JPH09170058A - 溶融金属浴槽および溶融金属めっき方法 - Google Patents

溶融金属浴槽および溶融金属めっき方法

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JPH09170058A
JPH09170058A JP33045895A JP33045895A JPH09170058A JP H09170058 A JPH09170058 A JP H09170058A JP 33045895 A JP33045895 A JP 33045895A JP 33045895 A JP33045895 A JP 33045895A JP H09170058 A JPH09170058 A JP H09170058A
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俊夫 石井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドロスが大きくなったり、大きくなったドロ
スが浮遊、堆積しない溶融金属めっき浴槽で、ドロスが
除去された清浄な溶融金属めっきを行うことにより、ド
ロス欠陥を低減する。 【解決手段】 内側に溶融金属めっきを行うための溶融
金属めっき浴槽(5)、外側に溶融金属めっきの際に発
生したドロスを沈降分離するための沈殿浴槽(4)を有
する二重構造の溶融金属浴槽であって、内側の溶融金属
めっき浴槽の鋼板走行方向の側壁形状は垂直方向から4
5度以下の傾斜を有するV字型であり、その溶融金属浸
漬部の上部には沈殿浴槽から溶融金属めっき浴槽にめっ
き浴を流入させるための上部開口部(8、9)、その下
部には溶融金属めっき浴槽から沈殿浴槽にめっき浴を流
出させるための下部開口部(10)が設けられており、
且つ内側の溶融金属めっき浴槽の容量が外側の沈殿浴槽
の容量の50%以下である溶融金属浴槽とこの槽を用い
た溶融金属めっき方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続的に走行する
鋼板に例えば亜鉛を主成分とする亜鉛系溶融めっき等の
溶融金属めっきを施す際に、ドロスによる表面欠陥を低
減できる溶融金属浴槽および溶融金属めっき方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】溶融金属めっき鋼板は、優れた高耐食性
を示す安価な表面処理鋼板として広く使用されている。
【0003】溶融金属めっき鋼板の代表的な製造方法
は、鋼板に連続的に、脱脂等の前処理を施した後、鋼板
を加熱炉で所定の加熱パターンで高温に保持、冷却後、
溶融金属めっき浴中を通板して溶融金属めっきを行い、
次いで鋼板に付着した溶融金属の付着量を調整した後、
所定の冷却パターンで常温まで冷却して製造する方法で
ある。
【0004】連続溶融金属めっき法では、鋼板が溶融金
属めっき浴中を通板する際に、鋼板から溶出した鉄が、
溶融金属めっき浴中の成分元素と反応して金属間化合
物、いわゆるドロスを生成する。生成したドロスの密度
は、鉄を含有するので一般的に溶融金属の密度より大き
くなり、溶融金属めっき浴中を沈降する。しかし、溶出
した鉄との金属間化合物であるため、このドロスの粒径
は小さく、密度差による沈降速度は極めて小さいので、
溶融金属めっき浴中を浮遊しながら大きな粒径のドロス
に成長して溶融金属めっき浴槽の底部に沈降する。
【0005】沈降中の大きなドロスが鋼板に付着する
と、表面欠陥になり溶融めっき後の鋼板の表面品質を劣
化させるばかりでなく、成形加工時に溶融めっき鋼板表
面の平滑性を損う。また、溶融金属めっき浴槽底部に沈
降、堆積したドロス量が増加した場合、鋼板の通板によ
り誘起される溶融金属の流れによって、一旦沈降したド
ロスが再度浮遊して通板中の鋼板に付着して、めっき後
の鋼板の表面品質を損なう場合もある。
