JP2008102130A - センサ素子、ガスセンサおよびセンサ素子製造方法 - Google Patents

センサ素子、ガスセンサおよびセンサ素子製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電極パッドを備えるとともに面取り部が形成されるセンサ素子において、電極パッドと固体電解質層との間に不適切な通電経路が形成されるのを防止できるセンサ素子と、センサ素子製造方法と、センサ素子を備えるセンサを提供する。
【解決手段】電極パッド30,31,32,33,34,36が面取り部45から離れた位置に形成されることから、センサ素子4は、電極パッドを面取り部に接する領域に形成する場合に比べて、電極パッド30,31,32,33,34,36から絶縁層37の側面を介して固体電解質層(検出素子20およびヒータ22)に至るまでの距離を大きく確保することが可能となる。これにより、電極パッド30,31,32,33,34,36と固体電解質層とが、絶縁層37の側面に存在する他部材(電極パッドが削られて生じる剥離片など)を介して電気的に接続されることが生じがたくなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、固体電解質層と、少なくとも固体電解質層上に形成される絶縁層と、絶縁層上に形成される電極パッドと、を備える積層型板状センサ素子、それを含むガスセンサ、および、そのようなセンサ素子の製造方法に関する。
従来より、固体電解質層と、固体電解質層を被覆する絶縁層と、絶縁層上に形成され、接続端子に電気的に接続される電極パッドと、を備える積層型板状センサ素子が知られている(特許文献1、図7)。
そして、センサ素子としては、素子の角を削り取って形成された面取り部を備えるものがある。このように、面取り部を形成することで、センサ素子の角に欠け破損が生じるのを防止できる。また、センサ素子の後端に面取り部を備えることで、他部材(コンタクト部材、リードフレームなど)に組み付ける際の組み付け作業を容易にすることができる。
なお、電極パッドは、センサ素子の後端側に形成され、面取り部に接して形成されている。
特開2001−188060号公報(図7、図9参照)
しかしながら、電極パッドを面取り部に接する領域に形成する場合、固体電解質層及び絶縁層を削り取って面取り部を形成するが、この際に、電極パッドの一部が削り取られて剥離片が生じてしまい、その剥離片が電極パッドと固体電解質層とを電気的に接続して不適切な通電経路を形成してしまうという問題がある。
ここで、図8に、電極パッドが面取り部に接する領域に形成される従来のセンサ素子に関して、面取り前および面取り後のそれぞれにおける後端部分の状態を表した説明図を示す。なお、図8では、面取り前および面取り後について、センサ素子の後端部分における平面図および側面図をそれぞれ表している。
図8に示すように、センサ素子101は、固体電解質層103、絶縁層105、複数の電極パッド107を備えており、電極パッド107は、面取り前においては、センサ素子101の後端に接して形成されている(面取り前の平面図および側面図を参照)。
そして、固体電解質層103、絶縁層105、電極パッド107の後端部分を削り取る面取り作業を行うことで、センサ素子101の主面と後端面の間の角に面取り部109が形成される。図8では、この面取り作業の際、電極パッド107の一部が削り取られて異物111が生じてしまい、2つの電極パッド107と固体電解質層103とを電気的に接続している状態を示している(面取り後の平面図および側面図を参照)。
このようにして、剥離片111が電極パッド107と固体電解質層103とを電気的に接続して不適切な通電経路が形成されると、本来の電流経路に流れるべき電流が不適切な通電経路に流れてしまい、センサ出力(換言すれば、電流経路に流れるセンサ電流)が不適切な値となり、センサ素子の検出精度が低下することがある。また、剥離片111によって不適切な電流経路が形成されて、固体電解質層103の固体電解質層に過剰な電流が流れると、固体電解質層における酸素が欠乏する状態(いわゆるブラックニング)を生じてしまい、センサ素子の破損に至ることがある。
また、電極パッド107が面取り部109に接する領域に形成される場合、絶縁層105の側面を介した電極パッド107と固体電解質層103との距離が短くなるため、センサ素子101の使用環境下において付着した剥離片によって、電極パッド107と固体電解質層103とを接続する不適切な通電経路が形成される可能性がある。
