JP2560662B2 - 表面欠陥の少ない溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置 - Google Patents

表面欠陥の少ない溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置

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JP2560662B2
JP2560662B2 JP3168352A JP16835291A JP2560662B2 JP 2560662 B2 JP2560662 B2 JP 2560662B2 JP 3168352 A JP3168352 A JP 3168352A JP 16835291 A JP16835291 A JP 16835291A JP 2560662 B2 JP2560662 B2 JP 2560662B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面欠陥の少ない溶融
亜鉛めっき鋼板の製造装置およびそれへのめっき原料補
給方法に関する。より詳述すれば、小ロット多品種対
応、省エネルギー、省資源、低騒音を実現可能とす
る、表面欠陥の少ない溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置お
よびめっき原料補給方法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、薄鋼板( 以下、鋼板という)に要
求される仕様が厳しくなり、耐食性についても特に建
材、家電、自動車用には使用条件が厳しくなってきてお
り一層の改善が求められ、そのためめっき鋼板が一般的
となってきている。めっき鋼板として現在最も多く使用
されているのは溶融亜鉛めっき鋼板である。通常これは
さらに塗装して用いられ、耐食性はもちろん塗装後の仕
上がり表面の平滑性、塗装面との密着性などが要求され
るため、めっき面の表面性状は重要である。
【0003】溶融亜鉛めっき鋼板の場合、めっき浴中に
浮遊するドロスに起因する欠陥としてはプレス時に表面
不均一部分が生じて鮮映性が害されるプレスブツと呼ば
れるものと、表面不均一部分が局部電池を形成し耐食性
を劣化させるドロスブツと称するものとがあり、一方め
っき面の表面酸化による表面欠陥としては、めっき鋼板
表面に酸化物が付着するとこれが押込まれて生じる表面
疵、あるいは表面酸化による外観悪化が挙げられる。以
下、本明細書にあってはこれらを総称して表面欠陥とい
うが、必要に応じてドロス欠陥、表面酸化欠陥と区別し
て用いる。
【0004】これまでにもこのドロスに起因する表面欠
陥を防止しようとする試みは幾つか提案されている。特
公昭57−58434 号公報により提案された方法は、隔壁に
よりメッキ槽とAl反応槽とを分けて高Al操業とともに浴
の撹拌を行うことによりボトムドロスをトップドロス化
してボトムドロスを除去する方法である。
【0005】(1) この方法によれば、高Al操業時にはド
ロスはAlと反応して浮遊し易くなるのに対し、低Al操業
時、すなわちガルバニール鋼板 (合金化処理鋼板) 製造
時にはAlと反応して生ずる軽いドロスは生成せずZnと反
応してできた重いボトムドロスが溜まる一方で除去でき
ないのが実状である。 (2) メッキ槽とAl反応槽とを分けているため装置全体が
大容量になり、設備費の増大は避けられない。 (3) ドロス除去のため反応槽で攪拌すると空気中の酸素
を巻込み、Zn浴の酸化を促進し、Zn歩留、品質管理上問
題と言える。
【0006】一方、表面酸化欠陥を防止するには、めっ
き鋼板の表面酸化を防止する必要があるが、従来装置に
あっては大型装置であるため酸化防止のために不活性ガ
スによりシールするとしても大掛かりが装置が必要とな
り、設備費の増大は免れず、またそれによる効果も十分
とは言えない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特に、近年のように自
動車用を主体に、合金化処理鋼板の需要が益々増加して
いる中にあって、高品質化のニーズも高まってきてい
る。このような背景の中、低Al操業であってもドロスに
起因する表面欠陥のない溶融亜鉛めっき鋼板の製造技術
の確立が求められている。
【0008】したがって、本発明の目的は、低Al操業で
あっても浴内におけるドロスの鋼板表面への付着による
ドロス欠陥、さらには酸化物付着による押込み表面傷発
生、表面酸化による外観悪化などの表面欠陥のない溶融
亜鉛めっき鋼板の製造装置およびそれへのめっき原料補
給方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の目
