JP2008101148A - 親水性もしくは撥水性のコーティング剤すなわち塗料の塗布予定面の前処理用の脱脂剤組成物および脱脂剤組成物の適用方法 - Google Patents

親水性もしくは撥水性のコーティング剤すなわち塗料の塗布予定面の前処理用の脱脂剤組成物および脱脂剤組成物の適用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 乗用車の窓ガラスやボディー面を脱脂剤で脱脂した後、塗布する親水性や撥水性コーティング剤を長期間維持するものとする。
【解決手段】 R−Si−X4−nであり、Rはエポキシ基、グリシドキシ基、3、4−エポキシシクロヘキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イミノ基、水酸基、メタクリロイル基、アクリロイル基、ウレイド基、クロロ基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアナート基の1又は2以上と、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、水素原子またはビニル基で、nは1〜3の整数で、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、アセトキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基などの加水分解性基又は水酸基であるシラン化合物、又はその部分加水分解物や部分縮合物の1種又は2種以上のシラン化合物からなるA成分と、A成分を0.01〜30質量%の範囲で含有する溶剤のB成分からなる脱脂剤。
【選択図】 なし

Description

この発明は、乗用車の窓ガラスや塗装ボディーに親水性もしくは撥水性のコーティング剤すなわち塗料を塗布するに当り、その塗布予定面に適用する前処理用の脱脂剤組成物に関し、特に親水性もしくは撥水性のコーティング剤すなわち塗料の密着性を長期にわたり維持できる作用を有する脱脂剤組成物に関する。
乗用車などのボディーの塗装面は新車の場合には微細な擦り傷もないので、このような塗装面を長期に維持する必要がある。さらに、雨天時に走行したり、洗車したりして塗装面が濡れている状態から乾燥するときに、濡れた車体に付着した微小な塵埃や洗車などの際に水溶液に含まれていた溶質が水分の蒸発で凝縮したりすると、塗装面が斑点状に白濁したりする。そこで、ボディーの塗装面に脱脂剤で脱脂してから親水性や撥水性のコーティング剤を塗布して、乾燥後の塗装面に斑点状の白濁が形成されないようにしている。
ところで、このような親水性や撥水性のコーティング剤すなわち塗料を塗布する場合、その塗布する面を脱脂剤で脱脂した後に、これらのコーティング剤すなわち塗料の密着性を向上させるために、その脱脂面上に予めプライマーを塗布するのが一般的である。しかし、このように予めプライマーを塗布するためには、その工程を必要とし、その分のコストが係る問題があった。
従来の自動車野ボディーの塗装面に適用する撥水性のコーティング剤として、超撥水性を持たせて雨水の水滴付着を防止する撥水性シリカ粒子からなる撥水性被膜が提案さている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このような撥水性のコーティング剤により形成の撥水性被膜は数ヶ月の耐久性はあっても数年にわたる長期間その作用を維持しうるものはないのが現状である。
特開2003−64318号公報
本発明が解決しようとする課題は、乗用車の窓ガラスや塗装ボディーの塗装面に、あるいは塗料を塗装する面に、その表面の塗装面の光沢や感触を維持するために、前処理として脱脂剤で脱脂した後、親水性や撥水性のコーティング剤すなわち塗料を塗布する際に、それらのプライマー処理として要求される前処理を省略して工程を簡略化し、塗布した親水性や撥水性のコーティング剤すなわち塗料を長期間にわたって維持しうる脱脂剤を提供することおよびその脱脂剤の形成方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決し、その目的を達成するための本発明の手段は、請求項1の発明では、コーティング剤の塗布予定面に前処理用として適用するための脱脂剤組成物は、R−Si−X4−nで示され、Rはエポキシ基、グリシドキシ基、3、4−エポキシシクロヘキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イミノ基、水酸基、メタクリロイル基、アクリロイル基、ウレイド基、クロロ基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアナート基の1または2以上と、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、水素原子、または、ビニル基であり、nは1〜3の整数であり、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、アセトキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基などの加水分解性基または水酸基で表わされるシラン化合物、または該シラン化合物の部分加水分解物もしくは部分縮合物の1種または2種以上からなるシラン化合物からなるA成分と、これらのA成分を0.01〜30質量%の範囲で溶解して含有する溶剤のB成分からなることを特徴とするコーティング剤の塗布予定面の前処理用の脱脂剤組成物である。
