JP2008105994A - 油性ゲル化剤、ゲル組成物及びこれを含む化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(1)のシリコーン化多糖化合物と、ポリエーテル変性シリコーンとからなる油性ゲル化剤。
(式中、Gluは多糖化合物の糖残基、Xは2価の結合基、Yは総炭素数2〜8の2価アルキレン基を意味し、R1は炭素数1〜8の1価有機基、R2、R3、R4はそれぞれ炭素数1〜8の1価有機基又は−OSiR5R6R7で示されるシロキシ基を意味する。ただし、R5、R6、R7はそれぞれ炭素数1〜8の1価有機基、aは0、1又は2を意味する。また、多糖化合物の構成糖1単位当たりのシリコーン化合物の平均結合数(置換度)は0.5〜2.5である。)
【選択図】なし
Description
しかしながら、ポリエーテル変性シリコーンは、水の非存在下ではシリコーン系油分の増粘効果は非常に低い。
ポリエーテル変性シリコーンやシリコーン化多糖化合物の増粘効果を高めようとして高配合すれば、べたつきなど使用感に影響を与える。そして、何れも増粘効果はあるものの、流動性のないゲルを形成するには至らない。
すなわち、本発明にかかる油性ゲル化剤は、下記一般式(1)で示されるシリコーン化多糖化合物と、下記一般式(2)で示されるポリエーテル変性シリコーンとからなることを特徴とする。
また、Gluがプルランのグルコース残基であることが好適である。
また、a=0で、R2、R3、R4がメチル基であることが好適である。
また、Yが−(CH2)3−で示される基であることが好適である。
また、本発明の油性ゲル化剤において、シリコーン化多糖化合物とポリエーテル変性シリコーンとの合計量に占めるポリエーテル変性シリコーンの割合が1〜50質量%であることが好適である。
本発明にかかるゲル組成物は、前記何れかに記載の油性ゲル化剤と、液状油分とを含むことを特徴とする。
本発明のゲル組成物において、液状油分が低粘度シリコーン油及び/又は軽質イソパラフィンとを含むことが好適である。
また、本発明にかかる化粧料は、前記何れかに記載のゲル組成物を含むことを特徴とする。
一般式(1)において、Gluは多糖化合物の糖残基を表すが、このような多糖化合物としては、公知の各種多糖化合物を用いることができ、例えば、セルロース、ヘミセルロース、アラビアガム、トラガントガム、タマリンドガム、ペクチン、デンプン、マンナン、グアーガム、ローカストビーンガム、クインスシードガム、アルギン酸、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸の他、これら多糖化合物の誘導体、例えば、カルボキシメチル化、硫酸化、リン酸化、メチル化、エチル化、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの付加、アシル化、カチオン化、低分子量化等を行った多糖化合物誘導体が挙げられる。これらの内、好ましくはエチルセルロース又はプルランであり、特に好ましくはプルランである。なお、本発明において多糖化合物の平均分子量は多糖化合物の種類により異なるが、通常約1,000〜5,000,000が好ましい。
なお、このようなシリコーン化合物と多糖化合物との反応には、従来より公知の方法、例えば特開平8−134103号公報に記載の方法を用いることができる。
一般式(4):
なお、本発明において、シリコーン化多糖化合物の置換度は多糖化合物の構成糖1単位当たりのシリコーン化合物の平均結合数を意味する。例えば、上記シリコーン化プルランの置換度は、下記一般式(5)で示されるプルランの基本単位についた置換基−CONH(CH2)3Si[OSi(CH3)3]の平均数を指す。
一般式(2)において、yは0〜50の整数であり、好ましくは5〜50である。zは5〜50の整数である。yまたはzが小さすぎるとシリコーン化多糖化合物と併用してもゲル化能が十分に発揮されないことがある。また、yまたはzが大きすぎる場合には、べとつき感を生じることがある。
ポリオキシアルキレン基の含有量は特に限定されないが、ポリオキシアルキレン基の含有量は20〜70質量%(ただし、20質量%は含まない)であることが望ましい。
mは50〜2000、好ましくは50〜1000の整数であり、nは1〜100、好ましくは1〜40の整数である。mやnが小さすぎると効果が十分に発揮されないことがあり、大きすぎるとべとつき感を生じることがある。
本発明のゲル化剤におけるポリエーテル変性シリコーンとシリコーン化多糖化合物との合計量に占めるポリエーテル変性シリコーンの割合(ポリエーテル変性シリコーン比率)は特に限定されず、0.5〜99.5質量%の広い範囲で変化させることができるが、使用性などの点で好ましくは1〜50質量%である。さらに、化粧料においては曳糸性のないゲルが好まれることが多く、この場合には1〜35質量%、さらには2〜30質量%であることが好ましい。また、粘度の高いゲルを得る場合には、ポリエーテル変性シリコーン比率が3質量%以上、さらには5質量%以上が好適である。
