JP2008115983A - センサ付き軸受ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構造で、センサ取付孔を介した異物の侵入防止効果を格段に向上させたセンサ付き軸受ユニットを提供する。
【解決手段】車体構成部材に固定される静止輪2と、車輪構成部材に固定されてともに回転する回転輪4と、静止輪と回転輪との間へ複列に組み込まれた複数の転動体18a,18bと、回転輪の回転状態を検出するセンサ40とを備え、静止輪には、その外周部2aから内周部2bまでを貫通し、外内周部側を開口させるとともに、センサを挿通して位置決めさせるセンサ取付孔2cが形成され、回転輪には、外周部に対し、回転輪と同一回転状態で回転し、センサによってその回転状態が検出される被検出体42が、センサと対向可能に設けられたセンサ付き軸受ユニット10であって、静止輪には、センサ取付孔の内周部側の開口chを塞ぎ、軸受ユニット内部を遮蔽する遮蔽部材44が設けられており、センサは、遮蔽部材を介して、被検出体と対向している。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、自動車の車輪を支持する軸受ユニットにおいて、当該車輪の回転状態(回転速度、回転角度及び回転方向など)を計測するためのセンサ機能を有するセンサ付き軸受ユニットのセンサ構造の改良に関する。
従来から、例えば、自動車の車輪を支持する軸受ユニットとして、当該車輪の回転状態を計測するためのセンサ機能を有する各種のセンサ付き軸受ユニットを適用した構成が知られている。
このように車輪の回転状態を計測するに当たり、例えば、特許文献1には、一例として、車輪に取り付けられたディスクホイールに固定され、当該ディスクホイールを介して車輪とともに回転する回転輪の回転数や回転方向などを検出するセンサ付き軸受ユニットの構成が開示されている。この場合、センサによって回転輪の回転数や回転方向を検出し、当該回転数や回転方向の単位時間当たりの変動量を演算処理することで、当該回転輪がディスクホイールを介して固定された車輪の回転速度、回転角度及び回転方向などを計測している。
図9には、かかるセンサ付き軸受ユニット(以下、単に軸受ユニットという)30の構成の一例が示されている。この場合、軸受ユニット30には、車体(懸架装置のナックル(図示しない))に固定される静止輪2と、車輪(ディスクホイール(図示しない))に固定されて当該ディスクホイールとともに回転する回転輪4とが備えられている。この場合、かかる軸受ユニット30は、一例として、外輪側を静止輪2、内輪側を回転輪4とする自動車の駆動輪(FR車及びRR車の後輪、FF車の前輪及び四輪駆動車の全輪)を支持する軸受ユニットとして構成されている。
また、かかる軸受ユニット30には、複数の転動体(玉)18が、静止輪2及び回転輪4にそれぞれ形成された相互に対向する複列(2列)の軌道面間へ転動可能に組み込まれている。この場合、転動体(玉)18は、環状を成す保持器20に形成されたポケット内に1つずつ回転自在に保持された状態で、軌道面間を転動している。
図9に示す構成において、静止輪2には、その外方(径を拡大する方向)に向かって突出した固定フランジ2fが一体成形されており、当該固定フランジ2fを貫通する固定孔2hに固定用ボルト(図示しない)を挿入し、これを車体側に締結することで、静止輪2を図示しない懸架装置(サスペンション)のナックルに固定することができる。
また、回転輪4には、略円筒形を成すハブ12が設けられており、当該ハブ12は、制動部材(ブレーキディスク(図示しない))を介して車輪のディスクホイール(図示しない)に固定され、当該ディスクホイールとともに回転するように構成されている。なお、かかるハブ12の軸方向(図9の左右方向)の一方側(同図の左側)には、ディスクホイールのディスク部(図示しない)を固定(外嵌)するためのハブフランジ12fが周方向に沿って連続して突設されている。
この場合、ハブフランジ12fは、静止輪2を越えて外方(ハブ12の径方向外側)に向かって延出しており、その延出縁付近には、周方向に沿って複数の貫通孔(ボルト孔)12hが設けられている。また、ブレーキディスク及びディスクホイールのディスク部にも、それぞれ当該ボルト孔12hと連通可能な貫通孔が周方向に沿って複数個(一例として、ボルト孔12hと同数個)設けられている。そして、ハブボルト14をボルト孔12hから当該貫通孔へ挿通し、ハブナット(図示しない)で締結することにより、ブレーキディスク及びディスクホイールをハブフランジ12fに対して位置決めして固定することができる。
また、ハブ12には、その軸方向(図9の左右方向)の一方側(車体内側(同図の右側))に環状の内輪構成体16(ハブ12とともに回転輪4を構成する部材)が外嵌されるようになっている。
この場合、内輪構成体16は、ハブ12に形成された段部12sまで外嵌され、静止輪2と回転輪4との間に転動体18をポケット内に保持した保持器20が組み込まれた状態で、ハブ12の軸方向の一方側(車体内側(図9の右側))の端部を加締める、具体的には、すりこぎ状に加締めていく揺動加締めを行うことにより形成された加締め部12dと段部12sとの間に挟み込まれ、ハブ12に対して固定されている。このような固定法によれば、内輪構成体16をハブ12に対して揺動加締めすると同時に、軸受ユニット30(具体的には、転動体(玉)18)に対して所定の予圧を付与することができる。
なお、かかる揺動加締めを行う際、ハブ12は、段部12sまで外嵌された内輪構成体16よりも車体内側(図9の右側)へ円筒状に延出した円筒部(揺動加締め後に、加締め部12dとなる部分)を予め設けて構成しておく。
かかる軸受ユニット30には、一例として、図10に示すような円柱状のセンサ70が静止輪2に対して取り付けられているとともに、回転輪4(ハブ12)に対して被検出体である環状のセンサロータ74が取り付けられている。なお、センサ70としては、例えば、磁気状態の変化(一例として、磁束密度の変化)を検知する磁気センサ、及び照射光に対する反射光を検知する光学センサなどを用いることができる。また、センサロータ74としては、例えば、ギア(歯車状の磁性体等)、窓開けされたプレス品(周方向に所定間隔で貫通孔が形成された環状磁性体等)、及び多極に着磁されたエンコーダ(環状のボンド磁石等)などを用いることができる。
この場合、センサ70には、静止輪2に対して取り付けられる際、位置決め固定するOリング70rを係合させるための溝(Oリング溝)70aが、外周部へ周方向に沿って連続して凹状に形成されているとともに、当該センサ70を静止輪2に対して締結固定するための締結部材(例えば、ねじ72)を挿通するための貫通孔70hを1つ有するフランジ部70fが設けられている。
これに対し、静止輪2には、その外周部2aから内周部2bまでを貫通し、センサ70を挿通して取り付けるためのセンサ取付孔2cが設けられているとともに、フランジ部70fの貫通孔70hと連通可能で、その周部にねじ72の螺旋状溝(雄ねじ部)72aと螺合可能な螺旋状溝(雌ねじ部)が形成されたねじ穴2uが1つ形成されている。
