JP2008120698A - 不飽和エステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
光学部材、照明部材、自動車部材等をはじめとする様々な産業分野において利用可能なUV耐光性透明樹脂の原料として好適に用いることができる不飽和エステルの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
原料となる不飽和エステルとアルコールとの反応により、エステル交換された不飽和エステルを製造する方法であって、該製造方法は、蒸留塔を備えた反応器を用いて蒸留塔部から原料となる不飽和エステルを供給する工程を含む不飽和エステルの製造方法である。更に、前記製造方法は、副成するアルコールと原料となる不飽和エステルとを留出させ、蒸気留出口を有する蒸留塔によって蒸留する工程を含み、該蒸気留出口から出た留出蒸気を凝縮して一部を反応器に還流し、残りを留出させることによって更なる効果を発揮するものである。
【選択図】なし
光学部材、照明部材、自動車部材等をはじめとする様々な産業分野において利用可能なUV耐光性透明樹脂の原料として好適に用いることができる不飽和エステルの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
原料となる不飽和エステルとアルコールとの反応により、エステル交換された不飽和エステルを製造する方法であって、該製造方法は、蒸留塔を備えた反応器を用いて蒸留塔部から原料となる不飽和エステルを供給する工程を含む不飽和エステルの製造方法である。更に、前記製造方法は、副成するアルコールと原料となる不飽和エステルとを留出させ、蒸気留出口を有する蒸留塔によって蒸留する工程を含み、該蒸気留出口から出た留出蒸気を凝縮して一部を反応器に還流し、残りを留出させることによって更なる効果を発揮するものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、不飽和エステルの製造方法に関する。より詳しくは、UV耐光性透明樹脂の原料として好適に用いることができる不飽和エステルを製造する方法に関する。
不飽和エステルは、樹脂組成物の成分として樹脂を形成することができるものである。不飽和エステルを原料として得られる樹脂は、透明性及びUV耐光性に優れるものであり、かつ、ガラス等の透明無機材料に比べて成形加工性が良好であることから、光学部材、照明部材、自動車部材等をはじめとする様々な産業分野において利用可能なUV耐光性透明樹脂として好適に用ることができるものである。このようなUV耐光性透明樹脂の原料として用いられる不飽和エステルの1つとして、多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加して得られるアルコールと不飽和エステルとをエステル交換して得られる不飽和エステルがある。多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加して得られるアルコールと不飽和エステルとをエステル交換して得られる不飽和エステルは、不飽和エステルの中でも特に優れた透明性及びUV耐光性を発揮するものであり、上記用途により好適に用いることができる有用なものである。多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加して得られるアルコールと不飽和エステルとをエステル交換して得られる不飽和エステルは、その製造方法の違いによって着色の度合いが異なることが知られている。そのため、その製造方法を検討し、更に透明性に優れる樹脂とする技術が要望されており、また同時に、生産性高く製造する技術が望まれている。
更に、不飽和エステルの製造方法としては、蒸留塔を備えた反応器を用いてアルコールと原料となる不飽和エステルとのエステル交換反応を行う技術が種々提案されている。例えば、エステル交換反応の際、副生するアルキルアルコールを共沸溶媒と共に蒸留塔上部の留出口から除去し、留出口から留出させる蒸気の温度を、副生するアルキルアルコールと共沸する共沸溶媒との共沸温度以上かつ該共沸温度より2℃高い温度以下とし、かつ、蒸留塔の塔底温度を、共沸溶媒の沸点から10℃低い温度以上かつ共沸溶媒の沸点以下とするとする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この技術は、アルコールを系外に除去し、生産性良く目的物を製造できるとしている。しかしながら、副生アルコールの除去を更に充分とし、また、収率をより高いものとする工夫の余地があった。また、蒸留塔を備えた反応器を用い、蒸留塔の常圧換算温度を最上段で63〜68℃、中間段では68〜90℃、最下段では90〜100℃となるように還流比を制御しながら上記付加反応を行う技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この技術は、副生アルコールを系外に除去し、平衡反応である上記付加反応を促進することを可能とすることにより、生産性良く目的物を製造できるとしている。しかしながら、反応器における副生アルコールの除去を更に充分なものとし、目的物である不飽和エステルの収率を更に高いものとし、かつ、着色を更に低減する工夫の余地があった。
特開2004−189650号公報(第1−2項)
特願2004−553529号公報(第1−2項)
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、光学部材、照明部材、自動車部材等をはじめとする様々な産業分野において利用可能なUV耐光性透明樹脂の原料として好適に用いることができる不飽和エステルの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、不飽和エステルの製造方法について種々検討したところ、アルコールと原料となる不飽和エステルとのエステル交換反応は平衡反応であり、反応が進むにしたがって副生するアルコールが反応器内において増加することによって上記エステル交換反応が妨げられるため、副生するアルコールを反応器から系外に充分除去することによって、不飽和エステルの生産性を向上することができることに着目した。蒸留塔を備えた反応器を用いて蒸留塔部から原料となる不飽和エステルを供給する工程を含む不飽和エステルの製造方法によって、副生アルコールの排出を促進することができ、反応時間を短縮できる。
また、反応に用いる原料となる不飽和エステルの量を低減できるため、目的物である不飽和エステルの生産性を向上し、また、更に着色を低減することができることを見いだし、上記課題をみごと解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
また、反応に用いる原料となる不飽和エステルの量を低減できるため、目的物である不飽和エステルの生産性を向上し、また、更に着色を低減することができることを見いだし、上記課題をみごと解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、原料となる不飽和エステルとアルコールとの反応により、エステル交換された不飽和エステルを製造する方法であって、上記製造方法は、蒸留塔を備えた反応器を用いて蒸留塔部から原料となる不飽和エステルを供給する工程を含む不飽和エステルの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
以下に本発明を詳述する。
上記製造方法において、蒸留塔部から原料となる不飽和エステルを供給するとは、反応器に直接供給せず、蒸留塔部に供給する実施形態を意味する。原料となる不飽和エステルを蒸留塔部に供給することによって、蒸留塔部における蒸気組成を共沸組成より高沸点とすることができるため、反応器ならびに蒸留塔内から副生アルコールの排出を促進することができ、それによって上記エステル交換反応を促進させることが可能となる。また、反応の効率が向上することによって、ヒドロキシル基に対する原料となる不飽和エステルの量を減少させることができる。以上によって、目的物の生産性の向上、並びに、物性及び品質を向上することができる。
なお、上述したように副生アルコールを効率的に除去するために、原料となる不飽和エステルの追加供給は蒸留塔部から行うことが好ましいが、反応の開始前に反応器内に原料となる不飽和エステルを仕込むことを妨げるものではなく、また、充分に副生アルコールを除去できる限りは、必要に応じて反応器内に直接原料となる不飽和エステルを供給してもよい。このように、上記製造方法は、蒸留塔部から原料となる不飽和エステルを供給する工程以外の工程を含んでもよい。なお、上記実施形態としては、原料となる不飽和エステルを蒸留塔部から留出分供給することが好ましい。蒸留塔部から留出分供給するとは、留出分で失われる原料となる不飽和エステルと同量を蒸留塔部を経由して供給することを意味するものである。
還流液に加え、留出分に相当する原料の不飽和エステルを塔頂部から追加供給することによって蒸留塔内の偏流が解消され、蒸留塔内の液濡れ性が向上するため、重合禁止剤の拡散が充分になり、塔内での重合をより防止できる。重合禁止剤は、反応系中で酸化されることによって着色の原因となるおそれがあるものであるから、重合禁止剤量を低減できれば、目的物の不飽和エステルの品質を向上することができる。したがって、上記製造方法によれば、従来技術に比較して目的物の不飽和エステルの品質を向上することができる。