そこで、本発明はこうした問題に鑑みなされたものであり、電極パッドを備えるとともに面取り部が形成されるセンサ素子において、電極パッドと固体電解質層との間に不適切な通電経路が形成されるのを防止できるセンサ素子を提供すること、そのようなセンサ素子の製造方法を提供すること、そのようなセンサ素子を備えるセンサを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、長手方向に延びる板形状を有し、主面と後端面の間の角または主面と側面の間の角に面取り部を備えたセンサ素子であって、固体電解質層と、前記固体電解質層上に設けられ、前記主面の少なくとも一部を構成する絶縁層と、前記絶縁層上の前記面取り部から離れた位置に設けられ、外部と接続するための電極パッドと、を備え、前記固体電解質層及び前記絶縁層は、前記面取り部に露出していることを特徴とするセンサ素子である。
また、本発明では、前記面取り部は、前記絶縁層だけでなく、前記固体電解質層も露出するように形成されている。その結果、単に絶縁層にのみ面取り部を形成する場合に比べて、面取り部を大きく形成できるので、センサ素子の角に欠け破損が生じるのをより確実に防止できる。
ただし、面取り部に固体電解質層が露出しているため、固体電解質層と電極パッド間の絶縁信頼性の確保が重要となる。そこで、本発明では、電極パッドが面取り部から離れた位置に形成されており、電極パッドを面取り部に接する領域に形成する場合に比べて、絶縁層の側面を介した電極パッドと固体電解質層との距離を大きく確保することが可能となる。
これにより、面取り部形成時に電極パッドが削られず、電極パッドと固体電解質層とが、絶縁層の側面に存在する他部材(電極パッドが削られて生じる剥離片など)を介して短絡するのを防止でき、センサ素子の検出精度が低下及び固体電解質層の破損(ブラックニングなど)を防止できる。
なお、面取り部は、その表面が平面形状となるように(換言すれば、断面が直線形状となるように)形成するのが好ましいが、その表面が曲面形状となるように(換言すれば、断面がR形状となるように)形成してもよい。つまり、面取り部は、絶縁層および固体電解質層が露出する形態であればよい。
さらに、絶縁層は、固体電解質層の後端部のみを被覆する形態であってもよいし、あるいは、固体電解質層の長手方向に延びる側方端部のみを被覆する形態であってもよいし、あるいは、固体電解質層の後端部および側方端部の両方を被覆する形態であってもよい。なお、絶縁層が固体電解質層の後端部のみを被覆する場合、絶縁層および固体電解質層が露出する面取り部は、センサ素子の後端部のみに形成でき、絶縁層が固体電解質層の側方端部のみを被覆する場合、絶縁層および固体電解質層が露出する面取り部は、センサ素子の側方端部のみに形成できる。また、絶縁層が固体電解質層の後端部および側方端部の両方を被覆する場合、絶縁層および固体電解質層が露出する面取り部は、センサ素子の後端部および側方端部に形成できる。
なお、固体電解質層のうち絶縁層が形成されていない部位において、固体電解質層のみが露出する面取り部を形成しても良い。
さらに、絶縁層は、長手方向に延びる側方端部を被覆する場合、一方の側方端部のみを被覆する形態であっても良いし、両方の側方端部を被覆する形態であってもよい。
次に、上述のセンサ素子においては、請求項2に記載のように、面取り部は、前記センサ素子の少なくとも主面と後端面の間の形成されている構成を採ることができる。
つまり、このセンサ素子は、主面の後端に面取り部が形成されるため、電極パッドに接続される接続端子(リードフレームなど)を組み付けるにあたり、接続端子を面取り部に沿って移動させることができる。このため、このセンサ素子を用いることで、センサ素子の後端部と接続端子との接触時における衝撃を軽減でき、接続端子との組み付け作業が容易になる。
さらに、本発明のセンサ素子においては、請求項3に記載のように、前記面取り部に露出する前記絶縁層の長手方向の長さをW1、前記面取り部に露出する固体電解質層の長手方向長さをW2としたときに、W1<W2である構成を採ることができる。
この場合には、絶縁層の露出長さW1よりも固体電解質層の露出長さW2が長くなるほど大きな面取り部が形成されているので、従来のように絶縁層のみに面取りを形成していた場合と比べ、面取り部が大きく、センサ素子の欠け破損が発生しにくい。
しかし、他方で、絶縁層の露出長さW1が固体電解質層の露出長さW2に比べて短いため、固体電解質層と電極パッドとの絶縁信頼性を確保する必要性が高い。したがって、本発明のセンサ素子においては、請求項4に記載のように、電極パッドの後端と面取り部の先端との長手方向の長さW3としたとき、W3≧10W1であるのが好ましい。
このように、電極パッドと面取り部との間を固体電解質層からより離すことで、電極パッドと固体電解質層とが、他部材(導電性材料からなる剥離片など)を介して短絡するのを防止でき、センサ素子の検出精度が低下と固体電解質層の破損(ブラックニングなど)を効果的に防止できる。こうした効果をさらに高めるためには、請求項5に記載のように、複数の電極パッドのうち、隣り合う2つの電極パッドの最短距離をW4としたとき、W4<W1+W3を満たすように、電極パッドを配置するのが好ましい。