請求項2の発明では、コーティング剤の塗布予定面は有機質表面であり、コーティング剤が無機質を主たるビヒクルとする無機質コーティング剤からなり、前処理用として適用するための脱脂剤組成物は、上記の組成からなることを特徴とする請求項1に記載の脱脂剤組成物である。
請求項3の発明では、コーティング剤の塗布予定面は無機質表面であり、コーティング剤が有機質を主たるビヒクルとする有機質コーティング剤からなり、前処理用として適用するための脱脂剤組成物は、上記の組成からなることを特徴とする請求項1に記載の脱脂剤組成物である。
請求項4の発明では、コーティング剤の塗布予定面は無機質表面であり、コーティング剤が無機質を主たるビヒクルとする無機質コーティング剤からなり、前処理用として適用するための脱脂剤組成物は、上記の組成からなることを特徴とする請求項1に記載の脱脂剤組成物である。
請求項5の発明では、コーティング剤の塗布予定面が有機質表面であり、コーティング剤が無機質を主たるビヒクルとする無機質コーティング剤である場合に、コーティング剤塗布予定面を上記の前処理用脱脂剤組成物を用いて脱脂処理を行い、次いで脱脂処理した表面に前記コーティング剤を塗布することを特徴とする脱脂剤の適用方法である。
請求項6の発明では、コーティング剤の塗布予定面が無機質表面であり、コーティング剤が有機質を主たるビヒクルとする有機質コーティング剤である場合に、コーティング剤塗布予定面を上記の前処理用脱脂剤組成物を用いて脱脂処理を行い、次いで脱脂処理した表面に前記コーティング剤を塗布することを特徴とする脱脂剤の適用方法である。
請求項7の発明では、コーティング剤の塗布予定面が無機質表面であり、コーティング剤が無機質を主たるビヒクルとする無機質コーティング剤である場合に、コーティング剤塗布予定面を上記の前処理用脱脂剤組成物を用いて脱脂処理を行い、次いで脱脂処理した表面に前記コーティング剤を塗布することを特徴とする脱脂剤の適用方法である。
本発明の液状の脱脂剤は、脱脂のためにアクリル塗料やウレタン塗料を焼付け塗装した鋼板などの塗装した自動車ボディーの表面もしくは塗料の塗装予定面に塗布した後、次工程の親水性もしくは撥水性のコーティング剤を塗布するためすなわち塗装予定面に塗料を塗装するために、塗布した脱脂剤を拭き取った後、その上に親水性もしくは撥水性のコーティング剤すなわち塗料を塗布するが、この脱脂剤の拭き取りにより油分などの汚れとともに脱脂剤の余分の液は拭き取られるが、コーティング剤すなわち塗料の密着性は付与され、次工程で親水性もしくは撥水性のコーティング剤すなわち塗料を塗布して形成した塗膜が、従来の脱脂剤により脱脂した上で親水性もしくは撥水性のコーティング剤すなわち塗料を塗布して形成した塗膜に比して、より長期にわたってコーティング剤すなわち塗料の親水性もしくは撥水性の効果を持続でき、自動車ボディーの塗装面が長期にわたり汚れにくく、また、雨水により表面に斑点状の汚れを生じることもないなど、本発明の手段は、プライマー塗布工程を設けることなく、脱脂剤による脱脂処理のみで従来のコーティング剤すなわち塗料にない優れた効果を奏する。
本発明の脱脂剤組成物の成分は、A成分とこのA成分を溶解して有する溶剤であるB成分からなっている。このB成分の溶剤は、溶剤単独としてまたは溶剤混合物として用いられる。
先ず、本発明の脱脂剤組成物の成分であるA成分について説明する。A成分の組成式の一般式は、R−Si−X4−nとして示されるものである。
ここに、Rは、エポキシ基、グリシドキシ基、3、4−エポキシシクロヘキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イミノ基、水酸基、メタクリロイル基、アクリロイル基、ウレイド基、クロロ基、メルカプト基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアナート基の1つまたは2つ以上を含有してもよい炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、水素原子、または、ビニル基であり、nは1〜3の整数である。
