JP2008101299A - 樹脂除去装置、捺染装置および捺染方法 - Google Patents

樹脂除去装置、捺染装置および捺染方法 Download PDF

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Abstract

【課題】静電型電子写真方式により柔軟性があり消費性能耐久性のある捺染布を得ることができ、かつ、人体への影響ならびに環境への汚染を抑えた樹脂除去装置、該樹脂除去装置を用いた捺染装置及び捺染方法を提供すること。
【解決手段】捺染体に付着している樹脂を除去するための樹脂除去手段を備える樹脂除去装置であって、前記樹脂除去手段は、前記被捺染体に付着している樹脂に、該樹脂を軟化させる特性を有する不揮発性の軟化液を接触させる接触手段を備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式による捺染装置および捺染方法に関するものである。詳しくは、天然繊維、合成繊維等、あるいはこれらの混紡繊維からなる織物、編物、不織布又は革等のシート状物(以下本発明において、布帛等、と称する)を電子写真方式により捺染する捺染装置および捺染方法に関するものであり、特に捺染布処理に用いる樹脂除去装置、該樹脂除去装置を用いた捺染装置および捺染方法に関する。
従来、布帛等の捺染方法としては、スクリーン捺染法、ローラ捺染法、ロータリースクリーン捺染法、熱転写捺染法、最近のインクジェットプリンタ捺染法などがある。しかしながら、これらの捺染方法には以下の如き欠点がある。
スクリーン捺染法はスクリーンの製造に時間を費やし、スクリーンの保管に場所を取り、作業は間欠工程であるから捺染の生産スピードが遅い等の欠点がある。一方、生産スピードの速いローラ捺染法は金属ロールに図柄模様を彫刻する工程が繁雑でローラが重いために取り扱いが困難である。ロータリースクリーン捺染法はローラ捺染法とスクリーン捺染法との特徴を兼備し、このロータリースクリーンは軽量で、取り替えも容易である。
しかし、何れの捺染も新規の図柄を作成するためのスクリーンの製作に時間がかかり、ローラ彫刻や、色糊の調整も必要である。捺染後のプリントは、スチーミングや乾熱処理等の手段で染料の発色固着が行なわれ、その後も、洗浄、乾燥等、工程が多岐に亘る。デザインから捺染布が出来上がるまで長期間が費やされ、通常の加工は予測と見込み生産を余儀なくされているために、作り貯めや不良在庫を抱える等の難点がある。特に最近のようにファッションが多様化或いは個性化してくると納期的な面から追随し得ず、また、多品種少量の加工は採算困難である等の欠点が問題化している。
この様な状況下で、デザイン後の図柄模様のスクリーン製作、ローラ彫刻、色糊の調整と捺染後の洗浄、乾燥工程を改善させた捺染法として考えられたのが、昇華染料で印刷したシート状物を布帛等に密着、加熱して染料を昇華し、布帛等に染着させる熱転写捺染方法であり、上記の欠点や難点がかなり改善された。ところが、この方法で捺染できる繊維はポリエステル繊維又は昇華染料が染着できる前処理を施した布帛等に限定され、図柄変更は印刷メーカーが供給する転写用マスター紙に限定され、多量生産に向いているが非能率的な面があり、転写紙が不経済であり、加工工程に関しては上記と同様の難点がある。
更に、近年の捺染加工業界は多品種少量生産化に加えて、納期の短縮化の要請が高まる中、前述の捺染法のうち、最大の問題点である彫刻製版工程を省略し、コンピュータと連動させた、インクジェットプリンタ(特許文献1及び2参照)が一部に導入された。彫刻ロールやスクリーンが不要で、受注後直ちに生産が可能で、図柄及び色の変更が容易であり、デザインの保管や取り出しが容易である等、従来の捺染方法より自由度が高くなったが、この方式を採用するには多額の資金と専門的な技能と知識が必要となる難点がある。
一方、電子写真技術を応用した静電複写装置を利用して図柄模様を描き出す方法、すなわち、静電複写装置においてオリジナル画像を感光ドラム表面に静電潜像とし、着色料を含むトナーを静電力で飛着させてトナー現像を形成させ、このトナー現像を転写部で布帛等に転写し、定着部でトナーを布帛等に熱溶融定着させることにより複写捺染する方法は近年開発され公知である。例えば、電子印刷による布帛類の直接現像印捺方法(特許文献3参照)はスチーミングで発色させ、しかる後にトリクレンによって洗浄脱樹脂を行うものである。静電捺染方法(特許文献3乃至9参照)としては蒸熱定着で染料を布帛等に染着し、その後にトナー中の結着樹脂を溶剤等で洗浄除去する方法が提案されているが、これらの脱樹脂工程で使用される溶剤はトリクレン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸ブチル等の物質であり、これらは揮発性有機化合物(VOC(volatile organic compounds))に該当し、浮遊粒子状物質や光化学オキシダントに係る大気汚染の一つと考えられ、人の健康への影響が懸念されている。また、実際に光化学オキシダントによる健康被害が数多くの発生し問題となっている。さらに、これらの物質は揮発性を有しているため、臭気を発することで不快感を与えるばかりでなく、直接の吸引により健康を害することも有り得る。
