JP2008099387A - 静電アクチュエータの製造方法および液滴吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動安定性および駆動耐久性に優れた静電アクチュエータの製造方法および液滴吐出ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】可動電極5を有する第1の基板1と、前記可動電極に対向配置される固定電極8を有する第2の基板2とを備え、前記可動電極5あるいは前記固定電極8の少なくとも一方の対向面に絶縁膜9を形成後、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合して形成される静電アクチュエータ12の製造方法において、前記絶縁膜9として、シランガスを原料ガスとして用い、酸素プラズマ発生部と、酸素プラズマとシランガスとが反応する反応部とを分離した構成のプラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜を形成する。
【選択図】図2
【解決手段】可動電極5を有する第1の基板1と、前記可動電極に対向配置される固定電極8を有する第2の基板2とを備え、前記可動電極5あるいは前記固定電極8の少なくとも一方の対向面に絶縁膜9を形成後、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合して形成される静電アクチュエータ12の製造方法において、前記絶縁膜9として、シランガスを原料ガスとして用い、酸素プラズマ発生部と、酸素プラズマとシランガスとが反応する反応部とを分離した構成のプラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜を形成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、静電駆動方式のインクジェットヘッド等に用いられる静電アクチュエータの製造方法および液滴吐出ヘッドの製造方法に関する。
液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドとして、例えばインクジェット記録装置に搭載される静電駆動方式のインクジェットヘッドが知られている。静電駆動方式のインクジェットヘッドは、一般に、ガラス基板上に形成された個別電極(固定電極)と、この個別電極に所定のギャップを介して対向配置されたシリコン製の振動板(可動電極)とから構成される静電アクチュエータ部を備えている。そして、インク滴を吐出するための複数のノズル孔が形成されたノズル基板と、このノズル基板に接合されノズル基板との間で上記ノズル孔に連通する吐出室、リザーバ等のインク流路が形成されたキャビティ基板とを備え、上記静電アクチュエータ部に静電気力を発生させることにより吐出室に圧力を加えて、選択されたノズル孔よりインク滴を吐出するようになっている。
従来の静電アクチュエータにおいては、アクチュエータの絶縁膜の絶縁破壊や短絡を防止して駆動の安定性と駆動耐久性を確保するため、振動板や個別電極の対向面に絶縁膜が形成されている。絶縁膜には、一般にシリコンの熱酸化膜が使用されている。その理由としては製造プロセスの簡便さや、絶縁膜特性がシリコン熱酸化膜は優れているという理由からである。しかし、シリコン熱酸化膜は、その適用がシリコン基板に限られるという適用上の問題がある。
一方、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によりTEOS(Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン)を原料ガスとするシリコン酸化膜を絶縁膜として振動板の対向面に形成する静電アクチュエータが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、振動板側の片方だけに絶縁膜を形成するのでは誘電体の絶縁膜内に残留電荷が生じてアクチュエータの駆動安定性や駆動耐久性が低下することから、振動板側と個別電極側の両方に絶縁膜を形成する静電アクチュエータが提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。特許文献2では、振動板側に熱酸化膜を、個別電極側にスパッタ法によりシリコン酸化膜を形成するものであり、特許文献3では、振動板および個別電極の両電極を共にシリコン基板で構成し、振動板側だけでなく、個別電極側にも熱酸化膜からなる絶縁膜を形成し、さらにシリコン基板の接合面には接合強度の低下を回避するべく絶縁膜を設けない構成とするものである。しかし、シリコン基板はガラス基板よりも高価であり、コスト高になる問題がある。
製造コストの低減を図るために、固定電極をガラス基板上に形成し、その固定電極上に絶縁膜を形成する場合、絶縁膜は400℃程度の低温で成膜する必要がある。低温でシリコン酸化膜を形成する一般的な方法としては以下の方法が知られている。
(1)スパッタ法
(2)TEOSを原料ガスに用いるプラズマCVD法
(3)シランを原料ガスに用いるプラズマCVD法
(1)スパッタ法
(2)TEOSを原料ガスに用いるプラズマCVD法
(3)シランを原料ガスに用いるプラズマCVD法
しかし、スパッタ法で作製したシリコン酸化膜は、絶縁耐圧が低く、アクチュエータの絶縁破壊を防止するためには、膜厚を厚くする必要がある。したがって、静電アクチュエータの絶縁膜としてスパッタ法を用いたシリコン酸化膜では、絶縁耐圧とアクチュエータ実効電界がトレードオフとなり、静電アクチュエータに用いる絶縁膜としてはふさわしくない。
一方、プラズマCVD法により原料ガスにTEOSを用いて成膜するシリコン酸化膜(便宜上、「TEOS−SiO2膜」と略記する)は優れた電気特性を示し、一般的に広く用いられている。しかしながら、TEOS−SiO2膜は原料ガスの分解副生成物として、いわゆるカーボン成分が膜に混入し、絶縁膜の電気特性に影響を及ぼすことが一般的に知られている。またプラズマを用いるため、電極のプラズマダメージにより電極と絶縁膜の界面の電気特性が悪化するという課題がある。
