JP2008091371A - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008091371A
JP2008091371A JP2006267107A JP2006267107A JP2008091371A JP 2008091371 A JP2008091371 A JP 2008091371A JP 2006267107 A JP2006267107 A JP 2006267107A JP 2006267107 A JP2006267107 A JP 2006267107A JP 2008091371 A JP2008091371 A JP 2008091371A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
electrolytic capacitor
electrolyte
solvent
blended
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006267107A
Other languages
English (en)
Inventor
Takayuki Ueda
隆之 上田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nichicon Corp
Original Assignee
Nichicon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nichicon Corp filed Critical Nichicon Corp
Priority to JP2006267107A priority Critical patent/JP2008091371A/ja
Publication of JP2008091371A publication Critical patent/JP2008091371A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】フッ素原子を含有する電解質を用いて低比抵抗化を図った場合において、駆動用電解液中に水分が多少存在しても十分な信頼性を確保することのできる電解コンデンサ、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】陽極箔と陰極箔とがセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子に駆動用電解液が含浸された電解コンデンサにおいて、駆動用電解液は、有機溶剤を主溶媒とする溶媒に、フッ素原子を含有するフッ素含有電解質が配合され、かつシラン系カップリング剤およびキレート化剤が配合されていることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電解コンデンサおよびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、電解コンデンサの駆動用電解液の組成およびその調製技術に関するものである。
電解コンデンサの中で、アルミニウム電解コンデンサは、コンデンサ素子に駆動用電解液を含浸した後、金属製の筒状ケースに収納し、開口部を弾性ゴムにより封口した後、封口した部位を絞り加工することにより構成される。ここで、コンデンサ素子は、陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回したものであり、陽極箔としては、一般に、高純度のアルミニウム箔を電気化学的にエッチング処理して表面積を拡大させた後、化成処理を行い、エッチング箔表面に酸化皮膜を形成したものである。
陰極箔は、アルミニウム箔をエッチング処理したものである。駆動用電解液は、真の陰極として機能しており、また酸化皮膜が電気的、機械的なストレスにより絶縁破壊を開始した時に、駆動用電解液の化成能力により、酸化皮膜を成長させ、絶縁破壊部分を直ちに補修する機能を担っており、アルミニウム電解コンデンサの特性に大きな影響を与える構成要素である。
従来、高周波数対応、低インピーダンスのアルミニウム電解コンデンサに用いられる駆動用電解液としては、γ−ブチロラクトンを主体とする溶媒に、フタル酸やマレイン酸などカルボン酸のテトラアルキル四級アンモニウム塩を溶質として配合したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、かかる四級アンモニウム塩系電解液は、その塩基成分が陰極封口部分から漏れることがあるため、信頼性が劣るという問題がある。
このような問題を回避可能な駆動用電解液としては、アルキル置換アミジン基を有する化合物の四級化合物のカルボン酸塩を溶質とする、いわゆるアミジン系電解液が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開昭62−145713号公報 国際公開第95/15572号パンフレット
近年の電子機器の小形化、高性能化に伴って、アルミニウム電解コンデンサには、より低いエネルギー損失やインピーダンス特性を備えていることが求められている。
しかしながら、特許文献2に開示のアミジン系電解液も、電導度に関しては四級アンモニウム塩系電解液と同等であり、上記の要求に対応することができないため、カルボン酸塩に代わる高電導度の溶質が求められている。
一方、リチウム電池や電気二重層キャパシタに用いられている電解液には、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオン等、高電導度のフッ素系化合物が用いられている。
