JP2008102048A - ガス成分捕集器、ガス成分捕集装置、フィルタの製造方法、ガス成分分析装置およびガス成分分析方法 - Google Patents

ガス成分捕集器、ガス成分捕集装置、フィルタの製造方法、ガス成分分析装置およびガス成分分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被検者の負担を軽減し、同時に十分な呼気成分の回収率を実現させ、さらに周辺大気のコンタミネーションを防ぐことを目的とする。
【解決手段】第1の面から第2の面へと貫通し、分析対象のガス成分を吸着する吸着剤が充填される孔部を複数有し、吸着剤の全体積をV、孔部の開口面積の総和をA、孔部の平均長さをLとしたとき、(AL−V)2/L3≧0.003mm、かつV/AL≧0.3を満たすフィルタ部3と、フィルタ部3の第1の面側または第2の面側の少なくともいずれかに、ガスを導入する第1の開口部5と、導入されたガスを排出させる第2の開口部5とを備え、フィルタ部3を内部に収容する保持容器2とを有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガス中の微量成分を分析するガス成分捕集器、ガス成分捕集装置、フィルタの製造方法、ガス成分分析装置およびガス成分分析方法の技術に関する。
呼気中の成分には被検者体内で生成した微量代謝物が含まれており、疾患の有無などにより、その微量代謝物の濃度や生成物そのものが変化することが知られている。そして、呼気中の微量代謝物の成分を捕集して、分析することにより、病気の診断に役立てるための、基礎的な研究が進められている。
このような微量代謝物を捕集(採取)する技術として、乾燥剤が充填された乾燥筒と二酸化炭素の吸着剤が充填された吸着筒を、円筒状の通気管内に挿入した採取部で、呼気中成分を採取する呼気採取装置が提示されている(例えば、特許文献1参照)。この呼気採取装置の採取部の通気管には、通気管内を気密に保つためのキャップがその両端に取り付けられている。呼気ガスの採取においては、入口キャップの開口から呼気をなるべく低速で導入することが好ましく、この流速の調整は通気管の管径、出口キャップの開口径、乾燥剤と吸着剤の粒径および充填密度によって通気抵抗を調節する。
また、金属、フューズドシリカなどで構成される素管の内側に、全形に亘り適宜長の開放構造の多孔質体を充填形成し、この開放構造の多孔質体に大気中のガスを拡散によって導入する大気物質簡易捕集方法および装置が提示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平09−210875号公報(請求項1、請求項4) 特開2002−328077号公報(請求項1)
特許文献1では、圧力損失を低減するための吸着筒の長さや、径の大きさについての具体的な記述はなく、採取部における圧力損失が大きい場合、呼気を吐出する被検者の負担が大きくなるおそれがある。
また、特許文献2では、例えば呼気ガスの採取に適用し、積極的に呼気を導入する場合の圧力損失を低減させる方法についての具体的な記述が無い。また、サンプリング前後での捕集管の密閉、すなわちサンプリング前後のコンタミネーションに関する具体的な記述がない。
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、分析対象のガス成分の捕集・分析時におけるコンタミネーションを防ぐことを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、第1の面から第2の面へと貫通し、分析対象のガス成分を吸着する吸着剤が充填される孔部を複数有し、吸着剤の全体積をV、孔部の開口面積の総和をA、孔部の平均長さをLとしたとき、(AL−V)/L≧0.003mm、かつV/AL≧0.3を満たすフィルタと、フィルタの第1の面側または第2の面側の少なくともいずれかに、ガスを導入する第1の開口部と、導入されたガスを排出させる第2の開口部とを備え、フィルタを内部に収容する保持容器とを有することを特徴とする。
本発明によれば、分析対象のガス成分の捕集・分析時におけるコンタミネーションを防ぐことができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
(ガス成分捕集器)
図1は、本実施形態に係るガス成分捕集器の断面模式図である。
ガス成分捕集器1は、フィルタ部3(フィルタ)と、保持容器2と、接合部4とを有して構成される。フィルタ部3は、該ガス成分捕集器1に導入されたガス(主に、呼気)から分析対象のガス成分(以下、呼気成分、適宜ガス成分または測定対象成分と記載)を選択的に捕集する機能を有する。フィルタ部3の詳細は、図2を参照して後記する。なお、ガス成分捕集器1に導入されるガスは、呼気であることが多いので、以下、導入されるガスは、呼気と記載し、それ以外のガスがガス成分捕集器1に導入された場合は、適宜別表現とする。
保持容器2は、フィルタ部3を内部に収容する容器であり、2つの開口部5を有する。保持容器2は、フィルタ部3が周辺大気に曝されることによって、呼気以外のガス成分が、フィルタ部3によって捕集されてしまうこと(コンタミネーション)を防止する機能を有する。
接合部4は、保持容器2の開口部5に設けられ、配管などを接合することによって、図4に示すガス成分捕集装置100や、図9に示すガス成分分析装置301へ、当該ガス成分捕集器1を接続する機能を有する。また、接合部4は、キャップなどの栓(図示せず)が取付け可能となっており、このキャップなどを取り付けることによって、非使用時に開口部5に栓をすることが可能となる。このように開口部5に栓をすることによって、保持容器2内部を密封状態とし、移動中などにおけるコンタミネーションを防止することが可能となる。
また、フィルタ部3と保持容器2との間に、シーリング手段としてのOリング7を備えてもよい。
このように、フィルタ部3を保持容器2内に収容する際、呼気成分がフィルタ部3の周囲から逃げないように、フィルタ部3の周囲をOリング7などのシーリング手段によってシーリングすれば、呼気がフィルタ部3の周囲から漏れることなく、吸着剤31が充填された吸着剤保持プレート32の孔部35を通るため、吸着率をあげることが可能となる。シーリング手段としては、Oリング7の他にパッキンなどが考えられる。
フィルタ部3の少なくとも1箇所は、Oリング7などを介して保持容器2の内面に接触している方が好ましい。このような構成とすることで、分析時に保持容器2ごとフィルタ部3を加熱して、呼気成分を吸着剤31から分離させる際に、保持容器2からの吸着剤31への熱の伝導を向上させることが可能となる。なお、熱伝導を考慮すると、シーリング手段は金属が好ましい。
図2は、本実施形態に係るフィルタ部の構成を示す図であり、(a)は、フィルタ部の側断面を示す図であり、(b)は、フィルタ部を上から見た平面図である。
なお、図2(a)は、図2(b)のA−A断面図となっている。
図2(a)および(b)に示すように、フィルタ部3は、多数の孔部35を有する吸着剤保持プレート32と、吸着剤保持プレート32の孔部35に充填される吸着剤31と、吸着剤保持プレート32の両面に配されるメッシュ33と、メッシュ固定リング34とを有して構成される。
吸着剤保持プレート32には、所定の面から、他の面に貫通してなる複数の孔部35が形成されている。そして、図2(a)および(b)に示すように、孔部35には、粒状の吸着剤31が充填されている。さらに、吸着剤31が充填されている吸着剤保持プレート32は、その両面をメッシュ33で密接に挟んで構成されている。メッシュ33は、メッシュ固定リング34で挟持されることによって、吸着剤保持プレート32の所定位置に固定される。
メッシュ固定リング34は、図示しないネジなどを用いて、吸着剤保持プレート32の周囲に締結されるリング状の部材である。図2(a)に示すように、メッシュ固定リング34は、吸着剤保持プレート32の一方の面側および他方の面側で、分割された構成となっており、それぞれ吸着剤保持プレート32の一方の面側に設置されるメッシュ33、および吸着剤保持プレート32の他方の面側に設置されるメッシュ33を固定する。ここで、メッシュ33の網目のサイズは、吸着剤31の粒径より細かいものを用いる。このようにすることで、吸着剤31が、孔部35からこぼれるのを防ぐことができる。