的達成のために種々検討を重ね、次のような知見を得、
本発明を完成した。 (1) ドロスは粗大化して鋼板に付着すると、合金化処理
した後プレスした場合にドロス欠陥となるが、鋼板に付
着しても微粒子状態であれば合金化処理工程で行う加熱
処理に際して拡散消失するか、仕上げ工程で行う調質圧
延に際して消失し、無害となる。
【0010】(2) いわゆるドロスは生成初期にはめっき
浴内に微粒子として浮遊しているが、これらの微粒子は
系内が小容量の場合、絶えず十分攪拌されており、鋼板
に付着しやすく、成長して沈降する前に無害な状態で系
外排出される。
【0011】(3) 従来のめっき槽の50%以下、好ましく
は30%以下にまでめっき槽を小容量化し、浴流れに対す
るデッドスペースをなくし、さらにめっき浴の量を減ら
すことにより、鋼板の通板移動およびシンクロールの回
転による系内の攪拌力が大きくなりドロスの沈降化を抑
えることができる。例えば、通常の容量200 トン前後の
メッキ槽では30,000T/月生産の操業を行った場合、その
収容する溶融亜鉛の量は、約半月分の消費量に相当する
が、30トン程度のめっき槽であれば収容される溶融亜鉛
は2日で入れ替えとなり、ドロス成長時間、つまり浴内
滞留時間は、1/7 にまで短縮され、結局成長に要する十
分な時間がなくなり、常に微粒子を維持できる。
【0012】(4) 上記手段により、ドロス欠陥を防止で
きるものの、上記手段を不活性ガスまたは非酸化性雰囲
気で行なうと、表面酸化物欠陥の発生も防止できる。
【0013】(5) この不活性ガスまたは非酸化性ガスを
供給する手段として、浴中に散気管を設け、バブリング
して供給すると、前記の浮遊物の攪拌効果がより大きく
なり、浮遊物の系外排出が促進される。
【0014】(6) この時のバブリングの量を抑制する
と、小量のめっき浴で温度変動が大きくても、めっき浴
温をほぼ一定に保つことも可能である。すなわち、めっ
き槽は通常460 ℃前後に保たれるが、めっき浴に侵入し
てくる鋼板温度は通常、460 〜500 ℃であり、放熱分を
考えても熱供給オーバー気味となる。この冷却手段とし
て室温不活性ガスを浴中に吹込み、前述の雰囲気調整と
攪拌効果に加え、浴温の制御も行なうことができる。
【0015】(7) さらにめっき層を小容量化した場合、
絶えずめっき成分を補給する必要があるが、そのための
手段としてインゴットの浴内浸漬量をコントロールして
液面を精度よくコントロールできる。
【0016】ここに、本発明の要旨とするところは、シ
ンクロール、サポートロールおよびめっき槽を備えた溶
融亜鉛めっき鋼板の製造装置において、前記めっき槽は
その底部とシンクロール下面との距離が200mm 以下、鋼
板がシンクロールに接触するまでの該鋼板の通板ライン
とめっき槽の内壁の距離は200mm 以下、さらにシンクロ
ールにより方向変更された後の鋼板の通板ラインとめっ
き槽の内壁との距離は700mm 以下であることを特徴とす
る表面欠陥の少ない溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置であ
る。
【0017】本発明にあってはめっき槽の小容量化を具
体的に規定すべく配列を数値でもって限定しているが、
これは要するに、走行する鋼板の走行ライン、つまり広
幅面の軌跡に可及的に近接して沿うようにめっき内壁面
を配置させることである。
【0018】本発明の好適態様によれば、前記シンクロ
ールの上流にスナウトと、前記サポートロールの下流に
ガスワイピング装置を設け、このスナウトからガスワイ
ピング装置までの通板ラインおよびめっき浴面が不活性
ガスおよび/ または還元性ガス雰囲気とするシール手段
をめっき槽上部に設けてもよい。
【0019】上述のシール手段を設けることによって溶
融亜鉛めっき鋼板の表面酸化は効果的に防止されるが、
さらに好ましくは、不活性ガスおよび/または還元性ガ
スをめっき浴内にバブリングにより供給することによっ
て系内の攪拌力を増し、ドロス巻き上げを促進すること
でドロス欠陥を一層効果的に防止できる。
【0020】さらに、前記不活性ガスおよび/ または還
元性ガスのバブリングのための散気管をめっき槽内に設
けてもよい。また、別の面からは、本発明は、めっき原
料の塊状体をめっき浴中に部分的に浸漬し、該めっき原
料の浸漬深さを調整することにより、めっき浴面高さを
制御することを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造装
置へのめっき原料補給方法である。
【0021】
【作用】次に、添付図面を参照しながら本発明をさらに
具体的に説明する。図1は、本発明にかかる溶融亜鉛め
っき鋼板の製造装置である亜鉛めっき装置の概略説明図
であり、図中、めっき槽本体10は、例えば1700×800×3
500 mm 程度と従来のもの( 例: 4000×1800×3500mm)