上記のような樹脂を除去するアプローチとは別に、樹脂が付着した状態でも布帛の持っている柔軟性を維持するための試みもなされている。例えば特許文献10では、可塑剤を使用して付着した樹脂に柔軟性を持たせる工夫をしているが、初期的に柔軟性を持っていたとしても、その後洗濯等を繰り返し行うことで可塑剤が抜けて柔軟性を失うことや、また、樹脂そのものが繊維から取れて図柄が失われることなど、堅牢性の面で問題がある。さらにこの発明では顔料樹脂を着色剤として使用しているが、顔料は直接繊維と結びついて着色することができずに、樹脂が布帛上に存在する状態を保たなければ図柄を維持することができないという問題もある。
特開平10−195776号公報 特許2995135号公報 特開昭51−56313号公報 特開昭52−18985号公報 特公昭59−006959号公報 特公昭59−020795号公報 特公昭60−009155号公報 特開昭53−130385号公報 特開昭60−213978号公報 特開平07−324287号公報
本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、静電型電子写真方式により柔軟性があり消費性能耐久性のある捺染布を得ることができ、かつ、人体への影響ならびに環境への汚染を抑えた樹脂除去装置、該樹脂除去装置を用いた捺染装置及び捺染方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、被捺染体に付着している樹脂を除去するための樹脂除去手段を備える樹脂除去装置であって、前記樹脂除去手段は、前記被捺染体に付着している樹脂に、該樹脂を軟化させる特性を有する不揮発性の軟化液を接触させる接触手段を備えることで上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明の樹脂除去装置は、樹脂と染料とを含む着色剤を用いて捺染された被捺染体に付着している樹脂を除去するための樹脂除去手段を備える樹脂除去装置であって、前記樹脂除去手段は、前記被捺染体に付着している樹脂に、該樹脂を軟化させる特性を有する不揮発性の軟化液を接触させる接触手段を備えることを特徴とする。
また本発明は、前記樹脂除去手段は、前記被捺染体に付着している樹脂に物理的な力を加える樹脂除去促進手段を備えることを特徴とする。
さらに本発明は、前記接触手段は、前記軟化液を前記被捺染体に飛翔させて付与することを特徴とする。
そしてさらに本発明は、前記接触手段は、前記被捺染体を前記軟化液に浸漬させて接触させる浸漬部であることを特徴とする。
また本発明は、前記浸漬部は、前記樹脂除去促進手段を備えることを特徴とする。
そして本発明は、前記被捺染体及び/または前記軟化液を加熱するための加熱手段を備えることを特徴とする。
本発明の捺染装置は、樹脂と染料とを含む着色剤を用いて被捺染体に印捺する印捺手段を備える印捺装置と、前記染料を発色させる発色手段を備える発色装置と、上記記載の樹脂除去装置と、を有することを特徴とする。
また本発明は、前記印捺手段は電子写真方式を用いる電子写真印捺手段であることを特徴とする。
さらに本発明は、前記着色剤はトナーとキャリア液とを含む液体現像剤であることを特徴とする。
本発明の捺染方法は、樹脂と染料とを含む着色剤を用いて被捺染体に印捺する印捺工程と、前記染料を発色させる発色工程と、発色後の被捺染体に付着している樹脂を除去するための樹脂除去工程と、を備えることを特徴とする。
また本発明は、前記樹脂除去工程及び/または前記樹脂除去工程後に、前記発色後の被捺染体に付着している樹脂の除去を促進する樹脂除去促進工程を備えることを特徴とする。
本発明の捺染物は、上記記載の捺染装置で作成された捺染物であって、被捺染体に染料および樹脂が付着しており、該樹脂は軟化液を含有していることを特徴とする。
本発明によれば、該樹脂を軟化させる特性を備える不揮発性の液体を付与させることによって、捺染後に残留する樹脂を除去することができるので、環境を汚染することや、作業者に臭気等による不快感を与えることがなく、柔軟性があり消費性能耐久性のある捺染布を、低コストかつ高効率で得ることができる。
また、本発明の樹脂除去装置を備えた捺染装置で作成された捺染物は、除去不可能な樹脂が残留していても樹脂に含有される軟化剤の効果により樹脂の剛性が低くなる。さらに、洗濯等により樹脂が脱離することがなく、樹脂が再付着して汚染することがないので、柔軟性があり消費性能耐久性のある捺染物となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
(樹脂除去装置)
本発明の樹脂除去装置は、樹脂と染料とを含む着色剤を用いて捺染された被捺染体に付着している樹脂を除去するための樹脂除去手段を備える樹脂除去装置であって、前記樹脂除去手段は、前記被捺染体に付着している樹脂に、該樹脂を軟化させる特性を有する不揮発性の軟化液を接触させる接触手段を備えてなる。
樹脂除去装置とは、印捺工程、発色工程を経て捺染された被捺染体である布帛等に、樹脂を膨潤させて軟化させる特性をもつ軟化液を接触させ、布帛等に付着する樹脂を除去する装置である。
なぜならば、後述する発色工程では布帛等の上に載っているトナーが布帛等に固定され、トナー中の染料が布帛等に移行するが、この際、樹脂が熱により軟化するため布帛等の繊維に結合して除去しにくくなり、捺染布に残ってしまう。このように除去されずに残った樹脂は、布を構成する繊維に比較して硬いため風合いを損ねてしまうので、当該樹脂を取り除く必要がある。
そこで、樹脂除去装置を用いて残留している樹脂の除去を行う。
