JP2008097354A - 不均質材料のシミュレーション方法 - Google Patents

不均質材料のシミュレーション方法 Download PDF

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Abstract

【課題】材料特性の異なる複数の材料相が分散配置された不均質材料のシミュレーションモデルを用いて、コンピュータ上で不均質材料の非連成双方向マルチスケールシミュレーションを行なう際、大変形や大変位の解析であっても、効率よく短時間にシミュレーションを行うことのできる不均質材料のシミュレーション方法を提供する。
【解決手段】不均質材料を材料とする構成部材を均質材料の等価モデルによってモデル化した構造体のシミュレーションモデルを作成し、この構造体のシミュレーションモデルに変形または外力を与えてシミュレーションを行ない、予め設定された所定経過段階毎の構造体の変形を表す物理量をそれぞれ出力し、求めた所定経過段階毎の変形を表す物理量それぞれが、所定経過段階それぞれ毎の不均質材料のシミュレーションモデルにおける平均的な変形となるように、所定経過段階それぞれ毎に不均質材料離散化モデルに境界条件を与えて、不均質材料の所定経過段階それぞれ毎の変形を求める。
【選択図】図2

Description

本発明は、材料特性の異なる複数の材料相が分散配置された不均質材料のシミュレーション方法に関する。
タイヤのトレッドゴム部材やビードフィラーゴム部材等に用いられるフィラー配合ゴムや補強部材のバルク特性はタイヤ性能に影響を与える。このため、タイヤ性能のシミュレーション演算及びゴム材料特性のシミュレーション演算は、タイヤ開発の上で重要な要素となっている。バルク特性とは、材料特性の異なる材料相が分散配置された不均質材料の塊(バルク)の状態におけるマクロ特性であり、不均質材料を均質な材料と見なした場合の等価な材料特性である。
上記フィラー配合ゴムのような、材料特性の異なる複数の材料相が分散配置された不均質材料におけるバルク特性を、シミュレーション演算により評価するには、例えば不均質材料の代表領域(ミクロ領域)を直方体形状に切り出して有限要素モデルを作成する。そして、この有限要素モデルがあたかも上下、左右、奥行き方向に連続して無限に連なってバルクを成すように、有限要素モデルの対向する面に周期境界条件を付与してシミュレーションモデルを作成してシミュレーション演算を行う。
下記特許文献1では、均質化法を用いた構造解析方法及び構造設計方法が開示されている。構造解析方法では、均一内材料中に周期的に異種材料が配置されている複合材料と、この複合材料に他の材料が接続している構造の解析の際に、複合材料に均質化法を適用して構造解析を行う。その際、複合材料のミクロ領域のモデルであるミクロ構造モデルについて有限要素解析により引張試験を行い、そのときの結果から複合材料のマクロ特性を求めて構造解析を行う。
一方、下記非特許文献2では、非連成双方向マルチスケールシミュレーションに関するシミュレーション方法が開示されている。当該方法では、ミクロ構造モデルで得られた引張試験のシミュレーション結果からマクロ構造モデルにおける材料パラメータを求め、この材料パラメータをマクロ構造モデルに用いて、シミュレーションを行う、いわゆるミクロ−マクロ非連成解析手法が行われている。
また、下記特許文献3には、マクロ構造とミクロ構造のシミュレーション演算を整合させて効率よく行なうための、不均質材料のシミュレーション方法が提案されている。特許文献3では、不均質材料のミクロ構造を再現したミクロスケールモデルを変形させてシミュレーション演算を行なうことにより、超弾性ポテンシャルおよび材料定数を定め、不均質材料を含む構造体を再現したマクロスケールモデルを用いて、超弾性ポテンシャルおよび材料定数に基いてマクロシミュレーション演算を行う。そして、マクロシミュレーション演算結果のうち、不均質材料の配置部分の代表点の歪の結果を取得し、この歪からミクロスケールモデルにおける境界領域の変位を定め、この変位をミクロスケールモデルの境界条件としてミクロスケールシミュレーションを行なうと記載されている。
特開2003−347301号公報 「非線形均質化理論における2変数境界値問題のミクロ−マクロ非連成近似解法」,渡邉育夢,寺田賢二朗,応用力学論文集Vol.8,pp.275-285,(2005年8月) 特開2006−15866号公報
上記文献では、いずれもミクロ構造モデルのシミュレーションにおける、ゴム材料にカーボンブラック等の補強充填材を分散配置する構成のように、材料相の材料特性が大きく異なる場合が多い。この場合、マクロ構造モデルのシミュレーション結果を、そのままミクロ構造モデルに入力したのでは、材料特性を表す材料定数の値が低い材料相の部分のモデル要素の変形が非常に大きくなり収束解を得るのに計算時間が長くなり、場合によっては収束解が得られないといった問題が生じる場合があった。
例えば、上記特許文献3では、マクロスケールシミュレーションで取り出された代表点の歪の結果を用い、この代表点の歪みを、下記式(1)中の歪exx,exy,exz,eyx,eyy,eyz,ezx,ezy,ezzに代入し、Δx、Δy、Δzに直方体形状のボクセルの一辺の長さを代入することで、一方の有限要素の境界面上の節点を基準とした他方の節点の変位Δu、Δu、Δuを求めている。そして、この変位をミクロスケールモデルの境界上の節点に強制変位として与え、ミクロスケールシミュレーションと同様の材料定数を用いて、代表領域における歪分布、応力分布を算出している。
