JP2008110735A - 車両のドア補強構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の側面衝突時にサイドドアに加わる側面衝突荷重を即座に確実にシート側に伝達でき、サイドドアの変形を確実に抑制できる車両のドア補強構造を提供する。
【解決手段】フロントサイドドア1が閉鎖位置となると、ロック3Aがストライカ3Bに係合してフロントサイドドア1とシートクッション2Aとが連結される。この状態でフロントシート2が前後方向にスライド操作されると、ストライカ3Bがロック3Aに対する連結部位の高さ位置を変化することなく円滑に前後方向に移動するため、フロントシート2が前後方向に円滑にスライドする。ここで、他車両が側面衝突すると、フロントサイドドア1に加わる側面衝突荷重が即座にロック3Aおよびストライカ3Bを介して確実にシートクッション2Aの側部に伝達され、フロントシート2の全重量による初期反力でフロントサイドドア1の変形が抑制される。
【選択図】図1
【解決手段】フロントサイドドア1が閉鎖位置となると、ロック3Aがストライカ3Bに係合してフロントサイドドア1とシートクッション2Aとが連結される。この状態でフロントシート2が前後方向にスライド操作されると、ストライカ3Bがロック3Aに対する連結部位の高さ位置を変化することなく円滑に前後方向に移動するため、フロントシート2が前後方向に円滑にスライドする。ここで、他車両が側面衝突すると、フロントサイドドア1に加わる側面衝突荷重が即座にロック3Aおよびストライカ3Bを介して確実にシートクッション2Aの側部に伝達され、フロントシート2の全重量による初期反力でフロントサイドドア1の変形が抑制される。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両のドア補強構造に関し、詳しくは、他車両から受ける側面衝突荷重に対応した車両のドア補強構造に関するものである。
一般に車両のサイドドアは、車体の前後のピラー間に配設されており、その前端部が前部のピラーにヒンジ結合されて開閉自在となっている。そして、このサイドドアは、その後端部に配設されたドアロック機構のロック(ラッチ)が後部のピラーに固定されたストライカに係脱自在に係合することで閉鎖位置に保持されるようになっている。
しかしながら、ドアロック機構のロックとストライカとの係合によりドアを閉鎖位置に保持する力は比較的弱いため、他の車両がサイドドアに側面衝突すると、その側面衝突荷重によってサイドドアが車室内のシートに向けて大きく押し込まれる虞がある。そこで、このような事態を回避するため、従来から種々の技術的手段が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
ここで、特許文献1には、車両の側面衝突荷重を車室内の車幅方向中央部に膨出するフロアトンネルに伝達するようにした車体側部構造が記載されている。この車体側部構造は、車幅方向に延びる荷重方向変換部材をシートのシートバックフレームに設けると共に、この荷重方向変換部材の外端部に間隔を開けて係合可能に対面する係合部材を車体のセンターピラーインナおよびサイドドアインナに設けたものである。
また、特許文献2には、車両の側面衝突荷重を車室内の車幅方向中央部に配設されたコンソールに伝達する横向き支持体を備えた保護装置が記載されている。ここで、横向き支持体は、サイドドア側とシート側とコンソール側とに分かれて配置された3つの補強要素に分割されており、各補強要素の端部は衝突板を介して相互に隙間を開けて対面している。そして、これらの補強要素のうち、例えばシート側の補強要素は、中間部に屈曲レバーを有する伸縮自在な構造とされている。
そして、このように3分割された横向き支持体は、車両の側面衝突を検出して作動するアクチュエータにより屈曲レバーが押動されると、シート側の補強要素が伸張し、その結果、各補強要素が衝突板を介して相互に当接することで一体化するように構成されている。
さらに、特許文献3には、車両の側面衝突荷重を車体の幅方向中央部に配設されたフロアトンネルに伝達するようにした操作レバー軸を備えるシート装置が記載されている。ここで、操作レバー軸は、シートクッションを支持するシートフレームを車幅方向に貫通しており、その外端部にはサイドドアの内面に隙間を開けて対面する操作レバーが固定され、その内端部にはフロアトンネルに隙間を開けて対面する当接部が形成されている。
