JP2008096015A - 地中熱交換器の埋設構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、大地100に形成された竪穴101と、竪穴101に配設された地中熱交換器2と、竪穴101に充填された充填材102と、を備えた地中熱交換器の埋設構造であって、充填材102が、純度90%以上のケイ素粒を含有した構成を備える。
【選択図】図1
Description
従来、地中熱交換器としては、例えば、(特許文献1)の「熱交換器の外径より大きい直径の鉛直孔を穿設し、鉛直孔に熱交換器を挿入し、鉛直孔と熱交換器との間に珪砂を充填した不凍液循環式地中熱利用装置」、(特許文献2)の「大地に掘削された坑井内に挿入され、下端部が封鎖された外筒と、下端が開放されるとともに下部の側壁部分に流体が流通する流通孔が設けられ外筒内に隙間を有して挿入される内筒と、坑井と外筒との間に注入されて外筒を大地に固定するシリカサンド等の良熱伝導性素材を混練したグラウトと、を備えた地中熱交換器」が知られている。
以上のように地中熱交換器は、地中に穿設された鉛直孔と熱交換器との間に、珪砂等の砂や、シリカサンド等の良熱伝導性素材を混練したグラウトを充填することによって、熱交換器を大地に固定することができるとともに、熱交換器と大地との熱伝導を実現することができる。
(1)一般に地中熱交換器は、大地に掘削した1本の鉛直孔を使って利用できる地熱量に限度があり、経験上、地中からの採熱及び地中への放熱によって地熱を利用できる範囲は、鉛直孔の外周から直径0.4mの範囲までであり、熱交換器の表面積(伝熱面積)にはほとんど依存しないことが知られている。従って、(特許文献1)や(特許文献2)に開示されたような地中熱交換器において、熱交換量を大きくするためには、掘削する鉛直孔を深くするか鉛直孔の本数を増やさなければならず、この場合は施工工数が増え工期も長期化し、施工コストも増大するという課題を有していた。
(2)上記の現象は、熱交換器の表面積(伝熱面積)にはほとんど依存しないことから、鉛直孔に充填される砂やグラウトに混練されるシリカサンドの主成分が二酸化ケイ素であり、二酸化ケイ素の熱伝導率(理論値)は2W/m・Kしかないこととも関係していると推察される。このため、熱交換器の表面積(伝熱面積)を増やす等の熱交換器の構造を変えても熱交換量を大きくすることができず、有効利用できる地熱量に一定の限界があるという課題を有していた。
本発明の請求項1に記載の地中熱交換器の埋設構造は、大地に形成された竪穴と、前記竪穴に配設された地中熱交換器と、前記竪穴に充填された充填材と、を備えた地中熱交換器の埋設構造であって、前記充填材が、純度90%以上のケイ素粒を含有した構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)充填材が純度90%以上のケイ素粒を含有しており、ケイ素の熱伝導率は148W/m・Kなので、地中熱交換器と大地との熱交換率を飛躍的に向上させ、地中からの採熱及び地中への放熱によって地熱を利用できる大地の範囲を広げることができる。
(2)このため、竪穴を深くしたり竪穴の本数を増やしたりしなくても必要な熱交換量を確保することができるので、工期の長期化や施工コストが増加するのを防止できる。
二重管方式は内管と外管の二重管で構成されており、外管を流下する熱媒が、最下端から内管を通って返送される循環方式である。熱媒が、内管から外管を通って循環する方式も可能である。Uチューブ方式は二本の直管をU字型のチューブで連結して構成されており、チューブの一端から他端に熱媒を通して熱交換させるものである。WUチューブ方式は二組のU字型のチューブを十字状に配置して構成されており、Uチューブ方式の熱交換量を増大させたものである。
