JP2008110559A - 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びそれらの製造方法並びに液滴吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】静電アクチュエータとして必要な基本特性を確保しつつ、アクチュエータの発生圧力を向上させることが可能な静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に形成された固定電極と、この固定電極に所定のギャップを介して対向配置された可動電極と、前記固定電極と前記可動電極との間に静電気力を発生させて該可動電極に変位を生じさせる駆動手段とを備えた静電アクチュエータにおいて、前記固定電極の対向面に形成された第1の絶縁膜7と、前記可動電極の対向面に形成された第2の絶縁膜8とを備え、前記第1及び第2の絶縁膜の少なくとも一方が、酸化シリコンと、酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料とを積層した構成とする。
【選択図】図2
【解決手段】基板上に形成された固定電極と、この固定電極に所定のギャップを介して対向配置された可動電極と、前記固定電極と前記可動電極との間に静電気力を発生させて該可動電極に変位を生じさせる駆動手段とを備えた静電アクチュエータにおいて、前記固定電極の対向面に形成された第1の絶縁膜7と、前記可動電極の対向面に形成された第2の絶縁膜8とを備え、前記第1及び第2の絶縁膜の少なくとも一方が、酸化シリコンと、酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料とを積層した構成とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、静電駆動方式のインクジェットヘッド等に用いられる静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びそれらの製造方法並びに液滴吐出装置に関する。
液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドとして、例えばインクジェット記録装置に搭載される静電駆動方式のインクジェットヘッドが知られている。静電駆動方式のインクジェットヘッドは、一般に、ガラス基板上に形成された個別電極(固定電極)と、この個別電極に所定のギャップを介して対向配置された振動板(可動電極)とから構成される静電アクチュエータ部を備えている。そして、インク滴を吐出するための複数のノズル孔が形成されたノズル基板と、このノズル基板に接合されノズル基板との間で上記ノズル孔に連通する吐出室、リザーバ等のインク流路が形成されたキャビティ基板とを備え、上記静電アクチュエータ部に静電気力を発生させることにより吐出室に圧力を加えて、選択されたノズル孔よりインク滴を吐出するようになっている。
静電駆動方式のインクジェットヘッドは、近年、高解像度化に伴い高密度化、高速度駆動の要求が一段と高まり、それに伴い静電アクチュエータもますます微小化する傾向にある。そして、従来の静電アクチュエータは、一般に振動板上に酸化シリコン(SiO2)膜からなる絶縁膜を形成し、この絶縁膜を介して電極基板と陽極接合する構造となっている。しかし、振動板上に酸化シリコンの絶縁膜を設けた従来の静電アクチュエータの課題として、SiO2の比誘電率は3.8程度と小さいため、後述する式(2)よりアクチュエータの発生圧力の向上に限界があることが挙げられる。
これを解決する手段として、酸化シリコンより比誘電率の高い絶縁膜、いわゆるHigh−k材(高誘電率ゲート絶縁膜)を絶縁膜として用いた静電アクチュエータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような高誘電材料を絶縁膜として用いることで、アクチュエータの発生圧力を向上させることができる。
ところで、アクチュエータを駆動させるためには電極間に電圧を印加する必要があるが、電極に設けられた絶縁膜の絶縁耐圧が低いと、絶縁耐圧の観点からアクチュエータに印加可能な電圧が低く制限されてしまい、いわゆるHigh−k材を絶縁膜として用いたアクチュエータであっても、High−k材の絶縁耐圧が酸化シリコンよりも低い場合には、アクチュエータの発生圧力を向上させることは困難であった(後記の式(2)より印加電圧Vを小さくしなければならないため)。
更に別の課題として、High−k材を絶縁膜として用いたアクチュエータの場合、キャビティ基板と電極基板との接合時に十分な接合強度が得られない場合があり、アクチュエータ内を封止構造とした場合であっても、長期間での外部水分の侵入により、アクチュエータの駆動耐久性が低下する場合が見られた。
更に別の課題として、High−k材を絶縁膜として用いたアクチュエータの場合、キャビティ基板と電極基板との接合時に十分な接合強度が得られない場合があり、アクチュエータ内を封止構造とした場合であっても、長期間での外部水分の侵入により、アクチュエータの駆動耐久性が低下する場合が見られた。
本発明は、上記のような課題に鑑み、静電アクチュエータとして必要な基本特性を確保しつつ、アクチュエータの発生圧力を向上させることが可能な静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る静電アクチュエータは、基板上に形成された固定電極と、この固定電極に所定のギャップを介して対向配置された可動電極と、前記固定電極と前記可動電極との間に静電気力を発生させて該可動電極に変位を生じさせる駆動手段とを備えた静電アクチュエータにおいて、前記固定電極の対向面に形成された第1の絶縁膜と、前記可動電極の対向面に形成された第2の絶縁膜とを備え、前記第1及び第2の絶縁膜の少なくとも一方が、酸化シリコンと、酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料とを積層した構成とするものである。
この構成によれば、固定電極側に形成される第1の絶縁膜及び可動電極側に形成される第2の絶縁膜の少なくとも一方が、酸化シリコンと、酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料、すなわちHigh−k材とを積層した構成となっているので、アクチュエータの発生圧力を向上させることができる。またアクチュエータの発生圧力を同一圧力にする場合には、絶縁膜厚みを増して、絶縁耐圧に優れた静電アクチュエータを構成することができる。
本発明の静電アクチュエータは、固定電極を有する基板と可動電極を有する基板との接合面に、第1及び第2の絶縁膜の酸化シリコン膜が形成されているものである。
この構成によれば、固定電極を有する基板と可動電極を有する基板を酸化シリコン膜どうしで接合できるので、十分に高い接合強度を得ることができる。
この構成によれば、固定電極を有する基板と可動電極を有する基板を酸化シリコン膜どうしで接合できるので、十分に高い接合強度を得ることができる。
本発明の静電アクチュエータは、固定電極がガラス基板上に、可動電極がシリコン基板上に形成されており、酸化シリコン膜はガラス基板とシリコン基板との接合面全面に形成されているものである。
この構成によれば、十分に高い接合強度を得ることができるとともに、各電極の対向面側が共に酸化シリコン膜であるため、接触帯電によるアクチュエータ内、絶縁膜表面の残留電荷をなくして、安定駆動を実現し、駆動耐久性に優れた静電アクチュエータを構成することができる。
この構成によれば、十分に高い接合強度を得ることができるとともに、各電極の対向面側が共に酸化シリコン膜であるため、接触帯電によるアクチュエータ内、絶縁膜表面の残留電荷をなくして、安定駆動を実現し、駆動耐久性に優れた静電アクチュエータを構成することができる。
また、絶縁膜を積層する場合、上記理由から、第1の絶縁膜は、下層部に酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料を、表層部に酸化シリコンを積層した構成とし、第2の絶縁膜は、下層部に酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料を、表層部に酸化シリコンを積層した構成とする。
