JP2008112137A - 液晶シール材の硬化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 液晶シール材を従来よりも短時間で且つ十分に硬化させることができ、液晶表示装置の生産性の更なる向上を可能とする液晶シール材の硬化方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の液晶シール材の硬化方法は、液晶層と、該液晶層を挟んで対向し、液晶シール材により貼り合わされた一対の透明基板とを有する液晶表示装置の製造において、熱硬化性樹脂、又は、光硬化性及び熱硬化性の特性を有する硬化性樹脂、を含有する液晶シール材を一対の透明基板の間に介在させて、該液晶シール材をマイクロ波の照射により硬化させることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶シール材の硬化方法に関する。
液晶表示装置は、液晶シール材により貼り合わされた一対の電極付透明基板の間に液晶が封入された構造を有する。このような液晶表示装置は、2枚の基板のうちの一方の基板上に液晶シール材を液晶注入口となる部分を残して環状に塗布し、これともう一方の基板とを貼り合わせた後、真空中で液晶を注入し、液晶注入口を硬化性樹脂で封止する工程を経て製造される。また、近年では、一方の基板上に液晶シール材を環状に塗布し、液晶シール材で囲まれた領域内に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせる液晶滴下工法が利用されるようになっている。この液晶滴下工法によれば、液晶封入のタクトタイムを短縮することができ、特に、最近の大型化する液晶表示装置の生産性を向上させることができる。
従来、液晶表示装置の液晶シール材は大別して熱硬化型と光硬化型のものがあり、これらを硬化させることにより基板の貼り合わせが行われていた。しかし、熱硬化型の液晶シール材は、硬化時間が長く(1時間以上)、さらには高温(150℃以上)での加熱が必要であるため基板に歪みを与えやすいなどの問題を有していた。一方、光硬化型の液晶シール材は、常温で硬化が可能であるため、上述した熱による問題を解消することができるものの、基板上に設けられたブラックマトリックス(BM)層によってシール形成部に影部が生じると、未硬化部分が発生してしまうという問題を有していた。
液晶滴下工法においては、上記両者の欠点を補うため、熱硬化性及び光硬化性の両方の特性を有する熱/光硬化併用型の液晶シール材が広く利用されている(例えば、特許文献1を参照)。この場合、通常、最初に液晶シール材をUV照射により仮硬化した後、加熱による本硬化を行うことにより基板同士が貼り合わされる。
特許第3583326号
しかしながら、熱/光硬化併用型の液晶シール材を用いる場合であっても従来の貼り合わせ方法では、以下の理由から液晶表示装置の生産性を更に向上させることは困難である。すなわち、熱/光硬化併用型の液晶シール材は、上述した熱硬化型と光硬化型のそれぞれの欠点を補うものであるものの、液晶シール材が設けられる位置によっては光照射による仮硬化時に未硬化部分が発生することがあり、十分な硬化のためには長時間の加熱に頼らざるを得ないのが実情である。特に、液晶表示部の拡大を図るために液晶シール材をブラックマトリックス層の直下に設けると、光硬化を十分に進行させることができなくなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、液晶シール材を従来よりも短時間で且つ十分に硬化させることができ、液晶表示装置の生産性の更なる向上を可能とする液晶シール材の硬化方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、液晶層と、該液晶層を挟んで対向し、液晶シール材により貼り合わされた一対の透明基板とを有する液晶表示装置の製造において、熱硬化性樹脂、又は、光硬化性及び熱硬化性の特性を有する硬化性樹脂、を含有する液晶シール材を一対の透明基板の間に介在させて、該液晶シール材をマイクロ波の照射により硬化させることを特徴とする液晶シール材の硬化方法を提供する。
本発明の液晶シール材の硬化方法によれば、上記の液晶シール材を用い、これをマイクロ波の照射により硬化させることにより、液晶シール材を従来よりも短時間で且つ十分に硬化させることができる。また、本発明の液晶シール材の硬化方法によれば、従来よりも加熱による基板への悪影響を低減することができることから、液晶表示装置の製造における歩留まりをも向上させることができる。よって、本発明の液晶シール材の硬化方法によれば、液晶表示装置の生産性向上が有効に実現可能となる。