また、Uチューブ方式の直管の少なくとも1本を、又は、二重管方式の外管を螺旋状に形成された螺旋状流路に代えたものも用いることができる。螺旋状流路を備えた地中熱交換器は、長尺状の直管部分を有する地中熱交換器と同等の伝熱面積を得るために螺旋軸方向の長さを1/3〜1/20程度に短くすることができるので、竪穴の深さを従来の1/3〜1/20程度に浅くすることができ掘削コストを大幅に削減でき、さらに掘削量が少ないので掘削作業性に優れ、さらに少量の充填材で竪穴を埋め戻すことができ、埋め戻し作業性にも優れるため好適に用いられる。
なお、地下水が伏流している場所では、少なくとも地下水層に充填するケイ素粒を、地下水の流動を妨げないような粒度にするのが好ましい。大地内の地下水層を流動する地下水が竪穴内の充填材の粒子間に浸透し、地下水によって地中熱交換器と大地との熱交換を促進させるためである。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ケイ素粒が、半導体素子材料の製造過程で発生する廃棄ケイ素粒、又は、シリコンウェーハの破砕屑なので、ケイ素の純度が高いため熱伝導率が高く、また廃棄物を有効に活用することができる。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ケイ素粒が、粒度範囲毎に複数種に分級されており、分級された複数種のケイ素粒が混合されているので、竪穴内に充填されたケイ素粒を高い密度で充填させることができ、熱交換量を向上させることができる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)充填材が純度90%以上のケイ素粒を含有しているので、地中熱交換器と大地との熱交換率を飛躍的に向上させ、地中からの採熱及び地中への放熱によって地熱を利用できる大地の範囲を広げることができ、地熱の利用効率を飛躍的に高めることができる地中熱交換器の埋設構造を提供できる。
(2)竪穴を深くしたり竪穴の本数を増やしたりしなくても必要な熱交換量を確保することができるので、工期の長期化や施工コストが増加するのを防止できる施工性に優れた地中熱交換器の埋設構造を提供できる。
(1)ケイ素粒が、半導体素子材料の製造過程で発生する廃棄ケイ素粒、又は、シリコンウェーハの破砕屑なので、純度が高いため熱伝導率が高く、また廃棄物を有効に活用することができる省資源性に優れた地中熱交換器の埋設構造を提供できる。
(1)ケイ素粒が、粒度範囲毎に複数種に分級されており、分級された複数種のケイ素粒が混合されているので、竪穴内に充填されたケイ素粒を密充填させることができ、熱交換量を向上させることができる地中熱交換器の埋設構造を提供できる。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における地中熱交換器の埋設構造を示す模式図であり、図2は実施の形態1における地中熱交換器の斜視図である。
図1において、1は本発明の実施の形態1における地中熱交換器の埋設構造、100は大地、101は大地100にボーリングや先端にスクリュー状のフィンを設けた杭を回転させながら埋設する等によって形成された竪穴、102は竪穴101に充填された純度90%以上のケイ素粒を含有した充填材である。
2は竪穴101に配設された地中熱交換器、3はポリプロピレン,ポリブテン,ポリアミド等の合成樹脂製、チタン等の金属製等で少なくとも一部が螺旋状に形成され内部を空気,水,不凍液等の熱媒が流れる螺旋状流路、4は螺旋状流路3の内側(螺旋内)の螺旋軸の周囲に形成された螺旋軸空間、5は螺旋状流路3の下端に接続されたエルボ管からなる連結部材、6はポリプロピレン,ポリブテン,ポリアミド等の合成樹脂製、ステンレス製,チタン等の金属製等で直管状に形成され連結部材5を介して螺旋状流路3の下端と接続され螺旋状流路3の螺旋軸方向と略平行に螺旋軸空間4内に配設された地中熱媒流路、7は地中熱媒流路6に沿って適当な間隔をあけて配設された間隔保持部材、8は環状に形成され地中熱媒流路6が嵌挿された間隔保持部材7の基部、9は基部8に延設されたアーム部、10はアーム部9の端部に形成され螺旋状流路3が嵌着された嵌着部である。