Figure 2008097354
例えば、マクロ構造モデルとしてタイヤの形状を再現したモデル(タイヤモデル)を作成し、このタイヤモデルを転動させるシミュレーションを行なう場合など、マクロ構造モデルの変形や変位は比較的大きなものとなる。このような場合、特許文献3記載の不均質材料のシミュレーション方法を用いたマクロスケールシミュレーションにおいて、大きな変形・変位のシミュレーションを行なった場合、他方の節点の変位Δu、Δu、Δuは比較的大きなものとなる。この場合、マクロ構造モデルのシミュレーション結果を、そのままミクロ構造モデルに変位境界条件として入力したのでは、ミクロモデルの初期状態から最終状態までの遷移状態が、ミクロモデルが表す不均質材料の実際の遷移状態からかけ離れてしまう場合があった。このような場合、収束解を得るのに計算時間が長くなり、場合によっては収束解が得られないといった問題が生じることもあった。このため、不均質材料の早期設計、開発にとって実用上好ましくない。
そこで、本発明は、材料特性の異なる複数の材料相が分散配置された不均質材料のシミュレーションモデルを用いて、コンピュータ上で不均質材料の非連成双方向マルチスケールシミュレーションを行なう際、大変形や大変位の解析であっても、効率よく短時間にシミュレーションを行うことのできる不均質材料のシミュレーション方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、材料特性の異なる複数の材料相が配置された不均質材料のシミュレーションモデルを用いて、コンピュータ上で行なう不均質材料のシミュレーション方法であって、前記不均質材料を材料とする構成部材を均質材料の等価モデルによってモデル化した構造体のシミュレーションモデルを作成するステップと、前記構造体のシミュレーションモデルに変形または外力を与えて前記構造体のシミュレーションを行ない、予め設定された所定経過段階毎の前記構造体の変形を表す物理量を、それぞれ出力するマクロシミュレーションステップと、求めた前記所定経過段階毎の前記変形を表す物理量それぞれが、前記所定経過段階それぞれ毎の前記不均質材料のシミュレーションモデルにおける平均的な変形となるように、前記所定経過段階それぞれ毎に前記不均質材料離散化モデルに境界条件を与えて、前記不均質材料の前記所定経過段階それぞれ毎の変形を求めるミクロシミュレーションステップと、を有することを特徴とする不均質材料のシミュレーション方法を提供する。
さらに、前記ミクロシミュレーションステップにおいて前記不均質材料の前記所定経過段階それぞれ毎の変形を求める度に、シミュレーション結果が収束しているか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて前記シミュレーション結果が収束していないと判定されたとき、前記所定経過段階をさらに細分化して、前記マクロシミュレーションステップと前記ミクロシミュレーションステップとを実施する繰り返しステップと、を有することが好ましい。
また、前記マクロシミュレーションステップでは、変形を表す物理量として、変形勾配または変位勾配の少なくともいずれか一方を求めることが好ましい。
また、前記ミクロシミュレーションステップでは、前記マクロシミュレーションステップで出力された前記構造体の変形を表す物理量を、回転を表す成分とストレッチ成分とに分解し、前記回転成分が前記不均質材料の平均的な回転となり、また、前記ストレッチ成分が前記不均質材料の平均的なストレッチとなるよう、前記不均質材料のシミュレーションモデルに境界条件を与えることが好ましい。
また、前記回転成分が前記不均質材料の平均的な回転となるよう、前記不均質材料のシミュレーションモデルに境界条件を与える際、前記回転成分について座標軸を定め、定められた座標軸周りの回転を表す回転テンソルを算出し、前記回転テンソルを前記不均質材料シミュレーションモデルに作用させることが好ましい。
また、前記ミクロシミュレーションステップでは、前記構造体の変形を表す物理量を、回転を表す成分とストレッチ成分とに分解し、前記ストレッチ成分が前記不均質材料の平均的なストレッチとなるよう、前記不均質材料のシミュレーションモデルに、前記ストレッチ成分についての境界条件のみを与えることが好ましい。
また、前記ストレッチ成分は、左ストレッチテンソル又は右ストレッチテンソルで定義された物理量であることが好ましい。また、前記不均質材料の変形シミュレーションの際に、前記モデルに周期境界条件を付加することが好ましい。また、前記不均質材料離散化モデルのモデル領域が1種類以上の材料物性から構成されていることが好ましい。
以下、本発明の不均質材料のシミュレーション方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
図1は、本発明の不均質材料のシミュレーション方法を実施するシミュレーション装置10の構成を機能的に示したブロック図である。シミュレーション装置10は、CPU12、メモリ14、ROM16、I/Oボード18を備えたコンピュータであり、メモリ14あるいはROM16に記憶されたアプリケーションソフトウェアを読み出して、モデル作成部20、周期境界条件設定部22、有限要素解析部24、条件変更・設定部25、判定部26、および材料パラメータ同定部28のそれぞれのサブルーチンをCPU12が実行する。CPU12は、シミュレーション装置10が行なうシミュレーション方法の全体を制御する制御部として機能する。