特開2001−130446号公報(要約書、図1)
特開2000−142286号公報(要約書、図1)
特開平4−208650号公報(第2図)
ところで、特許文献1に記載の車体後部構造では、例えばサイドドアインナに設けられた係合部材が荷重方向変換部材の外端部に間隔を開けて対面しているため、車両の側面衝突時にサイドドアに加わる側面衝突荷重を即座にシート側に伝達することができず、側面衝突の初期にサイドドアがシート側に大きく変形する虞がある。
また、特許文献2に記載の保護装置では、サイドドア側の補強要素の端部の衝突板がシート側の補強要素の端部の衝突板に隙間を開けて対面しており、特許文献3に記載のシート装置では、サイドドアの内面が操作レバー軸の外端部の操作レバーに隙間を開けて対面している。従って、これらの保護装置やシート装置においても前述した特許文献1の車体後部構造と同様の問題がある。
そこで、本発明は、車両の側面衝突時にサイドドアに加わる側面衝突荷重を即座に確実にシート側に伝達でき、サイドドアの変形を確実に抑制できる車両のドア補強構造を提供することを課題とする。
本発明に係る車両のドア補強構造は、車両のサイドドアとその内側に配置されるシートとの間に、サイドドアの閉鎖位置で両者を係脱可能に連結するロック手段を設けたことを特徴とする。
本発明に係る車両のドア補強構造では、車両の側面衝突時にサイドドアに加わる側面衝突荷重がロック手段を介して即座に確実にシート側に伝達されるため、その初期反力によりサイドドアの変形が抑制される。
本発明に係る車両のドア補強構造において、ロック手段は、サイドドアに対してシートを車体の前後方向にスライド可能に連結する構造を備えているのが好ましい。この場合、シートを任意の前後位置にスライドさせることが可能となる。
ここで、ロック手段は、サイドドアの内面に配設されるロックと、このロックに対面してシートの側部に配設されるストライカとを有し、ストライカは、シートの前後スライド方向と平行に延設されている構造とすることができる。
このような構造を備えたロック手段では、シートが車体の前後方向にスライド操作されると、ストライカがロックに対する連結部位の高さ位置を変化することなく円滑に車体の前後方向に移動する。このため、シートは車体の前後方向に円滑にスライドする。
また、ロック手段は、サイドドアの内面に配設されるストライカと、このストライカに対面してシートの側部に配設されるロックとを有し、ストライカは、シートの前後スライド方向と平行に延設されている構造とすることができる。
このような構造を備えたロック手段では、シートが車体の前後方向にスライド操作されると、シートの前後スライド方向と平行に延設されているストライカに沿ってロックが円滑に車体の前後方向に移動する。このため、シートは車体の前後方向に円滑にスライドする。
ここで、本発明の車両のドア補強構造には、サイドドアからロック手段に入力される車両の側面衝突荷重を車体の幅方向中央部に設定された荷重受け部に伝達する荷重伝達部材を設けるのが好ましい。この場合、車両の側面衝突時にサイドドアに加わる側面衝突荷重がロック手段および荷重伝達部材を介して車幅方向中央部の荷重受け部に即座に確実に伝達されるため、その大きな初期反力によりサイドドアの変形が大幅に抑制される。
本発明に係る車両のドア補強構造によれば、車両の側面衝突時にサイドドアに加わる側面衝突荷重をロック手段を介して即座に確実にシート側に伝達することができ、そのシートによる初期反力でサイドドアの変形を抑制することができる。
ここで、ロック手段がサイドドアに対してシートを車体の前後方向にスライド可能に連結する構造を備えている場合、すなわち、ロック手段がサイドドアの内面に配設されるロックと、このロックに対面してシートの側部に配設され、シートの前後スライド方向と平行に延設されているストライカとを有する場合、あるいは、ロック手段がサイドドアの内面に配設されてシートの前後スライド方向と平行に延設されているストライカと、このストライカに対面してシートの側部に配設されるロックとを有する場合、シートを任意の前後位置にスライドさせることができる。
