JP3878145B2 - 生化学解析用ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レセプタまたはリガンドを標識物質を利用して検出するための生化学解析用ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マイクロアレイ解析システムやマクロアレイ解析システムにおいては、メンブレンフィルタなどの生化学解析用ユニットの表面の異なる位置に、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなど、生体由来の物質と特異的に結合可能で、かつ、塩基配列や塩基の長さ、組成、特性などが既知のリガンドまたはレセプタを含む溶液を滴下して多数の吸着性領域を形成し、放射線標識物質、蛍光物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質などによって標識されたレセプタまたはリガンド(ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、DNA、mRNAなどの抽出、単離などによって生体から採取された、あるいは、採取された後に化学的処理が施された物質)を、吸着性領域に含まれているリガンドまたはレセプタにハイブリダイズ等させてリガンドまたはレセプタと特異的に結合させ、多数の吸着性領域に選択的に含まれている放射性標識物質によって蓄積性蛍光体シートの輝尽性蛍光体層を露光し、露光された輝尽性蛍光体層を励起光によって走査して、輝尽性蛍光体層に含まれている輝尽性蛍光体を励起し、輝尽性蛍光体から放出された輝尽光を光電的に検出して生化学解析用データを生成し、あるいは、多数の吸着性領域を励起光によって走査して多数の吸着性領域に選択的に含まれている蛍光物質を励起し、蛍光物質から放出された蛍光を光電的に検出して生化学解析用データを生成し、あるいは、多数の吸着性領域に選択的に含まれている標識物質を化学発光基質と接触させ、標識物質から放出される化学発光を光電的に検出して生化学解析用データを生成するシステムが開発されている(特開2002−355036号公報)。
【0003】
これらのシステムによれば、生化学解析用ユニット上に数多くのリガンドまたはレセプタを結合した吸着性領域を高密度に形成して、標識物質によって標識されたレセプタまたはリガンドをハイブリダイズ等させることによって、短時間でレセプタまたはリガンドを解析することが可能になるという利点がある。
【0004】
従来、生化学解析用ユニットを利用した解析システムにおいては、上記ハイブリダイゼーションはハイブリダイゼーションバッグに生化学解析用ユニットを入れ、ここに標識されたレセプタまたはリガンドを含む反応液を加え、ハイブリダイゼーションバッグに振動を加えて標識されたレセプタまたはリガンドを対流あるいは拡散によって移動させて、リガンドまたはレセプタに標識されたレセプタまたはリガンドを特異的に結合させる、いわゆる振盪方式によって行うのが一般的であった。
【0005】
しかし、上述の振盪方式の場合、標識されたレセプタまたはリガンドを含む反応液をリガンドまたはレセプタを含む多数の吸着性領域に均一に接触させることは困難であり、リガンドまたはレセプタと標識されたレセプタまたはリガンドとを効率的に結合させることができないという問題があった。このような問題を解決するために、本出願人は吸着性領域に標識されたレセプタまたはリガンドを含む反応液を強制的に流動させ、標識されたレセプタまたはリガンドを生化学解析用ユニットの吸着性領域の内部にまで充分に浸透させる方法を提案している(特願2002−26816号)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−355036号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記の吸着性領域に反応液を強制的に流動させる方法によれば、吸着性領域の内部にまで充分、標識レセプタまたは標識リガンドを浸透させることができるので、標識レセプタまたは標識リガンドの検出限界を向上させることができるとともに、標識レセプタまたは標識リガンドが微量であってもS/N比の大きい検出を行うことができるという利点がある。
【0008】
しかし、反応液を強制的に流動させると反応液に含まれる標識リガンドまたは標識レセプタの種類や状態によっては、これが凝集して吸着性領域の表面に吸着する場合がある。また、酵素標識抗体を利用してリガンドまたはレセプタを検出する化学発光法においては、酵素標識抗体が多孔性の吸着性領域に詰まってしまい、吸着性領域の発光量のバックグラウンドが大きく上昇するといった問題が生じる。このような凝集した標識リガンドまたは標識レセプタや詰まった酵素標識抗体などは、本来、検出されるはずのないシグナルであって、正確な生化学解析データ生成の妨げとなる。
【0009】