ところで、電極パッドを複数形成する場合、主面の長手方向における同一領域に全ての電極パッドを形成すると、固体電解質層における主面の幅方向領域(長手方向に垂直な方向の領域)が有限であるため、電極パッドの大きさや個数、さらには電極パッド間の絶縁間隔が制限されてしまう。
そこで、上述のセンサ素子においては、請求項6に記載のように、電極パッドは、先端側電極パッドと、前記先端側電極パッドよりも後端側に設けられた後端側電極パッドとを含む構成を採ることができる。
つまり、このような構成のセンサ素子は、長手方向において2カ所以上に電極パッドが形成され、一つの電極パッドの設計自由度を増大できる。このため、このセンサ素子は、電極パッドの増加や電極パッドの大型化、電極パッド間の絶縁間隔の確保に対応することが可能となる。
さらに、本発明のセンサ素子においては、請求項7に記載のように、絶縁層の厚みが50μm未満である構成ととることができる。
絶縁層は、固体電解質層と電極パッドを絶縁できれば良く、絶縁層を薄くすることで、センサ素子を薄肉化できる。そして、50μm未満の厚さの絶縁層は、印刷を用いて固体電解質層上に設けることが有効な手段となる。なお、絶縁層が50μm未満の厚さとなれば、その分面取り部に露出する絶縁層の長さW1も小さくなる。しかし、電極パッドが面取り部から離れた位置に形成されることから、絶縁層の露出長さW1が小さくなっても、電極パッドと固体電解質層との短絡が防止できる。
次に、上記目的を達成するためになされた請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載のセンサ素子と、前記センサ素子を収納するハウジングと、前記ハウジング内で、前記電極パッドと接続する接続端子と、を備えることを特徴とするガスセンサである。
次に、上記目的を達成するためになされた請求項9に記載の発明は、固体電解質層と、前記固体電解質層上に設けられ、前記主面の少なくとも一部を構成する絶縁層と、前記絶縁層上に設けられ、外部と接続するための電極パッドと、を備えるセンサ素子の製造方法であって、前記センサ素子の主面と後端面の間の角または主面と側面の間の角を除去して、前記電極パッドから離れた位置に面取り部を形成し、前記絶縁層および前記固体電解質層を前記面取り部に露出させる面取り部形成工程を有することを特徴とするセンサ素子製造方法である。
このセンサ素子製造方法においては、面取り部を電極パッドから離れた位置に形成するため、面取り部形成工程において電極パッドが削り取られるのを防止できる。これにより、電極パッドが削られて生じる剥離片が絶縁層の側面に配置されることを防止でき、その剥離片を介して電極パッドと固体電解質層と短絡するのを防止できる。
次に、上述のセンサ素子においては、請求項10に記載のように、面取り部形成工程では、少なくとも前記センサ素子の主面と後端面の間の角を除去して、前記面取り部を形成することができる。
つまり、このセンサ素子は、主面の後端に面取り部が形成されるため、電極パッドに接続される接続端子を組み付けるにあたり、接続端子を面取り部に沿って移動させ、段階的に接続端子を変形することができる。このため、このセンサ素子を用いることで、センサ素子の後端部と接続端子との接触時における衝撃を軽減でき、素子の後端で欠け破損が生じるのを防止できる。
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
なお、本発明の実施形態として、排気ガスに含まれるNOxを検出するために、内燃機関の排気管に装着されるNOxセンサ2について説明する。
なお、NOxセンサ2は、ガスセンサの一種であって、自動車や各種内燃機関における測定対象となる排ガス中の特定ガスを検出する検出素子(センサ素子)を備えて構成されている。
(1)NOxセンサ全体の構成
図1は、本発明を適用した実施形態のNOxセンサ2(本発明でいうガスセンサ)の全体構成を示す断面図である。
NOxセンサ2は、軸線方向(NOxセンサ2の長手方向:図中上下方向)に延びる板状形状をなすセンサ素子4と、センサ素子4の径方向周囲を取り囲むように配置されるハウジング(主体金具38、外筒44、プロテクタ42,43)と、ガスセンサ素子4の径方向周囲を取り囲むように配置される筒状のセラミックスリーブ6と、センサ素子4の後端部の周囲を取り囲む状態で配置されるセパレータ66と、センサ素子4とセパレータ66との間に配置される複数(図1には2個のみ図示)の接続端子10(以下、リードフレーム10ともいう)と、を備えている。