一般的に、塔頂部からの原料留出による原料ロスを抑止するためには、蒸留塔内部の組成を高沸点組成とするために加熱量を増大させ、上昇蒸気量を増加させ、大きな還流比による塔頂組成の制御を行うこと、及び/又は、多くの段数を持つ蒸留塔を使用することによる塔頂組成の制御を行うことが考えられるが、これらはいずれも消費熱量が増大する方向となり、コスト面で不利である。
なお、上述したように副生アルコールを効率的に除去するために、原料となる不飽和エステルの追加供給は蒸留塔部から行うことが好ましいが、反応の開始前に反応器内に原料となる不飽和エステルを仕込むことを妨げるものではなく、また、充分に副生アルコールを除去できる限りは、必要に応じて反応器内に直接原料となる不飽和エステルを供給してもよい。このように、上記製造方法は、蒸留塔部から原料となる不飽和エステルを供給する工程以外の工程を含んでもよい。なお、上記実施形態としては、原料となる不飽和エステルを蒸留塔部から留出分供給することが好ましい。蒸留塔部から留出分供給するとは、留出分で失われる原料となる不飽和エステルと同量を蒸留塔部を経由して供給することを意味するものである。
還流液に加え、留出分に相当する原料の不飽和エステルを塔頂部から追加供給することによって蒸留塔内の偏流が解消され、蒸留塔内の液濡れ性が向上するため、重合禁止剤の拡散が充分になり、塔内での重合をより防止できる。重合禁止剤は、反応系中で酸化されることによって着色の原因となるおそれがあるものであるから、重合禁止剤量を低減できれば、目的物の不飽和エステルの品質を向上することができる。したがって、上記製造方法によれば、従来技術に比較して目的物の不飽和エステルの品質を向上することができる。
一般的に、塔頂部からの原料留出による原料ロスを抑止するためには、蒸留塔内部の組成を高沸点組成とするために加熱量を増大させ、上昇蒸気量を増加させ、大きな還流比による塔頂組成の制御を行うこと、及び/又は、多くの段数を持つ蒸留塔を使用することによる塔頂組成の制御を行うことが考えられるが、これらはいずれも消費熱量が増大する方向となり、コスト面で不利である。
上記蒸留塔を備えた反応器とは、特に限定されないが、例えば、泡鐘トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、ジェットトレイ、ターボグリッドトレイ、リップルトレイ、デュアルフロートレイ、キッテルトレイ、パッフルトレイ等の棚段式蒸留塔、ラシヒリング、ベルルサドル、マクマホンパッキング、カスケードミニリング、キャノン、ポールリング等の不規則充填物を充填した充填塔式蒸留塔、スルザーパッキング、メラパック、ジェムパック、テクノパック、モンツパック、グリッチグリッド、フレキシグリッド、スナップグリッド、パーフォームグリッド等の規則充填物を充填した充填塔式蒸留塔、等の蒸留塔に還流装置を備えたものを用いることができる。特に、還流装置を備えた蒸留塔にスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製充填物)を充填したものが好適に用いられる。
蒸留塔の理論段数としては、1段以上30段以下であることが好ましい。より好ましくは2段以上20段以下であり、更に好ましくは3段以上15段以下であり、特に好ましくは5〜10段である。最も好ましくは6〜7段である。なお、上記蒸留塔を備えた反応器とは、図1における1及び2の部分である。
蒸留塔の理論段数としては、1段以上30段以下であることが好ましい。より好ましくは2段以上20段以下であり、更に好ましくは3段以上15段以下であり、特に好ましくは5〜10段である。最も好ましくは6〜7段である。なお、上記蒸留塔を備えた反応器とは、図1における1及び2の部分である。
上記原料となる不飽和エステルとは、不飽和結合とエステル結合とを有する化合物であるが、1分子中に少なくとも1つのエステル結合を有し、かつ、エステル部分(−COOR基の部分、Rは、1価の有機基を表す。)以外の部分に少なくとも1つの不飽和結合を有する化合物を必須とすることになる。上記原料となる不飽和エステルは、1分子中に2個以上の不飽和結合を有する化合物であってもよい。1分子中に2個以上の不飽和結合を有する場合には、重合性不飽和結合がCOOR基のRの部分に存在していてもよい。
すなわち、上記不飽和エステルとしては、例えば、次の3つの形態、(1)分子中に重合性不飽和結合を1つ有する化合物であり、該重合性不飽和結合は、エステル部分以外の部分に存在する形態、(2)分子中に重合性不飽和結合を1つ有する化合物であり、該重合性不飽和結合は、エステル部分に存在する形態、(3)分子中に2つ以上の重合性不飽和結合を有する形態であり、該重合性不飽和結合がエステル部分以外とともに、エステル部分にも存在する形態であることが考えられるが、本発明においては、上記(1)及び(3)の形態の不飽和エステルが原料として適したものとなる。
また、アルコールが有する水酸基とエステル交換反応(以下、単にエステル交換反応と称することがある。)を行うことができる化合物であることが好適である。
上記原料となる不飽和エステルとして好適なものとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等のような(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上を挙げることができる。
更に、上記原料となる不飽和エステルとしてより好ましくは、下記一般式(1)
すなわち、上記不飽和エステルとしては、例えば、次の3つの形態、(1)分子中に重合性不飽和結合を1つ有する化合物であり、該重合性不飽和結合は、エステル部分以外の部分に存在する形態、(2)分子中に重合性不飽和結合を1つ有する化合物であり、該重合性不飽和結合は、エステル部分に存在する形態、(3)分子中に2つ以上の重合性不飽和結合を有する形態であり、該重合性不飽和結合がエステル部分以外とともに、エステル部分にも存在する形態であることが考えられるが、本発明においては、上記(1)及び(3)の形態の不飽和エステルが原料として適したものとなる。
また、アルコールが有する水酸基とエステル交換反応(以下、単にエステル交換反応と称することがある。)を行うことができる化合物であることが好適である。
上記原料となる不飽和エステルとして好適なものとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等のような(メタ)アクリル酸エステルの1種又は2種以上を挙げることができる。
更に、上記原料となる不飽和エステルとしてより好ましくは、下記一般式(1)
で表される化合物である。上記一般式(1)については以下に説明する。式中、R1、及び、R2は、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。R3は、水素原子、メチロール基、又は、有機基を表す。R4は、有機基を表す。
上記R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であることが好ましい。より好ましくは、水素原子である。上記R3は、水素原子、メチロール基、又は、炭素数1〜3の有機基であることが好ましい。より好ましくは、水素原子、メチロール基、又はメチル基である。上記R4は、炭素原子数が1〜12の炭化水素基であることが好ましい。より好ましくは炭素原子数1〜8炭化水素基であり、更に好ましくは炭素原子数が1〜4炭化水素基であり、特に好ましくはメチル基又はエチル基である。
上記R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜3の有機基であることが好ましい。より好ましくは、水素原子である。上記R3は、水素原子、メチロール基、又は、炭素数1〜3の有機基であることが好ましい。より好ましくは、水素原子、メチロール基、又はメチル基である。上記R4は、炭素原子数が1〜12の炭化水素基であることが好ましい。より好ましくは炭素原子数1〜8炭化水素基であり、更に好ましくは炭素原子数が1〜4炭化水素基であり、特に好ましくはメチル基又はエチル基である。
上記アルコールは、分子中に1個以上のヒドロキシル基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エイコシルアルコール等の1価アルコール類;ブチルエチルプロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,6−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール等の炭素数4〜20のアルカンジオール、ネオペンチルグリコールとヒドロキシピバリン酸とのモノ又はジエステル化物、β,β,β’,β’−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−3,9−ジエノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール類;トリメチロールエタン、ジメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、トリメチロールヘキサン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビタン、ソルビトール、果糖、ショ糖等の3価以上のアルコール類;ポリビニルアルコール;これらの化合物が有する酸素原子の1個以上が硫黄原子に置換したチオアルコール類等、更に上記アルコールにアルキレンオキサイドを付加して得られるアルコール等が挙げられる。