そして、センサ70は、静止輪2のセンサ取付孔2cへ外周部2a側の開口から挿通され、フランジ部70fが当該外周部2aに当接するまで押し込まれる。この状態で、センサ70は、Oリング溝70aに係合させたOリング70rによってセンサ取付孔2cに押圧されて位置決めされるとともに、フランジ部70fの貫通孔70hから静止輪2のねじ穴2uへ挿通し、当該ねじ穴2uの雌ねじ部と雄ねじ部72aを螺合させた1本のねじ72によって、当該静止輪2に対して締結固定されている。なお、この場合、センサ70は、その先端部(検出部)70sが静止輪2のセンサ取付孔2cの内周部2b側の開口から、回転輪4方向へ突出して配設されている。
また、回転輪4には、ハブ12の外周部12aに対し、センサロータ74がセンサ70の検出部70sと対向可能に設けられている。これにより、センサロータ74は、センサ70の検出部70sと対向した状態で、回転輪4(ハブ12)とともに回転する。
なお、図9に示す構成において、センサ70及びセンサロータ74は、軸受ユニット30の2列構成を成す軌道面の軸方向(同図の左右方向)の略中間位置に配設されている。このように、センサ70及びセンサロータ74を配設することで、軸受ユニット30において、2列の軌道面間のスペース、すなわち、各軌道面へ組み込まれた転動体(玉)18により構成される2列の玉列間のスペースを有効に活用することができる。これにより、センサ70及びセンサロータ74で成るセンサ機構を搭載するための別途のスペースを確保する必要がなく、かかるセンサ機構を搭載した場合であっても、軸受ユニット30が大型化してしまうことを防止することができ、さらには、小型化することを可能としている。
例えば、センサ70として、磁束密度の変化を検知する磁気センサを静止輪2に対して取り付けるとともに、センサロータ74として、多極着磁されたエンコーダを回転輪4に対して取り付けた場合、当該回転輪4の回転とともに、エンコーダも回転し、磁気センサに対する磁極(N極及びS極)の位置が交互に連続して変化する。このとき、磁気センサを通過する磁束の磁束密度が連続的に変化し、かかる変化を当該磁気センサで検知することで、エンコーダの位置や角度などを検出することができる。そして、その検出信号(データ)を信号処理部(図示しない)に送信し、単位時間当たりのエンコーダの位置や角度などの変動量を演算処理することで、例えば、車輪の回転速度、回転角度及び回転方向などを計測することが可能となる。
なお、この場合、センサ70と信号処理部(図示しない)とは、所定の信号ケーブル70cで接続されている。
特開平11−64356号公報
ところで、上述したような、静止輪2にセンサ取付孔2cを設け、当該センサ取付孔2cへセンサ70を挿通してOリング70rによって位置決めするとともに、締結部材(ねじ72)によって締結固定する方法によれば、軸受ユニット30に対してセンサ70を簡易に取り付けることができるとともに、例えば、保守点検などの際、軸受ユニット30とセンサ70とを容易に分離することができるという利点がある。
しかしながら、その一方で、保守点検などの際に軸受ユニット30とセンサ70とを分離させた場合、当該軸受ユニット30の内部が静止輪2のセンサ取付孔2cを介して開放状態となるため、軸受ユニット30の外部からセンサ取付孔2cを介して異物(例えば、水や塵埃など)が内部へ侵入してしまう場合がある。
また、センサ70が軸受ユニット30に対して取り付けられた状態においては、例えば、センサ70とセンサ取付孔2cとの間に極僅かではあっても隙間が生じた場合、当該隙間を伝って、外部の異物(例えば、水や塵埃など)が軸受ユニット30の内部へ侵入してしまう場合がある。
このようにセンサ70が軸受ユニット30対して取り付けられた状態において、軸受ユニット30の内部へ異物(特に、水)が浸入してしまう主な原因としては、以下のような2つが挙げられる。まず、1つ目の原因としては、センサ70を1本の締結部材(ねじ72)だけで、静止輪2に対して締結固定していることが挙げられる。例えば、図9に示す構成においては、ねじ72を静止輪2のねじ穴2uに対して締結する際、当該ねじ72とセンサ70のフランジ部70fとが摩擦により相互に摺動し、センサ70に対してモーメントが負荷される場合がある。この場合、その負荷モーメントの大きさによっては、センサ70が静止輪2のセンサ取付孔2cに対して偏心した状態で、当該静止輪2に対して取り付けられてしまう虞がある。この結果、Oリング70rのセンサ取付孔2cに対する締め代が不足し、静止輪2のセンサ取付孔2cとセンサ70との間の隙間が部分的に拡大され、軸受ユニット30の外部から内部への水の浸入を招いてしまう。
そして、2つめの原因としては、例えば、センサ70としてパッシブセンサを適用した場合、当該パッシブセンサにおけるセンサケーブルとパッシブセンサの樹脂モールド部の防水性不足が挙げられる。パッシブセンサのようにセンサの先端部(検知部)にヨークが露出しているセンサ構造の場合、センサケーブルと樹脂モールド部の間から浸入した水がヨーク部分から染み出し、その程度によっては、軸受ユニット30の内部へ漏洩してしまう虞がある。その際、通常は、このような軸受ユニット30の内部への漏洩状態となる前に、センサ70自体に不具合が生じ、継続して使用することができない状態となるため、ABS装置によりドライバに対して何らかの警報が発せされる。しかしながら、例えば、ドライバがかかる警報に気付かずに運転を続けた場合、軸受ユニット30は、その内部へ漏洩した水の影響により、潤滑不足となるなどの不都合を生じてしまう虞がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされており、その目的は、簡易な構造で、センサ取付孔を介した軸受ユニット外部からの異物の侵入防止効果を格段に向上させたセンサ付き軸受ユニットを提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明に係るセンサ付き軸受ユニットは、車体構成部材に固定される静止輪と、車輪構成部材に固定されて当該車輪構成部材とともに回転する回転輪と、当該静止輪及び当該回転輪にそれぞれ形成されて相互に対向する複列の軌道面間へ転動可能に組み込まれた複数の転動体と、前記回転輪の回転状態を検出するセンサとを備えている。また、静止輪には、その外周部から内周部までを貫通し、当該外周部側及び内周部側をそれぞれ開口させるとともに、前記センサを挿通して位置決めさせるためのセンサ取付孔が形成され、回転輪には、その外周部に対し、当該回転輪と同一回転状態で回転し、前記センサによってその回転状態が検出される被検出体が、センサと対向可能に設けられている。
かかるセンサ付き軸受ユニットにおいて、静止輪には、前記センサ取付孔の内周部側の開口を塞ぎ、軸受ユニット内部を遮蔽する遮蔽部材が設けられており、センサは、当該遮蔽部材を介して、被検出体と対向している。
