】次いで、各めっき浴の浴温を融点+120
℃に保持して、冷却鋼板を浸漬し、攪拌を行いながら冷
延鋼板を溶解し、めっき浴中のFe量を飽和させた。こ
のとき、めっき浴の成分分析を行い、めっき浴中に溶解
するFe量を測定した。めっき浴中の全Fe量をXとす
る。
℃に保持して、冷却鋼板を浸漬し、攪拌を行いながら冷
延鋼板を溶解し、めっき浴中のFe量を飽和させた。こ
のとき、めっき浴の成分分析を行い、めっき浴中に溶解
するFe量を測定した。めっき浴中の全Fe量をXとす
る。
【0052】めっき浴から冷延鋼板を引き上げた後、め
っき浴温を融点まで下げて、ドロスを析出させた。表1
および表2に示す温度にめっき浴温を調整保持し、前述
した実験用の冷却体をめっき浴に浸漬して、冷却体の表
面にドロスを析出させた。この間、浴温が保持温度に維
持されるように、ヒータで温度制御を行った。
っき浴温を融点まで下げて、ドロスを析出させた。表1
および表2に示す温度にめっき浴温を調整保持し、前述
した実験用の冷却体をめっき浴に浸漬して、冷却体の表
面にドロスを析出させた。この間、浴温が保持温度に維
持されるように、ヒータで温度制御を行った。
【0053】1時間後、ヒータをOFFにした。浴温が
下がり、融点近傍になった時点で、冷却体をめっき浴か
ら引き上げた。
下がり、融点近傍になった時点で、冷却体をめっき浴か
ら引き上げた。
【0054】その後、めっき浴を再び融点+120℃ま
で加熱して、めっき浴の成分分析を行い、めっき浴中に
残存したFe量を測定した。めっき浴中に残存する全F
e量をYとし、(1−Y/X)×100(%)をドロス
回収率とした。
で加熱して、めっき浴の成分分析を行い、めっき浴中に
残存したFe量を測定した。めっき浴中に残存する全F
e量をYとし、(1−Y/X)×100(%)をドロス
回収率とした。
【0055】結果を表1および表2に示すが、めっき浴
温が高すぎたり低すぎたりしない限り、また、冷却体の
浸漬部表面積が小さすぎない限り、めっき浴中に溶解す
るドロスを高効率に析出除去することができた。
温が高すぎたり低すぎたりしない限り、また、冷却体の
浸漬部表面積が小さすぎない限り、めっき浴中に溶解す
るドロスを高効率に析出除去することができた。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】〔実施例2〕表3に示す3種類の実用高A
l−Zn合金めっき浴(No.17〜18,19〜2
4,25〜27)について、実施例1と同様の方法を用
いて実験を行った。
l−Zn合金めっき浴(No.17〜18,19〜2
4,25〜27)について、実施例1と同様の方法を用
いて実験を行った。
【0059】めっき浴中のSi量の調整には、市販のA
l−3%Si合金またはAl−20%Si合金を用い
た。また、Cr,Ni,Mgの添加は、市販のSUS4
30(18Cr)ステンレス鋼板、SUS304(18
Cr−8Ni)ステンレス鋼板、SUS316L(8C
r−8Ni−2.5Mo)ステンレス鋼板を粉状にしてめ
っき浴に10g添加することにより行った。
l−3%Si合金またはAl−20%Si合金を用い
た。また、Cr,Ni,Mgの添加は、市販のSUS4
30(18Cr)ステンレス鋼板、SUS304(18
Cr−8Ni)ステンレス鋼板、SUS316L(8C
r−8Ni−2.5Mo)ステンレス鋼板を粉状にしてめ
っき浴に10g添加することにより行った。
【0060】結果を表3に示す。本発明は従来その除去
が困難とされていた高Al−Zn合金めっき鋼板製造時
に発生するボトムドロスを効率よく簡単に除去できる。
が困難とされていた高Al−Zn合金めっき鋼板製造時
に発生するボトムドロスを効率よく簡単に除去できる。
【0061】
【表3】
【0062】〔実施例3〕Zn−5.5%Al−0.2%ミ
ッシュメタル合金、純亜鉛、金属Mgを用いて、表4に
示す7種類の低Al−Zn合金めっき浴(No.29〜
30,31〜36,37,38,39〜40,41,4
2)をそれぞれカーボンるつぼ内に10000cm3 調
製した。
ッシュメタル合金、純亜鉛、金属Mgを用いて、表4に
示す7種類の低Al−Zn合金めっき浴(No.29〜
30,31〜36,37,38,39〜40,41,4
2)をそれぞれカーボンるつぼ内に10000cm3 調
製した。
【0063】めっき浴を430℃に保持し、十分攪拌し
ながら、めっき浴をサンプリングし、これをICP分析
することにより、めっき浴中に存在するミッシュメタル
量(P)を求めた。
ながら、めっき浴をサンプリングし、これをICP分析
することにより、めっき浴中に存在するミッシュメタル
量(P)を求めた。
【0064】めっき浴を430℃に保持しつつ3時間静
置し、過剰添加分のZn−ミッシュメタル系金属間化合
物を沈降させた。そのときのめっき浴を分析し、430
℃でのミッシュメタルの固溶量(Q)を求めた。
置し、過剰添加分のZn−ミッシュメタル系金属間化合
物を沈降させた。そのときのめっき浴を分析し、430
℃でのミッシュメタルの固溶量(Q)を求めた。
【0065】表4に示す温度にめっき浴温を調整して保
持し、前述した実験用の冷却体を浸漬して、冷却体の表
面にドロスを析出させた。この間、浴温が保持温度に維
持されるように、ヒータで温度制御を行った。
持し、前述した実験用の冷却体を浸漬して、冷却体の表
面にドロスを析出させた。この間、浴温が保持温度に維
持されるように、ヒータで温度制御を行った。
【0066】1時間後、めっき浴から冷却体を引き上
げ、その表面に付着したドロスを塩酸により溶解し、I
CP分析することにより、ミッシュメタルの回収量
(R)を求め、R/(P−Q)×100をドロス回収率