と比較してほぼ1/5 程まで小容量となっている。図1で
ハッチを入れて示す領域が従来のめっき槽のうちの不要
スペースである。走行する鋼板12とめっき槽内壁14との
距離および液面16の高さならびにシンクロールの配置は
次のように規定されている。
【0022】A: 鋼板がシンクロールに接触するまでの
鋼板の広幅面とめっき槽の内壁との間の距離(mm) B: めっき浴面とシンクロール上面との間の距離(mm) C: めっき槽底部とシンクロール下面との間の距離(mm) D: シンクロールにより方向変更された後の鋼板の広幅
面とめっき槽の内壁との間の距離(mm)鋼板を溶融亜鉛め
っきする際には、スナウト20を経て浴内に案内された鋼
板12はめっき浴に侵入・浸漬されながら鋼板12の走行ラ
インに沿って平行して設けられためっき槽の内壁14に沿
って走行し、シンクロール24を周回してからは一対のサ
ポートロール25を経て上方向に引き上げられる。
【0023】めっき浴を出たところで目付け量を調整す
る。図示例にあってはガスワイピングノズル26が設けら
れているが、これは従来のものであってもよく、めっき
槽全体をコンパクトに構成することからめっき槽10の上
部空間のガスシール領域内に設けることができる。ある
いは変更例としてはめっき槽上方に設けて全体をガスシ
ールしてもよい。
【0024】めっき浴面はめっき槽上に設けたシール板
28であるシール手段によって外部との接触を断たれて内
部を還元性ガスまたは不活性ガス雰囲気( 例:窒素ガス
雰囲気) に保持しており、このガスシール領域内に前記
ガスワイピングノズル26が配置されてもよい。この領域
内の不活性ガス雰囲気によって浴面および鋼板のめっき
面の酸化が防止される。ガスワイピングノズル26からワ
イピングガスとして窒素ガスなどの不活性ガスあるいは
還元性ガスが供給される場合、上記ガスシール領域への
導入ガスをそれに代えてもよい。
【0025】図中、符号30で示すのは還元性ガスまたは
不活性ガス( 例: 窒素ガス) 用のセラミックス製散気管
であって、浴内にバブリングされた還元性ガスまたは不
活性ガスは浴を冷却するとともに撹拌して浮遊物の鋼板
への付着を促進するとともにシール板28内の雰囲気を還
元性ガスまたは不活性ガス雰囲気とするのに有効であ
る。インゴット36はめっき浴の補充用、つまり定常状態
でのめっき面の維持のためであって、また操業時にめっ
き面がなんらかの原因で変動する場合には、このインゴ
ット36を上下させることによって浸漬量を調節し、めっ
き浴の上面を常に一定高さに保持する機能を有する。
【0026】ここに、本発明によれば、鋼板が侵入して
からシンクロールに達するまでにおいて、鋼板広幅面と
めっき槽内壁との距離を200mm 以内、好ましくは100 mm
以内とする。シンクロールにより垂直方向に方向転回さ
れた鋼板とめっき槽内壁との距離は700mm 以内、一般に
は100 〜700 mm、好ましくは200mm 以内とする。またシ
ンクロール下面とめっき槽底面との距離が200mm 以内、
好ましくは100 mm以内とする。
【0027】本発明の好適態様によれば、図1に示すよ
うに、連続式溶融亜鉛めっき設備のめっき槽10におい
て、スナウト20とめっき槽の内壁14とを一体構造とする
ことによって、めっき槽をよりコンパクト化することが
できる。したがって、スナウト20から侵入する鋼板12は
スナウト延長面状の面に沿って移動し、最少限の壁との
距離 (100 mm以内) を保つ。シンクロール上、下面も10
0 mm以内に保つ。これらの近接により系内攪拌を十分に
保つことができる。
【0028】垂直に方向転回した鋼板のサイドの内壁と
の距離も短いほど攪拌力向上のために望ましいが、めっ
き原料供給のため100 〜700 mm以内の距離を保ち、めっ
き原料の供給と攪拌力をバランスできる。このようにめ
っき槽を小容量化することにより小さなスペースで不活
性ガス雰囲気シールを行い、そのシール領域内でガスワ
イピングノズル26により目付制御を実施すれば、めっき
面の酸化は完全に防止でき、表面酸化欠陥生成を効果的
に阻止できる。
【0029】ガスワイピングノズル26の上流に設けた一
対のサポートロール25、25はスナップロールとしてパス
安定化、反り矯正機能を有する。ところで、上述のよう
な溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置へのめっき原料の供給
方法として、インゴットの浸漬量により液面高さを一定
に保つように制御してもよい。ただし、原料の形態とし
てはインゴットの他に板状、線材、粉体添加も含まれ
る。浸漬量を変えることで液面高さを変えるということ
からは、大型のインゴットが好ましい。
【0030】めっき浴成分の調整方法として、Al=0.
