JP2008108926A - ウェハ熱処理用治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウェハにおけるスリップの発生を防止するとともに、ウェハ−治具間の密着の発生についても防止することができるウェハ熱処理用治具を提供する。
【解決手段】炭化ケイ素を主成分とするウェハ熱処理用治具である。ウェハ1の周縁部を支持する支持部11を有し、支持部11のうち少なくともウェハ1と接触する領域が、ウェハ中心に向かい高さを減じるよう傾斜してなり、かつ、該領域の表面粗さRaが、0.5μm〜2.0μmである。支持部11は、リング形状または爪形状を呈するものとすることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】炭化ケイ素を主成分とするウェハ熱処理用治具である。ウェハ1の周縁部を支持する支持部11を有し、支持部11のうち少なくともウェハ1と接触する領域が、ウェハ中心に向かい高さを減じるよう傾斜してなり、かつ、該領域の表面粗さRaが、0.5μm〜2.0μmである。支持部11は、リング形状または爪形状を呈するものとすることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明はウェハ熱処理用治具(以下、単に「治具」とも称する)に関し、詳しくは、半導体製造工程において、ウェハの熱処理の際に用いられるウェハ熱処理用治具に関する。
一般に、半導体の製造工程においては、ウェハをウェハ積載ボート等に載置した状態で処理炉内に導入して、ウェハの高温での熱処理が行われる。この際に、高温での熱処理にともなって、ウェハとウェハ積載ボート等との接触部において、ウェハに結晶欠陥(スリップ)が発生する場合があった。
これに対し、例えば、図2に示すように、形状をリング状として、ウェハ1との接触領域を減らした治具(中間部材)20(図中の(a))や、ウェハ1の撓み形状に合わせて傾斜を設けた治具30(図中の(b))などが提案されている。
また、例えば、特許文献1には、高温の酸加熱処理によるスリップの発生を低減するとともに基板裏面における熱酸化膜の成長差に起因する表面段差をなくすことを目的として、厚さを1.5mm以上6.0mm以下とし、半導体シリコン基板と接触する領域の撓み変位量を100μm以下、半導体シリコン基板と接触し保持する治具の外径を半導体シリコン基板の直径の65%以上、治具形状をリング構造または円板構造とし、半導体シリコン基板と接触する面の表面粗さRa値を1.0μm以上100μm以下とした半導体シリコン基板用熱処理治具が開示されている。
特開2006−5274号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、図2(a)に示すリング状の治具20では、治具20と接触しない領域におけるスリップの発生は防止できるものの、撓んだウェハ1が治具20と一点Aにおいて接触し、この接触部Aにおけるスリップの発生については防止することができなかった。また、図2(b)に示す治具30では、ウェハ1の撓みに応じた傾斜を設けることにより治具20における問題は解消されるものの、熱処理によりウェハ1と治具30との間で密着が生じてしまうという問題があった。したがって、ウェハスリップの防止とウェハ−治具間の密着防止とを両立することは困難であり、これらの問題を同時に解決することのできる技術の確立が望まれていた。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、ウェハにおけるスリップの発生を防止するとともに、ウェハ−治具間の密着の発生についても防止することができるウェハ熱処理用治具を提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、下記構成とすることにより上記問題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のウェハ熱処理用治具は、炭化ケイ素を主成分とするウェハ熱処理用治具であって、ウェハの周縁部を支持する支持部を有し、該支持部のうち少なくとも該ウェハと接触する領域が、ウェハ中心に向かい高さを減じるよう傾斜してなり、かつ、該領域の表面粗さRaが、0.5μm〜2.0μmであることを特徴とするものである。
本発明においては、前記支持部が、リング形状を呈するか、または、爪形状を呈するものとすることができる。