誘電材料としては、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiN)、酸窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)の中から少なくとも一つを選ぶものとする。これらの材料は酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料であるうえに、膜の低温成膜性、膜の均質性、プロセス適応性等が良好である。
本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、基板上に形成された固定電極と、この固定電極に所定のギャップを介して対向配置された可動電極と、前記固定電極と前記可動電極との間に静電気力を発生させて該可動電極に変位を生じさせる駆動手段とを備えた静電アクチュエータの製造方法において、前記固定電極が形成されたガラス基板上に、第1の絶縁膜として、少なくとも酸化シリコン膜を形成する工程と、前記可動電極が形成されるシリコン基板の前記ガラス基板との接合面全面に、第2の絶縁膜として、酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料の絶縁膜を形成し、その上に酸化シリコン膜を形成する工程と、前記ガラス基板と前記シリコン基板とを前記酸化シリコン膜を介して陽極接合する工程と、前記シリコン基板の接合面と反対の表面からエッチング加工して前記可動電極を形成する工程と、前記固定電極と前記可動電極との間に形成されるギャップの内部に存在する水分を除去する工程と、前記ギャップを気密に封止する工程と、を有することを特徴とする。
この製造方法によれば、ガラス基板とシリコン基板の接合面全面に共に酸化シリコン膜を形成するため、接合強度が高く、絶縁耐圧及び駆動耐久性に優れた静電アクチュエータを安価に製造することができる。また、第1及び第2の絶縁膜の少なくとも一方が、酸化シリコン膜と酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料の絶縁膜を積層したものであるため、発生圧力を向上させることができる静電アクチュエータが得られる。
第1の絶縁膜を積層構成とする場合は、上記理由から、ガラス基板の接合側表面全体に、酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料の絶縁膜を形成し、その上に酸化シリコン膜を形成するものとする。
また、第1の絶縁膜は、酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料のみで形成してもよいが、この場合は、ガラス基板の接合部における当該誘電材料の部分をドライエッチングにより除去することにより、接合強度を確保する。
誘電材料としては、上記理由から、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiN)、酸窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)の中から少なくとも一つを用いるものとする。
また、前記ギャップの封止は窒素雰囲気下で行うことが望ましい。これにより、静電アクチュエータの高信頼性を確保できる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出する単一または複数のノズル孔を有するノズル基板と、前記ノズル基板との間で、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室となる凹部が形成されたキャビティ基板と、前記吐出室の底部にて構成される振動板に所定のギャップを介して対向配置される個別電極が形成された電極基板とを備えた液滴吐出ヘッドにおいて、前記個別電極の対向面に形成された第1の絶縁膜と、前記振動板の対向面に形成された第2の絶縁膜とを備え、前記第1及び第2の絶縁膜の少なくとも一方が、酸化シリコンと、酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料とを積層した構成となっていることを特徴とする。
この構成によれば、高速駆動性、駆動耐久性等に優れた高信頼性の液滴吐出ヘッドを安価に提供することができる。
この構成によれば、高速駆動性、駆動耐久性等に優れた高信頼性の液滴吐出ヘッドを安価に提供することができる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、液滴を吐出する単一または複数のノズル孔を有するノズル基板と、前記ノズル基板との間で、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室となる凹部が形成されたキャビティ基板と、前記吐出室の底部にて構成される振動板に所定のギャップを介して対向配置される個別電極が形成された電極基板とを備えた液滴吐出ヘッドの製造方法において、前記個別電極が形成されたガラス基板上に、第1の絶縁膜として、少なくとも酸化シリコン膜を形成する工程と、前記振動板が形成されるシリコン基板の前記ガラス基板との接合面全面に、第2の絶縁膜として、酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料の絶縁膜を形成し、その上に酸化シリコン膜を形成する工程と、前記ガラス基板と前記シリコン基板とを前記酸化シリコン膜を介して陽極接合する工程と、前記シリコン基板を薄板に薄板化加工した後、接合面と反対の表面からエッチング加工して前記振動板を形成する工程と、前記個別電極と前記振動板との間に形成されるギャップの内部に存在する水分を除去する工程と、前記ギャップを気密に封止する工程と、を有することを特徴とする。
この製造方法により、高速駆動性、駆動耐久性等に優れた高信頼性の液滴吐出ヘッドを安価に製造することができる。
この製造方法により、高速駆動性、駆動耐久性等に優れた高信頼性の液滴吐出ヘッドを安価に製造することができる。
また、本発明に係る液滴吐出装置は、上記の液滴吐出ヘッドを備えたことを特徴とする。これにより、高速駆動性、駆動耐久性等に優れた高信頼性の液滴吐出装置を安価に提供することができる。
以下、本発明を適用した静電アクチュエータを備える液滴吐出ヘッドの実施形態を図面に基づいて説明する。ここでは、液滴吐出ヘッドの一例として、ノズル基板の表面に設けられたノズル孔からインク滴を吐出するフェイス吐出型の静電駆動方式のインクジェットヘッドについて図1から図5を参照して説明する。なお、本発明は、以下の図に示す構造、形状に限定されるものではなく、吐出室とリザーバ部が別々の基板に設けられた4枚の基板を積層した4層構造のものや、基板の端部に設けられたノズル孔からインク滴を吐出するエッジ吐出型の液滴吐出ヘッドにも同様に適用することができるものである。
実施形態1.
図1は実施形態1に係るインクジェットヘッドの概略構成を分解して示す分解斜視図であり、一部を断面で表してある。図2は組立状態における図1の略右半分の概略構成を示すインクジェットヘッドの断面図、図3は図2のA部の拡大断面図、図4は図2のa−a拡大断面図、図5は図2のインクジェットヘッドの上面図である。なお、図1および図2では、通常使用される状態とは上下逆に示されている。
図1は実施形態1に係るインクジェットヘッドの概略構成を分解して示す分解斜視図であり、一部を断面で表してある。図2は組立状態における図1の略右半分の概略構成を示すインクジェットヘッドの断面図、図3は図2のA部の拡大断面図、図4は図2のa−a拡大断面図、図5は図2のインクジェットヘッドの上面図である。なお、図1および図2では、通常使用される状態とは上下逆に示されている。
