JP2008109983A - 空気除菌装置 - Google Patents

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徹 荒川
Yoichi Uchida
陽一 内田
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宏明 薄井
Nobuhiro Ogura
信博 小倉
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Abstract

【課題】送風ファンから送風される空気を気液接触部材に略均一に吹き付けることにより、この気液接触部材の除菌能力を十分に発揮できる空気除菌装置を提供すること。
【解決手段】筐体11内に立設された気液接触部材53と、この気液接触部材53に供給される電解水を生成する電解水生成ユニットと、気液接触部材53の下方に配置され、当該気液接触部材53に空気を送風する送風ファンとを備え、筐体11内に送風ファンから上方に向けて吹き出された空気を気液接触部材53に導く風路としての空間1Aを形成し、この空間1Aには、気液接触部材53の上部における通風量を抑制する分流部材82を配置した。
【選択図】図7

Description

本発明は、細菌、ウィルス、真菌等の空中浮遊微生物(以下、単に「ウィルス等」という)の除去が可能な空気除菌装置に関する。
従来、電極に電圧を印加することにより水を電気分解して電解水を生成し、この電解水を用いて空気中に浮遊するウィルス等の除去を図った除菌装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この除菌装置は、不織布等からなる加湿エレメントに電解水を供給して、加湿エレメント(気液接触部材)上で空気中のウィルス等を電解水に接触させることにより、ウィルス等を不活化することにより、空気を除菌しようとするものである。
特開2002−181358号公報
ところで、この種の除菌装置では、空気の除菌効率の向上を図るべく、送風ファンから吹き出された空気を気液接触部材に略均一に当てることが望ましい。
しかしながら、従来の構成では、気液接触部材の送風ファンから遠い側の方が近い側に比べて通風量が大きくなる傾向があるため、この気液接触部材における通風量の分布にむらが生じ、当該気液接触部材の除菌能力を十分に発揮できないおそれがあった。
そこで、本発明の目的は、送風ファンから送風される空気を気液接触部材に略均一に吹き付けることにより、この気液接触部材の除菌能力を十分に発揮できる空気除菌装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、筐体内に立設された気液接触部材と、この気液接触部材に供給される電解水を生成する電解水生成ユニットと、前記気液接触部材に空気を送風する送風ファンとを備える空気除菌装置において、前記筐体内に前記送風ファンから吹き出された空気を前記気液接触部材に導く風路を形成し、この風路には、前記気液接触部材の前記送風ファンから遠い側における通風量を抑制する抑制部材を配置したことを特徴とする。
この構成によれば、風路に配置された抑制部材によって、気液接触部材の送風ファンから遠い側における通風量を抑制することにより、この気液接触部材の送風ファンから近い側の通風量が相対的に増加するため、結果として気液接触部材における通風量のむらを抑えることができる。従って、気液接触部材に略均一に空気を吹き付けることができるため、この気液接触部材の除菌の能力を十分に発揮することができる。
また、本発明は、筐体内に立設された気液接触部材と、この気液接触部材に供給される電解水を生成する電解水生成ユニットと、前記気液接触部材の下方に配置され、当該気液接触部材に空気を送風する送風ファンとを備える空気除菌装置において、前記筐体内に前記送風ファンから上方に向けて吹き出された空気を前記気液接触部材に導く風路を形成し、この風路には、前記気液接触部材の上部における通風量を抑制する抑制部材を配置したことを特徴とする。
この構成によれば、風路に配置された抑制部材によって、気液接触部材の上部における通風量を抑制することにより、この気液接触部材の下部の通風量が相対的に増加するため、結果として気液接触部材における通風量のむらを抑えることができる。従って、気液接触部材に略均一に空気を吹き付けることができるため、この気液接触部材の除菌の能力を十分に発揮することができる。