シミュレーション装置10は、後述する有限要素モデルであるミクロ構造モデル(以降、ミクロモデルという)及びマクロ構造モデル(以降、マクロモデルという)を作成し、有限要素法を用いたシミュレーション解析を実行する。なお、シミュレーション装置10は、ディスプレイ30、プリンタ32及びマウス・キーボード34と接続されている。有限要素モデルに必要な情報やシミュレーション解析に必要な条件等は、ディスプレイ30に表示された入力画面をオペレータが見ながら、マウス・キーボード34にてシミュレーション装置10に入力指示され、また、シミュレーション解析結果がディスプレイ30やプリンタ32に数値、グラフあるいは図によって表示される。また、I/Oボード18は、図示されないCAD/CAM等のデータ供給システムと接続されている。
モデル作成部20は、不均質材料の代表領域が図示されないデータ供給システムから入力されると、不均質材料の代表領域を再現した有限要素モデルを有限要素によって生成するとともに、不均質材料を構成部材として備えた構造体の有限要素モデルを有限要素によって作成する部分である。不均質材料の代表領域の有限要素モデルは、複数の離散点によって形状が特徴付けられた4面体、5面体及び6面体の少なくとも1種の有限要素を連続的に複数個配置することによって構成されたミクロモデルである。不均質材料は、材料特性の異なる複数の材料相及び/又は空隙が分散配置されたもので、例えば、ポリマーを母材としてカーボンブラックやシリカ等の充填材、スチール線材や有機繊維材等の繊維補強材や、気泡が分散配置されたゴム材料が例示される。
不均質材料の代表領域(ミクロ領域)は、例えば6面体の直方体形状とし、この代表領域について互いに直交する3方向にメッシュ分割することにより、ボクセル状の連続的に配置した有限要素モデルを作成する。ミクロモデルにおける各材料相の材料定数は、各材料相固有の材料特性の値を備えるようにセットされる。このとき、ミクロ領域が3方向に連続的に配置される状態をミクロモデルが再現するように、各境界面上の各節点には、周期境界条件が付与される。また、不均質材料を構成部材の材料として備える構造体のモデルがマクロモデルとして作成される。このマクロモデルでは、不均質材料の部分は均質材料としてモデル化される。すなわち、不均質材料の部分は均質材料等価モデルとして表される。本実施形態では、タイヤを構造体とし、トレッドゴムやビードゴム等のゴム材料を不均質材料としたタイヤモデルを作成する。
周期境界条件設定部22は、作成されたミクロモデルを用いてシミュレーションを行なう際の周期境界条件を定める部分である。例えば、周期境界条件として、ミクロモデルが連続的に無限に配置される状態を再現するように、ミクロモデルの3方向のそれぞれについて、一方の境界面上の節点と他方の境界面上の同じ相対位置にある節点との間の挙動を関係付ける関係式を定める。
有限要素解析部24は、定められた周期境界条件を用い、ミクロモデル及びマクロモデルを用いてシミュレーションを行う部分である。シミュレーションは、線形解析であっても、非線形解析であってもよい。有限要素解析部24には、公知の汎用有限要素解析ソルバー、例えばABAQUS,Inc社製汎用非有限要素解析プログラムが用いられる。
有限要素解析部24は、不均質材料の力学特性を求めるための、ミクロモデルを用いたシミュレーション(特性シミュレーション)、例えば、ゴム材料の一軸引張、圧縮試験等の引張、圧縮試験のシミュレーションを行う。また、ゴム材料で構成されたタイヤを構造体としたタイヤのマクロモデルを用いた変形挙動のシミュレーション(マクロシミュレーション)を行う。さらに、有限要素解析部24は、構造体の上記力学挙動時、不均質材料のミクロ領域がどのような挙動を示しているかを再現するために、ミクロモデルを用いた力学挙動のシミュレーション(ミクロシミュレーション)も行う。例えば、マクロモデルを用いたシミュレーション結果をミクロモデルに与えて、ミクロモデルの変形や変位等を計算する。
例えば、タイヤを構造体とした場合、マクロシミュレーションとしては、タイヤへの内圧充填の力学挙動を再現する内圧充填シミュレーションや、内圧充填されたタイヤを地面に押し付けて荷重を負荷したときの力学挙動を再現する接地シミュレーション、タイヤに荷重を負荷しない状態でタイヤを転動させたときの自由転動シミュレーション、および、タイヤに荷重を負荷した状態でタイヤを転動させたときの接地転動シミュレーションなどが行われる。
有限要素解析部24では、マクロ構造モデルを用いて、後述の条件変更・設定部25において予め設定された、所定の経過段階毎の挙動についてシミュレーションを行い、この経過段階毎のマクロモデルの変形挙動情報(変形を表す物理量)を、順次(経過段階毎に)出力する。そして、この経過段階毎のマクロ構造モデルの変形挙動を、ミクロモデルに順次入力して、ミクロシミュレーションを行なう。本実施形態では、マクロ構造モデルとしてタイヤモデルを用い、マクロシミュレーションとして、このタイヤモデルの自由転動シミュレーションを実施する。そして、マクロシミュレーションの結果を用いて、タイヤが自由転動する際の、不均質材料のミクロ領域の挙動を再現するためのミクロシミュレーションを行なう。有限要素解析部24で行なう各シミュレーション(特性シミュレーション、マクロシミュレーション、ミクロシミュレーション)の詳細は、後に詳述する。
