JP2008105817A - 車載式クレーンの転倒防止装置 - Google Patents

車載式クレーンの転倒防止装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 荷台3を備えた車載式クレーンのトラック側方並びに前方への転倒を高精度に防止できるようにする。
【解決手段】 反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力Fと、許容接地支持力演算手段19で作業半径Rと実荷重Wに基づき作業半径Rと実荷重Wが大きくなる程大きな値になるよう算出された許容接地支持力Ftとを比較し、接地支持力Fが許容接地支持力Ftになるまで低下したことを検出して側方転倒防止信号を出力する側方転倒防止信号出力手段21と、伸縮ブーム8が前方領域Faへ旋回した時に、実荷重Wとトラック空荷状態で伸縮ブーム8をトラック正面に旋回させた作業状態においてトラックの後輪が浮き上がる限界の前方転倒モーメントから求めた許容前方吊上荷重WFlimとを比較し、実荷重Wが許容前方吊上荷重WFlimに達した時に前方転倒防止信号を出力する前方転倒防止信号出力手段24とで構成した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、荷台を備えたトラックに架装された車載式クレーンが、クレーン作業中にトラック側方あるいは前方に転倒するのを未然に防止する車載式クレーンの転倒防止装置に関するものである。
転倒防止装置が装備される車載式クレーンの構成を、トラックの運転室後方位置に架装され、主として荷台上への荷物の積込み積降し作業に用いられる車載式クレーンを例に説明する。
車載式クレーンAは、図2に示す如くトラック1の運転室2後方位置(運転室2と荷台3間)における車輌フレーム1a上に搭載されており、作業時にジャッキアップしてクレーンを安定支承する左右のジャッキ装置4,4を備えた基台5と、当該基台5上に旋回自在に取付けられ旋回モータ6によって旋回駆動される旋回ポスト7、当該旋回ポスト7の上部に起伏シリンダ9によって起伏駆動自在に取付けられ基端ブーム8-1内に先端側ブーム8-2,8-3・・を順次伸縮自在に嵌挿した伸縮ブーム8、当該伸縮ブーム8内に配設され基端ブーム8-1に対し先端側ブーム8-2,8-3・・を伸縮駆動する伸縮シリンダ10、旋回ポスト7あるいは基端ブーム8-1の基部に取付けられウインチモータ11によって巻上げ巻下げ駆動されるウインチ装置12、当該ウインチ装置12から引出されたワイヤロープ13によって伸縮ブーム先端部8aから昇降自在に吊下げられたフックブロック14とで構成されている。
そして、このように構成した車載式クレーンAは、左右のジャッキ装置4,4をジャッキアップしてクレーンを安定支承した状態で、伸縮ブーム先端部8aに吊下げたフックブロック14に荷物を吊持し、旋回モータ6を駆動して旋回ポスト7を旋回駆動すると共に、起伏シリンダ9を駆動して伸縮ブーム8を起伏駆動、並びに伸縮シリンダ10を駆動して伸縮ブーム8を伸縮駆動することでブーム先端部を任意な位置に移動させ、更にウインチモータ11を駆動してフックブロック14を巻上げ巻下げ駆動することでフックブロック14に吊持した荷物を昇降動させてクレーン作業を行うようになっている。
この種の車載式クレーンAは、伸縮ブーム8に吊下げた荷物の重量(実荷重)がクレーン構造物(旋回ポスト5や伸縮ブーム8等)の機械的強度を上回った場合にはクレーンが損傷し、伸縮ブーム8に生じる転倒方向のモーメント(転倒モーメント)がクレーンを含むトラックの自重によって生じる安定モーメントを上回った場合にはクレーンが転倒する。このため、この種の車載式クレーンは、クレーン構造物の機械的強度に基づく損傷と、クレーンの安定性能に基づく転倒を防止する必要があった。
このため、従来の車載式クレーンには、左右のジャッキ装置4,4のうちいずれか一方(反転倒側)のジャッキ装置4に作用する接地支持力が所定値以下に低下したことを検出してクレーンのトラック側方への転倒を防止する信号を出力する安定限界信号出力手段と、伸縮ブーム8がトラックの前方領域(トラックの前方約180°の領域)に旋回した時に伸縮ブーム8に作用する吊荷の重量(実荷重)がクレーンをトラック前方に転倒させる前方転倒限界荷重に達したことを検出してクレーンのトラック前方への転倒を防止する信号を出力する前方安定限界信号出力手段、伸縮ブーム8がトラックの前方領域以外の領域に旋回した時に伸縮ブーム8に作用する吊荷の重量がクレーン構造物の機械的強度によって決まる強度限界荷重に達したことを検出してクレーンの損傷を防止する信号を出力する強度限界信号出力手段とで構成した安全装置が装備されていた(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−73189号公報
従来の安全装置では、クレーンの転倒をトラック側方への転倒とトラック前方への転倒に分けて、前者の転倒を反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力の低下に基づき検出すると共に、後者の転倒を伸縮ブーム8に作用する吊荷の重量(実荷重)に基づき検出するようになっていた。
これは、前者の接地支持力の低下に基づきクレーンの転倒を検出する方法では、伸縮ブーム8がトラック正面近くに旋回した場合、左右のジャッキ装置に略同じ接地支持力が作用し接地支持力の低下でクレーンの転倒を検出することができなくなるため、これを補う目的で後者の伸縮ブーム8に作用する吊荷の重量に基づきトラック前方への転倒を検出する検出手段が用いられているのである。