例えば、遮蔽部材が、非磁性の板状体を静止輪と同心の円筒状に構成したプレートリングである場合、当該プレートリングは、その外周部を前記静止輪の内周部に当接させて固定されているとともに、回転輪の被検出体と所定の間隔を空けて対向して位置付ければよい。
また、遮蔽部材が、所定方向に延出する筒部と、当該筒部の延出方向の一端側を開放する開口部及び他端側を閉塞する底部とから成るサックである場合、当該サックは、前記センサ取付孔に対し、筒部の少なくとも一部を当該センサ取付孔に密接させて取り付けられた状態で、回転輪の被検出体と所定の間隔を空けて対向して位置付ければよい。この場合、前記センサは、少なくともその一部をサックの筒部に挿通させた状態で、当該サックの底部を介して、回転輪の被検出体と対向している。
なお、一例として、サックは、所定の弾性部材で構成されており、その筒部には、前記センサ取付孔に対して当該筒部を締り嵌めするための嵌合部が設けられており、当該嵌合部は、前記筒部の周面に開口部側から底部側へ亘って、周方向に沿った凸部と凹部とを交互に連続させて形成すればよい。若しくは、当該筒部の周面に開口部側から底部側へ亘って、周方向に沿った突起部を所定間隔で複数並べて形成してもよい。
上述したいずれの軸受ユニット構成であっても、センサは、複列の転動体相互間に挟まれた所定の位置に配設されている。
本発明のセンサ付き軸受ユニットによれば、簡易な構造で、センサ取付孔を介した軸受ユニット外部からの異物の侵入防止効果を格段に向上させることができる。
以下、本発明のセンサ付き軸受ユニット(以下、単に軸受ユニットという)について、添付図面を参照して説明する。なお、本発明に係る軸受ユニットは、例えば、自動車や鉄道車両など、各種の車両の車輪を回転自在に支持する複列の軸受ユニット(複列車輪支持ユニット)として適用することができるが、ここでは、自動車の車輪を支持する軸受ユニットを一例として想定する。この場合、かかる軸受ユニットは、自動車の従動輪(FR(前置エンジン後輪駆動)車及びRR(後置エンジン後輪駆動)車の前輪、FF(前置エンジン前輪駆動)車の後輪)、並びに駆動輪(FR車及びRR車の後輪、FF車の前輪及び4WD(四輪駆動)車の全輪)のいずれをも支持する軸受ユニットとして適用することができる。このため、ここでは、自動車の駆動輪を支持する軸受ユニットを一例として想定し、以下、その構成について説明する。
また、本発明に係る軸受ユニットの基本的構成は、上述した従来の軸受ユニット30(図9)と同様である場合を想定し、これと同一若しくは類似の構成部材については、同一符号を用いて、その説明を省略若しくは簡略化する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る軸受ユニット10が示されており、当該軸受ユニット10には、車体構成部材(例えば、懸架装置のナックル(図示しない))に固定される静止輪2と、車輪構成部材(例えば、ディスクホイール(図示しない))に固定されて、当該ディスクホイールとともに回転する回転輪4とが備えられている。すなわち、この場合、軸受ユニット10は、外輪側が静止輪2として構成されているとともに、内輪側が回転輪4として構成されており、回転輪4である内輪が静止輪2である外輪4に対して回転する構造となっている。
また、図1に示す構成においては、軸受ユニット10が自動車の駆動輪を支持する軸受ユニットとして構成されているため、回転輪4は、図示しない等速ジョイントのスプライン軸を挿通するための貫通孔(スプライン孔12t)を中心部に有する略円筒状のハブ12と、当該ハブ12に外嵌される内輪構成体16とで構成されている。この場合、スプライン孔12tは、前記等速ジョイントのスプライン軸の大きさ(直径)に応じて任意の大きさ(直径)に設定し、ハブ12の中心部に対して形成すればよい。
なお、かかるハブ12には、その軸方向((図1の左右方向)の一方側(車輪側(同図の左側))にディスクホイールのディスク部(図示しない)を締結固定するためのハブフランジ12fが周方向に沿って連続して突設されている。一方、静止輪2には、その外周部2aに懸架装置(サスペンション)のナックル(図示しない)を締結固定するための固定フランジ2fが周方向に沿って連続して突設されている。
かかる軸受ユニット10には、複数の転動体(玉)18a,18bが、静止輪2及び回転輪4にそれぞれ形成された相互に対向する複列(2列)の軌道面2s,4s間及び軌道面2t,4t間へ転動可能に組み込まれている。この場合、転動体(玉)18a,18bは、環状を成す保持器20a,20bに形成されたポケット内に1つずつ回転自在に保持された状態で、軌道面2s,4s間及び軌道面2t,4t間へ組み込まれている。これにより、各転動体(玉)18a,18bは、その転動面が相互に接触することなく、軌道面2s,4s間及び軌道面2t,4t間を転動することができ、結果として、当該各転動体(玉)18a,18bが相互に接触して摩擦が生じることによる回転抵抗の増大や、焼付きなどを防止することができる。
なお、本実施形態においては、転動体18a,18bとして玉を適用しているが、例えば、軸受ユニットの構成や種類などに応じ、玉に代えて、各種のころ(円すいころ、円筒ころ及び球面ころなど)を適用してもよい。
また、図1に示すように、軸受ユニット10の静止輪2と回転輪4との間には、転動体(玉)18a,18bを挟んで、その両側(同図の左側と右側)に軸受ユニット10を密封するための密封部材(例えば、パックシール)24がそれぞれ設けられている。このように密封部材24を設けることで、軸受ユニット10の外部から異物(例えば、泥水、塵埃)が内部に侵入することを防止しているとともに、内部に封入された潤滑剤(例えば、グリース、油)が外部へ漏洩することを防止している。
図1に示す構成において、内輪構成体16は、ハブ12の軸方向(同図の左右方向)の一端部(同図の右端部)を加締める(具体的には、揺動的に加締める)ことによってハブ12に対して位置決め固定されている。これにより、図1に示すように、内輪構成体16は、ハブ12の段部12sと加締め部12dとの間に挟み込まれた状態でハブ12に対して固定され、当該内輪構成体16をハブ12と一体化させることで、回転輪4が構成される。
また、このような固定法によれば、内輪構成体16をハブ12に対して揺動加締めすると同時に、軸受ユニット10(具体的には、転動体(玉)18a,18b)に対して所定の予圧を付与することができる。
かかる軸受ユニット10には、回転輪4の回転状態を検出するセンサ40が備えられている。この場合、静止輪2には、その外周部2aから内周部2bまでを貫通し、当該外周部2a側及び内周部2b側をそれぞれ開口させるとともに、センサ40を取り付けるためのセンサ取付孔2cが形成されており、センサ40は、センサ取付孔2cに挿通され、静止輪2に対して位置決め固定されている。また、回転輪4には、その外周部に回転輪4と同一回転状態で回転し、センサ40によってその回転状態が検出される被検出体42がセンサ40と対向可能に設けられている。