上記アルコールは、原料となるアルコールにアルキレンオキサイドを付加させて得られるアルコール(以下、ポリオキシオキシアルキレン付加物と称することがある。)であることが好ましい。これによって、目的物の不飽和エステルの親水性を適度に調節することができ、また、合成する樹脂の着色を充分に低減することが可能となる。なお、原料となるアルコールにアルキレンオキサイドを付加させる反応(以下、付加反応、又は、付加反応工程と称することがある。)は、例えば、これらを混合した組成物をアルカリ触媒下で加熱することによって行うことができる。例えば、ネオペンチルグリコールにエチレンオキサイドを付加させる反応は、下記式(2)のように行うことができる。
上記式(2)については、以下に説明する。式中、ネオペンチルグリコールは、上記原料となるアルコールとして用いるものである。式中、エチレンオキサイドは、上記付加させるアルキレンオキサイドとして用いるものである。なお、上記式(2)は、上記付加反応の一例であって、ネオペンチルグリコールに代えてその他のアルコールを原料として行うこともでき、また、エチレンオキサイドに代えてその他のアルキレンオキサイドを原料として行うことができる。また、原料となるアルコールとは、上記エステル交換反応に供するアルコールではなく、上記式(2)で表されるように、上記エステル交換反応に用いるアルコールの原料となる化合物(以下、原料となるアルコールと称することがある。)である。また、単にアルコールと称する場合は、上記エステル交換に供するアルコールを意味するものとする。
上記付加反応に供するアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、イソブチレンオキサイド、1−ブテンオキサイド、2−ブテンオキサイド、スチレンオキサイド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。中でも、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドであることが好適であり、これにより、親水性や基材への相溶性により優れるポリオキシアルキレン付加物を得ることができ、様々な用途により好適なものとすることが可能となる。
上記エステル交換法において、上記アルコールと上記原料となる不飽和エステルとの仕込みモル比(アルコールの水酸基:上記原料となる不飽和エステル)としては、例えば、1:1〜1:20であることが好ましい。より好ましくは、1:1.5〜1:10であり、更に好ましくは、1:2〜1:5である。なお、上記仕込みモル比には、蒸留塔部に追加する原料となる不飽和エステルの量が含まれないものとする。
上記エステル交換反応に使用可能な触媒としては特に限定されないが、例えば、アルカリ金属アルコラート、マグネシウムアルコラート、アルミニウムアルコラート、チタンアルコラート、ジブチルスズオキサイド、陰イオン交換樹脂等が挙げられる。触媒の使用量は、例えば、反応の総仕込量100質量%に対して、0.01〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.05〜5質量%であり、更に好ましくは、0.1〜3質量%である。なお、反応後には、通常の手法により触媒を除去することが好適であるが、必ずしも必要ではない。
上記エステル交換法においては、原料となる不飽和エステルが重合することを防止することを目的として、反応系に重合防止剤を添加することが好適である。重合防止剤としては、例えば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(4H−TEMPO)及びその誘導体(TEMPO誘導体);ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、及び、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール等のフェノール類;ベンゾキノン、ジフェニルベンゾキノン等のキノン類;フェノチアジン;銅塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。重合防止剤の使用量は、例えば、反応の総仕込量100質量%に対して、0.0001〜2質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.005〜0.5質量%である。
上記エステル交換反応に溶媒を使用することも可能である。使用可能な溶媒としては特に限定されないが、例えば、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロへキサン、メチルシクロへキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、シメン等が挙げられる。溶媒は、一種あるいは二種以上を混合して使用してもよい。
また、上記エステル交換反応において、加熱負荷による取得品の着色を抑制し、かつ生産性を低下させないために、反応器内の温度を80〜160℃として行うことが好ましい。上記温度が160℃を越えると、ポリオキシアルキレン鎖が熱分解を起こすおそれや、熱重合を起こすおそれがあり、着色が充分に低減された不飽和エステルを安定的に得ることが困難である。また、80℃未満であると、エステル交換反応が充分に進行しないおそれがある。より好ましくは、90〜130℃である。更に好ましくは、100〜125℃である。
上記製造方法で製造する不飽和エステルとしては、原料となるアルコールにアルキレンオキサイドを付加して得られるアルコールと原料となる不飽和エステルとをエステル交換させて得られる不飽和エステルであることが好ましい。原料となるアルコールにアルキレンオキサイドを付加して得られるアルコールを用いることにより、UV耐光性樹脂の原料として好適なものとなる。原料となるアルコールにアルキレンオキサイドを付加する際は、例えば、下記式(3)のようにして行うことが好適である。
上記反応式(3)については以下に説明する。式中、m及びnは、ネオペンチルグリコールが有する水酸基にアルキレンオキサイドが付加することによって形成される繰り返し単位の平均モル数を表す。
上記アルコールが有する水酸基1モルあたりに形成される繰り返し単位の平均モル数は、0.1〜100モルであることが好ましい。より好ましくは0.5〜30モルであり、更に好ましくは0.7〜10モルであり、特に好ましくは1.0〜2.2モルであり、最も好ましくは2.0モルである。
上記アルコールが有する水酸基1モルあたりに形成される繰り返し単位の平均モル数は、0.1〜100モルであることが好ましい。より好ましくは0.5〜30モルであり、更に好ましくは0.7〜10モルであり、特に好ましくは1.0〜2.2モルであり、最も好ましくは2.0モルである。
上記製造方法は、副成するアルコールと原料となる不飽和エステルとを留出させ、蒸気留出口を有する蒸留塔によって蒸留する工程を含み、上記蒸気留出口から出た留出蒸気を凝縮して一部を蒸留塔経由で反応器に還流し、残りを留出させることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記の蒸気留出口から出た留出蒸気を凝縮して一部を蒸留塔に還流し、残りを留出させるとは、凝縮される留出蒸気のすべてを蒸留塔に還流させず、一部を留出して廃棄し、留出させないものを蒸留塔に還流させることを意味するものである。上記製造方法を上記形態とすることにより、蒸留塔部の温度を適切なものとすることができ、副生するアルコールを効率的に除去することが可能となるため、更に本発明の効果を発揮することができる。
なお、上記留出蒸気を凝縮する凝縮器としては、通常用いる凝縮器を用いることができる。例えば、多管式熱交換器を用いることができる。上記のように反応器に還流する際は、通常用いるポンプを用いることができる。例えば、ダイアフラムポンプやプランジャーポンプ等の定量ポンプを用いることができる。
なお、蒸気留出口から出た留出蒸気を凝縮して一部を蒸留塔に還流し、残りを留出させるとは、一部を蒸留塔を経由しないで反応器に直接還流させることを意味するものではない。
上記の蒸気留出口から出た留出蒸気を凝縮して一部を蒸留塔に還流し、残りを留出させるとは、凝縮される留出蒸気のすべてを蒸留塔に還流させず、一部を留出して廃棄し、留出させないものを蒸留塔に還流させることを意味するものである。上記製造方法を上記形態とすることにより、蒸留塔部の温度を適切なものとすることができ、副生するアルコールを効率的に除去することが可能となるため、更に本発明の効果を発揮することができる。
なお、上記留出蒸気を凝縮する凝縮器としては、通常用いる凝縮器を用いることができる。例えば、多管式熱交換器を用いることができる。上記のように反応器に還流する際は、通常用いるポンプを用いることができる。例えば、ダイアフラムポンプやプランジャーポンプ等の定量ポンプを用いることができる。