従来は、樹脂を溶解させるトリクレン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、アセトン、酢酸ブチル等の揮発性有機溶媒を使用して洗い流していた。ところが、これらの溶媒は、環境面、作業者の健康面で問題があるため、本発明では上記溶剤とは異なる安全性の高い軟化液を使用して樹脂を除去する。
本発明で発色後に布帛等に付着している樹脂を除去するために使用している軟化液は、樹脂を膨潤させて軟化させる特性を持っており、樹脂を軟化させることで樹脂と布帛等との結合力を弱めて樹脂を除去するものであり、さらには安全性が高く、環境を汚染することや作業者に臭気等による不快感を与えることがない。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の樹脂除去装置の第1の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明に係る樹脂除去装置の第1の実施の形態の概略図を示す。
印捺工程、発色工程を経て捺染された布帛等12は、軟化液1が入った浸漬部である浴槽4において軟化液1に接触、浸漬する。布帛等12は浸漬することで全面に充分な量の軟化液1が付与される。このとき、浴槽4内にローラ5を複数設けることで布帛等12が軟化液1に浸漬する経路を長くとることができ、付着した樹脂が軟化するのに必要な浸漬時間を得ることができる。
さらに、軟化液1により軟化された樹脂を布帛等12から除去するために、物理的な力を加える樹脂除去促進手段である回転ブラシ7が浴槽4内に設けられている。回転ブラシ7を布帛等12に対して摺動させることで、軟化した樹脂に剪断力を作用させ、布帛等12からの除去を促進している。このとき回転ブラシ7は、布帛等12の移動方向に対して逆方向に摺動するように回転させることで、ブラシ先端が布帛等12に大きな剪断力を与えて樹脂の除去を効率的に行っている。ただし、薄地の場合や繊維が細く柔らかい場合は回転ブラシ7が布帛等12を傷つけてしまう恐れがあるため、回転ブラシ7の回転を布帛等12の移動方向に対して順方向に回転させても良い。
除去促進手段としては、上記回転ブラシ7以外にも、例えばブラシを軸方向に揺動させることや、布帛等を挟むようにバックアップ用のローラを当接させたりすることも可能である。さらに、布の種類に応じて布自体を傷つけないように力の加減を調整するなどの調整機構を設けても良い。またさらに、軟化液浴槽内においてポンプ等により流れを作り、この液流によって樹脂の除去を促進しても良い。
軟化液浴槽4から布帛等12を取り出す部分には、圧接された1対の液絞りローラ6a、6bが設けられていて、液絞りを行うことで軟化液を回収している。また、液絞りとしては、エアナイフ等で吹き飛ばす構成でも良い。
軟化液浴槽4内には軟化して除去された樹脂が蓄積されていくので、循環させて回収する機構を設けると良い。軟化液中の樹脂は軟化しているが溶解してはいないのでフィルターにより除去することが可能である。
(布帛等)
本実施の形態で使用する被捺染体である布帛等としては、織物、編物、不織布、組み紐等を問わずあらゆる布帛組織を用いることができるが、特に織物が好ましい。
布帛等を構成する素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど種々のポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ビニロン、アクリル、ナイロン、アセテート、などの合成繊維や、レーヨンなどの再生繊維、コットン、麻等のセルロース系繊維、絹、羊毛などの動物繊維があげられ、またこれらの混紡、交織であってもよい。
(軟化液)
本実施の形態で使用する軟化液は、着色剤であるトナーを構成する樹脂成分を、溶解又は膨潤させる液体である。この軟化液は揮発することなく、臭いがないことが望ましく、飽和脂肪族エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキル等が好ましい。
飽和脂肪族エステルは、一般式R1−COO−R2で示される化合物であり、R1は炭素数が11以上14以下のアルキル基、R2は炭素数が1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、ラウリン酸エチル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が好ましく、これらはほとんど揮発することがない。
脂肪族ジカルボン酸エステルは、一般式R3−(COOR4)2で示される化合物であり、R3は炭素数が3以上8以下のアルキレン基、R4は炭素数が2以上5以下のアルキル基であることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が好ましく、これらの部剤の多くは、ほとんど揮発することがない。
脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5−(COOR6−O−R7)2で示される化合物であり、R5は炭素数が2以上8以下のアルキレン基、R6は炭素数が2以上4以下のアルキレン基、R7は炭素数が1以上4以下のアルキル基であることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が好ましく、これらの部剤の多くは、ほとんど揮発することがない。
いずれも、炭素数が多いほど、粘性が高く、不揮発性も高くなる傾向にある。また、精製すると臭いを減らすことができ、精製度の高いエステルではほとんど無臭である。