シランを原料ガスに用いるプラズマCVD法では、カーボン成分が膜に混入しないものの、電気特性はTEOS−SiO2膜に劣る。この原因としてはSiO2膜の膜質がTEOS−CVDによるSiO2膜よりも劣ることが考えられる。
絶縁膜の電気特性に影響を与える因子としては、バルク絶縁膜特性、電極のプラズマダメージ、あるいは電極と絶縁膜の界面相互作用等がある。ここで薄膜の絶縁膜を形成する場合は、上記因子のうち、電極のプラズマダメージ、電極と絶縁膜の界面相互作用の影響が非常に大きい。
絶縁膜の電気特性に影響を与える因子としては、バルク絶縁膜特性、電極のプラズマダメージ、あるいは電極と絶縁膜の界面相互作用等がある。ここで薄膜の絶縁膜を形成する場合は、上記因子のうち、電極のプラズマダメージ、電極と絶縁膜の界面相互作用の影響が非常に大きい。
本発明は、上記のような課題に鑑み、駆動安定性および駆動耐久性に優れた静電アクチュエータの製造方法および液滴吐出ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る静電アクチュエータの製造方法は、可動電極を有する第1の基板と、前記可動電極に対向配置される固定電極を有する第2の基板とを備え、前記可動電極あるいは前記固定電極の少なくとも一方の対向面に絶縁膜を形成後、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合して形成される静電アクチュエータの製造方法において、前記絶縁膜として、シランガスを原料ガスとして用い、酸素プラズマ発生部と、酸素プラズマとシランガスとが反応する反応部とを分離した構成のプラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜を形成するものである。
これにより、電極表面に対するプラズマダメージの少ないシリコン酸化膜の絶縁膜を形成できるので、TEOS−SiO2膜に比べて駆動安定性および駆動耐久性に優れた静電アクチュエータを製造することができる。
これにより、電極表面に対するプラズマダメージの少ないシリコン酸化膜の絶縁膜を形成できるので、TEOS−SiO2膜に比べて駆動安定性および駆動耐久性に優れた静電アクチュエータを製造することができる。
ここで、前記プラズマCVD法は、前記酸素プラズマ発生部と、前記反応部とを反応ガス導入部を介して分離した構成のシャワー型プラズマCVD装置を使用することが望ましい。
シャワー型プラズマCVD装置を使用すれば、酸素プラズマとシランガスとが反応部にシャワー状に供給されるため、電極表面のプラズマダメージを減少させることができる。
シャワー型プラズマCVD装置を使用すれば、酸素プラズマとシランガスとが反応部にシャワー状に供給されるため、電極表面のプラズマダメージを減少させることができる。
また、絶縁性能を向上させるために、前記絶縁膜を多層構造で形成することもできる。この場合において、前記多層構造の絶縁膜は、下層部に酸化シリコンよりも比誘電率の高い誘電体層を、表層部に前記シリコン酸化膜を形成することもできる。
酸化シリコンよりも比誘電率の高い誘電体層、すなわちHigh−K(高誘電率ゲート絶縁膜)材と呼ばれる誘電体層を形成することにより、静電アクチュエータの絶縁性および動作特性を向上させることができる。その反面、High−K材は、陽極接合が可能なように親水化することが困難で、接合強度の確保が難しいため、下層部をHigh−K材とし、表層部は前記シリコン酸化膜の絶縁膜として、静電アクチュエータの駆動の安定性および駆動耐久性の向上と接合強度の確保の両立を図る。
酸化シリコンよりも比誘電率の高い誘電体層、すなわちHigh−K(高誘電率ゲート絶縁膜)材と呼ばれる誘電体層を形成することにより、静電アクチュエータの絶縁性および動作特性を向上させることができる。その反面、High−K材は、陽極接合が可能なように親水化することが困難で、接合強度の確保が難しいため、下層部をHigh−K材とし、表層部は前記シリコン酸化膜の絶縁膜として、静電アクチュエータの駆動の安定性および駆動耐久性の向上と接合強度の確保の両立を図る。
また、前記可動電極と前記固定電極との間に形成されるギャップ内の水分を除去する水分除去工程を有するものとする。これによって、ギャップ内、つまり静電アクチュエータ内部の絶縁膜上に水分が存在することはないので、静電気力により可動電極が固定電極に吸着したままの状態となることを防止することができる。また、この水分除去工程後、前記ギャップの開放端部を窒素雰囲気下で気密封止を行うことが望ましい。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、液滴を吐出する単一または複数のノズル孔を有する第3の基板と、前記第3の基板との間で、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室となる凹部が形成された第1の基板と、前記吐出室の底部にて構成される振動板に所定のギャップを介して対向配置される個別電極が形成された第2の基板とを備えた液滴吐出ヘッドの製造方法において、上記のいずれかの静電アクチュエータの製造方法を有するものである。
これにより、信頼性の高い、液滴吐出特性に優れた液滴吐出ヘッドを安価に製造することができる。
これにより、信頼性の高い、液滴吐出特性に優れた液滴吐出ヘッドを安価に製造することができる。
(液滴吐出ヘッドの全体構成)
まず、本発明の製造方法を説明する前に、本発明の製造方法により製造される液滴吐出ヘッドの全体構成について説明する。ここでは、液滴吐出ヘッドの一例として、基板の表面に設けられたノズル孔からインク滴を吐出するフェイス吐出型の静電駆動方式のインクジェットヘッドをとりあげて説明する。なお、本発明は、以下の図に示す構造、形状に限られるものではなく、4枚の基板を積層した4層構造のものや、基板の端部に設けられたノズル孔からインク滴を吐出するエッジ吐出型のものなどにも同様に適用することができる。