なお、蒸気留出口から出た留出蒸気を凝縮して一部を蒸留塔に還流し、残りを留出させるとは、一部を蒸留塔を経由しないで反応器に直接還流させることを意味するものではない。
上記製造方法は、反応器に還流する比率を略一定として行うこともまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記製造方法が上記形態となることにより、蒸留塔部における温度制御を行う必要がなくなるため、工業的に大規模な設備を用いる場合にも好適に用いることができるものとなる。上記反応器に還流する比率とは、留出物の質量1に対する反応器に還流させる物質の質量の比(還流物の質量/留出物の質量)を意味するものであって、以下、上記質量比を単に還流比と称することがある。上記還流物の質量には、追加供給される原料となる不飽和エステルの質量は含まれない。
なお、上記還流比は、5.0〜10.0であることが好ましい。より好ましくは6.0〜8.0であり、更に好ましくは6.5〜7.7である。
また、略一定とは、おおよそ一定とすることを意味するものであり、基準値から±50%以内として行うことを意味する。好ましくは±40%以内、より好ましくは±30%以内として行うことである。上記還流比を略一定として行うことによって、蒸留塔部における留出蒸気組成及び温度をより好適なものとすることができ、副生アルコールを充分に系外に除去し、上記エステル交換反応を促進させることができる。更に、上記還流比を略一定とすることは、反応開始から反応終了まで絶え間なく還流比を一定にすることを必須とするものではなく、例えば、反応初期において、塔内温度が安定するまでは留出蒸気の全量を還流させてもよいが、塔内温度が安定した後は、上記還流比を一定とすることが好ましい。上記還流比を略一定とすることは、ポンプを適宜使用することによって好適に行うことができる。
上記製造方法が上記形態となることにより、蒸留塔部における温度制御を行う必要がなくなるため、工業的に大規模な設備を用いる場合にも好適に用いることができるものとなる。上記反応器に還流する比率とは、留出物の質量1に対する反応器に還流させる物質の質量の比(還流物の質量/留出物の質量)を意味するものであって、以下、上記質量比を単に還流比と称することがある。上記還流物の質量には、追加供給される原料となる不飽和エステルの質量は含まれない。
なお、上記還流比は、5.0〜10.0であることが好ましい。より好ましくは6.0〜8.0であり、更に好ましくは6.5〜7.7である。
また、略一定とは、おおよそ一定とすることを意味するものであり、基準値から±50%以内として行うことを意味する。好ましくは±40%以内、より好ましくは±30%以内として行うことである。上記還流比を略一定として行うことによって、蒸留塔部における留出蒸気組成及び温度をより好適なものとすることができ、副生アルコールを充分に系外に除去し、上記エステル交換反応を促進させることができる。更に、上記還流比を略一定とすることは、反応開始から反応終了まで絶え間なく還流比を一定にすることを必須とするものではなく、例えば、反応初期において、塔内温度が安定するまでは留出蒸気の全量を還流させてもよいが、塔内温度が安定した後は、上記還流比を一定とすることが好ましい。上記還流比を略一定とすることは、ポンプを適宜使用することによって好適に行うことができる。
上記製造方法は、蒸気留出口における留出蒸気のモル組成比が連続的に変化することもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記留出蒸気のモル組成比が連続的に変化する形態としては、還流口から塔頂へ追加する原料となる不飽和エステルの供給量が、留出により反応系外に排出された原料となる不飽和エステルの量と同量となる実施形態が好ましい。より好ましくは、蒸留塔部において、アルコールと原料となる不飽和エステルとのモル比(アルコール:原料となる不飽和エステル)が0.9:0.1となる留出蒸気のモル組成比として開始され、反応終了時まで連続的に変化し、反応終了時に上記留出蒸気のモル組成比が0.1:0.9となる実施形態である。上記モル組成比が0.9:0.1〜0.1:0.9の範囲内となる実施形態によって、副生アルコールの除去をより充分なものとし、上記エステル交換反応が促進される。
上記製造方法においては、上記エステル交換反応の進行に伴い、反応器内に存在する目的物の不飽和エステルが相対的に増加していくこととなるが、上記エステル交換反応が平衡反応であることに起因して、逆方法の反応が起こりやすくなり、上記エステル交換反応の効率が落ちるおそれがある。そこで、上記のような形態として行うことによって、副生アルコールを充分に系外に除去することが可能となり、反応が終期に近づいても反応を充分に進行させることができる。
なお、上記のように蒸気留出口における留出蒸気のモル組成比を連続的に変化させることは、上記反応器に還流する比率を略一定として行うことによって好適に行うことできる。
上記留出蒸気のモル組成比が連続的に変化する形態としては、還流口から塔頂へ追加する原料となる不飽和エステルの供給量が、留出により反応系外に排出された原料となる不飽和エステルの量と同量となる実施形態が好ましい。より好ましくは、蒸留塔部において、アルコールと原料となる不飽和エステルとのモル比(アルコール:原料となる不飽和エステル)が0.9:0.1となる留出蒸気のモル組成比として開始され、反応終了時まで連続的に変化し、反応終了時に上記留出蒸気のモル組成比が0.1:0.9となる実施形態である。上記モル組成比が0.9:0.1〜0.1:0.9の範囲内となる実施形態によって、副生アルコールの除去をより充分なものとし、上記エステル交換反応が促進される。
上記製造方法においては、上記エステル交換反応の進行に伴い、反応器内に存在する目的物の不飽和エステルが相対的に増加していくこととなるが、上記エステル交換反応が平衡反応であることに起因して、逆方法の反応が起こりやすくなり、上記エステル交換反応の効率が落ちるおそれがある。そこで、上記のような形態として行うことによって、副生アルコールを充分に系外に除去することが可能となり、反応が終期に近づいても反応を充分に進行させることができる。
なお、上記のように蒸気留出口における留出蒸気のモル組成比を連続的に変化させることは、上記反応器に還流する比率を略一定として行うことによって好適に行うことできる。
上記製造方法は、原料となる不飽和エステルを蒸留塔の上部から供給することもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記製造方法が上記形態となることにより、蒸留塔上部の留出蒸気の温度を上昇させることができ、副生するアルコールを更に充分に除去することができるため、上記エステル交換反応を促進させることが可能となる。上記蒸留塔の上部とは、蒸留塔の全理論段の上側半分を意味するものである。上記蒸留塔の上部としては、塔頂より3段目以上であることが好ましい。より好ましくは、2段目以上であり、最も好ましくは、蒸留塔の蒸留塔塔頂部である。
上記製造方法が上記形態となることにより、蒸留塔上部の留出蒸気の温度を上昇させることができ、副生するアルコールを更に充分に除去することができるため、上記エステル交換反応を促進させることが可能となる。上記蒸留塔の上部とは、蒸留塔の全理論段の上側半分を意味するものである。上記蒸留塔の上部としては、塔頂より3段目以上であることが好ましい。より好ましくは、2段目以上であり、最も好ましくは、蒸留塔の蒸留塔塔頂部である。
上記アルコールは、多価アルコールであるであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記多価アルコールとは、1分子中に2個以上の水酸基を有するアルコールを意味する。上記アルコールは、多価アルコールであるであることにより、目的物の不飽和エステルの分子中に複数のオキシアルキレン基を導入することができ、得られる重合体に適度な親水性を付加し、透明性及び耐光性を充分なものとすることができる。上記多価アルコールの価数は、2価以上6価以下であることが好ましい。より好ましくは2価以上4価以下であり、更に好ましくは2価以上3価以下である。
上記多価アルコールの構造として好ましいものは、β−水素を有しないアルコール、又は、β−水素を有しないアルコールを原料としてアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が好適である)の付加により誘導されるアルコールである。
上記多価アルコールの沸点は、常圧において150℃以上であることが好ましい。より好ましくは200℃以上である。
上記多価アルコールと不飽和エステルとをエステル交換して不飽和エステルを製造する際は、原料アルコールと生成したエステルとを蒸留により分離精製することが困難である。本発明の製造方法によれば、多価アルコールのような沸点の高いアルコールであっても、残存する原料アルコールを反応により充分に低減すること、ならびに、加熱時間を充分に短縮することができる。