本発明によれば、上記構成としたことにより、ウェハにおけるスリップの発生を防止するとともに、ウェハ−治具間の密着の発生についても防止することができるウェハ熱処理用治具を実現することが可能となった。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明のウェハ熱処理用治具は、炭化ケイ素(SiC)を主成分とするものであって、ウェハの周縁部を支持する支持部を有する。
本発明のウェハ熱処理用治具は、炭化ケイ素(SiC)を主成分とするものであって、ウェハの周縁部を支持する支持部を有する。
図1に、本発明の一実施の形態に係るウェハ熱処理用治具の支持部を示す拡大部分断面図を示す。図示するように、本発明の治具10においては、支持部11のうち少なくともウェハ1と接触する領域が、ウェハ1の中心に向かい高さを減じるよう傾斜してなる。これにより、支持部11がウェハ1と一点で接触することを防止して、スリップの発生を防止することができる。この傾斜の角度は、撓んだウェハ1に沿う程度とすればよく、特に制限されないが、例えば、水平方向に対し0.5°〜5°とすることができる。
また、本発明の治具10においては、支持部11のウェハ1と接触する領域の表面粗さRaが、0.5μm〜2.0μmの範囲内である。この表面粗さRaが0.5μm未満であると、高温での熱処理時においてウェハ1と治具10との間で密着が生じてしまう。一方、表面粗さRaが2.0μmを超えると、熱処理にともなって、ウェハ1と治具10との接触部においてスリップが生じてしまう。
本発明においては、支持部11のウェハ1と接触する領域をウェハ1の撓み形状に追従するよう傾斜させるとともに、その表面を上記所定の表面粗さとしたことで、ウェハ1との密着を抑制しながら、ウェハ1のスリップを抑制することのできる治具10を実現したものである。
本発明の治具においては、炭化ケイ素を主成分とし、上記支持部における傾斜形状と表面粗さに係る条件を満足するものであれば、それ以外の点については特に制限されるものではない。その具体的な形状についても、公知の治具と同様にすることができるが、特には、支持部11がリング形状または爪形状を呈することが好ましい。爪形状とする場合には、例えば、円周方向に3,4箇所程度の爪形状部を設ける。これにより、治具とウェハとの接触領域を少なくして、スリップや密着の問題の発生をより効果的に抑制することができる。
本発明の治具は、炭化ケイ素を用いた部材の製造方法として従来公知の方法を用いて製造することができる。具体的には、炭化ケイ素を主成分とする原料粉末を焼結して得られた炭化ケイ素焼結体を加工、研磨する方法や、原料粉末を溶媒中に溶解してスラリーとし、型を用いて目的形状に成形した後、仮焼して金属ケイ素(シリコン)を溶融含浸させる方法等を用いることができる。
このうち炭化ケイ素焼結体の製造方法について、以下に説明する。
(炭化ケイ素焼結体)
炭化ケイ素焼結体の原料として用いられる炭化ケイ素粉末としては、α型、β型、非晶質あるいはこれらの混合物等が挙げられるが、特に、焼結体の熱膨張率の点から、β型炭化ケイ素粉末が好適である。このβ型炭化ケイ素粉末のグレードには特に制限はなく、一般に市販されているβ型炭化ケイ素粉末を適宜用いることができる。炭化ケイ素粉末の粒径は、高密度化の観点からは小さいことが好ましく、通常0.01〜10μm程度、特には0.05〜5μm程度が好適である。粒径が0.01μm未満であると、計量、混合などの処理工程における取扱いが困難となり、一方、5μmを超えると比表面積が小さくなり、すなわち隣接する粉体との接触面積が小さくなって、高密度化が困難となるため、いずれも好ましくない。
(炭化ケイ素焼結体)
炭化ケイ素焼結体の原料として用いられる炭化ケイ素粉末としては、α型、β型、非晶質あるいはこれらの混合物等が挙げられるが、特に、焼結体の熱膨張率の点から、β型炭化ケイ素粉末が好適である。このβ型炭化ケイ素粉末のグレードには特に制限はなく、一般に市販されているβ型炭化ケイ素粉末を適宜用いることができる。炭化ケイ素粉末の粒径は、高密度化の観点からは小さいことが好ましく、通常0.01〜10μm程度、特には0.05〜5μm程度が好適である。粒径が0.01μm未満であると、計量、混合などの処理工程における取扱いが困難となり、一方、5μmを超えると比表面積が小さくなり、すなわち隣接する粉体との接触面積が小さくなって、高密度化が困難となるため、いずれも好ましくない。
特に好適に用いることができる炭化ケイ素粉末は、粒径1〜2μm、比表面積5m2/g以上、遊離炭素1%以下、酸素含有量1%以下のものである。また、その粒度分布については特に制限されず、炭化ケイ素焼結体の製造時において、粉体の充填密度を向上させること、および、炭化ケイ素の反応性の観点から、2つ以上の極大値を有するものも使用し得る。