また、基板の片面で吸着性領域を形成する吸着性材料が繋がっている場合には、ある孔から発せられたシグナルがこの吸着性材料を伝わって隣の孔に伝播し、本来、その孔で検出されるべきレセプタまたはリガンドからの信号のみを検出することができなくなり、この場合も、正確な生化学解析データ生成の妨げとなる。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、レセプタまたはリガンドを標識物質を利用して検出する際の標識物質からの信号(シグナル)を、正確に検出することが可能な生化学解析用ユニットを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の生化学解析用ユニットは、複数の孔を有する基板と、前記複数の孔内に充填されて吸着性領域を形成する多孔性の吸着性材料とからなる生化学解析用ユニットにおいて、前記吸着性領域が該吸着性領域において検出され得るノイズシグナルを吸収するシグナル吸収層を有していることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の生化学解析用ユニットは、複数の孔を有する基板と、前記複数の孔内に充填されて吸着性領域を形成する多孔性の吸着性材料とからなり、前記基板の片面で前記吸着性領域を形成する前記吸着性材料が繋がっている生化学解析用ユニットにおいて、前記基板の片面の繋がっている前記吸着性材料を通ってある孔から該孔の隣の孔に向かうシグナルを吸収するシグナル吸収層が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
前記基板の片面で繋がっている前記吸着性材料を通ってある孔から該孔の隣の孔に向かうシグナルを吸収するシグナル吸収層は、吸着性領域を形成する吸着性材料が繋がっている部分のうち基板の真下のみに設けられていてもよいし、前記基板の孔内に充填された吸着性領域の真下のみに設けられていてもよいし、前記吸着性領域を形成する前記吸着性材料が繋がっている部分の全面に設けられていてもよい。
【0014】
【発明の効果】
本発明の生化学解析用ユニットは、複数の孔を有する基板と、この複数の孔内に充填されて吸着性領域を形成する多孔性の吸着性材料とからなる生化学解析用ユニットにおいて、吸着性領域がこの吸着性領域において検出され得るノイズシグナルを吸収するシグナル吸収層を有しているので、凝集した標識リガンドまたは標識レセプタや詰まった酵素標識抗体などから発せられる、本来的に検出されるべきシグナルではないノイズとなるシグナルが吸収されるので、正確な生化学解析データを得ることができる。
【0015】
また、本発明の生化学解析用ユニットは、複数の孔を有する基板と、この複数の孔内に充填されて吸着性領域を形成する多孔性の吸着性材料とからなり、基板の片面で吸着性領域を形成する吸着性材料が繋がっている生化学解析用ユニットにおいて、基板の片面の繋がっている吸着性材料を通ってある孔からこの孔の隣の孔に向かうシグナルを吸収するシグナル吸収層が設けられているので、ある孔で検出されるべきシグナルが基板の片面で繋がっている吸着性材料を伝わって隣の孔に伝播することを効果的に抑制することができ、本来、検出されるべきレセプタまたはリガンドからの信号のみを検出することが可能となり、それぞれの孔からのシグナルを正確に検出することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の第一の実施の形態の生化学解析用ユニットの概略斜視図である。図1に示す生化学解析用ユニット1は、孔3が複数設けられた基板2と、孔3の内部に充填され、吸着性材料が基板2と接着された吸着性領域4とからなる。
【0017】
図2は第一の実施の形態の生化学解析用ユニットの概略部分断面図である。図2に示すように、吸着性領域4を形成する吸着性材料は基板2の片面で繋がっており、吸着性領域4を形成する吸着性材料が繋がっている部分5には、孔3aから隣の孔3bに向かって伝播するシグナルを吸収するシグナル吸収層5が設けられている。基板2の下側部分6は、基板2によって吸着性材料およびシグナル吸収層5が圧縮された部分である。
【0018】
生化学解析用ユニットの吸着性領域に結合されるリガンドまたはレセプタは、吸着性領域の片側から滴下されるため滴下された側により多くのリガンドまたはレセプタが固定されるが、リガンドまたはレセプタを含む溶液の浸潤によって吸着性領域の中央部分よりも下にも固定されてしまう。従って、吸着性領域に固定されたリガンドまたはレセプタに結合したレセプタまたはリガンドを標識物質を利用して検出しようとする場合、標識物質からの信号は吸着性領域のほぼ全体から発せられることになる。このため、基板2の下側部分6で吸着性領域を形成する吸着性材料が繋がっている生化学解析用ユニット1では、この部分を通って孔3aから隣の孔3bに向かってシグナルが伝播する。本発明の生化学解析用ユニットは、基板の下で繋がっている吸着性材料を通って孔3aから孔3bに向かうシグナルを吸収するシグナル吸収層5を設けているため、隣接する孔同士で互いの孔から伝播するシグナルの影響を最小限にすることができる。
【0019】
なお、図2では、シグナル吸収層を基板の片面の全部に設けた対応を示しているが、シグナル吸収層は孔3aから孔3bに向かうシグナルを吸収する態様で、孔3を塞ぐように吸着性領域4の直下のみに設けてもよいし、基板2の下の吸着性領域を形成する吸着性材料が繋がっている部分のみに設けてもよい。