本実施形態のインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッドの一例)10は、図1から図5に示すように、複数のノズル孔11が所定のピッチで設けられたノズル基板1と、各ノズル孔11に対して独立にインク供給路が設けられたキャビティ基板2と、キャビティ基板2に設けられた振動板6に対峙して個別電極5が配設された電極基板3とを貼り合わせることにより構成されている。
インクジェットヘッド10のノズル孔11ごとに設けられる静電アクチュエータ部4は、図2から図4に示すように、固定電極として、ガラス製の電極基板3の凹部32内に形成された個別電極5と、可動電極として、シリコン製のキャビティ基板2の吐出室21の底壁で構成され、個別電極5に対し所定のギャップGを介して対向配置される振動板6とを備え、各々の個別電極5の対向面(振動板側対向面)には第1の絶縁膜7が形成され、振動板6の対向面(個別電極側対向面)、すなわち電極基板3に接合されるキャビティ基板2の接合面全面には第2の絶縁膜8が2層の積層構造で形成されている。
本発明の静電アクチュエータにおいて、絶縁膜は、個別電極5及び振動板6の両方の対向面上に形成され、かつ、個別電極5側の第1の絶縁膜7及び振動板6側の第2の絶縁膜8の少なくとも一方を、酸化シリコン(SiO2)と、酸化シリコン(SiO2)よりも比誘電率の高い誘電材料とにより積層構造とするものである。酸化シリコン(SiO2)よりも比誘電率の高い誘電材料、すなわちいわゆるHigh−k材と呼ばれる高誘電材料としては、例えば酸窒化シリコン(SiON)、酸化アルミニウム(Al2O3、アルミナ)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O3)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiN)、酸窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、窒化アルミ(AlN)、窒化ジルコニウム(ZrO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、ジルコニウムシリケート(ZrSiO)、ハフニウムシリケート(HfSiO)、ジルコニウムアルミネート(ZrAlO)、窒素添加ハフニウムアルミネート(HfAlON)、及びこれらの複合膜等を挙げることができる。その中でも膜の低温成膜性、膜の均質性、プロセス適応性等を考慮した場合、酸化アルミニウム(Al2O3、アルミナ)、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiN)、酸窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)を使用することが望ましく、これらの中から少なくとも一つが選ばれる。本実施形態1では、第1の絶縁膜7を酸化シリコン膜のみの単層とし、第2の絶縁膜8は酸化シリコン膜8aとアルミナ8b膜とを積層する構造としている。但し、この場合、酸化シリコンは陽極接合に適した絶縁材料であるが、アルミナは表面の親水化が難しく陽極接合が難しいため、第2の絶縁膜8は下層部(下地層)をアルミナ膜8bとし、接合面側の表層部を酸化シリコン膜8aとする。また、電極基板3の接合部36には接合強度を確保するため、振動板6側の酸化シリコン膜8aと同じ酸化シリコン膜を形成している。なお、膜厚については、第1の絶縁膜7の酸化シリコン膜を50nm、第2の絶縁膜8のうちアルミナ膜8bを15nm、酸化シリコン膜8aを50nmとしている。また、ギャップGの距離は200nmで、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる個別電極5の厚さは100nmとしている。
そして、図2、図3、図5に簡略化して示すように、電極基板3に形成された個別電極5の端子部5aと、キャビティ基板2の接合面と反対の上面に形成された共通電極26とに、駆動手段として、ドライバICなどの駆動制御回路9が搭載されたフレキシブル配線基板を介して配線接続される。
以下、各基板の構成についてさらに詳細に説明する。
ノズル基板1は、例えばシリコン基板から作製されている。インク滴を吐出するためのノズル孔11は、例えば径の異なる2段の円筒状に形成されたノズル孔部分、すなわち径の小さい噴射口部分11aとこれよりも径の大きい導入口部分11bとから構成されている。噴射口部分11aおよび導入口部分11bは基板面に対して垂直にかつ同軸上に設けられており、噴射口部分11aは先端がノズル基板1の表面に開口し、導入口部分11bはノズル基板1の裏面(キャビティ基板2と接合される接合側の面)に開口している。
また、ノズル基板1には、キャビティ基板2の吐出室21とリザーバ23とを連通するオリフィス12が形成されている。
ノズル基板1は、例えばシリコン基板から作製されている。インク滴を吐出するためのノズル孔11は、例えば径の異なる2段の円筒状に形成されたノズル孔部分、すなわち径の小さい噴射口部分11aとこれよりも径の大きい導入口部分11bとから構成されている。噴射口部分11aおよび導入口部分11bは基板面に対して垂直にかつ同軸上に設けられており、噴射口部分11aは先端がノズル基板1の表面に開口し、導入口部分11bはノズル基板1の裏面(キャビティ基板2と接合される接合側の面)に開口している。
また、ノズル基板1には、キャビティ基板2の吐出室21とリザーバ23とを連通するオリフィス12が形成されている。
ノズル孔11を噴射口部分11aとこれよりも径の大きい導入口部分11bとから2段に構成することにより、インク滴の吐出方向をノズル孔11の中心軸方向に揃えることができ、安定したインク吐出特性を発揮させることができる。すなわち、インク滴の飛翔方向のばらつきがなくなり、またインク滴の飛び散りがなく、インク滴の吐出量のばらつきを抑制することができる。また、ノズル密度を高密度化することが可能である。
キャビティ基板2は、例えば面方位が(110)の単結晶のシリコン基板から作製されている。キャビティ基板2には、インク流路に設けられる吐出室21となる凹部22、およびリザーバ23となる凹部24がエッチングにより形成されている。凹部22は前記ノズル孔11に対応する位置に独立に複数形成される。したがって、図2に示すようにノズル基板1とキャビティ基板2を接合した際、各凹部22は吐出室21を構成し、それぞれノズル孔11に連通しており、またインク供給口である前記オリフィス12ともそれぞれ連通している。そして、吐出室21(凹部22)の底部が上記振動板6となっている。また、この振動板6は、シリコン基板の表面からボロン(B)を拡散させてボロン拡散層を形成し、ウェットエッチングによりエッチングストップしてそのボロン拡散層の厚さで薄く仕上げられている。
凹部24は、インク等の液状材料を貯留するためのものであり、各吐出室21に共通のリザーバ(共通インク室)23を構成する。そして、リザーバ23(凹部24)はそれぞれオリフィス12を介して全ての吐出室21に連通している。また、リザーバ23の底部には後述する電極基板3を貫通する孔が設けられ、この孔のインク供給孔33を通じて図示しないインクカートリッジからインクが供給されるようになっている。
電極基板3は、例えばガラス基板から作製される。中でも、キャビティ基板2のシリコン基板と熱膨張係数の近い硼珪酸系の耐熱硬質ガラスを用いるのが適している。これは、電極基板3とキャビティ基板2を陽極接合する際、両基板の熱膨張係数が近いため、電極基板3とキャビティ基板2との間に生じる応力を低減することができ、その結果剥離等の問題を生じることなく電極基板3とキャビティ基板2を強固に接合することができるからである。
電極基板3には、キャビティ基板2の各振動板6に対向する表面位置にそれぞれ凹部32が設けられている。凹部32は、エッチングにより所望の深さで形成されている。そして、各凹部32内には、一般に、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる個別電極5が、例えば100nmの厚さで形成される。したがって、振動板6と個別電極5との間に形成される実質的なギャップ(空隙)Gは、凹部32の深さ、個別電極5の厚さおよび個別電極5の表面に形成される第1の絶縁膜7の厚さ、振動板6の表面に形成される第2の絶縁膜8の厚さにより決まることになる。このギャップGはインクジェットヘッドの吐出特性に大きく影響するので、凹部32の深さ、個別電極5の厚さ、第1の絶縁膜7の厚さ、第2の絶縁膜8の厚さを高精度に形成する必要がある。