この場合において、前記抑制部材は、前記風路の前記気液接触部材の上部に対向する位置に配置されている構成としても良い。また、前記抑制部材は、前記気液接触部材の上端部に対向する位置に配置された第1分流板と、この第1分流板よりも下方に配置された第2分流板とを備え、これら第1及び第2の分流板は、それぞれ前記気液接触部材に向けて下方に傾斜して配置されている構成としても良い。
本発明によれば、風路に配置された抑制部材によって、気液接触部材の送風ファンから遠い側における通風量を抑制することにより、この気液接触部材の送風ファンから近い側の通風量が相対的に増加するため、結果として気液接触部材における通風量のむらを抑えることができる。従って、気液接触部材に略均一に空気を吹き付けることができるため、この気液接触部材の除菌の能力を十分に発揮することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した実施の形態に係る空気除菌装置1の外観斜視図である。
図1に示すように、空気除菌装置1は縦長に形成された箱形の筐体11を有し、例えば床置き設置される。筐体11には、この筐体11の両側面の下部に吸込グリル12が形成されるとともに、この筐体11の前面の下端部に吸込口15が形成されている。
また、筐体11の上面には吹出口13が形成され、この吹出口13には空気を吹き出す方向を変化させるためのルーバー20が設けられている。このルーバー20は、運転停止時には上記吹出口13を閉塞するように構成されている。
空気除菌装置1は、吸込グリル12及び吸込口15を介して設置室内の空気を吸い込んで除菌し、この除菌された空気を吹出口13から排出することで、室内空気を清浄化させる装置である。
筐体11の上面には、吹出口13の前面側に配置された操作蓋16Aと、この操作蓋16Aに横並びに配置されたタンク用開閉蓋14Aとが形成されている。操作蓋16Aを開くと、空気除菌装置1の各種操作を行う操作パネル16(図2)が露出し、タンク用開閉蓋14Aを開くと、タンク取出口14を介して後述する給水タンク41(図2)を出し入れ可能となっている。
また、筐体11の両側面の上部にはそれぞれ把持部17が形成されている。これら把持部17は筐体11を手持ちする際に手を掛けるための凹部であり、運搬時に空気除菌装置1を一人で持ち上げて移動できるようになっている。
また、筐体11の前面(一側面)には、上下方向に並べられた上側カバー部材18及び下側カバー部材19がそれぞれ着脱自在に配置されており、これら上側カバー部材18及び下側カバー部材19を取り外すと筐体11の内部構成が露出するようになっている。また、下側カバー部材19は、この下側カバー部材19の下端部に、筐体11の背面側に向けて湾曲した円弧部19Aを備え、この円弧部19Aに上記吸込口15が形成されている。
次に、空気除菌装置1の内部構成を説明する。
筐体11には、図2に示すように、この筐体11の内部を上下に仕切る支持板21が設けられ、上側の室22と下側の室23とに区分けされている。この下側の室23には、送風ファン31及びファンモータ32が配置されるとともに、仕切板24を介して、把手部57Aを有する排水タンク57が筐体11の前面側に引き出し可能に収容されている。これら送風ファン31及びファンモータ32と排水タンク57とは横並びに配置されている。
また、送風ファン31と吸込口15との間、すなわち、下側の室23における下側カバー部材19(図1)と対向する位置にプレフィルタ34が着脱自在に配置されている。このプレフィルタ34は、吸込グリル12及び吸込口15を通じて吸い込まれた空気中の塵埃など粒径の大きなものを捕集する第1フィルタ25と、この第1フィルタ25を通過する、例えば粒径10(μm)以上の物を捕集する第2フィルタ26とを備えて構成される。このプレフィルタ34によって空気中に浮遊する花粉や塵埃等が除去され、この除去された空気が送風ファン31を介して上側の室22に供給される。