まず、本発明の製造方法を説明する前に、本発明の製造方法により製造される液滴吐出ヘッドの全体構成について説明する。ここでは、液滴吐出ヘッドの一例として、基板の表面に設けられたノズル孔からインク滴を吐出するフェイス吐出型の静電駆動方式のインクジェットヘッドをとりあげて説明する。なお、本発明は、以下の図に示す構造、形状に限られるものではなく、4枚の基板を積層した4層構造のものや、基板の端部に設けられたノズル孔からインク滴を吐出するエッジ吐出型のものなどにも同様に適用することができる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの概略構成を分解して示す分解斜視図であり、一部を断面で表してある。図2は組立状態における図1の略右半分の構成を示すインクジェットヘッドの断面図、図3は図2のA部の拡大断面図、図4は図2のa−a拡大断面図、図5は図2のインクジェットヘッドの上面図である。なお、図1および図2では、通常使用される状態とは上下逆に示されている。
図1は本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの概略構成を分解して示す分解斜視図であり、一部を断面で表してある。図2は組立状態における図1の略右半分の構成を示すインクジェットヘッドの断面図、図3は図2のA部の拡大断面図、図4は図2のa−a拡大断面図、図5は図2のインクジェットヘッドの上面図である。なお、図1および図2では、通常使用される状態とは上下逆に示されている。
本実施の形態のインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッドの一例)10は、図1から図5に示すように、以下に説明する構造を持つ3枚の基板1、2、3を貼り合わせることにより構成されている。なお、このインクジェットヘッド10は1個につきノズル孔4が2列に形成されたヘッド構成となっているが、当該ヘッド部分はノズル孔4の列が1列のものであっても良い。またノズル孔4の数は制限されない。
中間の第1の基板1は、キャビティ基板とも呼ばれ、単結晶のシリコン基板からなり、その表面には複数の流路となる溝もしくは凹部がエッチングにより形成されている。個々の流路には、底部を振動板(可動電極)5とする吐出室6となる凹部11が形成されている。また、各流路に共通に連通するリザーバ7となる凹部13が形成される。
第1の基板1の下面に接合される第2の基板2は、電極基板もしくは電極ガラス基板とも呼ばれ、ガラス基板を用いて形成されている。第2の基板2は第1の基板1と陽極接合により接合されるので、剥離のない接合強度を確保するために、熱膨張係数がシリコンのそれに近いホウ珪酸系ガラスが一般に用いられている。
第2の基板2の表面には、一般にITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる個別電極(固定電極)8が形成されている。各個別電極8は上記振動板5と対向する位置にエッチングにより形成された凹部21内に形成されている。振動板5と個別電極8とは所定の間隔(ギャップ長という)Gを隔てて対向配置される。そしてさらに、絶縁破壊や短絡を防止するために、ここでは一方の各個別電極8の対向面(表面)に絶縁膜9として、シランガス(SiH4)を原料ガスとして用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によりシリコン酸化膜(SiO2膜)が形成されている。この振動板5と個別電極8および絶縁膜9とにより静電アクチュエータ部12が構成されている。
第2の基板2の表面には、一般にITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる個別電極(固定電極)8が形成されている。各個別電極8は上記振動板5と対向する位置にエッチングにより形成された凹部21内に形成されている。振動板5と個別電極8とは所定の間隔(ギャップ長という)Gを隔てて対向配置される。そしてさらに、絶縁破壊や短絡を防止するために、ここでは一方の各個別電極8の対向面(表面)に絶縁膜9として、シランガス(SiH4)を原料ガスとして用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によりシリコン酸化膜(SiO2膜)が形成されている。この振動板5と個別電極8および絶縁膜9とにより静電アクチュエータ部12が構成されている。
この静電アクチュエータ部12における実質的なギャップ長Gは絶縁膜9と個別電極8間の距離となる。本実施の形態では、SiO2膜の厚さを150nmとし、ギャップ長Gを200nmとしている。また、ITOからなる個別電極8の厚さは100nmとしている。したがって、凹部21は450nmの深さでエッチングされることになる。
第2の基板2には上記リザーバ7の底部を貫通して連通するインク供給孔22が形成されている。インク供給孔22は図示しないインクタンクに接続されている。また、振動板5と個別電極8との間に形成されるギャップの開放端部はエポキシ樹脂等による封止材16で気密に封止される。これにより、湿気や塵埃等が電極間ギャップへ侵入するのを防止することができ、インクジェットヘッド10の信頼性を高く保持することができる。
第1の基板1の上面に接合される第3の基板3は、ノズル基板とも呼ばれ、単結晶のシリコン基板からなり、エッチングにより上記の吐出室6に連通し第3の基板3に対し垂直に貫通するように形成されたノズル孔4と、吐出室6とリザーバ7とを連通させるように下面に細溝状に形成された供給口31と、リザーバ7部の圧力変動を補償するためのダイヤフラム部32とを有する構成となっている。ノズル孔4は、径の小さい噴射口部とこれより径の大きい導入口部とを同軸状に2段に構成することにより、インク滴の直進性を向上させることができる。