また、サイドドアからロック手段に入力される側面衝突荷重を車体の幅方向中央部の荷重受け部位に伝達する荷重伝達部材を設けた場合、車両の側面衝突時にサイドドアに加わる側面衝突荷重を車体の幅方向中央部の荷重受け部に即座に確実に伝達でき、その大きな初期反力によりサイドドアの変形を大幅に抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明に係る車両のドア補強構造の実施の形態を説明する。この説明において、同一または同様の構成部分については、同一の符号を付して重複した説明を省略することがある。ここで、参照する図面において、図1は第1実施形態に係る車両のドア補強構造を示す正面図、図2は図1に示したドア補強構造の平面図、図3は図1および図2に示したフロントシートの側面図である。
第1実施形態に係る車両のドア補強構造は、車体の左右のフロントサイドドアを対象として左右対称に構成されるため、そのうち、右側のフロントサイドドアを対象としたドア補強構造について説明し、左側のフロントサイドドアを対象としたドア補強構造については説明を省略する。
ここで、第1実施形態に係る車両のドア補強構造は、図1および図2に示すように、フロントサイドドア1とその内側に配置されるフロントシート2との間にロック手段3を設けたものであり、このロック手段3は、フロントサイドドア1の閉鎖位置でフロントサイドドア1とフロントシート2とを連結する。
フロントサイドドア1は、図2に示すように、車体のフロントピラー4Aとセンターピラー4Bとの間に配設されており、その前端部がヒンジ5によりフロントピラー4Aに連結されて開閉自在にとなっている。そして、このフロントサイドドア1は、その後端部に配設されたドアロック機構のロック6がセンターピラー4Bに固定されたストライカ7に係脱自在に係合することで閉鎖位置に保持されるようになっている。
フロントシート2は、図3に示すように、シートクッション2Aの後部にシートバック2Bが起倒可能に連結され、シートバック2Bの上部にヘッドレスト2Cが突設された構造を備えている。そして、このフロントシート2は、シートクッション2Aのフレームの左右部分を構成する一対のロアアーム2Dが左右一対のシートトラックレール2Eを介して車体のフロア4C上に支持されることで、左右一対のシートトラックレール2Eに沿って車体の前後方向にスライド可能となっている。
ここで、左右一対のシートトラックレール2Dは、車体の前後方向に緩く傾斜してフロア4C上に設置されており、その前端部が後端部より若干高くなっている。このため、フロントシート2の前後スライド方向は、水平方向より若干傾斜した方向となっている。
ロック手段3は、図1に示すように、フロントシート2のシートクッション2Aの側部に対面するフロントサイドドア1の内面下部に配設されたロック3Aと、このロック3Aに対面してシートクッション2Aの側部に配設されたストライカ3Bとを主体に構成されている。
ロック手段3のロック3Aは、フロントサイドドア1の後端部に配設されたロック6と同様の従来周知のものであるため、その詳細な構造説明は省略するが、例えば車両に装備された従来周知の電動式集中ドアロック装置などによってロック6と共に係合状態から開放されるようになっている。
そして、このようなロック手段3のロック3Aは、車体前後方向に延びるストライカ3Bに係合できる向きでフロントサイドドア1のドアインナパネル1Aの室内側に向く外面下部に固定されている。
一方、ロック手段3のストライカ3Bは、図2に示すように、屈曲した両端部がシートクッション2Aの右側のロアアーム2Dの前後両端部に固定されている。このストライカ3Bのロック3Aと係合する中間部分は、図3に示すように、シートトラックレール2Eと平行に配置されてフロントシート2の前後スライド方向と平行に車体前後方向に延びている。
以上のように構成された第1実施形態の車両のドア補強構造では、フロントサイドドア1が閉操作されると、その後端部のロック6がセンターピラー4Bのストライカ7に係合してフロントサイドドア1が図2に示すように閉鎖位置となる。その際、図1および図2に示すように、ロック手段3のロック3Aがストライカ3Bの中間部分に係合してフロントサイドドア1とフロントシート2のシートクッション2Aとが連結される。
このようなフロントサイドドア1とシートクッション2Aとの連結状態において、フロントシート2が前後方向にスライド操作されると、フロントシート2の前後スライド方向に平行に延びているストライカ3Bの中間部分がロック3Aに対する連結部位の高さ位置を変化することなく円滑に車体前後方向に移動する。このため、フロントシート2はシートトラックレール2Eに沿って車体前後方向に円滑にスライドすることができる。