05〜0.20%、Al≒0%、Al=1〜100 %のめっき原
料を使用することが好ましい。本発明によれば、めっき
槽の小容量化で、スナウト後部のデッドスペース (不要
スペース) がなくなり液の停滞部分がなくなり、攪拌力
は大幅に向上する。そのためドロスを生成する微粒子は
十分に成長しないうちにめっき鋼板表面に付着するなど
して槽外に取り出され、槽内に堆積しない。また収容す
る溶融亜鉛の量も、例えば 30 〜40トンと少なく、浴組
成の変更の速やかに行い得るばかりでなく、溶融亜鉛め
っき浴を維持するためのエネルギー量が少なくて済むな
どの利点の他、次のような利益が得られる。
【0031】(1) 既存の大容量めっき槽を使用して改造
が可能である。 (2) 浴中機器と浴との接触部分が減少し、めっき浴中へ
のFeの溶出も減少させることができる。 (3) 浸漬しているインゴットは液面レベルのコントロー
ル機能を持つと同時に、邪魔板の機能をもたせることが
でき、攪拌効果を一層上げることができる。 (4) 上記の省スペースによりめっき槽内における約半月
の溶融亜鉛保有量が2日分程度に低減され、小ロット多
品種の迅速対応が可能である。 (5) 雰囲気シールを行なうと、表面酸化物欠陥も防止で
き、ドロス欠陥、表面酸化物欠陥もともにない極めて表
面品質の良好な溶融亜鉛めっき鋼板の製造が可能であ
る。 次に、実施例によって本発明をさらに具体的に説明す
る。
【0032】
【実施例】図1に示す小容量めっき槽10 (約Zn容量30ト
ン) を試作し、ガスワイピングノズル26によりエア吹付
けで目付量コントロールを行った。さらにガスワイピン
グをN2で行ったもの、N2ガスワイピングに加え、不活性
ガスにより雰囲気シールを行い空気酸化しない条件下で
溶融亜鉛めっきを行ったものもそれぞれ実施した。
【0033】不活性ガスとしてはN2ガスを使用し、セラ
ミック散気管30にてめっき槽底部より吹込んだ。めっき
原料としてはAl濃度( トレース量、0.1 %、1%、10
%) の異なる亜鉛インゴット (約1トンの重量) あるい
は適宜小片インゴット(約20kg) 、板状のもの (例えば
カソードZn) 、ワイヤー状Al、塊状、粉体状Zn、Al、Zn
−Al混合物を適宜組み合わせて使用した。浴面のレベル
コントロールは約1トンのインゴットの浸漬度合で行
い、液面レベル計と押込み量を連動させ制御した。以上
のようなめっき条件の下で、めっき槽内壁と鋼板との距
離と表面欠陥との関係を各A、C、Dの距離を変えて後
24Hrを経た安定操業時のドロス欠陥数 (数/100m2)で評
価した。
【0034】(1) スナウトから入ってきた鋼板とメッキ
内壁との距離を変えて、ドロス欠陥量との関係を求め
た。距離としてはA=30、50、100 、200 、500 mmの5
水準にて比較した。ただし、シンクロール上面の液面か
らの距離および下面のめっき槽底部からの距離B=600
mm、距離C=100 mm、方向を変えてからの鋼板とめっき
槽内壁との距離D=700 mmとした。 (2) シンクロール下面のメッキ槽底部からの距離C=3
0、50、100 、200 、500mmの5水準にて比較した。ただ
し、A=100 mm、B=600 mm、D=700 mmとした。 (3) シンクロールにより垂直方向に方向転回された鋼板
とめっき槽内壁との距離をD=100 、300 、500 、700
、1000の5水準に変化させ比較した。ただし、A=100
mm、B=600 mm、C=100 mmとした。
【0035】操業は有効Al濃度0.08〜0.10重量%、スナ
ウト材温度480 ℃、浴温度460 ℃、ラインスピード 100
m/min、板厚1mm、板幅1800mm、材質としては極低炭材
を使用して評価した。ドロス欠陥数の計測は、プレス試
験機でプレスを行ってから、目視でもって発生ブツの数
を数えることで行った。これらの結果を図2ないし図8
にグラフで示す。
【0036】図2はドロス欠陥発生個数とAとの距離と
の関係を示すグラフである。図2に示すように、Aは20
0mm 以内、好ましくは100 mm以内であればドロス欠陥数
は25個以下と著しく減少する。図3はドロス欠陥発生個
数とCとの距離との関係を示すグラフである。図3に示
すようにCも同様に200mm 以内、好ましくは100 mm以内
でドロス欠陥数は20個以下と著しく減少する。図4はド
ロス欠陥発生個数とDとの距離との関係を示すグラフで
ある。図4に示すようにDは700 mm以内、好ましくは20
0mm 以内であればドロス欠陥数は10個以下となる。
【0037】図5は、不活性ガスの浴中への吹込み効果
を示すグラフであり、バブリングのための散気管からの
浴中への不活性ガス吹込みまたは不活性ガスワイピング
により酸化亜鉛欠陥発生個数をゼロにすることができ
る。ドロス欠陥の場合と同様に目視検査によって表面の
酸化亜鉛による疵の数を計測した。図6は、ドロス欠陥
生成に及ぼす同じく不活性ガスの吹込み効果を示すグラ
