JP2008101162A - 水性ポリウレタン樹脂、顔料分散液および水性インク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】活性水素基を有し分子量400以上の疎水性である疎水性活性水素化合物(ひまし油および/またはダイマージオールなど)と、3つ以上の活性水素基を有し分子量400未満の多官能性活性水素化合物(トリメチロールプロパンなど)と、親水性基および活性水素基を有する親水性基含有活性水素化合物(ジメチロールプロピオン酸など)とを含む活性水素成分と、ポリイソシアネート化合物(4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートなど)を含むポリイソシアネート成分とを反応させて、水性ポリウレタン樹脂を得る。その後、中和剤で中和後、水分散させて水分散液とする。この水分散液を分散剤として、顔料を分散させることにより、水性インクを調製する。
【選択図】なし
Description
例えば、1分子中のイソシアネート基の平均官能基数が2より大きいポリイソシアネート化合物を原料とし、該イソシアネート基にウレタン結合を介してアニオン基が導入された水性ポリウレタン系分散剤を、水性印刷インクに用いて、顔料の分散性および水性顔料分散液の保存安定性の向上を図ることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
本発明の目的は、分散性および安定性に優れる水性ポリウレタン樹脂、および、その水性ポリウレタン樹脂が用いられる顔料分散液および水性インクを提供することにある。
また、本発明の水性ポリウレタン樹脂は、酸価が、20〜100KOHmg/gであることが好適である。
また、本発明の水性ポリウレタン樹脂では、多官能性活性水素化合物が、親水性基含有活性水素化合物を除く活性水素成分100重量部に対して0.5〜30重量部の割合で、含まれていることが好適である。
また、本発明は、上記した水性ポリウレタン樹脂と、顔料とを含んでいる顔料分散液をも含んでいる。
また、本発明は、上記した水性ポリウレタン樹脂と、顔料とを含んでいる水性インクをも含んでいる。
本発明において、疎水性活性水素化合物は、イソシアネート基と反応し得る、例えば、水酸基やアミノ基などの活性水素基(以下同様)を有する、疎水性の化合物であって、例えば、2以上の活性水素基を有する疎水性活性水素化合物、好ましくは、2〜3つの活性水素基を有する疎水性活性水素化合物、さらに好ましくは、2〜3つの水酸基を有する疎水性活性水素化合物などが挙げられる。
疎水性活性水素化合物としては、特に制限されないが、より具体的には、例えば、ひまし油やダイマージオールが挙げられる。
ひまし油は、脂肪酸組成として、水酸基を有するリシノール酸を主成分(例えば、80重量%以上)として含み、その他に、オレイン酸、リノール酸、ステアリン酸などを含む油脂であって、例えば、その酸価が4.0以下、そのケン化価が176〜187、そのヨウ素価が80〜90、その水酸基価が155〜177の不乾性油からなる。
これら疎水性活性水素化合物は、単独または2種以上を併用することができる。
本発明において、多官能性活性水素化合物は、例えば、3つ以上の活性水素基を有する化合物であって、例えば、3〜8つの活性水素基を有する多官能性活性水素化合物、好ましくは、3〜8つの水酸基を有する多官能性活性水素化合物、さらに好ましくは、3つの水酸基を有する多官能性活性水素化合物などが挙げられる。
これら多官能性活性水素化合物は、単独または2種以上を併用することができる。
また、多官能性活性水素化合物は、親水性基含有活性水素化合物を除く活性水素成分100重量部に対して、例えば、0.5〜30重量部、好ましくは、1〜10重量部の割合で配合される。
なお、親水性基含有活性水素化合物において、親水性基として、好ましくは、イオン性基、さらに好ましくは、アニオン性基が挙げられる。アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、スルホニル基、リン酸基、スルホベタインなどのべタイン構造含有基などが挙げられる。
また、リン酸基を有する親水性基含有活性水素化合物として、例えば、2,3−ジヒドロキシプロピルフェニルホスフェートなどが挙げられる。
さらに、親水性基含有活性水素化合物として、親水性基含有活性水素化合物に、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドが付加されているアルキレンオキサイド変性体を挙げることもできる。
また、親水性基含有活性水素化合物は、活性水素成分100重量部に対して、例えば、20〜80重量部、好ましくは、30〜70重量部の割合で配合される。