ここで、他車両がフロントサイドドア1に側面衝突すると、そのフロントサイドドア1に加わる側面衝突荷重がロック手段3のロック3Aおよびストライカ3Bを介して即座に確実にシートクッション2Aの側部のロアアーム2Dに伝達される。その結果、フロントシート2の全体の重量による初期反力が即座にフロントサイドドア1に作用し、フロントサイドドア1の変形が抑制される。また、ロック3Aとストライカ3Bとが連結された状態において、ロック3Aはストライカ3Bに対してフロントシート2の前後スライド方向への移動のみが許容され、その他の車両の上下方向や左右方向への移動が規制されるため、フロントサイドドア1の変形により発生する上下方向荷重等をフロントシート2に確実に伝達することができ、フロントサイドドア1の変形が最小限に抑制される。
特に、第1実施形態の車両のドア補強構造においては、普通乗用車のフロントバンパの高さ位置に対応したフロントサイドドア1の下部にロック手段3のロック3Aが配設されているため、普通乗用車がフロントサイドドア1に側面衝突した際には、その側面衝突荷重が即座に的確にロック手段3に入力されるようになる。従って、この場合には、フロントサイドドア1の変形がより小さい範囲に抑制される。
つぎに、図4〜図6を参照して本発明の第2実施形態に係る車両のドア補強構造を説明する。このドア補強構造は、図1〜図3に示した第1実施形態のドア補強構造におけるロック手段3のロック3Aとストライカ3Bの配置を入れ替えたものであり、ロック3Aおよびストライカ3Bの形状や構造は同様である。また、その他の構造部分については、特に変更がないため図1〜図3に示した符号と同一の符号を付して説明を省略する。
ここで、図4および図5に示すように、ロック手段3のストライカ3Bは、フロントサイドドア1の内面下部に配置されており、その屈曲した両端部がフロントサイドドア1のドアインナパネル1Aの室内側に向く外面下部に固定されている。そして、このストライカ3Bの中間部分は、図6に示すシートトラックレール2Eと平行に配置されてフロントシート2の前後スライド方向と平行に車体前後方向に延びている。
一方、ロック手段3のロック3Aは、ストライカ3Bの中間部分に対面してシートクッション2Aの右側部に配置されており、シートクッション2Aの右側のロアアーム2Dの前部に固定されている。
以上のように構成された第2実施形態の車両のドア補強構造では、フロントサイドドア1が閉操作されると、その後端部のロック6がセンターピラー4Bのストライカ7に係合してフロントサイドドア1が図5に示すように閉鎖位置となる。その際、図4および図5に示すように、ロック手段3のストライカ3Bの中間部分がロック3Aに係合してフロントサイドドア1とフロントシート2のシートクッション2Aとが連結される。
このようなフロントサイドドア1とシートクッション2Aとの連結状態において、フロントシート2が前後方向にスライド操作されると、フロントシート2の前後スライド方向に平行に延びているストライカ3Bの中間部分に沿ってロック3Aが円滑に車体前後方向に移動する。このため、フロントシート2はシートトラックレール2Eに沿って車体前後方向に円滑にスライドすることができる。
ここで、他車両がフロントサイドドア1に側面衝突すると、そのフロントサイドドア1に加わる側面衝突荷重がロック手段3のストライカ3Bおよびロック3Aを介して即座に確実にシートクッション2Aの側部のロアアーム2Dに伝達される。その結果、フロントシート2の全体の重量による初期反力が即座にフロントサイドドア1に作用し、フロントサイドドア1の変形が小さい範囲に抑制される。
続いて、図7および図8を参照して本発明の第3実施形態に係る車両のドア補強構造を説明する。このドア補強構造は、図4および図5に示した第2実施形態のドア補強構造に荷重伝達部材を追加して設けると共に、この荷重伝達部材に対応する荷重受け部位を車体に設定したものであり、その他の構造部分については、特に変更がないため図4および図5に示した符号と同一の符号を付して説明を省略する。
ここで、図7および図8に示すように、フロントサイドドア1内には第1の荷重伝達部材8が配設され、フロントシート2のシートクッション2A内には第2の荷重伝達部材9が配設されている。そして、シートクッション2Aの左側方の車幅方向中央部には荷重受け部10が設定されている。