一方、上側の室22には、送風ファン31及びファンモータ32の上方に電装ボックス39が配置され、この電装ボックス39の上方に気液接触部材53が立設して配置されている。この気液接触部材53と電装ボックス39との間には、気液接触部材53から滴下した水を受ける水受皿42が配置されている。この水受皿42は、深底に形成された貯留部42Aを備え、この貯留部42Aは上記排水タンク57の上方に延在している。電装ボックス39には、空気除菌装置1を制御する制御部(図示略)を構成する各種デバイスが実装された制御基板や、ファンモータ32に電源電圧を供給する電源回路等の各種電装部品が収容されている。
貯留部42Aの上には給水タンク41が配設され、給水タンク41から貯留部42Aに水を供給可能な構成となっている。詳細には、給水タンク41の下端に形成された給水口にはフロートバルブが設けられ、貯留部42Aの水面が給水口よりも下になると、このフロートバルブが開放されることにより、給水タンク41から必要量の水が供給され、貯留部42Aの水位が一定に保たれる仕組みとなっている。
また、貯留部42Aの上には、図3に示すように、気液接触部材53に供給する電解水を生成する電解水生成ユニット45が配置されている。この電解水生成ユニット45は、循環ポンプ44と電解槽46とを備えて構成され、循環ポンプ44は、制御部の制御に従って回転数を変更することにより、循環量を変更可能に動作する。循環ポンプ44の吐出口には、貯留部42Aに貯留された水を汲み上げて気液接触部材53に供給する供給管71が接続され、この供給管71には循環ポンプ44と気液接触部材53との間で分岐する分岐管72を介して電解槽46が接続されている。この電解槽46は、後述するように複数の電極を内蔵し、これら電極間に、制御部から供給される電圧を印加することにより、水を電解して電解水を生成する。電解槽46の上面には、この電解槽46で生成した電解水を排出する排出口46Aが形成され、この排出口46Aには電解水を貯留部42Aに返送する返送管73が接続されている。
また、貯留部42Aの上には、この貯留部42Aの入口部分に当該貯留部42Aに流れ込む水に混入する固形物を捕集するフィルタ部材74が配置されている。このフィルタ部材74は、気液接触部材53から流れ落ちた水に含まれる固形物(不溶物)を除去するものである。また、本構成では、上記返送管73はこのフィルタ部材74の上方に配置され、この返送管73から排出された水はフィルタ部材74を介して水受皿42の貯留部42Aに流入する。このフィルタ部材74によって、水受皿42を介して気液接触部材53と電解水生成ユニット45とを循環される水に含まれる固形物(例えば、電解槽46から排出されたスケール等)が捕集されるため、この固形物が気液接触部材53に流入し、この気液接触部材53の目詰まりの発生が防止される。
また、フィルタ部材74は、上部が開放した状態で水受皿42の貯留部42Aに配置されているため、フィルタ部材74の交換時期を目視で簡単に判断することができる。さらに、このフィルタ部材74を交換する場合、貯留部42Aの入口部分に配置されたフィルタ部材74を手指で取り外して交換すればよいため、工具等を使用することなく、メンテナンスを簡単に行うことができる。
また、本実施形態では水受皿42に貯留された水を適宜排出可能に構成されている。具体的には、貯留部42Aの下部には排水管55(図5(A))が連結されるとともに、この排水管55を開閉させる排水バルブ56(図5(A))が設けられている。そして、排水管55の先端は、上記排水タンク57の上方に延びており、排水バルブ56を開放することにより、水受皿42上の水が排水タンク57に排出される。
気液接触部材53の上部には、この気液接触部材53上に均一に電解水を分散させるための散水ボックス51が組み付けられている。この散水ボックス51は、電解水を一時的に貯留するトレー部材を備え、このトレー部材の側面に複数の散水孔(図示略)が開口し、この散水孔から気液接触部材53に対して電解水を滴下するようになっている。
また、気液接触部材53は、ハニカム構造を持ったフィルタ部材である。詳細には、気液接触部材53は、気体に接触するエレメント部をフレームにより支持する構造を有する。エレメント部は、波板状の波板部材と平板状の平板部材とが積層されて構成され、これら波板部材と平板部材との間に略三角状の多数の開口が形成されている。従って、エレメント部に空気を通過させる際の気体接触面積が広く確保され、電解水滴下が可能で、目詰まりしにくい構造になっている。