センサ素子4は、表裏の位置関係となる第1主面21および第2主面23、先端面24、後端面25、側面27、26を有し、測定対象となるガスに向けられる先端側(図中下方:軸線方向先端部)に検出部8が形成され、第1主面21および第2主面23に設けられた電極パッド30,31,32,33,34,36が形成されている。
接続端子10は、センサ素子4とセパレータ66との間に配置されることで、センサ素子4の電極パッド30,31,32,33,34,36にそれぞれ電気的に接続される。また、接続端子10は、外部からセンサの内部に配設されるリード線46に電気的に接続されている。
主体金具38は、軸線方向に貫通する貫通孔54を有し、貫通孔54の径方向内側に突出する棚部52を有する略筒状形状に構成されている。また、検出部8は、貫通孔54から先端側に突出し、他方、電極パッド30,31,32,33,34,36は貫通孔54の後端側に突出している。
なお、主体金具38の貫通孔54の内部には、センサ素子4の径方向周囲を取り囲む状態で、セラミックホルダ51、粉末充填層53,56、および上述のセラミックスリーブ6、加締パッキン57が、この順に先端側から後端側にかけて積層されている。セラミックホルダ51と主体金具38の棚部52との間には、粉末充填層53やセラミックホルダ51を保持するための金属ホルダ58が配置されている。
また、主体金具38の先端部41には、センサ素子4の検出部8を覆うプロテクタ(外部プロテクタ42および内部プロテクタ43)が溶接等によって取り付けられている。
また、主体金具38の後端側には、外筒44が固定されている。また、外筒44の後端側開口部には、グロメット50が配置されている。グロメット50は6本のリード線46(図1では3本が図示)を挿通するリード線挿通孔61を有している。
セパレータ66は、センサ素子4の後端側の表面に形成される電極端子部30,31,32,33,34,36の周囲に配置されている。そして、このセパレータ66には、突出部67が形成されており、突出部67は、保持部材69を介して、外筒44に固定されている。
(2)センサ素子4の構成
ここで、センサ素子4の概略構造を表す斜視図を、図2に示す。なお、図2では、軸線方向における中間部分を省略してセンサ素子4を表している。また、図3に、センサ素子4のうち後端側の一部を拡大した側面図を示す。なお、図3では、内部構成の一部を点線で表している。
センサ素子4は、検出素子20、ヒータ22、絶縁層37、電極パッド30,31,32,33,34,36を備えている。なお、NOxセンサ2として用いられるセンサ素子4は従来公知のものであるため、その内部構造等の詳細な説明は省略するが、その概略構成は以下のようである。
まず、センサ素子4は、軸線方向(図2における左右方向)に延びる板状形状に形成された検出素子20と、同じく軸線方向に延びる板状形状に形成されたヒータ22とが積層されて、長方形状の軸断面を有する板状形状に形成されている。
検出素子20は、固体電解質層の両側に多孔質電極を形成した酸素濃淡検知セルと、同じく固体電解質層の両側に多孔質電極を形成した酸素ポンプセルと、同じく固体電解質層の上に多孔質電極を形成したNOxセルと、これらの素子の間に積層され、中空の測定ガス室を形成するためのスペーサと、を備えて構成される。
この固体電解質層は、イットリアを安定化剤として固溶させたジルコニアから形成され、多孔質電極は、Ptを主体に形成される。また、測定ガス室を形成するスペーサは、アルミナを主体に構成されており、中空に形成された測定ガス室の内側には、酸素濃淡検知セルにおける一方の多孔質電極と、酸素ポンプセルにおける一方の多孔質電極が露出するように配置されている。
なお、測定ガス室は、検出素子20の先端側において内部空間として設けられている。そして、検出素子20のうち測定ガス室や多孔質電極などが形成される領域が、検出部8である。
また、検出素子20には、測定ガス室と検出素子20の外部とを連通する拡散律速部(図示省略)が形成されている。この拡散律速部は、例えば、アルミナ等からなる多孔質体で構成されており、測定対象ガスが測定ガス室へ流入する際の律速を行う。さらに、検出素子20には、多孔質体で構成された通気部(図示省略)が形成されている。この通気部は、酸素ポンプセルの駆動により移動する酸素を通過させるために使用される。
そして、ヒータ22は、ジルコニアを主体とする固体電解質層の間に、Ptを主体とする発熱抵抗体パターンが挟み込まれて形成されている。
次に、絶縁層37は、検出素子20およびヒータ22を構成する固体電解質層のうち少なくとも後端部を覆うように形成されている。なお、絶縁層37は、アルミナを主体とする絶縁性材料で構成されている。
また、センサ素子4は、図2に示すように、第1主面21の後端側(図2における右側)に4個の電極パッド30,31,32,33を備えており、第2主面23の後端側に2個の電極パッド34,36を備えている。