本実施形態では、メッシュ33の固定にメッシュ固定リング34を用いているが、吸着剤保持プレート32とメッシュ33をスポット溶接によって接合してもよいし、圧着による接合でもよい。
メッシュ33や、吸着剤保持プレート32や、Oリング7などの部材の材質は、加熱した際に、ガスを発生しないもの、例えば、ステンレススチールなどの金属が好ましい。吸着剤31の材質は、測定したい成分に合わせて適宜選択すればよいが、Buchem BV社のTENAX TA(登録商標)やTENAX GR(登録商標)を用いるのが一般的である。
また、吸着剤31として抗原抗体反応を利用したものを用いてもよい。この場合、検出したい呼気成分に対して、抗原抗体反応を示す抗体を、吸着剤保持プレート32の孔部35に充填、あるいは吸着剤保持プレート32の表面などに塗布する。このような構成のフィルタ部3を用いたガス成分捕集器1を用いて、呼気を導入し、呼気成分を吸着剤31に吸着させる。そして、その後、例えば蛍光検出などの方法で呼気成分の分析を行う。具体的には、例えば以下のように行う。まず、検出したい呼気成分と、抗原抗体反応を示す抗体分子(抗体分子Aと記載する)を、吸着剤保持プレート32の孔部35に抗体を充填、あるいは表面などに塗布する。そのフィルタ部3を用いたガス成分捕集器1によって呼気を捕集すると、前記した抗体分子に呼気成分が結合した状態となる。次に、前記した抗体分子と同種の抗体分子に蛍光色素を結合させた抗体分子(抗体分子Bと記載する)を用意する。そして、この抗体分子Bを、呼気が捕集されているフィルタ部3の吸着剤31に撒布すると、抗体分子Aに結合している呼気成分に対し、さらに抗体分子Bが結合する。そして、抗体分子Bの蛍光反応を測定することによって、目的とする呼気成分を検出する。
なお、本実施形態では、被検者107(図4参照)に近い側を上流側、被検者107から遠い側を下流側と表現することとする。フィルタ部3の下流側を大気圧とした場合、フィルタ部3を呼気が通過する際の圧力損失分だけフィルタ部3の上流側は正圧となり、被検者107が呼気を吐出するときの抵抗となる。つまり、この圧力損失が少なければフィルタ部3の上流側の圧力は小さくなり、被検者107が楽に呼気を吐出することができる。
次に、フィルタ部3を流れるガス流量と、それにより生じる圧力損失の関係を説明する。
孔部35の開口面積の総和(以下、開口面積と記載する)をA、孔部35の平均長さをLとする。また孔部35に充填されている吸着剤31の総体積をVとすると、フィルタ部3において、呼気が通過できる部分の体積は、AL−Vとなる。従って、呼気が通過できる見かけの開口面積は、
(AL−V)/L …(式1)
となる。
また、フィルタ部3の上流/下流の圧力損失Pは、
P=Q/C …(式2)
と表せる。ただし、Q:呼気量、C:コンダクタンスである。
コンダクタンスCは、円管のコンダクタンス(20℃の空気の場合)を仮定すると、
C={1349・d/L}・{(P+P)/2} [m/s] …(式3)
である。ここで、d:円管の見かけの内径=2・((AL−V)/πL)1/2、P:フィルタ部3の上流側圧力、P:フィルタ部3の下流側圧力である。
このようにして、吸着剤31の総体積V、呼気量Qなどから、圧力損失Pを算出することができる。ここで通常の呼気における呼気量の最大値は、約4[L/min]であり、このときのフィルタ部3の上流側と下流側の間の圧力損失Pが10[kPa]以下、すなわち
P=Q/C≦10x10 …(式4)
であれば、発明者らが実験した結果では、呼気をサンプリングする際の負担を感じないことが判明した。
すなわち、P=110×10[Pa],P=100×10[Pa],Q=4×10−3×10/60[Pa・m/s]を(式3)および(式4)に代入し、さらに(式3)を(式4)に代入すると、
(AL−V)/L≧2.9×10−12[m]=2.9×10−3[mm
となり、(AL−V)/L≧0.003[mm]を満たせば、被検者107が呼気量4[L/min]で吐出したときも、10[kPa]以下の圧力損失になり、被検者107は負担を感じない。
一方、呼気ガスの分析面から考えると、なるべく呼気成分が吸着剤31に接触して吸着されるのが好ましい。すなわち、前記したALとVの比(フィルタ部3における吸着剤31が占める体積比)V/ALが小さすぎると、呼気成分が吸着剤31に接触せずに系外に排出されてしまい、吸着剤31を加熱して分析するときの濃度が小さくなってしまい、感度の高い測定ができなくなる。発明者らが実験した結果では、V/ALが80%以上であれば、呼気成分の吸着率は90%以上、30%では吸着率は約50%、10%では吸着率が10%程度と下がるため、V/AL≧30%となるのが望ましい。
吸着剤31の粒径は細かいほど、同じ量を用いた場合の表面積が大きくなり、ガス成分を吸着する能力が増すが、フィルタ部3における吸着剤31が占める体積比が大きくなり、圧力損失が増大することになる。従って、粒径は同じで表面を入り組んだ形状にして、表面積を増やすと、圧力損失を増大させることなく、吸着効果を増すことができる。吸着剤保持プレート32は、両側を吸着剤31の粒子サイズより細かいメッシュサイズをもつメッシュ33に挟まれている。
図2に示したフィルタ部3の例として、吸着剤保持プレート32の孔部35の径:3×10−3[m]、孔部35の平均長さ:4×10−3[m]、孔部35の数:18個、メッシュ33のメッシュサイズ:60、吸着剤31:Buchem BV社のTENAX TA(登録商標:メッシュサイズ20/35)、吸着剤31の1粒あたりの体積:308×10−9[m]、を用いた場合、吸着剤31を入れなかった場合の吸着剤保持プレート32の孔部35の開口面積の総和は、127×10−6[m]となるため、孔部35の体積の総和は、127×10−6×4×10−3=509×10−9[m]となる。従って、フィルタ部3における吸着剤31が占める体積比は、60%となる。また、(AL−V)/L=(509×10−9−308×10−9/(4×10−3=630×10−9[m]=630[mm]となり、(AL−V)/L>0.003mmとV/AL≧0.3(30%)の両方を満たしている。
前記のフィルタ部3に4L/minの流速でガスを流したときの圧力損失は、実験で確認した結果、約1kPaであり、被検者107が抵抗を感じる10kPaに比べて十分に小さい。
また、前記のフィルタ部3を使用して、標準試料としてヘプタンを用いたときの回収率は、50〜70%であり、分析には十分な回収率であった。
同じ吸着剤31の量を使った場合、圧力損失を減らすためには、フィルタ部3を通るガス流速を小さくする必要がある。このため、開口面積の総和Aを大きくすることが有効であるが、図2に示したような吸着剤保持プレート32を使わずに、メッシュ33の間に吸着剤31を挟み込む(すなわち、開口面積の総和Aを極限まで大きくする)と、フィルタ部3を動かすときに、吸着剤31が片側によってしまい、呼気採取時に呼気ガスが吸着剤31にほとんど接触せずに、系外に排出されてしまう。このように、吸着剤保持プレート32は、吸着剤31の偏りを少なくする効果がある。
図3は、本実施形態に係るガス成分捕集器の他の例を示す図であり、(a)は、保持容器の形状に傾斜を設けた例であり、(b)は、保持容器が、フィルタ部の表面を最小限覆った例である。
例えば、図3(a)に示した例において、ガス成分捕集器1aの保持容器2aは、開口部5側から、フィルタ部3側にかけて傾斜が設けられた形状となっている。このような形状とすると、一方の開口部5から導入された呼気は、傾斜に沿って進むため、被検者107の負担を減らすことができる。
また、図3(b)に示した例におけるガス成分捕集器1bでは、フィルタ部3の両端が保持容器2bの外部にでている。しかしながら、吸着剤31(すなわち、孔部35)は、すべて保持容器2bによって覆われた形状となっている。なお、図3(b)のフィルタ部3は、図2に示すフィルタ部3からメッシュ固定リング34を排した構成となっている。この場合、メッシュ33は、例えば保持容器2bと、フィルタ部3とで挟持されることによって固定されてもよい。なお、図3(b)では、Oリング7を備えなくても呼気がフィルタ部3の周囲から漏れることがないため、Oリング7を備えなくてもよい。