そして、従来一般的に用いられていた安全装置では、反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力と比較してトラック側方への転倒を検出する側方転倒用の基準値は、クレーンの作業状態が変化した場合でも値が変化しない一定値に設定されていた。これは、トラックに架装した車載式クレーンでは、一般に荷台3に積載した荷物の重量(積載荷重)がバランスウエイトとして機能し、積載荷重が増える程トラックの安定性が向上してクレーンの吊上能力が大きくなる(より重い吊荷を吊上げ可能になる)が、荷台3の積載荷重を重心位置をも含めて検出することが実際上困難であるため、次善の策(荷台3の積載荷重を検出せずに対応可能な方法)として最も悪い作業条件(ジャッキ装置が最小張出状態で、伸縮ブーム8が最弱旋回位置に旋回した状態)での値(一定値)を基準値として設定したためである。
このため、クレーンの吊上能力に余裕のある作業状態では、反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力が設定された基準値の1/2程度に低下した場合でもクレーンが転倒せずに安全な作業が可能な状態があるにも係らず、一律に接地支持力が基準値になるまで低下すれば転倒検出がなされるため、クレーンの能力を最大限に引出すことができないという問題があった。
また、伸縮ブーム8に作用する吊荷の重量と比較してトラック前方への転倒を検出する前方転倒用の基準値(前方転倒限界荷重)は、制御の簡略化のためクレーンの損傷を防止するために設定されている損傷防止用の強度限界荷重を所定の割合(例えば、25%値)に低減させた概略値が設定されていた。この概略値は、作業の安全を見込んで低めに設定された値であり、このためこの場合もクレーンの能力を最大限に引出すことができないという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなしたものであり、クレーンの転倒を検出するための側方転倒用の基準値と前方転倒用の基準値を、夫々実際のクレーン作業状態に対応した値に設定することにより、精度の高い転倒防止制御を可能にした車載式クレーンの転倒防止装置を提供することを目的としている。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、次の如き構成を有している。
すなわち、本発明の車載式クレーンの転倒防止装置は、荷台を備えたトラックの運転室後方位置に搭載され、左右のジャッキ装置を設置した状態で旋回並びに起伏自在に設けた伸縮ブームに荷物を吊下げてクレーン作業を行うようにした車載式クレーンの転倒防止装置を対象にしている。
そして、本発明の転倒防止装置は、
伸縮ブームの作業半径を算出する作業半径算出手段と、
伸縮ブームの先端部に吊下げた荷物の実荷重を検出する実荷重検出手段と、
左右のジャッキ装置に作用する接地支持力を検出する支持力検出手段と、
伸縮ブームがトラックの前方領域に旋回したことを検出する前方領域検出手段と、
クレーンがトラック側方に転倒する際の反転倒側ジャッキ装置に作用する接地支持力の下限値であって、前記作業半径演算手段が算出した作業半径と前記実荷重検出手段が検出した実荷重に基づき作業半径と実荷重が大きくなる程大きな値に設定された許容接地支持力を算出する許容接地支持力演算手段と、
前記支持力検出手段が検出した反転倒側ジャッキ装置に作用する接地支持力が、前記許容接地支持力演算手段が算出した許容接地支持力になるまで低下したことを検出して側方転倒防止信号を出力する側方転倒防止信号出力手段と、
前記前方領域検出手段が伸縮ブームの前方領域への旋回を検出した時に、前記実荷重検出手段で検出した実荷重が、トラックの荷台に荷物を積載しない空荷状態で伸縮ブームをトラック正面に旋回させたブーム正面作業状態においてトラックの後輪が浮き上がる限界の前方転倒モーメントから求めたそのブーム状態における許容前方吊上荷重に達したことを検出して前方転倒防止信号を出力する前方転倒防止信号出力手段と、
前方領域検出手段が伸縮ブームの前方領域への旋回を検出している時には、両転倒防止信号出力手段が出力する転倒防止信号のうち少なくとも何れか一方の転倒防止信号を受けてクレーンの作動を規制し、それ以外の領域を検出している時には側方転倒防止信号出力手段が出力する転倒防止信号を受けてクレーンの作動を規制する作動規制手段とで構成している。
このように構成した車載式クレーンの転倒防止装置によれば、クレーンの転倒は、従来の安全装置と同様にトラック側方への転倒(側方転倒防止信号出力手段による検出)と、トラック前方への転倒(前方転倒防止信号出力手段による検出)に分けて検出するようになっている。
そして、前者のトラック側方への転倒を検出するための側方転倒防止信号出力手段は、支持力検出手段で検出した反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力と、許容接地支持力演算手段で算出したクレーンがトラック側方に転倒する際の反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力の下限値としての許容接地支持力、すなわち作業半径算出手段で算出した作業半径と実荷重検出手段で検出した吊荷の実荷重に基づき作業半径と実荷重が大きくなる程大きな値になるよう設定した許容接地支持力とを比較し、接地支持力が許容接地支持力になるまで低下した時に側方転倒防止信号を出力するように構成している。