図3に示すように、絶縁層37は、検出素子20を覆うように形成されており、電極パッド30,31,32,33は、絶縁層37に積層形成されている。なお、図3での図示は省略するが、ヒータ22においても、ヒータ22の第2主面23を覆うように絶縁層37が形成されており、電極パッド34,36は、その絶縁層37に積層形成されている。
また、図3に示すように、電極パッド30,31,32,33,34,36は、絶縁層37および検出素子20の一部を貫通するスルーホールに配置されたスルーホール導体71を介して、検出素子20の内部に備えられる複数の配線部72(図3では、1つのみを記載)に電気的に接続されている。
なお、スルーホールは絶縁性材料からなる絶縁層で覆われているため、スルーホール導体71は検出素子20の固体電解質層には直接には接していない。また、複数の配線部72は、Ptなどの導電性材料で形成されており、検出素子20の酸素濃淡検知セルにおける一対の多孔質電極、検出素子20の酸素ポンプセルにおける一対の多孔質電極、ヒータ22に備えられる発熱抵抗体パターンなどにそれぞれ電気的に接続されている。
そして、上述したように、センサ素子4がNOxセンサ2に組み付けられる場合には、電極パッド30,31,32,33,34,36は、接続端子10にそれぞれ接続される。つまり、電極パッド30,31,32,33,34,36は、センサ素子4の内部(酸素濃淡検知セル、酸素ポンプセル、NOxセル、発熱抵抗体パターンなど)と外部機器とを接続する通電経路の一部を構成するために備えられる。
また、センサ素子4は、図2および図3に示すように、絶縁層37が形成された検出素子20およびヒータ22のうち、第1主面21および第2主面23と後端面25との間の角を削り取って形成される面取り部45を有している。この面取り部45は、絶縁層37およびその下の固体電解質層が面取り部45に露出するように、削り取って形成されている。
絶縁層37と固体電解質層とを露出する面取り部45を形成することで、面取り部がない場合および絶縁層37のみが露出する面取り部を形成した場合と比べて、センサ素子4の角部分に欠け破損が生じるのをより確実に防止できる。また、面取り部45を形成することで、リードフレーム10が配置されたセパレータ66に対してセンサ素子4を挿入して組み付ける際に、リードフレーム10を面取り部45に沿って移動させることができる。このため、面取り部45を備えるセンサ素子4は、組み付け作業時において、リードフレーム10との接触時における衝撃を軽減でき、リードフレーム10が配置されたセパレータ66に対する組み付け作業が容易になる。
また、図2に示すように、電極パッド30,31,32,33は、センサ素子4の第1主面21のうち面取り部45から離れた位置に形成されており、また、電極パッド34,36は、センサ素子4の第2主面23のうち面取り部45から離れた位置に形成されている。したがって、センサ素子4は、電極パッドを面取り部に接する領域に形成する場合に比べて、電極パッド30,31,32,33,34,36から絶縁層37の露出面を介して固体電解質層の露出面に至るまでの距離(すなわち、W1+W3)を大きく確保することが可能となる。
センサ素子4は、面取り部45に露出する絶縁層37の長手方向の長さをW1、面取り部45に露出する固体電解質層の長手方向長さをW2としたときに、W1=10μm、W2=90μmである。また、センサ素子4は、電極パッド30、31、32、33の後端と面取り部45の先端との長手方向の長さW3としたとき、W3=100μmである。
このように、固体電解質層の長手方向の距離W2が絶縁層37の長手方向の距離W1よりも大きくなる(W1<W2)面取り部45を形成するセンサ素子4であっても、電極パッドと面取り部との間W3がW3≧10W1とすることで、電極パッド30,31,32,33と検出素子20との間、または電極パッド34,36とヒータ22との間に、他部材(電極パッドが削られて生じる剥離片など)を介した不適切な通電経路が形成されるのを防止でき、センサ素子4の検出精度が低下するのを防止できる。また、電極パッド30,31,32,33,34,36の絶縁間隔をW4としたとき、W4=28μmであり、W4<W1+W3となるため、センサ素子4は、不適切な通電経路が形成されるのを防止できるため、検出素子20の破損(ブラックニングなど)が生じるのを防止できる。
さらに、センサ素子4は、絶縁層37の厚みが10μmである。このように、絶縁層37の厚みが50μm未満であっても、電極パッド30、31、32、33が面取り部45から離れた位置に形成されることから、電極パッド30,31,32,33と検出素子20との間、または電極パッド34,36とヒータ22との間に、他部材(電極パッドが削られて生じる剥離片など)を介した不適切な通電経路が形成されるのを防止でき、センサ素子4の検出精度が低下するのを防止できる。また、センサ素子4は、不適切な通電経路が形成されるのを防止できるため、検出素子20の破損(ブラックニングなど)が生じるのを防止できる。