また、軟化液の使用量を減らすためには、希釈して使用しても良い。希釈液としては、軟化剤と親和性があり無害なものであれば良く、例えば、水やシリコーンオイル、あるいはミネラルオイル等が挙げられる。
これらの物質は、ほとんど揮発性を有しないので、特許文献7等で使用されていた溶剤とは異なっていわゆるVOC(揮発性有機溶剤)に該当することもなく、大気を汚染することがない。さらにほとんど無臭であるので、作業者に不快感を与えることもなく、当然、吸引により健康を害する恐れもない。
また、従来の樹脂除去工程で使用されていた洗浄用の有機溶媒は、樹脂を溶解させて除去するもので、除去後に出る洗浄用の有機溶媒から樹脂を分離して溶媒を再利用することが困難であるが、本実施の形態で使用している軟化液のうち、樹脂を溶解させずに膨潤させて軟化させる軟化液の場合は軟化液からの樹脂の回収が容易であり、軟化液を再利用できるという利点もある。例えばろ紙等でろ過することで軟化した樹脂を取り除くことが可能である。
さらに、本発明で使用している軟化液はLD50が5g/kg以上であることが好ましい。化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)の健康に対する有害性の項目で急性毒性の基準としてLD50が5g/kg以上のものは毒物として区分されておらず、安全であるとされており、本実施の形態で用いる軟化液はこの基準値以上のものを使用している。
従来の発明で使用されていた溶剤および本実施の形態で用いている主な軟化液のLD50の値を表1に示す。従来の発明で使用していた溶剤のLD50はほとんどが5g/kg未満であるが、本実施の形態で用いている軟化液は5g/kg以上であり、安全な物質である。
Figure 2008101299
〔第2の実施の形態〕
図2は本発明に係る樹脂除去装置の第2の実施の形態の概略図を示す。
印捺工程、発色工程を経て捺染された布帛等12は、ノズル50から飛翔された軟化液1が付与される。このとき、吐出ヘッド51が布帛等12の移動方向に対して垂直方向に移動することで、布帛等12の全面に充分な量の軟化液1が付与される。
第1の実施の形態では、軟化液の入っている浴槽内に布帛等を浸漬させて軟化液を付与する方法を採るが、この方法の場合、必要以上の軟化液を布帛等に付与する事になる。なぜならば、電子写真方式の捺染方法では、染料を転写させるための樹脂は転写面側にのみ存在しており、裏側面には存在していないためである。
そこで、本実施の形態では軟化液1を布帛等12に飛翔させて付与することを特徴としており、布帛等12の絵柄の転写されている面のみに必要な量の軟化液1を付与している。軟化液1を噴出するノズル50を有するヘッド51が布帛等12に対して必要量の軟化液1を付与しながら、保持軸52上を移動している。布帛等12の動きに合わせて噴出させることで必要な量な軟化液1を布帛等12全面に付与することが可能である。もちろん保持軸52全体にわたって軟化液1を付与可能なラインヘッドであっても構わない。噴出させる手段としては、圧縮空気などで霧状にして噴きつけることもできるし、インクジェットプリンターのヘッドのようにピエゾ素子に電力を加えて噴出したりすることも可能である。後者のような方式では、絵柄に応じて適当な制御を行うことで、樹脂の付着している部分にのみ付与することも可能である。
〔第3の実施の形態〕
図3は本発明に係る樹脂除去装置の第3の実施の形態の概略図を示す。
印捺工程、発色工程を経て捺染された布帛等12は、供給ローラ53とバックアップローラ54との圧接部において軟化液1が付与される。ここで、供給ローラ53は軟化液1に浸ったアニロクスローラ55と接しており、供給ローラ53とアニロクスローラ55との圧接部において軟化液が供給される。アニロクスローラ55は表面に均一なパターンの溝を有すること、及びドクターブレード56を備えることで、供給ローラ53に供給する軟化液1の液量が適量に調整される。また、供給ローラに対して適量の軟化液を供給するには、ローラ対を構成しその圧力を調整しても良い
軟化液の粘度等の特性、例えば高粘度の場合には、第2の実施の形態のような噴出ノズルの使用は困難になる。そこで本実施の形態のようなノズルを使用しない形態とすることで、異物の詰まりなどによる不具合を防止できる。
〔第4の実施の形態〕
図4は本発明に係る樹脂除去装置の第4の実施の形態の一部である樹脂除去促進手段の概略図を示す。
第4の実施の形態では、第3の実施の形態である樹脂除去装置に加えて、図4で図示されている樹脂除去促進手段を備えてなる。
即ち本実施の形態では、上述のように布帛等12上の樹脂に軟化液1を付与し、樹脂を軟化させて布帛等12との結合力を弱くしたところで、さらにこの樹脂に物理的な力を作用させる樹脂除去促進手段を備えている。
樹脂除去促進手段は、ブラシローラ57と吸引装置58とから構成されていて、ブラシローラ57により樹脂に剪断力を与えて布帛等12から除去し、さらに吸引装置58により樹脂を吸引捕集している。樹脂に対して剪断力を作用させることにより、吸引のみによる捕集よりもより効率的に樹脂を除去することができる。このようなブラシローラのみに限られるものでなく、物理的な力を加えて除去を促進するものであれば良く、表面に粘着性を有するローラで吸着しても良い。さらに、布帛等の種類に応じて布帛等自体を傷つけないように力の加減を調整すると良い。
〔第5の実施の形態〕
第5の実施の形態では、第1の実施の形態である樹脂除去装置に加えて、布帛等12及び/または軟化液1を加熱するための加熱手段を備えてなる。