また、親水性基含有活性水素化合物は、水性ポリウレタン樹脂の酸価が、20〜100KOHmg/g、好ましくは、60〜90KOHmg/gとなるように、配合される。酸価が、上記の範囲より小さいと、水分散性や耐水性が低下する場合がある。また、上記の範囲より大きいと、水分散液の粘度が高くなる場合やインクの耐水性が低下する場合がある。
ジオール化合物は、2つの水酸基を有する化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、キシレングリコール、ビスヒドロキシエチレンテレフタレートなどの低分子量ジオールが挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、例えば、上記した低分子量ジオールを開始剤として、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの付加反応により得られる、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール(ランダムまたはブロック共重合体)が挙げられる。また、例えば、テトラヒドロフランの開環重合により得られるポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリエステルジオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールの1種または2種以上と、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸などのカルボン酸、および、これらのカルボン酸などから誘導される酸無水物、例えば、無水シュウ酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、さらには、これらのカルボン酸などから誘導される酸ハライド、例えば、シュウ酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライドなどとの反応により得られるポリエステルジオールが挙げられる。また、例えば、上記した低分子量ジオールを開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類の開環重合により得られる、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオールなどのラクトン系ポリエステルジオールなどが挙げられる。 また、ジオール化合物は、その分子量(数平均分子量)が、例えば、5000未満、好ましくは、3000未満、通常、500以上である。
また、ジオール化合物は、親水性基含有活性水素化合物を除く活性水素成分100重量部に対して、例えば、5〜50重量部、好ましくは、10〜40重量部の割合で配合される。
本発明において、ポリイソシアネート化合物は、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物、好ましくは、2つのイソシアネート基を有する化合物であって、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物(MDI)、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物(TDI)、4,4′−トルイジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、m−またはp−フェニレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
そして、活性水素成分(すなわち、疎水性活性水素化合物、多官能性活性水素化合物、親水性基含有活性水素化合物および必要によりジオール化合物など)と、ポリイソシアネート成分(すなわち、ポリイソシアネート化合物)とを反応させるには、公知の方法でよく、例えば、活性水素成分の活性水素基に対するポリイソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が、1未満の割合、好ましくは、0.8〜0.95となる割合で、活性水素成分およびポリイソシアネート成分を配合して、反応させる。
反応溶媒としては、イソシアネート基に対して不活性で、かつ、親水性に富み、除去が容易な低沸点溶媒である、例えば、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、例えば、テトラヒドロフランなどのエーテル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類、例えば、メチルカルビトール、エチルカルビトールなどのカルビトール類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類などが挙げられる。反応溶媒の使用量は、適宜決定される。