ここで、許容接地支持力の算出方法について説明する。なお、算出方法の説明に先立ち、伸縮ブーム8をトラック側方に旋回させてクレーン作業を行う際の吊上荷重W(実荷重W)と反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力Fとの関係について図3及び図4に基づき説明する。
伸縮ブーム8をトラック側方(クレーンがトラック側方に転倒する際の転倒線となる転倒基線Qに直交する方向)に旋回させた作業状態(図4図示の状態)における反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力Fは、安定モーメントMsと転倒モーメントMgの差分を左右のジャッキ装置4の接地点間距離Hで除した値となるため、
F=(Ms−Mg)/H ・・・・(1)
F:反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力、
Ms:クレーンの自重と荷台3の積載荷重によって生じる安定モーメント、
Mg:吊上荷重Wによって生じる転倒モーメント、
H:左右のジャッキ装置4の接地点間距離(転倒基線Qに直交する方向に換算した水平距離)、
となる。
また、転倒モーメントMgは、伸縮ブーム先端部の転倒基線Qからの突出量に吊上荷重Wを乗じた値であり、この関係を上記(1)式に代入すると、
F=[Ms−W(RcosΘ−L)]/H ・・・・(2)
W:吊上荷重、
R:作業半径(旋回中心からブーム先端までの水平距離)、
Θ:最弱旋回位置からの伸縮ブームの振れ角、
L:旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離、
となる。
ここで、吊上荷重Wがチッピング荷重Wlim(クレーンが転倒に至る限界の吊上荷重)になったと仮定すると、安定モーメントMsと転倒モーメントMgは均衡し、反転倒側ジャッキ装置に作用する接地支持力Flimは0となる。この条件では、上記(2)式は次のようになる。
Flim=[Ms−Wlim(RcosΘ−L)]/H (=0) ・・・・(3)
Flim:チッピング荷重Wlimを吊上げた時の反転倒側ジャッキ装置に作用する接地支持力(=0)、
(3)式において、チッピング荷重Wlimは、安定定格吊上荷重Wtに安全率Nを乗じること(国内法規「クレーン等安全規則」で定められている)で求めることができることから、この安定定格吊上荷重Wtを用いて(3)式を書き直すと、
Flim=[Ms−N・Wt(RcosΘ−L)]/H (=0) ・・・・(4)
N:安全率(1より大)、
Wt:安定定格吊上荷重、
となる。
この状態(反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力Fが0の状態)からN・Wt(チッピング荷重Wlim)をWtに低減させた時の接地支持力Fの変動値は、安定定格吊上荷重Wtを吊上げた時の接地支持力Ft(許容接地支持力に相当)であるため、許容接地支持力Ftは次のようにして求めることができる。
Ft=[Ms−Wt(RcosΘ−L)]/H
=[N・Wt(RcosΘ−L)−Wt(RcosΘ−L)]/H ・・・・(5)
Ft:安定定格吊上荷重Wtを吊上げた時の反転倒側ジャッキ装置に作用する接地支持力(許容接地支持力)、
この(5)式から、許容接地支持力Ftは、安定定格吊上荷重Wtとこの安定定格吊上荷重Wtに安全率Nを乗じて得られるチッピング荷重Wlimとの差分に対応する接地支持力Fの変動値であることを意味しており、(5)式を整理すると許容接地支持力Ftは、
Ft=(N−1)・(RcosΘ−L)Wt/H ・・・・(6)
となる。
ここで (6)式を見ると、安全率Nはクレーンの仕様によって決まる定数であることから、許容接地支持力Ftは作業半径R,安定定格吊上荷重Wt,伸縮ブームの振れ角Θ,転倒基線Qまでの水平距離L,ジャッキ装置の接地点間距離Hの5パラメータ(変数)に関連させて算出可能であることが判る。しかしながら、(6)式にはパラメータとして安定定格吊上荷重Wtはあるが、実際の吊上荷重W(実荷重W)はない。そこで、実際の吊上荷重Wを安定定格吊上荷重Wtであると見做して(6)式に基づき仮の許容接地支持力Ftを算出し、反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力Fがこの仮の許容接地支持力Ftに達したかどうかを常時監視すれば、結果的に実際の吊上荷重Wが安定定格吊上荷重Wtに達したかどうかを監視することができ、これに基づき安定定格吊上荷重Wtに替えて実際の吊上荷重Wを用いることで許容接地支持力Ftの算出が可能になるのである。なお、伸縮ブーム8の旋回位置とジャッキ装置4の張出し幅を考慮したくない場合には、伸縮ブーム8の振れ角Θを最弱旋回位置の0°に、転倒基線Qまでの水平距離Lとジャッキ装置の接地点間距離Hをジャッキ装置4が最小張出位置にあるとした時の値に夫々設定すればよく、この場合には上記5パラメータのうち3パラメータが定数化されて、残る作業半径Rと実際の吊上荷重W(実荷重W)によって許容接地支持力Ftを算出することが可能になるのである。なお、許容接地支持力Ftの算出にあたり伸縮ブーム8の旋回位置とジャッキ装置4の張出し幅を考慮したい場合には、上記3パラメータ(伸縮ブーム8の振れ角Θ、転倒基線Qまでの水平距離L、ジャッキ装置の接地点間距離H)を代入して算出すればよいこと勿論である。