即ち本実施の形態では、上述のように布帛等12上の樹脂に軟化液1を付与し、樹脂を軟化させて布帛等12との結合力を弱くして樹脂を除去するが、樹脂は熱によっても軟化するものであるため、さらに加熱手段を用いることで樹脂と布帛等12との結合力を弱くすることができ、樹脂の除去が容易になる。
加熱手段は、軟化液1を布帛等12に付与する前に予め布帛等12を加熱しても良いし、軟化液1を加熱した状態で付与しても良いし、軟化液1を布帛等12に付与した後に加熱しても良い。加熱する温度は樹脂が熱によって完全軟化させる温度、即ち軟化点以下で充分であり、40〜50℃程度でも充分な効果がある。
加熱手段は、布帛等12及び/または軟化液1を加熱することで布帛等12と樹脂との結合力を弱め、加熱した状態で軟化液1を付与することで、軟化液1が少量であっても充分に軟化させることができ、さらに軟化するのに要する時間を短縮することができる。
加熱手段を備えている。
具体的には、浴槽4内の軟化液1の加熱手段を設け軟化液1の温度を上昇させることで樹脂の軟化促進させることや、中にヒータを内蔵した熱ローラや赤外ランプ等から照射される赤外線を用いて軟化液1を付与した後の布帛等12を加熱することができる。また、樹脂除去促進手段は加熱手段の後に設ける方が効果的である。
(捺染装置)
本発明の捺染装置は、樹脂と染料とを含む着色剤を用いて被捺染体に印捺する印捺手段を備える印捺装置と、前記染料を発色させる発色手段を備える発色装置と、上記記載の樹脂除去装置と、を有することを特徴とする。
図5は本発明の捺染装置における工程フローを示す概略図である。
本発明の捺染装置では、例えば、上記電子写真方式を用いた印捺装置で液体現像剤によって現像した後、不図示の搬送装置によって乾燥機での乾燥工程を経て発色装置であるスチーマまで搬送されて発色される。発色後の布帛は樹脂除去装置によって樹脂が除去された後、洗浄工程を経て不図示の仕上げ工程へ搬送される。洗浄工程では、還元洗浄、水洗い、乾燥の各工程が順に行われて不要な樹脂成分等が除去される。
(印捺装置)
以下、本発明の捺染装置に係る液体現像剤を用いた印捺装置である電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置という)の実施の形態について説明する。
図6は本発明の捺染装置に係る画像形成部の概略図である。
図6を用いて感光体ドラム23の周りの画像形成部の概略について説明する。図6において、感光体ドラム23の真上には一様帯電装置21があり、感光体ドラム表面を帯電させる。画像部以外の部分の電荷はイレースランプ22の部分点灯によって消去される。そして、不図示の露光装置によって、感光体ドラム23表面に原稿からの反射光8が結像される。これによって感光体ドラム23上には静電潜像が形成される。現像装置2は、第一現像ローラ9と第二現像ローラ10の二本の現像ローラとリバースローラ11を備えている。現像タンク29には液体現像剤31が入っており、ポンプ30によって現像装置2とクリーニング装置16へと液体現像剤31を運ぶ。現像装置2に送られてきた液体現像剤31は、第一現像ローラ9と第二現像ローラ10の二本の現像ローラに注がれる。二本の現像ローラは回転しており、この回転によって感光体ドラム23上の静電潜像に液体現像剤を供給する。そこで電子写真方式の電気泳動法によって、液体現像剤中のトナーが感光体ドラム23表面の静電潜像の上に付着する。次に、現像ローラよりも感光体との間隔を狭く設置したリバースローラ11は、感光体ドラム表面に付着した液体現像剤から余剰なキャリア液や未現像トナーを取り除く。その後、感光体ドラム上に形成された現像剤像は、転写装置13によって布帛等に転写される。そこで転写されなかった残留の液体現像剤は、クリーニング装置16内のフォームローラ18により吸われ、さらにしぼりローラ17によってフォームローラ18から絞りだされて、現像タンク29へ戻される。さらに残った液体現像剤は、感光体ドラム23上をきれいに清掃するためのクリーニングブレード19によって掻き落される。掻き落とされた液体現像剤もフォームローラ18により吸われている。
次に、図6を用いてプリンタ全体の概略について説明する。図示しないロールから搬送された布帛等12は、布帛等搬送用のガイドを通過してレジストローラ3につき当たる。ここで、感光体ドラム23上の画像がレジストローラ3に搬送された布帛等12の所定の位置に合うようにタイミングを作り、レジストローラ3を駆動する図示しない駆動源から、図示しない電磁クラッチによって、駆動を伝達してレジストローラ3を回転させて、布帛等12を搬送する。その後レジストローラ3部を通過した布帛等12は、感光体ドラム23に対向し、感光体ドラム23と布帛等12がいっしょに移動して、転写装置13の真上まで来ると転写装置13の転写電位によって、上記のように感光体ドラム23上に形成された現像剤像が転写され印捺される。その後布帛等12は感光体ドラム23から分離されることになる。その後分離された布帛等は、図示しない搬送装置によって、図示しない発色装置へ搬送される。
(発色装置)
印捺装置で印捺された布帛等は、乾燥機で乾燥後、発色(固着)処理される。発色手段としては、HTスチーミングやHPスチーミング、サーモゾーリング(サーモゾル法)などがある。HTスチーミングとは、水蒸気を加熱して得られる加熱水蒸気を用いたもので、例えば約175℃で8分間湿熱処理をする。HPスチーミングとは、高温高圧の水蒸気を用いたもので、例えば約130℃×30分の湿熱処理をする。また、サーモゾーリングは例えば約200℃×90秒等の処理をする。布帛等の種類によって、適正な発色手段を選択する。