【0006】近年、自動車車体の防錆対策として、溶融
亜鉛めっき鋼板、特に溶融亜鉛めっき後熱拡散処理によ
り亜鉛めっき層を鉄と亜鉛の合金層とした合金化溶融亜
鉛めっき鋼板が自動車車体の外装用鋼板として使用され
るようになってきたこともあり、前記したドロスによる
表面欠陥の低減が強く求められており、そのために、溶
融金属めっき浴槽中のドロスを低減するための提案がな
されている。
【0007】例えば、特開平5−98406号公報に
は、図5に示すように、ボトムドロスの排出を行うため
の開口部20を側面部及び/又は底面部に少なくとも1
つの設けた溶融金属めっき浴槽5、この溶融金属めっき
浴槽5を包囲し、溶融金属めっき浴槽5から排出された
ボトムドロス6を堆積するためのドロス堆積槽21を設
けた溶融金属めっき装置を用いて、シンクロール3等の
浴中回転体及び鋼板2の随伴流により、溶融金属めっき
浴槽5のドロスをドロス堆積槽21に排出することによ
り、ボトムドロスの堆積のない溶融金属めっき浴槽5で
溶融金属めっきを行う方法が記載されている。
【0008】また、特開平7−268578号公報に
は、図6に示すように、槽底が円弧状曲線を有し、その
側壁30、31の上端部近傍に溶融金属めっき浴槽5内
のめっき用溶融金属が、沈殿槽4に侵入及び/又は排出
する連通孔32が設けられためっき浴槽5と、めっき浴
中で生成したボトムドロスを沈殿堆積させる沈殿槽4を
配設した溶融金属浴槽を用いて、シンクロール3の回転
による流れにより、めっき浴中で生成したボトムドロス
を溶融金属めっき浴槽5から沈殿槽4に排出し、沈殿槽
4でボトムドロス6を沈殿除去しためっき浴を溶融金属
めっき浴槽5に戻すことにより、金属板へのボトムドロ
スの付着によるめっき品質の低下を防止することが記載
されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平5−9
8406号公報に記載される技術は、開口部が溶融金属
めっき浴槽の側面及び/又は底部に設けられているだけ
なので、溶融金属めっき浴槽とドロス堆積槽との間の溶
融金属を循環させるための駆動力が弱いので、両槽の間
で溶融金属の循環が円滑に行われない。このためドロス
の排出が不十分になり、溶融金属めっき浴槽の底部に局
部的にドロスが堆積したり、溶融金属めっき浴槽での溶
融金属温度の変動や溶融金属浴成分組成の変動が大きく
なる可能性がある。また、極端な場合には、ドロスの堆
積により開口部が閉塞されて、溶融金属めっき作業の停
止を余儀なくされる可能性がある。
【0010】また、特開平7−268578号公報に記
載される技術による場合、鋼板走行速度が遅い場合、シ
ンクロール3の回転による流れが弱くなり、溶融金属め
っき浴槽5から沈殿槽4へのめっき金属の排出が良好に
おこなわれず、めっき浴で形成されたボトムドロスが溶
融金属めっき浴槽底部に沈殿堆積する。また、シンクロ
ール胴長方向の両端部ではシンクロール回転による流れ
の形成が不十分になり、ここで大きなドロスに成長す
る。これらのドロスがめっき時に金属板に付着してめっ
き品質が低下するという問題がある。
【0011】本発明は、前記した事情を勘案してなされ
たものであり、簡易な設備、方法により、ドロスが大き
くなること、大きくなったドロスの浮遊、堆積が防止さ
れた溶融金属めっき浴槽において、ドロスが除去された
清浄な溶融金属によりめっきを行うことにより、ドロス
による表面欠陥の発生を低減することが可能な溶融金属
浴槽及び溶融金属めっき方法を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者等は、通常の操業
に使用している溶融亜鉛めっき浴槽での溶融亜鉛の流
れ、ドロスの発生メカニズムと溶融亜鉛めっき浴槽内で
のドロスの挙動について種々の調査を行った結果、以下
のことを確認した。
【0013】溶融亜鉛めっき浴槽内での溶融亜鉛の流れ
の駆動力になっているのは、溶融亜鉛めっき浴槽内を走