(3)センサ素子4の製造方法
次に、センサ素子4の製造方法について説明する。
まず、焼成後にセンサ素子4となる未焼成積層体を作製する。
未焼成積層体は、焼成後に検出素子20およびヒータ22の固体電解質層となる未焼成固体電解質シート、焼成後に絶縁層37となる未焼成絶縁層、焼成後に電極パッド30,31,32,33,34,36となる未焼成電極パッドなどが含まれる。
これらのうち、例えば、未焼成固体電解質シートは、ジルコニアを主体とするセラミック粉末に対して、アルミナ粉末やブチラール樹脂などを加えて、さらに混合溶媒(トルエン及びメチルエチルケトン)を混合して、スラリーを生成する。そして、このスラリーをドクターブレード法によりシート状とし、混合溶媒を揮発させて作製される。また、未焼成絶縁層は、アルミナを主体とするセラミック粉末に対して、ブチラール樹脂とジブチルフタレートとを加えて、更に混合溶媒(トルエン及びメチルエチルケトン)を混合して、スラリーを生成する。そして、このスラリーを調整して未焼成絶縁性層用の絶縁ペーストを作製する。
そして、未焼成積層体の作製は、未焼成固体電解質シート(焼成後に検出素子20およびヒータ22の固体電解質層となるシート)上に絶縁ペーストを印刷し、焼成後に絶縁層37となる未焼成絶縁層を形成する絶縁ペースト印刷工程と、その後に、未焼成絶縁層上に未焼成電極パッドを印刷する電極パッド印刷工程とを含む。この電極パッド印刷工程においては、未焼成絶縁層のうち、面取り部45の形成予定領域から離れた領域に対して、未焼成電極パッドを形成する。
積層体を加圧する工程を経て、未焼成積層体を、所定の大きさに切断することにより、センサ素子4の大きさと略一致する複数(例えば10個)の未焼成積層体を得る。その後、この未焼成積層体から樹脂抜きを行う樹脂抜き工程を実行し、さらに、未焼成積層体を焼成する。
このあと、焼成後積層体の主面のうち面取り部45の形成予定領域について、面取り装置(あるいは研磨装置)を用いて絶縁層37および固体電解質層の一部を削り取ることで、絶縁層および固体電解質層が露出する面取り部45を形成する。
ここで、図4に、面取り前および面取り後のそれぞれにおけるセンサ素子4のうち後端部分の状態を表した説明図を示す。なお、図4では、面取り前および面取り後について、センサ素子4のうち第1主面21の後端部分における平面図および側面図をそれぞれ表している。
図4に示すように、電極パッド30,31,32,33は、面取り前においては、面取り部45の形成予定領域47から離れて形成されている(面取り前の平面図および側面図を参照)。なお、図示は省略するが、第2主面23の電極パッド34,36についても、同様に、面取り部の形成予定領域から離れて形成される。この結果、面取り部45を形成するにあたり、電極パッド30,31,32,33,34,36が削り取られるのを防止できる(面取り後の平面図および側面図を参照)。
(4)その他の実施形態
本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
例えば、上記実施形態においては、主面の後端に面取り部を備える検出素子について説明したが、主面の側端に面取り部を形成しても良い。
ここで、図5に、主面の側端に面取り部が形成された第2センサ素子104のうち、後端部分の状態を表した説明図を示す。図5では、面取り前および面取り後について、第2センサ素子104のうち第1主面121の後端部分における平面図および側面図をそれぞれ表している。
図5に示すように、第2センサ素子104は、検出素子120、絶縁層137、複数の電極パッド130,131,132,133を備えている。そして、第2センサ素子104は、面取り前においては、絶縁層137が形成された検出素子120の第1主面121のうち、面取り部145の形成予定領域147から離れた領域に、電極パッド130,131,132,133が形成されている(面取り前の平面図および側面図を参照)。この結果、面取り部145を形成するにあたり、電極パッド130,131,132,133が削り取られるのを防止できる(面取り後の平面図および側面図を参照)。
これにより、第2センサ素子104の製造時に、電極パッド130,131,132,133が削られて生じる剥離片が絶縁層137の側面に配置されることを防止でき、その剥離片を介して電極パッド130,131,132,133と検出素子120(固体電解質層)とが電気的に接続されることを防止できる。