また、気液接触部材53の上面には、散水ボックス51から滴下される電解水をエレメント部に効率よく分散させるため、分流シート(図示略)が配設されている。この分流シートは、液体の浸透性を有する繊維材料からなるシート(織物、不織布等)であり、気液接触部材53の厚み方向断面に沿って一または複数設けられる。
ここで、気液接触部材53の各部(フレーム、エレメント部、及び分流シートを含む)には、電解水による劣化が少ない素材、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、PET(ポリエチレン・テレフタレート)樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂(PTFE、PFA、ETFE等)又はセラミックス系材料等の素材が使用され、本構成では、PET樹脂を用いるものとする。
また、気液接触部材53の各部には親水性処理が施され、電解水に対する親和性が高められており、これによって、気液接触部材53の電解水の保水性(湿潤性)が保たれ、後述する活性酸素種(活性酸素物質)と室内空気との接触が長時間持続される。さらに、気液接触部材53には防かび作用を持つ電解水が滴下されるため、気液接触部材53に防かび対策(防かび剤の塗布等)を施さなくても、かびの繁殖等を避けることができる。
次に、空気除菌装置1における空気の流れを説明する。
上述のように、筐体11の下側の室23には送風ファン31が設けられている。この送風ファンの送風口31Aは、図4に示すように、筐体11の背面側部分において上向きに設けられ、支持板21には、送風口31Aに重なる位置において開口が設けられている。この支持板21の開口は、上側の室22の背面側において上下に延びる風路としての空間1Aに連通する。このため、送風ファン31の送風口31Aから吹き出された空気は、図4中に矢印で示すように空間1Aを通り、気液接触部材53の背面に吹き付けられる。
本構成では、空間1Aは、筐体11の背面側に配置される第1導風部材81と、この第1導風部材81に対向配置され、支持板21から水受皿42まで延在する導風板84とを備えて形成されている。また、この空間1Aの下方、すなわち支持板21の開口の縁部には、図5に示すように、この開口(送風ファン31の送風口31A)から吹き出された空気を空間1Aの幅方向(図5中X方向)に広げる一対の風向板85、85が配置されている。
第1導風部材81は、図6に示すように、背面部81Aと、この背面部81Aの両端部からそれぞれ前方に延出した側面部81B、81Cと、上記背面部81Aの上端部から前方に延出した上面部81Dとを備える。この上面部81Dは、上記側面部81B、81Cの上端部とそれぞれ連結されており、上記第1導風部材81は前面部と下面部とを開放して略箱状に形成されている。本構成では、第1導風部材81は、例えばスチロール樹脂などの樹脂材料で形成されている。
この第1導風部材81が形成する空間1Aを介して、送風ファン31から吹き出された空気を気液接触部材53に導く場合、この気液接触部材53の全面に均一にこの空気を吹き付けることが望ましい。しかしながら、気液接触部材53においては、送風ファン31から遠い位置(本構成では気液接触部材53の上部)の方が、近い位置(気液接触部材53の下部)に比べて送風ファン31からの空気が通過しやすいといった傾向があるため、この気液接触部材53の高さ方向における空気分布にむらが生じ、気液接触部材53の除菌能力を十分に発揮できないといった問題がある。本構成では、上記問題を解決するために、上記空間1Aの上方には、図4に示すように、気液接触部材53の上部における通風量を抑制するための分流部材(抑制部材)82が配置されている。この分流部材82は、空間1Aの上方における通風抵抗の増加することにより、気液接触部材53の上部における通風量を抑制するものである。