行する鋼板により生じる溶融亜鉛の随拌流れ、溶融亜鉛
を保熱あるいは加熱するための誘導加熱装置による電磁
気力による溶融亜鉛の流れ及び鋼板に付着して減少した
溶融亜鉛を補うために供給される固相の亜鉛インゴット
の投入部近傍で生じる溶融亜鉛の温度不均一による自然
対流による溶融亜鉛の流れに大別できる。この内、溶融
亜鉛めっき浴槽内での溶融亜鉛の流れは鋼板の走行によ
り生じる随拌流れの影響が支配的であり、その他の流れ
は前記の随伴流れに比べて影響が小さい。
【0014】ドロスは、溶融亜鉛めっき浴槽に侵入する
鋼板表面に付着する鉄粉および鋼板表面から溶融亜鉛浴
中に溶出した鉄が、溶融亜鉛と反応して生成した金属間
化合物に起因するものである。この金属間化合物は、当
初は微細なドロスであるが、溶融亜鉛めっき浴温度の不
均一による温度の上昇下降や溶融亜鉛めっき浴中に添加
されているアルミニウム等のめっき成分の濃度不均一に
より、溶融亜鉛への鉄の溶解度の変化や金属間化合物の
組織状態の変化により、微細なドロスが溶融亜鉛めっき
浴槽内で大きなドロスとなる。
【0015】溶融亜鉛めっき浴槽内の流れにより、大き
くなりながら浮遊するドロスの沈降が妨げられたり、一
旦沈降堆積した大きなドロスが再浮上したりして、これ
らのドロスが鋼板に付着することにより、めっき後の鋼
板に品質欠陥を発生する。
【0016】ドロスによる品質欠陥を防止するには、溶
融亜鉛めっき浴槽に清浄性の高い溶融亜鉛を供給すると
ともに、めっきに伴い発生したドロスが溶融亜鉛めっき
浴槽内で大径化して浮遊、堆積しないようにすることが
必要であり、そのためには、溶融亜鉛めっき浴槽をドロ
スが堆積しないような槽とし、また溶融亜鉛めっき浴槽
とは別にドロスを沈降分離するための沈殿槽を設け、溶
融亜鉛めっきめっき浴槽から沈殿槽へドロスを含む溶融
亜鉛を送り出し、沈殿槽でドロスを沈降分離して清浄化
された溶融亜鉛を溶融亜鉛めっき浴槽に戻すことが有効
であり、また、溶融亜鉛めっき浴槽から沈殿浴槽への溶
融亜鉛の送り出し、沈殿浴槽から溶融亜鉛めっき浴槽へ
の溶融亜鉛の戻しを、溶融亜鉛めっき浴槽内の流れを実
質的に支配する鋼板の走行により発生する随伴流れが利
用できることを多数の実験から確認した。
【0017】本発明は、このような知見に基づいてなさ
れたものでり、その特徴とする構成は以下のとおりであ
る。
【0018】(1)内側に溶融金属めっきを行うための
溶融金属めっき浴槽、外側に溶融金属めっきの際に発生
したドロスを沈降分離するための沈殿浴槽を有する二重
構造の溶融金属浴槽であって、内側の溶融金属めっき浴
槽の鋼板走行方向の側壁形状は垂直方向から45度以下
の傾斜を有するV字型であり、その溶融金属浸漬部の上
部には沈殿浴槽から溶融金属めっき浴槽にめっき浴を流
入させるための上部開口部、その下部には溶融金属めっ
き浴槽から沈殿浴槽にめっき浴を流出させるための下部
開口部が設けられており、且つ内側の溶融金属めっき浴
槽容量は外側の沈殿浴槽容量の50%以下である溶融金
属浴槽。
【0019】(2)上記の(1)の溶融金属浴槽におい
て、内側の溶融金属めっき浴槽の容量が外側の沈殿浴槽
の容量の40%以下であり、且つ内側の溶融金属めっき
浴槽容量と外側の沈殿浴槽容量の合計容量が10m3
上である。
【0020】(3)上記の(1)または(2)の溶融金
属浴槽を用いて、内側の溶融金属浴槽で溶融金属めっき
を行うとともに、その下部開口部から溶融金属を沈殿浴
槽に流出させ、外側の沈殿浴槽において溶融金属めっき
により発生したドロスを沈降分離して清浄化するととも
に、清浄化された溶融金属を溶融金属めっき槽の上部開
口部から溶融金属めっき槽に流入させることにより溶融
金属めっきを行う。
【0021】以下、本発明の作用について説明する。溶
融金属めっき浴槽の鋼板走行方向の側壁形状は、ドロス
の安息角を超える垂直方向から45度以下の傾斜を有す
るV字型形状であるので、この槽内でドロスが沈降堆積