条件変更・設定部25は、上記マクロシミュレーションおよびミクロシミュレーションのシミュレーション条件の詳細、特に、上記経過段階について設定する。例えば、図示しない入力手段から入力されたマクロシミュレーションの条件(経過段階の条件)を受け付け、この受け付けたマクロシミュレーションの条件をメモリ14またはROM16に記憶しておく。有限要素解析部24は、このようにメモリ14やROM16に記憶されている条件に基き、マクロシミュレーションを行ない、入力された経過段階毎のマクロモデルの変形挙動(変形を表す物理量)を、順次(各経過段階毎に)ミクロモデルに入力し(例えば、変位境界条件や、荷重の境界条件として与えて)、ミクロシミュレーションを行なう。また、条件変更・設定部25は、後述する判定部26における判定結果についての情報を受け取り、ミクロシミュレーションの結果が収束せずにシミュレーションが途中停止している場合など、シミュレーションにおける経過段階をさらに細かく分割する。例えば、マクロモデルの結果を出力する、シミュレーションにおける時間ステップの幅がさらに短時間となるよう、時間ステップをより短く変更して再設定する。なお、条件変更・設定部25では、例えば、図示しない入力手段から入力された経過段階の条件を受け付けた後、この受け付けた単位時間ステップの条件をミクロモデルに応じて変更し、変更後の経過段階の条件をメモリ14またはROM16に記憶してもよい。
判定部26は、有限要素解析部24におけるミクロシミュレーションの状況をモニタし、各経過段階単位で行なうミクロシミュレーションそれぞれについて、ミクロシミュレーションが収束しているか(収束解が得られるか否か)を判定する。後に詳述するが、マクロシミュレーションが比較的大きな変形や変位を再現するシミュレーションであり、各経過段階単位それぞれでのミクロシミュレーションにおける、ミクロモデルの初期状態と終期状態とが大きく相違している場合など、マクロシミュレーション結果をミクロモデルに与えても、ミクロシミュレーションにおいて収束解が得られない場合がある。判定部26は、ミクロシミュレーションが収束するか否かを判定する。CPU12は(制御部は)、このような判定結果の情報に基づき、必要に応じて、条件変更・設定部25によって経過段階の条件の変更・再設定を行なう。
材料パラメータ同定部28は、不均質材料の力学特性を求めるために行った特性シミュレーションの結果を用いて、材料パラメータの同定を行う部分である。例えば、ミクロモデルを用いた特性シミュレーションの応力−歪みの曲線の結果について、超弾性ポテンシャル関数にてカーブフィットして各パラメータを算出する。このようなパラメータは、マクロモデルにおける不均質材料のモデル部分の材料特性として付与するために用いられる。
このような構成のシミュレーション装置10において、以下に示すような本願発明のシミュレーション方法である非連成双方向マルチスケールシミュレーションが行われる。
図2は、本発明のシミュレーション方法の一例フローチャートである。
まず、モデル作成部20にて、ミクロモデルが作成される(ステップS100)。ここでは、不均質材料における代表領域(ミクロ領域)が定められ、このミクロ領域について、複数の節点によって形状が特徴付けられた複数のボクセルを用いて1つのミクロ領域を再現した有限要素モデルであるミクロモデルが作成される。図3(a)は、ミクロ領域を、複数のボクセルを用いて定めたミクロモデルの一例を示している。ここでは、濃淡により3つの領域に区分けされており、材料特性の異なる3つの材料相が分散配置された不均質材料のモデルである。勿論、各材料相毎に材料定数は設定される。なお、材料相の1つは、気相からなる空隙であってもよい。
さらに、不均質材料を構成部材の材料として備えた構造体の有限要素モデルであるマクロモデルが、モデル作成部20にて作成される(ステップS102)。図3(b)は、タイヤを構造体とした3次元のマクロモデルの一例を示している。マクロモデルにおいては、不均質材料の構成部材は均質材料としてモデル化され、材料定数は未定状態とされている。一方、不均質材料の構成部材以外の部材については、材料定数が設定されている。これらのミクロモデル及びマクロモデルは3次元モデルであるが、2次元モデルであってもよい。
次に、特性シミュレーションが、有限要素解析部24にて行われる(ステップS106)。特性シミュレーションでは、材料相固有の材料特性を有するように材料定数が設定されたミクロモデルに対して引っ張り、又は圧縮試験を再現する不均質材料のシミュレーションであり、ミクロ領域が3方向に無限に連続的に配置されてバルク特性を示すように、ミクロモデルの境界面に周期境界条件が付与される(ステップS104)。この特性シミュレーションでは、力学特性として、応力―歪み曲線を求めるために、例えば一軸引張試験を再現したものが行われる。これにより、ミクロ歪みの応力―歪み曲線が求められる。このときの特性シミュレーションは、材料相固有の材料特性を有するようにミクロモデルにおける材料定数が設定されて、ミクロモデルのシミュレーションが行われる。
以降、単純なミクロモデルを用いて、本実施形態における処理について説明する。図4は、単純なミクロモデルの例を示している。図4に示すミクロモデルでは、力学特性の異なる2種類の材料で構成され、濃淡の淡い方の材料を母材として、濃い方の材料が母材中に分散配置されている。濃淡の淡い方の材料はゴム材であり、濃い方の材料は補強材である。補強材は、ゴム材の補強充填材として用いられるものであり、例えば剛性が100倍程度異なる。例えば、このような図4に示すようなミクロモデルについて、周期境界条件に基いて特性シミュレーションが実施される。図5(a)は、ミクロモデルが引張り方向に引き伸ばされた状態を示している。図5(b)は、このときの応力―歪み曲線の一例の結果を示している。