個別電極5は、フレキシブル配線基板(図示せず)に接続される端子部5aを有する。端子部5aは、図2、図5に示すように、配線のためにキャビティ基板2の末端部が開口された電極取り出し部34内に露出している。
また、振動板6と個別電極5との間に形成されるギャップGの開放端部はエポキシ等の樹脂による封止材35で封止される。これにより、湿気や塵埃等が電極間ギャップへ侵入するのを防止することができ、インクジェットヘッド10の信頼性を高く保持することができる。
また、振動板6と個別電極5との間に形成されるギャップGの開放端部はエポキシ等の樹脂による封止材35で封止される。これにより、湿気や塵埃等が電極間ギャップへ侵入するのを防止することができ、インクジェットヘッド10の信頼性を高く保持することができる。
上述したように、ノズル基板1、キャビティ基板2、および電極基板3は、図2に示すように貼り合わせることによりインクジェットヘッド10の本体部が作製される。すなわち、キャビティ基板2と電極基板3は陽極接合により接合され、そのキャビティ基板2の上面(図2において上面)にノズル基板1が接着等により接合される。
そして最後に、図2、図5に簡略化して示すように、ドライバIC等の駆動制御回路9が各個別電極5の端子部5aとキャビティ基板2上面の共通電極26とに上記フレキシブル配線基板(図示せず)を介して接続される。
以上により、インクジェットヘッド10が完成する。
以上により、インクジェットヘッド10が完成する。
次に、以上のように構成されるインクジェットヘッド10の動作を説明する。
駆動制御回路9により個別電極5とキャビティ基板2の共通電極26の間にパルス電圧を印加すると、振動板6は個別電極5側に引き寄せられて吸着し、吐出室21内に負圧を発生させて、リザーバ23内のインクを吸引し、インクの振動(メニスカス振動)を発生させる。このインクの振動が略最大となった時点で、電圧を解除すると、振動板6は離脱して、インクをノズル11から押出し、インク液滴を吐出する。
駆動制御回路9により個別電極5とキャビティ基板2の共通電極26の間にパルス電圧を印加すると、振動板6は個別電極5側に引き寄せられて吸着し、吐出室21内に負圧を発生させて、リザーバ23内のインクを吸引し、インクの振動(メニスカス振動)を発生させる。このインクの振動が略最大となった時点で、電圧を解除すると、振動板6は離脱して、インクをノズル11から押出し、インク液滴を吐出する。
ここで、絶縁膜を有する静電アクチュエータについて説明する。
駆動時における振動板6を吸引する静電圧力(発生圧力)Pは、静電エネルギーをE、振動板6の個別電極5に対する任意の位置をx、振動板6の面積をS、印加電圧をV、絶縁膜の厚さをt、真空中の誘電率をε0、絶縁膜の比誘電率をεrとすると、以下の式で表される。
駆動時における振動板6を吸引する静電圧力(発生圧力)Pは、静電エネルギーをE、振動板6の個別電極5に対する任意の位置をx、振動板6の面積をS、印加電圧をV、絶縁膜の厚さをt、真空中の誘電率をε0、絶縁膜の比誘電率をεrとすると、以下の式で表される。
また、振動板6の駆動時における平均圧力Peは、振動板6が駆動していない時の振動板6から個別電極5までの距離(ギャップの距離)をdとして、以下の式で表される。
そして、本実施形態1のように個別電極5側に第1の絶縁膜7を、振動板6側に2層の絶縁膜からなる第2の絶縁膜7を設けた場合の静電アクチュエータにおける平均圧力Peは、第1及び第2の絶縁膜7、8の酸化シリコン膜の厚さをt1、酸化シリコン膜の比誘電率をε1、第2の絶縁膜8のアルミナ膜の厚さをt2、アルミナ膜の比誘電率をε2とすると、式(2)から式(3)を導くことができる。
上記の式(2)から、絶縁膜の比誘電率が大きいほど、あるいは絶縁膜の厚さに対する比誘電率の比(t/ε)が小さいほど、平均圧力Peが高くなることが分かる。従って、酸化シリコンより比誘電率の高いHigh−k材を絶縁膜として適用すれば、静電アクチュエータにおける発生圧力を高くすることができる。
また、絶縁膜としてHigh−k材を適用したインクジェットヘッド10の場合、振動板6の面積を小さくしてもインク滴の吐出に必要なパワーを得ることが可能となる。このため、インクジェットヘッド10において振動板6の幅を小さくして、吐出室21のピッチ、すなわちノズル11のピットを小さくすることにより解像度を上げることができ、より高精細な印刷を高速で行うことのできるインクジェットヘッド10を得ることができる。さらに振動板6の長さを短くすることにより、インク流路における応答性を向上して駆動周波数を上げることができ、より高速の印刷を行うことが可能となる。
また例えば、積層構造の第2の絶縁膜8の比誘電率を全体として2倍にすれば、第2の絶縁膜8の厚さを2倍にしてもほぼ同じ発生圧力が得られるため、静電アクチュエータにおけるTDDB(Time Depend Dielectric Breakdown、長時間の絶縁破壊強度)、TZDB(Time Zero Dielectric Breakdown、瞬間における絶縁破壊強度)等の耐絶縁破壊強度をほぼ2倍にできることが分かる。
また、絶縁膜としてHigh−k材を適用したインクジェットヘッド10の場合、振動板6の面積を小さくしてもインク滴の吐出に必要なパワーを得ることが可能となる。このため、インクジェットヘッド10において振動板6の幅を小さくして、吐出室21のピッチ、すなわちノズル11のピットを小さくすることにより解像度を上げることができ、より高精細な印刷を高速で行うことのできるインクジェットヘッド10を得ることができる。さらに振動板6の長さを短くすることにより、インク流路における応答性を向上して駆動周波数を上げることができ、より高速の印刷を行うことが可能となる。
また例えば、積層構造の第2の絶縁膜8の比誘電率を全体として2倍にすれば、第2の絶縁膜8の厚さを2倍にしてもほぼ同じ発生圧力が得られるため、静電アクチュエータにおけるTDDB(Time Depend Dielectric Breakdown、長時間の絶縁破壊強度)、TZDB(Time Zero Dielectric Breakdown、瞬間における絶縁破壊強度)等の耐絶縁破壊強度をほぼ2倍にできることが分かる。
表1に、本発明の実施形態1〜5において適用する各種絶縁膜の特性を示す。表1から、アルミナ(Al2O3)と酸化ハフニウム(HfO2)は共に比誘電率が酸化シリコン(SiO2)に比べて非常に大きいが、絶縁耐圧及び接合強度の面では酸化シリコンよりも劣っている。従って、絶縁膜として、アルミナや酸化ハフニウム等の高誘電体材料を単独で用いるよりも、これらの高誘電体材料を酸化シリコンと適宜組み合わせて積層構造とすることが望ましい。
また、上記の式(2)、式(3)から、静電アクチュエータの発生圧力の向上に関係するパラメータは、絶縁膜の厚さに対する比誘電率の比(t/ε)、また絶縁膜が積層の場合は(t1/ε1+t2/ε2)であることから、このパラメータを計算した値を表2に示す。
本実施形態1の静電アクチュエータは、前述のように、個別電極5側の第1の絶縁膜7が酸化シリコン膜で形成され、振動板6側の第2の絶縁膜8が酸化シリコン膜8aとHigh−k材のアルミナ膜8bとを積層する構成であるため、従来の酸化シリコン膜のみを設けた静電アクチュエータと比較すると、以下のような効果がある。
1)吐出圧力
高誘電材料のアルミナを積層することで、表2のようにt/εの値を小さくできるため、吐出圧力を向上させることができる。
2)絶縁耐圧
絶縁耐圧に優れた酸化シリコンを十分な厚みで設けられているため、必要な絶縁耐圧を確保することができる。
3)接合強度
接合強度が弱いアルミナを使用しているにもかかわらず、キャビティ基板2と電極基板3との接合面側に酸化シリコンを設けることで酸化シリコンどうしの接合となるので、十分に高い接合強度を確保することができる。また、接合部の絶縁膜除去は不要であるので製造工程を簡略化でき、コスト低減に寄与する。