このように保持容器2は、少なくとも吸着剤31が充填されている孔部35を覆い、吸着剤31が外気に曝されることがない形状であれば、どのような形状でもよい。
ここで、開口部5の開口面積について説明する。開口部5の開口面積が小さければ、小さいほど周辺大気からのコンタミネーションが少なくなる。従って、一般に開口部5の開口面積は小さい方が好ましい。より具体的には、開口部5の開口面積は、少なくとも吸着剤保持プレート32(図2参照)に設けられている孔部35の開口面積の総和より小さいことが望ましい。
(ガス成分捕集装置)
次に、図4および図5を参照して、図1〜図3で説明したガス成分捕集器1を用いたガス成分捕集装置100について説明する。
なお、図4〜図21においてはOリング7(図1参照)の図示を省略している。
図4は、本実施形態に係るガス成分捕集装置の模式図である。
ガス成分捕集装置100は、呼気導入部101(ガス導入部)と、ガス成分捕集器1と、逆止弁102と、ガス排気袋103(ガス量計測部)と、これらを接続する配管104〜106とを有してなる。
呼気導入部101と、ガス成分捕集器1とは、配管104を介して接続されている。また、ガス成分捕集器1と、逆止弁102とは、配管105を介して接続されている。さらに、逆止弁102と、ガス排気袋103とは、配管106を介して接続されている。
呼気導入部101は、被検者107の口部に装着され、被検者107が吐き出した呼気を、配管104を介してガス成分捕集器1へ送る機能を有する。呼気導入部101は、口を覆うマスクの形状をしたものが好ましいが、口に咥えて呼気を導入するパイプ形状のものでもよい。
ガス成分捕集器1は、呼気導入部101から送られた呼気のうち、分析対象となる呼気成分を選択的に捕集する機能を有する。ガス成分捕集器1に関しては、図1〜図3を参照して前記してあるため、ここでは詳しい説明を省略する。
逆止弁102は、被検者107が吐出した呼気が逆流することを防ぐ機能を有する。
被検者107が吐出した呼気は、ガス排気袋103に溜められる。ガス排気袋103は、例えば一杯に膨らんだ状態で0.2Lなど、あらかじめ分析に必要な量の呼気が入る大きさのものを設置することが好ましい。被検者107は、ガス排気袋103が一杯に膨らむまで呼気を導入する。このようにすることで、ガス成分捕集器1のフィルタ部3を通過した呼気量を確認することができる。吸着剤31(図2参照)に捕集された呼気成分の量は、通過した呼気量に依存するため、サンプリング条件をそろえるために、呼気量を確認することは重要である。本実施形態では、呼気量の確認にガス排気袋103を用いたが、これに限らず、例えば積算流量計や風船状のものなど、フィルタ部3を通過した呼気量が確認できるものであればよい。
前記したように、ガス成分捕集器1の開口部5はキャップなどで栓をすることが可能な形状でできている。呼気成分が吸着したフィルタ部3が入ったガス成分捕集器1は、ガス成分捕集装置100から取り外し、すぐに分析されない場合は両端にキャップをして密封する。分析所へは密封した状態で搬送することによって、周辺大気からのコンタミネーションを防ぐことができる。
次に、図2および図4を参照しつつ、ガス成分捕集装置100を用いた呼気成分の捕集の手順を説明する。
被検者107は、呼気導入部101を口部に装着し、呼気を吐出する。呼気成分が、ガス成分捕集器1の吸着剤31に吸着することによって、呼気成分の捕集が行われる。呼気成分は、吸着剤31によって、呼気中の他の成分と選別されて吸着され、窒素などの不活性ガスは、吸着剤31に吸着されずにフィルタ部3の下流側へ排出される。
例えば、保持容器2の栓を開いて、ガス成分捕集装置100に接続し、呼気を捕集したとする。このとき、吸着剤31に吸着された呼気成分の量(吸着量)が1ngであったとする。次に、ガス成分捕集装置100からガス成分捕集器1を取り外し、両端のキャップを締めると、周辺大気も保持容器2内に閉じ込められ、閉じ込められた周辺大気中に存在する測定対象成分もフィルタ部3に吸着されることとなる。
ここで、ガス成分捕集器1を密封した状態での内部の空間の体積を1000mm、周辺大気に含まれる測定対象成分のガス濃度を測定した結果が約1mg/mとすると、保持容器2内に閉じ込められた周辺大気中に存在する測定対象成分は1×10−3×1000×(10−3=1×10−9=1ngとなる。この場合、呼気中に含まれる測定対象成分の吸着量と同じ濃度レベルとなり、呼気中の測定対象成分濃度を精度良く測定することが困難になる。
すなわち、周辺大気に含まれる測定対象成分のガス濃度が常に一定値であれば、周辺大気中における測定対象成分の濃度レベルを推測することが可能である。従って、その濃度レベルから算出される測定対象成分の吸着量を、実際に吸着剤31に吸着している測定対象成分の吸着量から減ずれば呼気中の呼気成分吸着量を正確に求めることができる。しかし、一般に周辺大気中のガス濃度は変動し、推測不可能であるため、予め、周辺大気由来の測定対象成分の吸着量が、呼気由来の測定対象成分(すなわち、呼気成分)の吸着量に比べて、できるだけ少なくなるようにし、周辺大気由来の測定成分の影響をできるだけ小さくする必要がある。
このため、保持容器2における密封した状態の保持容器2内部の空間の体積をD、呼気成分捕集時における呼気成分の吸着剤31への吸着量をB、周辺大気に含まれる測定対象成分のガス濃度をCとしたとき、B>C×Dを満たすことが望ましい。
図5は、本実施形態に係るガス成分捕集器を2つ有するガス成分捕集装置の模式図である。
図5において、図4と同様の要素に関しては、同一の符号を付して説明を省略する。
図4に示したガス成分捕集装置100はガス成分捕集器1を1つ設置した構造になっているが、図5に示すガス成分捕集装置100aでは、ガス成分捕集器1を2つ(符号1A,1B)設置した構造となっている。2つのガス成分捕集器1A,1Bは、容器108内に収容されることによって、一体となっている。なお、2つのガス成分捕集器1A,1Bを容器108内に収容せず、例えば接着剤などで接着することによって、一体としてもよい。
このような構造とすることで、対照実験が容易に可能となる。
例えば、図5に示す構成では、ガス成分捕集器1Aは、呼気導入部101や、ガス排気袋103などに接続され、ガス成分捕集器1Bには、何も接続されていない。
このような構成とすることで、呼気捕集時、呼気は、ガス成分捕集器1Aのみを通過する。呼気捕集時には、ガス成分捕集器1Bの接続部に取り付けてある栓(図示せず)を、ガス成分捕集器1Aの呼気捕集時間と同時間外し、ガス成分捕集器1Bの内部の吸着剤31を周辺大気に曝す。
そして、呼気捕集作業の終了と共に、ガス成分捕集器1Aをガス成分捕集装置100aから取り外し、ガス成分捕集器1A,1Bの開口部5(図1参照)に栓をする。そして、ガス成分捕集器1A,1Bを、栓によって密封した状態で分析所へ搬送すれば、2つのガス成分捕集器1A,1Bが同条件の履歴をもつ。
容器108を、開閉可能な構造にしておけば、分析所にてガス成分捕集器1A,1Bを取り出し、それぞれ分析して比較すれば、容易に呼気成分の対照実験を行うことが可能となる。
なお、ガス成分捕集器1Bの下流にポンプ203が配管を介して接続され、ポンプ203を作動させることで、呼気捕集時のガス成分捕集器1A,1Bを通過するガスの量を同じにしてもよい。
なお、図4に示すような単一のガス成分捕集器1を用いるタイプでも、ガス成分捕集器1を2つ用い、一方のガス成分捕集器1をガス成分捕集装置100に設置し、他方のガス成分捕集器1をガス成分捕集装置100に設置しない状態で、図5を参照して前記した方法と同様の呼気捕集作業を行えば、2つのガス成分捕集器1を別の装置としたままで、図5と同様の効果を得ることができる。
(ガス成分捕集器の製造方法)
次に、図6から図8を参照して、本実施形態に係るガス成分捕集器1の製造方法に関する説明を行う。
なお、図6から図8におけるフィルタ部3aは、図2に示すフィルタ部3の一方のメッシュ33およびメッシュ固定リング34を排した構成となっている。
図6は、本実施形態に係るフィルタ部製造装置の模式図であり、(a)は、フィルタ部製造装置の側断面の模式図であり、(b)は、製造中のフィルタ部を上から見た図である。
図6(a)に示すように、フィルタ部製造装置201は、フィルタ台202と、ポンプ203と、配管204,205とを有して構成される。