低粘度シリコーン油としては、粘度が100mm2/s(25℃)以下の直鎖状ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが挙げられるが、なかでも、ケイ素数2〜7の直鎖状ジメチルポリシロキサン、ケイ素数3〜7の環状ジメチルポリシロキサンが好適に使用できる。
なお、本発明のゲル組成物においては、上記以外の油分も全体として液状油分(25℃で液状)となり、且つ本発明の効果に特に支障のない範囲で配合することができる。例えば、シリコーン油、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、天然油脂、ロウ類など、通常化粧料や皮膚外用剤に使用されるものが挙げられる。極性の全くない直鎖炭化水素系油分などはゲル化剤に対して貧溶媒となるので、配合には注意を要する。
本発明のゲル化剤の液状油分中への配合量は、目的に応じて適宜決定すればよく、通常0.1〜50質量%配合可能であるが、3〜30質量%、さらには5〜20質量%が好適である。配合量が少なすぎる場合には十分な効果が発揮されず、多すぎる場合には使用感に影響を及ぼすことがある。
また、剤形としては油性ゲルの他に、O/WやW/O乳化組成物とすることもできる。
化粧料としては、例えば、ローション、乳液、クリーム、美容液などのスキンケア化粧料、ファンデーション、化粧下地、口紅、頬紅、アイシャドウなどのメークアップ化粧料、ボディソープ、洗顔料、メイク落としなどの皮膚洗浄料、シャンプーなどの毛髪洗浄料、リンス、ヘアトリートメント、育毛料などの毛髪化粧料、染毛料、日焼け止め化粧料などが挙げられる。
以下、具体例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合量は特に指定のない限り質量%で示す。なお、本発明で用いた試験方法は、次の通りである。
室温での状態について、傾斜法により、流動性がある状態を液体、流動性のない状態をゲルと判定した。ゲルと判定されたものについては手で触ってその性状を調べた。
(2)粘度
B型回転粘度計(ビスメトロン粘度計 VS−A型(芝浦システム株式会社)、ローターNo.4、回転数0.3rpm(高粘度試料)又は6rpm(低粘度試料))で測定した。
(3)弾性率
ストレス制御型回転式レオメーター(PHYSICA MCR300(Paar Physica社)でクリープ測定を行い、弾性率を算出した。
コーン:直径5cm、角度2°
一定応力を1分間印加し、その後1分間の回復をみる。一定応力については、マックスウェルの4要素モデルにフィットするように設定する(ゲルの硬さが違うので、それぞれのゲルの硬さに合う応力を探した)。
回復したひずみ/印加によるひずみ×100=弾性率(%)とした。
ポリエーテル変性シリコーンのみ、シリコーン化多糖化合物のみ、あるいは両者の混合系について、シリコーン油(デカメチルシクロペンタシロキサン)中の濃度を変えて、その粘度を比較した。用いた材料は次の通り。
一般式(2)において、m=400、n=10、x=3、y=19、z=19、R8=H分子量約55,000のもの。
(ii)シリコーン化プルラン:
一般式(4)において置換度約2.0、分子量約690,000のもの。
(iii)変性シリコーンA+シリコーン化プルラン:
ポリエーテル変性シリコーン:シリコーン化プルラン=5:95(質量比)
これに対して、(iii)の混合系では単独系(i)〜(ii)に比べて著しく粘度が向上し、5%の配合でも4,000mPa・sを超え、10%配合では80,000mPa・s以上にもなり、著しいゲル化能を示した。
このように、ポリエーテル変性シリコーンとシリコーン化多糖化合物との併用により、それぞれを単独に用いた場合に比べて粘度は著しく向上した。
また、弾性率からもわかるように、ゲル化剤中に占めるポリエーテル変性シリコーンの割合が大きくなるに従って、組成物の性状は、液体、やわらかなゲル、硬いゲル、やわらかいゲル、液体という順序で変化した。また、ゲル化剤中に占める変性シリコーンの割合が35質量%以上、特に40質量%の場合になると、ゲルに曳糸性が現れ、やわらかくて伸びのあるゲルとなった。
よって、ポリエーテル変性シリコーン比率によってゲルの性状を調整することが可能である。曳糸性のないゲルを得るには、ゲル化剤中に占めるポリエーテル変性シリコーンの比率が1〜35質量%、さらには、2〜30質量%が好適である。また、ポリエーテル変性シリコーン比率が7質量%以上、さらには10質量%以上では硬くて粘度も非常に高いゲルを得ることができる。