この第2センサ素子104は、第1主面121と側面126、127の間の角に面取り部145を備えることから、接続端子(リードフレーム)との組み付け方向が後端からではなく側方からとなる用途において、リードフレームを面取り部145に沿って移動させることができる。このため、面取り部145を備える第2センサ素子104は、側方端部からリードフレームを組み付ける用途において、リードフレームとの接触時における衝撃を軽減でき、リードフレームに対する組み付け作業が容易になる。
次に、面取り部の形成位置は、センサ素子(検出素子)の後端部または側方端部のいずれか一方に限定されることはなく、センサ素子の後端部および側方端部にそれぞれ面取り部を形成しても良い。また、複数の電極パッドは、センサ素子の長手方向における形成領域が全て同一位置となるように(換言すれば、横一列に配置されるように)形成されるものに限られることはなく、センサ素子の長手方向領域における電極パッドの形成領域が2カ所以上となるように構成しても良い。
ここで、主面の後端および側端にそれぞれ面取り部245を備えており、素子の長手方向領域における電極パッドの形成領域を2カ所備えて構成される第3センサ素子204について説明する。図6に、第3センサ素子204の第1主面221のうち後端部分における平面図を示す。
この第3センサ素子204は、第1主面221の後端部および側方端部にそれぞれ面取り部245を備えることから、後端部から接続端子(リードフレーム)を組み付ける用途、および側方端部から接続端子を組み付ける用途のそれぞれに対応することが可能となる。
また、第3センサ素子204は、素子の長手方向領域において、電極パッド230,233の形成領域246と、電極パッド231,232の形成領域247とが、それぞれ異なる位置に設定されており、素子の長手方向領域における電極パッドの形成領域が2カ所備えられている。
つまり、第3センサ素子204は、素子の長手方向領域が異なる2カ所の電極パッド形成領域にそれぞれ電極パッドを配置することで、上述したセンサ素子4および第2センサ素子104に比べて、電極パッド230,231,232,233の1個あたりの幅寸法を大きくすることができる。
なお、第3センサ素子204は、主面221と後端面225の角および主面221と側面226,227の間の角の両方に面取り部245が形成されている。これにより、主面に電極パッドを配置するための有効面積が小さくなるが、素子の長手方向領域における電極パッド形成領域を2カ所備えることで、電極パッド230,231,232,233の大型化に対応可能となる。
また、第3センサ素子204は、電極パッド230,231,232,233が面取り部245から離れた位置に形成されるため、絶縁層237の露出面に付着した剥離片によって電極パッドと検出素子225とが電気的に接続されることが生じがたくなる。
さらに、電極パッド232、231の距離をW4としたとき、W4=30μmである。このように、電極パッド232、231の最短距離W4よりも電極パッド232、231と固体電解質層との距離(W1+W3)がW4<W1+W3となるため、電極パッド230,231,232,233、234,236と固体電解質層の間に、他部材(電極パッドのが削られて生じる剥離片など)を介した不適切な通電経路が形成されるのを防止でき
、センサ素子4の検出精度が低下とするのを防止できる。
次に、1つの主面に形成される電極パッドの個数は、上述した個数(2個または4個)に限られることはなく、例えば、図7に示す第4センサ素子304のように、3個の電極パッド330,331,332を備えるように構成しても良いし、5個以上でもよい。なお、第4センサ素子304も、主面321の後端および側端のそれぞれに面取り部345を備えている。
また、上記実施形態では、表面が平面形状となるように(換言すれば、断面が直線形状となるように)形成された面取り部について説明したが、検出素子に形成される面取り部の形状は平面形状に限られることはなく、例えば、表面が外側に凸となる曲面形状に形成しても良い。
また、上記実施形態では、面取り部形成工程を焼成工程の後に実行したが、面取り部形成工程は、焼成工程の前に実行しても良い。具体的には、電極パッド印刷工程の後、加圧工程を行い、さらに所定の大きさに切断することで未焼成積層体を得る。その後、この未焼成積層体の主面のうち、面取り部の形成予定領域について、面取り装置(あるいは研磨装置)を用いて、焼成後に絶縁層となる未焼成絶縁層、および焼成後に検出素子の固体電解質層となる未焼成固体電解質層の一部を削り取ることで、面取り部を形成する面取り工程を行う。そして、その後、この未焼成積層体から樹脂抜きを行う樹脂抜き工程を実行し、さらに、予め定められた焼成温度で所定時間にわたり焼成を行う焼成工程を実行することで、センサ素子を得る。このような方法で、センサ素子を製造しても良い。