図1に示す構成において、センサ40は、一例として、所定の長さで延出した円柱状を成しており、先端部に検出部40sを有するとともに、延出方向(同図の上下方向)の所定位置にフランジ部40fが設けられている。また、静止輪2には、センサ40を取り付けるためのセンサ取付座部2dが、静止輪2を拡径させる方向(一例として、図1の上方向)へ、センサ取付孔2cの外周部2a側の開口周縁を凸状に突出させて設けられている。
なお、センサ40としては、例えば、磁気状態の変化(一例として、磁束密度の変化)を検知する磁気センサ、及び照射光に対する反射光を検知する光学センサなどを用いることができるが、本実施形態においては、センサ40として、磁気センサが適用された場合を一例として想定する。
また、図1に示す構成においては、軸受ユニット10に対し、センサ40を1つだけ設けているが、センサ40は、2つ以上設けてもよい。この場合、各センサ40は、回転輪4の回転方向に対して所定の位相差を有するように配設すればよい。
かかるセンサ40を軸受ユニット10に対して取り付ける場合、まず、センサ40を静止輪2のセンサ取付孔2cへ外周部2a側の開口から挿通し、次いで、当該センサ40をフランジ部40fがセンサ取付座部2dに当接するまで押し込むことで、静止輪2に対して位置決め固定する。なお、センサ40の取付方法は、特に限定されず、例えば、所定のOリング(図示しない)により締り嵌めしてセンサ取付孔2cに対して位置決めするとともに、所定の締結部材(ねじなど)により静止輪2に対して締結固定すればよい。
この場合、センサ40は、一例として、所定のOリングを係合させるためのOリング溝(図示しない)を、外周部へ周方向に沿って連続した凹状に形成して構成するとともに、所定の締結部材(ねじなど)を挿通するための貫通孔をフランジ部40fに対して設けて構成すればよい。なお、静止輪2には、例えば、フランジ部40fの貫通孔と連通可能で、その周部に前記締結部材であるねじの螺旋状溝(雄ねじ部)と螺合可能な螺旋状溝(雌ねじ部)が形成されたねじ穴を予め設けておけばよい。
また、この他、例えば、接着部材(接着剤など)による接着や溶接などによってセンサ40を軸受ユニット10に対して取り付けてもよいが、上述したOリングや締結部材によれば、センサ40を静止輪2に対して簡易に位置決め固定することができるという利点があるのに加え、保守点検などの際、センサ40と静止輪2とを容易に分離することができるという利点がある。
これに対し、被検出体42は、一例として、一端側を閉塞する底部を有する函状部材を円環状に連続させて形成したロータ基台部42aと、当該ロータ基台部42aの外周部に固定された円環状のロータエンコーダ42bとで構成されている。この場合、ロータ基台部42aは、その内径が回転輪4(ハブ12)の外周部12aの外径と略同一の大きさを成し、当該外周部12aに取り付けられており、ロータエンコーダ42bは、その内径がロータ基台部42aの外径と略同一の大きさを成し、当該ロータ基台部42aの外周部にセンサ40の検出部40sと対向可能な状態で取り付けられている。これにより、被検出体42は、ロータエンコーダ42bがロータ基台部42aと一体化された状態で、回転輪4(ハブ12)とともに、同一の回転状態で回転することができる。
なお、ロータエンコーダ42bは、例えば、ギア体(歯車状の磁性体等)、窓開けされたプレス体(周方向に所定間隔で貫通孔が形成された環状磁性体等)など、その態様は特に限定されないが、本実施形態においては、センサ40の検出部40sとの対向面(図1の上側の面)にN極及びS極を周方向に沿って交互に所定間隔で着磁させた多極磁石(例えば、環状の多極ボンド磁石等)として構成されている場合を、一例として想定する。また、この場合、ロータ基台部42aは、ロータエンコーダ42bの磁性に影響を与えないような所定の素材(例えば、ゴムやプラスチックなどの非磁性材など)を材料として構成すればよい。
ここで、センサ40及び被検出体42(ロータ基台部42aとロータエンコーダ42b)の大きさ(径、長さ、幅や高さなど)や形状などは、被検出体42がセンサ40の検出部40sに対し、所定の間隔を空けた状態で回転することが可能であれば、例えば、軸受ユニット10(静止輪2及び回転輪4)の大きさや形状などに応じて任意に設定することができる。
一例として、図1に示す構成においては、センサ40の検出部40sが静止輪2の内周部2bと略面一となる長さ(同図の上下方向の距離)に設定されており、この状態において、被検出体42(ロータ基台部42aとロータエンコーダ42b)が検出部40sと所定の間隔を空けて、すなわち検出部40sと接触せずに回転可能な所定の高さ(同図の同方向の距離)に設定されている。なお、図1に示す構成において、被検出体42は、ロータエンコーダ42bをロータ基台部42aに取り付けたが、ロータ基台部42aを省略し、ロータエンコーダ42bを回転輪4(ハブ12)の外周部12aに対して直接取り付けてもよい。
ただし、図1に示す構成のように、ロータ基台部42aを設けることで、当該ロータ基台部42aの径に相当する大きさだけ、ロータエンコーダ42bを拡径させて構成することができる。この結果、ロータエンコーダ42bの着磁面であるセンサ40の検出部40sとの対向面(図1の上側の面)を大きくすることができるとともに、当該着磁面(対向面)とセンサ40の検出部40sとの間隔を狭めることができる。これにより、センサ40における磁束密度の変化に対する検出精度(感度)を高めることができるため、被検出体42としては、ロータ基台部42aを設ける構成とすることが好ましい。
また、ロータ基台部42aと回転輪4(ハブ12)との取り付け方法、及びロータエンコーダ42bとロータ基台部42aとの取り付け方法は、特に限定されず、例えば、回転輪4(ハブ12)及び被検出体42(ロータ基台部42aとロータエンコーダ42b)の大きさや形状などに応じて、圧入固定、接着固定、溶接固定及び締結固定など任意の方法により、これらを取り付ければよい。
なお、センサ40の検出部40sと所定間隔を空けて対向可能であれば、被検出体42(ロータ基台部42aとロータエンコーダ42b)を内輪構成体16に取り付け、当該内輪構成体16とともに同一の回転状態で回転する構成としてもよい。
図1に示す構成において、センサ40及び被検出体42(ロータ基台部42aとロータエンコーダ42b)は、軸受ユニット10の2列構成を成す軌道面2s,4s及び軌道面2t,4tに組み込まれた複数の転動体(玉)18a,18bで形成される2列の玉列相互間に挟まれた所定の位置(軸方向(同図の左右方向)の略中間位置)に配設されている。このようにセンサ40及び被検出体42を配設することで、軸受ユニット10において、2列の軌道面2s,4s及び軌道面2t,4t間のスペース、すなわち、前記2列の玉列間のスペースを有効に活用することができる。これにより、センサ10及び被検出体42で成るセンサ機構を搭載するための別途のスペースを確保する必要がなく、かかるセンサ機構を搭載した場合であっても、軸受ユニット10が大型化してしまうことを防止することができ、さらには、小型化することを可能としている。