本発明の方法によって上記の効果が奏される理由としては、本発明者らは以下のように考えている。物質にマイクロ波を照射すると、発生する振動電界に物質内の双極子の配向が追従しようとするが、振動電界の時間変化についていけなくなると、電磁エネルギーが熱として物質内に吸収されるため、物質内部から加熱昇温が起こる。このような内部からの加熱昇温は、従来の外部からの加熱反応とは大きく異なる点であり、短時間での硬化反応を実現する要因になっていると考えられる。
本発明の液晶シール材の硬化方法においては、一対の透明基板のうちの少なくとも一方の透明基板上に表示領域を囲むブラックマトリックス層が設けられており、液晶シール材がブラックマトリックス層上に配置されるように、液晶シール材を一対の透明基板の間に介在させることが好ましい。ここでいう表示領域とは、額縁状に形成されたブラックマトリックスの内側の領域を意味する。
上記の硬化方法によれば、ブラックマトリックス層がマイクロ波を吸収することにより発生する熱を液晶シール材の硬化に利用することができ、液晶シール材の硬化反応を更に促進させることが可能となる。
また、液晶表示部の拡大や液晶表示装置の狭額縁化を目的として、液晶シール材をブラックマトリックス層の直下に設けることが要求されているが、この場合、光照射による液晶シール材の硬化が困難となるため、従来の液晶シール材の硬化方法では生産性が低下してしまう傾向にあった。これに対して、上記の本発明の硬化方法によれば、上述したようにブラックマトリックス層を液晶シール材の硬化に利用することができることから、液晶シール材をブラックマトリックス層の直下に設けた液晶表示装置であっても生産性よく製造することが可能となる。
また、本発明の液晶シール材の硬化方法においては、重合反応の反応性の観点から、上記液晶シール材が1分子中に(メタ)アクリル基を2個以上有する化合物を含有するものであることが好ましい。
また、本発明の液晶シール材の硬化方法においては、耐熱性の観点から、上記液晶シール材が1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物を含有するものであることが好ましい。
本発明によれば、液晶シール材を従来よりも短時間で且つ十分に硬化させることができ、液晶表示装置の生産性の更なる向上を可能とする液晶シール材の硬化方法を提供することができる。
以下、本発明の液晶シール材の硬化方法の好適な実施形態について、液晶滴下工法による液晶表示装置の製造を適用例として説明する。
本実施形態の液晶表示装置の製造方法は、(a)第1の透明基板上に液晶シール材を環状に塗布する工程、(b)第2の透明基板上に液晶を滴下する工程、(c)液晶シール材が塗布された第1の透明基板と液晶が滴下された第2の透明基板とを貼り合わせる工程とを備える。そして、本実施形態では、(c)工程において、本発明の液晶シール材の硬化方法、すなわち、熱硬化性樹脂、又は、光硬化性及び熱硬化性の特性を有する硬化性樹脂を含有する液晶シール材を一対の透明基板の間に介在させて、該液晶シール材をマイクロ波の照射により硬化させる工程が実施される。
先ず、本発明に係る液晶シール材について説明する。
本発明に係る液晶シール材は、熱硬化性樹脂、又は、光硬化性及び熱硬化性の特性を有する硬化性樹脂を含有するものである。
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ラジカル重合系樹脂などが挙げられる。
エポキシ樹脂を用いる場合は、多官能エポキシ樹脂を用いることが好ましい。多官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
フェノール樹脂を用いる場合は、耐熱性を高める観点から、多官能フェノール樹脂を用いることが好ましい。多官能フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂などが挙げられる。
上記の熱硬化性樹脂は単独で用いてもよいし、数種を混合して用いてもよい。
また、光硬化性及び熱硬化性の特性を有する硬化性樹脂としては、例えば、ラジカル重合系樹脂、カチオン重合系樹脂、アニオン重合系樹脂などが挙げられる。これらの硬化性樹脂は単独で用いてもよいし、数種を混合して用いてもよく、また、上記の熱硬化性樹脂と併用してもよい。
また、本実施形態に係る液晶シール材は、重合反応の反応性の観点から、1分子中に(メタ)アクリル基を2個以上有する化合物を含有するものであることが好ましい。