次に、上記応力―歪み曲線の結果を用いて、不均質材料のバルク特性として、材料パラメータの同定が、材料パラメータ同定部26にて行われる(ステップS108)。例えば、公知の超弾性ポテンシャル関数を用いて図5(b)の曲線をカーブフィットし、材料パラメータを抽出する。このような材料パラメータは、後述するマクロモデルにおける不均質材料を用いた有限要素の材料定数として用いる。このような、上記不均質材料を均質材料としたときの材料パラメータは、材料定数として、作成されたマクロモデルに与えられ、マクロモデルはシミュレーション可能なモデルとされる。ここまでのステップにより、マクロモデルおよびミクロモデルが作成される。
このようなマクロモデルおよびミクロモデルを用いてシミュレーションを行う。まず、条件変更・設定部25において、マクロシミュレーションの条件を設定する(ステップS110)。ここでは、マクロモデルが再現する構造体の時系列の変形または変位の条件について設定する。本実施形態では、図6に示すように、マクロモデルであるタイヤモデル60を、タイヤ回転軸を中心に、所要時間Tの間に90度だけ自由転動する条件を設定する。そして、ミクロシミュレーションを実施することで変形を求めるタイヤモデル上の所定部分(対象タイヤモデル部分)を設定しておく。本実施形態では、例えば、図中○印のミクロモデル(対象ミクロモデルとする)について、タイヤモデルを90度だけ自由転動させた際の変形を求める。このステップS110では、マクロシミュレーションにおいてマクロモデルに与える境界条件の詳細など、マクロシミュレーションにおける詳細条件についても設定する。
そして、ステップS112において、マクロモデルの結果を出力するシミュレーション経過段階t〜tについて設定しておく。本実施形態では、90度だけ自由転動するまでに対象ミクロモデルが通過する経路について、5つの段階t〜tを設定しておく。具体的には、タイヤモデルが18度だけ回転した段階をt、36度だけ回転した段階をt、54度だけ回転した段階をt、72度だけ回転した段階をt、90度だけ回転した段階を90度とし、t〜tそれぞれの段階を経過した状態を表すマクロシミュレーション結果(対象タイヤモデル部分の変形を表す物理量)を、それぞれ出力するよう設定しておく。
次に、有限要素解析部24にて、マクロシミュレーションが行われる(ステップS114)。例えば、図6に示すタイヤモデル60について、90度だけ自由転動させるシミュレーションを実施し、各経過段階t〜tそれぞれ毎の、マクロシミュレーション結果(対象タイヤモデル部分の変形を表す物理量)を出力する。マクロシミュレーションでは、通常の有限要素法を用いた解析のように、設定した境界条件(タイヤの転動の条件)をタイヤモデル60に付与して、時々刻々と変化していくタイヤモデル60の変化の様子(変形・変位)を計算する。すなわち、マクロシミュレーションにおける数値計算では、時刻0からスタートして、ある単位時間増分Δtごとに時間を区切って、タイヤモデル60の変形・変位の状態を計算していく。本実施形態では、ステップS110において、このように単位時間増分Δt毎に算出されるマクロシミュレーションの数値計算結果のうち、上記経過段階t〜tそれぞれに対応する5つの段階それぞれでの、計算結果(対象タイヤモデル部分の変形を表す物理量)を出力する。
マクロシミュレーションで出力する変形を表す物理量(対象タイヤモデル部分の変形を表す物理量)としては、例えば、変形勾配テンソルFijで表された物理量であることが好ましい。変形勾配テンソルは、公知のとおり、ある点を起点とする任意の方向の線分が変形の前後でどのように変化するかを規定している物理量であるといえ、変形を表す物理量として好ましい。また、変形を表す物理量としては、変位勾配テンソルHij(=Fij−I[Iは単位テンソル])であってもよく、特に限定はされない。変位勾配テンソルは、大まかには変形前後の歪の程度を表す物理量といえる。
本実施形態では、例えば、各経過時間t〜tのそれぞれに対応する、変形勾配テンソルFij(1)〜Fij(5)が求められる。本実施形態では、各変形勾配テンソルFij(1)〜Fij(5)をそれぞれ変換し、下記変位勾配テンソルHij(1)〜Hij(5)をそれぞれ出力する。
Figure 2008097354
次に、不均質材料のミクロ領域の変形の解析のために、有限要素解析部24において、マクロシミュレーションの結果を用いて、ミクロシミュレーションが行なわれる(ステップS116)。ミクロシミュレーションでは、まず、経過段階tに対応する変位勾配テンソルHij(1)が、ミクロモデルに与えられ、ミクロシミュレーションが行なわれる。この際、変位勾配テンソルの表す変形の大きさ(擬歪成分の大きさとする)が、ミクロモデルにおける平均的な変形の大きさ(擬歪成分の大きさ)となるように、ミクロモデルに境界条件を与えてミクロモデルの変形を求めるシミュレーションを行なう。
例えば、本実施形態では、経過段階tにおける変形状態を求める際、下記式(2)中のΔx、Δy、Δzに、ミクロモデルの一辺の長さを代入することで、一方の有限要素の境界面上の節点を基準とした他方の節点の変位Δu、Δu、Δuを求める。そして、この変位をミクロスケールモデルの境界上の節点に強制変位として与えて(変位境界条件として与えて)、ミクロモデルの変形状態を計算していく(ミクロシミュレーションを行なう)。各段階におけるミクロシミュレーションは、上記強制変位を与えた後のミクロモデルの状態を最終状態とし、1つ前の段階におけるミクロシミュレーション結果(ミクロモデルの状態)を初期状態として、この初期状態から最終状態に至るまでのミクロモデルの変形状態を逐時計算して行なわれる。