かかるセンサ機構によれば、回転輪4の回転とともに、被検出体42(具体的には、ロータエンコーダ42b)も回転し、センサ40の検出部40sに対する磁極(N極及びS極)の位置が交互に連続して変化する。このとき、センサ40を通過する磁束の磁束密度が連続的に変化し、かかる変化を当該センサ40の検出部40sで検知することで、ロータエンコーダ42bの位置や角度などを検出することができる。
そして、その検出信号(データ)を信号処理部(図示しない)に送信し、単位時間当たりのロータエンコーダ42bの位置や角度などの変動量を演算処理することで、例えば、車輪の回転速度、回転角度及び回転方向などを計測することが可能となる。
なお、この場合、センサ40と信号処理部(図示しない)とは、所定の信号ケーブル40cで接続されている。
また、かかる軸受ユニット10の静止輪2には、センサ取付孔2cの内周部2b側(同図の下側)の開口(以下、内側開口という)chを塞ぎ、軸受ユニット10の内部を遮蔽する遮蔽部材44が設けられており、センサ40は、当該遮蔽部材44を介して、被検出体42と対向している。
図1に示す構成において、遮蔽部材44は、非磁性の板状体を静止輪2と同心の円筒状に構成したプレートリング44rであって、当該プレートリング44rは、その外周部roを静止輪2の内周部2bに当接させて固定されているとともに、回転輪4の被検出体42と所定の間隔を空けて対向して位置付けられている。
この場合、プレートリング44rは、その外径が静止輪2の内径と略同一の大きさで、その内径が被検出体42(具体的には、ロータエンコーダ42b)の外径よりも僅かに大きな所定の大きさに設定されているとともに、その幅(図1の左右方向の距離)が静止輪2のセンサ取付孔2cの直径よりも若干大きな所定の大きさに設定されて構成されている。
そして、かかるプレートリング44rは、その外周部roの両端部を静止輪2の内周部2bと当接させるとともに、外周部roのその他の部分を静止輪2のセンサ取付孔2cに挿通されたセンサ40の検出部40sと極僅かに間隔を空けて対向させて位置付けられるよう、静止輪2に対して圧入固定(内嵌固定)されている。なお、プレートリング44rは、このような圧入固定に代えて、例えば、接着部材(接着剤など)による接着や溶接、締結部材(ねじなど)による締結などによって静止輪2に対して固定してもよい。
このように構成することで、回転輪4の回転とともに、被検出体42(具体的には、ロータエンコーダ42b)が回転した場合、センサ40の検出部40sは、プレートリング44rが介在された状態で、当該ロータエンコーダ42bと対向する。
なお、プレートリング44rの大きさ(幅(図1の左右方向の距離)や厚み(図1の上下方向の距離)など)は、センサ取付孔2cの内側開口chを塞ぐことが可能な所定の幅で、且つ、当該開口chを塞いだ状態において、センサ40の検出部40と被検出体42のロータエンコーダ42bとの間に、これらといずれも所定の間隔を空けて介在可能となる所定の厚みに設定して構成すればよい。このような幅と厚みであれば、プレートリング44rは、例えば、円筒状(環状)でなくとも、その長さ(周方向の距離)がセンサ取付孔2cの内側開口chの直径よりも若干大きな欠円環状(略C字状)、平面板状や曲面板状などであってもよい。この場合、かかる平面板状体や曲面板状体を静止輪2に対して、例えば圧入、接着、溶接及び締結などにより固定すればよい。
以上のように、静止輪2に対して遮蔽部材44(プレートリング44r)を設けることで、センサ取付孔2cの内側開口chを塞ぎ、軸受ユニット10の内部を外部から遮蔽することができる。
この結果、例えば、保守点検などの際に軸受ユニット10とセンサ40とを分離させた場合であっても、当該軸受ユニット10の内部が静止輪2のセンサ取付孔2cを介して開放状態となることがない。このため、軸受ユニット10の外部からセンサ取付孔2cを介して異物(例えば、水や塵埃など)が内部へ侵入することがない。
また、センサ40が軸受ユニット10に対して取り付けられた状態において、例えば、センサ40とセンサ取付孔2cとの間に極僅かな隙間が生じ、外部の異物(例えば、水や塵埃など)が当該隙間を伝ってセンサ取付孔2cに侵入した場合であっても、当該異物は、遮蔽部材44(プレートリング44r)によって塞き止められ、軸受ユニット10の内部まで侵入することがない。
なお、上述したいずれの固定方法を適用する場合でも、静止輪2の内周部2bは、プレートリング44rを防水嵌合させるため、軌道面2s,2tの熱処理加工後に、例えば、ハードターニングや研削加工などを施すことなどにより、表面仕上げを行うことが望ましい。例えば、研削加工を施すことで表面仕上げを行う場合、軌道面2s,2tの研削加工と同時に当該表面仕上げのための研削加工を施すことで、容易にかかる表面仕上げを行うことができる。なお、かかる表面仕上げは、静止輪2の内周部2bの全体に亘って行う必要はなく、少なくともプレートリング44rとの当接範囲に対して行えばよい。ただし、静止輪2の内周部2bの全体に亘って、かかる表面仕上げを行ってもよい。
また、プレートリング44rの形状は、上述した図1に示す本発明の第1実施形態に係る形状には、特に限定されず、例えば、図2〜6に示す本発明の第1〜第5変形例に係る各種の形状を成して構成することができる。なお、この場合、各変形例に係る軸受ユニットの基本的な構成は、上述した第1実施形態と同様であるため、同一若しくは類似の部材については、図面上で同一の符号を付して、その説明は省略する。
図2に示す本発明の第1変形例において、プレートリング44rは、軸方向の一端側(同図の右端側)に、その端部と連続し、縮径方向へ所定の長さで延出するフランジ部rfを設けて構成されている。この場合、フランジ部rfの延出長さは、かかるプレートリング44rを静止輪2に対して固定(例えば、圧入固定)した状態において、内輪構成体16との間に所定の間隔を空けて、当該フランジ部rfの先端部が当該内輪構成体16と対向可能な所定の長さに設定されている。
このように、プレートリング44rにフランジ部rfを設けることで、例えば、当該プレートリング44rを静止輪2に対して圧入固定する際、当該フランジ部rfを保持し、プレートリング44rを案内することができるため、当該プレートリング44rを容易に位置決めして、静止輪2に対して圧入固定することができる。
なお、この場合、センサ40は、所定のOリング46を係合させるためのOリング溝40aを、外周部に対し、周方向に沿って連続した凹状に形成して構成されており、当該Oリング溝40aに係合させたOリング46によってセンサ取付孔2cに押圧され、位置決めされている。また、回転輪4(具体的には、ハブ12)は、被検出体42(具体的には、ロータ基台部42a)を取り付けるための被検出体取付座部12gを、外周部12aに対し、周方向に沿って連続した凹状に形成して構成されており、ロータ基台部42aは、当該被検出体取付座部12gに対して取り付けられている。