フィルタ台202は、フィルタ部3aを載置し、中央にポンプ203へ接続される配管204を接続するための穴があり、フィルタ台202と、ポンプ203とが配管204を介して接続された構造となっている。
ポンプ203は、フィルタ台202に接続された配管204の一端に接続され、フィルタ台202上の空気を吸引する機能を有する。
配管205は、ポンプ203に接続され、ポンプ203が吸引した空気を外部へ誘導する機能を有する。
フィルタ台202には、一方の面のみにメッシュ33が固定されたフィルタ部3aが、メッシュ33の固定された面を下にして載置される。そして、載置されたフィルタ部3aの吸着剤保持プレート32上には、吸着剤31が撒布される。ポンプ203が作動すると、フィルタ台202上の空気が吸引される。この際、図6(b)に示すように、吸着剤保持プレート32の孔部35を介して、フィルタ部3a上の空気が吸引される。これに伴い、吸着剤保持プレート32上の吸着剤31が、孔部35に吸引される。孔部35の下端は、メッシュ33が設置されているので、吸引された吸着剤31は、フィルタ台202に達することなく、孔部35に充填されることとなる。孔部35に入りきれなかった吸着剤31は、板状の吸着剤除去用具(図示せず)を用いて除去される。
次に、図6を参照しつつ、図7に沿ってガス成分捕集器1の製造方法の詳細な手順を説明する。
図7は、ガス成分捕集器の製造方法の手順を示すフローチャートである。
まず、メッシュ33が、吸着剤保持プレート32の一方の面に、メッシュ固定リング34を用いて固定される(S101)。
次に、フィルタ部3aが、メッシュ33を固定した面を下にして、フィルタ台202に載置され(S102)、吸着剤31が、吸着剤保持プレート32上に撒布される(S103)。
次に、ポンプ203が作動されることによって、吸着剤31が、吸着剤保持プレート32の孔部35に充填される(S104)。
吸着剤保持プレート32の上面と同じ高さ、または上面より高い位置まで吸着剤31が、充填されたら、板状の吸着剤除去用具で吸着剤保持プレートの上面をならすことで、孔部35に充填されなかった吸着剤31および孔部35に収まりきれていない余分な吸着剤31を除去する(S105)。
その後、吸着剤保持プレート32のメッシュ33が固定されていない面にメッシュ33が載せられ、当該メッシュ33が、メッシュ固定リング34で固定される(S106)ことにより、フィルタ部3aが完成する。
次に、保持容器2にOリング7(図1参照)が設置される(S107)。
続いて、フィルタ部3aを保持容器2に収容し、フィルタ部3aと、保持容器2のOリング7(図1参照)とを図示しないネジで固定する(S108)ことによって、ガス成分捕集器1が完成する。
従来の吸着剤31の充填作業は、ピンセットなどを用いて、1つ1つの吸着剤31を孔部35に充填しており、多くの作業時間を必要としていた。また充填中に、ピンセットによって吸着剤31が弾かれて、飛散してしまうといった問題があった。
本実施形態のように、吸着剤31の孔部35への充填を、ポンプ203の吸引によって行うことで、吸着剤31の飛散を防ぎ、効率のよい充填が可能となる。発明者らが作業を行った場合で比較すると、従来方式による吸着剤31の充填作業時間が約60分/枚であったのに対し、本実施形態による吸着剤31の充填作業時間は約5分/枚と大幅な改善効果が得られた。
なお、本実施形態では、図6(a)に示すようにフィルタ台202に設置したフィルタ部3a上に吸着剤31を撒布し、フィルタ部3aの上方から下方へ周辺空気をポンプ203によって吸引することで、吸着剤31を孔部35に充填したが、これに限らず、図6(a)の構成を上下逆にしてもよい。すなわち、フィルタ部3aの下方から上方へ、周辺空気をポンプ203によって吸引することで、フィルタ部3aの下に撒布された吸着剤31を上方へ吸引し、孔部35へ充填してもよい。
図8は、フィルタ部を複数同時に製造するフィルタ部製造装置の模式図である。
図8において、図6と同様の要素に関しては、図6と同一の符号を付して説明を省略する。
図8のフィルタ部製造装置201aでは、複数のフィルタ台202が設けられている。それぞれのフィルタ台202には、同一のポンプ203へ接続される配管204aが接続されている。このような構成とすることで、ポンプ203を作動させると、複数のフィルタ台202上の空気が吸引され、それぞれのフィルタ台202上に載置されているフィルタ部3aにおける吸着剤31の充填作業を同時に行うことができる。それぞれのフィルタ台202上におけるフィルタ部3aの製造、および製造したフィルタ部3aを保持容器2に収容して、ガス成分捕集器1を製造する手順は、図7と同様であるので詳細な説明を省略する。
(不活性ガスを用いるガス成分分析装置)
次に、図9〜図19を参照して、ガス成分分析装置301,401およびガス成分分析方法の説明を行う。なお、本実施形態では、ガスクロマトグラフィをGC(Gas Chromatography)、高速液体クロマトグラフィをHPLC(High Performance Liquid Chromatography)、質量分析計をMS(Mass Spectrometer)、ガスクロマトグラフィと質量分析計を結合した装置をGC/MS(Gas Chromatography/Mass Spectrometer)と、それぞれ略記することとする。
図9〜図14は、呼気成分の抽出に不活性ガスを用いるガス成分分析装置301およびガス成分分析方法の説明であり、図15〜図19は、呼気成分の抽出に溶媒を用いるガス成分分析装置401およびガス成分分析方法の説明である。
また、図9〜図19において図1および図2と同様の要素に関しては、同一の符号を付して説明を省略する。
図9は、本実施形態において不活性ガスを用いるガス成分分析装置の模式図である。
ガス成分分析装置301は、不活性ガス発生装置302(キャリアガス導入部)、加熱装置303(加熱部)、ガス成分捕集器1、パージ弁304、濃縮部305、GC306(成分分離部)および分析計307(分析部)と、これらを接続する配管308〜311とを有してなる。
不活性ガス発生装置302は、配管308,309およびガス成分捕集器1内の周辺大気を排し、また吸着剤31から脱離した呼気成分を、濃縮部305まで送るための不活性ガスを発生する機能を有する。不活性ガス発生装置302によって発生された不活性ガスは、配管308を介して、ガス成分捕集器1へ送られる。
加熱装置303は、内部にガス成分捕集器1を収容し、ガス成分捕集器1ごとフィルタ部3(図1参照)を加熱する機能を有する。加熱装置303には、例えば、電気ヒータや赤外線ヒータなどを用いる。加熱装置303によってガス成分捕集器1ごと吸着剤31を加熱し、脱離した呼気成分を含むガスは、例えば、不活性ガス発生装置302で発生されたヘリウムガスなどの不活性ガスをキャリアガスに用いて濃縮部305へ搬送する。
パージ弁304は、不活性ガスを用いて、ガス成分捕集器1や配管309内の周辺大気を外部へ排出する機能を有する。
濃縮部305は、送られた呼気成分を、呼気成分を再度濃縮し、その後、急速に加熱脱離することによって分析計307における分析の分解能を向上させる機能を有する。濃縮部305には、例えば、細いキャピラリカラムをペルチェ素子や液体窒素などで冷却して成分を吸着させるコールドトラップを利用することもできる。
GC306は、呼気成分を構成する各成分の分離を行う機能を有する。
分析計307は、GC306によって分離された各成分の量を計測する。分析計307には、イオンモビリティ、質量分析計(MS)、電子捕獲型検出器(ECD:electron capture detector)、水素炎イオン化検出器(FID:flame ionization detector)などが使えるが、これらに限定したものではなく、成分を分析できるものであればどのような分析計307でも構わない。
(不活性ガス成分を用いるガス成分分析装置の他の例)
次に、図9を参照しつつ、図10〜図13に沿って図9に示すガス成分分析装置301の他の例を示す。
図10〜図13は、本実施形態における不活性ガスを用いるガス成分分析装置の他の例を示す模式図である。図10〜図13において、図9と同様の要素に関しては同一の符号を付し、説明を省略する。