Figure 2008097354
具体的には、ミクロモデルの変形状態を計算していく際、周期境界条件として、ミクロモデルが連続的に無限に配置される状態を再現するように、ミクロモデルの3方向のそれぞれについて、一方の境界面上の節点Aと、この一方の境界面と対面する境界面上の、同じ相対位置にある節点Bとの間の挙動を関係付ける関係式を定めておく。例えば、節点Aの位置ベクトルをY、節点Bの位置ベクトルをY、節点Aの変位ベクトルをW、節点Bの変位ベクトルをWとすると、経過段階tにおける変形状態を求めるシミュレーションでは、下記式(3)の関係式を周期境界条件として与えて、ミクロシミュレーションを行なう。
−W=Hij(n)・(Y−Y) ・・・(3)
なお、本願発明におけるミクロシミュレーションの詳細については、特に限定はされない。例えば、マクロシミュレーションによって求めた、変形を表す物理量を、剛体回転を表す成分(回転成分)と剛体回転以外の成分(ストレッチ成分)とに分解してもよい。分解した各成分について、例えば、ストレッチ成分のみをミクロモデルに与えてミクロシミュレーションを実施することで、ミクロモデルにおける応力歪のみを解析してもよい。また、ストレッチ成分と回転成分とを、それぞれ順番にミクロモデルに与えてミクロシミュレーションを与えてもよい。なお、ミクロモデルにストレッチ成分と回転成分とを与える順番は、ストレッチ成分の後に回転成分を与える順番でも、回転成分の後にストレッチ成分を与える順番でも、いずれでも構わない。このように各成分に分解してミクロモデルに与え、ミクロシミュレーションを実施することで、ミクロモデルの変形に対する、それぞれの成分の寄与を、それぞれ個別に把握することができる。
具体的には、マクロシミュレーションによって求めた変形勾配テンソルFijを、ストレッチテンソルUijと、剛体回転を表す回転テンソルRijとに分解してもよい。なお、これらのテンソルの関係は、Fij=Uijijであらわされ、Fijが既知であれば、UijおよびRijもそれぞれ容易に求まることは周知のとおりである。各成分をミクロモデルに与えてミクロシミュレーションを実施する際、例えば回転を表す成分がミクロモデルの平均的な回転となるよう、ミクロモデルに境界条件を与えればよく、また、ストレッチ成分がミクロモデルの平均的なストレッチとなるよう、ミクロモデルに境界条件を与えればよい。ミクロシミュレーションは、例えば、上記した変位勾配テンソルを与える例と同様に行なえばよい。なお、回転成分を境界条件として用いる場合は、分解した回転成分について座標軸を定め、定めた座標軸(特定座標軸)周りの回転を表す回転テンソルを求め、この特定座標軸周りの回転テンソルを、ミクロモデルに作用させてもよい。例えば、マクロモデルおよびミクロモデルの各モデルが表された、カーテシアン座標系のxyz軸(図6〜図8で表されている座標軸)周りの回転角度を回転成分から算出する。この場合の回転テンソルは下記式(4)で表され、α、β、γは、それぞれ、x、y、z軸周りの角度である。
Figure 2008097354
ミクロシミュレーション(ステップS116)が開始されると、判定部26は、ミクロモデルの変形を求める数値計算の解が、収束せずに計算が止まっていないか判定を行なう(ステップS118)。通常、ミクロシミュレーションにおける数値計算(非線型解析など)は、繰り返し計算により、解が収束するまで続けられるものである。しかし、マクロモデルシミュレーションにおいて大変形のシミュレーションを実施した場合など、ミクロシミュレーションにおける数値計算は、長時間経過しても解が収束せずに、計算が止まってしまう場合さえある。これは、上述のように、マクロシミュレーションにおける計算結果に基いて、ミクロモデルの境界上の節点に強制変位を与えてシミュレーションを行なった場合など、ミクロモデルの各節点の変形における経路が、実際の経路と大きく異なってしまうことが原因である。
図7(a)および(b)は、従来の不均質材料のシミュレーション方法を用いてシミュレーションを行った結果の一例を示す図であり、ミクロシミュレーションの解が収束しない場合の例について説明する図であり、マクロモデルシミュレーションにおいて、タイヤモデル60を90度回転させた状態(すなわち経過段階t)での結果をミクロモデルに与えて、ミクロモデルシミュレーションを実施した結果について説明する図である。図7(a)は、ミクロモデルシミュレーションを実施する前の、ミクロモデルの初期状態を示す図であり、図7(b)は、経過段階tでの結果である上記変位勾配テンソルHij(5)を、初期状態にあるミクロモデルに直接与えてミクロシミュレーションを行なった場合の、ミクロモデルの変形解析結果の一例を示す図である。この場合、図7(a)に示す節点Nについて、マクロモデルを90度回転させるシミュレーションの結果である変位勾配テンソルHij(5)によって強制変位を与えると、節点Nは図7(a)上の位置αに変位することになる。マクロモデルが実際に転動した際に節点Nが通過する経路は、図7(a)中の実線矢印に沿った経路である。しかし、ミクロシミュレーションでは、例えば、初期状態の位置と変位状態の位置とを直線補間するように非線型解析を行なうことになり、節点Nが図7(a)中の破線矢印を通過する経路に沿って、かつ上記周期境界条件を満たすように移動することを条件に数値計算を行なってしまう。このような計算を行なうと、マトリックスゴム要素内における変形は極端に増大して、その結果、収束性が悪化し、図7(b)に示す状態で計算がストップしてしまっている。