しかしながら、かかる電解液をそのまま、アルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液として用いると信頼性を確保することができないという問題点がある。すなわち、アルミニウム電解コンデンサでは、電極箔としてアルミニウム箔を用いており、電解液に水分が含まれていると、上記のフッ素化合物がアルミニウム電極箔と反応してしまうからである。しかも、アルミニウム電解コンデンサの製造過程で駆動用電解液中に水分が一切、混入しないようにするのは困難である。
以上の問題に鑑みて、本発明の課題は、フッ素原子を含有する電解質を用いて低比抵抗化を図った場合において、駆動用電解液中に水分が多少存在しても十分な信頼性を確保することのできる電解コンデンサ、およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、陽極箔と陰極箔とがセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子に駆動用電解液が含浸された電解コンデンサにおいて、
前記駆動用電解液は、有機溶剤を主溶媒とする溶媒に、フッ素原子を含有するフッ素含有電解質が配合され、さらに、シラン系カップリング剤およびキレート化剤の双方が配合されていることを特徴とする。
本発明においては、前記フッ素含有電解質のアニオン成分としては、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、ビストリフルオロメタンスルホニルイミド、およびビストリフルオロエタンスルホニルイミドのうちの少なくとも1つが配合されている構成を採用することができる。
また、前記フッ素含有電解質のカチオン成分としては、第四級オニウムイオンでは、1−メチルイミダゾリウム、1−メチルイミダゾリニウム、1−エチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリニウム、1−n−プロピルイミダゾリウム、1−n−プロピルイミダゾリニウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリニウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリニウム、1−メチル−3−n−プロピルイミダゾリウム、1−メチル−3−n−プロピルイミダゾリニウム、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチル−n−プロピルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−n−プロピルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−エチル−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−エチル−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム等を挙げることができる。
また、アミン類としては、メチルアミン、エチルアミン、t−ブチルアミン等の一級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の二級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチル−N−(2−メトキシエチル)アミン等の三級アミン塩等を挙げることができる。
本発明において、前記シラン系カップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリソドキシプロピルメチルジメトキシシラン、および3−グリソドキシプロピルメチルジエトキシシランのうちの少なくとも1つが配合されている構成を採用することができる。
また、シラン系カップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等を用いることができる。
本発明において、前記シラン系カップリング剤の配合量は、駆動用電解液全体に対して0.1〜3.0重量%であることが好ましい。
本発明において、前記キレート化剤として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、ジアミノヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、およびトリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)などのアミノポリカルボン酸類から選択される少なくとも1つが配合されている構成を採用することができる。
また、キレート化剤としては、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、α−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシマロン酸、α−メチルリンゴ酸、ジヒドロキシ酒石酸等のα−ヒドロキシカルボン酸、γ−レゾルシル酸、β−レゾルシル酸、トリヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸、ジヒドロキシフタル酸、フェノールトリカルボン酸、アウリントリカルボン酸、エリオクロムシアニンR等の芳香族ヒドロキシカルボン酸類、スルホサリチル酸等のスルホカルボン酸類、ジシアンジアミド等のグアニジン類、ガラクトース、グルコース等の糖類、リグノスルホン酸塩等のリグニン類、またはこれらの塩を用いることができる。そして、これらの塩としては、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等を用いることができる。