上記多価アルコールとは、1分子中に2個以上の水酸基を有するアルコールを意味する。上記アルコールは、多価アルコールであるであることにより、目的物の不飽和エステルの分子中に複数のオキシアルキレン基を導入することができ、得られる重合体に適度な親水性を付加し、透明性及び耐光性を充分なものとすることができる。上記多価アルコールの価数は、2価以上6価以下であることが好ましい。より好ましくは2価以上4価以下であり、更に好ましくは2価以上3価以下である。
上記多価アルコールの構造として好ましいものは、β−水素を有しないアルコール、又は、β−水素を有しないアルコールを原料としてアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が好適である)の付加により誘導されるアルコールである。
上記多価アルコールの沸点は、常圧において150℃以上であることが好ましい。より好ましくは200℃以上である。
上記多価アルコールと不飽和エステルとをエステル交換して不飽和エステルを製造する際は、原料アルコールと生成したエステルとを蒸留により分離精製することが困難である。本発明の製造方法によれば、多価アルコールのような沸点の高いアルコールであっても、残存する原料アルコールを反応により充分に低減すること、ならびに、加熱時間を充分に短縮することができる。
上記アルコールは、原料となるアルコールとしてβ−水素のないアルコールを用いて製造されるものであることが好ましい。β−水素を有する骨格は光による劣化を受けやすく、β−水素が脱離することによって目的物が着色するおそれがあるため、上記アルコール類はβ−水素を持たないことが好ましい。これにより、得られるポリオキシアルキレン付加物において、着色がより充分に低減されるとともに、その硬化物における耐光性や耐候性、無色透明性等の物性がより充分に向上されるため、例えば、光学材料や耐光性材料の原料として特に好適なものとすることが可能となる。このように、上記付加反応に供するアルコールがβ−水素を有しないアルコールである形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。なお、β−水素を有しないアルコールとは、言い換えれば、アルコール化合物(アルコール類)であって、アルコール化合物のβ−位の炭素原子等が結合するすべての原子が水素原子以外の炭素原子等である化合物である。上記β−水素のないアルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコールのヒドロキシピバリン酸とのモノ又はジエステル化物、β,β,β’,β’−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−3,9−ジエノール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、トリメチロールヘキサン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の芳香族炭化水素構造を有しない1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコール等が好適である。中でも、水酸基に対してβ−水素を含有しない1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物(例えば、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコールとヒドロキシピバリン酸とのモノ又はジエステル化物、β,β,β’,β’−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−3,9−ジエノール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、トリメチロールヘキサン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール)等が、光による劣化や変色に対する耐性が特に高いため、好適に用いることができる。
上記原料となるアルコールとして更に好ましくは、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、及び、ネオペンチルグリコールのヒドロキシピバリン酸とのモノ又はジエステル化物からなる群より選択される少なくとも1種のアルコールである。最も好ましくは、ネオペンチルグリコールである。これらのアルコール化合物は、β−位の炭素原子が結合するすべての原子が炭素原子であり、芳香族炭化水素構造を有しないものであり、1分子中に2個以上の水酸基を有するという点において共通する化学構造をもつことになり、本発明において同様の性能・効果を発現することになる。これにより、着色が充分に低減されるとともに、その硬化物における物性が向上されるという作用効果が更に充分に発揮されることとなる。
上記原料となるアルコールとして更に好ましくは、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、及び、ネオペンチルグリコールのヒドロキシピバリン酸とのモノ又はジエステル化物からなる群より選択される少なくとも1種のアルコールである。最も好ましくは、ネオペンチルグリコールである。これらのアルコール化合物は、β−位の炭素原子が結合するすべての原子が炭素原子であり、芳香族炭化水素構造を有しないものであり、1分子中に2個以上の水酸基を有するという点において共通する化学構造をもつことになり、本発明において同様の性能・効果を発現することになる。これにより、着色が充分に低減されるとともに、その硬化物における物性が向上されるという作用効果が更に充分に発揮されることとなる。
上記原料となる不飽和エステル化合物は、(メタ)アクリル酸エステルであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記原料となる不飽和エステル化合物が(メタ)アクリル酸エステルであることにより、
副生アルコールと好適な共沸組成を形成することができ、効率的に副生アルコールを系外に除去することができるため、更に反応の効率及び目的物の品質を向上させることができる。上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチルが最も好ましい。
上記原料となる不飽和エステル化合物が(メタ)アクリル酸エステルであることにより、
副生アルコールと好適な共沸組成を形成することができ、効率的に副生アルコールを系外に除去することができるため、更に反応の効率及び目的物の品質を向上させることができる。上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチルが最も好ましい。
上記製造方法の概要について図1を用いて説明すると、例えば、下記のようである。上記製造方法においては、反応器1でエステル交換反応を行い、エステル交換反応で副生するアルコール、及び、原料となる不飽和エステルを蒸留塔2へ排出し、それらを蒸留塔2において留出蒸気とし、蒸留塔2の塔頂部に存在する留出口から反応系外に排出する。その留出蒸気を凝縮器3で凝縮し、一部を留出して廃棄し、残りを反応器1に還流させるものであるが、その還流物にポンプ4を用いて原料となる不飽和エステルを加えてから蒸留塔2の上部に存在する還流口を経由して、反応器1に還流させることにより、原料となる不飽和エステルを反応器1に追加供給する。したがって、上述したような反応初期からの副生アルコールの追い出し効果が期待でき、更に、蒸留塔内の液濡れ性が向上することによって、不飽和エステルの重合防止効果等の効果を期待することができるものである。また、反応器に還流する比率を略一定として行うことは、ポンプ4の流量を調節することによって行うことができる。更に、原料となる不飽和エステルを蒸留塔の上部から供給する形態とは、蒸留塔2の上部に存在する還流口を経由して反応器1に供給することで行うことができる。
次に、従来技術について図2を用いて以下に説明する。従来技術では、原料となる不飽和エステルの供給を反応器1に直接的に行うのみであり、蒸留塔部2を経由して原料を供給することは行われていない。したがって、本発明の製造方法のような効果を期待することはできない。
次に、従来技術について図2を用いて以下に説明する。従来技術では、原料となる不飽和エステルの供給を反応器1に直接的に行うのみであり、蒸留塔部2を経由して原料を供給することは行われていない。したがって、本発明の製造方法のような効果を期待することはできない。
本発明の不飽和エステルの製造方法は、上述の構成よりなり、光学部材、照明部材、自動車部材等をはじめとする様々な産業分野において利用可能なUV耐光性透明樹脂として利用することができる不飽和エステルの製造方法である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
(ハーゼン単位色数の測定)
本発明の不飽和エステルの着色の程度は、ハーゼン単位色数の値により評価した。ハーゼン単位色数とは、白金−コバルトスケールを用いた化学製品の色試験方法であり、JIS K0071−1:1998に準じて測定した。
(収率)
収率とは、反応器に供したアルコール量を基準として目的物の反応収率を示すものであって、下記式により算出される値である。
収率(%)=100×[反応後に得られた目的物の不飽和エステルの量(mol)]/[反応器に仕込んだアルコールの量(mol)]