本発明の側方転倒防止信号出力手段では、上述した関係に基づき反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力Fと比較しトラック側方への転倒を検出する許容接地支持力Ftを、許容接地支持力演算手段により作業半径Rと実荷重Wに対応じて変化する変動値、すなわち作業半径Rと実荷重Wが大きくなる程大きな値として算出するようになっている。これにより、許容接地支持力Ftはクレーンの作業状態に対応した変動値として設定されるため、従来の安全装置で用いられていた基準値が作業状態に応じて変化しない一定値に設定されたものに比し、精度の高い転倒防止制御が可能になるのである。
また、当該許容接地支持力Ftは、その算出にあたり荷台3の積載荷重を考慮する必要がないため、荷台積載荷重の検出が不要となってその分低コストに構成することが可能になるのである。また、従来の安全装置においてクレーン構造物の損傷を防止するための強度限界信号出力手段に、作業半径Rの算出手段と実荷重Wの検出手段が装備されている場合には、これら検出手段の検出信号(算出信号)を流用して用いることが可能になり、この場合には検出器等を新設する必要がなくなるため、低コストに構成することが可能になるのである。
一方、後者のトラック前方への転倒を検出するための前方転倒防止信号出力手段は、伸縮ブーム8が前方領域(トラックの前方約180°の領域)に旋回したことを検出する前方領域検出手段の検出信号を受けて、実荷重検出手段で検出した吊荷の実荷重Wと、トラックの荷台に荷物を積載しない空荷状態にして伸縮ブームをトラック正面に旋回させたブーム正面作業状態においてトラックの後輪が浮き上がる限界の前方転倒モーメントから求めたそのブーム状態における許容前方吊上荷重とを比較し、実荷重Wが許容前方吊上荷重に達した時に前方転倒防止信号を出力するように構成している。
この前方転倒防止信号出力手段は、前述した側方転倒防止信号出力手段が伸縮ブーム8をトラック正面近くに旋回させた場合、左右のジャッキ装置4,4に略同じ接地支持力が作用して支持力の低下でクレーンの転倒を検出することができなくなることから、これを補う目的で取付けられている。このため、当該前方転倒防止信号出力手段は、伸縮ブーム8のトラック前方領域(トラックの前方約180°の領域)への旋回を検出する前方領域検出手段の検出信号を受けて作動するようになっている。そして、当該前方転倒防止信号出力手段は、実荷重検出手段で検出した吊荷の実荷重Wと比較する許容前方吊上荷重を、荷台3を空荷状態(荷物を積載しない状態)にして伸縮ブーム8をトラック正面に旋回させたブーム正面作業状態において、トラックの後輪が浮き上がる限界の前方転倒モーメントから求めたそのブーム状態における許容吊上荷重として算出するようになっている。このため、当該許容前方吊上荷重は、伸縮ブーム8をトラック正面に旋回させた状態において荷台3の積載荷重を考慮せずに(荷台空荷状態で)実際に伸縮ブーム8に吊下げ可能な限界値として設定されるようになっており、従来の安全装置で用いられていた強度限界荷重の所定比率低減値(例えば、25%値)で制御するものに比し、精度の高い転倒防止制御が可能になるのである。
そして、作動規制手段は、側方転倒防止信号出力手段からの側方転倒防止信号と前方転倒防止信号出力手段からの前方転倒防止信号を受けて、少なくとも何れか一方の信号が入力された時にクレーンの作動を規制するようになっている。
このため、トラックに充分な積載荷重を積載した状態では、ジャッキ装置4,4に作用する接地支持力Fが大きな値となるため、伸縮ブーム8をトラック前方から側方に旋回させた場合でも反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力Fが許容接地支持力Ftを下回ることがなく、これにより前方領域の全域に渡り前方転倒防止信号出力手段による転倒防止制御(許容前方吊上荷重を吊上荷重の上限値とする転倒防止制御)が行われるのである。そして、伸縮ブーム8が前方領域以外の領域に旋回した場合には、側方転倒防止信号出力手段による転倒防止制御(許容接地支持力Ftを反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力Fの下限値とする転倒防止制御)が行われるのである。
一方、トラックに充分な積載荷重を積載していない状態では、ジャッキ装置4,4に作用する接地支持力Fが小さな値となるため、伸縮ブーム8をトラック前方から側方に旋回させた場合、旋回の途中で反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力Fが許容接地支持力Ftを下回る状態が生じる場合がある。この場合には、接地支持力Fが許容接地支持力Ftを下回った時点で、側方転倒防止信号出力手段が作動して転倒防止信号を出力するので、これを受けた作動規制手段がクレーンの作動を規制しクレーンの転倒を未然に防止することができるのである。
また、伸縮ブーム8を前方領域に旋回させた状態において、伸縮ブーム8に吊下げた吊上荷重Wが許容前方吊上荷重を上回っている場合には、許容前方吊上荷重を上回った時点で前方転倒防止信号出力手段が作動して転倒防止信号を出力するので、これを受けた作動規制手段がクレーンの作動を規制しクレーンの転倒を未然に防止することができるのである。