また、上記第1の基板1および第3の基板3の後端部は、図1から図5に示すように、エッチングにより開口された電極取り出し部14となっており、電極取り出し部14の形状は、平面視で略コ字状の開口部を有するものとなっている。そして、第2の基板2上に形成された個別電極8の端子部8aが電極取り出し部14において露出するように形成されている。また、第1の基板1の上面の後端部において片側もしくは両側に金属膜からなる共通電極15が形成されている。そして、静電アクチュエータ部12の駆動手段として、振動板5と個別電極8との間にパルス電圧を印加するためのドライバIC等の駆動制御回路20が設けられ、この駆動制御回路20が搭載されたフレキシブル配線基板(FPC、図示せず)が各個別電極8の端子部8aと共通電極15とに例えば導電性接着剤を用いて接続される。
次に、以上のように構成されるインクジェットヘッド10の動作を説明する。
駆動制御回路20により個別電極8と第1の基板1の共通電極15の間にパルス電圧を印加すると、振動板5は個別電極8側に引き寄せられて吸着し、吐出室6内に負圧を発生させて、リザーバ7内のインクを吸引し、インクの振動(メニスカス振動)を発生させる。このインクの振動が略最大となった時点で、電圧を解除すると、振動板5は離脱して、その復元力によりインクをノズル孔4から押し出し、インク滴を吐出する。
駆動制御回路20により個別電極8と第1の基板1の共通電極15の間にパルス電圧を印加すると、振動板5は個別電極8側に引き寄せられて吸着し、吐出室6内に負圧を発生させて、リザーバ7内のインクを吸引し、インクの振動(メニスカス振動)を発生させる。このインクの振動が略最大となった時点で、電圧を解除すると、振動板5は離脱して、その復元力によりインクをノズル孔4から押し出し、インク滴を吐出する。
その際、振動板5は絶縁膜(SiO2膜)9を介して個別電極8に吸着する。本実施の形態では、後述するようにいわゆるシャワー型のプラズマCVD装置を用いてシランガスから薄膜のSiO2膜を各個別電極8上に形成しているので、電極表面のプラズマダメージが極小化され、薄膜絶縁膜の電気特性を向上させることができる。そのため、振動板5が個別電極8に吸着したときの放電による静電アクチュエータ部12の絶縁破壊を防止できるとともに、常に一定の振動板変位量を長期間安定して保持することができる。
したがって、このインクジェットヘッド10は、上記のように構成された静電アクチュエータ部12を備えているので、静電アクチュエータ部12を微小化しても駆動耐久性および駆動安定性に優れ、高速駆動および高密度化が可能となる。
したがって、このインクジェットヘッド10は、上記のように構成された静電アクチュエータ部12を備えているので、静電アクチュエータ部12を微小化しても駆動耐久性および駆動安定性に優れ、高速駆動および高密度化が可能となる。
また、駆動耐久性の実験によると、インク重量が10%低下するまでのショット数は、TEOSの場合2億ショットであるのに対して、シランガスの場合8億ショットと大幅に向上する。
(インクジェットヘッドの製造方法)
次に、このインクジェットヘッド10の製造方法の一例を図6から図9を参照して概要を説明する。図6はインクジェットヘッド10の製造工程の概略の流れを示すフローチャート、図7は第2の基板2の製造工程の概要を示す断面図、図8はインクジェットヘッド10の製造工程の概要を示す断面図、図9はこの製造工程において絶縁膜(SiO2膜)の形成のために使用するシャワー型プラズマCVD装置50の構成図である。
次に、このインクジェットヘッド10の製造方法の一例を図6から図9を参照して概要を説明する。図6はインクジェットヘッド10の製造工程の概略の流れを示すフローチャート、図7は第2の基板2の製造工程の概要を示す断面図、図8はインクジェットヘッド10の製造工程の概要を示す断面図、図9はこの製造工程において絶縁膜(SiO2膜)の形成のために使用するシャワー型プラズマCVD装置50の構成図である。
図6において、ステップS1とS2は第2の基板(電極基板)2の製造工程を示すものであり、ステップS3は第1の基板(キャビティ基板)1の元になるシリコン基板の製造工程を示すものである。
(1)第2の基板2の製造工程
まず、硼珪酸ガラス等からなる板厚約1mmのガラス基板200に、例えば金・クロムのエッチングマスクを使用してフッ酸水溶液によってエッチングすることにより所望の深さの凹部21を形成する(図7(a))。なお、この凹部21は個別電極8の形状より少し大きめの溝状のものであり、個別電極8ごとに複数形成される。
次に、例えば、スパッタ法によりITO(Indium Tin Oxide)膜を100nmの厚さで形成し、このITO膜をフォトリソグラフィーによりパターニングして個別電極8となる部分以外をエッチング除去して、凹部21の内部に個別電極8を形成する(図6のS1、図7(b))。
まず、硼珪酸ガラス等からなる板厚約1mmのガラス基板200に、例えば金・クロムのエッチングマスクを使用してフッ酸水溶液によってエッチングすることにより所望の深さの凹部21を形成する(図7(a))。なお、この凹部21は個別電極8の形状より少し大きめの溝状のものであり、個別電極8ごとに複数形成される。
次に、例えば、スパッタ法によりITO(Indium Tin Oxide)膜を100nmの厚さで形成し、このITO膜をフォトリソグラフィーによりパターニングして個別電極8となる部分以外をエッチング除去して、凹部21の内部に個別電極8を形成する(図6のS1、図7(b))。
次に、個別電極8の絶縁膜9として、シランガス(SiH4)を原料ガスとして用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によりSiO2膜を例えば150nmの厚さでガラス基板200の表面全体に形成する。このとき、図9に示すようなシャワー型のプラズマCVD装置50を使用してSiO2膜を成膜する。