パージ弁304は、不活性ガスを用いて、ガス成分捕集器1や配管309内に拡散された周辺大気を外部へ排出する。パージをする時は、加熱装置303は加熱を行わない状態に保つ。加熱を行わず、フィルタ部3の温度が低い状態では、呼気成分の脱離が無いため、パージによる呼気成分の損失は抑えられる。分析時にガス成分捕集器1や配管309内に拡散された周辺大気が問題にならない場合、ガス成分分析装置301aは、図10に示すようにパージ弁304を使わなくてもよい。
濃縮部305ではガスの濃縮、脱離を行い、GC306分解能を向上させるが、十分な分解能が得られている場合、ガス成分分析装置301bは、図11に示すように濃縮部305を使わなくてもよい。
また、ガス成分捕集器1や配管309内に拡散した周辺大気および分解能が問題にならない場合、ガス成分分析装置301cは、図12に示すようにパージ弁304および濃縮部305を省略した構成としてもよい。
さらに、呼気成分を含むガスを分離する必要が無い場合、ガス成分分析装置301dは、図13に示すようにGC306を省略した構成としてもよい。図13では、ガス成分捕集器1や配管309内に拡散した周辺大気および分解能も問題にならないとして、パージ弁304および濃縮部305も省略されている。
(不活性ガスを用いるガス成分分析方法)
次に、図2、図4および図9を参照しつつ、図14に沿って、本実施形態における不活性ガスを用いるガス成分分析方法を説明する。
図14は、本実施形態における不活性ガスを用いるガス成分分析の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、ガス成分捕集器1が高温でベーキングされ(S201)、吸着剤31に吸着している未知のガス成分を前もって脱離しておく。
次に、窒素やヘリウムなどのクリーンなガス雰囲気下でガス成分捕集器1が、所定の温度まで冷却された後に(S202)、ガス成分捕集器1が、ガス成分捕集装置100に設置される(S203)。
次に、前記した方法によって呼気成分の捕集が行われる(S204)。このとき、揮発性の高い呼気成分を測定したい場合は、吸着剤31およびガス成分捕集器1を冷却しながら採取すると、呼気成分を効率よく吸着剤31表面に吸着することができるので、分析時に感度のよい分析を行うことが可能となる。逆に揮発性の低い呼気成分を測定したい場合には、吸着剤31およびガス成分捕集器1を呼気成分が脱離しない程度の温度に加熱しながら採取を行うと、揮発性の高い夾雑成分は吸着剤31に吸着されにくくなるため、分析時にノイズ成分の影響を小さくすることが可能となる。なお、呼気の捕集時には、ガス排気袋103(図4または図5参照)あるいは積算流量計などで、捕集したガス流量を計測しながら、呼気を捕集する。呼気の捕集量は0.2L程度が適当である。使用する分析計307の感度、対象とする呼気成分により、捕集量は適度に調節する。
呼気を捕集した後、ガス成分捕集装置100からガス成分捕集器1が取り外され、取り外されたガス成分捕集器1が、ガス成分分析装置301の加熱装置303に設置される(S205)。より詳細に説明すると、ガス成分捕集装置100からガス成分捕集器1を取り外すと同時に、接合部4にキャップなどの栓をし、ガス成分捕集器1内を密封した状態とする。そして、この状態のガス成分捕集器1を、ガス成分分析装置301へ運び、栓が外された後、ガス成分捕集器1は、直ちにガス成分分析装置301の加熱装置303へ設置される。このように、ガス成分捕集器1の加熱装置303への設置は、ガス成分捕集器1の栓を外して行うのみの簡便な操作で設置が可能であり、設定時や、移動時におけるコンタミネーションを防ぐことができる。
ガス成分捕集器1の栓をわずかな時間でも開放した場合、ガス成分捕集器1内に流入した周辺大気が配管309内に拡散する恐れがあるため、不活性ガス発生装置302が、不活性ガスを発生させると同時に、パージ弁304が開放される。これにより、不活性ガスを、配管308、ガス成分捕集器1および配管309に流し、配管内に拡散した周辺大気をパージする(S206)。パージ弁304を用いない場合(図10、図12および図13参照)は、ステップS206の工程は省略することができる。パージが完了したら、パージ弁304が閉められる。
次に、加熱装置303が、ガス成分捕集器1ごとフィルタ部3を加熱し、吸着剤31に吸着されている呼気成分を脱離する(S207)。加熱には、例えば電気ヒータなどを用いる。脱離した呼気成分は、不活性ガス発生装置302が発生した不活性ガスによって、配管309を介して濃縮部305へ送られる。濃縮部305では、分析の分解能を向上させるため、例えばコールドトラップを用い、低温にした濃縮部305内の吸着剤へ呼気成分を再度濃縮し、その後、急速に加熱脱離する(S208)。濃縮部305を用いない場合(図11、図12および図13参照)は、ステップS208の工程を省略することができる。
脱離した呼気成分は配管310を通してGC306へ搬送される。そして、GC306で呼気成分中の各成分が分離される(S209)。
分離された各成分は、配管311を通して分析計307へ送られ、分析計307によって送られた各成分が分析される(S210)。GC306を用いない場合(図14参照)は、ステップS209の工程を省略することができる。
測定を終了した後の吸着剤31は、不活性ガス雰囲気下で加熱して吸着していた成分を完全に脱離(S211)させることにより再利用することもできる。その場合、ガス成分捕集器1の両端に栓をし、ガス成分捕集器1を密封し、大気中の夾雑成分がコンタミネーションしないように保存しておく。
(溶媒を用いるガス成分分析装置)
図15は、本実施形態における溶媒を用いるガス成分分析装置の模式図である。
図15に示すようにガス成分分析装置401は、溶媒を用いて、吸着剤31(図2参照)に吸着している呼気成分を抽出する抽出部402、および抽出部402で抽出された呼気成分を分析する成分分析部403を有してなる。
抽出部402は、ガス成分捕集器1の2つの接合部4(図1参照)にそれぞれ配管407,408を接続した構成となっている。ここで、配管407は、請求項における溶媒導入部である。
また、成分分析部403は、溶媒置換部404、HPLC405(成分分離部)および分析計406と、これらを接続する配管409〜411とを有してなる。ここで、配管409は、溶媒置換部404へ、呼気成分が溶解している溶媒を導入する機能を有する
溶媒置換部404は、抽出に用いた溶媒がイオン化しにくい溶媒の場合、溶媒を蒸発させた後、水や他の溶媒で抽出に用いた溶媒を置換する機能を有する。なお、溶媒置換部404を、水や他の溶媒で抽出に用いた溶媒を希釈する機能を有する希釈部に置き換えてもよい。
HPLC405は、溶媒に抽出されている呼気成分を構成する各成分の分離を行う機能を有する。
分析計406は、図9〜図13における分析計307と同様の機能を有する。
次に、図15を参照しつつ、図16〜図18に沿って図15に示すガス成分分析装置401の他の例を示す。
図16〜図18は、本実施形態における溶媒を用いるガス成分分析装置の他の例を示す模式図である。図16〜図18において、図15と同様の要素に関しては同一の符号を付し、説明を省略する。
抽出に用いた溶媒がイオン化しやすく、水や他の溶媒による溶媒の置換、または水や他の溶媒による溶媒の希釈を行う必要が無い場合、ガス成分分析装置401aは、図16に示すように溶媒置換部404、または図示しない希釈部を省略した成分分析部403aを有する構成としてもよい。
さらに、溶媒に抽出されている呼気成分中の各成分を分離する必要がない場合、ガス成分分析装置401bは、図17に示すようにHPLC405を省略した成分分析部403bを有する構成としてもよい。
また、水や他の溶媒による溶媒の置換や、水や他の溶媒による溶媒の希釈、および呼気成分中の各成分の分離が必要ない場合、図18に示すガス成分分析装置401cは、図18に示すように溶媒置換部404や、図示しない希釈部、およびHPLC405を省略した成分分析部403cを有する構成としてもよい。
次に、図2、図4および図15を参照しつつ、図19に沿って本実施形態の溶媒を用いるガス成分分析方法を説明する。
図19は、本実施形態において溶媒を用いるガス成分分析の処理の流れを示すフローチャートである。