以上の如く構成した車載式クレーンの転倒防止装置によれば、トラック側方への転倒を検出する側方転倒防止信号出力手段は、反転倒側ジャッキ装置に作用する接地支持力と比較する許容接地支持力を、作業半径と実荷重が大きくなる程大きな値となる変動値として設定するようになっているので、基準値が一定値として設定されていた従来の安全装置に比し精度の高い転倒防止制御が可能になる他、吊上能力に余裕のある低負荷領域での作業可能域の拡大が図れるのである。また、トラック前方への転倒を検出する前方転倒防止信号出力手段も、吊上荷重と比較する許容前方吊上荷重を、クレーンが実際にトラック前方に転倒する際の許容吊上荷重に基づいて設定されるようになっているので、強度限界荷重の比率低減値として設定されていた従来の安全装置に比し精度の高い転倒防止制御が可能になるのである。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図1〜図4に基づき説明する。なお、本発明に係る車載式クレーンの転倒防止装置は、トラック側方への転倒を検出する際に反転倒側ジャッキ装置に作用する接地支持力の比較基準値として用いられる許容接地支持力の算出方法と、トラック前方への転倒を検出する際に伸縮ブームに作用する実荷重の比較基準値として用いられる許容前方吊上荷重の算出方法に特徴を有するものであり、以下の説明ではこの特徴点を中心に説明するものとする。このため、従来技術の説明で用いた符合は、以下の説明でもこれを援用して用いるものとする。
図1は、本発明に係る車載式クレーンの転倒防止装置のブロック図である。
図1において、15は伸縮ブーム8の作業半径R(旋回中心からブーム先端8aまでの水平距離)を算出する作業半径算出手段である。当該作業半径算出手段15は、伸縮ブーム8の起伏角φを検出するブーム起伏角検出手段16が検出したブーム起伏角φと、伸縮ブーム8のブーム長さBLを検出するブーム長さ検出手段17が検出したブーム長さBLを受取り、作業半径Rを算出するようになっている。ブーム起伏角検出手段16は、例えば従来公知のポテンショメータ等を用いた伸縮ブーム8の対地起伏角を検出する角度検出器が用いられている。また、ブーム長さ検出手段17は、例えば従来公知の伸縮ブーム8の基端ブーム8-1と最先端ブーム8-3間に張設した測長用コードの繰出し長さをコード巻取器の回転変位量として電気的に検出するコード繰出長さ検出式の長さ検出器が用いられている。
18は、伸縮ブーム8に吊下げた荷物の吊上荷重W(実荷重W)を検出する実荷重検出手段である。当該実荷重検出手段18は、伸縮ブーム8を起伏駆動する起伏シリンダ9に作用する軸力を検出するロードセル(図示せず)や、起伏シリンダ9の内圧を検出する圧力センサ(図示せず)等で構成されており、これらセンサで検出された軸力(検出値)を基に伸縮ブーム8の起伏支点まわりに生じる転倒モーメントを求め、この転倒モーメントを前記作業半径算出手段15で算出した作業半径Rで除すことで実荷重Wを算出するようになっている。なお、当該実荷重検出手段18は、伸縮ブーム8の先端部からフックブロック14を吊下げるワイヤロープ13に作用する張力を直接検出するロードセル(図示せず)を用いて検出するようにしてもよい。また、従来の安全装置に強度限界監視装置が装備されており、すでに作業半径Rを算出する作業半径算出手段と実荷重Wを検出する実荷重検出手段が設けられている場合には、これら検出手段からの検出信号を共用して用いるようにしてもよい。この場合には、これら検出手段を新設する必要がなく、低コストに構成することが可能になるのである。
19は、前記作業半径算出手段15が算出した作業半径Rと実荷重検出手段18が検出した実荷重Wを受取り、許容接地支持力Ftを算出する許容接地支持力演算手段である。当該許容接地支持力演算手段19は、作業半径算出手段15が算出した作業半径Rと、実荷重検出手段18が検出した実荷重Wを受取り、作業半径Rと実荷重Wが大きくなる程大きな値となる許容接地支持力Ftを算出するようになっている。この許容接地支持力Ftの算出方法については、段落番号19から段落番号24において詳細に説明した演算式(6)式の算出方法に基づき算出するようになっている。そして、その算出の際に演算式(6)式に入力するパラメータのうち次の4項目は、段落番号において詳述した如く安全率Nの値は必要最低限の値に、伸縮ブーム8の振れ角Θは最弱旋回位置の0°に、転倒基線Qまでの水平距離Lとジャッキ装置の接地点間距離Hは夫々ジャッキ装置4が最小張出位置にある時の値(固定値)に夫々設定することで、残る作業半径Rと実荷重Wの関数として許容接地支持力Ftを算出するようになっている。
具体的な許容接地支持力Ftの算出方法としては、メモリ(図示せず)に演算式(6)式を記憶しておき、この演算式に基づき作業半径算出手段15で算出した作業半径Rと実荷重検出手段18で検出した吊上荷重Wをパラメータとして入力することで作業半径Rと実荷重Wに対応して変化する許容接地支持力Ftを演算により算出する方法と、メモリ(図示せず)に作業半径Rと実荷重Wに関連付けて許容接地支持力Ftを設定した閾値データ群を記憶しておき、記憶した閾値データ群に基づき作業半径算出手段15で算出した作業半径Rと実荷重検出手段18で検出した実荷重Wをインデックス信号として対応する許容接地支持力Ftを読出す方法の何れかの方法を、取捨選択して採用するようにすればよい。