1分子中に(メタ)アクリル基を2個以上有する化合物としては、例えば、エポキシ樹脂を(メタ)アクリル酸で変性したエポキシ(メタ)アクリレート、ジオールと(メタ)アクリル酸(エステル)との反応から得られるジオールジアクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの化合物を用いる場合、液晶シール材に光重合開始剤又は熱重合開始剤を更に含有させることが好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどが挙げられる。熱重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル,1,1’−(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は単独で用いてもよいし、数種を混合して用いてもよい。
上記で挙げた1分子中に(メタ)アクリル基を2個以上有する化合物などのラジカル重合系樹脂は、光重合開始剤及び熱重合開始剤と併用することによって、光硬化性と熱硬化性の両方を有する硬化性樹脂とすることができる。この場合、光重合開始剤及び熱重合開始剤の配合量は、それぞれ、ラジカル重合系樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。
また、本実施形態に係る液晶シール材は、耐熱性の観点から、1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物を含有するものであることが好ましい。
1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂が挙げられる。
多官能エポキシ樹脂を用いる場合、フェノール樹脂などその他の熱硬化性樹脂を合わせて用いることが好ましく、その他の熱硬化性樹脂の配合量は、多官能エポキシ樹脂におけるエポキシ当量に応じて決定することができる。例えば、多官能エポキシ樹脂とフェノール樹脂を用いる場合、フェノール樹脂の活性水素の当量と多官能エポキシ樹脂のエポキシ当量とが等しくなるように配合することが好ましい。
また、多官能エポキシ樹脂を用いる場合、液晶シール材にエポキシ基の反応促進剤を更に含有させることが好ましい。反応促進剤としては、例えば、ヒドラジド類、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、グアニル尿素などのアミン類や2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのアルキル基置換イミダゾール、ベンゾイミダゾールなどのイミダゾール類、トリフェニルフォスフィンなどのフォスフィン類などが挙げられる。これらのエポキシ基の反応促進剤は単独で用いてもよいし,数種を混合して用いてもよい。
エポキシ基の反応促進剤の配合量は、多官能エポキシ樹脂におけるエポキシ当量に応じて決定することができ、例えば、反応促進剤としてアミン化合物を用いる場合、アミンの活性水素の当量と、多官能エポキシ樹脂のエポキシ当量とが等しくなるように配合することが好ましい。また、反応促進剤としてイミダゾール類を用いる場合、反応促進剤の配合量は多官能エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜2.0質量部であることが好ましい。
また、本実施形態に係る液晶シール材には、硬化を阻害せず、上記硬化性樹脂と相溶化する範囲で、取り扱い性及び作業性の向上を目的に、数平均分子量50,000以上の熱可塑性ポリマーを含有させてもよい。この熱可塑性ポリマーとしては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエーテルイミド、アクリルゴムやブタジエンゴムといったゴム類などが挙げられる。
ところで、マイクロ波の照射によって物質の発熱にかかる電力(発熱量)Pは、以下の式で表される。
P=(5/9)・f・E・εr・tanδ×10−10[W/m
(f:マイクロ波の周波数[Hz]、E:電界強度[V/m]、εr:物質の比誘電率、tanδ:物質の誘電正接)
上記式から、物質のεr及びtanδが小さいと、マイクロ波照射による硬化反応が進みにくく、逆にεr・tanδの値が大きいほどPが大きくなり、硬化反応が速く進行すると考えられる。上述した本実施形態に係る液晶シール材のεr・tanδの値を大きくする方法としては、高誘電率の無機微粒子を液晶シール材中に分散させる手法、有機合成反応によって硬化性樹脂中に極性の高い官能基を導入する手法などが挙げられる。
高誘電率の無機微粒子としては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化チタンなどが挙げられる。また、極性の高い官能基としては、例えば、シアノ基、アミド基、ウレタン結合、チオール基、カーボナート基などが挙げられる。