上記反応後に得られた目的物の不飽和エステルの量(mol)は、NMR(Varian社製・Unity Plus 400MHz)によって測定した。
本発明の不飽和エステルの着色の程度は、ハーゼン単位色数の値により評価した。ハーゼン単位色数とは、白金−コバルトスケールを用いた化学製品の色試験方法であり、JIS K0071−1:1998に準じて測定した。
(収率)
収率とは、反応器に供したアルコール量を基準として目的物の反応収率を示すものであって、下記式により算出される値である。
収率(%)=100×[反応後に得られた目的物の不飽和エステルの量(mol)]/[反応器に仕込んだアルコールの量(mol)]
上記反応後に得られた目的物の不飽和エステルの量(mol)は、NMR(Varian社製・Unity Plus 400MHz)によって測定した。
実施例1
塔頂部に還流口ならびに留出口を備えた理論段数6.5段のスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製充填物)を充填した蒸留塔付き100L反応器にメタクリル酸メチル20.45kg(204モル)、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド4モル付加物14.35kg(51モル)、ジブチル錫オキサイド0.215kg、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4H−TEMPO)1.43gを仕込んだ。ガス吹き込みラインより7容量%酸素(窒素バランス)を吹き込みながら内容物を加熱攪拌して、大気圧でエステル交換反応を開始した。
留出口から生成メタノールとメタクリル酸メチルの蒸気留出が始まった時点を反応開始とし、留出蒸気は凝縮して全量を還流させ、塔内温度を安定させた。更に凝縮器や蒸留塔内での重合を防止するため重合禁止剤(トパノールAO−30)の0.06重量%メタクリル酸メチル溶液を上昇蒸気量に対して50ppmとなるように凝縮器内への供給を開始した。
2時間20分後、塔内の温度が安定したため、留出量1に対し還流量が7.7(±30%)となるように還流比を調節し、系外に生成メタノールとメタクリル酸メチルを留出させ、同時に留出分のメタクリル酸メチルと同量のメタクリル酸メチルを還流口から塔頂への追加を開始し、エステル交換反応を進行させた。その時の塔頂温度は66.7℃、塔底温度は97.8℃、留出蒸気組成はメタノール80mol%、メタクリル酸メチル20mol%であった。
系外へのメタノールとメタクリル酸メチルの留去を開始してから1時間ごとに反応率をNMRによって追跡し、反応開始後6時間20分で終了した。
終了時の塔頂温度は91.6℃、塔底温度は100.7℃であり、留出蒸気組成はメタノール24mol%、メタクリル酸メチル76mol%であった。この時の反応器内の組成はネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート55.6%、メタクリル酸メチル41.4%、メタノール1.9%、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物0.3%であり、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレートの収率は99.2%、トパノールAO−30の含有量は139ppm、色相(ハーゼン)は70であった。
塔頂部に還流口ならびに留出口を備えた理論段数6.5段のスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製充填物)を充填した蒸留塔付き100L反応器にメタクリル酸メチル20.45kg(204モル)、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド4モル付加物14.35kg(51モル)、ジブチル錫オキサイド0.215kg、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4H−TEMPO)1.43gを仕込んだ。ガス吹き込みラインより7容量%酸素(窒素バランス)を吹き込みながら内容物を加熱攪拌して、大気圧でエステル交換反応を開始した。
留出口から生成メタノールとメタクリル酸メチルの蒸気留出が始まった時点を反応開始とし、留出蒸気は凝縮して全量を還流させ、塔内温度を安定させた。更に凝縮器や蒸留塔内での重合を防止するため重合禁止剤(トパノールAO−30)の0.06重量%メタクリル酸メチル溶液を上昇蒸気量に対して50ppmとなるように凝縮器内への供給を開始した。
2時間20分後、塔内の温度が安定したため、留出量1に対し還流量が7.7(±30%)となるように還流比を調節し、系外に生成メタノールとメタクリル酸メチルを留出させ、同時に留出分のメタクリル酸メチルと同量のメタクリル酸メチルを還流口から塔頂への追加を開始し、エステル交換反応を進行させた。その時の塔頂温度は66.7℃、塔底温度は97.8℃、留出蒸気組成はメタノール80mol%、メタクリル酸メチル20mol%であった。
系外へのメタノールとメタクリル酸メチルの留去を開始してから1時間ごとに反応率をNMRによって追跡し、反応開始後6時間20分で終了した。
終了時の塔頂温度は91.6℃、塔底温度は100.7℃であり、留出蒸気組成はメタノール24mol%、メタクリル酸メチル76mol%であった。この時の反応器内の組成はネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート55.6%、メタクリル酸メチル41.4%、メタノール1.9%、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物0.3%であり、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレートの収率は99.2%、トパノールAO−30の含有量は139ppm、色相(ハーゼン)は70であった。
実施例2
塔頂部に還流口ならびに留出口を備えた理論段数6.5段のスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製充填物)を充填した蒸留塔付き100L反応器にメタクリル酸メチル20.45kg(204モル)、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド4モル付加物14.35kg(51モル)、ジブチル錫オキサイド0.215kg、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−(4H−TEMPO)1.43gを仕込んだ。ガス吹き込みラインより7容量%酸素(窒素バランス)を吹き込みながら内容物を加熱攪拌して、大気圧でエステル交換反応を開始した。
留出口から生成メタノールとメタクリル酸メチルの蒸気留出が始まった時点を反応開始とし、留出蒸気は凝縮して全量を還流させ、塔内温度を安定させた。更に凝縮器や蒸留塔内での重合を防止するため重合禁止剤(トパノールAO−30)の0.06重量%メタクリル酸メチル溶液を上昇蒸気量に対して50ppmとなるように凝縮器内への供給を開始した。
2時間25分後、塔内の温度が安定したため、留出量1に対し還流量が6.5(±30%)となるように還流比を調節し、系外に生成メタノールとメタクリル酸メチルを留出させ、同時に留出分のメタクリル酸メチルと同量のメタクリル酸メチルを還流口から塔頂への追加を開始し、エステル交換反応を進行させた。その時の塔頂温度は68.8℃、塔底温度は98.9℃、留出蒸気組成はメタノール74.5mol%、メタクリル酸メチル25.5mol%であった。
系外へのメタノールとメタクリル酸メチルの留去を開始してから1時間ごとに反応率をNMRによって追跡し、反応開始後5時間25分で終了した。
終了時の塔頂温度は89.5℃、塔底温度は100.4℃であり、留出蒸気組成はメタノール31mol%、メタクリル酸メチル69mol%であった。この時の反応器内の組成はネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート53.9%、メタクリル酸メチル42.9%、メタノール2.0%、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物0%であり、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレートの収率は100%、トパノールAO−30の含有量は117ppm、色相(ハーゼン)は70であった。
塔頂部に還流口ならびに留出口を備えた理論段数6.5段のスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製充填物)を充填した蒸留塔付き100L反応器にメタクリル酸メチル20.45kg(204モル)、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド4モル付加物14.35kg(51モル)、ジブチル錫オキサイド0.215kg、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−(4H−TEMPO)1.43gを仕込んだ。ガス吹き込みラインより7容量%酸素(窒素バランス)を吹き込みながら内容物を加熱攪拌して、大気圧でエステル交換反応を開始した。