分流部材82は、図5に示すように、第1導風部材81に取り付けられる支持部材93、94と、これら支持部材93、94間に掛け渡される2枚の第1分流板91、第2分流板92とを備えて構成されている。これら第1分流板91及び第2分流板92は、支持部材93、94に、例えば、ねじ止めや溶接によって連結されている。これら支持部材93、94の上端部93A、94Aは、第1導風部材81の背面部81Aの上方の両角部に形成された止着部81A1、81A2にそれぞれねじ止めされている。また、支持部材93、94の下端部93B、94Bは、第1導風部材81の側面部81B、81Cの前面側に形成された止着部81B1、81C1にそれぞれねじ止めされている。これら各止着部81A1、81A2、81B1及び81C1は、スチロール樹脂の表面に、ねじ孔を有する板金を埋め込んで形成されている。
この構成では、2枚の分流板91、92を有する分流部材82は、支持部材93、94を用いて一体的に形成され、この分流部材82は第1導風部材81の前面側からねじ止めされているため、この分流部材82の取り付けを容易に行うことができる。
また、これら第1分流板91及び第2分流板92は、図7に示すように、高さ方向の位置を違えるとともに、それぞれ気液接触部材53に向けて下方に傾斜して配置されている。この図7では、説明の便宜上、支持部材93、94を省略して記載している。第1分流板91は、気液接触部材53の上端部と略同一の高さに配置され、第2分流板92は、第1分流板91よりも下方で、上記気液接触部材53の上から略1/4の高さに配置されている。これにより、第1分流板91と第1導風部材81の上面部81Dとの間、及び、第1分流板91と第2分流板92との間には、気液接触部材53に導かれる導風路95、96がそれぞれ形成される。
また、第1分流板91及び第2分流板92は、第1導風部材81の背面部81Aから所定の角度αを呈して配置されている。この角度αを大きくする(角度αを90度に近づける)と、通風抵抗を大きくすることができる反面、これら分流板91、92での風切音が大きくなるといった問題が生じる。このため、本実施形態では、実験等に基づいて、この角度αは約60度に設定されている。
このように、本実施形態では、分流部材82は、気液接触部材53の上端部に対向する位置に配置された第1分流板91と、この第1分流板91よりも下方に配置された第2分流板92とを備え、これら第1分流板91及び第2分流板92は、それぞれ気液接触部材53に向けて下方に傾斜して配置されている。このため、これら第1分流板91及び第2分流板92が協働することにより、送風ファン31から吹き出された空気は、図7中の矢印で示すように分流されて各導風路95、96を流れるため、気液接触部材53の上部における通風抵抗が増加する。これによれば、気液接触部材53の上部の通風量が抑制されることにより、相対的にこの気液接触部材53の下部の通風量を増加させることができる。
また、第2分流板92は、その先端部92Aが気液接触部材53に略接触するように、気液接触部材53側に配置されている。また、第1分流板91は、その先端部91Aが上面視で上記第2分流板92の末端部92Bと重なるように、上記空間1Aの奥行方向(図7中Y方向)の略中央に配置されている。このように、第1分流板91と第2分流板とを、上面視で重ねて配置することにより、これら第1分流板91と第2分流板との間を空気がまっすぐ上方に吹きぬけることが防止される。ここで、これら第1分流板91と第2分流板92との重なり部分の長さLは、実験等に基づいて、第2分流板92の幅の約30パーセント程度に設定されている。
一方、気液接触部材53を介して、上記空間1Aと反対側(本実施形態では筐体11の前面側)の空間1Bには、図7に示すように、この気液接触部材53を通過した空気を吹出口13に導く第2導風部材83が配置されている。この第2導風部材83は、上記第1導風部材と同様に、例えばスチロール樹脂などの樹脂材料で形成されており、図6及び図7に示すように、上面部と背面部とを開放して略箱状に形成されている。
この第2導風部材83は、空間1B内の空気を吹出口13に導く機能に加えて、気液接触部材53から空気とともにこの空間1Bに吹き出された水(いわゆる飛び水)を受ける機能を有する。