本実施形態に係る液晶シール材は、液晶表示装置の基板間のギャップを保つために、直径数μmのポリマービーズなどのスペーサーを含有してもよい。
液晶表示装置を構成する一対の透明基板である第1の透明基板及び第2の透明基板は、公知のものを用いることができる。例えば、一方の透明基板としては、ガラス基板上に例えば、ブラックマトリックス、カラーフィルター、透明電極、配向膜、スペーサーが設けられたものなどが挙げられ、他方の透明基板としては、ガラス基板上に例えば、TFT電極、配向膜が設けられたものなどが挙げられる。また、透明基板には偏向層が設けられていてもよい。この偏向層は、各透明基板の配向膜が設けられている側とは反対側面上に設けられ、透明基板が貼り合わせられたときに外側に位置する。本実施形態においては、いずれを第1の透明基板としてもよいが、位置合わせ精度の観点から、第1の透明基板が、ガラス基板上にブラックマトリックス、カラーフィルター、透明電極、配向膜、スペーサーをこの順で設けたものであることが好ましい。
液晶シール材の塗布は、例えば、ディスペンサなどの描画機器を用いて行うことができる。また、塗布のパターンは、第1の透明基板上の表示領域を囲む額縁状である。
本実施形態においては、第1の透明基板及び第2の透明基板の少なくとも一方が有するブラックマトリックス層上に液晶シール材が配置されるように、液晶シール材を塗布することが好ましい。ここで、液晶シール材がブラックマトリックス層上に配置されるとは、第1の透明基板又は第2の透明基板をその主面の法線方向から見た場合に、液晶シール材の一部又は全部がブラックマトリックス層に重なることを意味する。液晶シール材がこのように配置されることにより、後述する(c)工程においてブラックマトリックス層がマイクロ波を吸収することにより発生する熱を液晶シール材の硬化に利用することができ、液晶シール材の硬化反応を更に促進させることが可能となる。また、液晶表示部の拡大や液晶表示装置の狭額縁化をより有効に実現させることができる。
ここで、上記のブラックマトリックス層(以下、BM層と略称する)について説明する。上記のBM層は、バックライトからの光が漏れ出してコントラストが下がるのを防ぐために液晶表示装置の表示領域の外側に額縁状に形成されるものである。このようなBM層の形成法としては、蒸着クロム薄膜のフォトエッチングによるレリーフ形成、親水性樹脂のレリーフ染色、黒色インキの印刷、黒色レジストのレリーフ形成、黒色電着塗料の電着形成などが挙げられる。このうちクロムは、環境問題の面で2006年7月にEU規制によって使用が制限されたことによって敬遠されている。そのため、黒色顔料には、カーボンブラック等の遮光性顔料が主に用いられている。
特に、カーボンブラック等の遮光性顔料からなるBM層は、マイクロ波の照射により発熱しやすく、液晶シール材の硬化反応促進に有効である。
液晶シール材のような狭小物は、その形状からマイクロ波の照射によって発生する熱が系外へ発散しやすいが、上記のようにBM層と重ねることで自身の発熱に加えBM層からの熱を硬化反応に利用することができる。これにより、液晶シール材を更に狭小化することも可能となる。
本実施形態においては、マイクロ波照射による液晶シール材の硬化反応促進及び狭額縁化の観点から、液晶シール材を第1の透明基板又は第2の透明基板をその主面の法線方向から見た場合のシール材面積のうち50%以上がBM層に重なることが好ましい。
更に、本実施形態においては、液晶シール材をBM層の直下に位置させることが好ましい。ここでいう直下とは、第1の透明基板又は第2の透明基板をその主面の法線方向から見た場合に、液晶シール材の一部又は全部がブラックマトリックス層に重なることを意味する。
透明基板上に液晶を滴下する方法としては、例えば、液晶滴下装置によるものが挙げられる。本実施形態においては、硬化前の液晶シール材が液晶と触れる時間をより短くする観点から、液晶は第2の透明基板の液晶表示領域に必要な量滴下される。
液晶シール材が塗布された第1の透明基板と液晶が滴下された第2の透明基板とを貼り合わせる工程では、上記液晶シール材をマイクロ波の照射により硬化させる本発明に係る液晶シール材の硬化方法が実施される。
ここで、液晶シール材を硬化させるためのマイクロ波照射について説明する。
本実施形態では、公知のマイクロ波照射装置を用いて液晶シール材にマイクロ波を照射することができる。硬化のために照射されるマイクロ波の周波数は、産業用として通常使用されていることから、0.5〜30GHzの範囲内とすることができ、2〜30GHzの範囲内とすることができる。本実施形態の方法では、例えば商用周波数である2.45GHzの周波数を有するマイクロ波が用いられる。