上記発色手段によって、布帛等の上に載っているトナーが布帛等に固定され、トナー中の染料が布帛等に移行する。この際、樹脂が熱により軟化するため布帛等の繊維に結合して除去しにくくなり、捺染布に残ってしまう。このように除去されずに残った樹脂は、布を構成する繊維に比較して硬いため風合いを損ねてしまうので、前述の樹脂除去装置において軟化液が付与され取り除かれる。
軟化液を付与された布帛等は、その後洗浄工程が行われる。この工程での処理は布帛の種類によって多少異なるが、例えばポリエステルでは、還元洗浄(ソーピング)、湯洗い、水洗い、乾燥処理工程を経て捺染物を得ることができ、軟化した樹脂はこれらの工程で布帛等から脱離していくことになる。還元洗浄とは、例えば70〜80℃の38°ボーメ苛性ソーダ(比重に相当する単位であるボーメ度が38°の苛性ソーダ)2mLとハイドロサルファイト2gと洗浄剤1g/Lとの混合物に、1〜5分浸すものである。その後また、50〜60℃で50〜60℃で湯洗され、水洗され、乾燥される。
また最終製品としてはたとえば制電剤、撥水剤、機能薬剤などの仕上げ剤などを付与してもさしつかえない。
(着色剤)
次に、本実施の形態に用いる着色剤の例として、液体現像剤の例を示す。液体現像剤とはトナーとキャリア液とを指す。
本実施の形態に使用できるトナーに含まれる染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料(カチオン染料)反応性染料が用いられる。例えば、直接染料では、ダイレクトファストイエローR、ダイレクトファストイエローGC、ダイレクトファーストオレンジ、ダイレクトスカイブルー5B、ダイレクトスプラレッド3B、コプランチングリーンG、ダイレクトファストブラックD等が挙げられ、酸性染料では、アシッドブリリアントスカーレト3R、アシッドバイオレット5B、アリザリンダイレクトブルーA2G、アシッドサイアニン6B、アシッドサイアニングリーンG、アシッドファーストブラックVLG等が挙げられ、カチオン染料では、カチオンイエロー3G、カチオンゴールデンイエローGL、カチオンオレンジR、カチオンブリリアントレッド4G、カチオンブルー5G等が挙げられ、反応性染料では、リアクティブオレンジ2R、リアクティブレッド3B、リアクティブブルー3G、リアクティブブリリアントブルーR、リアクティブブラックB等が挙げられる。これら染料は、その80重量%以上が分散状態で担体液中に存在するようにする。
これらの染料を使用した場合は、布帛等裏面への写り性、洗濯堅牢度に優れる。布帛等の材質により、染料を選択した方が染色性、洗濯堅牢度は良く、例えば、ポリエステル、アセテート、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ビニロンなどの合成繊維からなる布帛等の場合は分散染料が、アクリルの場合は塩基性染料、コットン、麻等のセルロース系布帛等の場合は反応性染料、直接染料が、ナイロン、レーヨンなどの布帛等は直接染料が、絹、羊毛などの布帛等は酸性染料が、それぞれ望ましい。
市販の粉体染料は、染料純度50%程度で、食塩、芒硝が多量に入っている場合が多く、液の抵抗、帯電性に悪影響を与えるため、精製するか、初めから塩類含有量の少ない染料を用いたほうが、良好である。本発明では純度80%以上であることが望ましい。
本実施の形態の液体現像剤に使用されるキャリア液としては、高抵抗で低誘電率のものが良く、イソパラフィン系炭化水素、シリコーン系オイル等が良好である。イソパラフィン系炭化水素は、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーV(エクソン化学)などがあり、シリコーン系オイルとしては、KF96の1〜10000mPas(信越化学工業株式会社)、SH200、SH344(東レ・ダウコーニング株式会社)、TSF451(GE東芝シリコーン)などがある。中でも沸点が130℃以上の飽和炭化水素は、トナーの臭気、安全性の点で良好である。これらの溶媒は、後工程の加熱、スチーミングの段階で蒸発させることができる。
また、本実施の形態におけるトナーに含まれる分散用樹脂としては、下記一般式(1)で表わされるビニルモノマーと、一般式(2)で表わされるビニルモノマー、及びその余の第3成分としてのビニルピリジン、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンよりなる群から選ばれた少なくとも一種のモノマーよりなる共重合体、グラフト共重合体が挙げられる。
Figure 2008101299
Figure 2008101299
(R1は、HまたはCH3を、R2はC1〜C4のアルキル基を、nは6〜20の整数を表わす。)
成分(1)と成分(2)の共重合割合は60〜95:40〜5、望ましくは70〜90:30〜10であり、また、前記第3成分は、成分(1)の0〜5%であることが好ましい。
これらの染料、樹脂、キャリア液をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミルなどの分散機に投入、分散、混練を行い、濃縮トナーを調製し、これを本発明の担持液中に分散させることにより、液体現像剤を得ることができる。