1)吐出圧力
高誘電材料のアルミナを積層することで、表2のようにt/εの値を小さくできるため、吐出圧力を向上させることができる。
2)絶縁耐圧
絶縁耐圧に優れた酸化シリコンを十分な厚みで設けられているため、必要な絶縁耐圧を確保することができる。
3)接合強度
接合強度が弱いアルミナを使用しているにもかかわらず、キャビティ基板2と電極基板3との接合面側に酸化シリコンを設けることで酸化シリコンどうしの接合となるので、十分に高い接合強度を確保することができる。また、接合部の絶縁膜除去は不要であるので製造工程を簡略化でき、コスト低減に寄与する。
また、絶縁膜が積層されていない構造、すなわち振動板または個別電極の一方側を酸化シリコン、他方側をアルミナとした静電アクチュエータと比較すると、本実施形態1は以下のような効果がある。
例えば、振動板側にアルミナ膜を形成した場合、接合部分のアルミナ膜を完全に除去するためには、非常に高精度のパターニングが必要である。仮に接合部の面積より広い範囲でアルミナ膜を除去した場合、アクチュエータ中に部分的に絶縁耐圧の低い部分が生じ、絶縁耐圧が低下するという問題がある。また、接合部の面積より狭い範囲でしかアルミナ膜を除去できなかった場合、わずかに除去できなかったアルミナ膜により、アクチュエータの接合強度が部分的に低下する可能性がある。
一方、ガラス基板の電極基板側にアルミナ膜を形成した場合、接合部分のアルミナ膜を完全に除去するためにはパターニングによる完全除去を行えばよく、しかも個別電極部分は表面より下がった低い位置に設けられているためアルミナ膜の除去は容易である。そのため、より確実、簡便にアクチュエータの接合強度を確保することができる。しかしながら、酸化シリコン膜とアルミナ膜の接合強度は十分でなく、長期使用におけるアクチュエータの駆動耐久特性が低下する可能性がある。
従って、接合強度が酸化シリコン膜より低いアルミナ膜を絶縁膜として使用する場合は、本実施形態1のように酸化シリコン膜とアルミナ膜の積層とするとともに、酸化シリコン膜を接合面側(表層部)に形成することが望ましい。これによって、酸化シリコン膜は除去することなく電極基板の接合面全面に形成することができる。
また、振動板の対向面に形成された絶縁膜が、個別電極の対向面に形成された絶縁膜と同種の酸化シリコン膜であるため、アクチュエータの駆動による接触帯電を伴う、アクチュエータの帯電量増加を最低限に抑えることが可能となり、アクチュエータの駆動耐久性が向上する。
例えば、振動板側にアルミナ膜を形成した場合、接合部分のアルミナ膜を完全に除去するためには、非常に高精度のパターニングが必要である。仮に接合部の面積より広い範囲でアルミナ膜を除去した場合、アクチュエータ中に部分的に絶縁耐圧の低い部分が生じ、絶縁耐圧が低下するという問題がある。また、接合部の面積より狭い範囲でしかアルミナ膜を除去できなかった場合、わずかに除去できなかったアルミナ膜により、アクチュエータの接合強度が部分的に低下する可能性がある。
一方、ガラス基板の電極基板側にアルミナ膜を形成した場合、接合部分のアルミナ膜を完全に除去するためにはパターニングによる完全除去を行えばよく、しかも個別電極部分は表面より下がった低い位置に設けられているためアルミナ膜の除去は容易である。そのため、より確実、簡便にアクチュエータの接合強度を確保することができる。しかしながら、酸化シリコン膜とアルミナ膜の接合強度は十分でなく、長期使用におけるアクチュエータの駆動耐久特性が低下する可能性がある。
従って、接合強度が酸化シリコン膜より低いアルミナ膜を絶縁膜として使用する場合は、本実施形態1のように酸化シリコン膜とアルミナ膜の積層とするとともに、酸化シリコン膜を接合面側(表層部)に形成することが望ましい。これによって、酸化シリコン膜は除去することなく電極基板の接合面全面に形成することができる。
また、振動板の対向面に形成された絶縁膜が、個別電極の対向面に形成された絶縁膜と同種の酸化シリコン膜であるため、アクチュエータの駆動による接触帯電を伴う、アクチュエータの帯電量増加を最低限に抑えることが可能となり、アクチュエータの駆動耐久性が向上する。
実施形態2.
図6は本発明の実施形態2に係るインクジェットヘッド10の概略断面図、図7は図6のB部の拡大断面図、図8は図6のb−b拡大断面図である。なお、実施形態2以下において、特に断らない限り上記の実施形態1と対応する部分には同じ符号を付して説明は省略する。
本実施形態2における静電アクチュエータ部4Aは、実施形態1のアルミナ膜に代えて酸化ハフニウム膜とするものである。すなわち、振動板6の対向面に形成される第2の絶縁膜8を、酸化シリコン膜8aとHigh−k材の酸化ハフニウム膜8cとを積層する構造とする。ここで、酸化ハフニウム膜8cはキャビティ基板2の接合面全面に形成されており、その上に酸化シリコン膜8aが全面に形成されている。
個別電極5の対向面には、実施形態1と同様に酸化シリコン膜からなる第1の絶縁膜7が形成されている。また、電極基板3の接合部36にも振動板6側と同じ酸化シリコン膜が形成されている。膜厚については、個別電極5を100nm、第1の絶縁膜7の酸化シリコン膜を50nm、第2の絶縁膜8のうち酸化シリコン膜8aを50nm、酸化ハフニウム膜8cを15nmとし、ギャップGの距離は200nmとしている。
図6は本発明の実施形態2に係るインクジェットヘッド10の概略断面図、図7は図6のB部の拡大断面図、図8は図6のb−b拡大断面図である。なお、実施形態2以下において、特に断らない限り上記の実施形態1と対応する部分には同じ符号を付して説明は省略する。
本実施形態2における静電アクチュエータ部4Aは、実施形態1のアルミナ膜に代えて酸化ハフニウム膜とするものである。すなわち、振動板6の対向面に形成される第2の絶縁膜8を、酸化シリコン膜8aとHigh−k材の酸化ハフニウム膜8cとを積層する構造とする。ここで、酸化ハフニウム膜8cはキャビティ基板2の接合面全面に形成されており、その上に酸化シリコン膜8aが全面に形成されている。
個別電極5の対向面には、実施形態1と同様に酸化シリコン膜からなる第1の絶縁膜7が形成されている。また、電極基板3の接合部36にも振動板6側と同じ酸化シリコン膜が形成されている。膜厚については、個別電極5を100nm、第1の絶縁膜7の酸化シリコン膜を50nm、第2の絶縁膜8のうち酸化シリコン膜8aを50nm、酸化ハフニウム膜8cを15nmとし、ギャップGの距離は200nmとしている。
また、本実施形態2の静電アクチュエータの発生圧力の向上に関係するパラメータ(絶縁膜の厚さに対する比誘電率の比)を計算した値を表3に示す。表3中の従来例は表2と同じである。
本実施形態2の静電アクチュエータは、上記のように個別電極5側の第1の絶縁膜7が酸化シリコン膜で形成され、振動板6側の第2の絶縁膜8が酸化シリコン膜8aとHigh−k材の酸化ハフニウム膜8cとを積層する構成であり、酸化ハフニウムの比誘電率はアルミナよりもはるかに大きいため、アクチュエータの発生圧力を向上させることができる。
絶縁耐圧については、第1及び第2の絶縁膜7、8が十分な厚みの酸化シリコンをもっているため、必要な絶縁耐圧を確保することが可能である。
また、酸化ハフニウムは接合強度の面ではアルミナよりも劣っているため、実施形態1のアルミナと同様の構成、すなわち、接合面側を酸化シリコン膜とし、下層部に酸化ハフニウム膜を形成する構成とすることによって、酸化シリコンどうしの接合となるので、十分に高い接合強度を確保することが可能となる。
絶縁耐圧については、第1及び第2の絶縁膜7、8が十分な厚みの酸化シリコンをもっているため、必要な絶縁耐圧を確保することが可能である。
また、酸化ハフニウムは接合強度の面ではアルミナよりも劣っているため、実施形態1のアルミナと同様の構成、すなわち、接合面側を酸化シリコン膜とし、下層部に酸化ハフニウム膜を形成する構成とすることによって、酸化シリコンどうしの接合となるので、十分に高い接合強度を確保することが可能となる。
実施形態3.