マイクロ波を照射する際、導体回路などの金属部位においてアーク放電が発生することが危惧されるが、これを防ぐ手段として、浮遊する金属部位をダミー配線で接続して等電位にする方法や、治具を用いて金属部位を等電位にする方法が挙げられる。
金属部位を等電位にするための治具としては、例えば、銅線などのリード線と金属などの電気伝導体で形成された留め金とから構成されており、留め金がリード線の片端に接続されているものが挙げられる。このとき、マイクロ波が照射される金属部位と留め金、及び、留め金とリード線とが確実に接触・接続されている必要がある。
また、リード線を接地するための接地場所としては、マイクロ波照射装置全体が接地されていれば、マイクロ波にさらされない範囲でかつ装置内で材料との距離が近い装置内の金属部位が挙げられる。また、マイクロ波照射装置とは別に、コンセントの接地極などに治具のリード線を接続することで接地を行ってもよい。
本実施形態の方法においては、アーク放電の発生を抑制する観点から、マイクロ波の照射によって発生する電界強度が25kV/m以下であることが好ましい。この場合、放電部位の部材や樹脂に焦げなどが発生することや半導体素子へのダメージをより確実に防止することができる。
なお、(c)工程においては、マイクロ波の照射に加えて、加熱や光照射を併用することもできる。この場合、位置ずれが生じないように光照射により仮硬化させた後、加熱及びマイクロ波の照射を行うことが好ましい。
上記の(a)〜(c)工程を経て、液晶表示装置が製造される。図1は、本実施形態の方法によって得られた液晶表示装置の一例を示す模式断面図である。図1に示す液晶表示装置100は、ガラス基板1並びにガラス基板上に設けられたブラックマトリックス2、カラーフィルター3、透明電極4及び配向膜5を備える第1の透明基板と、ガラス基板1並びにガラス基板上に設けられたTFT電極7及び配向膜5を備える第2の透明基板とが液晶シール材6によって貼り合わされたものである。また、第1の透明基板と第2の透明基板との間には液晶8が液晶シール材6によって封止されている。
以上、液晶滴下工法による液晶表示装置の製造例に基づいて本発明の液晶シール材の硬化方法を説明したが、本発明の液晶シール材の硬化方法は、真空中での液晶注入法による液晶表示装置の製造にも適用することができる。この場合、第1の透明基板上に上記液晶シール材を液晶注入口となる部分を残して環状に塗布し、これと第2の透明基板とを貼り合わせる際に、本発明の液晶シール材の硬化方法、すなわち、上述したマイクロ波の照射により上記液晶シール材を硬化させることが実施される。その後、真空中で液晶を注入し、液晶注入口を硬化性樹脂で封止する工程を経て液晶表示装置が製造される。
また、液晶表示装置の製造方法は、(a)第1の透明基板上に液晶シール材を環状に塗布する工程、(b2)第1の透明基板上の液晶シール材で囲まれた領域内に液晶を滴下する工程、(c2)液晶が滴下された第1の透明基板と第2の透明基板とを貼り合わせる工程とを備えるものであってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
厚み1μmのブラックマトリックス(BM)層が形成されたポリイミドフィルム上に、市販の熱硬化型のシール材「XN−21S」(三井化学製、商品名)を幅1mm、厚み20mmのライン状に塗布した後、温風循環型乾燥機中で90℃、10分間乾燥させ、積層体を得た。
マイクロ波照射装置内で、得られた積層体を、マイクロ波発信源(マグネトロン)から見てBM層がライン状に形成されたシール材の手前側に位置するように設置し、2.45GHzのマイクロ波を照射した。この時、2.45GHzのマイクロ波照射によって発生した電界強度は57kV/mであった。このとき、マイクロ波を10分間照射した時点でシール材の表面温度は150℃に到達し、硬化反応率は100%に到達した。
なお、照射後のシール材の硬化反応率は、示差走査熱量計(DSC)を用いてマイクロ波照射前及び照射後のシール材の発熱量を測定し、照射前のシール材の発熱量を基準として算出した。
(実施例2)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂「DER−331L」(ダウ・ケミカル製、商品名、エポキシ基当量:184)15g、クレゾールノボラック樹脂「KA−1165」(大日本インキ株式会社製、商品名、OH基当量:119)9.7g、フェノキシ樹脂「YP−50EK35」(東都化成株式会社製、商品名、35質量%メチルエチルケトン溶液)70.8g、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.08g、及び、メチルエチルケトン2.1gを撹拌して溶解させ、シール材溶液を調製した。このシール材溶液を、厚み1μmのブラックマトリックス(BM)層が形成されたポリイミドフィルム上に幅1mm、厚み20mmのライン状に塗布した後、温風循環型乾燥機中で100℃、10分間乾燥させ、積層体を得た。