さらに、Xは、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、アセトキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基などの加水分解性基または水酸基である。具体的にはnが1の例としてメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドトリエトキシシラン、メチルトリアセチルオキシシラン、nが2の例としてジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシラン、n=3の例としてトリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリメチルアセチルオキシシランが単独または混合物として使用でき、さらに、これらの単独又は混合物の部分加水分解物や部分縮合物が使用できる。
上記のうち、特にビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドトリエトキシシランの単独又は混合物の部分加水分解物や部分縮合物を主成分とするのが好ましい。
これらの化合物は、信越化学社、東レダウコーニングシリコーン社、東芝シリコーン社、旭化成ワッカー社などから入手できる。
本発明の請求項1の手段において、脱脂剤の成分であるA成分の使用量は、B成分中に0.01〜30質量%の範囲で含有して使用するのが好ましい。このA成分の含有量がB成分中に0.01質量%より少ないと、A成分の添加効果が不十分となる。一方、B成分中にA成分の含有量が30質量%を超えても、その効果は飽和して経済的でない上に、A成分とB成分からなる脱脂剤を拭き取ったあとのA成分の残量が多すぎると悪影響が出る場合がある。
次に、本発明の脱脂剤成分であるB成分について説明する。上記したようにB成分は前記のA成分を溶解可能な溶剤単独または溶剤混合物として用いられる。
すなわち、B成分を例示すると、n−パラフィン系炭化水素溶剤、イソパラフィン系炭化水素溶剤、ナフテン系炭化水素溶剤などの炭化水素系の溶剤、あるいは、これらを主体とする石油留分、残油の改質もしくは分解物の留分などの炭化水素系溶剤や、アルコール類、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、エーテル、エステル類、ケトン類などが挙げられる。
上記の炭化水素系溶剤としては、イソパラフィン系炭化水素溶剤としては、出光興産製のIPソルベント1016(沸点93〜140℃)、IPソルベント1620(沸点166〜202℃)(これらは以下に実施例として示す。)、IPソルベント2028(沸点213〜262℃)、IPソルベント2836(沸点277〜353℃)、日本石油製の日石アイソゾール200(沸点95〜155℃)、日石アイソゾール300(沸点170〜189℃)、日石アイソゾール400(沸点206〜257℃)などが挙げられる。n−パラフィン系炭化水素溶剤としては、日本石油化学製の0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントHが挙げられる。ナフテン系炭化水素溶剤として、日本石油化学製のナフテゾールL、M、Hが挙げられ、これらを主体とする石油留分、残油の改質あるいは分解物の留分として、灯油、ミネラルスピリット、ターペンなどが挙げられる。
さらに、上記のアルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、ネオペンチルアルコール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、イソオクタノール、n−デカノール、n−ドデシルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどが挙げられる。
次に、上記のグリコールエーテルおよびグリコールエーテルエステルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノi−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノi−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノi−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノt−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ3−メチルブチルアセテート、ジエチルエーテル、ジi−プロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。
さらに、上記のエステル類としては、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、エチレングリコールジアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテートなどが挙げられる。