この反応により、活性水素成分とポリイソシアネート成分とが、ウレタン化反応して、本発明の水性ポリウレタン樹脂を得ることができる。このようにして得られる水性ポリウレタン樹脂は、その分子中に、疎水性活性水素化合物に起因する疎水性部分と、多官能性活性水素化合物に起因する枝分れ部分と、親水性基含有活性水素化合物に起因する親水性部分とを有している。
そして、本発明の水性ポリウレタン樹脂は、好ましくは、水分散液として調製し、例えば、親水性基含有活性水素化合物の親水性基がアニオン性基である場合には、得られた水性ポリウレタン樹脂を、そのアニオン性基を中和した後に、水に分散させる。
次いで、水性ポリウレタン樹脂を水に分散させるには、例えば、水性ポリウレタン樹脂を撹拌しつつ、これに対して徐々に水を添加するか、あるいは、水を攪拌しつつ、これに対して徐々に水性ポリウレタン樹脂を添加する。これにより、水性ポリウレタン樹脂の水分散液が調製される。なお、攪拌は、好ましくは、ホモミキサーなどを用いて、高剪断が付与されるように混合する。
これによって、本発明の水性ポリウレタン樹脂が水分散された、水性ポリウレタン樹脂の水分散液が調製される。なお、水性ポリウレタン樹脂の水分散液のpHは、通常7〜9程度である。
なお、ウレタン化反応において、反応溶媒が使用されている場合には、そのウレタン化反応終了後、または、水分散後に、反応溶媒を、例えば、減圧下において、適宜の温度で加熱することにより留去する。
とりわけ、本発明の水性ポリウレタン樹脂は、顔料に対して優れた初期分散性および分散安定性を付与することができる。そのため、本発明の水性ポリウレタン樹脂は、例えば、合成皮革やインクなどの各種工業分野において用いられる、顔料が分散(水分散)された顔料分散液を、調製するための分散剤として、好適に用いられる。
本発明の顔料分散液は、上記した本発明の水性ポリウレタン樹脂、顔料および分散媒を含んでいる。
本発明の顔料分散液において、水性ポリウレタン樹脂の含有量は、顔料100重量部に対して、例えば、5〜100重量部、好ましくは、10〜60重量部の範囲である。
有機顔料としては、例えば、アゾレーキ顔料、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなどの染料キレート、例えば、ニトロ顔料、例えば、ニトロソ顔料などが挙げられる。
なかでも、耐光性を考慮すれば、好ましくは、イソインドリノン系顔料、キナクリドン系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
好ましくは,ピグメント・イエロー74(C.I.11741)、ピグメント・イエロー109(C.I.56284)、ピグメント・イエロー110(C.I.56280)、ピグメント・イエロー128(C.I.20037)、ピグメント・イエロー155(C.I.−)、ピグメント・イエロー180(C.I.21290)、ピグメント・レッド122(C.I.73915)、ピグメント・レッド202(C.I.73907)、ピグメント・バイオレット19(C.I.46500)、ピグメント・ブルー15:1(C.I.74160)、ピグメント・ブルー15:3(C.I.74160)、ピグメント・ブルー15:4(C.I.74160)、ピグメント・ブルー60(C.I.69800)、ピグメント・ブラック7(C.I.77266)などが挙げられる。
以上のようなカーボンの具体例としては、「カーボンブラック#990」、「#970」、「#960」、「#950」、「#650」、「#750」、「MA600」、「#4000」、「MA100」、「#40」、「#32」、「#30」、「MA230」、「#3230」、「#3350」(以上、三菱化学社製)、「MONARCH880」、「―1000」、「―1300」、「―1400」、「―460」、「―480」、「VULCAN―P」、「―XC―72」、「―9A32」、「ELFTEX―8」(以上、キャボット社製)、「ColorBlackFW1」、「―2」、「―200」、「―18」、「―S160」、「―S170」、「SpecialBlack―5」、「―6」、「―4」、「―4A」、「Printex―90」、「―80」、「―60」、「―40」、「―30」、「―3」、「―140U」、「―140V」、「―150T」、「―P」、「―L6」、「―L」、「―U」、「―V」(以上、デグッサ社製)「Raven―5000ULTRAIII」、「―7000」、「―5750」、「―5250」、「―890H」、「―790URTRA」、「―C ULTRA」、「Conductex−SC ULTRA」、「―975ULTRA」(以上、コロンビアン製)などが挙げられる。