することがない。
【0022】沈殿浴槽では、溶融金属めっき浴槽から流
れ込んできた溶融金属からドロスを沈降分離し、溶融金
属を清浄にする。
【0023】溶融金属めっき浴槽の上部と下部にそれぞ
れ開口部が設けられているので、鋼板が高速走行する場
合には、鋼板によって随拌された溶融金属の流れによ
り、下部開口部から微細なドロスを含んだ溶融金属が流
出し、上部開口部からドロスを沈降分離された溶融金属
が流入し、また、随拌流れの期待できない鋼板が低速走
行する場合には、上部開口部から温度の高い溶融金属が
流入し、下部開口部から低温になった溶融金属が流出す
ることによる自然対流が生じることにより、溶融金属め
っき浴槽と沈殿浴槽との間の溶融金属の循環が行われ
る。
【0024】溶融金属めっき浴槽の容量は、沈殿浴槽の
容量の50%以下、より好ましくは40%以下であるこ
とが望ましい。この容量が50%を超えると、溶融金属
めっき浴槽内における鋼板走行による随伴流れによる溶
融金属の循環作用が低下し、溶融金属めっき浴槽内にお
いてドロスが大きくなったり、沈殿浴槽におけるドロス
の沈降分離が不十分になったりして、めっき鋼板のドロ
ス欠陥が増加するおそれがある。また、この容量が40
%以下の場合、ドロス欠陥をより低減できる。
【0025】沈殿浴槽と溶融金属めっき浴槽の合計容量
は10m3 以上40m3 以下にすることが望ましい。合
計容量が10m3 未満ではドロスの沈降分離が十分に行
われないので、溶融金属めっき浴槽に流入する溶融金属
中のドロスが増加し、めっきされた鋼板にドロス欠陥が
増加するおそれがある。また、容量が40m3 を超える
と、設備コストが膨大になり経済的な見地から得策でな
い。
【0026】上記の作用により、溶融金属めっき浴槽で
清浄な溶融金属めっきを行うことが可能となるので、め
っき鋼板のドロスによる品質欠陥が減少する。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、溶
融亜鉛めっきの場合について、図1を用いて説明する。
なお、説明済の図に示された部分と同じ部分には同じ符
号を付してその説明を省略する。図1において、1はス
ナウト、4は沈殿浴槽、7はガスワイピングノズル、
8、9は溶融亜鉛めっき浴槽の上部開口部、10は溶融
亜鉛めっき浴槽の下部開口部、11はスタビライジング
ロール、12はコレクティングロール、13は溶融亜
鉛、14は槽内における溶融亜鉛の流れの方向である。
【0028】溶融亜鉛めっき浴槽5の鋼板2の走行方向
の側壁形状は垂直方向から45度以下の傾斜を有するV
字型であり、おのおのの側壁の上部には、それぞれ上部
開口部8、9が設けられており、その下部には下部開口
部10が設けられている。また、溶融亜鉛めっき浴槽5
の外側には沈殿浴槽4が設けられている。
【0029】スナウト1からシンクロール3を走行する
鋼板2の随伴流れ、及びシンクロール3で方向転換して
上方に走行する鋼板2の随伴流れによる矢印14の方向
の溶融亜鉛の流れにより、溶融亜鉛は上部開口部8、9
を通って沈殿浴槽4から溶融亜鉛めっき浴槽5に流入
し、また、下部開口部10を通って溶融亜鉛めっき浴槽
5から沈殿浴槽4へ流出する。
【0030】流出した溶融亜鉛13に含まれるドロス
は、沈殿浴槽4内で沈降分離されて沈殿浴槽4の底にボ
トムドロスとして堆積し、また沈殿浴槽4の上澄みはボ
トムドロスが少ない清浄な溶融亜鉛となる。
【0031】溶融亜鉛めっき浴槽5の鋼板の走行方向の
側壁形状は垂直方向から45度以下の傾斜であり、ドロ
スの安息角を超えるので、この槽内でドロスが堆積しな
い。
【0032】沈殿浴槽4内では、ドロスの沈降分離が行
われる。沈殿浴槽4の浴面近傍には、酸化亜鉛やアルミ
ニウム−亜鉛を主成分とするトップドロスが浮遊してお
り、そのために溶融亜鉛の清浄性が低下する。この点に
ついて、図2により説明する。図2は沈殿槽4の浴面か