さらに上記のケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、ジi−プロピルケトン、ジi−ブチルケトンなどが挙げられる。
これらの中では、イソパラフィン系炭化水素溶剤、n−パラフィン系炭化水素溶剤として、ナフテン系炭化水素溶剤、灯油、ミネラルスピリット、ターペンなどの炭化水素系溶剤や、アルコール類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルエステルを単独あるいは併用して使用するのが好ましい。
さらに、これらの中でも、沸点が65℃以上の溶剤を30質量%以上を用いるのが好ましい。沸点が65℃以上の溶媒が30質量%を下回ると、拭き取る前に脱脂剤が乾燥して、拭取りがうまくできなくなる。
なお、本発明の組成物には、効果に影響を与えない程度に、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、増粘剤、染料、チクソトロピー付与剤、防黴剤、防腐剤、防錆剤、防藻剤、消泡剤などを添加してもよい。
脱脂剤の組成例として、100部中の配合割合で各成分組成を配合し、表1−Aに示すように脱脂剤の実施例No.の実施例1〜10として脱脂剤No.のD1〜D11および表1−Bに示す比較例1〜10として脱脂剤No.のH1〜H10を調製した。調整直後の外観および45℃恒温機に貯蔵して3ヶ月間放置した貯蔵試験後の脱脂剤の外観を貯蔵液外観として、それぞれ目視評価し、それらを貯蔵安定性の評価とした。
Figure 2008101148
Figure 2008101148
表1−Aおよび表1−Bにおいて、エポキシシラン化合物Aは3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランであり、エポキシシラン化合物Bは3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランであり、エポキシシラン化合物Cは2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである。アミノシラン化合物AはN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製KBE603)であり、アミノシラン化合物Bは3−アミノプロピルトリエトキシシランであり、アミノシラン化合物CはN−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシランであり、アミノシラン化合物DはKBP−40(信越化学社製アミノシラン系化合物の7%エタノール溶液)である。ウレイドシラン化合物は3−ウレイドプロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液であり、イソシアナートシラン化合物は3−イソシアナートプロピルトリエトキシシランであり、クロロシラン化合物は3−クロロプロピルトリメトキシシランであり、アリールシラン化合物はp−スチリルトリメトキシシランである。
さらに、IPソルベント1620およびIPソルベント1016は出光興産社製イソパラフィン系溶剤であり、PGMはプロピレングリコールモノメチルエーテルであり、PGMCAはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートであり、PGPはプロピレングリコールモノn−プロピルエーテルであり、DPMはジプロピレングリコールモノメチルエーテルであり、TPMはトリプロピレングリコールモノメチルエーテルであり、MMBは3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールであり、MMBAC:3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテートである。
次いで、上記の実施例の脱脂剤を適用して脱脂した表面に塗布する親水性コーティング剤(すなわち親水性塗料)A〜Dと撥水性コーティング剤(すなわち撥水性塗料)A〜Cを示し、そのコーティング剤(すなわち塗料)の塗布例について示す。
先ず、親水性コーティング剤(すなわち親水性塗料)A〜Dおよび撥水性コーティング剤(すなわち撥水性塗料)A〜Cについて説明する。
親水性コーティング剤(すなわち親水性塗料)Aは、ケイ酸エステルを主成分とする無機系コーティング剤で、松下電工社製のガラス質成分を主成分とする高耐久性の無機質コーティング剤の商品名「フレッセラR」である。
親水性コーティング剤(すなわち親水性塗料)Bは、オアシス社製のパーヒドロポリシラザン溶液からなる商品名「クオーツガラスコーティング」である。
これらの親水性コーティング剤(すなわち親水性塗料)の効果は、施工後、親水化処理を行い、表面に親水性を付与して評価した。