留出口から生成メタノールとメタクリル酸メチルの蒸気留出が始まった時点を反応開始とし、留出蒸気は凝縮して全量を還流させ、塔内温度を安定させた。更に凝縮器や蒸留塔内での重合を防止するため重合禁止剤(トパノールAO−30)の0.06重量%メタクリル酸メチル溶液を上昇蒸気量に対して50ppmとなるように凝縮器内への供給を開始した。
2時間25分後、塔内の温度が安定したため、留出量1に対し還流量が6.5(±30%)となるように還流比を調節し、系外に生成メタノールとメタクリル酸メチルを留出させ、同時に留出分のメタクリル酸メチルと同量のメタクリル酸メチルを還流口から塔頂への追加を開始し、エステル交換反応を進行させた。その時の塔頂温度は68.8℃、塔底温度は98.9℃、留出蒸気組成はメタノール74.5mol%、メタクリル酸メチル25.5mol%であった。
系外へのメタノールとメタクリル酸メチルの留去を開始してから1時間ごとに反応率をNMRによって追跡し、反応開始後5時間25分で終了した。
終了時の塔頂温度は89.5℃、塔底温度は100.4℃であり、留出蒸気組成はメタノール31mol%、メタクリル酸メチル69mol%であった。この時の反応器内の組成はネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート53.9%、メタクリル酸メチル42.9%、メタノール2.0%、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物0%であり、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレートの収率は100%、トパノールAO−30の含有量は117ppm、色相(ハーゼン)は70であった。
比較例1
塔頂部に還流口ならびに留出口を備えた理論段数6.5段のスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製充填物)を充填した蒸留塔付き1000L反応器にメタクリル酸メチル467.70kg(4672モル)、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド4モル付加物327.42kg(1168モル)、ジブチル錫オキサイド4.91kg、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4H−TEMPO)0.03kgを仕込んだ。ガス吹き込みラインより7容量%酸素(窒素バランス)を吹き込みながら内容物を加熱攪拌して、大気圧でエステル交換反応を開始した。
留出口から生成メタノールとメタクリル酸メチルの蒸気留出が始まった時点を反応開始とし、留出蒸気は凝縮して全量を還流させ、塔内温度を安定させた。更に凝縮器や蒸留塔内での重合を防止するため重合禁止剤(トパノールAO−30)の1重量%メタクリル酸メチル溶液を上昇蒸気量に対して50ppmとなるように凝縮器内への供給を開始した。
1時間15分後、塔内の温度が安定したため、留出量1に対し還流量が7.5(±30%)となるように還流比を調節し、系外に生成メタノールとメタクリル酸メチルを留出させ、同時に留出分のメタクリル酸メチルと同量のメタクリル酸メチルの反応器への追加を開始し、エステル交換反応を進行させた。その時の塔頂温度は64℃、塔底温度は86℃、留出蒸気組成はメタノール91mol%、メタクリル酸メチル9mol%であった。
系外へのメタノールとメタクリル酸メチルの留去を開始してから1時間ごとに反応率をNMRによって追跡し、反応開始後9時間15分で終了した。
終了時の塔頂温度は98.9℃、塔底温度は99.3℃であり、留出蒸気組成はメタノール4mol%、メタクリル酸メチル96mol%であった。この時の反応器内の組成はネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート60.9%、メタクリル酸メチル38.2%、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物0.9%であり、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレートの収率は97.9%、トパノールAO−30の含有量は281ppm、色相(ハーゼン)は100であった。
塔頂部に還流口ならびに留出口を備えた理論段数6.5段のスルザーパッキング(住友重機械工業(株)製充填物)を充填した蒸留塔付き1000L反応器にメタクリル酸メチル467.70kg(4672モル)、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド4モル付加物327.42kg(1168モル)、ジブチル錫オキサイド4.91kg、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4H−TEMPO)0.03kgを仕込んだ。ガス吹き込みラインより7容量%酸素(窒素バランス)を吹き込みながら内容物を加熱攪拌して、大気圧でエステル交換反応を開始した。
留出口から生成メタノールとメタクリル酸メチルの蒸気留出が始まった時点を反応開始とし、留出蒸気は凝縮して全量を還流させ、塔内温度を安定させた。更に凝縮器や蒸留塔内での重合を防止するため重合禁止剤(トパノールAO−30)の1重量%メタクリル酸メチル溶液を上昇蒸気量に対して50ppmとなるように凝縮器内への供給を開始した。
1時間15分後、塔内の温度が安定したため、留出量1に対し還流量が7.5(±30%)となるように還流比を調節し、系外に生成メタノールとメタクリル酸メチルを留出させ、同時に留出分のメタクリル酸メチルと同量のメタクリル酸メチルの反応器への追加を開始し、エステル交換反応を進行させた。その時の塔頂温度は64℃、塔底温度は86℃、留出蒸気組成はメタノール91mol%、メタクリル酸メチル9mol%であった。
系外へのメタノールとメタクリル酸メチルの留去を開始してから1時間ごとに反応率をNMRによって追跡し、反応開始後9時間15分で終了した。
終了時の塔頂温度は98.9℃、塔底温度は99.3℃であり、留出蒸気組成はメタノール4mol%、メタクリル酸メチル96mol%であった。この時の反応器内の組成はネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート60.9%、メタクリル酸メチル38.2%、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物0.9%であり、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレートの収率は97.9%、トパノールAO−30の含有量は281ppm、色相(ハーゼン)は100であった。
比較例2
塔頂部に還流装置を備えたオルダーショウ蒸留塔(理論段数6.5段)付きの2Lの四つ口フラスコにメタクリル酸メチル961.155g(9.6モル)、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド4モル付加物672.84g(2.4モル)、ジブチル錫オキサイド10.095g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4H−TEMPO)0.0673gを仕込んだ。ガス吹き込みラインより7容量%酸素(窒素バランス)を吹き込みながら内容物を加熱攪拌して、大気圧でエステル交換反応を開始した。
留出口から生成メタノールとメタクリル酸メチルの蒸気留出が始まった時点を反応開始とし、留出蒸気は凝縮して全量を還流させ、塔内温度を安定させた。更に凝縮器や蒸留塔内での重合を防止するため重合禁止剤(トパノールAO−30)の1重量%メタクリル酸メチル溶液を上昇蒸気量に対して50ppmとなるように凝縮器内への供給を開始した。
1時間後、塔内の温度が安定したため、留出量1に対し還流量が7.5(±30%)となるように還流比を調節し、系外に生成メタノールとメタクリル酸メチルを留出させ、同時に留出分のメタクリル酸メチルと同量のメタクリル酸メチルの反応器への追加を開始し、エステル交換反応を進行させた。その時の塔頂温度は65℃、留出蒸気組成はメタノール85mol%、メタクリル酸メチル15mol%であった。
系外へのメタノールとメタクリル酸メチルの留去を開始してから1時間ごとに反応率をNMRによって追跡し、反応開始後8時間で終了した。
終了時の塔頂温度は99℃であり、留出蒸気組成はメタノール0.3mol%、メタクリル酸メチル99.7mol%であった。この時の反応器内の組成はネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート60.9%、メタクリル酸メチル38.2%、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物0.9%であり、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレートの収率は98.3%、トパノールAO−30の含有量は137ppm、色相(ハーゼン)は110であった。