まず、大地100に所定の径(本実施の形態では200mm)で地中熱交換器2の先端部を残して埋設できる深さの竪穴101を形成する。
螺旋状流路3、地中熱媒流路6、連結部材5、間隔保持部材7を準備し、地中熱媒流路6に間隔保持部材7の基部8を適当な間隔をあけて配設固定する。次に、地中熱媒流路6を螺旋状流路3の内側に挿入し、その下端に連結部材5を装着した後、連結部材5に螺旋状流路3の下端を接続する。地中熱媒流路6に配設固定した間隔保持部材7の嵌着部10に螺旋状流路3を嵌着しながら、地中熱媒流路6の下端から竪穴101に挿入し、竪穴101の全長に亘って地中熱媒流路6及び螺旋状流路3を配設する。
最後に、竪穴101内に配設された地中熱交換器2の地中熱媒流路6及び螺旋状流路3の周囲に純度90%以上のケイ素粒からなる充填材102、又は、純度90%以上のケイ素粒の他に土砂等を含有した充填材102を地面又は地面付近まで充填して、竪穴101を埋め戻す。
なお、熱媒を流す方向はこれに限定するものではなく、これとは逆に、熱媒を地中熱媒流路6の上端から地中熱交換器2に導入し、螺旋状流路3の上端から取り出し、負荷装置に流すようにしてもよい。この場合も同様の作用が得られる。
(1)充填材102が純度90%以上のケイ素粒を含有しており、ケイ素の熱伝導率は148W/m・Kなので、地中熱交換器2と大地100との熱交換率を飛躍的に向上させ、地中からの採熱及び地中への放熱によって地熱を利用できる大地100の範囲を広げることができる。
(2)このため、竪穴100を深くしたり竪穴100の本数を増やしたりしなくても必要な熱交換量を確保することができるので、工期の長期化や施工コストが増加するのを防止できる。
(1)熱媒が内部を流れる螺旋状流路3を備えているので、長尺状の直管部分を有する地中熱交換器と同等の伝熱面積を得るために螺旋軸方向の長さを1/3〜1/20程度に短くすることができる。そのため、地中熱交換器2を配設する竪穴101の深さを、従来の直管状の地中熱交換器の場合の竪穴の深さの1/3〜1/20程度にすることができ、竪穴101の掘削コストを大幅に削減でき、さらに掘削量が少ないので掘削作業性に優れるとともに施工性に優れる。
(2)地中熱交換器2を埋設するための竪穴101を浅くできるので、少量の充填材102で竪穴101を埋め戻すことができ、埋め戻し作業性にも優れる。
(3)螺旋状流路3の間隔を保持する間隔保持部材7を備えているので、埋め戻される際の充填材102の圧力によって螺旋状流路3が変形することがなく、局部的に過剰な応力が働き難くピッチングが生じ難いので耐久性に優れる。
(4)また、間隔保持部材7を備えているので、充填材102の圧力によって螺旋状流路3の間隔が狭くなったり広くなったりするのを防止して、竪穴101内に螺旋状流路3を間隔保持部材7の間隔で均等に配置させることができ熱交換斑が生じ難く高い熱交換効率を維持できる。
(5)間隔保持部材7で螺旋状流路3の間隔を保持できるので、合成樹脂製でコイル状に形成された伸縮性を有するスパイラルチューブで螺旋状流路3を形成することができ、汎用性に著しく優れる。
(6)合成樹脂製でコイル状に形成された伸縮性を有するスパイラルチューブで螺旋状流路3を形成した場合は、螺旋軸方向に伸縮するので施工現場まで輸送する際は縮んだ状態のためコンパクトで搬送性に優れ、施工現場では伸ばしながら間隔保持部材7で固定して容易に施工することができ施工性に優れる。
また、同様の理由から、グラスウール等の断熱材を地中熱交換器2の地表付近の流路の外面に配設する場合もある。また、竪穴101内に充填する充填材102として、地表付近だけ軽石,発泡ガラス等の断熱材を用いる場合もある。これにより、熱媒と地表付近の大地100との熱交換を抑制して熱損失を少なくすることができる。