親水性コーティング剤(すなわち親水性塗料)Cは、テトラアルコキシシランオリゴマー(旭化成ワッカー社製のTES40WN)15質量部、オルガノシリカゾル(日産化学社製のIPA−ST:有効成分30%)1質量部、チタン系硬化触媒(旭化成ワッカー社製のチタン系硬化触媒)0.6質量部、エタノール83.4質量部を超音波分散器を用いて均一化して親水性コーティング剤(すなわち親水性塗料)Cに調製した。
親水性コーティング剤(すなわち親水性塗料)Dは、親水性コーティング剤(すなわち親水性塗料)Aの有効成分100質量部に対し、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルエトキシシラン(信越化学社製のKBE603)0.5質量部を加えて、親水性コーティング剤(すなわち親水性塗料)Dに調整した。
撥水性コーティング剤(すなわち撥水性塗料)Aは、ケイ酸エステルを主成分とする無機系コーティング剤で、松下電工社製のガラス質成分を主成分とする高耐久性コーティング剤の商品名「フレッセラD」である。
撥水性コーティング剤(すなわち撥水性塗料)Bは、メチルメトキシシランオリゴマー(信越シリコーン社製チタン系硬化触媒配合済みメチルメトキシシランオリゴマーKR400)15質量部、粘度10mm2/s(10cSt)のポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製SH200−CS)0.60質量部、粘度1000mm2/s(1000cSt)のポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製SH200−1000CS)0.15質量部、プロピレングリコールモノブチルエーテル50質量部、イソプロピルアルコール34.25質量部を攪拌して均一化することにより撥水性コーティング剤(すなわち撥水性塗料)Bに調製した。
撥水性コーティング剤(すなわち撥水性塗料)Cは、メチルメトキシシランオリゴマー(信越シリコーン社製チタン系硬化触媒配合済みメチルメトキシシランオリゴマーKR400)15質量部、粘度10mm2/s(10cSt)のポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製SH200−10CS)0.60質量部、両末端がシラノール基で封鎖されたポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング社製BY16−873)0.15質量部、シリコーンパウダー(信越化学社製)5質量部、プロピレングリコールモノブチルエーテル50質量部、イソプロピルアルコール29.25質量部を超音波分散器を用いて均一化することにより撥水性コーティング剤(すなわち撥水性塗料)Cに調製した。
以下、本発明の脱脂剤の使用および比較例の脱脂剤の使用における実施例を表2−Aにおよび比較例を表2−Bに、さらに、実施例を表3−Aに、比較例を表3−Bにより示した。さらに、実車に適用した実施例を表4−Aにより、および、比較例を表4−Bにより示した。
表2−A、表2−Bおよび表3−A、表3−Bに示す内容で、基材の黒色のウレタン塗装鋼板(すなわち、イソプロピルアルコールで脱脂した冷延鋼板であるSPCC鋼板に日本ペイント社製の2液硬化型ポリウレタン塗料をエアガンにより塗装し、80℃で1時間焼付けして調製した。)の表面を、表1−Aに示す脱脂剤No.の実施例のD1〜D11および表1−Bに示す比較例のH1〜H10をエアガンまたは塗り付け専用クロスを用いて素材全体に均一に塗布し、直ちに拭き取り専用クロスで拭き取ることにより、脱脂作業を行った。
次いで、この脱脂した清浄面にケイ酸エステルを主成分とする無機系コーティング剤を専用スポンジで均一に塗布するか、専用エアガンを用いて脱脂済みの表面に均一に塗布し、乾燥させた。撥水性コーティング剤(すなわち撥水性塗料)Cを塗布した場合は、乾燥直後に専用クロスで、過剰のポリマーを拭き取って表面を平滑化したのち、初期評価とした。
また、25℃で1週間の養生を行った後に、JIS K−5400の方法で湿式耐摩耗性試験を行った。1000回往復のブラッシング後にも目視で親水性あるいは撥水性が保持されているものを「良好」とした。
さらに、JIS K−2396記載の方法で曝露試験台に試験片を固定して半年間屋外曝露試験を行った後、表面を中性のカーシャンプーで洗浄し、水洗後に、目視評価し、親水性あるいは撥水性が保持されているものを「良好」とした。
Figure 2008101148
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さらに、表4−A、表4−Bに記載の基材の欄の各車種の車両のボンネットに上記の親水性コーティング剤Aの塗布を実施し、実施例No.として上記の表3−A、表3−Bのそれぞれに続く実施例17〜実施例22と比較例18〜比較例23の番号で示し、各実施例および比較例において評価を行った。