このように、マクロモデルとミクロモデルとを用いた非連成解析では、マクロシミュレーションの結果を、ミクロモデルの最終状態を表す条件として用いるので、マクロシミュレーションにおいてマクロモデルの大変形を解析した場合など、ミクロシミュレーションにおいて、ミクロモデルの初期状態から最終状態までの遷移状態が、ミクロモデルが表す不均質材料の実際の遷移状態からかけ離れてしまう場合があった。このような場合、上記例のように、最終的にミクロシミュレーションの計算が止まってしまうといった問題さえ生じていた。
本願発明では、このような問題を回避すべく、例えば本実施形態のように、タイヤモデルを90度回転させるような大変形シミュレーションの結果をミクロモデルに入力するような非連成解析シミュレーションを実施する場合、転動に要する全体の所要時間Tにわたるマクロシミュレーションを、予め設定された経過段階t毎に分割しておき、各経過段階毎のマクロシミュレーションの結果(構造体の変形を表す物理量)をそれぞれ出力する。そして、各経過段階毎のマクロシミュレーションの結果(本実施形態では、変位勾配テンソルHijの表す擬歪成分の大きさ)が、ミクロモデルにおける平均的な変形や変位の大きさとなるように、順次ミクロモデルに境界条件を与えてミクロモデルの変形を求めるシミュレーションを行なう。このように、マクロシミュレーションの結果を各経過段階毎にミクロモデルに与えることは、ミクロモデルが変形する際の遷移状態の条件、すなわちミクロモデルの各節点の変形経路の条件を、単に直線的にではなく、より実際の経路に近似した条件で与えることを意味する。これにより、ミクロシミュレーションでも、ミクロモデルが体験する、実際の滑らかな変形と回転を再現することができ、数値計算の解の収束性を向上することができる。また、変形経路依存のある問題については、ミクロモデルの変形結果を、より正しく得ることができる。
図8(a)〜(e)は、本実施形態におけるミクロシミュレーションの結果の一例であり、図8(a)は、経過段階tに対応する変位勾配テンソルHij(1)をミクロモデルに与え、ミクロシミュレーションが行なった結果である。ステップS118において、判定部26が、上述の図7(b)に示す例のように、非線型解析計算の解が収束せずに計算が止まっていることを確認した場合(ステップS118における判定がNoとなった場合)、改めて、経過段階t〜tについて再度設定し直す。例えば、5段階よりも更に細かく、90度回転を例えば10段階に分割して、マクロモデルが9度づつ回転した状態それぞれにおける、変形を表す物理量(変形勾配テンソル、変位勾配テンソルなど)を出力するように設定し直し、ステップS114〜ステップS118を繰り返し実施する。
図8に示すように、本実施形態では、マトリックスゴム要素内における変形が増大して収束性が悪化することもなく、経過段階tにおけるミクロモデルの状態(すなわち、18度だけ回転した状態)が、シミュレーション結果として得られている。図8に示すように、本実施形態の場合、経過段階tに対応する変位勾配テンソルHij(1)をミクロモデルに与えて、ミクロシミュレーションを行なうと、解が収束することなくミクロモデルの変形を求めることができたので、ステップS118における判定はYesとなる。
このような、ミクロシミュレーション(ステップS116)および判定(ステップS118)は、ステップS112で設定した経過段階t〜tの全てについて、繰り返し実施される(ステップS120、およびステップS122)。図8(b)〜図8(e)は、経過段階t〜tそれぞれに対応する変位勾配テンソルHij(1)〜Hij(5)それぞれの表す擬歪成分の大きさが、ミクロモデルにおける平均的な擬歪成分の大きさとなるように、順次ミクロモデルに境界条件を与えてミクロモデルの変形を求めるシミュレーションを行なった結果である。
最後に、ミクロシミュレーションの結果、例えば、ミクロモデルの変形状態を示した図(例えば、図8(a)〜(b)に示すような図)や、このような変形を表す数値データなどが、ディスプレイ30やプリンタ32に出力される(ステップS124)。本願発明の方法によれば、従来の方法では、図7(a)および(b)に示すように収束解が得られなかった、タイヤの90度回転などの大変形問題についても、図8(e)に示すように最終的なミクロモデルの変形状態を、正確に求めることができる。
なお、本実施形態では、マクロシミュレーションを実施するに先がけて、予め各経過段階t〜tを設定しておいたが、例えば、マクロシミュレーションを実施した後、マクロシミュレーションの結果に応じて経過段階を設定してもよい。例えば、一旦、マクロモデルを用いてマクロシミュレーションを行い、マクロシミュレーションの際に、ミクロシミュレーションを行なう対象領域の回転成分を逐次求めておき、この回転成分が所定の範囲に入るタイミングで、経過段階を設定してもよい。
以上、本発明の不均質材料のシミュレーション方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