これら顔料は、単独または2種以上を併用することができる。また、顔料の含有量は、顔料分散液に対して、例えば、0.5〜30重量%、好ましくは、1〜25重量%の範囲である。
また、本発明の顔料分散液において、分散剤として、必要により、本発明の水性ポリウレタン樹脂以外の分散剤を、本発明の水性ポリウレタン樹脂とともに併用することもできる。そのような分散剤として、例えば、水溶性高分子や界面活性剤が挙げられる。
このような水溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルセルロース塩、ビスコースなどのセルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類、カチオンでんぷん、リン酸でんぷん、カルボキシメチルでんぷん塩などのでんぷん誘導体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、(α-メチル)スチレン−アクリル酸塩共重合物、(α-メチル)スチレン−メタクリル酸塩共重合物、(α-メチル)マレイン酸塩共重合物、アクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、スチレン−イタコン酸塩共重合物、イタコン酸エステル−イタコン酸塩共重合物、ビニルナフタレン−アクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−メタクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−イタコン酸塩共重合物などが挙げられる。これら水溶性高分子は、重量平均分子量が、例えば、2,000〜1,000,000の範囲である。
また、界面活性剤として、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤などが挙げられる。
ノニオン界面活性剤として、例えば、脂肪酸モノグリセリン・エステル、脂肪酸ポリグリコール・エステル、脂肪酸ソルビタン・エステル、脂肪酸蔗糖エステル、脂肪酸アルカノール・アミド、脂肪酸ポリエチレン・グリコール縮合物、脂肪酸アミド・ポリエチレン・グリコール縮合物、脂肪酸アルコール・ポリエチレン・グリコール縮合物、脂肪酸アミン・ポリエチレン・グリコール縮合物、脂肪酸メルカプタン・ポリエチレン・グリコール縮合物、アルキル・フェノール・ポリエチレン・グリコール縮合物、ポリプロピレン・グリコール・ポリエチレン・グリコール縮合物などが挙げられる。
なお、スチレン−アクリル系の分散剤は、市販品を用いることができ、その具体例としては、ジョンソンポリマー社製の分散剤が挙げられ、水溶液タイプでは、ジョンクリル61J(重量分子量12000、酸価195)、エマルションタイプでは、ジョンクリル450(重量分子量100000〜200000、酸価100)などが挙げられる。さらに、ジョンクリル67(重量分子量12500、酸価213)、ジョンクリル678(重量分子量8500、酸価215)、ジョンクリル586(重量分子量4600、酸価108)、ジョンクリル680(重量分子量4900、酸価215)ジョンクリル683(重量分子量8000、酸価160)、ジョンクリル690(重量分子量16500、酸価240)などが挙げられる。なお、フレーク状(固形状)のものは、水溶液化したり、エマルション化する。水溶液化またはエマルション化するための中和塩としては、例えば、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどの無機塩、トリエチルアミン、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、トリハイドロキシメチルアミノメタン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの有機アミン類などが挙げられる。
また、本発明の顔料分散液は、必要により、各種添加剤が添加される。各種添加剤としては、例えば、浸透促進剤、湿潤剤、pH調整剤などが挙げられる。
浸透促進剤は、単独または2種以上を併用することができる。また、浸透促進剤を用いる場合には、その含有量は、顔料分散液に対して、例えば、0.1〜15重量%の範囲である。
pH調整剤としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミンなどが挙げられる。pH調整剤の含有量は、目的とするpHに応じて適宜決定される。
そして、本発明の顔料分散液は、上記した各成分を混合することにより、調製することができる。