20,20は、左右のジャッキ装置4,4に取付けられた接地支持力Fを検出するための支持力検出手段である。当該接地支持力検出手段20,20は、左右のジャッキ装置4,4(駆動用油圧シリンダ)の負荷側油室に作用する内圧を検出する圧力センサで構成されており、クレーン作業によりジャッキ装置4,4に作用する接地支持力Fを負荷側油室の内圧変化で検出するようになっている。なお、ジャッキ装置4,4の非負荷側油室に発生する内圧変化が負荷側油室の内圧検出値に誤差を生じる場合には、非負荷側油室に圧力センサを付加し両油室の圧力差に基づき接地支持力Fを検出するようにすればよい。また、支持力検出手段20,20の別の構成例としては、左右のジャッキ装置4,4に軸力検出用のロードセル(図示せず)を取付け、ロードセルの検出信号に基づき直接接地支持力Fを検出するようにしてもよい。
21は、クレーンがトラック側方に転倒するのを検出する側方転倒防止信号出力手段である。当該側方転倒防止信号出力手段21は、前記支持力検出手段20,20で検出した左右のジャッキ装置4,4に作用する接地支持力Fのうち小さな値のものと、前記許容接地支持力演算手段19で算出した許容接地支持力Ftとを比較し、接地支持力Fが許容接地支持力Ftになるまで低下した時にこれを検出して検出信号(側方転倒防止信号)を出力するように構成している。このため、クレーンが転倒状態に近づいて反転倒側のジャッキ装置4に作用する接地支持力Fが低下した場合、この接地支持力Fの低下は接地支持力検出手段20で検出されて側方転倒防止信号出力手段21に入力され、許容接地支持力演算手段19が算出した許容接地支持力Ftと比較されるようになっている。この際、許容接地支持力Ftは、許容接地支持力演算手段19でクレーンの作業状態に応じて変動する変動値、すなわち作業半径Rと実荷重Wが大きくなる程大きな値となる変動値として設定されるようになっているため、クレーンの作業状態に対応した精度の高い転倒防止制御が可能になるのである。また、作業半径Rと実荷重Wが小さな吊上能力に余裕のある作業状態では、許容接地支持力Ftが小さな値として設定されるため、反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力Fがクレーン作業により低減可能な支持力差(吊上能力に相当)が大きくなり、クレーン作業の可能な領域が拡大されるのである。
22は、伸縮ブーム8がトラックの前方領域Fa(トラックの前方約180°の領域)に旋回したことを検出する前方領域検出手段である。当該前方領域検出手段22は、基台5に取付けた検出子22aと、当該検出子22aに対峙した旋回ポスト7上の位置に取付けられ伸縮ブーム8の旋回位置を検出する近接センサ22bとで構成されている。このため、伸縮ブーム8がトラックの前方領域Faに旋回すれば、近接センサ22bが作動して検出信号を出力するようになっている。また、前方領域検出手段22の別の構成例としては、基台5と旋回ポスト7間に配設したポテンショメータ等の角度検出センサで構成してもよい。
23は、クレーンがトラック前方に転倒する際に伸縮ブーム8に吊下げ可能な許容前方吊上荷重WFlimを算出する許容前方吊上荷重算出手段である。当該許容前方吊上荷重算出手段23は、トラックの荷台3に荷物を積載しない空荷状態(積載荷重の検出が困難であるため、空荷状態を基本としている)にして伸縮ブーム8をトラック正面に旋回させたブーム正面作業状態において、実際にトラックの後輪が浮き上がる限界の前方転倒モーメントを実測等により求めてメモリ(図示せず)等に記憶しておき、この限界の前方転倒モーメントを基にそのブーム状態で吊上げ可能な許容前方吊上荷重WFlimを算出するように構成している。具体的な算出方法としては、クレーン架装完了時にクレーンを実際にブーム正面作業状態にして荷物を吊下げた際に、トラックの後輪が浮き上がり始める限界の荷重WF0を実測等により求め、この限界の荷重WF0を基にクレーンがトラック前方に転倒する際に吊上げ可能な限界の前方転倒モーメントMFlimを算出してメモリ(図示せず)に記憶し、この限界の前方転倒モーメントMFlimに基づき前記作業半径算出手段15で算出した作業半径Rを用いてそのブーム状態での許容前方吊上荷重WFlimを演算により算出する方法か、メモリ(図示せず)にトラックの種類(大きさ)毎に対応する限界前方転倒モーメントMFlimを記憶しておき、この記憶値の中から架装トラックに対応した限界の前方転倒モーメントMFlimを選択してこの限界の前方転倒モーメントを基にそのブーム状態での許容前方吊上荷重WFlimを算出する方法の何れかの方法を取捨選択して採用すればよい。これにより、許容前方吊上荷重算出手段23から出力される許容前方吊上荷重WFlimは、実際にクレーンがトラック前方に転倒する際の吊上荷重に対応した値として設定されるのである。
24は、クレーンがトラック前方に転倒するのを検出する前方転倒防止信号出力手段である。当該前方転倒防止信号出力手段24は、前記前方領域検出手段22が検出した検出信号と、実荷重検出手段18が検出した実荷重W、許容前方吊上荷重算出手段23が算出した許容前方吊上荷重WFlimの各信号を受け、伸縮ブーム8が前方領域に旋回したことが検出された時に、実荷重Wと許容前方吊上荷重WFlimとを比較して、実荷重Wが許容前方吊上荷重WFlimに達したかどうかを判断するようになっている。この判断に際し、実荷重Wと比較する許容前方吊上荷重WFlimは、許容前方吊上荷重算出手段23で実際にクレーンがトラック前方に転倒する際の吊上荷重に対応した値として設定されているので、従来の安全装置用いられていた強度限界荷重の比率低減値(例えば、25%値)の如き概略値を用いていたものに比し、精度の高い転倒防止制御が可能になるのである。そして、実荷重Wが許容前方吊上荷重WFlimに達すれば、これを検出して前方転倒防止信号を出力するようになっている。これにより、当該前方転倒防止信号出力手段24は、前記前記側方転倒防止信号出力手段21がジャッキ装置4,4に作用する接地支持力の低下が生じないためにクレーンの転倒検出ができないトラック正面近傍位置でのクレーンの転倒検出が可能になるのである。