耐久性としての耐磨耗性2は、塗布から1ヶ月間の実走行後に、中性のカーシャンプー希釈液で湿らせたスポンジを用いて、表面を10往復擦った後、水をかけてシャンプーを落とし、この洗浄操作を10回繰り返した後、親水性が保持されているものを「良好」とした。耐久性としての耐候性2は、半年間の実走行後に中性カーシャンプーで洗車した後の表面の親水性の維持性を目視評価し、親水性が持続しているものを「良好」とし、親水性が大きく低下しているものを×とした。
Figure 2008101148
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脱脂剤の比較例のH1、H2、H3、H4は表1−Bの脱脂剤配合成分のA成分が含まれていないか、含まれていても濃度が低すぎるために添加効果が認められなかった。脱脂剤の比較例のH5は、脱脂剤配合成分のA成分の濃度が高すぎて、拭き取り後に表面に残留するA成分の濃度が部分的に高すぎる部分が発生したためか、無機質塗料の付き具合が不均一となり、外観不良が発生した。脱脂剤の比較例のH6(これは表4−Bに非表示)、H7は脱脂剤配合成分のA成分の代わりにシリコンオイルや変性シリコンオイルが含有されているので、脱脂剤配合成分の成分Aの添加効果は認められない。脱脂剤の比較例のH8(表4−Bに非表示)およびH9は乾燥が速すぎて、拭き取りが終わらないうちに乾燥してしまい、拭き取りが不十分であった。また、脱脂剤の比較例のH10(表4−Bに非表示)は、成分Aが成分Bを溶解しない為に、成分Aの効果が発揮されず、また、脱脂効果も不良であった。

Claims (7)

  1. コーティング剤の塗布予定面に前処理用として適用するための脱脂剤組成物は、R−Si−X4−nで示され、Rはエポキシ基、グリシドキシ基、3、4−エポキシシクロヘキシル基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、イミノ基、水酸基、メタクリロイル基、アクリロイル基、ウレイド基、クロロ基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアナート基の1または2以上と、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、水素原子、または、ビニル基であり、nは1〜3の整数であり、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子、アセトキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基などの加水分解性基または水酸基で表わされるシラン化合物、または該シラン化合物の部分加水分解物もしくは部分縮合物の1種または2種以上からなるシラン化合物からなるA成分と、これらのA成分を0.01〜30質量%の範囲で溶解して含有する溶剤のB成分からなることを特徴とするコーティング剤の塗布予定面の前処理用の脱脂剤組成物。
  2. コーティング剤の塗布予定面は有機質表面であり、コーティング剤が無機質を主たるビヒクルとする無機質コーティング剤からなり、前処理用として適用するための脱脂剤組成物は、上記の組成からなることを特徴とする請求項1に記載の脱脂剤組成物。
  3. コーティング剤の塗布予定面は無機質表面であり、コーティング剤が有機質を主たるビヒクルとする有機質コーティング剤からなり、前処理用として適用するための脱脂剤組成物は、上記の組成からなることを特徴とする請求項1に記載の脱脂剤組成物。
  4. コーティング剤の塗布予定面は無機質表面であり、コーティング剤が無機質を主たるビヒクルとする無機質コーティング剤からなり、前処理用として適用するための脱脂剤組成物は、上記の組成からなることを特徴とする請求項1に記載の脱脂剤組成物。
  5. コーティング剤の塗布予定面が有機質表面であり、コーティング剤が無機質を主たるビヒクルとする無機質コーティング剤である場合に、コーティング剤塗布予定面を上記の前処理用脱脂剤組成物を用いて脱脂処理を行い、次いで脱脂処理した表面に前記コーティング剤を塗布することを特徴とする脱脂剤の適用方法。
  6. コーティング剤の塗布予定面が無機質表面であり、コーティング剤が有機質を主たるビヒクルとする有機質コーティング剤である場合に、コーティング剤塗布予定面を上記の前処理用脱脂剤組成物を用いて脱脂処理を行い、次いで脱脂処理した表面に前記コーティング剤を塗布することを特徴とする脱脂剤の適用方法。
  7. コーティング剤の塗布予定面が無機質表面であり、コーティング剤が無機質を主たるビヒクルとする無機質コーティング剤である場合に、コーティング剤塗布予定面を上記の前処理用脱脂剤組成物を用いて脱脂処理を行い、次いで脱脂処理した表面に前記コーティング剤を塗布することを特徴とする脱脂剤の適用方法。
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