すなわち、図1(a)のように、シリコーン化多糖化合物は親水部である多糖鎖を主鎖とし、これに疎水部であるシリコーン鎖がぶら下がっており、シリコーン油中では、多糖鎖が内側に丸まってシリコーン鎖が外側になるように配向していると考えられる。
一方、図1(b)のように、ポリエーテル変性シリコーン分子は疎水部であるシリコーン鎖を主鎖とし、これに親水部であるポリエーテル鎖がペンダント状にぶら下がっているが、シリコーン油中では、親水部を内側にして逆ミセル様になっていると考えられる。
そして、両者が共存すると、ポリエーテル変性シリコーン比率が大きくなるにつれて、図1(c)のようにシリコーン化多糖化合物の周囲にポリエーテル変性シリコーンが水素結合によりネットワーク構造を形成していき、図1(d)のようにネットワーク構造が完成するに伴い硬いゲルとなる。そして、さらにポリエーテル変性シリコーン比率が大きくなると、ポリエーテル変性シリコーン分子がシリコーン化多糖化合物に比べて過剰に存在するようになり、図1(e)のようにネットワーク構造が崩れて、ポリエーテル変性シリコーン鎖状分子同士の絡み合い中にシリコーン化多糖化合物分子がところどころつなぎのように結合した構造となり、曳糸性が現れるのではないか、と考えられる。
さらに、構造の異なるポリエーテル変性シリコーンを用いて検討を行った。用いたポリエーテル変性シリコーンは、次の通り。
(1)変性シリコーンa:
POE・POP基と、セチル基とで変性された直鎖ジメチルポリシロキサン(ABIL EM 90、独Goldschmit社製、分子量約13,000)。
(2)変性シリコーンb:
POE基のみで変性された分岐鎖ジメチルポリシロキサン(KF−6028、信越化学工業社製、分子量約6,500、POE変性率約19質量%)。
(3)変性シリコーンc:
POE鎖架橋ジメチルポリシロキサン(KSG−210、信越化学工業(株)製、分子量10,000以上)
よって、本発明の効果は、一般式(2)で示される特定のポリエーテル変性シリコーンとシリコーン化多糖化合物との間でのみ特異的に発揮されるものである。
なお、デカメチルシクロペンタシロキサンの代わりに軽質イソパラフィンを用いた場合も同様の結果であった。また、表4に示すように、本発明のゲル化剤は、各種シリコーン油やエステル油を含む油分でもゲルが得られ、シリコーン油で特に効果が高かった。
(表5)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1−1 1−2 1−3
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 残余 残余 残余
(2)ジメチルポリシロキサン(6CS) 2 2 2
(3)メチルフェニルポリシロキサン(20CS) 5 5 5
(4)ポリエーテル変性シリコーン30%溶液* 5 25 −
(5)シリコーン化プルラン30%溶液* 20 − 25
(6)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5 5 5
(7)香料 適量 適量 適量
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
外観 ゲル 液状 液状
使用感 ◎ △ △
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
*デカメチルシクロペンタシロキサン溶液
Claims (9)
- 下記一般式(1)で示されるシリコーン化多糖化合物と、下記一般式(2)で示されるポリエーテル変性シリコーンとからなる油性ゲル化剤。
- 請求項1記載の油性ゲル化剤において、Xが−CONH−基であることを特徴とする油性ゲル化剤。
- 請求項1又は2記載の油性ゲル化剤において、Gluがプルランのグルコース残基であることを特徴とするゲル化剤。
- 請求項1〜3の何れかに記載の油性ゲル化剤において、a=0で、R2、R3、R4がメチル基であることを特徴とする油性ゲル化剤。
- 請求項1〜4の何れかに記載の油性ゲル化剤において、Yが−(CH2)3−で示される基であることを特徴とする油性ゲル化剤。
- 請求項1〜5の何れかに記載の油性ゲル化剤において、シリコーン化多糖化合物とポリエーテル変性シリコーンとの合計量に占めるポリエーテル変性シリコーンの割合が1〜50質量%であることを特徴とする油性ゲル化剤。
- 請求項1〜6の何れかに記載の油性ゲル化剤と、液状油分とを含むことを特徴とするゲル組成物。
- 請求項7記載のゲル組成物において、液状油分が低粘度シリコーン油及び/又は軽質イソパラフィンとを含むことを特徴とするゲル組成物。
- 請求項7又は8記載のゲル組成物を含むことを特徴とする化粧料。
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