第1の荷重伝達部材8は、図示の例では所定長さを有するハット型断面構造の押出し材や折曲げ材で構成されているが、ハニカム断面構造の棒材で構成されていてもよい。このハット型断面構造の棒材からなる第1の荷重伝達部材8は、フロントサイドドア1のドアインナパネル1Aの内面下部にストライカ3Bの長手方向に沿って固定されており、ドアインナパネル1Aとドアアウタパネル1Bとの間の隙間を埋めている。
第2の荷重伝達部材9は、図示の例では鋼管などのパイプ材で構成されているが、所定長さを有する適宜の断面形状の押出し材やハニカム断面構造の棒材で構成されていてもよい。この鋼管からなる第2の荷重伝達部材9は、シートクッション2Aの左右のロアアーム2D,2Dの間で車幅方向に延設されており、その一端部は右側のロアアーム2Dにおけるロック手段3のロック3Aが固定された部位に固定されている。
一方、第2の荷重伝達部材9の他端部は、シートクッション2Aの左側のロアアーム2Dに固定されており、車幅方向中央部に設定された荷重受け部10に近接して対面している。この荷重受け部10は、車体のフロア4Cから上方の膨出して車体前後方向に延設されたフロアトンネルで構成されている。
以上のように構成された第3実施形態の車両のドア補強構造では、フロントサイドドア1が閉操作されると、その後端部のロック6がセンターピラー4Bのストライカ7に係合してフロントサイドドア1が図8に示すように閉鎖位置となる。その際、図7および図8に示すように、ロック手段3のストライカ3Bの中間部分がロック3Aに係合してフロントサイドドア1とフロントシート2のシートクッション2Aとが連結される。
このようなフロントサイドドア1とシートクッション2Aとの連結状態において、フロントシート2が前後方向にスライド操作されると、フロントシート2の前後スライド方向に平行に延びているストライカ3Bの中間部分に沿ってロック3Aが円滑に車体前後方向に移動する。このため、フロントシート2はシートトラックレール2Eに沿って車体前後方向に円滑にスライドすることができる。
ここで、他車両がフロントサイドドア1に側面衝突すると、そのフロントサイドドア1に加わる側面衝突荷重が第1の荷重伝達部材8、ロック手段3のストライカ3B、ロック3Aおよび第2の荷重伝達部材9を介して剛性の高いフロアトンネルで構成された荷重受け部位10に即座に確実に伝達される。その結果、フロアトンネル4Dおよびフロントシート2の全体の重量による大きな初期反力が即座にフロントサイドドア1に作用し、フロントサイドドア1の変形が一層小さい範囲に大幅に抑制される。
つぎに、図9および図10を参照して本発明の第4実施形態に係る車両のドア補強構造を説明する。このドア補強構造は、図1および図2に示した第1実施形態のドア補強構造に荷重伝達部材を追加して設けると共に、この荷重伝達部材に対応する荷重受け部を車体に設定したものであり、その他の構造部分については、特に変更がないため図1および図2に示した符号と同一の符号を付して説明を省略する。
ここで、図9および図10に示すように、フロントサイドドア1内には第1の荷重伝達部材11が配設され、フロントシート2のシートクッション2A内には第2の荷重伝達部材12および第3の荷重伝達部材13が配設されている。
第1の荷重伝達部材11は、図示の例では所定長さを有するハット型断面構造の押出し材や折曲げ材で構成されているが、ハニカム断面構造の棒材で構成されていてもよい。このハット型断面構造の棒材からなる第1の荷重伝達部材11は、フロントサイドドア1のドアインナパネル1Aにおけるロック3Aが固定される部位に対応した内面下部に固定されてシートクッション2A側のストライカ3Bの長手方向に沿って延びており、ドアインナパネル1Aとドアアウタパネル1Bとの間の隙間を埋めている。
第2の荷重伝達部材12は、図示の例では鋼製の角パイプ材で構成されており、第3の荷重伝達部材13は鋼管などのパイプ材で構成されているが、所定長さを有する適宜の断面形状の押出し材やハニカム断面構造の棒材で構成されていてもよい。
角パイプ材からなる第2の荷重伝達部材12は、シートクッション2Aの右側のロアアーム2Dの内面に固定されて車体前後方向に延びており、その両端部は右側のロアアーム2Dの外面に固定されるストライカ3Bの両端部付近に臨んでいる。
一方、鋼管からなる第3の荷重伝達部材13は、シートクッション2Aの左右のロアアーム2D,2Dの間で車幅方向に延設されており、その一端部は第2の荷重伝達部材12の長手方向の中央部付近に溶接などで固定されている。