ここで、図9を参照して上記シャワー型のプラズマCVD装置50の構成を概略説明する。本装置50は、プラズマ発生部51と反応部52とを反応ガス導入部53を介して分離した構成となっている。プラズマ発生部51には酸素ガスを導入し、電極54にRF(13.56MHz)電力を供給して酸素プラズマを発生させる。反応ガス導入部53には、シランガス(SiH4)を導入し、シランガスを吹出孔55より反応部52内にシャワー状に供給するようになっている。また、プラズマ発生部52で生成された酸素プラズマは反応ガス導入部53を貫通する貫通孔56より反応部52内にシャワー状に供給され、反応部52において酸素プラズマとシランガスとが反応することにより、サセプター57上に載置された基板58上に、プラズマダメージの少ない均一なSiO2膜を形成する。なお、このときの成膜条件は、SiH4ガス流量:5sccm、酸素ガス流量:300sccm、プラズマ生成条件:RF 13.56MHz、基板温度:300℃とした。
次にこのSiO2膜をフォトリソグラフィーによりパターニングし、CF4を用いたICP(Inductively Coupled Plasma)ドライエッチングにより個別電極8となる部分以外をエッチング除去することにより、個別電極8上にSiO2膜を形成する。その後、レジストを剥離する。ついで、ブラスト加工等によってインク供給孔22となる孔22aを形成する(図6のS2、図7(c))。
以上により、第2の基板(電極基板)2が作製される。
以上により、第2の基板(電極基板)2が作製される。
(2)第1の基板1の製造工程
第1の基板1は上記により作製された第2の基板2にシリコン基板100を陽極接合してから作製される。
第1の基板1は上記により作製された第2の基板2にシリコン基板100を陽極接合してから作製される。
まず、例えば厚さが280μmの両面研磨されたシリコン基板の片面全面に、例えば厚さが0.8μmのボロン拡散層101を形成したシリコン基板100を作製する(図6のS3、図8(a))。
次に、以上により作製されたシリコン基板100を上記第2の基板2上にアライメントして陽極接合する(図6のS4、図8(b))。
次に、以上により作製されたシリコン基板100を上記第2の基板2上にアライメントして陽極接合する(図6のS4、図8(b))。
次に、この接合済みシリコン基板100の表面全面を研磨加工して、厚さを例えば50μm程度に薄くし(図6のS5、図8(c))、さらにこのシリコン基板100の表面全面をウエットエッチングによりライトエッチングして加工痕を除去する(図6のS6)。
次に、薄板に加工された接合済みシリコン基板100の表面にフォトリソグラフィーによってレジストパターニングを行い(図6のS7)、水酸化カリウム水溶液によるウエットエッチングによってインク流路溝を形成する(図6のS8)。これによって、吐出室6となる凹部11、リザーバ7となる凹部13および電極取り出し部14となる凹部17が形成される(図8(d))。その際、ボロン拡散層101の表面でエッチングストップがかかるので、振動板5の厚さをボロン拡散層101の厚みとして高精度に形成することができるとともに、表面荒れを防ぐことができる。
次に、ICP(Inductively Coupled Plasma)ドライエッチングにより、凹部17の底部を除去して電極取り出し部14を開口し、さらに個別電極8の端子部8a上のSiO2膜をICPドライエッチングにより除去して端子部8aを露出させた後(図8(e))、静電アクチュエータの内部に付着している水分を除去する(図6のS9)。水分除去はこのシリコン基板を例えば真空チャンバ内に入れ、窒素雰囲気にして行う。そして、所要時間経過後、窒素雰囲気下でギャップ開放端部にエポキシ樹脂等の封止材16を塗布して気密に封止する(図6のS10、図8(f))。このように静電アクチュエータ内部(ギャップ内)の付着水分を除去した後、気密封止することによって、静電アクチュエータの駆動耐久性を向上させることができる。
また、マイクロブラスト加工等により凹部13の底部を貫通させてインク供給孔22を形成する。さらに、インク流路溝の腐食を防止するため、このシリコン基板の表面にプラズマCVDによりTEOS膜からなるインク保護膜(図示せず)を形成する。また、シリコン基板上に金属からなる共通電極15を形成する。
以上の工程を経て第2の基板2に接合されたシリコン基板100から第1の基板(キャビティ基板)1が作製される。
また、マイクロブラスト加工等により凹部13の底部を貫通させてインク供給孔22を形成する。さらに、インク流路溝の腐食を防止するため、このシリコン基板の表面にプラズマCVDによりTEOS膜からなるインク保護膜(図示せず)を形成する。また、シリコン基板上に金属からなる共通電極15を形成する。
以上の工程を経て第2の基板2に接合されたシリコン基板100から第1の基板(キャビティ基板)1が作製される。
(3)第3の基板3の接合
その後、この第1の基板1の表面上に、予めノズル孔4等が形成された第3の基板(ノズル基板)3を接着により接合する(図6のS11、図8(g))。そして最後に、ダイシングにより個々のヘッドチップに切断すれば、上述したインクジェットヘッド10の本体部が完成する(図6のS12)。
その後、この第1の基板1の表面上に、予めノズル孔4等が形成された第3の基板(ノズル基板)3を接着により接合する(図6のS11、図8(g))。そして最後に、ダイシングにより個々のヘッドチップに切断すれば、上述したインクジェットヘッド10の本体部が完成する(図6のS12)。
本実施の形態のインクジェットヘッド10の製造方法によれば、シャワー型プラズマCVD装置50を使用してシランガスを原料ガスとして用いたプラズマCVD法によりシリコン酸化膜の絶縁膜9を個別電極8上に形成するため、個別電極8表面のプラズマダメージを減少させることができる。そのため、駆動安定性および駆動耐久性に優れた静電アクチュエータ部12を備えたインクジェットヘッドを安価に製造することができる。
実施の形態2.