フである。散気管からの不活性ガス吹込量が増大するに
つれてドロス欠陥発生個数はより大きく減少している。
【0038】次に、上記で選定したA、C、D条件下で
インゴットによる浴面レベルコントロールの制御性を調
べたところ、図7に示すように±20mm以下の精度が出せ
ることが判った。なお、浴温度のコントロールも、N2
スの吹込みによる冷却により460 ℃目標値に対して図8
に1例を示すように±5℃以下の精度が得られた。
【0039】実施例2 図1の装置を使用してラインスピード100m/min、A=10
0、B=100 、C=600 、D=700 (mm)、不活性ガス散
気管からのN2ガス吹込み [バブリング](120 l/min)、そ
してN2ガスワイピング50 Nm3/minで溶融亜鉛めっきを行
い、次いで合金化処理を行ったところ、ドロス欠陥ばか
りか表面酸化欠陥のない外観が極めて良好な両面の合計
目付量100g/m2 の合金化処理鋼板が得られた。
【0040】
【発明の効果】本発明によりドロス欠陥、表面酸化欠陥
による表面疵および外観悪化等を大幅に改善できる。ま
た、小容量のめっき槽のため小ロット多品種要請にスム
ーズに対応でき、同時に省資源・省エネルギーの効果も
大きい。以上のように、本発明は、従来の溶融亜鉛めっ
きの考えを革新的に変える時代の要請に合致した発明で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置
の概略説明図である。
【図2】本発明の実施例の結果を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例の結果を示すグラフである。
【図4】本発明の実施例の結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例の結果を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例の結果を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例の結果を示すグラフである。
【図8】本発明の実施例の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 : めっき槽 12 : 鋼板 14 : めっき槽内壁 16 : 液面 20 : スナウト 24 : シンクロール 25 : サポートロール 26 : ガスワイピングノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−83637(JP,A) 特開 平3−166352(JP,A) 特開 平3−277755(JP,A) 特開 平4−323355(JP,A) 実開 昭63−110559(JP,U) 実開 平3−38354(JP,U)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シンクロール、サポートロールおよびめ
    っき槽を備えた溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置におい
    て、前記めっき槽はその底部とシンクロール下面との距
    離が200mm 以下、鋼板がシンクロールに接触するまでの
    該鋼板の通板ラインとめっき槽の内壁の距離は200mm 以
    下、さらにシンクロールにより方向変更された後の鋼板
    の通板ラインとめっき槽の内壁との距離は700mm 以下で
    あることを特徴とする表面欠陥の少ない溶融亜鉛めっき
    鋼板の製造装置。
  2. 【請求項2】 前記シンクロールの上流にスナウトと、
    前記サポートロールの下流にガスワイピング装置を有す
    る溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置であって、スナウトか
    らガスワイピング装置までの通板ラインおよびめっき浴
    面を不活性ガスおよび/または還元性ガス雰囲気とする
    シール手段をめっき槽上部に設けたことを特徴とする請
    求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】 前記不活性ガスおよび/または還元性ガ
    スのバブリングのための散気管をめっき槽内に設けたこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
  4. 【請求項4】 めっき原料の塊状体をめっき浴中に部分
    的に浸漬し、該めっき原料の浸漬深さを調整することに
    より、めっき浴面高さを制御することを特徴とする請求
    項1ないし3のいずれかに記載の溶融亜鉛めっき鋼板の
    製造装置へのめっき原料補給方法。
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