本発明において、前記キレート化剤の含有量は、駆動用電解液全体に対して0.01〜1.0重量%であることが好ましい。
本発明に係る電解コンデンサの製造方法において、前記駆動用電解液を調製するにあたって、前記溶媒の全体または一部に予め、前記シラン系カップリング剤とキレート化剤とを混合し、例えば50〜100℃の温度範囲で加熱溶解させることが好ましい。
本発明の電解液において、溶媒は、例えば、γ−ブチロラクトン(有機溶剤)を主溶媒とするが、アルコール類、エーテル類、アミド類、オキサゾリジノン類、γ−ブチロラクトン以外のラクトン類、ニトリル類、カーボネート類、スルホン類等の有機溶剤と併用することもできる。
かかるアルコール類として、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、アミルアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ヘキシトール等が挙げられる。
エーテル類として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
また、高分子量体としてポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールおよびその共重合体(以下、ポリアルキレングリコール)等が挙げられる。
アミド類として、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等が挙げられる。
オキサゾリジノン類として、N−メチル−2−オキサゾリジノン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジノン等が挙げられる。
γ−ブチロラクトン以外のラクトン類として、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
ニトリル類として、アセトニトリル、アクリロニトリル、アジポニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等が挙げられる。
カーボネート類として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
スルホン類として、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等が挙げられる。
その他の溶媒として、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホオキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トルエン、キシレン、パラフィン類等が挙げられる。
本発明に係る電解コンデンサにおいて、駆動用電解液は、γ−ブチロラクトンを主溶媒とする溶媒に、フッ素含有電解質が溶質として配合され、さらに、シラン系カップリング剤およびキレート化剤が配合されているため、駆動用電解液が水分を含んでいる場合でも、高電導度電解質と電極箔との反応を抑えることができる。それ故、フッ素原子を含有する電解質を用いて低比抵抗化を図った場合においても、十分な信頼性を確保することができる。
本発明が適用される電解コンデンサの基本的な構造についての詳細な説明は省略するが、電解コンデンサでは、エッチング処理および酸化皮膜形成処理を施した陽極箔と、エッチング処理を施した陰極箔とを、マニラ麻系の電解紙等からなるセパレータを介して巻回したコンデンサ素子が用いられている。
エッチング処理では、アルミニウム箔に対して、酸性溶液中での化学的エッチングや電気化学的エッチングを行い、電極箔の表面を拡大する。また、酸化皮膜形成処理では、リン酸アンモニウム水溶液中やアジピン酸アンモニウム水溶液中での陽極酸化を行う。なお、陰極箔の表面には、気中酸化皮膜や薄い陽極酸化皮膜が形成されていることもある。かかるコンデンサ素子は、駆動用電解液が含浸された後、有底筒状の外装ケースに収納される。その際、コンデンサ素子から突出する陽極引き出しリードおよび陰極引き出しリードについては、ゴム等の弾性を備えた弾性封口体の貫通孔に挿入して外部に引き出しておき、外装ケースの開口部に対して絞り加工を施して、外装ケースの開口部を弾性封口体より密封する。
このような電解コンデンサを作製するにあたって、本形態では、駆動用電解液として、γ−ブチロラクトンなどの有機溶剤を主溶媒とする溶媒に、フッ素原子を含有する高電導度電解質(フッ素含有電解質)が溶質として配合され、かつ、シラン系カップリング剤とキレート化剤とが同時に配合されている電解液を用いる。ここで、シラン系カップリング剤の含有量は、電解液全体に対して、0.1〜3.0重量%であることが好ましい。また、キレート化剤の含有量は、電解液全体に対して、0.01〜1.0重量%であることが好ましい。
また、本形態では、電解コンデンサの製造方法において、前記駆動用電解液を調製するにあたって、前記溶媒の全体または一部に予め、前記シラン系カップリング剤とキレート化剤とを配合した後、例えば50〜100℃の温度範囲で加熱溶解させることが好ましい。このような調製方法を採用すると、成分の溶解がスムーズに進むので、調製時間を短縮できるなどの効果を奏する。
このように構成した電解コンデンサにおいて、駆動用電解液は、γ−ブチロラクトンなどを主溶媒とする溶媒に、フッ素原子を含有する高電導度電解質が溶質として配合され、かつ、シラン系カップリング剤とキレート化剤を同時に含有しているため、駆動用電解液が水分を含んでいる場合でも、高電導度電解質と電極箔との反応を抑えることができる。それ故、フッ素原子を含有する電解質を用いて低比抵抗化を図った場合においても、十分な信頼性を確保することができる。
実施例に基づき、本発明をさらに具体的に説明する。