らの距離と溶融亜鉛の清浄性との関係を示す図であり、
横軸は浴面からの距離、縦軸は溶融亜鉛の清浄性を示
す。清浄性の評価は、0〜4.0迄、0.5段階評価で
あり、0が最も優れ、4.0が最も悪く、1.5以下が
目標レベルである。亜鉛浴面からの距離が50mm以上
になるとトップドロスによる清浄性の低下が認められな
い。従って、上部開口部は浴面から50mm以上離れた
位置に設けることが望ましい。
【0033】溶融亜鉛めっき槽5の容量は、沈殿浴槽4
の容量の50%以下、より好ましくは40%以下である
ことが望ましい。この容量が50%を超えると、溶融亜
鉛めっき浴槽5内における鋼板の随伴流れを利用する溶
融亜鉛の循環作用が低下し、溶融亜鉛めっき浴槽5内に
おいてドロスが大きくなったり、沈殿浴槽4におけるド
ロスの沈降分離が不十分になったりして、ドロス欠陥が
増加する恐れがある。また、この容量が40%以下の場
合、ドロス欠陥の低減効果がより優れる。この槽の容量
は小さいほど効果的であるが、シンクロール等の浴中機
器との設備的な関係も考慮してその容量を選定する必要
がある。
【0034】沈殿浴槽4と溶融亜鉛めっき浴槽5の合計
容量は10m3 以上40m3 以下にすることが望まし
い。その合計容量が10m3 未満ではドロスの沈降分離
が十分に行われないので、溶融亜鉛めっき浴槽に流入す
る溶融亜鉛中のドロスが増加し、めっき鋼板のドロス欠
陥が増加する。また、その容量が40m3 を超えると、
設備コストが膨大になり、経済的な見地から得策でな
い。
【0035】また、この装置を用いて鋼板の溶融亜鉛め
っきを以下のように行う。鋼板2はその下部が溶融亜鉛
めっき浴槽5中に浸漬されているスナウト1を通って、
溶融亜鉛めっき浴槽5の溶融亜鉛13に浸漬され、シン
クロール3で上方に方向転換した後に、スタビライジン
グロール11とコレクティングロール12との間を通過
し、浴面上に設けられてガスワイピングノズル7によ
り、所定に付着量に調整される。
【0036】鋼板2が溶融亜鉛13に浸漬、めっきされ
る間に微細なドロスが発生する。このドロスは、鋼板2
の走行により発生する随伴流により、溶融亜鉛めっき浴
槽5内で大きくなったり、沈殿したりすることなく、下
部開口部10から沈殿浴槽4に流出する。沈殿浴槽4で
ドロスが沈降分離され、上澄みの清浄化された溶融亜鉛
は鋼板2の走行による随伴流の作用により上部開口部
8、9から溶融亜鉛めっき浴槽5にもどる。溶融亜鉛め
っき浴槽5の溶融亜鉛は大きくなったドロスのない清浄
な溶融亜鉛となるので、ここでめっきされた鋼板はドロ
スによる品質欠陥の発生が減少する。更に、鋼板2の走
行による随伴流れにより、溶融亜鉛の攪拌と循環が行わ
れるので、溶融亜鉛めっき浴槽5におけるめっき浴成分
の変動、めっき浴温度の変動が少なくなり、溶融亜鉛め
っきの操業の安定化に寄与する。
【0037】上記説明は溶融亜鉛めっきについて説明し
たが、本発明は溶融亜鉛めっきに限定されるものではな
く、亜鉛−アルミ合金めっき、アルミめっきなどの溶融
金属めっきに適用できる。
【0038】
【実施例】
(実施例1)図1に示す溶融亜鉛浴槽において、溶融亜
鉛めっき浴槽4と溶融亜鉛めっき浴槽5を合せた溶融亜
鉛浴槽を、幅5m、高さ2m、奥行3mの形状で容量3
0m 3 とし、溶融亜鉛めっき浴槽5の側壁の傾斜が左右
とも45度で深さ1.5mで容量6.75m3 とした。
また、側壁の上部開口部を浴面から深さ50〜150m
mの位置に設けた。沈殿浴槽4の容量は溶融亜鉛浴槽の
容量と溶融金属めっき槽の容量との差分である23.2
5m3 であり、溶融亜鉛めっき浴槽の容量は沈殿槽の容
量の29%である。この溶融亜鉛浴槽を用いて、溶融亜
鉛めっきを行った場合の合金化溶融亜鉛めっき鋼板のド
ロス欠陥の発生状況の経時変化を図3に示す。図3にお
いて、横軸は経過日数、縦軸は、ドロス欠陥の発生程度
を示す。ドロス欠陥発生程度の評価は、0〜4迄の評価
であり、0が最も優れ、4が最も悪く、1.0以下が自