図9は本発明の実施形態3に係るインクジェットヘッド10の概略断面図、図10は図9のC部の拡大断面図、図11は図9のc−c拡大断面図である。
図9は本発明の実施形態3に係るインクジェットヘッド10の概略断面図、図10は図9のC部の拡大断面図、図11は図9のc−c拡大断面図である。
本実施形態3における静電アクチュエータ部4Bは、個別電極5の対向面に形成される第1の絶縁膜7を酸化シリコン膜7aとHigh−k材のアルミナ膜7bとを積層する構造とし、振動板6の対向面に形成される第2の絶縁膜7は酸化シリコン膜とするものである。また、上記同様に接合面側を酸化シリコン膜7aとし、下層部をアルミナ膜7bとすることで、電極基板3の接合部36を構成する。
膜厚については、個別電極5を100nm、第1の絶縁膜7のうち酸化シリコン膜7aを40nm、アルミナ膜7bを30nm、第2の絶縁膜8の酸化シリコン膜を50nmとし、ギャップGの距離は200nmとしている。
膜厚については、個別電極5を100nm、第1の絶縁膜7のうち酸化シリコン膜7aを40nm、アルミナ膜7bを30nm、第2の絶縁膜8の酸化シリコン膜を50nmとし、ギャップGの距離は200nmとしている。
表4は、本実施形態3の静電アクチュエータの発生圧力の向上に関係するパラメータ(絶縁膜の厚さに対する比誘電率の比)を計算した値を示すものである。表4中の従来例は表2と同じである。
本実施形態3のように個別電極側の絶縁膜として、酸化シリコンと高誘電材料のアルミナとを積層する構成としても、実施形態1と同様に、アクチュエータの発生圧力を向上させることができ、絶縁耐圧及び接合強度を確保することができる。
実施形態4.
図12は本発明の実施形態4に係るインクジェットヘッド10の概略断面図、図13は図10のD部の拡大断面図、図14は図10のd−d拡大断面図である。
図12は本発明の実施形態4に係るインクジェットヘッド10の概略断面図、図13は図10のD部の拡大断面図、図14は図10のd−d拡大断面図である。
本実施形態4における静電アクチュエータ部4Cは、個別電極5の対向面に形成される第1の絶縁膜7をHigh−k材のアルミナ膜とし、振動板6の対向面に形成される第2の絶縁膜8を実施形態1と同様に、酸化シリコン膜8aとHigh−k材のアルミナ膜8bとを積層する構造とするものであり、下層部をアルミナ膜8bとし、接合面側を酸化シリコン膜8aとする構成である。また、アルミナは接合強度が弱いので、電極基板3の接合部36に対応する部分はアルミナ膜を除去する。従って、接合部は酸化シリコンどうしの接合となるので、十分に高い接合強度を確保することが可能となる。なお、アルミナに代えて酸化ハフニウムでも同様である。また、第1の絶縁膜7を実施形態3と同様に酸化シリコン膜とアルミナ膜の積層構造とすれば、接合部36のアルミナ膜の除去は不要となる。
膜厚については、個別電極5を100nm、第1の絶縁膜7のアルミナ膜を40nm、第2の絶縁膜8のうち酸化シリコン膜8aを50nm、アルミナ膜8bを40nmとし、ギャップGの距離は200nmとしている。
膜厚については、個別電極5を100nm、第1の絶縁膜7のアルミナ膜を40nm、第2の絶縁膜8のうち酸化シリコン膜8aを50nm、アルミナ膜8bを40nmとし、ギャップGの距離は200nmとしている。
表5は、本実施形態4の静電アクチュエータの発生圧力の向上に関係するパラメータ(絶縁膜の厚さに対する比誘電率の比)を計算した値を示すものである。表5中の従来例は表2と同じである。
本実施形態4のように、個別電極側の絶縁膜として、接合強度の弱いアルミナや酸化ハフニウム等を単独で用いる場合は、接合強度の確保の観点から実施形態1で述べたように電極基板3側に形成することが望ましい。理由は、接合部のアルミナや酸化ハフニウム等の絶縁膜除去が容易かつ確実にできるからである。
アクチュエータの発生圧力の向上及び絶縁耐圧については実施形態1と同様の効果がある。
アクチュエータの発生圧力の向上及び絶縁耐圧については実施形態1と同様の効果がある。
実施形態5.
図15は本発明の実施形態5に係るインクジェットヘッド10の概略断面図、図16は図15のE部の拡大断面図、図17は図15のe−e拡大断面図である。
図15は本発明の実施形態5に係るインクジェットヘッド10の概略断面図、図16は図15のE部の拡大断面図、図17は図15のe−e拡大断面図である。
本実施形態5おける静電アクチュエータ部4Dは、個別電極5の対向面に形成される第1の絶縁膜7を酸化シリコン膜7aとHigh−k材のアルミナ膜7bとを積層する構造とし、振動板6の対向面に形成される第2の絶縁膜8を実施形態2と同様に、酸化シリコン膜8aとHigh−k材の酸化ハフニウム膜8cとを積層する構造とするものである。また、第1及び第2の絶縁膜7、8は接合面側を共に酸化シリコン膜7a、8aとする。これにより、接合部は酸化シリコンどうしの接合となるので、十分に高い接合強度を確保することが可能となる。
膜厚については、個別電極5を100nm、第1の絶縁膜7のうち酸化シリコン膜7aを40nm、アルミナ膜7bを30nm、第2の絶縁膜8のうち酸化シリコン膜8aを40nm、酸化ハフニウム膜8cを20nmとし、ギャップGの距離は200nmとしている。
膜厚については、個別電極5を100nm、第1の絶縁膜7のうち酸化シリコン膜7aを40nm、アルミナ膜7bを30nm、第2の絶縁膜8のうち酸化シリコン膜8aを40nm、酸化ハフニウム膜8cを20nmとし、ギャップGの距離は200nmとしている。
表6は、本実施形態5の静電アクチュエータの発生圧力の向上に関係するパラメータ(絶縁膜の厚さに対する比誘電率の比)を計算した値を示すものである。表6中の従来例は表2と同じである。
本実施形態5のように、個別電極側及び振動板側の両方の絶縁膜を、酸化シリコンと、酸化シリコンより比誘電率の高い高誘電材料を積層する構成としても、表6のようにt/εの値を小さくできるため、アクチュエータの発生圧力を向上させることができる。
また、絶縁耐圧及び接合強度については、酸化シリコンが接合面側に設けられているため実施形態1と同様の効果がある。
また、絶縁耐圧及び接合強度については、酸化シリコンが接合面側に設けられているため実施形態1と同様の効果がある。
次に、このインクジェットヘッド10の製造方法の一例について図18から図20を参照して概要を説明する。図18はインクジェットヘッド10の製造工程の概略の流れを示すフローチャート、図19は電極基板3の製造工程の概要を示す断面図、図20はインクジェットヘッド10の製造工程の概要を示す断面図である。
図18において、ステップS1〜S3は電極基板3の製造工程を示すものであり、ステップS4とS5はキャビティ基板2の元になるシリコン基板の製造工程を示すものである。ここでは、主に実施形態1に示したインクジェットヘッド10の製造方法について説明するが、必要に応じて他の実施形態2〜5についても言及する。
電極基板3は以下のようにして製造される。
まず、硼珪酸ガラス等からなる板厚約1mmのガラス基板300に、例えば金・クロムのエッチングマスクを使用してフッ酸によってエッチングすることにより所望の深さの凹部32を形成する。なお、この凹部32は個別電極31の形状より少し大きめの溝状のものであり、個別電極5ごとに複数形成される。
そして、例えば、スパッタ法によりITO(Indium Tin Oxide)膜を100nmの厚さで形成し、このITO膜をフォトリソグラフィーによりパターニングして個別電極5となる部分以外をエッチング除去して、凹部32の内部に個別電極5を形成する(図18のS1、図19(a))。
まず、硼珪酸ガラス等からなる板厚約1mmのガラス基板300に、例えば金・クロムのエッチングマスクを使用してフッ酸によってエッチングすることにより所望の深さの凹部32を形成する。なお、この凹部32は個別電極31の形状より少し大きめの溝状のものであり、個別電極5ごとに複数形成される。
そして、例えば、スパッタ法によりITO(Indium Tin Oxide)膜を100nmの厚さで形成し、このITO膜をフォトリソグラフィーによりパターニングして個別電極5となる部分以外をエッチング除去して、凹部32の内部に個別電極5を形成する(図18のS1、図19(a))。
次に、個別電極5側の第1の絶縁膜7として、TEOS(Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン)を原料ガスとして用いたTEOS−CVD(Chemical Vapor Deposition)法により酸化シリコン膜(SiO2)を50nmの厚さでガラス基板300の表面全体に形成する(図18のS2、図19(b))。第1の絶縁膜7の酸化シリコン膜は個別電極5が形成された凹部32内だけでなくガラス基板300表面のシリコン基板との接合面にも形成される。