本発明の治具は半導体製造装置用途に使用されるものであるため、その素材となる炭化ケイ素焼結体は高純度であることが好ましい。したがって、高純度の炭化ケイ素焼結体を得るために、原料の炭化ケイ素粉末についても高純度の炭化ケイ素粉体を用いることが好ましい。
高純度の炭化ケイ素粉末は、例えば、少なくとも1種以上のケイ素化合物を含むケイ素源と、少なくとも1種以上の加熱により炭素を生成する有機化合物を含む炭素源と、重合または架橋触媒とを均質に混合して得られた固形物を、非酸化性雰囲気下で焼成する焼成工程を含む製造方法により得ることができる。
炭化ケイ素焼結体を製造するにあたっては、原料となる炭化ケイ素粉末とともに、非金属系焼結助剤を均質に混合する。その混合に際しては、フェノール樹脂等の非金属系焼結助剤をエチルアルコールなどの溶媒に溶解し、炭化ケイ素粉末と十分に混合する。混合は、公知の混合手段、例えば、ミキサー、遊星ボールミルなどによって行うことができる。混合は、10〜30時間、特には16〜24時間にわたって行うことが好ましい。十分に混合した後は、溶媒の物性に適合する温度、例えば、先に挙げたエチルアルコールの場合には50〜60℃の温度で、溶媒を除去し、混合物を蒸発乾固させたのち、篩にかけて混合物の原料粉末を得る。なお、高純度化の観点からは、ボールミル容器やボール等の混合手段の材質を、金属をなるべく含まない合成樹脂とする必要がある。また、乾燥にあたっては、スプレードライヤーなどの造粒装置を用いてもよい。
この混合物の原料粉末の焼結工程は、温度2000〜2400℃、圧力29.4〜68.6MPa(300〜700kgf/cm2)、非酸化性雰囲気下で成形金型中に配置して、ホットプレスすることにより行うことができる。なお、焼結を行う前に、後述するようにこの原料粉末を成形して、成形体とすることもできる。
焼結工程に使用する成形金型としては、得られる焼結体の純度の観点から、成形体と金型の金属部とが直接接触しないように、型の一部または全部に黒鉛製等の材料を使用するか、金型内に高純度カーボンシート等を介在させることが好ましい。
ホットプレスの圧力は、29.4〜68.6MPa(300〜700kgf/cm2)とすることができるが、特に、39.2MPa(400kgf/cm2)以上に加圧する場合には、使用するホットプレス部品、例えば、ダイス、パンチ等として、耐圧性の良好なものを選択する必要がある。
次に、炭化ケイ素成形体の製造方法について、以下に説明する。
(炭化ケイ素成形体)
炭化ケイ素成形体を製造するにあたっては、まず、原料となる炭化ケイ素粉末と、炭素源と、所望により有機バインダーや消泡剤等とを溶媒中に溶解または分散することによりスラリー状の混合粉体を製造する。このスラリー状の混合粉体を、溶解、分散時に十分に攪拌混合することにより、成形後に得られるグリーン体中に、均一に気孔を分散させることができる。
(炭化ケイ素成形体)
炭化ケイ素成形体を製造するにあたっては、まず、原料となる炭化ケイ素粉末と、炭素源と、所望により有機バインダーや消泡剤等とを溶媒中に溶解または分散することによりスラリー状の混合粉体を製造する。このスラリー状の混合粉体を、溶解、分散時に十分に攪拌混合することにより、成形後に得られるグリーン体中に、均一に気孔を分散させることができる。
原料として用いる炭化ケイ素粉末および炭素源等については、原則として前述の炭化ケイ素焼結体の場合と同様のものを用いることができる。
上記により得られる炭化ケイ素素材の加工方法としては、素材からの部材の切り出しについては、ワイヤー放電加工機やダイヤモンドブレードのカッターによる直線切り出し、ワイヤー放電加工機による曲線切り出しが挙げられる。穴あけには、型彫放電加工機やダイヤモンド砥石研削加工機による丸穴開け、研削加工機や型彫放電加工機による底付穴・段付穴開け、ワイヤー放電加工機や型彫放電加工機による異形穴開け、型彫放電加工機やダイヤモンドタップ機によるネジ穴加工、円筒研削盤やダイヤモンド電着チップ使用旋盤によるオスネジ加工、ダイヤモンド砥石平面研削盤やラップ盤による平面加工、型彫放電加工機や形状研削盤による溝付け加工等が挙げられる。
放電加工機、例えば、型彫放電加工機、ワイヤー放電加工機等としては、一般の金属加工用放電加工機が使用できるが、電源が高出力であるほうが加工が行い易く、加工時間も短縮できる。電源回路は安定回路内蔵型、瞬間最大加工電流50アンペア以上、最大ワイヤー送り速度15m/min.以上、使用ワイヤー径0.25mm程度の黄銅ワイヤー使用を目安とすることができる。また、吹き付け型ではなく、加工液浸漬型とする。