具体的には、第2導風部材83は、図7に示すように、この第2導風部材83の内側の底面83Aが気液接触部材53に向けて下り勾配に形成されており、この底面83Aの先端部83A1は水受皿42の上方に延在する。また、この底面83Aは、気液接触部材53に対向する第2導風部材83の内側の面83Bに滑らかに接続されている。このため、気液接触部材53から空気とともに空間1Bに吹き出された水滴61は、第2導風部材83の内側の面83Bに衝突した後、図7中に破線矢印で示すように、この内側の面83B及び底面83Aを伝い流れて水受皿42に戻される。従って、送風空気とともに気液接触部材53から吹き出された水が外部に漏れ出ることはなく、例えば、第2導風部材の下方に位置する電装ボックス39(図2)に影響を及ぼすことはない。
また、気液接触部材53を通過した空気は、第2導風部材83の内側の面83Bに導かれて吹出口13の下方に配設された吹出口フィルタ36を通って排気される。この吹出口フィルタ36は、吹出口13から筐体11内部への異物の進入を防止するためのフィルタである。吹出口フィルタ36は、網や織物または不織布等(図示略)を備えており、これらの材料としては、合成樹脂、好ましくは気液接触部材53を構成する材料が好ましい。また、吹出口フィルタ36は、気液接触部材53を通過した空気の通風抵抗を著しく増加させないよう、適度に目の粗いものであることが好ましい。
図8は、電解水の供給の様子を説明する図であり、図8(A)は、空気除菌機構の構成を示す模式図であり、図8(B)は電解槽46の構成を詳細に示す図である。
この図8を参照して、気液接触部材53に対する電解水の供給について説明する。なお、本実施の形態では、給水タンク41に水道水を入れて空気除菌装置1を動作させる場合について説明する。
水道水を入れた給水タンク41が空気除菌装置1にセットされると、上述のように、給水タンク41から水受皿42に水道水が供給され、水受皿42の水位が所定のレベルに達する。水受皿42内の水は循環ポンプ44によって汲み上げられて、その一部が電解槽46に供給される。この電解槽46には、図5Bに示すように、一方が正、他方が負となる対の電極47、48を備え、これら電極47、48間に電圧を印加することにより、電解槽46に流入した水道水が電気分解されて活性酸素種を含む電解水が生成される。ここで、活性酸素種とは、通常の酸素よりも高い酸化活性を持つ酸素と、その関連物質のことであり、スーパーオキシドアニオン、一重項酸素、ヒドロキシルラジカル、或いは過酸化水素といった、いわゆる狭義の活性酸素に、オゾン、次亜ハロゲン酸等といった、いわゆる広義の活性酸素を含めたものとする。
電極47、48は、例えばベースがチタン(Ti)で皮膜層がイリジウム(Ir)、白金(Pt)から構成された電極板であり、この電極47、48に流れる電流値は、電流密度で数mA(ミリアンペア)/cm2(平方センチメートル)〜数十mA/cm2になるように設定され、所定の遊離残留塩素濃度(例えば1mg(ミリグラム)/l(リットル))を発生させる。
詳述すると、上記電極47、48により水道水に通電すると、カソード電極では、
4H++4e-+(4OH-)→2H2+(4OH-
の反応が起こり、アノード電極では、
2H2O→4H++O2+4e-
の反応が起こると同時に、
水に含まれる塩化物イオン(Cl-:水道水に予め添加されているもの)が、
2Cl-→Cl2+2e-
のように反応し、塩素(Cl2)が発生する。さらにこの塩素は水と反応し、
Cl2+H2O→HClO+HCl
次亜塩素酸(HClO)と塩化水素(HCl)が発生する。
アノード電極で発生した次亜塩素酸は広義の活性酸素種に含まれるもので、強力な酸化作用や漂白作用を有する。次亜塩素酸が溶解した水溶液、すなわち空気除菌装置1により生成される電解水は、ウィルス等の不活化、殺菌、有機化合物の分解等、種々の空気清浄効果を発揮する。このように、次亜塩素酸を含む電解水が散水ボックス51から気液接触部材53に滴下されると、送風ファン31により吹き出された空気が気液接触部材53において次亜塩素酸と接触する。これにより、空気中に浮遊するウィルス等が不活化されるとともに、当該空気に含まれる臭気物質が次亜塩素酸と反応して分解され、或いはイオン化して溶解する。従って、空気の除菌及び脱臭がなされ、清浄化された空気が気液接触部材53から排出される。