なお、図19において、図15と同様の処理(S201〜S204)については、同一の符号を付し、説明を省略する。
ステップS204の処理で呼気を捕集した後、ガス成分捕集装置100からガス成分捕集器1が、取り外され、ガス成分分析装置401の抽出部402に設置される(S305)。ガス成分捕集器1の取り外し、および設置方法は、図14において説明した方法と同様である。
次に、ガス成分捕集器1の内部に、配管407から溶媒が注入され、溶媒に呼気成分を溶解させることで、呼気成分が抽出された(S306)後、抽出された呼気成分を含む溶媒(抽出液)を配管408から流出させる。
抽出液は、一旦採取された後、フィルタなどに通すことによって夾雑物質が、除去されるなどの前処理を行う(S307)。前処理を行う必要が無い場合はステップ307の工程を省略することができる。
前処理が行われた抽出液は、成分分析部403の配管409から注入され、溶媒置換部404に導入される。そして、抽出に用いた溶媒がイオン化しにくい溶媒の場合は、溶媒置換部404が、溶媒を蒸発させた後に水や他の溶媒で、抽出液の溶媒を置換する(溶媒置換)処理を行う(S308)。溶媒置換部404の代わりに、図示しない希釈部を用いた場合は、ここで水や他の溶媒で、抽出液の溶媒を希釈する処理が行われる。溶媒置換部404または図示しない希釈部を用いない場合(図16および図18参照)は、ステップS308の工程を省略することができる。
ステップS308で溶媒置換が行われた抽出液は、配管410を通してHPLC405へ搬送される。そして、HPLC405で抽出液に溶解している呼気成分中の各成分が分離される(S309)。分離された各成分は、配管411を通して分析計406へ送られ、分析計406によって送られた各成分が分析される(S310)。HPLC405を用いない場合(図17および図18参照)は、ステップS309の工程を省略することができる。
測定を終了した後の吸着剤31は、不活性ガス雰囲気下で加熱して吸着していた成分と溶媒を完全に脱離(S311)させることにより再利用することもできる。その場合、ガス成分捕集器1の両端に栓をし、ガス成分捕集器1を密封し、大気中の夾雑成分がコンタミネーションしないように保存しておく。
このようにガス成分分析装置301,301a〜301d(図9〜図13参照)またはガス成分分析装置401,401a〜401c(図15〜図18参照)への、ガス成分捕集器1の設置は、開口部5(図1参照)で接続する構造としたことにより、容易に設置することができ、かつコンタミネーションを防止することが可能となる。
(実験例)
次に、図20および図21を参照して、本実施形態に係るガス成分捕集器1のコンタミネーションに対する効果の説明を行う。
図20および図21において、図9と同様の要素に関しては同一の符号を付して説明を省略する。
図20は、比較例としてのガス成分分析装置におけるコンタミネーションの影響を示す図であり、(a)は、比較例としてのガス成分分析装置の構成を示す模式図であり、(b)は、比較例におけるアセトンのフラグメントイオンのマスクロマトグラフを示す図であり、(c)は、比較例におけるアセトンのフラグメントイオンのスペクトルを示す図である。
図21は、本実施形態に係るガス成分分析装置におけるコンタミネーションの影響を示す図であり、(a)は、本実施形態のガス成分分析装置の構成を示す模式図であり、(b)は、本実施形態におけるアセトンのフラグメントイオンのマスクロマトグラフを示す図であり、(c)は、本実施形態におけるアセトンのフラグメントイオンのスペクトルを示す図である。
図20(a)におけるガス成分分析装置501は、まずフィルタ部3を取り出した後(すなわち、フィルタ部3を周辺大気に曝した後)、ランプ加熱などを使用した加熱装置502に設置する。後の分析処理は、本実施形態における分析処理と同様である。
図21(a)におけるガス成分分析装置301は、図9におけるガス成分分析装置301と同様の装置である。
図20および図21におけるフィルタ部3およびガス成分捕集器1は、共に不活性ガス雰囲気下で加熱して、吸着剤31に吸着していた物質を完全に除去した後、それぞれの加熱装置502,303へ設置し、バックグラウンドの分析を行った。比較対象とした物質は、周辺大気に含まれているアセトンとした。アセトンは正でイオン化した親イオン(m/z=59)をMS/MS(多段質量分析法)した後のフラグメントイオン(m/z=31)と(m/z=41)を測定対象とした。ここで、m/zは、質量/電荷比(イオンの質量数(m)を電荷数(z)で割った値)である。
図20(b)および図21(b)において、下向きの矢印で示した時刻におけるスペクトルを示したのが、図20(c)および図21(c)である。図20(c)および図21(c)において、「m/z=31」および「m/z=41」で示されるピークがアセトンを示す。なお、図20(b)および図21(b)において、縦軸はイオン強度を示し、横軸は時間を示す。また、図20(c)および図21(c)において、縦軸はイオン強度を示し、横軸はm/zを示す。
図20(c)および図21(c)のスペクトルを比較すると、図21(c)の方が、アセトンの検出量が少ないことがわかる。このことより、本実施形態におけるガス成分捕集器1におけるアセトンのコンタミネーションが少ないことがわかる。
(効果)
図1および図2に示すように、保持容器2は、フィルタ部3の第1の面側または第2の面側の少なくともいずれかに、ガスを導入する第1の開口部5と、導入されたガスを排出させる第2の開口部5とを備え、フィルタ部3を保持容器2の内部に収容する構造としたことで、フィルタ部3を周辺大気から隔離することが可能となり、フィルタ部3へのコンタミネーションを防ぐことが可能となった。
また、フィルタ部3は、吸着剤31の全体積をV、孔部35の開口面積の総和をA、孔部35の平均長さをLとしたとき、(AL−V)/L≧0.003mm、かつV/AL≧0.3を満たす構造としたことで、分析対象のガス成分の捕集時の圧力損失を減少させ、被検者107の負担を軽減することができる。
さらに、2つの開口部5は栓をすることが可能な形状であり、ガス成分捕集器1の内部を密封できる構造としたことで、移動時やガス成分分析装置301への設置時のコンタミネーションを防止することができる。
フィルタ部3と、保持容器2との間に、シーリング手段を有する構造としたことで、フィルタ部3の周囲から分析対象のガス成分が漏れることを防止することができる。
ガス成分捕集装置100(図4参照)やガス成分分析装置301,401(図9および図15参照)への、ガス成分捕集器1の設置は、開口部5で接続する構造としたことにより、容易に設置することができ、かつコンタミネーションを防止することが可能となる。
図6に示すように、吸着剤を充填する前のフィルタ部3aの第1の面を、吸着剤31の粒径よりも目が細かいメッシュ33で覆う工程、気体を吸引するポンプ203を供えたフィルタ台202に、メッシュ33で覆った第1の面がポンプ203に面するようにフィルタ部3aを載置する工程、ポンプ203から気体を吸引することにより、気体とともに吸着剤31を吸引し、孔部35に吸着剤31を充填する工程、第2の面から余分な吸着剤31を除去する工程、第2の面を、メッシュ33で覆う工程を含んでなることを特徴とするフィルタ部3の製造方法としたことで、吸着剤31の飛散を防止し、作業時間を短縮することが可能となった。
また、図8に示すように複数のフィルタ台202に複数のフィルタ部3aを載置し、同時にポンプ203から吸着剤31を吸引することにより、複数のフィルタ部3を同時に製造することが可能となった。