また、素材を所望の治具形状にするための加工は、部品の切り出し、穴あけ、ネジたて、ボルト、ナットなどの固定具の製造および鏡面加工など、公知の機械加工の手順で行うことができる。
上記の加工により治具の外形を所定形状に形成した後、支持部11のウェハ1との接触領域を本発明に係る上記所定の表面粗さにするために、ブラスト加工等による表面処理を行う。高温熱処理用治具に用いられる従来の耐熱性セラミックス材料においては、形状を保持したまま表面粗さRaを0.5μm〜2.0μmに制御することが困難であったが、上記方法により得られる炭化ケイ素素材は、加工時における形状安定性および高温安定性に優れ、ブラスト加工等により表面粗さRaを上記範囲に制御しても、形状のくずれが少ないという特性を有する。これにより、得られる治具において、スリップ特性を保持しつつ、ウェハとの密着を抑制することが可能となり、結果として、半導体製造工程において、製品の付加価値を高めることができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(比較例1)
図1に示すように、ウェハの周縁部を支持する支持部のうち少なくともウェハと接触する領域を、ウェハ中心に向かい高さを減じるよう傾斜させたリング形状のウェハ熱処理用治具を、炭化ケイ素素材((株)ブリヂストン製 ピュアベータ)を用いて作製した。ウェハと接触する領域の表面粗さRaは0.5μm未満に調整した。
(比較例1)
図1に示すように、ウェハの周縁部を支持する支持部のうち少なくともウェハと接触する領域を、ウェハ中心に向かい高さを減じるよう傾斜させたリング形状のウェハ熱処理用治具を、炭化ケイ素素材((株)ブリヂストン製 ピュアベータ)を用いて作製した。ウェハと接触する領域の表面粗さRaは0.5μm未満に調整した。
この治具にウェハを載置し、1300〜1350℃の高温下にて熱処理を行ったところ、ウェハ−治具間の接触部において密着現象が見られた。
(比較例2)
ウェハと接触する領域の表面粗さRaを2.0μmを超えるよう調整した以外は比較例1と同様にして、ウェハ熱処理用治具を作製した。
ウェハと接触する領域の表面粗さRaを2.0μmを超えるよう調整した以外は比較例1と同様にして、ウェハ熱処理用治具を作製した。
この治具にウェハを載置し、同様に1300〜1350℃の高温下にて熱処理を行ったところ、ウェハ−治具間の接触部近傍において多数のスリップ現象が確認された。その後、治具のウェハと接触する領域における平面度を計測したところ、0.1mmを超える値であることが確認され、平面度の悪化がスリップ現象を引き起こしていることが推測された。
(実施例)
ウェハと接触する領域の表面粗さRaを1.0μmに調整した以外は比較例1と同様にして、ウェハ熱処理用治具を作製した。
ウェハと接触する領域の表面粗さRaを1.0μmに調整した以外は比較例1と同様にして、ウェハ熱処理用治具を作製した。
この治具にウェハを載置し、1300〜1350℃の高温下にて熱処理を行ったところ、スリップ現象も密着現象も確認されず、問題なくウェハの熱処理を行うことができた。
1 ウェハ
10 ウェハ熱処理用治具
11 支持部
10 ウェハ熱処理用治具
11 支持部
Claims (3)
- 炭化ケイ素を主成分とするウェハ熱処理用治具であって、ウェハの周縁部を支持する支持部を有し、該支持部のうち少なくとも該ウェハと接触する領域が、ウェハ中心に向かい高さを減じるよう傾斜してなり、かつ、該領域の表面粗さRaが、0.5μm〜2.0μmであることを特徴とするウェハ熱処理用治具。
- 前記支持部がリング形状を呈する請求項1記載のウェハ熱処理用治具。
- 前記支持部が爪形状を呈する請求項1記載のウェハ熱処理用治具。
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JP2006290705A JP2008108926A (ja) | 2006-10-26 | 2006-10-26 | ウェハ熱処理用治具 |
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- 2006-10-26 JP JP2006290705A patent/JP2008108926A/ja active Pending
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