また、25は前記側方転倒防止信号出力手段21が出力する側方転倒防止信号と前方転倒防止信号出力手段24が出力する前方転倒防止信号を受けて、クレーンの転倒側への作動(フックブロック14の巻上げ動、伸縮ブーム8の伸長動、伸縮ブーム8の倒伏動、及び側方転倒防止信号出力時の旋回動)を規制する作動規制手段である。当該作動規制手段25は、クレーン駆動回路に介装されて作動時にクレーン駆動油をタンクに開放する公知のアンロード弁等で構成されている。これにより、側方転倒防止信号出力手段21と前方転倒防止信号出力手段24の少なくとも一方が作動して転倒防止信号が出力された時には、この信号を受けて作動規制手段25が作動してクレーンの作動を停止させるようになっている。
特に、伸縮ブーム8をトラックの前方領域Faに旋回させた状態では、トラックに充分な積載荷重が積載されている場合には、ジャッキ装置4,4に作用する接地支持力Fが大きな値となっているため、伸縮ブーム8をトラック前方から側方に旋回させても接地支持力Fが許容接地支持力Ftを下回ることがなく、このため前方領域の全域に渡り前方転倒防止信号出力手段21による許容前方吊上荷重WFlimを吊上荷重Wの上限値とする転倒防止制御が行われるのである。一方、トラックに充分な積載荷重が積載されていない場合には、ジャッキ装置4,4に作用する接地支持力Fが小さな値となっているため、伸縮ブーム8をトラック前方から側方に旋回させた場合に途中で反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力Fが許容接地支持力Ftを下回る状態が生じる。この場合には、接地支持力Fが許容接地支持力Ftを下回った時点で、側方転倒防止信号出力手段21が作動して転倒防止信号を出力するので、これを受けた作動規制手段25がクレーンの作動を停止させてクレーンの転倒が未然に防止されるのである。
伸縮ブーム8が前方領域Fa以外の領域に旋回した場合には、側方転倒防止信号出力手段21による許容接地支持力Ftを反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力Fの下限値とする転倒防止制御が行われてクレーンの転倒が防止されるのである。また、伸縮ブーム8を前方領域Faに旋回させた状態では、吊上荷重Wが許容前方吊上荷重WFlimを上回れば、その時点で前方転倒防止信号出力手段24が作動して転倒防止信号が出力されるので、これを受けた作動規制手段25がクレーンの作動を停止させてクレーンの転倒が未然に防止されるのである。
また、26はクレーンが構成部材の機械的強度に基づき損傷するのを防止する強度限界監視装置である。当該強度限界監視装置26は、従来の安全装置における強度限界監視装置と同様に機能し、強度限界吊上荷重算出手段27により作業半径Rに対応する値として算出された強度限界吊上荷重Wlimと、実荷重検出手段18で検出した実荷重Wとを比較して、実荷重Wが強度限界吊上荷重Wlimに達した時に強度限界信号を出力するように構成されている。そして、強度限界監視装置26が出力した強度限界信号は、前述した側方転倒防止信号や前方転倒防止信号と同様に作動規制手段25に入力されて、クレーンの作動を停止させるようになっている。これにより、クレーン作業中に伸縮ブーム8に吊下げた実荷重Wがクレーンの機械的強度(強度限界吊上荷重Wlim)を上回る荷重になった場合にも、当該強度限界監視装置26から強度限界信号が出力されてクレーンの作動が停止し、クレーンの損傷が未然に防止されるのである。
次に、本発明に係る車載式クレーンの転倒防止装置の作動について説明する。
伸縮ブーム8をトラック側方に旋回させた作業状態では、クレーンが転倒状態に近づく程反転倒側ジャッキ装置4に作用する接地支持力Fが低下する。この接地支持力Fは、左右のジャッキ装置4に設けた支持力検出手段20,20で検出されて側方転倒防止信号出力手段21に入力され、許容接地支持力演算手段19で算出された許容接地支持力Ftと比較されるようになっている。そして、この許容接地支持力演算手段19で算出される許容接地支持力Ftは、段落番号24で詳述した演算式(6)式に基づき作業半径Rと実荷重Wが大きくなる程大きな値となる変動値として設定されるようになっている。このため、許容接地支持力Ftはクレーンの作業状態に正確に対応した値(変動値)として設定され、精度の高い転倒防止制御が可能になるのである。また、作業半径Rと実荷重Wが小さなクレーンの吊上性能に余裕のある作業状態では、許容接地支持力Ftが小さな値に設定されるため、接地支持力Fが許容接地支持力Ftに低下するまでの支持力低減量が大きくなり、クレーン作業の可能領域が拡大されるのである。そして、接地支持力Fが許容接地支持力Ftに低下すれば、側方転倒防止信号が出力されるようになっている。