また、電子写真の方式として液体現像剤を使用した例を示しているが、乾式の現像剤を使用した方式であっても問題ないが、液体現像剤を使用する湿式の電子写真方式の印捺装置の方がより好ましい。一般に液体現像剤では、絶縁液体中染料等の着色剤を含んだ樹脂粒子を分散させているため樹脂粒子の飛散がなく、乾式のトナーに比較して粒径を細かくできるという特徴を有する。このため、捺染布に転写されるトナーの層厚を薄くすることができるので、乾式の現像剤に比較して、発色後に捺染布に付着している樹脂の量を少なくできる。よって、除去すべき樹脂量そのものが少ないので使用する軟化液量も少なくてすむという利点がある。
図6は本発明の捺染装置における工程フローを示す概略図である。
本発明の捺染装置では、例えば、上記電子写真方式を用いた印捺装置で液体現像剤によって現像した後、不図示の搬送装置によって乾燥機での乾燥工程を経て発色装置であるスチーマまで搬送されて発色される。発色後の布帛は樹脂除去装置によって樹脂が除去された後、洗浄工程を経て不図示の仕上げ工程へ搬送される。洗浄工程では、還元洗浄、水洗い、乾燥の各工程が順に行われて不要な樹脂成分等が除去される。
以上のような樹脂除去装置を備えた捺染装置で捺染された捺染物では、発色工程により染料が直接に繊維と結びついている。染料を繊維に転写させる際に染料を移動させるための媒体として使用された樹脂はこの発色処理後には、できれば全て除去されていることが望ましいが、繊維の中にまで入りこんで強固に付着している場合には除去しきれないことがある。しかし、樹脂除去装置を用いることでそのような除去しきれない樹脂も軟化液によって軟化されているので、樹脂単体よりは剛性が低く柔軟な状態になっている。このため、多少樹脂が残っていても柔軟性を損なうことがなく風合いを良くすることができる。よって布帛等に図柄を構成するための染料および樹脂が付着しており、かつ、樹脂中にはこれを軟化させる特性を有する液体を含有している本発明の装置で捺染された捺染物では、樹脂が多少残っていても含有される軟化液の効果により、柔軟性を維持することができる。
また、特許文献10等では、樹脂に対して本発明で使用しているものと同様の効果を持つ軟化剤を樹脂の可塑剤として使用しており、その効果により、柔軟性を維持した捺染物を得ようとしており、樹脂を除去することなく柔軟性を持たせようとしているが、初期的には可能であっても、布帛はその後服飾等に加工され、洗濯やクリーニングが行われることを考えると、樹脂が脱落しないようにすることは不可能である。樹脂が脱落した場合、本発明とは異なり樹脂に含まれる顔料により布帛に図柄を形成しているため、図柄が損なわれることや、他の部分へ再付着して汚してしまうという欠点がある。
これに対して、本発明の除去装置を備えた捺染装置で捺染された捺染物では、樹脂は染料を保持して布帛等に移動した後、発色処理により染料樹脂が直接繊維に付着する工程を備えているので、樹脂が布帛に付着している必要はなく、樹脂を除去しても図柄が消えることはない。また、本発明の装置で捺染された捺染物は、除去装置により除去可能な樹脂は除去されているのでその後の洗濯やクリーニングにおいてもほとんど樹脂が取れることはなく、取れた樹脂が布帛の他の部分へ再付着して汚したりする恐れもない。
本発明の実施例を以下に示す。尚、以下において、部は重量部を表す。
〔実施例1〕
<トナー1処方>
・分散染料(日本化薬 Kalon Polyester Turq.Blue GL−S200%)とエポキシ樹脂(シェルケミカル エピコート1001)を1:4の割合で混練粉砕したもの
70部
・ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
100部
・アイソパーH
250部
・荷電制御剤
5部
これらをボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを250部加え、1時間分散し、これを濃縮トナー1とした。
<軟化液1処方>
・アジピン酸ジイソブチル(軟化剤、LD50=12.3g/kg) 4wt%
・ジメチルシロキサン(1mPa・s、希釈液、LD50=15g/kg) 96wt%
ホモミキサーにて3000rpmでジメチルシロキサン96g中に4gのアジピン酸ジイソブチルを20分間で滴下しながら分散混合して100gの軟化液1を作成する。作成の際、温度は40℃以下になるよう冷却する。
濃縮トナー1を10gイソパラフィン系炭化水素(商品名 アイソパーH)1Lに分散して液体現像剤とし、これを用いて現像した静電潜像をポリエステル100%布に転写し、HTスチーミング(175℃で8分間)の湿熱処理を実施後、軟化液1の入った液槽(25℃)にて1分浸漬させ、ブラシでこすり落とした後、還元洗浄(70〜80℃の、38°ボーメ苛性ソーダ2mL・ハイドロサルファイト2g・洗浄剤1g/Lの混合物に1〜5分浸す)を行い、さらに50〜60℃で湯洗し、水洗後、乾燥した。
鮮明な青色の捺染図柄を得ることができ、若干、残留樹脂による風合い(柔軟性)の低下が認められた。そこで、液層の温度を50℃にして同様の処理を行ったところ残留樹脂による風合い(柔軟性)の低下はほとんど認められなくなった。
〔実施例2〕
<トナー2処方>
実施例1と同様に行い濃縮トナー1を作成した。
<軟化液2処方>
・コハク酸ジエトキシエチル(軟化剤、LD50=5g/kg) 5wt%
・水(希釈液) 94wt%
・ショ糖ラウリン酸エステル(可溶化促進剤、HLB値16) 1wt%
ホモミキサーにて3000rpmで水94g中にコハク酸ジエトキシエチル5gを20〜30分間で滴下しながら分散混合してショ糖ラウリン酸エステル1gを滴下さらに10分間分散して、100gの軟化液1を作成する。作成の際、温度は40℃以下になるよう冷却する。