【0020】
但し、シグナル吸収層5を基板の片面の全部に設けた場合、あるいはシグナル吸収層5を孔3を塞ぐように吸着性領域4の直下のみに設けた場合には、吸着性領域の直下のシグナル吸収層に付着した、凝集した標識リガンドまたは標識レセプタあるいは詰まった酵素標識抗体などから発せられる、本来的に検出されるべきシグナルではないノイズシグナルも吸収することができるので、より正確な生化学解析データを得ることができる。
【0021】
図3は、本発明の第二の実施の形態の生化学解析用ユニットの概略部分断面図である。第二の実施の形態の生化学解析用ユニットは、基板の片面で吸着性領域を形成する吸着性材料が繋がっていないもので、複数の孔13を有する基板12と、この複数の孔13内に多孔性の吸着性材料が充填されてなる吸着性領域14とから構成され、吸着性領域14にはこの吸着性領域14において検出され得るノイズシグナルを吸収するシグナル吸収層15を備えてなる。
【0022】
生化学解析用ユニットの吸着性領域に結合されているリガンドまたはレセプタに標識レセプタまたは標識リガンドを特異的に結合させるために反応液を強制的に流動させると、反応液に含まれる標識リガンドまたは標識レセプタが凝集して流動方向の上流側に位置する吸着性領域の表面に吸着しやすくなる。また、酵素標識抗体が化学発光基質を分解する反応を利用してリガンドまたはレセプタを検出する化学発光法においては、酵素標識抗体が流動方向の上流側に位置する吸着性領域に詰まってしまい、吸着性領域の発光量のバックグラウンドが大きく上昇するといった問題が生じる。
【0023】
第二の実施の形態の生化学解析用ユニットは、吸着性領域14の片側にシグナル吸収層15を有しているので、反応液を強制的に流動させるリアクタにこの生化学解析用ユニットを取り付ける際に、反応液の流動方向の上流側にシグナル吸収層15を向けて取り付けることによって、上記した凝集した標識リガンドまたは標識レセプタあるいは酵素標識抗体は、シグナル吸収層15に付着することになる。従って、信号を検出する際に、シグナル吸収層15が設けられていない吸着性領域14側から行うことによって、凝集した標識リガンドまたは標識レセプタあるいは酵素標識抗体から発せられるノイズシグナルはシグナル吸収層15に吸収されて検出されないため、ノイズシグナルがカットされた生化学解析データを生成することができる。
【0024】
なお、図3では孔13の一方の側にシグナル吸収層15、他方の側に吸着性領域14が設けられている生化学解析用ユニットを示しているが、吸着性領域14でシグナル吸収層15を挟むように設けてもよい。
【0025】
生化学解析用ユニットの基板の材質としては、生化学解析用ユニット内部での光の散乱を防止するために、放射線または光を透過させないか、減衰させる材質が好ましく、金属、セラミックが好ましい。また、孔を開ける加工が容易であるプラスチックを基板として用いる場合は、放射線または光をより一層減衰させるために、粒子をプラスチック内部に分散させることが好ましい。
【0026】
金属としては、銅、銀、金、亜鉛、鉛、アルミニウム、チタン、錫、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、タンタルあるいは、ステンレス鋼や黄銅などの合金が好ましくあげられる。セラミックとしては、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、石英などが好ましくあげられる。プラスチックとしては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン−6やナイロン−6,6などの脂肪族ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリジフェニルシロキサンなどのケイ素樹脂、ノボラックなどのフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、酢酸セルロースやニトロセルロースなどのセルロース類、ブタジエン−スチレン共重合体などのコポリマー、さらにはプラスチックをブレンドしたものなどが好ましくあげられる。
【0027】
また、吸着性領域に結合されたリガンドまたはレセプタにレセプタまたはリガンドを特異的に結合させ、レセプタまたはリガンドを標識物質を利用して検出する場合、標識物質から発する放射線または光などが、基板の孔から基板壁を透過することを抑制するため、放射線または光などを減衰させるように、プラスチックに金属酸化物粒子やガラス繊維などを充填することが好ましい。金属酸化物粒子としては、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化鉄、酸化銅などがあげられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0028】
ここで、放射線または光を減衰させる態様としては、標識物質から発せられる放射線または光が基板の孔から基板壁を透過して、隣接する孔に到達する強度が1/5以下となる態様が好ましく、さらに1/10以下となる態様が好ましい。