次に、個別電極5の端子部5aに対応する部分のみをパターニングして、CHF3によるRIE(Reactive Ion Etching)ドライエッチングにより、端子部5a上の酸化シリコン膜を除去する(図18のS3、図9(c))。その後、ブラスト加工等によってインク供給孔33となる孔部33aを形成する。
以上により、実施形態1及び実施形態2の電極基板3を作製することができる。
次に、個別電極5の端子部5aに対応する部分のみをパターニングして、CHF3によるRIE(Reactive Ion Etching)ドライエッチングにより、端子部5a上の酸化シリコン膜を除去する(図18のS3、図9(c))。その後、ブラスト加工等によってインク供給孔33となる孔部33aを形成する。
以上により、実施形態1及び実施形態2の電極基板3を作製することができる。
なお、実施形態3と実施形態5の場合は、上記により個別電極5がパターニングされた電極基板3の表面全体に、ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタ法により、アルミナ膜を全面成膜した後、更にそのアルミナ膜の上にTEOS−CVD法により酸化シリコン膜を全面成膜すればよい。また、個別電極5の端子部上のアルミナ膜と酸化シリコン膜膜は、上記CHF3によるRIEドライエッチングにより同時に除去することができる。
実施形態4の場合は、上記のECRスパッタ法により、アルミナ膜を全面成膜するだけでよい。そして、CHF3によるRIEドライエッチングにより、電極基板3の接合部36及び個別電極5の端子部5a上のアルミナ膜をパターニングして除去する。
以上により、実施形態3〜5の電極基板3を作製することができる。
実施形態4の場合は、上記のECRスパッタ法により、アルミナ膜を全面成膜するだけでよい。そして、CHF3によるRIEドライエッチングにより、電極基板3の接合部36及び個別電極5の端子部5a上のアルミナ膜をパターニングして除去する。
以上により、実施形態3〜5の電極基板3を作製することができる。
キャビティ基板2は、上記により作製された電極基板3にシリコン基板200を陽極接合してから作製される。
まず、例えば厚さが280μmのシリコン基板200の片面全面に、例えば厚さが0.8μmのボロン拡散層201を形成したシリコン基板200を作製する(図18のS4)。次に、そのシリコン基板200のボロン拡散層201の表面全面に、第2の絶縁膜8としてまず、アルミナ膜8bをECRスパッタ法により30nmの厚さで全面成膜した後、更にそのアルミナ膜8bの上にTEOS−CVD法により酸化シリコン膜8aを50nmの厚さで全面成膜する(図18のS5、図20(a))。
なお、実施形態2の場合は、実施形態1のアルミナ膜に代えて、酸化ハフニウム膜をECRスパッタ法により全面成膜すればよい。
実施形態3の場合は、熱酸化法により酸化シリコン膜をボロン拡散層201上に全面成膜する。
実施形態4の場合は、ECRスパッタ法によりアルミナ膜をボロン拡散層201上に全面成膜した後、TEOS−CVD法により酸化シリコン膜を全面成膜する。
実施形態5の場合は、実施形態4のアルミナ膜に代えて酸化ハフニウム膜を全面成膜すればよい。
実施形態3の場合は、熱酸化法により酸化シリコン膜をボロン拡散層201上に全面成膜する。
実施形態4の場合は、ECRスパッタ法によりアルミナ膜をボロン拡散層201上に全面成膜した後、TEOS−CVD法により酸化シリコン膜を全面成膜する。
実施形態5の場合は、実施形態4のアルミナ膜に代えて酸化ハフニウム膜を全面成膜すればよい。
次に、以上により作製されたシリコン基板200を上記電極基板3上にアライメントして陽極接合する(図18のS6、図20(b))。
次に、この接合済みシリコン基板200の表面全面を研磨加工して、厚さを例えば50μm程度に薄くし(図18のS7、図20(c))、さらにこのシリコン基板200の表面全面をウエットエッチングによりライトエッチングして加工痕を除去する(図18のS8)。
次に、薄板に加工された接合済みシリコン基板200の表面にフォトリソグラフィーによってレジストパターニングを行い(図18のS9)、水酸カリウム水溶液によりウェットエッチングを行うことによってインク流路溝を形成する(図18のS10)。これによって、吐出室21となる凹部22、リザーバ23となる凹部24および電極取り出し部34となる凹部27が形成される(図20(d))。その際、ボロン拡散層201の表面でエッチングストップがかかるので、振動板6の厚さを高精度に形成することができるとともに、表面荒れを防ぐことができる。
次に、ICP(Inductively Coupled Plasma)ドライエッチングにより、凹部27の底部を除去して電極取り出し部34を開口させた後(図20(e))、静電アクチュエータの内部に付着している水分を除去する(図18のS11)。水分除去はこのシリコン基板を例えば真空チャンバ内に入れ、窒素雰囲気にして行う。そして、所要時間経過後、窒素雰囲気下でギャップ開放端部にエポキシ樹脂等の封止材35を塗布して気密に封止する(図18のS12、図20(f))。このように静電アクチュエータ内部(ギャップ内)の付着水分を除去した後、気密封止することによって、静電アクチュエータの駆動耐久性を向上させることができる。
また、マイクロブラスト加工等により凹部24の底部を貫通させてインク供給孔33を形成する。さらに、インク流路溝の腐食を防止するため、このシリコン基板の表面にプラズマCVDによりTEOS膜からなるインク保護膜(図示せず)を形成する。また、シリコン基板上に金属からなる共通電極26を形成する。
また、マイクロブラスト加工等により凹部24の底部を貫通させてインク供給孔33を形成する。さらに、インク流路溝の腐食を防止するため、このシリコン基板の表面にプラズマCVDによりTEOS膜からなるインク保護膜(図示せず)を形成する。また、シリコン基板上に金属からなる共通電極26を形成する。
以上の工程を経て電極基板3に接合されたシリコン基板200からキャビティ基板2が作製される。
その後、このキャビティ基板2の表面上に、予めノズル孔11等が形成されたノズル基板1を接着により接合する(図18のS13、図20(g))。そして最後に、ダイシングにより個々のヘッドチップに切断すれば、上述したインクジェットヘッド10の本体部が完成する(図18のS14)。
その後、このキャビティ基板2の表面上に、予めノズル孔11等が形成されたノズル基板1を接着により接合する(図18のS13、図20(g))。そして最後に、ダイシングにより個々のヘッドチップに切断すれば、上述したインクジェットヘッド10の本体部が完成する(図18のS14)。
本実施形態のインクジェットヘッド10の製造方法によれば、酸化シリコンからなる第1の絶縁膜7は電極基板3の接合面全面に形成し、酸化シリコンと酸化シリコンより比誘電率の高い高誘電材料との積層からなる第2の絶縁膜8は、酸化シリコンを接合面側としてキャビティ基板2の接合面全面に形成するものであるので、接合部の絶縁膜除去は一切不要であるため製造工程を簡略化することができる。このため、駆動耐久性および吐出性能に優れたインクジェットヘッドを安価に製造することができる。
また、キャビティ基板2を、予め作製された電極基板3に接合した状態のシリコン基板200から作製するものであるので、その電極基板3によりキャビティ基板2を支持した状態となるため、キャビティ基板2を薄板化しても、割れたり欠けたりすることがなく、ハンドリングが容易となる。したがって、キャビティ基板2を単独で製造する場合よりも歩留まりが向上するという効果がある。
また、キャビティ基板2を、予め作製された電極基板3に接合した状態のシリコン基板200から作製するものであるので、その電極基板3によりキャビティ基板2を支持した状態となるため、キャビティ基板2を薄板化しても、割れたり欠けたりすることがなく、ハンドリングが容易となる。したがって、キャビティ基板2を単独で製造する場合よりも歩留まりが向上するという効果がある。
上記の実施形態では、静電アクチュエータおよびインクジェットヘッド、ならびにこれらの製造方法について述べたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものでなく、本発明の思想の範囲内で種々変更することができる。例えば、本発明の静電アクチュエータは、光スイッチやミラーデバイス、マイクロポンプ、レーザプリンタのレーザ操作ミラーの駆動部などにも利用することができる。また、ノズル孔より吐出される液状材料を変更することにより、例えば図21に示すようなインクジェットプリンタ500のほか、液晶ディスプレイのカラーフィルタの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、遺伝子検査等に用いられる生体分子溶液のマイクロアレイの製造など様々な用途の液滴吐出装置として利用することができる。