濃縮トナー1を10gイソパラフィン系炭化水素(商品名 アイソパーH)1Lに分散して液体現像剤とし、これを用いて現像した静電潜像をポリエステル100%布に転写し、HTスチーミング(175℃で8分間)の湿熱処理を実施後、軟化液1の入った液槽(25℃)にて1分浸漬させ、ブラシでこすり落とした後、還元洗浄(70〜80℃の、38°ボーメ苛性ソーダ2mL・ハイドロサルファイト2g・洗浄剤1g/Lの混合物に1〜5分浸す)を行い、さらに50〜60℃で湯洗し、水洗後、乾燥した。
鮮明な青色の捺染図柄を得ることができ、残留樹脂による風合い(柔軟性)の低下はほとんど認められなくなった。
〔実施例3〕
<トナー3処方>
実施例1と同様に行い濃縮トナー1を作成した。
<軟化液3処方>
・セバシン酸ジ-n-ブチル(軟化剤、LD50=14.9g/kg) 100wt%
濃縮トナー1を10gイソパラフィン系炭化水素(商品名 アイソパーH)1Lに分散して液体現像剤とし、これを用いて現像した静電潜像をポリエステル100%布に転写し、HTスチーミング(175℃で8分間)の湿熱処理を実施後、軟化液3を図3の装置で0.2mg/cm付与した後、ブラシでこすり落とし、さらに還元洗浄(70〜80℃の、38°ボーメ苛性ソーダ2mL・ハイドロサルファイト2g・洗浄剤1g/Lの混合物に1〜5分浸す)を行い、その上で50〜60℃で湯洗し、水洗後、乾燥した。
鮮明な青色の捺染図柄を得ることができ、残留樹脂による風合い(柔軟性)の低下はほとんど認められなかった。
本発明に係る樹脂除去装置の第1の実施の形態の概略図を示す。 本発明に係る樹脂除去装置の第2の実施の形態の概略図を示す。 本発明に係る樹脂除去装置の第3の実施の形態の概略図を示す。 本発明に係る樹脂除去装置の第4の実施の形態の概略図を示す。 本発明の捺染装置における工程フローを示す概略図である。 本発明の捺染装置に係る画像形成部の概略図である。
符号の説明
1 軟化液
2 現像装置
3 レジストローラ
4 浴槽
5 ローラ
6a、6b 液絞りローラ
7 回転ブラシ
8 反射光
9 第一現像ローラ
10 第二現像ローラ
11 リバースローラ
12 布帛等
13 転写装置
16 クリーニング装置
18 フォームローラ
21 帯電装置
22 イレースランプ
23 感光体ドラム
29 現像タンク
30 ポンプ
31 液体現像剤
41a、41b、41c ローラ
42 ブラシ
43 吸引装置
50 ノズル
51 吐出ヘッド
52 保持軸
53 供給ローラ
54 バックアップローラ
55 アニロクスローラ
56 ドクターブレード
57 ブラシローラ
58 吸引装置

Claims (12)

  1. 樹脂と染料とを含む着色剤を用いて捺染された被捺染体に付着している樹脂を除去するための樹脂除去手段を備える樹脂除去装置であって、
    前記樹脂除去手段は、前記被捺染体に付着している樹脂に、該樹脂を軟化させる特性を有する不揮発性の軟化液を接触させる接触手段を備えることを特徴とする樹脂除去装置。
  2. 前記樹脂除去手段は、前記被捺染体に付着している樹脂に物理的な力を加える樹脂除去促進手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の樹脂除去装置。
  3. 前記接触手段は、前記軟化液を前記被捺染体に飛翔させて付与することを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂除去装置。
  4. 前記接触手段は、前記被捺染体を前記軟化液に浸漬させて接触させる浸漬部であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂除去装置。
  5. 前記浸漬部は、前記樹脂除去促進手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の樹脂除去装置。
  6. 前記被捺染体及び/または前記軟化液を加熱するための加熱手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1に記載の樹脂除去装置。
  7. 樹脂と染料とを含む着色剤を用いて被捺染体に印捺する印捺手段を備える印捺装置と、前記染料を発色させる発色手段を備える発色装置と、請求項1乃至6の何れか1に記載の樹脂除去装置と、を有することを特徴とする捺染装置。
  8. 前記印捺手段は電子写真方式を用いる電子写真印捺手段であることを特徴とする請求項7に記載の捺染装置。
  9. 前記着色剤はトナーとキャリア液とを含む液体現像剤であることを特徴とする請求項8に記載の捺染装置。
  10. 樹脂と染料とを含む着色剤を用いて被捺染体に印捺する印捺工程と、前記染料を発色させる発色工程と、発色後の被捺染体に付着している樹脂を除去するための樹脂除去工程と、を備えることを特徴とする捺染方法。
  11. 前記樹脂除去工程及び/または前記樹脂除去工程後に、前記発色後の被捺染体に付着している樹脂の除去を促進する樹脂除去促進工程を備えることを特徴とする請求項10に記載の捺染方法。
  12. 請求項7乃至9の何れか1に記載の捺染装置で作成された捺染物であって、
    被捺染体に染料および樹脂が付着しており、該樹脂は軟化液を含有していることを特徴とする捺染物。
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