また、第3の荷重伝達部材13の他端部は、シートクッション2Aの左側のロアアーム2Dに固定されている。この第3の荷重伝達部材13の他端部は、フロア4Cの車幅方向中央部から上方の膨出して車体前後方向に延設されたフロアトンネルからなる荷重受け部10に近接して対面している。
以上のように構成された第4実施形態の車両のドア補強構造では、フロントサイドドア1が閉操作されると、その後端部のロック6がセンターピラー4Bのストライカ7に係合してフロントサイドドア1が図10に示すように閉鎖位置となる。その際、図9および図10に示すように、ロック手段3のロック3Aがストライカ3Bの中間部分に係合してフロントサイドドア1とフロントシート2のシートクッション2Aとが連結される。
このようなフロントサイドドア1とシートクッション2Aとの連結状態において、フロントシート2が前後方向にスライド操作されると、フロントシート2の前後スライド方向に平行に延びているストライカ3Bの中間部分がロック3Aに対する連結部位の高さ位置を変化することなく円滑に車体前後方向に移動する。このため、フロントシート2はシートトラックレール2Eに沿って車体前後方向に円滑にスライドすることができる。
ここで、他車両がフロントサイドドア1に側面衝突すると、そのフロントサイドドア1に加わる側面衝突荷重が第1の荷重伝達部材11、ロック手段3のロック3A、ストライカ3B、第2の荷重伝達部材12および第3の荷重伝達部材13を介して剛性の高いフロアトンネルで構成された荷重受け部10に即座に確実に伝達される。その結果、フロアトンネル4Dおよびフロントシート2の全体の重量による大きな初期反力が即座にフロントサイドドア1に作用し、フロントサイドドア1の変形が一層小さい範囲に大幅に抑制される。
本発明に係る車両のドア補強構造は、前述した各実施形態に限定されるものではない。例えば、図7〜図10に示した荷重受け部10を構成するフロアトンネルが車体に延設されていない場合には、これに代わる適宜の荷重受け部を車体のフロア4C上に設けることで対応することができる。
また、本発明の車両のドア補強構造は、リアサイドドアを対象として、リアサイドドアとリアシートとを前述したロック3Aとストライカ3Bからなるロック手段3で連結するように構成してもよい。
1…フロントサイドドア、1A…ドアインナパネル、2…フロントシート、2A…シートクッション、2B…シートバック、2C…ヘッドレスト、2D…ロアアーム、2E…シートトラックレール、3…ロック手段、3A…ロック、3B…ストライカ、4A…フロントピラー、4B…センターピラー、4C…フロア、5…ヒンジ、6…ロック、7…ストライカ、8…第1の荷重伝達部材、9…第2の荷重伝達部材、10…荷重受け部、11…第1の荷重伝達部材、12…第2の荷重伝達部材、13…第3の荷重伝達部材。
Claims (5)
- 車両のサイドドアとその内側に配置されるシートとの間に、前記サイドドアの閉鎖位置で両者を係脱可能に連結するロック手段を設けたことを特徴とする車両のドア補強構造。
- 前記ロック手段は、前記サイドドアに対して前記シートを車体の前後方向にスライド可能に連結する構造を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両のドア補強構造。
- 前記ロック手段は、前記サイドドアの内面に配設されるロックと、このロックに対面して前記シートの側部に配設されるストライカとを有し、
前記ストライカは、前記シートの前後スライド方向と平行に延設されていることを特徴とする請求項2に記載の車両のドア補強構造。 - 前記ロック手段は、前記サイドドアの内面に配設されるストライカと、このストライカに対面して前記シートの側部に配設されるロックとを有し、
前記ストライカは、前記シートの前後スライド方向と平行に延設されていることを特徴とする請求項2に記載の車両のドア補強構造。 - 前記サイドドアから前記ロック手段に入力される車両の側面衝突荷重を車体の幅方向中央部に設定された荷重受け部に伝達する荷重伝達部材を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の車両のドア補強構造。
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