メディア媒体型分散機は、ベッセル内で、媒体として、ガラス、アルミナ、ジルコニア、スチール、タングステンなどの小径のメディアを高速で運動させ、その間を通過するスラリーを、メディア間の剪断力で磨砕させるタイプの分散機である。このようなメディア媒体型分散機の具体例としては、例えば、ボールミル、サンドミル、パールミル、スパイクミル、アジテータミル、コボーミル、ウルトラビスコミル、スーパーアペックスミルなどが挙げられる。
なお、分散機としては、上記以外の、例えば、ロールミル、超音波分散機などの公知の分散機も挙げられる。
例えば、本発明の水性ポリウレタン樹脂が、分散剤として配合されている、本発明の水性インクは、本発明の水性ポリウレタン樹脂と、上記した顔料や上記した分散媒、さらには、必要により上記した各種添加剤などを配合することにより、調製することができる。
また、本発明の水性インクには、必要により、バインダ樹脂を配合することもできる。バインダ樹脂としては、例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(上記した水性ポリウレタン樹脂を含む。)などが挙げられる。バインダ樹脂(固形分)の含有量は、顔料100重量部に対して、例えば、1〜200重量部、好ましくは、10〜100重量部の範囲である。
合成例1(水性ポリウレタン樹脂PU1の水分散液の合成)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、温度計を備えた4つロフラスコに、ポリイソシアネート成分として、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート92.01gを、活性水素成分として、ひまし油18.67g、トリメチロールプロパン2.50g、ジメチロールプロピオン酸33.43g、ネオペンチルグリコール16.16gを、溶剤として、メチルエチルケトン300.00gをそれぞれ加え、窒素雰囲気下、80℃に昇温して8時間撹拌した。
表1に示す組成および含有量(配合量)にて、実施例1と同様の操作により、合成例2〜6の水性ポリウレタン樹脂PU2〜PU6の水分散液を、それぞれ合成した。
表2に示す組成および含有量(配合量)にて、各成分を配合し、ペイントコンディショナーを用いて、目標平均粒子径160nm以下になるまで、顔料を分散させることにより、顔料分散液DW1〜DW4を調製した。分散メデイアとして、無アルカリタイプの0.6mm〜0.8mmのメディア粒度分布を有するガラスビーズを用いた。配合成分とメディアとの比率は体積比で、1:1とした。
表2に示す組成および含有量(配合量)にて、各成分を配合し、実施例1〜4と同様の操作にて、顔料を分散させることにより、顔料分散液DW5〜DW6を調製した。
実施例5〜8(水性インクA〜Dの調製)
表3に示す組成および含有量(配合量)にて、各成分を配合することにより、水性インクA〜Dを調製した。
表3に示す組成および含有量(配合量)にて、各成分を配合することにより、水性インクE〜Fを調製した。
(平均粒子径)
次の評価において、平均粒子径は、マイクロトラックUPA(日機装社製「UPA150」)により測定した、粒子径分布におけるD50(50%の粒子が当該粒子径以下の大きさであることを示す。)の値である。
(粘度)
次の評価において、粘度は、TV−20型粘度計(東機産業(株)社製)を用いて測定した。
1)顔料分散液の評価
〔初期分散性評価〕
(分散到達時間)
顔料分散液DW1〜DW6の調製において、ペイントコンディショナーによる分散開始からカーボンブラックの平均粒子径が160nmになる時点までの所要時間を測定し、これを分散到達時間として、以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表2に示す。
分散到達時間12時間以下 ◎
分散到達時間13時間以上15時間未満 ○
分散到達時間15時間以上 △
カーボンブラックが平均粒子径160nmに到達しない ×
(初期粘度)
顔料分散液DW1〜DW6の初期粘度を測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表2に示す。
粘度5.0mPa・s未満 ○
粘度5.0mPa・s以上10.0mPa・s未満 △
粘度10.0mPa・s以上 ×
〔分散安定性評価(高温)〕
(平均粒子径の経時変化)
顔料分散液DW1〜DW6を、70℃で1週間保存した前後の平均粒子径を測定し、保存前の初期値に対する保存後の経過後測定値の変化を、下記の評価基準で評価した。その結果を表2に示す。
経過後測定値が初期値に対して+5%以上+10%未満 △
経過後測定値が初期値に対して+10%以上 ×
(粘度の経時変化)