【0029】
放射性標識物質からの電子線などの放射線を効果的に遮蔽するためには、基板の平均密度は、一般には0.6g/cm3以上であり、好ましくは1〜20g/cm3の範囲にあり、さらには2〜10g/cm3の範囲であることが好ましい。電子線の透過距離は密度に反比例するので、放射性物質が、32P、33P、35S、14Cなどのような一般的な放射性同位元素(RI)であれば、基板の平均密度をこの範囲とすることにより、各孔内に固定されることになる試料のRIからの電子線を基板の隔壁で遮蔽して、電子線の透過、散乱による放射線画像の分解能の低下を防ぐことができる。
【0030】
基板の厚みは、一般には50〜1000μmの範囲であることが好ましく、100〜500μmの範囲であることがより好ましい。
【0031】
基板に開ける孔の開口部の面積(サイズ)は、孔の密度を高めるために、一般には5mm2 未満であり、好ましくは1mm2 未満であり、0.3mm2 未満がより好ましく、さらには0.01mm2 未満であることが好ましい。そして、より好ましくは0.001mm2 以上であることが好ましい。
【0032】
孔のピッチ(隣接する二つの孔の中心から中心までの距離)は0.05〜3mmの範囲であることが好ましく、孔の間隔(隣接する二つの孔の端部から端部までの最短距離)は、0.0l〜1.5mmの範囲であることが好ましい。孔の数(密度)は、一般には10個/cm2 以上であり、好ましくは100個/cm2 以上、より好ましくは500個/cm2 以上、さらには1000個/cm2 以上であることが好ましい。そして、好ましくは100000個/cm2 以下、さらには10000個/cm2 以下であることが好ましい。なお、必ずしも、孔は全て図1に示したように等間隔で設けられている必要はなく、幾つかのブロック(単位)に別れてブロック毎に複数の孔が設けられていてもよい。
【0033】
基板に複数の孔を開ける方法としては、ピンで打ち抜くパンチング、電極に高電圧をパルス状に印加して基板を揮発する放電加工、エッチング、レーザー照射などがあげられる。基板の材料が、金属材料またはプラスチック材料の場合は、基板の表面にコロナ放電またはプラズマ放電を施して接着剤を塗工した後、吸着性領域を形成するための吸着性材料をプレスなどの手段により貼り合わせることで生化学解析用ユニットが作製される。接着剤としては、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムなどが好ましく用いられる。接着剤を塗工する方法としては、ロール塗布、ワイヤーバー塗布、デイップ塗布、ブレード塗布などが好ましくあげられる。また、基板に吸着性領域を形成するための吸着性材料をプレスする場合には、基板と吸着性領域を形成するための材料を、事前に1枚毎に分割してから間欠的にプレスしてもよいし、基板と吸着性領域を形成するための材料をそれぞれ長尺帯状としたものを2つのロール間に連続搬送してもよい。
【0034】
吸着性領域を形成する吸着性材料としては、多孔質材料あるいは繊維材料が好ましく使用される。また、多孔質材料と繊維材料とを併用して吸着性領域を形成することもできる。本発明において、吸着性領域を形成するために使用される吸着性材料は、有機材料、無機材料のいずれでもよく、有機/無機複合体であってもよい。
【0035】
吸着性領域を形成するために使用される有機多孔質材料は、特に限定されるものではないが、活性炭などの炭素多孔質材料あるいはメンブレンフィルタを形成可能な多孔質材料が好ましく用いられる。メンブレンフィルタを形成可能な多孔質材料としては、溶媒に溶解可能なポリマーが好ましく用いられる。溶媒に溶解可能なポリマーとしては、セルロース誘導体(例えば、ニトロセルロース、再生セルロース、セルロースアセテート、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロースなど)、脂肪族ポリアミド類(例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,10など)、ポリオレフィン類(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、含塩素ポリマー類(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなど)、フッ素樹脂類(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオライドなど)、ポリカーボネート、ポリスルフォン、アルギン酸及びその誘導体(例えば、アルギン酸、アルギン酸カルシウム、アルギン酸/ポリリシンポリイオンコンプレックスなど)、コラーゲンなどがあげられ、これらポリマーの共重合体や複合体(混合体)も用いることができる。
【0036】
また、吸着性領域を形成するための繊維材料としては、特に限定されるものではないが、好ましくは前述したセルロース誘導体類、脂肪族ポリアミド類などがあげられる。
【0037】