動車外板用途等の高品質合金化溶融亜鉛めっき鋼板のド
ロス欠陥の目標レベルである。なお、比較のために、前
記と同様の容量の溶融亜鉛浴槽により、内側の溶融亜鉛
めっき浴槽を用いなかった場合のドロス欠陥の発生状況
を図3に併せて記載した。
【0039】比較例では、1日のめっき操業によりドロ
ス欠陥が限界レベルに達するのに対して、本発明例では
限界レベル以下であり、長期間にわたりドロス欠陥を低
減できる。
【0040】(実施例2)溶融亜鉛めっき浴槽5の容量
を6.75m3 にして、沈殿槽4の容量を変えた場合の
ドロス欠陥の発生状況を図4に示す。横軸は、沈殿槽4
の容量に対する溶融亜鉛めっき浴槽5の容量の比(%)
であり、ドロス欠陥は、経過日数14日目の合金化溶融
亜鉛めっき鋼板のドロス欠陥の発生状況を、実施例1と
同様の基準で評価した。
【0041】槽容量の比が50%を超えるとドロス欠陥
の増加が顕著である。また、40%以下では、14日目
においてもドロス欠陥の発生は一般品質の合金化溶融亜
鉛めっき鋼板に対する目標レベルの3以下である。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、ドロスの浮遊、堆積の
ない清浄な溶融金属めっき浴で鋼板に溶融金属めっきを
行うことが可能となり、ドロス欠陥の発生の少ない溶融
金属めっきを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶融金属槽の実施形態を示す図。
【図2】亜鉛浴面からの距離と溶融亜鉛の清浄性との関
係を示す図。
【図3】経過日数によるドロス欠陥発生状況の変化を示
す図。
【図4】槽容量の比とドロス欠陥発生状況との関係を示
す図。
【図5】従来技術における溶融金属槽を示す図。
【図6】従来技術における別の溶融金属槽を示す図。
【符号の説明】
1 スナウト 2 鋼板 3 シンクロール 4 沈殿浴槽 5 溶融亜鉛めっき浴槽 8、9 上部開口部 10 下部開口部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内側に溶融金属めっきを行うための溶融
    金属めっき浴槽、外側に溶融金属めっきの際に発生した
    ドロスを沈降分離するための沈殿浴槽を有する二重構造
    の溶融金属浴槽であって、内側の溶融金属めっき浴槽の
    鋼板走行方向の側壁形状は垂直方向から45度以下の傾
    斜を有するV字型であり、その溶融金属浸漬部の上部に
    は沈殿浴槽から溶融金属めっき浴槽にめっき浴を流入さ
    せるための上部開口部、その下部には溶融金属めっき浴
    槽から沈殿浴槽にめっき浴を流出させるための下部開口
    部が設けられており、且つ内側の溶融金属めっき浴槽の
    容量が外側の沈殿浴槽の容量の50%以下であることを
    特徴とする溶融金属浴槽。
  2. 【請求項2】 内側の溶融金属めっき浴槽の容量が外側
    の沈殿浴槽の容量の40%以下であり、且つ内側の溶融
    金属めっき浴槽容量と外側の沈殿浴槽容量の合計容量が
    10m3 以上であることを特徴とする請求項1記載の溶
    融金属浴槽。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の溶融金属
    浴槽を用いて、内側の溶融金属めっき浴槽で溶融金属め
    っきを行うとともに、その下部開口部から溶融金属を沈
    殿浴槽に流出させ、外側の沈殿浴槽において溶融金属め
    っきにより発生したドロスを沈降分離して清浄化すると
    ともに、清浄化された溶融金属を溶融金属めっき槽の上
    部開口部から溶融金属めっき浴槽に流入させることによ
    り溶融金属めっきを行うことを特徴とする溶融金属めっ
    き方法。
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