塔頂部に還流装置を備えたオルダーショウ蒸留塔(理論段数6.5段)付きの2Lの四つ口フラスコにメタクリル酸メチル961.155g(9.6モル)、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド4モル付加物672.84g(2.4モル)、ジブチル錫オキサイド10.095g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4H−TEMPO)0.0673gを仕込んだ。ガス吹き込みラインより7容量%酸素(窒素バランス)を吹き込みながら内容物を加熱攪拌して、大気圧でエステル交換反応を開始した。
留出口から生成メタノールとメタクリル酸メチルの蒸気留出が始まった時点を反応開始とし、留出蒸気は凝縮して全量を還流させ、塔内温度を安定させた。更に凝縮器や蒸留塔内での重合を防止するため重合禁止剤(トパノールAO−30)の1重量%メタクリル酸メチル溶液を上昇蒸気量に対して50ppmとなるように凝縮器内への供給を開始した。
1時間後、塔内の温度が安定したため、留出量1に対し還流量が7.5(±30%)となるように還流比を調節し、系外に生成メタノールとメタクリル酸メチルを留出させ、同時に留出分のメタクリル酸メチルと同量のメタクリル酸メチルの反応器への追加を開始し、エステル交換反応を進行させた。その時の塔頂温度は65℃、留出蒸気組成はメタノール85mol%、メタクリル酸メチル15mol%であった。
系外へのメタノールとメタクリル酸メチルの留去を開始してから1時間ごとに反応率をNMRによって追跡し、反応開始後8時間で終了した。
終了時の塔頂温度は99℃であり、留出蒸気組成はメタノール0.3mol%、メタクリル酸メチル99.7mol%であった。この時の反応器内の組成はネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレート60.9%、メタクリル酸メチル38.2%、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物0.9%であり、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物ジメタクリレートの収率は98.3%、トパノールAO−30の含有量は137ppm、色相(ハーゼン)は110であった。
上述した実施例及び比較例から、次のようにいえることがわかった。すなわち、原料となる不飽和エステルとアルコールとの反応により、エステル交換された不飽和エステルを製造する方法であって、上記製造方法は、蒸留塔を備えた反応器を用いて蒸留塔部から原料となる不飽和エステルを供給する工程を含む不飽和エステルの製造方法によって反応に要する時間が短縮され、また、高い収率かつ着色の少ない不飽和エステルを得ることができるという有利な効果を発揮し、それが顕著であることがわかった。
実施例1は、上記還流比を7.7(±30%)として還流を行い、還流口から塔頂へ原料となる不飽和エステルを供給することによって行ったものであるが、反応終了までに要した時間は6時間20分であり、目的物の不飽和エステルの収率は99.2%、トパノールAO−30の含有量は139ppm、色相(ハーゼン)は70であった。
実施例2は、上記還流比を6.5(±30%)として還流を行い、還流口から塔頂へ原料となる不飽和エステルを供給することによって行ったものであるが、反応終了までに要した時間は5時間25分であり、目的物の不飽和エステルの収率は100%、トパノールAO−30の含有量は117ppm、色相(ハーゼン)は70であった。
比較例1は、留出分と同量の原料となる不飽和エステルを反応器に供給することによって行ったものであるが、反応終了までに要した時間は9時間15分であり、目的物の不飽和エステルの収率は97.9%、トパノールAO−30の含有量は281ppm、色相(ハーゼン)は100であった。
比較例2は、留出分と同量の原料となる不飽和エステルを反応器に供給することによって行ったものであるが、反応終了までに要した時間は8時間であり、目的物の不飽和エステルの収率は98.3%、トパノールAO−30の含有量は137ppm、色相(ハーゼン)は110であった。
比較例1及び2は、実施例1及び2と比較するとやや収率が低く、反応終了までに要する時間は長いものであった。また、比較例1及び2で得られた不飽和エステルは、色相が高く、着色が大きいことがわかった。更に、比較例1及び2で得られた不飽和エステルは、トパノールAO−30の含有量が多く、重合禁止剤が不純物としてより多く含まれるものであり、当該不飽和エステルを原料として樹脂を合成する場合にも、着色の原因となるおそれのあるものであった。
以上より、原料となる不飽和エステルを蒸留塔部から供給することによる効果が明らかである。
実施例1は、上記還流比を7.7(±30%)として還流を行い、還流口から塔頂へ原料となる不飽和エステルを供給することによって行ったものであるが、反応終了までに要した時間は6時間20分であり、目的物の不飽和エステルの収率は99.2%、トパノールAO−30の含有量は139ppm、色相(ハーゼン)は70であった。
実施例2は、上記還流比を6.5(±30%)として還流を行い、還流口から塔頂へ原料となる不飽和エステルを供給することによって行ったものであるが、反応終了までに要した時間は5時間25分であり、目的物の不飽和エステルの収率は100%、トパノールAO−30の含有量は117ppm、色相(ハーゼン)は70であった。
比較例1は、留出分と同量の原料となる不飽和エステルを反応器に供給することによって行ったものであるが、反応終了までに要した時間は9時間15分であり、目的物の不飽和エステルの収率は97.9%、トパノールAO−30の含有量は281ppm、色相(ハーゼン)は100であった。
比較例2は、留出分と同量の原料となる不飽和エステルを反応器に供給することによって行ったものであるが、反応終了までに要した時間は8時間であり、目的物の不飽和エステルの収率は98.3%、トパノールAO−30の含有量は137ppm、色相(ハーゼン)は110であった。
比較例1及び2は、実施例1及び2と比較するとやや収率が低く、反応終了までに要する時間は長いものであった。また、比較例1及び2で得られた不飽和エステルは、色相が高く、着色が大きいことがわかった。更に、比較例1及び2で得られた不飽和エステルは、トパノールAO−30の含有量が多く、重合禁止剤が不純物としてより多く含まれるものであり、当該不飽和エステルを原料として樹脂を合成する場合にも、着色の原因となるおそれのあるものであった。
以上より、原料となる不飽和エステルを蒸留塔部から供給することによる効果が明らかである。
1:反応器
2:蒸留塔
3:凝縮器
4:還流量を調整するポンプ
5:原料を供給するポンプ
6:重合禁止剤を供給するポンプ
2:蒸留塔
3:凝縮器
4:還流量を調整するポンプ
5:原料を供給するポンプ
6:重合禁止剤を供給するポンプ
Claims (7)
- 原料となる不飽和エステルとアルコールとの反応により、エステル交換された不飽和エステルを製造する方法であって、
該製造方法は、蒸留塔を備えた反応器を用いて蒸留塔部から原料となる不飽和エステルを供給する工程を含む
ことを特徴とする不飽和エステルの製造方法。 - 前記製造方法は、副成するアルコールと原料となる不飽和エステルとを留出させ、蒸気留出口を有する蒸留塔によって蒸留する工程を含み、該蒸気留出口から出た留出蒸気を凝縮して一部を蒸留塔経由で反応器に還流し、残りを留出させる
ことを特徴とする請求項1記載の不飽和エステルの製造方法。 - 前記製造方法は、反応器に還流する比率を略一定として行う
ことを特徴とする請求項2に記載の不飽和エステルの製造方法。 - 前記製造方法は、蒸気留出口における留出蒸気のモル組成比が連続的に変化する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の不飽和エステルの製造方法。 - 前記製造方法は、原料となる不飽和エステルを蒸留塔の上部から供給する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の不飽和エステルの製造方法。 - 前記アルコールは、多価アルコールである
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の不飽和エステルの製造方法。 - 前記原料となる不飽和エステルは、(メタ)アクリル酸エステルである
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の不飽和エステルの製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2006303247A JP2008120698A (ja) | 2006-11-08 | 2006-11-08 | 不飽和エステルの製造方法 |
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- 2006-11-08 JP JP2006303247A patent/JP2008120698A/ja active Pending
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