(ミッシュメタル回収率)とした。
げ、その表面に付着したドロスを塩酸により溶解し、I
CP分析することにより、ミッシュメタルの回収量
(R)を求め、R/(P−Q)×100をドロス回収率
(ミッシュメタル回収率)とした。
【0067】結果を表4に示すが、本発明は低Al−Z
n合金めっき鋼板製造時に発生するFe−ミッシュメタ
ル系のボトムドロスの除去に対しても有効である。
n合金めっき鋼板製造時に発生するFe−ミッシュメタ
ル系のボトムドロスの除去に対しても有効である。
【0068】
【表4】
【0069】
【発明の効果】以上に説明した通り、本発明のボトム除
去装置および方法は、従来はその除去が困難とされてい
た高Al−Zn合金めっき鋼板製造時に発生するボトム
ドロスをめっき浴から簡単かつ効率的に除去できる。ま
た、低Al−Zn合金めっき鋼板製造時に発生するミッ
シュメタル系のボトムドロスおよび溶融Alめっき鋼板
製造時に発生するFe−Al−Si系のボトムドロスに
関しても、これらを簡単かつ効率的に除去できる。
去装置および方法は、従来はその除去が困難とされてい
た高Al−Zn合金めっき鋼板製造時に発生するボトム
ドロスをめっき浴から簡単かつ効率的に除去できる。ま
た、低Al−Zn合金めっき鋼板製造時に発生するミッ
シュメタル系のボトムドロスおよび溶融Alめっき鋼板
製造時に発生するFe−Al−Si系のボトムドロスに
関しても、これらを簡単かつ効率的に除去できる。
【図1】めっき浴温とFe溶解度との関係を示すグラフ
である。
である。
【図2】Zn−ミッシュメタル系金属間化合物の粒成長
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図3】めっき浴温とミッシュメタル溶解度との関係を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図4】冷却体の構成例を示す模式図である。
【図5】冷却体の使用状態を示す模式図である。
【図6】実験に使用した冷却体の構成を示す模式図であ
る。
る。
1 冷却体 2 めっき浴槽 3 めっき浴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 2/00 - 2/40
Claims (4)
- 【請求項1】 溶融めっき浴中に溶解させたボトムドロ
スを装置表面に析出させて浴中から除去するドロス除去
装置であって、系外から搬入されて前記めっき浴に浸漬
され、内部を流通する冷却媒体により強制冷却されると
共に、前記めっき浴から引き上げて系外へ搬出すること
ができる可搬式の冷却体により構成されており、且つ、
当該冷却体が、浴体積をA(cm 3 )とし浸漬部表面積
をB(cm 2 )として、A/B≦300cmの表面積を
もつドロス除去装置。 - 【請求項2】 溶融めっき浴の下部に堆積したボトムド
ロスを溶解できる温度まで浴温を上昇させた状態で、請
求項1に記載の冷却体をめっき浴に浸潰して浴中に溶解
するボトムドロスを前記冷却体の表面に析出させ、しか
る後に、前記冷却体をめっき浴から引き上げて系外へ搬
出することを特徴とするドロス除去方法。 - 【請求項3】 前記めっき浴が高Al−Zn合金めっき
浴または溶融Alめっき浴の場合に、そのめっき浴をボ
トムドロス以外からFeが供給されにくい状態にするこ
とを特徴とする請求項2に記載のドロス除去方法。 - 【請求項4】 前記冷却体の表面にドロスを析出させた
後、冷却体をめっき浴から引き上げる前に、浴温を融点
近傍まで低下させることを特徴とする請求項2または3
に記載のドロス除去方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12192494A JP2904006B2 (ja) | 1994-05-10 | 1994-05-10 | ドロス除去装置および方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12192494A JP2904006B2 (ja) | 1994-05-10 | 1994-05-10 | ドロス除去装置および方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07305154A JPH07305154A (ja) | 1995-11-21 |
JP2904006B2 true JP2904006B2 (ja) | 1999-06-14 |
Family
ID=14823294
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12192494A Expired - Lifetime JP2904006B2 (ja) | 1994-05-10 | 1994-05-10 | ドロス除去装置および方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2904006B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101427345B1 (ko) * | 2012-11-06 | 2014-08-07 | 주식회사 포스코 | 드로스 제거 장치 |
-
1994
- 1994-05-10 JP JP12192494A patent/JP2904006B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07305154A (ja) | 1995-11-21 |
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