吸着性領域を形成するために使用される無機多孔質材料は、特に限定されるものではないが、好ましくは、金属(例えば、白金、金、鉄、銀、ニッケル、アルミニウムなど)、金属等の酸化物(例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ゼオライトなど)、金属塩(例えば、ヒドロキシアパタイト、硫酸カルシウムなど)及びこれらの複合体などがあげられる。
【0038】
シグナル吸収層は、上記吸着性材料に光や放射線などのシグナルを吸収する物質を混合することによって形成が可能である。シグナルが化学発光や蛍光の場合にはこれらの光の波長を吸収する色素などを、また、シグナルが放射線の場合には、放射線遮蔽物質である鉛やタングステンなどの重金属の微粒子を混合することによって形成できる。
【0039】
吸着性領域とシグナル吸収層を形成するためには、吸着性領域とシグナル吸収層の吸着性材料を含有している溶液(以下、ドープという)を順次支持体上に流延または塗布後、多孔性膜のポリマーの貧溶媒、もしくは良溶媒と貧溶媒の混合液に浸漬した後、水洗乾燥するか、または異なる種類のドープをそれぞれ支持体上に流延または塗布後、徐々に乾燥することにより別途作製することによって作製することができる。
【0040】
第一の実施の形態に示した、基板の片面で吸着性領域を形成する吸着性材料が繋がっている生化学解析用ユニットを作製するには、例えば次のような方法による。図4は、第一の実施の形態の生化学解析用ユニットを作製する実施の形態を示す概略図である。第一の実施の形態の生化学解析用ユニットは、吸着性領域4となる多孔性膜24とシグナル吸収層5となる多孔性膜25および基板2とを重ね合わせてプレスし、基板2の孔3に多孔性膜24を圧入する方法により作製することができる。プレスしても、孔3に圧入される部分の多孔性膜の孔の孔径は殆ど変化しない状態で孔に圧入することができる。
【0041】
図4(a)に示すように、孔3が形成された基板2と多孔性膜24および25を重ねて、プレスロール22とバックアップロール23の間に送り込みプレスすることにより、図4(b)に示すように基板2の孔3に多孔性膜24を圧入することができる。この場合、プレスロール22とバックアップロール23を加熱する方法などにより、多孔性膜24と多孔性膜25を軟化させてもよい。
【0042】
第二の実施の形態に示した、基板の片面で吸着性領域を形成する吸着性材料が繋がっていない生化学解析用ユニットを作製するには、例えば次のような方法による。図5は、第二の実施の形態の生化学解析用ユニットを作製する実施の形態を示す概略図である。連続的、もしくは間欠的に搬送されている基板12の上方に、ドープ31,33を基板12の孔13に注入するディスペンサ30,32が配置されている。なお、図5ではドープと層の形成の関連を明確にするため、ドープの内容物を形成される層に対応させて記載している。ディスペンサ32は各孔へ間欠的にドープ33を注入し、続いてディスペンサ30はドープ33が注入された上から各孔へ間欠的にドープ31を注入する。ドープ31,33を注入した後、基板12に温度と湿度が制御された風を一定風速で供給し、徐々に溶剤を揮発させることによって、孔13の中に吸着性領域14とシグナル吸収層15が共に形成された生化学解析用ユニットを形成することができる。
【0043】
本発明の生化学解析用ユニットは、リガンドまたはレセプタが結合された複数の多孔性の吸着性領域を有する生化学解析用ユニットのリガンドまたはレセプタに、レセプタまたはリガンドが添加された反応液をレセプタまたはリガンドを特異的に結合させ、レセプタまたはリガンドを標識物質を利用して検出するアッセイ法に広く適用することができる。
【0044】
1つの態様として本発明の生化学解析用ユニットは、リガンドまたはレセプタが結合された複数の多孔性の吸着性領域を有する生化学解析用ユニットのリガンドまたはレセプタに、標識物質によって標識された標識レセプタまたは標識リガンドが添加された反応液をリガンドまたはレセプタに特異的に結合させ、標識レセプタまたは標識リガンドを検出するアッセイ法に適用することができる。
【0045】
標識レセプタまたは標識リガンドは、多孔性の吸着性領域に結合されるリガンドまたはレセプタと特異的に結合するホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、DNA、mRNAなどの抽出、単離などによって生体から採取された、あるいは、採取された後に化学的処理が施され、標識物質によって標識されたものである。
【0046】
標識物質としては、放射線標識物質、蛍光標識物質、化学発光基質と接触させることによって化学発光を生じさせる標識物質などがあげられ、標識物質そのものが放射線、発光、発色あるいは光を照射することによって蛍光を放出するものであっても、標識物質に何らかの化学物質を接触させて、標識物質によって化学物質が分解あるいは反応する等して発光、発色あるいは蛍光を放出するものであってもよい。前者の標識物質としては、放射線同位元素、発光物質にアクリジニウムエステル等、発色物質に金コロイド粒子等、蛍光物質にフルオレセイン等を用いることができる。また、後者の標識物質としては、酵素を用いることができ、例えばアルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、ベータガラクトシダーゼなどの酵素を好ましく用いることができる。これらの酵素に、化学発光基質あるいは色素基質あるいは蛍光基質を接触させることによってそれぞれ、化学発光、発色、蛍光を放出する。