本発明に係る電解コンデンサを評価するにあたって、駆動用電解液として表1に示す組成の電解液を用いた。
表1には、駆動用電解液の比抵抗値、およびそれを用いた電解コンデンサの100kHzにおけるインピーダンス値の測定結果も示してある。電解コンデンサを量産時、駆動用電解液には水分を配合しないが、水分を含有している場合の信頼性を評価することを目的に各電解液には2.0重量%の水分を添加してある。なお、作製した電解コンデンサは、定格電圧が6.3V、静電容量が1000μF、ケースサイズがφ10×12.5mmLである。
また、電解コンデンサについては、初期に120Hzにおける静電容量、tanδを測定した後、10個ずつ、高温印加試験(105℃、1000時間、DC6.3V印加)および高温高湿印加試験(85℃、相対湿度85%、1000時間、DC6.3V印加)を行った。初期、高温印加試験後、高温高湿印加試験後の各々の特性を表2に示す。
Figure 2008091371
Figure 2008091371
表1および表2から明らかなように、本発明の実施例1〜6に係る駆動用電解液は、比較例4と比較して、比抵抗値、インピーダンス値およびtanδが低い。
また、本発明の実施例1〜6に係る駆動用電解液を用いた電解コンデンサは、シラン系カップリング剤およびキレート化剤の双方を含有していない比較例3と比較し、ケースに形成した圧力弁の作動といった外観変化が発生せず、コンデンサ内でガス発生による内圧上昇が発生していないことがわかる。
さらに、本発明の実施例1〜6のうち、本発明の実施例1、2は、シラン系カップリング剤の含有量が電解液全体に対して0.05重量%の実施例3と比較して、105℃での高温印加試験、および85℃85%RHでの高温高湿印加試験での静電容量変化、tanδ変化が小さく、優れた電気特性を示している。
また、本発明の実施例1、2はシラン系カップリング剤の含有量が電解液全体に対して3.5重量%の実施例4と比較して、105℃での高温印加試験、および85℃85%RHでの高温高湿印加試験でのtanδ変化が小さく、優れた電気特性を示している。
従って、シラン系カップリング剤の含有量は、電解液全体に対して0.1〜3.0重量%が最適である。
さらに、本発明の実施例1〜6のうち、本発明の実施例1、2は、キレート化剤の含有量が電解液全体に対して0.005重量%の実施例5と比較して、105℃での高温印加試験、および85℃85%RHでの高温高湿印加試験での静電容量変化、tanδ変化が小さく、優れた電気特性を示している。
また、本発明の実施例1、2はキレート化剤の含有量が電解液全体に対して1.5重量%の実施例6と比較して、105℃での高温印加試験、および85℃85%RHでの高温高湿印加試験でのtanδ変化が小さく、優れた電気特性を示している。
従って、キレート化剤の含有量は、電解液全体に対して0.01〜1.0重量%が最適である。
さらに、本発明の実施例1〜6のうち、本発明の実施例1、2は、シラン系カップリング剤を単独で使用した比較例1と比較して、105℃での高温印加試験、および85℃85%RHでの高温高湿印加試験での静電容量変化、tanδ変化が小さく、優れた電気特性を示している。
また、本発明の実施例1〜6のうち、本発明の実施例1、2は、キレート化剤を単独で使用した比較例2と比較して、105℃での高温印加試験、および85℃85%RHでの高温高湿印加試験での静電容量変化、tanδ変化が小さく、優れた電気特性を示している。
さらに、本発明の実施例1〜6は、シラン系カップリング剤およびキレート化剤のうちの一方のみを配合した比較例1、2と比較して、105℃での高温印加1000時間以降の信頼性試験結果において安定して特性を発揮した。
それ故、理由は未だ明らかになっていないが、シラン系カップリング剤、キレート化剤を単独で使用するよりも、それらを併用することにより、相乗効果が得られることが分かった。
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、各種シラン系カップリング剤を単独または複数溶解させた電解液を用いて、いずれの構造の電解コンデンサにおいても作製することができる。
また、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、各種キレート化剤を単独または複数溶解させた電解液を用いて、いずれの構造の電解コンデンサにおいても作製することができる。

Claims (7)

  1. 陽極箔と陰極箔とがセパレータを介して巻回されたコンデンサ素子に駆動用電解液が含浸された電解コンデンサにおいて、
    前記駆動用電解液は、有機溶剤を主溶媒とする溶媒に、フッ素原子を含有するフッ素含有電解質が配合され、さらに、シラン系カップリング剤およびキレート化剤の双方が配合されていることを特徴とする電解コンデンサ。
  2. 請求項1において、
    前記フッ素含有電解質として、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、ビストリフルオロメタンスルホニルイミド、およびビストリフルオロエタンスルホニルイミドのうちの少なくとも1つが配合されていることを特徴とする電解コンデンサ。
  3. 請求項1または2において、
    前記シラン系カップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリソドキシプロピルメチルジメトキシシラン、および3−グリソドキシプロピルメチルジエトキシシランのうちの少なくとも1つが配合されていることを特徴とする電解コンデンサ。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、
    前記シラン系カップリング剤の配合量が、駆動用電解液全体に対して0.1〜3.0重量%であることを特徴とする電解コンデンサ。