一方、伸縮ブーム8をトラック側方から前方に旋回させた場合には、伸縮ブーム8が前方領域Fa(トラックの前方約180°の領域)に入った時点で前方領域検出手段22が作動し、この検出信号を受けて前方転倒防止信号出力手段24が作動するようになっている。この前方転倒防止信号出力手段24は、実荷重検出手段18が検出した荷物の実荷重Wと、許容前方吊上荷重算出手段23が算出した許容前方吊上荷重WFlimとを比較し、実荷重Wが許容前方吊上荷重WFlimに達した時に前方転倒防止信号を出力するようになっている。そして、許容前方吊上荷重算出手段23が算出する許容前方吊上荷重WFlimは、トラックの荷台3に荷物を積載しない空荷状態で伸縮ブーム8をトラック正面に旋回させたブーム正面作業状態において、実際にトラックの後輪が浮き上がる限界の前方転倒モーメントを基にそのブーム状態で吊上げ可能な吊上荷重として算出されるようになっている。このため、実際にクレーンがトラック前方に転倒する際の吊上荷重に対応した値として設定されるため、従来一般的に行われていた例えば強度限界荷重の25%値の如き概略値で制御するものに比し、精度の高い転倒防止制御が可能になるのである。そして、実荷重Wが許容前方吊上荷重WFlimに達した時に、前方転倒防止信号を出力するようになっている。
そして、側方転倒防止信号出力手段21が出力した側方転倒防止信号と、前方転倒防止信号出力手段24が出力した前方転倒防止信号は、作動規制手段25に入力されてクレーンの作動を規制してクレーンの転倒を防止するようになっている。
本発明における車載式クレーンの転倒防止装置の構成を説明する説明図である。 車載式クレーンの構成を説明する説明図である。 車載式クレーンの転倒を説明する説明図である。 車載式クレーンの転倒を説明する説明図(平面図)である。
符号の説明
A 車載式クレーン、
1 トラック、
1a 車輌フレーム、
2 運転室、
3 荷台、
4,ジャッキ装置、
5 基台、
6 旋回モータ、
7 旋回ポスト、
8 伸縮ブーム、
9 起伏シリンダ、
10 伸縮シリンダ、
11 ウインチモータ、
12 ウインチ装置、
13 ワイヤーロープ、
14 フックブロック、
15 作業半径算出手段、
16 ブーム起伏角検出手段、
17 ブーム長さ検出手段、
18 実荷重検出手段、
19 許容接地支持力演算手段、
20,20 支持力検出手段、
21 側方転倒防止信号出力手段、
22 前方領域検出手段、
23 許容前方吊上荷重算出手段、
24 前方転倒防止信号出力手段、
25 作動規制手段、
26 強度限界監視装置、
F 反転倒側ジャッキ装置に作用する接地支持力、
Ms クレーンの自重と荷台の積載荷重によって生じる安定モーメント、
Mg 吊上荷重Wによって生じる転倒モーメント、
H 左右のジャッキ装置の接地点間距離(転倒基線Qに直交する方向に換算した水平距離)、
W 吊上荷重、
R 作業半径(旋回中心からブーム先端までの水平距離)、
Θ 最弱旋回位置からの伸縮ブームの振れ角、
L 旋回中心から転倒基線Qまでの水平距離、
Flim チッピング荷重Wlimを吊上げた時の反転倒側ジャッキ装置に作用する接地支持力、
N 安全率(1より大)、
Wt 安定定格吊上荷重、
Ft 安定定格吊上荷重Wtを吊上げた時の反転倒側ジャッキ装置に作用する接地支持力(許容接地支持力)、
Wlim チッピング荷重、
WFlim 許容前方吊上荷重、

Claims (1)

  1. 荷台を備えたトラックの運転室後方位置に搭載され、左右のジャッキ装置を設置した状態で旋回並びに起伏自在に設けた伸縮ブームに荷物を吊下げてクレーン作業を行うようにした車載式クレーンの転倒防止装置であって、
    伸縮ブームの作業半径を算出する作業半径算出手段と、
    伸縮ブームの先端部に吊下げた荷物の実荷重を検出する実荷重検出手段と、
    左右のジャッキ装置に作用する接地支持力を検出する支持力検出手段と、
    伸縮ブームがトラックの前方領域に旋回したことを検出する前方領域検出手段と、
    クレーンがトラック側方に転倒する際の反転倒側ジャッキ装置に作用する接地支持力の下限値であって、前記作業半径演算手段が算出した作業半径と前記実荷重検出手段が検出した実荷重に基づき作業半径と実荷重が大きくなる程大きな値に設定された許容接地支持力を算出する許容接地支持力演算手段と、
    前記支持力検出手段が検出した反転倒側ジャッキ装置に作用する接地支持力が、前記許容接地支持力演算手段が算出した許容接地支持力になるまで低下したことを検出して側方転倒防止信号を出力する側方転倒防止信号出力手段と、
    前記前方領域検出手段が伸縮ブームの前方領域への旋回を検出した時に、前記実荷重検出手段で検出した実荷重が、トラックの荷台に荷物を積載しない空荷状態で伸縮ブームをトラック正面に旋回させたブーム正面作業状態においてトラックの後輪が浮き上がる限界の前方転倒モーメントから求めたそのブーム状態における許容前方吊上荷重に達したことを検出して前方転倒防止信号を出力する前方転倒防止信号出力手段と、
    前方領域検出手段が伸縮ブームの前方領域への旋回を検出している時には、両転倒防止信号出力手段が出力する転倒防止信号のうち少なくとも何れか一方の転倒防止信号を受けてクレーンの作動を規制し、それ以外の領域を検出している時には側方転倒防止信号出力手段が出力する転倒防止信号を受けてクレーンの作動を規制する作動規制手段とで構成したことを特徴とする車載式クレーンの転倒防止装置。
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