図10は本発明の実施の形態2に係るインクジェットヘッド10の概略断面図、図11は図10のB部の拡大断面図、図12は図10のb−b拡大断面図である。
本実施の形態における静電アクチュエータ部12は、実施の形態1の場合とは反対に、振動板5側の対向面、すなわち第1の基板1の第2の基板2と接合する側の対向面全面に、前述したとおりのシランガスを原料ガスとして用いたプラズマCVD法によりSiO2膜の絶縁膜9を形成する構成である。
このように、SiO2膜の絶縁膜9は少なくとも振動板5または個別電極8のいずれか一方の対向面に形成されていればよい。もちろん振動板5と個別電極8の両方に形成してもよい。膜厚については、SiO2膜の膜厚は150nmとし、ギャップGの距離は200nmとしている。個別電極8は100nmの厚さである。その他の構成は実施の形態1と同様であるので、対応部分には同一符号を付して説明は省略する。
図10は本発明の実施の形態2に係るインクジェットヘッド10の概略断面図、図11は図10のB部の拡大断面図、図12は図10のb−b拡大断面図である。
本実施の形態における静電アクチュエータ部12は、実施の形態1の場合とは反対に、振動板5側の対向面、すなわち第1の基板1の第2の基板2と接合する側の対向面全面に、前述したとおりのシランガスを原料ガスとして用いたプラズマCVD法によりSiO2膜の絶縁膜9を形成する構成である。
このように、SiO2膜の絶縁膜9は少なくとも振動板5または個別電極8のいずれか一方の対向面に形成されていればよい。もちろん振動板5と個別電極8の両方に形成してもよい。膜厚については、SiO2膜の膜厚は150nmとし、ギャップGの距離は200nmとしている。個別電極8は100nmの厚さである。その他の構成は実施の形態1と同様であるので、対応部分には同一符号を付して説明は省略する。
本実施の形態のインクジェットヘッド10の製造方法は下記の点以外は基本的に実施の形態1と同様である。すなわち、図8(a)において、シリコン基板100のボロン拡散層101の下面全体に、シャワー型プラズマCVD装置50を使用してシランガスを原料ガスとして用いたプラズマCVD法によりSiO2膜の絶縁膜9を形成し、このシリコン基板100を図7(a)のように個別電極8が形成されたガラス基板200上に陽極接合する。その後は図8(b)〜(g)の工程を経てインクジェットヘッド10を作製すればよい。
本実施の形態の製造方法によれば、実施の形態1と同様の効果を有するインクジェットヘッド10が得られることに加えて、シリコン基板100の接合面全体にSiO2膜の絶縁膜9を形成するので、絶縁膜9に対するパターニング工程が不要になり、製造工程を簡略化できるという利点がある。
実施の形態3.
図13は本発明の実施の形態3に係るインクジェットヘッド10の概略断面図、図14は図13のC部の拡大断面図、図15は図13のc−c拡大断面図である。
本実施の形態における静電アクチュエータ部12は、第1の基板1の第2の基板2と接合する側の対向面全面にシリコン熱酸化膜(熱酸化SiO2)からなる絶縁膜(第2の絶縁膜)17を形成し、個別電極8側の対向面には実施の形態1と同様にSiO2膜の絶縁膜9を形成する構成である。すなわち、絶縁膜の構成を、振動板5側はシリコン熱酸化膜とし、個別電極8側は前述のようにシランガスを原料ガスとして用いたプラズマCVD法により形成したSiO2膜の絶縁膜(第1の絶縁膜)9とする組み合わせである。膜厚については、絶縁膜9を30nm、シリコン熱酸化膜の絶縁膜17を80nmとし、ギャップ長Gは200nmとしている。個別電極8は100nmの厚さである。その他の構成は実施の形態1と同様であるので、対応部分には同一符号を付して説明は省略する。
図13は本発明の実施の形態3に係るインクジェットヘッド10の概略断面図、図14は図13のC部の拡大断面図、図15は図13のc−c拡大断面図である。
本実施の形態における静電アクチュエータ部12は、第1の基板1の第2の基板2と接合する側の対向面全面にシリコン熱酸化膜(熱酸化SiO2)からなる絶縁膜(第2の絶縁膜)17を形成し、個別電極8側の対向面には実施の形態1と同様にSiO2膜の絶縁膜9を形成する構成である。すなわち、絶縁膜の構成を、振動板5側はシリコン熱酸化膜とし、個別電極8側は前述のようにシランガスを原料ガスとして用いたプラズマCVD法により形成したSiO2膜の絶縁膜(第1の絶縁膜)9とする組み合わせである。膜厚については、絶縁膜9を30nm、シリコン熱酸化膜の絶縁膜17を80nmとし、ギャップ長Gは200nmとしている。個別電極8は100nmの厚さである。その他の構成は実施の形態1と同様であるので、対応部分には同一符号を付して説明は省略する。
本実施の形態のインクジェットヘッド10の製造方法では、図8(a)において、基板全面にシリコン熱酸化膜の絶縁膜17を形成したシリコン基板100を使用すればよく、その後は実施の形態1と同様に図8(b)〜(g)の工程を経てインクジェットヘッド10を作製することができる。
本実施の形態の製造方法によれば、実施の形態1と同様の効果を有するインクジェットヘッド10が得られることに加えて、振動板5側に膜の特性が優れたシリコン熱酸化膜を形成するため、個別電極8側の絶縁膜9を薄くしてもよいという利点がある。
実施の形態4.