【0047】
化学発光基質としては、酵素がアルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼである場合には、特に限定するものではないが、それぞれジオキセタン、ルミノール、ルシフェリンを用いることができる。また、色素基質としては、酵素がアルカリホスファターゼの場合にはパラニトロフェノールリン酸、酵素がペルオキシダーゼの場合には4−アミノアンチピリンとトリンダー試薬の組合せ、ジアミノベンチジン、テトラメチルベンチジン、酵素がベータガラクトシダーゼの場合にはパラニトロフェニルβ−D−ガラクトシド等を用いることができる。蛍光基質としては、酵素がアルカリホスファターゼの場合4−メチルウンベリフェニルリン酸、酵素がペルオキシダーゼの場合には3(4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸、酵素がベータガラクトシダーゼの場合には、4−メチルウンベリフェニルβ−D−ガラクトシド等を用いることができる。
【0048】
別の態様として、本発明の生化学解析用ユニットはリガンドまたはレセプタが結合された複数の多孔性の吸着性領域を有する生化学解析用ユニットのリガンドまたはレセプタに、レセプタまたはリガンドが添加された反応液を特異的に結合させ、レセプタまたはリガンドを標識物質によって標識された標識体と特異的に結合させ、レセプタまたはリガンドを検出するアッセイ法にも利用することができる。
【0049】
これは、検出するレセプタまたはリガンドを、吸着性領域のリガンドまたはレセプタと標識体によって挟み込む、いわゆるサンドイッチ法と呼ばれる手法に適用したものである。ここでいう、レセプタまたはリガンドは、多孔性の吸着性領域に結合されるリガンドまたはレセプタと特異的に結合するホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、抗体、抗原、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、DNA、mRNAなどの抽出、単離などによって生体から採取された、あるいは、採取された後に化学的処理が施された物質である。
【0050】
標識物質によって標識された標識体とは、前述の標識物質によって標識され、レセプタまたはリガンドの反応部位に特異的に結合することができる抗原、抗体の他、ホルモン類、腫瘍マーカー、酵素、アブザイム、その他のタンパク質、核酸、cDNA、DNA、RNAなどであって、特性、組成、構造あるいは塩基配列や塩基の長さなどが既知のものを意味する。
【0051】
さらに別の態様として本発明の生化学解析用ユニットは、リガンドまたはレセプタが結合された複数の多孔性の吸着性領域を有する生化学解析用ユニットのリガンドまたはレセプタに、補助物質が結合された補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドが添加された反応液を補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドと特異的に結合させ、補助物質に特異的に結合可能な結合可能標識物質を補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドと特異的に結合させ、補助物質結合レセプタまたは補助物質結合リガンドを検出するアッセイ法にも利用することができる。
【0052】
補助物質は結合可能標識物質が結合する物質であって、ジゴキシゲニン、ビオチン、アビジン、フルオロセインなどの抗原、及びこれらの抗原に対する抗体などを好ましくあげることができる。また、ビオチンに対するアビジンのような生物学的結合パートナーであってもよい。結合可能標識物質は、補助物質に特異的に結合可能であって前述の標識物質によって標識された物質である。
【0053】
次に、本発明の生化学解析用ユニットを利用した生化学解析として化学発光法を例にとって説明する。
本発明の生化学解析用ユニットを利用した化学発光法では、まず、吸着性領域を有する生化学解析用ユニットの吸着性領域にリガンドまたはレセプタを結合させる。この場合、リガンドまたはレセプタはシグナル吸収層が設けられていない側から滴下する。リガンドまたはレセプタは吸着性領域に滴下した後、紫外線の照射などによって吸着性領域に固定する。
【0054】
次に、吸着性領域に結合されたリガンドまたはレセプタに標識レセプタまたは標識リガンドを特異的に結合させる。この特異結合に際しては、反応液を吸着性領域を横切るように強制的に流動させることが可能なリアクタを用いる。図6は反応液を強制的に流動させることが可能なリアクタの一の実施の形態を示す概略断面図である。
【0055】