活性酸素種によるウィルス等の不活化の作用機序として、インフルエンザウィルスの例を挙げる。上述した活性酸素種は、インフルエンザの感染に必須とされるインフルエンザウィルスの表面蛋白(スパイク)を破壊、消失(除去)する作用を有する。この表面蛋白が破壊された場合、インフルエンザウィルスと、インフルエンザウィルスが感染するのに必要な受容体(レセプタ)とが結合しなくなり、感染が阻止される。このため、空気中に浮遊するインフルエンザウィルスは、気液接触部材53において活性酸素種を含む電解水に接触することにより、いわば感染力を失うこととなり、感染が阻止される。
従って、この空気除菌装置1が、例えば幼稚園や小・中・高等学校、介護保険施設、病院等のいわゆる大空間に設置された場合であっても、電解水により清浄化(除菌、脱臭等)された空気を大空間内で広く行き渡らせることが可能になり、大空間での空気除菌及び脱臭を効率よく行うことができる。
また、散水ボックス51から気液接触部材53に滴下された電解水は気液接触部材53を伝って下方に移動し、水受皿42に落ちる。水受皿42に落ちた電解水は再び循環ポンプ44によって汲み上げられ、電解槽46を経て気液接触部材53に供給される。このように、本実施形態における構成では水が循環式となっており、少量の水を有効に利用することで、長時間にわたって効率よく空気の除菌を行える。また、蒸発等により電解水循環部2を循環する水量が減った場合には、給水タンク41内の水が水受皿42に適量供給される。
以上説明したように、本実施形態によれば、筐体11内に立設された気液接触部材53と、この気液接触部材53に供給される電解水を生成する電解水生成ユニット45と、気液接触部材53の下方に配置され、当該気液接触部材53に空気を送風する送風ファン31とを備え、筐体11内に送風ファン31から上方に向けて吹き出された空気を気液接触部材53に導く風路としての空間1Aを形成し、この空間1Aには、気液接触部材53の上部における通風量を抑制する分流部材82を配置したため、この分流部材82によって、気液接触部材53の上部における通風量を抑制することにより、この気液接触部材53の下部の通風量が相対的に増加するため、結果として気液接触部材53における通風量のむらを抑えることができる。従って、気液接触部材53に略均一に空気を吹き付けることができるため、この気液接触部材53の除菌の能力を十分に発揮することができる。
また、本実施形態によれば、分流部材82は、空間1Aにおける気液接触部材53の上部に対向する位置に配置されているため、気液接触部材53の上部における通風量を抑制することにより、この気液接触部材53の下部の通風量が相対的に増加するため、結果として気液接触部材53における通風量のむらを抑えることができる。従って、気液接触部材53に略均一に空気を吹き付けることができるため、この気液接触部材53の除菌の能力を十分に発揮することができる。
また、本実施形態によれば、分流部材82は、気液接触部材53の上端部に対向する位置に配置された第1分流板91と、この第1分流板91よりも下方に配置された第2分流板92とを備え、これら第1分流板91及び第2分流板92は、それぞれ気液接触部材53に向けて下方に傾斜して配置されている。このため、これら第1分流板91及び第2分流板92が協働することにより、送風ファン31から吹き出された空気は分流されて各導風路95、96を流れるため、気液接触部材53の上部における通風抵抗が増加する。これによれば、気液接触部材53の上部の通風量が抑制されることにより、相対的にこの気液接触部材53の下部の通風量を増加させることができる。さらに、本実施形態によれば、第1分流板91と第2分流板92とを、上面視で重ねて配置することにより、これら第1分流板91と第2分流板92との間を空気がまっすぐ上方に吹きぬけることが防止される。
本実施の形態に係る空気除菌装置1は、本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能なのは勿論である。
例えば、活性酸素種としてオゾン(O3)や過酸化水素(H22)を発生させる構成としても良い。この場合、電極として白金タンタル電極を用いると、イオン種が希薄な水であても、電気分解により高効率に安定して活性酸素種を生成できる。
このとき、アノード電極では、
2H2O→4H++O2+4e-
の反応と同時に、
3H2O→O3+6H++6e-
2H2O→O3+4H++4e-
の反応が起こりオゾン(O3)が生成される。またカソード電極では、