本発明の不均質材料のシミュレーション方法を実施するシミュレーション装置の構成のブロック図である。 本発明の不均質材料のシミュレーション方法の一例のフローチャート図である。 (a)は、本発明の不均質材料のシミュレーション方法で作成されるミクロモデルの一例を示す図であり、(b)は、構造体としてタイヤを用いたときのタイヤのマクロモデルの一例を示す図である。 本発明の不均質材料のシミュレーション方法で作成されるミクロモデルの他の例を示す図である。 (a),(b)は、本発明の不均質材料のシミュレーション方法を用いてシミュレーションを行った結果の一例を示す図である。 本発明の不均質材料のシミュレーション方法における、マクロシミュレーションの条件について説明する図である。 (a)および(b)は、従来の不均質材料のシミュレーション方法を用いてシミュレーションを行った結果の一例であり、ミクロシミュレーションの解が収束しない例について説明する図である。 (a)〜(e)は、本発明の不均質材料のシミュレーション方法におけるミクロシミュレーションの結果の一例である。
符号の説明
10 シミュレーション装置
12 CPU
14 メモリ
16 ROM
18 I/Oボード
20 モデル作成部
22 周期境界条件設定部
24 有限要素解析部
25 条件変更・設定部
26 判定部
28 材料パラメータ同定部
30 ディスプレイ
32 プリンタ
34 マウス・キーボード
60 タイヤモデル

Claims (9)

  1. 材料特性の異なる複数の材料相が配置された不均質材料のシミュレーションモデルを用いて、コンピュータ上で行なう不均質材料のシミュレーション方法であって、
    前記不均質材料を材料とする構成部材を均質材料の等価モデルによってモデル化した構造体のシミュレーションモデルを作成するステップと、
    前記構造体のシミュレーションモデルに変形または外力を与えて前記構造体のシミュレーションを行ない、予め設定された所定経過段階毎の前記構造体の変形を表す物理量を、それぞれ出力するマクロシミュレーションステップと、
    求めた前記所定経過段階毎の前記変形を表す物理量それぞれが、前記所定経過段階それぞれ毎の前記不均質材料のシミュレーションモデルにおける平均的な変形となるように、前記所定経過段階それぞれ毎に前記不均質材料離散化モデルに境界条件を与えて、前記不均質材料の前記所定経過段階それぞれ毎の変形を求めるミクロシミュレーションステップと、を有することを特徴とする不均質材料のシミュレーション方法。
  2. さらに、前記ミクロシミュレーションステップにおいて前記不均質材料の前記所定経過段階それぞれ毎の変形を求める度に、シミュレーション結果が収束しているか否かを判定する判定ステップと、
    前記判定ステップにおいて前記シミュレーション結果が収束していないと判定されたとき、前記所定経過段階をさらに細分化して、前記マクロシミュレーションステップと前記ミクロシミュレーションステップとを実施する繰り返しステップと、を有することを特徴とする請求項1記載の不均質材料のシミュレーション方法。
  3. 前記マクロシミュレーションステップでは、変形を表す物理量として、変形勾配または変位勾配の少なくともいずれか一方を求めることを特徴とする請求項1または2に記載の不均質材料のシミュレーション方法。
  4. 前記ミクロシミュレーションステップでは、前記マクロシミュレーションステップで出力された前記構造体の変形を表す物理量を、回転を表す成分とストレッチ成分とに分解し、前記回転成分が前記不均質材料の平均的な回転となり、また、前記ストレッチ成分が前記不均質材料の平均的なストレッチとなるよう、前記不均質材料のシミュレーションモデルに境界条件を与えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の不均質材料のシミュレーション方法。
  5. 前記回転成分が前記不均質材料の平均的な回転となるよう、前記不均質材料のシミュレーションモデルに境界条件を与える際、前記回転成分について座標軸を定め、定められた座標軸周りの回転を表す回転テンソルを算出し、前記回転テンソルを前記不均質材料シミュレーションモデルに作用させることを特徴とする請求項4記載の不均質材料のシミュレーション方法。
  6. 前記ミクロシミュレーションステップでは、前記構造体の変形を表す物理量を、回転を表す成分とストレッチ成分とに分解し、前記ストレッチ成分が前記不均質材料の平均的なストレッチとなるよう、前記不均質材料のシミュレーションモデルに、前記ストレッチ成分についての境界条件のみを与えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の不均質材料のシミュレーション方法。
  7. 前記ストレッチ成分は、左ストレッチテンソル又は右ストレッチテンソルで定義された物理量であることを特徴とする請求項6に記載の不均質材料のシミュレーション方法。
  8. 前記不均質材料の変形シミュレーションの際に、前記モデルに周期境界条件を付加することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の不均質材料のシミュレーション方法。
  9. 前記不均質材料離散化モデルのモデル領域が1種類以上の材料物性から構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の不均質材料のシミュレーション方法。
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