1 ノズル基板、2 キャビティ基板、3 電極基板、4、4A、4B、4C、4D、4E 静電アクチュエータ部、5 個別電極(固定電極)、6 振動板(可動電極)、7 第1の絶縁膜、7a 酸化シリコン膜、7b アルミナ膜、8 第2の絶縁膜、8a 酸化シリコン膜、8b アルミナ膜、8c 酸化ハフニウム膜、9 駆動制御回路(駆動手段)、10 インクジェットヘッド、11 ノズル孔、12 オリフィス、21 吐出室、23 リザーバ、26 共通電極、32 凹部、33 インク供給孔、34 電極取り出し部、35 封止材、36 接合部、200 シリコン基板、300 ガラス基板、500 インクジェットプリンタ。
Claims (14)
- 基板上に形成された固定電極と、この固定電極に所定のギャップを介して対向配置された可動電極と、前記固定電極と前記可動電極との間に静電気力を発生させて該可動電極に変位を生じさせる駆動手段とを備えた静電アクチュエータにおいて、
前記固定電極の対向面に形成された第1の絶縁膜と、前記可動電極の対向面に形成された第2の絶縁膜とを備え、前記第1及び第2の絶縁膜の少なくとも一方が、酸化シリコンと、酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料とを積層した構成となっていることを特徴とする静電アクチュエータ。 - 前記固定電極を有する基板と前記可動電極を有する基板との接合面に、前記第1及び第2の絶縁膜の酸化シリコン膜が形成されていることを特徴とする請求項1記載の静電アクチュエータ。
- 前記固定電極がガラス基板上に、前記可動電極がシリコン基板上に形成されており、前記酸化シリコン膜は前記ガラス基板と前記シリコン基板との接合面全面に形成されていることを特徴とする請求項2記載の静電アクチュエータ。
- 前記固定電極の対向面に形成された前記第1の絶縁膜は、下層部に酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料を、表層部に酸化シリコンを積層した構成となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電アクチュエータ。
- 前記可動電極の対向面に形成された前記第2の絶縁膜は、下層部に酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料を、表層部に酸化シリコンを積層した構成となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電アクチュエータ。
- 前記誘電材料は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiN)、酸窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)の中から少なくとも一つが選ばれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の静電アクチュエータ。
- 基板上に形成された固定電極と、この固定電極に所定のギャップを介して対向配置された可動電極と、前記固定電極と前記可動電極との間に静電気力を発生させて該可動電極に変位を生じさせる駆動手段とを備えた静電アクチュエータの製造方法において、
前記固定電極が形成されたガラス基板上に、第1の絶縁膜として、少なくとも酸化シリコン膜を形成する工程と、
前記可動電極が形成されるシリコン基板の前記ガラス基板との接合面全面に、第2の絶縁膜として、酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料の絶縁膜を形成し、その上に酸化シリコン膜を形成する工程と、
前記ガラス基板と前記シリコン基板とを前記酸化シリコン膜を介して陽極接合する工程と、
前記シリコン基板の接合面と反対の表面からエッチング加工して前記可動電極を形成する工程と、
前記固定電極と前記可動電極との間に形成されるギャップの内部に存在する水分を除去する工程と、
前記ギャップを気密に封止する工程と、
を有することを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。 - 前記第1の絶縁膜を形成する工程では、前記ガラス基板の接合側表面全体に、酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料の絶縁膜を形成し、その上に酸化シリコン膜を形成することを特徴とする請求項7記載の静電アクチュエータの製造方法。
- 前記第1の絶縁膜を酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料のみで形成する場合は、前記ガラス基板の接合部における当該誘電材料の部分をドライエッチングにより除去することを特徴とする請求項7記載の静電アクチュエータの製造方法。
- 前記誘電材料として、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiN)、酸窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)の中から選ばれた少なくとも一つを用いることを特徴とする請求項7または8記載の静電アクチュエータの製造方法。
- 前記ギャップの封止は窒素雰囲気下で行うことを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の静電アクチュエータの製造方法。
- 液滴を吐出する単一または複数のノズル孔を有するノズル基板と、前記ノズル基板との間で、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室となる凹部が形成されたキャビティ基板と、前記吐出室の底部にて構成される振動板に所定のギャップを介して対向配置される個別電極が形成された電極基板とを備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
前記個別電極の対向面に形成された第1の絶縁膜と、前記振動板の対向面に形成された第2の絶縁膜とを備え、前記第1及び第2の絶縁膜の少なくとも一方が、酸化シリコンと、酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料とを積層した構成となっていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。 - 液滴を吐出する単一または複数のノズル孔を有するノズル基板と、前記ノズル基板との間で、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室となる凹部が形成されたキャビティ基板と、前記吐出室の底部にて構成される振動板に所定のギャップを介して対向配置される個別電極が形成された電極基板とを備えた液滴吐出ヘッドの製造方法において、
前記個別電極が形成されたガラス基板上に、第1の絶縁膜として、少なくとも酸化シリコン膜を形成する工程と、
前記振動板が形成されるシリコン基板の前記ガラス基板との接合面全面に、第2の絶縁膜として、酸化シリコンよりも比誘電率が高い誘電材料の絶縁膜を形成し、その上に酸化シリコン膜を形成する工程と、
前記ガラス基板と前記シリコン基板とを前記酸化シリコン膜を介して陽極接合する工程と、
前記シリコン基板を薄板に薄板化加工した後、接合面と反対の表面からエッチング加工して前記振動板を形成する工程と、
前記個別電極と前記振動板との間に形成されるギャップの内部に存在する水分を除去する工程と、
前記ギャップを気密に封止する工程と、
を有することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。 - 請求項12に記載の液滴吐出ヘッドを備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
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JP2006295613A JP2008110559A (ja) | 2006-10-31 | 2006-10-31 | 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びそれらの製造方法並びに液滴吐出装置 |
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