顔料分散液DW1〜DW6を、70℃で1週間保存した前後の粘度を測定し、保存前の初期値に対する保存後の経過後測定値の変化を、下記の評価基準で評価した。その結果を表2に示す。
経過後測定値が初期値に対して−12%以上+6%未満 ○
経過後測定値が初期値に対して−24%以上−12%未満 △
経過後測定値が初期値に対して+6%以上+12%未満 △
経過後測定値が初期値に対して−24%以上+12%以上 ×
2)水性インクの評価
〔初期物性評価〕
(初期平均粒子径)
水性インクA〜Fの初期平均粒子径を測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表3に示す。
平均粒子径変化が初期値に対して±3%未満 ○
平均粒子径変化が初期値に対して±3%以上±6%未満 △
平均粒子径変化が初期値に対して±6%以上 ×
(初期粘度)
水性インクA〜Fの初期粘度を測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表3に示す。
粘度3.0mPa・s未満 ○
粘度3.0mPa・s以上3.5mPa・s未満 △
粘度3.5mPa・s以上 ×
〔分散安定性評価(室温)〕
(平均粒子径の経時変化)
水性インクA〜Fを、室温で1カ月保存した前後の平均粒子径を測定し、保存前の初期値に対する保存後の経過後測定値の変化を、下記の評価基準で評価した。その結果を表3に示す。
経過後測定値が初期値に対して+5%未満 ○
経過後測定値が初期値に対して+5%以上+10%未満 △
経過後測定値が初期値に対して+10%以上 ×
(粘度の経時変化)
水性インクA〜Fを、室温で1カ月保存した前後の粘度を測定し、保存前の初期値に対する保存後の経過後測定値の変化を、下記の評価基準で評価した。その結果を表3に示す。
粘度変化が初期値に対して±3%未満 ○
粘度変化が初期値に対して±3%以上±6%未満 △
粘度変化が初期値に対して±6%以上 ×
〔分散安定性評価(高温)〕
(平均粒子径の経時変化)
水性インクA〜Fを、70℃で1週間保存した前後の平均粒子径を測定し、保存前の初期値に対する保存後の経過後測定値の変化を、下記の評価基準で評価した。その結果を表3に示す。
経過後測定値が初期値に対して+5%以上+10%未満 △
経過後測定値が初期値に対して+10%以上 ×
(粘度の経時変化)
水性インクA〜Fを、70℃で1週間保存した前後の粘度を測定し、保存前の初期値に対する保存後の経過後測定値の変化を、下記の評価基準で評価した。その結果を表3に示す。
粘度変化が初期値に対して±3%未満 ○
粘度変化が初期値に対して±3%以上±6%未満 △
粘度変化が初期値に対して±6%以上 ×
Claims (9)
- 活性水素基を有し分子量400以上の疎水性である疎水性活性水素化合物と、3つ以上の活性水素基を有し分子量400未満の多官能性活性水素化合物と、親水性基および活性水素基を有する親水性基含有活性水素化合物とを含む活性水素成分と、
ポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート成分と
の反応により得られることを特徴とする、水性ポリウレタン樹脂。 - 疎水性活性水素化合物が、炭素数10以上の連続する炭素−炭素結合を有していることを特徴とする、請求項1に記載の水性ポリウレタン樹脂。
- 疎水性活性水素化合物が、ひまし油および/またはダイマージオールであることを特徴とする、請求項1または2に記載の水性ポリウレタン樹脂。
- 酸価が、20〜100KOHmg/gであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の水性ポリウレタン樹脂。
- 疎水性活性水素化合物が、親水性基含有活性水素化合物を除く活性水素成分100重量部に対して0.1〜99.5重量部の割合で、含まれていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の水性ポリウレタン樹脂。
- 多官能性活性水素化合物が、親水性基含有活性水素化合物を除く活性水素成分100重量部に対して0.5〜30重量部の割合で、含まれていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の水性ポリウレタン樹脂。
- 分散剤として用いられることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の水性ポリウレタン樹脂。
- 請求項7に記載の水性ポリウレタン樹脂と、顔料とを含んでいることを特徴とする、顔料分散液。
- 請求項7に記載の水性ポリウレタン樹脂と、顔料とを含んでいることを特徴とする、水性インク。
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