図3に示す本発明の第2変形例において、プレートリング44rは、上述した第1変形例に係るプレートリング44rと同様に構成されている。これに対し、静止輪2は、プレートリング44rを取り付けるためのプレートリング取付座部2gを、内周部2bに対し、周方向に沿って連続した凹状に形成して構成されている。これにより、静止輪2の内周部2bには、所定の段部2kを境にして、軸方向(図3の左右方向)の一方側(一例として、同図の右側)に比較的大径の内径大径部が形成され、他方側(一例として、同図の左側)に比較的小径の内径小径部が形成される。
この結果、プレートリング44rをプレートリング取付座部2gに対して取り付ける際、かかる段部2kによってプレートリング44rを所定の取付位置に容易に案内することができるとともに、当該段部2kがストッパとして機能し、プレートリング取付座部2gに取り付けられたプレートリング44rが当該プレートリング取付座部2gに対して位置ずれすることを有効に防止することができる。
なお、第2変形例に係る軸受ユニットのその他の部材(センサ40、回転輪4、転動体(玉)18a,18b及び被検出体42など)は、上述した第1変形例に係る軸受ユニットの部材と同様に構成されている。
図4に示す本発明の第3変形例において、センサ40は、その一部を静止輪2の内周部2bよりも所定の長さだけ被検出体42の方向(図4の下方向)へ突出させて構成されている。このため、プレートリング44rは、センサ40の一部を収容する凸状部rdを形成して構成されており、かかる凸状部rdは、プレートリング44rの幅方向(図4の左右方向)の中間部に、センサ40の検出部40sと対向する所定の部位をセンサ40の一部よりも僅かに大きな容積で縮径方向へ突出させて形成されている。
この場合、凸状部rdの大きさ(突出幅、長さ及び深さなど)は、センサ40の一部(図4においては、先端側の一部)を収容可能で、且つ、当該センサ40の一部を収容した状態において、センサ40の検出部40と被検出体42のロータエンコーダ42bとの間に、これらとそれぞれ所定の間隔を空けてプレートリング44rが介在可能となる所定の大きさに設定して構成すればよい。例えば、センサ40の検出部40sと対向する所定の部位を、当該センサ40の一部の外郭よりも僅かに大きな内郭でのみ突出させてもよいし、センサ40の直径よりも僅かに大きな幅で、周方向に沿って連続して縮径方向へ矩形状に突出させて形成してもよい。
なお、本変形例において、被検出体42は、一例として、ロータ基台部42aとロータエンコーダ42bとが一体を成して円環状に構成されている。この場合、ロータ基台部42aは、軸方向の一端側(図4の右端側)に、その端部と連続し、拡径方向へ所定の長さで突出するフランジ部を設けた円筒状に構成されている。これに対し、ロータエンコーダ42bは、その内周部をロータ基台部42aの外周部に当接させ、軸方向の一端部(図4の右端部)をロータ基台部42aのフランジ部に当接させるとともに、他端部をロータ基台部42aの他端部と面一となるように位置付けた円環状に構成されている。
図5に示す本発明の第4変形例において、プレートリング44rは、上述した第3変形例に係るプレートリング44rと同様に構成されている。これに対し、静止輪2は、所定のOリング48を係合させるためのOリング溝2mを、内周部2bへ周方向に沿って連続した凹状に形成して構成されている。図5に示す構成において、Oリング溝2mは、プレートリング44rの軸方向(同図の左右方向)の両端部(すなわち、凸状部rd以外の部分)と対向可能な所定の位置に、センサ取付孔2cに対して軸方向(同図の左右方向)へ対称を成して設けられている。
なお、Oリング溝2mの大きさ(幅(図5の左右方向の距離)や深さ(図5の上下方向の距離)など)や形状などは、例えば、Oリング48の大きさ(径など)や形状などに基づいて、当該Oリング溝2mに係合させたOリング48とプレートリング44rとを密着させることが可能であれば任意に設定することができる。また、Oリング溝2mの数及び配設位置は、センサ取付孔2cに対して軸方向(同図の左右方向)へ少なくとも1つずつ設けている限り、特に限定されない。
この結果、例えば、センサ40とセンサ取付孔2cとの間に極僅かな隙間が生じ、外部の異物(例えば、水や塵埃など)が当該隙間を伝ってセンサ取付孔2cに侵入した場合であっても、当該異物は、遮蔽部材44(プレートリング44r)に加えて、Oリング48によって塞き止めることができる。これにより、かかる異物が軸受ユニット10の内部へ侵入することを、さらに確実に防止することができる。
なお、第4変形例に係る軸受ユニットのその他の部材(センサ40、回転輪4、転動体(玉)18a,18b及び被検出体42など)は、上述した第3変形例に係る軸受ユニットの部材と同様に構成されている。
図6に示す本発明の第5変形例において、プレートリング44rは、センサ40の一部を収容する凹状部rgを形成して構成されているとともに、所定の素材(例えば、樹脂など)で全体をモールドして構成されている。この場合、かかる凹状部rgは、プレートリング44rの幅方向(図6の左右方向)の中間部に、センサ40の検出部40sと対向する所定の部位をセンサ40の一部よりも僅かに大きな容積で縮径方向へ窪ませて形成されている。
なお、凹状部rgの大きさ(幅、長さ及び深さなど)は、センサ40の一部(図6においては、先端側の一部)を収容可能で、且つ、当該センサ40の一部を収容した状態において、センサ40の検出部40と被検出体42のロータエンコーダ42bとの間に、これらとそれぞれ所定の間隔を空けてプレートリング44rが介在可能となる所定の大きさに設定して構成すればよい。例えば、センサ40の検出部40sと対向する所定の部位を、当該センサ40の一部の外郭よりも僅かに大きな内郭でのみ窪ませてもよいし、センサ40の直径よりも僅かに大きな幅で、周方向に沿って連続して縮径方向へ矩形状に窪ませて形成してもよい。
また、本変形例において、プレートリング44rは、所定のOリング48を係合させるためのOリング溝rmを、外周部roへ周方向に沿って連続した凹状に形成して構成されている。図6に示す構成において、Oリング溝rmは、プレートリング44rの内周部2bと対向可能な所定の位置に、凹状部rgに対して軸方向(同図の左右方向)へ対称を成して設けられている。なお、Oリング溝rmの大きさ(幅(図6の左右方向の距離)や深さ(図6の上下方向の距離)など)や形状などは、例えば、Oリング48の大きさ(径など)や形状などに基づいて、当該Oリング溝rmに係合させたOリング48とプレートリング44rとを密着させることが可能であれば任意に設定することができる。また、Oリング溝rmの数及び配設位置は、凹状部rgに対して軸方向(同図の左右方向)へ少なくとも1つずつ設けている限り、特に限定されない。