さらに、上記実施形態は、ヒータがジルコニアを主体とする固体電解質層の間にPtを主体とする発熱抵抗体パターンが挟み込まれている形態であるが、ヒータがアルミナを主体とする絶縁基板の間にPtを主体とする発熱抵抗体パターンが挟み込まれている形態であっても良い。この場合、絶縁層は、ヒータには設けられず、検出素子のみに設けられていてもよい。
さらに、上記実施形態では、NOxセンサについて説明したが、本発明は、NOxセンサに限られることはなく、例えば、排ガス中に含まれる酸素を検出するために、内燃機関の排気管に装着される全領域空燃比センサであってもよい。
NOxセンサの全体構成を示す断面図である。 センサ素子の概略構造を表す斜視図である。 センサ素子のうち後端側の一部を拡大した側面図である。 面取り前および面取り後のそれぞれにおけるセンサ素子のうち後端部分の状態を表した説明図である。 主面の側方端部に面取り部が形成された第2センサ素子のうち、後端部分の状態を表した説明図である。 第3センサ素子の第1主面のうち後端部分における平面図である。 第4センサ素子の後端部分における平面図である。 従来のセンサ素子のうち、面取り前および面取り後のそれぞれにおける後端部分の状態を表した説明図である。
符号の説明
2…NOxセンサ、4…センサ素子、8…検出部、10…リードフレーム、21…第1主面、23…第2主面、24…先端面、25…後端面、26,27…側面、30,31,32,33,34,36…電極パッド、37…絶縁層、45…面取り部、104…第2センサ素子、121…第1主面、130,131,132,133…電極パッド、137…絶縁層、145…面取り部、204…第3センサ素子、221…第1主面、230,231,232,233…電極パッド、237…絶縁層、245…面取り部、304…第4センサ素子、330,331,332…電極パッド、345…面取り部。

Claims (10)

  1. 長手方向に延びる板形状を有し、主面と後端面の間の角にまたは主面と側面の間の角に面取り部を備えたセンサ素子であって、
    固体電解質層と、
    前記固体電解質層上に設けられ、前記主面の少なくとも一部を構成する絶縁層と、
    前記絶縁層上の前記面取り部から離れた位置に設けられ、外部回路と接続するための電極パッドと、を備え、
    前記固体電解質層及び前記絶縁層は、前記面取り部に露出していることを特徴とするセンサ素子。
  2. 前記面取り部は、前記センサ素子の少なくとも主面と後端面との間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ素子。
  3. 前記面取り部に露出する前記絶縁層の長手方向の長さをW1、前記面取り部に露出する前記固体電解質層の長手方向長さをW2としたときに、W1<W2であることを特徴とする請求項2に記載のセンサ素子。
  4. 前記電極パッドの後端と前記面取り部の先端との長手方向の長さをW3としたときに、W3≧10W1であることを特徴とする請求項3に記載のセンサ素子。
  5. 前記電極パッドは、複数設けられており、隣り合う2つの電極パッドの最短距離をW4としたとき、W4<W1+W3であることを特徴とする請求項4に記載のセンサ素子。
  6. 前記電極パッドは、
    先端側電極パッドと、
    前記先端側電極パッドよりも後端側に設けられた後端側電極パッドとを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のセンサ素子。
  7. 前記絶縁層の厚みが50μm未満であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のセンサ素子。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のセンサ素子と、
    前記センサ素子を収納するハウジングと、
    前記ハウジング内で、前記電極パッドと接続する接続端子と、
    を備えることを特徴とするガスセンサ。
  9. 固体電解質層と、
    前記固体電解質層上に設けられ、前記主面の少なくとも一部を構成する絶縁層と、
    前記絶縁層上に設けられ、外部と接続するための電極パッドと、
    を備えるセンサ素子の製造方法であって、
    前記センサ素子の主面と後端面の間の角または主面と側面の間の角を除去して、前記電極パッドから離れた位置に面取り部を形成し、前記絶縁層および前記固体電解質層を前記面取り部に露出させる面取り部形成工程を有することを特徴とするセンサ素子製造方法。
  10. 前記面取り部形成工程では、少なくとも前記センサ素子の主面と後端面の間の角を除去して、前記面取り部を形成することを特徴とする請求項9に記載のセンサ素子。
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