図16は本発明の実施の形態4に係るインクジェットヘッド10の概略断面図、図17は図16のD部の拡大断面図である。
本実施の形態では、振動板5側の第2の絶縁膜17を多層構造の絶縁膜とする構成である。個別電極8側は実施の形態1と同様にSiO2膜の絶縁膜9とするものである。多層構造の絶縁膜としては、例えば、アルミナに代表される、いわゆるHigh−K材と呼ばれる酸化シリコンよりも比誘電率の高い誘電材料を絶縁膜として用いる。しかしこの場合、アルミナ等のHigh−K材は、シリコン酸化膜と異なり、絶縁膜表面の親水化が困難であり、陽極接合の接合強度が低下するなどの問題がある。
そこで、本実施の形態における静電アクチュエータ部12は、第1の基板1の第2の基板2と接合する側の対向面全面にHigh−K材からなる絶縁膜としてアルミナ誘電体層17bを形成し、更にその上に親水化が容易で陽極接合が容易なSiO2膜17aを形成する構成である。すなわち、High−K材を用いる場合、下層部はHigh−K材の誘電体層、表層部はSiO2膜とする。このSiO2膜17aは、前述のようにシランガスを原料ガスとして用い、かつプラズマダメージを少なくするプラズマCVD法により形成する。膜厚については、アルミナ誘電体層17bを60nm、SiO2膜17aを30nm、絶縁膜9を30nmとし、ギャップ長Gは200nmとしている。個別電極8は100nmの厚さである。その他の構成は実施の形態1と同様であるので、対応部分には同一符号を付して説明は省略する。
図16は本発明の実施の形態4に係るインクジェットヘッド10の概略断面図、図17は図16のD部の拡大断面図である。
本実施の形態では、振動板5側の第2の絶縁膜17を多層構造の絶縁膜とする構成である。個別電極8側は実施の形態1と同様にSiO2膜の絶縁膜9とするものである。多層構造の絶縁膜としては、例えば、アルミナに代表される、いわゆるHigh−K材と呼ばれる酸化シリコンよりも比誘電率の高い誘電材料を絶縁膜として用いる。しかしこの場合、アルミナ等のHigh−K材は、シリコン酸化膜と異なり、絶縁膜表面の親水化が困難であり、陽極接合の接合強度が低下するなどの問題がある。
そこで、本実施の形態における静電アクチュエータ部12は、第1の基板1の第2の基板2と接合する側の対向面全面にHigh−K材からなる絶縁膜としてアルミナ誘電体層17bを形成し、更にその上に親水化が容易で陽極接合が容易なSiO2膜17aを形成する構成である。すなわち、High−K材を用いる場合、下層部はHigh−K材の誘電体層、表層部はSiO2膜とする。このSiO2膜17aは、前述のようにシランガスを原料ガスとして用い、かつプラズマダメージを少なくするプラズマCVD法により形成する。膜厚については、アルミナ誘電体層17bを60nm、SiO2膜17aを30nm、絶縁膜9を30nmとし、ギャップ長Gは200nmとしている。個別電極8は100nmの厚さである。その他の構成は実施の形態1と同様であるので、対応部分には同一符号を付して説明は省略する。
また、High−K材としては、上記のアルミナ(Al2O3)のほかに、例えば酸窒化シリコン(SiON)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O3)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiN)、酸窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)、窒化アルミ(AlN)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、ジルコニウムシリケート(ZrSiO)、ハフニウムシリケート(HfSiO)、ジルコニウムアルミネート(ZrAlO)、窒素添加ハフニウムアルミネート(HfAlON)等を挙げることができ、その中でも膜の低温成膜性、膜の均質性、プロセス適応性等を考慮した場合、酸窒化シリコン(SiON)、アルミナ(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O3)、窒化ハフニウムシリケート(HfSiN)、酸窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)を使用することが望ましい。
本実施の形態のインクジェットヘッド10の製造方法では、図8(a)において、シリコン基板100のボロン拡散層101側の下面全面に、スパッタ法によりアルミナ誘電体層17bを形成し、更にその上にプラズマCVD法によりシリコン酸化膜17bを形成したシリコン基板100を使用すればよく、その後は実施の形態1と同様に図8(b)〜(g)の工程を経てインクジェットヘッド10を作製することができる。
このように、本実施の形態では、振動板5側の絶縁膜17がアルミナに代表されるHigh−K材とシリコン酸化膜の多層構造となっているので、静電アクチュエータの駆動特性の向上、駆動耐久性の向上、および第1の基板1と第2の基板2の接合強度の確保が可能となる。したがって、高速駆動、小型高密度化に十分に対応し得るインクジェットヘッドを得ることができる。