この結果、例えば、センサ40とセンサ取付孔2cとの間に極僅かな隙間が生じ、外部の異物(例えば、水や塵埃など)が当該隙間を伝ってセンサ取付孔2cに侵入した場合であっても、当該異物は、遮蔽部材44(プレートリング44r)に加えて、Oリング48によって塞き止めることができる。これにより、かかる異物が軸受ユニット10の内部へ侵入することを、さらに確実に防止することができる。
なお、第5変形例に係る軸受ユニットのその他の部材(センサ40、回転輪4、転動体(玉)18a,18b及び被検出体42など)は、上述した第4変形例に係る軸受ユニットの部材と同様に構成されている。
また、本発明の実施形態は、上述したような第1実施形態(図1)、及び第1〜第5変形例(図2〜6)に特に限定されず、例えば、図7(a),(b)に示す本発明の第2実施形態、及び、図8(a),(b)に示す本発明の第6変形例に係る軸受ユニット構成であっても、同様の効果を得ることができる。なお、この際、本実施形態及び本変形例に係る軸受ユニットの基本的構成は、上述した本発明の第1実施形態に係る軸受ユニット10(図1)と同様であり、これと同一若しくは類似の構成部材については、同一符号を用いて、その説明を省略若しくは簡略化する。
図7(a),(b)に示す本発明の第2実施形態において、遮蔽部材44は、所定方向(センサ40の延出方向(同図の上下方向))に延出する筒部saと、当該筒部saの延出方向の一端側(同図の上端側)を開放する開口部sg及び他端側(センサ40の検出部40s側(同図の下端側))を閉塞する底部sbとから成る円筒函状を成すサック44sとして構成されている。かかるサック44sは、センサ取付孔2cに対し、筒部saの少なくとも一部を当該センサ取付孔2cに密接させて取り付けられた状態で、回転輪4(具体的には、ハブ12)の被検出体42と所定の間隔を空けて対向して位置付けられている。また、センサ40は、少なくともその一部(図7(a)においては、センサ取付孔2cに挿通された部分と被検出体42側へ突出された部分)をサック44sの筒部saに挿通させた状態で、当該サック44sの底部sbを介して、回転輪4(ハブ12)の被検出体42と対向している。
なお、サック44sのセンサ取付孔2cに対する取付方法は、特に限定されず、例えば、締り嵌め、接着や溶接、締結部材(ねじなど)による締結など、任意の方法を適用すればよい。また、例えば、サック44sの筒部sa及びセンサ取付孔2cに対し、相互に螺合する螺旋状の溝(いわゆる雄ねじと雌ねじ)を形成し、当該サック44sをセンサ取付孔2cに対して直接締結させてもよい。
図7(a),(b)に示す構成において、サック44sは、その外径がセンサ取付孔2cの径と略同一の大きさで、その内径がセンサ40の外径と略同一の大きさに設定されて構成されているとともに、その長さ(図7(a),(b)の上下方向の距離)が上述したセンサ40の一部よりも若干大きな所定の大きさに設定されて構成されている。
本変形例において、サック44sは、所定の弾性部材(例えば、ゴム、プラスチック及びばね鋼など)で構成されており、その筒部saには、センサ取付孔2cに対して当該筒部saを締り嵌めするための嵌合部scが設けられており、当該嵌合部scは、筒部saの周面に開口部sg側から底部sb側へ亘って、周方向に沿った凸部62と凹部64とを交互に連続させて(いわゆる波形状に)形成されている。
また、図7(a),(b)に示す構成において、嵌合部scは、一例として、開口部sgの周縁がOリング状の凸曲部60を成すとともに、筒部saの周面に対し、当該凸曲部60から所定間隔(所定周期)で、それぞれ周方向に沿って連続した4つの凸部(山部)62と4つの凹部(谷部)64とが交互に底部sbまで連続する波形状(いわゆる蛇腹状)に形成されて構成されている。
ただし、嵌合部sc(凸曲部60、凸部(山部)62及び凹部(谷部)64)の大きさ、形状及び数などは、センサ取付孔2cの大きさやセンサ40の形状などに応じて任意に設定すればよく、上述した構成には特に限定されない。例えば、嵌合部scは、開口部sgの周縁にOリング状の凸曲部60を設けるとともに、筒部saの周面に対し、当該凸曲部60から底部sbまで波形を螺旋状に連続させて構成してもよい。
なお、この場合、センサ40は、一例として、円柱状の本体部が所定の段部40dを境にして、延出方向(図7(a)の上下方向)の一方側(同図の上側)を比較的大径の大径部40bとして構成されているとともに、他方側を比較的小径の小径部40eとして構成されている。
また、静止輪2のセンサ取付孔2cは、外周部2aから所定の深さで比較的大径の円孔(大径孔)cbが形成され、当該大径孔cbに連続して内周部2bまで当該大径孔cbの径よりも小径で、且つ、同心の円孔(小径孔)ccが内周部2bまで形成されて構成されている。すなわち、センサ取付孔2cは、大径孔cbと小径孔ccとを所定の段部cdによって連続させて静止輪2の外周部2aから内周部2bまでを貫通する貫通孔として構成されている。
この場合、サック44sの嵌合部scは、Oリング状の凸曲部60の外径をセンサ取付孔2cの大径孔cbの径と略同一の大きさに設定するとともに、凸部(山部)62の外径をセンサ取付孔2cの小径孔ccの径と略同一の大きさに設定して構成されている。これにより、サック44sは、嵌合部scのOリング状の凸曲部60をセンサ取付孔2cの段部cdに係合させるとともに、筒部saの周面に形成した凸部(山部)62をセンサ取付孔2cの小径孔ccに当接させて、当該センサ取付孔2cに対して締り嵌めされている。
この結果、サック44sの筒部saに挿通して当該筒部saに対して締り嵌めされたセンサ40を、軸受ユニットから分離した場合であっても、サック44sによってセンサ取付孔2cの内側開口chを常に塞いだ状態、すなわち、軸受ユニットの内部を外部に対して常に遮蔽した状態とすることができる。これにより、外部の異物が軸受ユニットの内部へ侵入することを、確実に防止することができる。
図8(a),(b)に示す本発明の第6変形例において、遮蔽部材44は、上述した第2実施形態と同様に、円筒函状を成すサック44sとして構成されており、当該サック44sは、センサ取付孔2cに対し、筒部saの少なくとも一部を当該センサ取付孔2cに密接させて取り付けられた状態で、回転輪4(具体的には、ハブ12)の被検出体42と所定の間隔を空けて対向して位置付けられている。また、センサ40は、少なくともその一部(図8(a)においては、円柱状の本体部分)をサック44sの筒部saに挿通させた状態で、当該サック44sの底部sbを介して、回転輪4(ハブ12)の被検出体42と対向している。
図8(a),(b)に示す構成において、サック44sは、その外径がセンサ取付孔2cの径と略同一の大きさで、その内径がセンサ40の外径と略同一の大きさに設定されて構成されているとともに、その長さ(図8(a),(b)の上下方向の距離)が上述したセンサ40の一部よりも若干大きな所定の大きさに設定されて構成されている。