得られた積層体に実施例1と同様の方法でマイクロ波を照射した。このとき、マイクロ波を5分間照射した時点でシール材の表面温度は150℃に到達し、硬化反応率は100%に到達した。
(実施例3)
1,9−ノナンジオールジアクリレート1,9−NDA(共栄社化学社製、商品名:「ライトアクリレート」)10g、ウレタンアクリレート「UA−160TM」(新中村化学製、商品名)10g、過酸化ラウロイル0.1g、及び、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.2gを撹拌し、光硬化性と熱硬化性の両方の特性を有する硬化性樹脂を含むシール材溶液を調製した。このシール材溶液を、厚み1μmのブラックマトリックス(BM)層が形成されたポリイミドフィルム上に幅1mm、厚み10mmのライン状に塗布して、積層体を得た。
得られた積層体に実施例1と同様の方法でマイクロ波を照射した。このとき、マイクロ波を2分間照射した時点でシール材の表面温度は100℃に到達し、硬化反応率は100%に到達した。
(比較例1)
実施例1と同様にして得られた積層体について、マイクロ波照射をせずに、150℃に保った温風循環型乾燥機中で硬化させたが、10分間で硬化反応率は30%であった。なお、この条件で100%の硬化反応率に到達するには50分を要した。
(比較例2)
実施例1と同様にして得られた積層体について、マイクロ波照射をせずに、150℃に保った温風循環型乾燥機中で硬化させたが、5分間で硬化反応率は25%であった。なお、この条件で100%の硬化反応率に到達するには30分を要した。
(比較例3)
実施例3と同様にして得られた積層体について、マイクロ波照射をせずに、120℃に保った温風循環型乾燥機中で硬化させたが、1分間で硬化反応率は0%であった。なお、この条件で100%の硬化反応率に到達するには2時間を要した。
(比較例4)
実施例3と同様にして得られた積層体について、マイクロ波照射をせずに、UVランプから見てBM層がライン状樹脂の手前側に位置するように設置し、UV照射を行ったところ、3000mJ/cmの露光量においても硬化反応率は0%であり、全く硬化反応は進まなかった。
以上の結果から、液晶シール材がブラックマトリックス層上に配置された場合、UV照射では未硬化部分が発生するのに対して、マイクロ照射を用いる本発明の液晶シール材の硬化方法によれば、液晶シール材を従来の加熱による方法よりも短時間で且つ十分に硬化させることができることが分かった。
本発明に係る液晶表示装置の一実施形態を示す模式断面図である。
符号の説明
1…ガラス基板、2…ブラックマトリックス、3…カラーフィルター、4…透明電極、5…配向膜、6…液晶シール材、7…TFT電極、8…液晶、10…第1の透明基板、20…第2の透明基板、100…液晶表示装置。

Claims (4)

  1. 液晶層と、該液晶層を挟んで対向し、液晶シール材により貼り合わされた一対の透明基板と、を有する液晶表示装置の製造において、
    熱硬化性樹脂、又は、光硬化性及び熱硬化性の特性を有する硬化性樹脂、を含有する液晶シール材を前記一対の透明基板の間に介在させて、該液晶シール材をマイクロ波の照射により硬化させることを特徴とする液晶シール材の硬化方法。
  2. 前記一対の透明基板のうちの少なくとも一方の透明基板上に、表示領域を囲むブラックマトリックス層が設けられており、
    前記液晶シール材が前記ブラックマトリックス層上に配置されるように、前記液晶シール材を前記一対の透明基板の間に介在させることを特徴とする請求項1に記載の液晶シール材の硬化方法。
  3. 前記液晶シール材が1分子中に(メタ)アクリル基を2個以上有する化合物を含有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶シール材の硬化方法。
  4. 前記液晶シール材が1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物を含有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶シール材の硬化方法。
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