なお、個別電極8側についても絶縁膜を多層構造にすることができる。この場合は、個別電極8上にアルミナに代表されるHigh−K材の高誘電体層を形成し、その上にSiO2膜の絶縁膜9を形成する。また、上述の絶縁膜の多層構造は、振動板5または個別電極8のいずれか一方の対向面に設ければ十分である。
上記の実施の形態では、静電アクチュエータおよびインクジェットヘッド、ならびにこれらの製造方法について述べたが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の思想の範囲内で種々変更することができる。例えば、本発明の静電アクチュエータは、光スイッチやミラーデバイス、マイクロポンプ、レーザプリンタのレーザ操作ミラーの駆動部などにも利用することができる。また、ノズル孔より吐出される液状材料を変更することにより、インクジェットプリンタのほか、液晶ディスプレイのカラーフィルタの製造、有機EL表示装置の発光部分の形成、遺伝子検査等に用いられる生体分子溶液のマイクロアレイの製造など様々な用途の液滴吐出装置として利用することができる。
例えば、図18は本発明のインクジェットヘッドを備えるインクジェットプリンタの概要を示すものである。
このインクジェットプリンタ500は、記録紙501を副走査方向Yに向けて搬送するプラテン502と、このプラテン502にインクノズル面が対峙しているインクジェットヘッド10と、このインクジェットヘッド10を主走査方向Xに向けて往復移動させるためのキャリッジ503と、インクジェットヘッド10の各インクノズルにインクを供給するインクタンク504とを有している。
したがって、高解像度、高速駆動のインクジェットプリンタを実現できる。
このインクジェットプリンタ500は、記録紙501を副走査方向Yに向けて搬送するプラテン502と、このプラテン502にインクノズル面が対峙しているインクジェットヘッド10と、このインクジェットヘッド10を主走査方向Xに向けて往復移動させるためのキャリッジ503と、インクジェットヘッド10の各インクノズルにインクを供給するインクタンク504とを有している。
したがって、高解像度、高速駆動のインクジェットプリンタを実現できる。
1 第1の基板、2 第2の基板、3 第3の基板、4 ノズル孔、5 振動板(可動電極)、6 吐出室、7 リザーバ、8 個別電極(固定電極)、9 絶縁膜、10 インクジェットヘッド、11 凹部、12 静電アクチュエータ部、13 凹部、14 電極取り出し部、15 共通電極、16 封止材、17 第2の絶縁膜、17a SiO2膜、17b アルミナ誘電体層、20 駆動制御回路(駆動手段)、21 凹部、22 インク供給孔、50 シャワー型プラズマCVD装置、51 プラズマ発生部、52 反応部、53 反応ガス導入部、100 シリコン基板、200 ガラス基板。
Claims (7)
- 可動電極を有する第1の基板と、前記可動電極に対向配置される固定電極を有する第2の基板とを備え、前記可動電極あるいは前記固定電極の少なくとも一方の対向面に絶縁膜を形成後、前記第1の基板と前記第2の基板とを接合して形成される静電アクチュエータの製造方法において、
前記絶縁膜として、シランガスを原料ガスとして用い、酸素プラズマ発生部と、酸素プラズマとシランガスとが反応する反応部とを分離した構成のプラズマCVD法を用いて、シリコン酸化膜を形成することを特徴とする静電アクチュエータの製造方法。 - 前記プラズマCVD法は、前記酸素プラズマ発生部と、前記反応部とを反応ガス導入部を介して分離した構成のシャワー型プラズマCVD装置を使用することを特徴とする請求項1記載の静電アクチュエータの製造方法。
- 前記絶縁膜が多層構造で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の静電アクチュエータの製造方法。
- 前記多層構造の絶縁膜は、下層部に酸化シリコンよりも比誘電率の高い誘電体層が、表層部に前記シリコン酸化膜が形成されていることを特徴とする請求項3記載の静電アクチュエータの製造方法。
- 前記可動電極と前記固定電極との間に形成されるギャップ内の水分を除去する水分除去工程を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電アクチュエータの製造方法。
- 前記水分除去工程後、前記ギャップの開放端部を窒素雰囲気下で気密封止を行うことを特徴とする請求項5記載の静電アクチュエータの製造方法。
- 液滴を吐出する単一または複数のノズル孔を有する第3の基板と、前記第3の基板との間で、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室となる凹部が形成された第1の基板と、前記吐出室の底部にて構成される振動板に所定のギャップを介して対向配置される個別電極が形成された第2の基板とを備えた液滴吐出ヘッドの製造方法において、請求項1乃至6のいずれかに記載の静電アクチュエータの製造方法を有することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
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