また、本実施の形態においては、螺旋状流路3を備えた地中熱交換器2について説明したが、二重管方式、Uチューブ方式、WUチューブ方式等の公知の地中熱交換器を用いることもできる。この場合も、充填材102の熱伝導率が高いため、地中熱交換器2と大地100との熱交換率を飛躍的に向上させることができる。
(実験例1)
図3は充填材の効果を確認するための実験装置の一部断面模式図である。
20は深さ8cm,長さ40cm,幅8cmに組み立てられた矩形状の木枠、21は木枠20内に充填された充填材、22は木枠20の端から深さ4cm,幅4cmの位置に埋設された長さ10cm,太さ0.8cmの棒状の300Wのヒータ、23はヒータ22の先端から2.5cm離れた深さ4cm,幅4cmの位置に埋設された熱電対、24はヒータ22の先端から5.0cm離れた深さ4cm,幅4cmの位置に埋設された熱電対、25はヒータ22の先端から7.5cm離れた深さ4cm,幅4cmの位置に埋設された熱電対、26はヒータ22の先端から10.0cm離れた深さ4cm,幅4cmの位置に埋設された熱電対である。
充填材21としては、平均粒径0.1mmのケイ素粒を用いた。ケイ素粒は、半導体素子材料の製造過程で二酸化ケイ素を還元してケイ素を製造する際に発生した純度97%のケイ素粒を用いた。
充填材21を木枠20の上方5cmの高さから落下させ、木枠20内に充填材21を堆積させた。木枠20に山盛りになった充填材21は、平板ですり落とした。
木枠20に充填材21を充填した後、ヒータ22のスイッチを入れ、熱電対23,24,25,26の温度を10秒毎に測定した。
充填材21として、平均粒径20mmのケイ素粒と平均粒径0.1mmのケイ素粒を7:3の重量比で混合したものを用いた以外は実験例1と同様にして、熱電対23,24,25,26の温度を10秒毎に測定した。
充填材21として、平均粒径0.1mmの海砂を用いた以外は実験例1と同様にして、熱電対23,24,25,26の温度を10秒毎に測定した。
図4〜6によれば、実験例1,2における充填材は、比較例1と比較して、いずれも各温度測定点における温度上昇が大きく、熱伝導性能が優れていることが明らかになった。特に実験例2では、充填材が粒度範囲毎に複数種に分級されており、分級された複数種のケイ素粒が混合されているため、ヒータのスイッチを入れてから35分後には、ヒータから10cm離れた位置の温度も外気温を約5度上回っており、熱伝導性能が特に優れていることが明らかになった。
以上の実施例によれば、純度90%以上のケイ素粒を用いることにより熱伝導性能を高められることから、地中熱交換器に適用した場合には、地中熱交換器と大地との熱交換率を飛躍的に向上させ、地中からの採熱及び地中への放熱による地熱の利用効率を高められることが明らかである。
2 地中熱交換器
3 螺旋状流路
4 螺旋軸空間
5 連結部材
6 地中熱媒流路
7 間隔保持部材
8 基部
9 アーム部
10 嵌着部
20 木枠
21 充填材
22 ヒータ
23,24,25,26 熱電対
100 大地
101 竪穴
102 充填材
Claims (3)
- 大地に形成された竪穴と、前記竪穴に配設された地中熱交換器と、前記竪穴に充填された充填材と、を備えた地中熱交換器の埋設構造であって、
前記充填材が、純度90%以上のケイ素粒を含有していることを特徴とする地中熱交換器の埋設構造。 - 前記ケイ素粒が、半導体素子材料の製造過程で発生する廃棄ケイ素粒、又は、シリコンウェーハの破砕屑であることを特徴とする請求項1に記載の地中熱交換器の埋設構造。
- 前記ケイ素粒が、粒度範囲毎に複数種に分級されており、分級された複数種の前記ケイ素粒が混合されていることを特徴とする請求項1又は2の記載の地中熱交換器の埋設構造。
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