本変形例において、サック44sは、所定の弾性部材(例えば、ゴム、プラスチック及びばね鋼など)で構成されており、その筒部saには、センサ取付孔2cに対して締り嵌めするための嵌合部scが設けられており、当該嵌合部scは、筒部saの周面に開口部sg側から底部sb側へ亘って、周方向に沿った突起部を所定間隔で複数並べて形成されている。
また、図8(a),(b)に示す構成において、嵌合部scは、一例として、開口部sgの周縁がOリング状の凸曲部60を成すとともに、筒部saの周面に対し、5つの突起部66が当該凸曲部60から底部sbまで所定間隔で形成されて構成されている。ただし、嵌合部sc(凸曲部60、突起部66)の大きさ、形状及び数などは、センサ取付孔2cの大きさやセンサ40の形状などに応じて任意に設定すればよく、上述した構成には特に限定されない。例えば、嵌合部scは、開口部sgの周縁にOリング状の凸曲部60を設けるとともに、筒部saの周面に対し、当該凸曲部60から底部sbまで1つの突起部を螺旋状に連続させて構成してもよい。
なお、この場合、静止輪2のセンサ取付孔2cは、外周部2aから所定の深さで徐々に縮径された円すい孔ceが形成され、当該円すい孔ceに連続して内周部2bまで当該円すい孔ceの最小径と同一径で、且つ、同心の円孔cfが内周部2bまで形成されて構成されている。
この場合、サック44sの嵌合部scは、Oリング状の凸曲部60の外径をセンサ取付孔2cの円すい孔ceに係合可能な所定の大きさに設定するとともに、突起部66の外径をセンサ取付孔2cの円孔cfの径と略同一の大きさに設定して構成されている。これにより、サック44sは、嵌合部scのOリング状の凸曲部60をセンサ取付孔2cの円すい孔ceに係合させるとともに、筒部saの周面に形成した突起部66をセンサ取付孔2cの円孔cfに当接させて、当該センサ取付孔2cに対して締り嵌めされている。
この結果、サック44sの筒部saに挿通して当該筒部saに対して締り嵌めされたセンサ40を、軸受ユニットから分離した場合であっても、サック44sによってセンサ取付孔2cの内側開口chを常に塞いだ状態、すなわち、軸受ユニットの内部を外部に対して常に遮蔽した状態とすることができる。これにより、外部の異物が軸受ユニットの内部へ侵入することを、確実に防止することができる。
なお、第6変形例に係る軸受ユニットのその他の部材(回転輪4、転動体(玉)18a,18b及び被検出体42など)は、上述した第2実施形態に係る軸受ユニットの部材と同様に構成されている。
本発明の第1実施形態に係るセンサ付き軸受ユニットの構成例を示す断面図。 本発明の第1変形例に係るセンサ付き軸受ユニットの構成例を示す要部断面図。 本発明の第2変形例に係るセンサ付き軸受ユニットの構成例を示す要部断面図。 本発明の第3変形例に係るセンサ付き軸受ユニットの構成例を示す要部断面図。 本発明の第4変形例に係るセンサ付き軸受ユニットの構成例を示す要部断面図。 本発明の第5変形例に係るセンサ付き軸受ユニットの構成例を示す要部断面図。 本発明の第2実施形態に係るセンサ付き軸受ユニットの構成例を示す図であって、(a)は、要部断面図、(b)は、遮蔽部材であるサックの断面図。 本発明の第6変形例に係るセンサ付き軸受ユニットの構成例を示す図であって、(a)は、要部断面図、(b)は、遮蔽部材であるサックの断面図。 従来のセンサ付き軸受ユニットの構成例を示す断面図。 センサの構成例を示す全体斜視図。
符号の説明
2 静止輪
2a 静止輪外周部
2b 静止輪内周部
2c センサ取付孔
4 回転輪
10 センサ付き軸受ユニット
12 ハブ
16 内輪構成体
18a,18b 転動体
40 センサ
42 被検出体
42a ロータ基台部
42b ロータエンコーダ
44 遮蔽部材
44r プレートリング
44s サック
ch センサ取付孔内周部側開口

Claims (5)

  1. 車体構成部材に固定される静止輪と、車輪構成部材に固定されて当該車輪構成部材とともに回転する回転輪と、当該静止輪及び当該回転輪にそれぞれ形成されて相互に対向する複列の軌道面間へ転動可能に組み込まれた複数の転動体と、前記回転輪の回転状態を検出するセンサとを備え、静止輪には、その外周部から内周部までを貫通し、当該外周部側及び内周部側をそれぞれ開口させるとともに、前記センサを挿通して位置決めさせるためのセンサ取付孔が形成され、回転輪には、その外周部に対し、当該回転輪と同一回転状態で回転し、前記センサによってその回転状態が検出される被検出体が、センサと対向可能に設けられたセンサ付き軸受ユニットであって、
    静止輪には、前記センサ取付孔の内周部側の開口を塞ぎ、軸受ユニット内部を遮蔽する遮蔽部材が設けられており、センサは、当該遮蔽部材を介して、被検出体と対向していることを特徴とするセンサ付き軸受ユニット。
  2. 遮蔽部材は、非磁性の板状体を静止輪と同心の円筒状に構成したプレートリングであって、当該プレートリングは、その外周部を前記静止輪の内周部に当接させて固定されているとともに、回転輪の被検出体と所定の間隔を空けて対向して位置付けられていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付き軸受ユニット。
  3. 遮蔽部材は、所定方向に延出する筒部と、当該筒部の延出方向の一端側を開放する開口部及び他端側を閉塞する底部とから成るサックであって、当該サックは、前記センサ取付孔に対し、筒部の少なくとも一部を当該センサ取付孔に密接させて取り付けられた状態で、回転輪の被検出体と所定の間隔を空けて対向して位置付けられており、前記センサは、少なくともその一部を当該サックの筒部に挿通させた状態で、当該サックの底部を介して、回転輪の被検出体と対向していることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付き軸受ユニット。
  4. サックは、所定の弾性部材で構成されており、その筒部には、前記センサ取付孔に対して当該筒部を締り嵌めするための嵌合部が設けられており、当該嵌合部は、前記筒部の周面に開口部側から底部側へ亘って、周方向に沿った凸部と凹部とを交互に連続させて形成されている、若しくは、当該筒部の周面に開口部側から底部側へ亘って、周方向に沿った突起部を所定間隔で複数並べて形成されていることを特徴とする請求項3に記載のセンサ付き軸受ユニット。
  5. センサは、複列の転動体相互間に挟まれた所定の位置に配設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセンサ付き軸受ユニット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112304607A (zh) * 2019-07-15 2021-02-02 舍弗勒技术股份两合公司 带传感器的轴承座单元

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