  5. 請求項1〜4の何れかにおいて、
    前記キレート化剤として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、ジアミノヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、およびトリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)のうちの少なくとも1つが配合されていることを特徴とする電解コンデンサ。
  6. 請求項1〜5の何れかにおいて、
    前記キレート化剤の含有量が、駆動用電解液全体に対して0.01〜1.0重量%であることを特徴とする電解コンデンサ。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の電解コンデンサの製造方法であって、
    前記駆動用電解液を調製するにあたって、前記溶媒の全体または一部に予め、前記シラン系カップリング剤とキレート化剤とを配合した後、加熱溶解させることを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
JP2006267107A 2006-09-29 2006-09-29 電解コンデンサおよびその製造方法 Pending JP2008091371A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006267107A JP2008091371A (ja) 2006-09-29 2006-09-29 電解コンデンサおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006267107A JP2008091371A (ja) 2006-09-29 2006-09-29 電解コンデンサおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008091371A true JP2008091371A (ja) 2008-04-17

Family

ID=39375270

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006267107A Pending JP2008091371A (ja) 2006-09-29 2006-09-29 電解コンデンサおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008091371A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013243170A (ja) * 2012-05-17 2013-12-05 Nippon Chemicon Corp 難燃性電解コンデンサ
CN113113233A (zh) * 2021-04-09 2021-07-13 深圳市金富康电子有限公司 一种固液混合卷绕型铝电解电容器及其制备方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013243170A (ja) * 2012-05-17 2013-12-05 Nippon Chemicon Corp 難燃性電解コンデンサ
CN113113233A (zh) * 2021-04-09 2021-07-13 深圳市金富康电子有限公司 一种固液混合卷绕型铝电解电容器及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007158203A (ja) 電解コンデンサ
JP6260925B2 (ja) 電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサ
JP6403006B2 (ja) 電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサ
JP2008091371A (ja) 電解コンデンサおよびその製造方法
JP4707538B2 (ja) 電解コンデンサの駆動用電解液及びそれを用いた電解コンデンサ
JP2007184302A (ja) 電解コンデンサ
JP4569729B2 (ja) アルミ電解コンデンサ
JP2008085241A (ja) 電解コンデンサ
JP5207485B2 (ja) 電解コンデンサの駆動用電解液および電解コンデンサ
JP4752707B2 (ja) 電解コンデンサ用電解液
JP4569728B2 (ja) アルミ電解コンデンサ
JP2008300684A (ja) 電解コンデンサの駆動用電解液および電解コンデンサ
JP2000294463A (ja) 電解コンデンサ
JP2008117949A (ja) 電解液及びそれを用いた電気化学素子
JP2004158708A (ja) アルミニウム電解コンデンサ
JP2000294465A (ja) 電解コンデンサ
JP4983073B2 (ja) 電解コンデンサ
JP4569725B2 (ja) アルミ電解コンデンサ、及びそれに用いるアルミ電解コンデンサ用電解液とその製造方法。
JP2002057074A (ja) アルミ電解コンデンサ
JP2000331886A (ja) 電解コンデンサ用電解液
JP2002057073A (ja) アルミ電解コンデンサ
JP2008085240A (ja) 電解コンデンサの駆動用電解液および電解コンデンサ
JP2005294593A (ja) 電解コンデンサ
JP2008258219A (ja) 電解コンデンサ用電解液
JPH11219866A (ja) 電解コンデンサ用電解液およびそれを用いた電解コンデンサ