本実施形態に係るガス成分捕集器の断面模式図である。 本実施形態に係るフィルタ部の構成を示す図であり、(a)は、フィルタ部の側断面を示す図であり、(b)は、フィルタ部を上から見た平面図である。 本実施形態に係るガス成分捕集器の他の例を示す図であり、(a)は、保持容器の形状に傾斜を設けた例であり、(b)は、保持容器が、フィルタ部の表面を最小限覆った例である。 本実施形態に係るガス成分捕集装置の模式図である。 本実施形態に係るガス成分捕集器を2つ有するガス成分捕集装置の模式図である。 本実施形態に係るフィルタ部製造装置の模式図であり、(a)は、フィルタブ製造装置の側断面の模式図であり、(b)は、製造中のフィルタ部を上から見た図である。 ガス成分捕集器の製造方法の手順を示すフローチャートである。 フィルタ部を複数同時に製造するフィルタ部製造装置の模式図である。 本実施形態において不活性ガスを用いるガス成分分析装置の模式図である。 本実施形態における不活性ガスを用いるガス成分分析装置の他の例を示す模式図である(その1)。 本実施形態における不活性ガスを用いるガス成分分析装置の他の例を示す模式図である(その2)。 本実施形態における不活性ガスを用いるガス成分分析装置の他の例を示す模式図である(その3)。 本実施形態における不活性ガスを用いるガス成分分析装置の他の例を示す模式図である(その4)。 本実施形態における不活性ガスを用いるガス成分分析の処理の流れを示すフローチャートである。 本実施形態における溶媒を用いるガス成分分析装置の模式図である。 本実施形態における溶媒を用いるガス成分分析装置の他の例を示す模式図である(その1)。 本実施形態における溶媒を用いるガス成分分析装置の他の例を示す模式図である(その2)。 本実施形態における溶媒を用いるガス成分分析装置の他の例を示す模式図である(その3)。 本実施形態において溶媒を用いるガス成分分析の処理の流れを示すフローチャートである。 比較例としてのガス成分分析装置におけるコンタミネーションの影響を示す図であり、(a)は、比較例としてのガス成分分析装置の構成を示す模式図であり、(b)は、比較例におけるアセトンのフラグメントイオンのマスクロマトグラフを示す図であり、(c)は、比較例におけるアセトンのフラグメントイオンのスペクトルを示す図である。 本実施形態に係るガス成分分析装置におけるコンタミネーションの影響を示す図であり、(a)は、本実施形態のガス成分分析装置の構成を示す模式図であり、(b)は、本実施形態におけるアセトンのフラグメントイオンのマスクロマトグラフを示す図であり、(c)は、本実施形態におけるアセトンのフラグメントイオンのスペクトルを示す図である。
符号の説明
1,1A,1B,1a,1b ガス成分捕集器
2,2a,2b 保持容器
3,3a フィルタ部
4 接合部
5 開口部(第1の開口部,第2の開口部)
7 Oリング
31 吸着剤
32 吸着剤保持プレート
33 メッシュ
34 メッシュ固定リング
35 孔部
100,100a ガス成分捕集装置
101 呼気導入部
102 逆止弁
103 ガス排気袋
107 被検者
201,201a フィルタ部製造装置
202 フィルタ台
203 ポンプ
301,301a〜301d,401,401a〜401c,501 ガス成分分析装置
302 不活性ガス発生装置
303,502 加熱装置(加熱部)
304 パージ弁
305 濃縮部
306 GC
307,406 分析計(分析部)
402 抽出部
403,403a〜403c 成分分析部
404 溶媒置換部
405 HPLC(成分分離部)

Claims (34)

  1. 第1の面から第2の面へと貫通し、分析対象のガス成分を吸着する吸着剤が充填される孔部を複数有し、前記吸着剤の全体積をV、前記孔部の開口面積の総和をA、前記孔部の平均長さをLとしたとき、(AL−V)/L≧0.003mm、かつV/AL≧0.3を満たすフィルタと、
    前記フィルタを内部に収容する保持容器とを有するガス成分捕集器であって、
    前記保持容器は、前記フィルタの前記第1の面側または前記第2の面側の少なくともいずれかに、ガスを導入する第1の開口部と、導入されたガスを排出させる第2の開口部とを備えることを特徴とするガス成分捕集器。
  2. 前記第1の開口部または前記第2の開口部は、栓をすることが可能な形状であり、前記ガス成分捕集器の内部を密封できることを特徴とする請求項1に記載のガス成分捕集器。
  3. 前記フィルタと前記保持容器との間に、シーリング手段を有することを特徴とする請求項1に記載のガス成分捕集器。
  4. 前記シーリング手段は、金属のシールリングによりシールする構成であることを特徴とする請求項3に記載のガス成分捕集器。
  5. 前記第1の開口部または前記第2の開口部の少なくともいずれかの開口面積は、前記孔部の開口面積の総和より小さいことを特徴とする請求項1に記載のガス成分捕集器。
  6. 前記保持容器の内部の空間の体積をD、前記分析対象のガス成分の前記吸着剤への吸着量をB、大気に含まれる前記分析対象のガス成分のガス濃度をCとしたとき、B>C×Dを満たすことを特徴とする請求項1に記載のガス成分捕集器。
  7. 分析対象となるガス成分を捕集するガス成分捕集装置であって、
    前記ガス成分捕集装置は、ガスを導入するガス導入部と、前記ガス導入部と第1の配管を介して接続し、前記ガスに含まれる分析対象のガス成分を選択捕集するガス成分捕集器と、前記導入されたガスを前記ガス成分捕集装置の外部へ排出する第2の配管とを有し、
    前記ガス成分捕集器は、
    第1の面から第2の面へと貫通し、分析対象のガス成分を吸着する吸着剤が充填される孔部を複数有し、前記吸着剤の全体積をV、前記孔部の開口面積の総和をA、前記孔部の平均長さをLとしたとき、(AL−V)/L≧0.003mm、かつV/AL≧0.3を満たすフィルタと、
    前記フィルタの前記第1の面側に前記第1の配管と接続される第1の開口部、および前記第2の面側に、前記第2の配管と接続される第2の開口部とを備える前記フィルタを内部に収容する保持容器とを有し、
    前記第1の開口部および前記第2の開口部で、前記ガス成分捕集器を、前記ガス成分捕集装置に脱着可能であることを特徴とするガス成分捕集装置。
  8. ガスの量を計測するガス量計測部が、前記第2の配管の前記ガス成分捕集器が接続されていない側の末端に接続されていることを特徴とする請求項7に記載のガス成分捕集装置。
  9. 前記ガス量計測部は、積算流量計であることを特徴とする請求項8に記載のガス成分捕集装置。
  10. 前記ガス量計測部は、特定の容量を持つ袋であることを特徴とする請求項8に記載のガス成分捕集装置。
  11. 前記第2の配管に、ガスの逆流を防止する弁を設けたことを特徴とする請求項7に記載のガス成分捕集装置。
  12. 前記ガス成分捕集器を少なくとも2つ備えたことを特徴とする請求項7に記載のガス成分捕集装置。
  13. 前記保持容器の内部の空間の体積をD、前記分析対象のガス成分の前記吸着剤への吸着量をB、大気に含まれる前記分析対象のガス成分のガス濃度をCとしたとき、B>C×Dを満たすことを特徴とする請求項7に記載のガス成分捕集装置。
  14. 第1の面から第2の面へと貫通し、分析対象のガス成分を吸着する粒状の吸着剤が充填された孔部を複数有するフィルタの製造方法であって、
    前記吸着剤を充填する前のフィルタの前記第1の面を、前記吸着剤の粒径よりも目が細かいメッシュで覆う工程、
    気体を吸引する吸引部を供えたフィルタ台に、前記メッシュで覆った第1の面が前記吸引部に面するように前記フィルタを載置する工程、
    前記吸引部から気体を吸引することにより、気体とともに前記吸着剤を吸引し、前記孔部に前記吸着剤を充填する工程、
    前記第2の面から余分な吸着剤を除去する工程、
    前記第2の面を、前記メッシュで覆う工程、
    を含んでなることを特徴とするフィルタの製造方法。
  15. 複数の前記フィルタを、フィルタ台に載置することによって、1度に複数のフィルタを製造することを特徴とする請求項14に記載のフィルタの製造方法。
  16. 分析対象のガス成分の分析を行うガス成分分析装置であって、
    前記分析対象のガス成分を捕集しているガス成分捕集器と、
    前記ガス成分捕集器を加熱する加熱部と、
    前記ガス成分捕集器と接続し、前記分析対象のガス成分を分析する分析部と、
    前記ガス成分捕集器から分離された前記分析対象のガス成分を、前記分析部へ送るキャリアガスを、前記ガス成分捕集器へ導入するキャリアガス導入部とを有し、
    前記ガス成分捕集器は、
    第1の面から第2の面へと貫通し、分析対象のガス成分を吸着する吸着剤が充填される孔部を複数有し、前記吸着剤の全体積をV、前記孔部の開口面積の総和をA、前記孔部の平均長さをLとしたとき、(AL−V)/L≧0.003mm、かつV/AL≧0.3を満たすフィルタと、