このリアクタは、反応容器41と溶液循環パイプ42とポンプ43とからなり、反応容器41は、生化学解析用ユニット40を保持するとともに液漏れを防止するシール機能を有する生化学解析用ユニット保持部44を有しており、反応容器本体45は、反応容器上半部46と反応容器下半部47とからなり、反応容器上半部46は反応容器本体45に取り外し可能に設けられており、生化学解析用ユニット40は反応容器上半部46を取り外すことによってセットすることができるように構成されている。また、反応容器下半部47の底壁には溶液が流通可能な溶液流入口48が形成され、反応容器上半部46の頂壁には同様に溶液が流通可能な溶液流出口49が形成されている。さらに流入口48および流出口49には、溶液循環パイプ42がそれぞれ取り外し可能に取り付けられている。リアクタは、ポンプ43によって溶液が流入口48から反応容器本体45に入り、生化学解析用ユニット40を通過した後、流出口49から出て、溶液循環パイプを通って循環するように構成されている。
【0056】
このリアクタに吸着性領域にリガンドまたはレセプタが結合された生化学解析用ユニット40を取り付け、反応容器41内に標識レセプタまたは標識リガンドが添加された反応液を入れ、ポンプを駆動させて吸着性領域を強制的に横切るように反応液を流動させれば標識レセプタまたは標識リガンドを吸着性領域に結合されているリガンドまたはレセプタと特異的に結合させることができる。生化学解析用ユニット40は強制的に流動する反応液に対して、シグナル吸収層50をその上流側に向けて取り付ける。このように取り付けることによって、反応液に含まれる標識レセプタまたは標識リガンドが凝集しても、このシグナル吸収層に吸着され、後述するように吸着性領域からの信号をシグナル吸収層が設けられていない側から検出することによって、凝集した標識レセプタまたは標識リガンドからの信号はシグナル吸収層に吸収されて検出されないため、吸着性領域に結合したリガンドまたはレセプタと特異的に結合した標識レセプタまたは標識リガンドから発せられた信号のみを検出することが可能となる。
【0057】
なお、ここでは反応液を吸着性領域を横切るように強制的に流動させることが可能なリアクタを用いて特異的結合を行う場合を例にとって説明しているが、本発明の生化学解析用ユニットの使用はこれに限定されるものではなく、生化学解析用ユニットと反応液をハイブリダイゼーションバッグ内に入れ、ハイブリダイゼーションバッグに振動を加えて標識レセプタまたは標識リガンドを対流あるいは拡散によって移動させて特異的に結合させる、いわゆる振盪方式によって行ってもよい。
【0058】
反応容器に取り付けた生化学解析用ユニットは、多孔性の吸着性領域に結合されているリガンドまたはレセプタに特異的に結合しなかった標識レセプタまたは標識リガンドを除去するために、吸着性領域にいわゆる洗浄液を強制的に流動させて洗浄することが好ましい。吸着性領域を洗浄液が強制的に流動するので、多孔性の吸着性領域に結合されているリガンドまたはレセプタに特異的に結合していない標識レセプタまたは標識リガンドを、効率的に剥離させ、除去することが可能になり、洗浄効率を大幅に向上することができる。
【0059】
なお、この洗浄工程は、後述する酵素標識抗体を吸着性領域を横切るように強制的に流動させて標識レセプタまたは標識リガンドと特異的に結合させた後、特異的に結合しなかった酵素標識抗体を除去する場合にも行うことが好ましい。これによって、標識レセプタまたは標識リガンドと特異的に結合していない酵素標識抗体を、効率的に剥離させ、除去することが可能になり、洗浄効率を大幅に向上することができる。
【0060】
吸着性領域に結合したリガンドまたはレセプタに特異的に結合した標識レセプタまたは標識リガンドに酵素標識抗体を結合させる前に、酵素標識抗体に対するブロッキングバッファを吸着性領域を横切るように強制的に流動させて吸着性領域をブロッキングすることが好ましい。ブロッキングによって、酵素標識抗体が標識レセプタまたは標識リガンドの抗原とではなく、吸着性領域に直接結合することを抑制することができる。
【0061】
次に、酵素標識抗体を吸着性領域を横切るように強制的に流動させて標識レセプタまたは標識リガンドと特異的に結合させる。酵素標識抗体は、標識レセプタまたは標識リガンドの標識物質に対する抗体(標識レセプタまたは標識リガンドが抗体である場合には抗原)を酵素で標識したものである。
【0062】
酵素標識抗体を標識レセプタまたは標識リガンドと特異的に結合させた後、生化学解析用ユニットを反応容器から取り出して、標識レセプタまたは標識リガンドと特異的に結合した酵素標識抗体に、シグナル吸収層が設けられていない側から化学発光基質を接触させる。
【0063】
化学発光基質と酵素との接触によって各吸着性領域から可視光波長領域の化学発光を生ずるので、これをシグナル吸収層が設けられていない側から光電的に検出して生化学解析用画像データを生成する。酵素標識抗体は一般にべたついているため前述のような通常の洗浄では残っている場合があるが、反応液の流動によって酵素標識抗体は専ら生化学解析用ユニットのシグナル吸収層側についているので、シグナル吸収層が設けられていない側から化学発光を検出すれば、標識レセプタまたは標識リガンドに特異的に結合することなくシグナル吸収層に付着している酵素標識抗体の酵素によって化学発光基質の結合が切られて発する化学発光をシグナル吸収層に吸収させ、ノイズシグナルを検出することなく生化学解析用画像データを生成することができる。