4H++4e-+(4OH-)→2H2+(4OH-
2 -+e-+2H+→H22
のように、電極反応により生成したO2 -と溶液中のH+とが結合して、過酸化水素(H22)が生成される。
また、本実施形態では、給水タンク41により水道水を供給する例について説明している。水道水には殺菌を目的として塩素化合物が添加されているため、塩化物イオンが含まれており、この塩化物イオンが反応して次亜塩素酸及び塩酸が生成される。これは水道水を用いた場合に限定されるものではなく、電解槽46に供給された水が、ハロゲン化合物の添加または混入によりハロゲン化物イオンを含む水となっていれば、同様の反応によりハロゲンを含む活性酸素種が生成される。
また、空気除菌装置1において、イオン種が希薄な水(純水、精製水、井戸水、一部の水道水等を含む)を用いた場合も同様の反応を起こさせることが可能である。すなわち、イオン種が希薄な水にハロゲン化合物(食塩等)を添加すれば、同様の反応が起こり、活性酸素種を得ることができる。また、本実施形態では、出し入れ自在な給水タンク41による給水方式としたが、この給水タンク41の代わりに、例えば水道管を接続して、市水を直接導く水配管給水方式としてもよいことは云うまでもない。
本実施の形態に係る空気除菌装置の外観を示す斜視図である。 空気除菌装置の内部構成を示す斜視図である。 気液接触部材と電解水生成ユニットとを示す斜視図である。 空気除菌装置の内部構成を示す右側断面視図である。 送風ファンから送風された空気が流れる空間を示す正面側断面図である。 気液接触部材の前後に形成された空間を構成する部材の分解斜視図である。 図4の部分拡大図である。 電解水の供給の様子を説明する図であり、(A)は空気除菌機構の構成を示す模式図であり、(B)は電解槽の構成を詳細に示す図である。
符号の説明
1 空気除菌装置
1A 空間(風路)
11 筐体
31 送風ファン
44 循環ポンプ
45 電解水生成ユニット
46 電解槽
53 気液接触部材
81 第1導風部材
82 分流部材(抑制部材)
83 第2導風部材
91 第1分流板
92 第2分流板
93 支持部材
94 支持部材

Claims (4)

  1. 筐体内に立設された気液接触部材と、この気液接触部材に供給される電解水を生成する電解水生成ユニットと、前記気液接触部材に空気を送風する送風ファンとを備える空気除菌装置において、
    前記筐体内に前記送風ファンから吹き出された空気を前記気液接触部材に導く風路を形成し、この風路には、前記気液接触部材の前記送風ファンから遠い側における通風量を抑制する抑制部材を配置したことを特徴とする空気除菌装置。
  2. 筐体内に立設された気液接触部材と、この気液接触部材に供給される電解水を生成する電解水生成ユニットと、前記気液接触部材の下方に配置され、当該気液接触部材に空気を送風する送風ファンとを備える空気除菌装置において、
    前記筐体内に前記送風ファンから上方に向けて吹き出された空気を前記気液接触部材に導く風路を形成し、この風路には、前記気液接触部材の上部における通風量を抑制する抑制部材を配置したことを特徴とする空気除菌装置。
  3. 前記抑制部材は、前記風路の前記気液接触部材の上部に対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の空気除菌装置。
  4. 前記抑制部材は、前記気液接触部材の上端部に対向する位置に配置された第1分流板と、この第1分流板よりも下方に配置された第2分流板とを備え、これら第1及び第2の分流板は、それぞれ前記気液接触部材に向けて下方に傾斜して配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の空気除菌装置。
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JP2016191549A (ja) * 2014-07-04 2016-11-10 ダイキン工業株式会社 空気清浄機
CN112057662A (zh) * 2019-06-11 2020-12-11 青岛市第六人民医院 一种预防传染用气体消毒装置

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