    前記第1の面側に、ガスを導入する第1の開口部と、前記第2の面側に、前記導入されたガスを排出させる第2の開口部とを設け、前記フィルタを内部に収容する保持容器とを有し、
    前記ガス成分捕集器は、前記第1の開口部および前記第2の開口部で、前記ガス成分分析装置に脱着可能であることを特徴とするガス成分分析装置。
  17. 前記ガス成分捕集器と、前記分析部との間に、前記ガス成分捕集器から送られた前記分析対象のガス成分を濃縮し、加熱する濃縮部をさらに有することを特徴とする請求項16に記載のガス成分分析装置。
  18. 前記ガス成分捕集器と、前記分析部との間に、パージ部をさらに有することを特徴とする請求項16に記載のガス成分分析装置。
  19. 前記ガス成分捕集器と、前記分析部との間に、前記ガス成分捕集器から送られた前記分析対象のガス成分に含まれる各成分を分離する成分分離部をさらに有することを特徴とする請求項16に記載のガス成分分析装置。
  20. 前記成分分離部は、ガスクロマトグラフィであることを特徴とする請求項19に記載のガス成分分析装置。
  21. 分析対象のガス成分の分析を行うガス成分分析装置であって、
    前記分析対象のガス成分を捕集しているガス成分捕集器と、
    前記分析対象のガス成分を分析する分析部と、
    前記ガス成分捕集器内に吸着された前記分析対象のガス成分を溶解し、溶解された前記分析対象のガス成分を前記分析部へ送る溶媒を、前記ガス成分捕集器へ導入する溶媒導入部とを有し、
    前記ガス成分捕集器は、
    第1の面から第2の面へと貫通し、分析対象のガス成分を吸着する吸着剤が充填される孔部を複数有し、前記吸着剤の全体積をV、前記孔部の開口面積の総和をA、前記孔部の平均長さをLとしたとき、(AL−V)/L≧0.003mm、かつV/AL≧0.3を満たすフィルタと、
    前記第1の面側に、ガスを導入する第1の開口部と、前記第2の面側に、導入されたガスを排出させる第2の開口部とを設け、前記フィルタを内部に収容する保持容器とを有し、
    前記ガス成分捕集器は、前記第1の開口部および前記第2の開口部で、前記ガス成分分析装置に脱着可能であることを特徴とするガス成分分析装置。
  22. 前記ガス成分捕集器と、前記分析部との間に、前記分析対象のガス成分が溶解した溶媒を、水または前記溶媒とは別の溶媒で置換する溶媒置換部、または前記分析対象のガス成分が溶解した溶媒を、水または前記溶媒とは別の溶媒で希釈する希釈部をさらに有することを特徴とする請求項21に記載のガス成分分析装置。
  23. 前記ガス成分捕集器と、前記分析部との間に、前記溶媒に溶解している前記分析対象のガス成分の各成分を分離する成分分離部をさらに有することを特徴とする請求項21に記載のガス成分分析装置。
  24. 前記成分分離部は、液体クロマトグラフィであることを特徴とする請求項23に記載のガス成分分析装置。
  25. 分析対象のガス成分を捕集しているガス成分捕集器と、
    前記ガス成分捕集器を加熱する加熱部と、
    前記ガス成分捕集器と接続し、前記分析対象のガス成分を分析する分析部と、
    前記ガス成分捕集器から分離された前記分析対象のガス成分を、前記分析部へ送るキャリアガスを、前記ガス成分捕集器へ導入するキャリアガス導入部とを有し、
    前記ガス成分捕集器は、
    第1の面から第2の面へと貫通し、分析対象のガス成分を吸着する吸着剤が充填される孔部を複数有し、前記吸着剤の全体積をV、前記孔部の開口面積の総和をA、前記孔部の平均長さをLとしたとき、(AL−V)/L≧0.003mm、かつV/AL≧0.3を満たすフィルタと、
    前記第1の面側に、ガスを導入する第1の開口部と、前記第2の面側に、導入されたガスを排出させる第2の開口部とを設け、前記フィルタを内部に収容する保持容器とを有し、
    前記ガス成分捕集器は、前記第1の開口部および前記第2の開口部で、ガス成分分析装置に脱着可能であることを特徴とするガス成分分析装置のガス成分分析方法であって、
    前記加熱部が、前記分析対象のガス成分を捕集している前記ガス成分捕集器を加熱し、
    前記キャリアガス導入部から導入されたキャリアガスが、前記加熱によって、前記ガス成分捕集器の前記吸着剤から脱離された前記分析対象のガス成分を、前記分析部へ送り、
    前記分析部が、前記送られた分析対象のガス成分を分析することを特徴とするガス成分分析方法。
  26. 前記ガス成分分析装置は、
    前記ガス成分捕集器と、前記分析部との間に、濃縮部をさらに有し、
    前記濃縮部が、前記ガス成分捕集器から送られた前記分析対象のガス成分を濃縮し、加熱することを特徴とする請求項25に記載のガス成分分析方法。
  27. 前記ガス成分分析装置は、
    前記ガス成分捕集器と、前記分析部との間に、パージ部をさらに有し、
    前記ガス成分捕集器を加熱する処理の前に、前記キャリアガス導入部からキャリアガスが導入された後、前記パージ部が開放されることを特徴とする請求項25に記載のガス成分分析方法。
  28. 前記ガス成分分析装置は、
    前記ガス成分捕集器と、前記分析部との間に、成分分離部をさらに有し、
    前記成分分離部が、前記ガス成分捕集器から送られた分析対象のガス成分に含まれる各成分を分離し、前記分離した各成分を前記分析部へ送り、
    前記分析部が、前記送られた各成分を分析することを特徴とする請求項25に記載のガス成分分析方法。
  29. 前記成分分離部とは、ガスクロマトグラフィであることを特徴とする請求項28に記載のガス成分分析方法。
  30. 分析対象のガス成分を捕集しているガス成分捕集器と、
    前記分析対象のガス成分を分析する分析部と、
    前記ガス成分捕集器内に吸着された前記分析対象のガス成分を溶解し、溶解された前記分析対象のガス成分を前記分析部へ送る溶媒を、前記ガス成分捕集器へ導入する溶媒導入部とを有し、
    前記ガス成分捕集器は、
    第1の面から第2の面へと貫通し、分析対象のガス成分を吸着する吸着剤が充填される孔部を複数有し、前記吸着剤の全体積をV、前記孔部の開口面積の総和をA、前記孔部の平均長さをLとしたとき、(AL−V)/L≧0.003mm、かつV/AL≧0.3を満たすフィルタと、
    前記第1の面側に、ガスを導入する第1の開口部と、前記第2の面側に、導入されたガスを排出させる第2の開口部とを設け、前記フィルタを内部に収容する保持容器とを有し、
    前記ガス成分捕集器は、前記第1の開口部および前記第2の開口部で、ガス成分分析装置に脱着可能であることを特徴とするガス成分分析装置のガス成分分析方法であって、
    前記溶媒導入部から導入された溶媒が、前記ガス成分捕集器の前記吸着剤に吸着されている前記分析対象のガス成分を溶解し、
    前記分析対象のガス成分を溶解している溶媒が、前記分析部へ送られ、
    前記分析部が、前記送られた溶媒に溶解している分析対象のガス成分を分析することを特徴とするガス成分分析方法。
  31. 前記ガス成分分析装置は、
    前記ガス成分捕集器と、前記分析部との間に、溶媒置換部をさらに有し、
    前記溶媒置換部が、前記分析対象のガス成分が溶解した溶媒を、水または前記溶媒とは別の溶媒で置換することを特徴とする請求項30に記載のガス成分分析方法。
  32. 前記ガス成分分析装置は、
    前記ガス成分捕集器と、前記分析部との間に、希釈部をさらに有し、
    前記希釈部が、前記分析対象のガス成分が溶解した溶媒を、水または前記溶媒とは別の溶媒で希釈することを特徴とする請求項30に記載のガス成分分析方法。
  33. 前記ガス成分分析装置は、
    前記ガス成分捕集器と、前記分析部との間に、成分分離部をさらに有し、
    前記成分分離部が、前記ガス成分捕集器から送られた前記分析対象のガス成分に含まれる各成分を分離し、前記分離した各成分を前記分析部へ送り、
    前記分析部が、前記送られた各成分を分析することを特徴とする請求項30に記載のガス成分分析方法。
  34. 前記成分分離部とは、液体クロマトグラフィであることを特徴とする請求項33に記載のガス成分分析方法。
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