【0064】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0065】
【実施例】
(ナイロン溶液1の作製)
13.7gのナイロン6,6をギ酸71.3gに溶解して一晩放置し、水15gを加えてホモジナイザーで分散(1000rpm×60分)し、ナイロン溶液1を得た。
【0066】
(ナイロン溶液2の作製)
13.7gのナイロン6,6をギ酸71.3gに溶解して一晩放置し、化合物1の2%水溶液15gを加えて、ホモジナイザーで分散(1000rpm×60分)し、ナイロン溶液2を得た。
【0067】
【化1】
(ナイロン溶液3の作製)
13.7gのナイロン6,6をギ酸71.3gに溶解して一晩放置し、化合物2の2%水溶液15gを加えて、ホモジナイザーで分散(1000rpm×60分)し、ナイロン溶液3を得た。
【0068】
【化2】
(ナイロンミクロフィルターの作製)
上記ナイロン溶液をアプリケータを用いて、表1に示す条件でステンレス基板上に塗布した(2層の場合は、1層目の上に2層目を重ねて塗布した。)。塗布物を45%のギ酸水溶液中に10分間浸漬した。浸漬後の塗布物を流水で10分間洗浄した後、ステンレス基板から剥がし、アルミ枠に張って乾燥させ、ナイロンミクロフィルターを得た。
【0069】
【表1】
(生化学解析用ユニットの作製)
大きさが90mm×70mm、厚み100μmのSUS304シート(基板材料シート)に、孔径0.3mm、開口部が円形の微細孔をエッチングによって、孔ピッチ0.4mm、孔間隔0.1mmで計1600個形成した。
【0070】
次に、基板材料シートの片面に接着剤を塗工し、続いて基板材料シートに形成した孔内部に入り込んだ接着剤を吸引除去した後、乾燥した。基板材料シートの接着剤を塗工した面に、上記で作製したナイロンミクロフィルター(ナイロンミクロフィルターが2層の場合には、2層目が基板材料シートと接触するようにして)を150℃で加熱しながら、圧力を1cm2当たり300kgとなるようにプレスして、基板材料シートの孔内部にナイロンミクロフィルターを圧入することで、基板と多数孔の吸着性領域とからなる生化学解析用ユニットを作製した。作製した生化学解析用ユニットに波長253.7nmの紫外線を1mJ/cm以上照射し紫外線滅菌を行った。
【0071】
上記ナイロン溶液2に用いた化合物1はCDP−starによる発光(約475nm)を吸収することが可能な色素、ナイロン溶液3に用いた化合物2は蛍光色素Cy3による蛍光(約570nm)を吸収することが可能な色素である。これらの色素が添加された表1に示す水準3〜8のナイロンミクロフィルターを用いて作製された生化学解析用ユニットでは、上記色素を添加していない水準1および2のナイロンミクロフィルターを用いて作製された生化学解析用ユニットに比べて、ノイズシグナルが軽減された。これは、上記色素によって本来的に検出されるべきでないノイズシグナルや、基板の片面の繋がっている吸着性材料を通ってある孔からこの孔の隣の孔に向かうシグナルが吸収されたためであると考えられる。
【0072】
以上のように、本発明の生化学解析用ユニットによれば、シグナル吸収層によって、凝集した標識リガンドまたは標識レセプタあるいは酵素標識抗体などから発せられる本来的に検出されるべきでないノイズシグナルや、基板の片面の繋がっている吸着性材料を通ってある孔からこの孔の隣の孔に向かうシグナルを吸収することができるので、標識物質からの信号を正確に検出することが可能となり、正確な生化学解析データを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施の形態である生化学解析用ユニットの概略斜視図
【図2】第一の実施の形態である生化学解析用ユニットの概略部分断面図
【図3】第二の実施の形態である生化学解析用ユニットの概略部分断面図
【図4】本発明の生化学解析用ユニットを作製する一実施の形態を示す概略図
【図5】本発明の生化学解析用ユニットを作製する別の実施の形態を示す概略図
【図6】反応液を強制的に流動させるリアクタの一の実施の形態を示す概略断面図
【符号の説明】
1 生化学解析用ユニット
2 基板
3 孔
4 吸着性領域
5 シグナル吸収層
Claims (1)
- 複数の孔を有する基板と、前記複数の孔内に充填されて吸着性領域を形成する多孔性の吸着性材料とからなり、前記基板の片面で前記吸着性領域を形成する前記吸着性材料が繋がっている生化学解析用ユニットにおいて、前記基板の片面で繋がっている前記吸着性材料部分に、ある孔から該孔の隣の孔に向かうシグナルを吸収する、吸着性材料に光や放射線のシグナルを吸収する性質を有する物質を混合したシグナル吸収層が設けられていることを特徴とする生化学解析用ユニット。
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