JP2008086185A - 高分子アクチュエータ素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】常温常圧の開放系において優れた伸縮率と応答速度を示す高分子アクチュエータ素子を提供する。また、上記高分子アクチュエータ素子の製造方法および駆動方法を提供する。
【解決手段】導電性高分子と駆動電解液を含む高分子アクチュエータ素子であって、前記駆動電解液が、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液であることを特徴とする高分子アクチュエータ素子。
【選択図】なし
【解決手段】導電性高分子と駆動電解液を含む高分子アクチュエータ素子であって、前記駆動電解液が、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液であることを特徴とする高分子アクチュエータ素子。
【選択図】なし
Description
本発明は、高分子アクチュエータ素子に関する。また、本発明は高分子アクチュエータ素子の製造方法およびその駆動方法に関する。
ポリピロール等に代表される導電性高分子は、導電性を有するだけではなくイオンをドーパントとして取り込むことができ、電圧を印加することによりドーピングと脱ドーピングとを繰り返し行うことができる。そのため、導電性高分子は電気化学的な酸化還元により伸縮もしくは変形する現象である電解伸縮を発現することが可能である。この導電性高分子の電解伸縮は、高分子アクチュエータ素子の駆動として使用することが可能である。
導電性高分子を用いたアクチュエータは、軽量であることから組み込まれる装置全体の重量を軽減することが可能であり、マイクロマシン等の小型の駆動装置のみならず、大型の駆動装置として用いられることが期待されている。なかでも特に、人工筋肉、ロボットアーム、義手やアクチュエータ等の用途として応用が期待されている。たとえばポリピロールを用いたリニアアクチュエータは、電解伸縮によって、1酸化還元サイクル当たり最大で15.1%の伸縮率を示し、最大で22MPaの力を発生することができる(たとえば、非特許文献1参照)。
しかしながら、導電性高分子を用いた高分子アクチュエータ素子は、ドーパントとして一般的なアニオンであるトリフルオロメタンスルホン酸イオンを用いた場合には伸縮等の駆動速度が遅く、たとえば厚さ20μm程度の導電性高分子膜では膜面と平行な方向に特定時間当りに小さな伸縮率でしか伸縮することができなかった。このため、これまでの導電性高分子を用いた高分子アクチュエータ素子は、駆動速度が遅くても差しつかえない用途に好適に用いることができるものであった。一方、上述の導電性高分子を用いた高分子アクチュエータ素子の駆動に際しては、一定時間内に所定の長さの駆動を実現するために高分子アクチュエータ素子自体のサイズを大きくするなどの工夫が必要であった。
また、特に多孔質支持体を中央に、金属電極層、導電性高分子の順でサンドイッチ状に積層した複合膜を備えたバイモルフ型の高分子アクチュエータ素子では、高分子アクチュエータ素子全体を電解質溶液を含浸させてなるもの、または上記複合膜に電解質溶液を含浸させてなるものであるが、これまでは上記電解質溶液としては水やアセトニトリルなどの低沸点極性溶媒に電解質塩を含む液体が用いられていた。これらの極性溶媒しか用いられていなかったのは、導電性高分子との親和性が高いことや、極性媒体を用いることで電解質塩を均一に分散させやすくまた電荷やイオンの動きを阻害することがないことなどのためであった。
しかしながら、上記のような低沸点極性溶媒を用いた場合、溶液中から上記高分子アクチュエータ素子を取り出し空気中に上記高分子アクチュエータ素子を設置した状態(すなわち空中駆動型高分子アクチュエータ素子)では、電解質媒体としての低沸点極性溶媒が経時で蒸発してしまうため、経時的に電荷やイオンの移動を生じなくなってしまう。このように、低沸点極性溶媒電解質媒として用いている上記高分子アクチュエータ素子では、被覆無しに空気に曝した状態では初期の駆動(変位量)を数時間も維持することができないことが判明した。また、電解液に代えて固体電解質を用いた提案もなされているが、かかる場合では応答周波数が1Hz程度の非常に緩慢な動作しか出来ないものであった(たとえば、非特許文献2参照)。
高分子アクチュエータ素子は反復運動が可能であることが好ましく、樹脂などの被覆は劣化や損傷してしまうこともあるため、被覆等がなく空気中でも数時間以上の連続駆動に耐えられることが期待されつつある。しかしながら、これまでの導電性高分子を用いた高分子アクチュエータ素子では、空気中での連続駆動を有し、高周波数にも応答駆動可能なものはいまだ見出されていない。
原進、外4名、「高伸縮かつ強力なポリピロールリニアアクチュエータ(Highly Stretchable and Powerful Polypyrrole Linear Actuators)」、ケミストリーレターズ(Chemistry Letters)、日本、日本化学会発行、2003年、第32巻、第7号、p576−577。
J.M.Sansinenaら、Chem.Commun.,P2217−2218、1997。
そこで、本発明の目的は、常温常圧の開放系において優れた伸縮率と応答速度を示す高分子アクチュエータ素子を提供することである。また、本発明の目的は、上記高分子アクチュエータ素子の製造方法および駆動方法を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するため、高分子アクチュエータ素子の構成について鋭意検討した結果、下記の手法を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の高分子アクチュエータ素子は、導電性高分子と駆動電解液を含む高分子アクチュエータ素子であって、
前記駆動電解液が、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液であることを特徴とする。
前記駆動電解液が、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液であることを特徴とする。
本発明によると、実施例の結果に示すように、上記駆動電解液として常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液を用いることにより、伸縮率と応答速度に優れた高分子アクチュエータ素子となる。上記高分子アクチュエータ素子がかかる特性を発現する理由の詳細は明らかではないが、上記非イオン性有機化合物の拡散性、粘度、イオンの解離のしやすさ、誘電率などがバランスよく作用することにより、本発明における優れた効果を奏すると推測される。また、本発明では、従来と同一の駆動性能を発揮させる場合においても、従来よりも駆動電圧をより低く設定して駆動させることができる。
なお、従来の高分子アクチュエータ素子における(電解質)駆動電解液においては、電解質の媒体として非イオン性有機化合物、特に非イオン性高分子化合物が用いられることは皆無であった。これは非イオン性有機化合物を媒体(電解質媒体)として用いることにより、導電性高分子との親和性が低いことや、さらには高分子化合物の分子鎖が高分子電解質(イオン交換樹脂)に絡まってしまうことや、媒体が高分子量体にすることによりイオンなどの電解質の動きを阻害してしまうことなどのためである。さらには、導電性高分子等へ非極性化合物を充填すること自体が困難であった。しかしながら、本発明においては、上記非イオン性有機化合物を含む高分子アクチュエータ素子を用いることにより、上述のような駆動電解液を用いることにより、常温常圧の開放系において優れた伸縮率と応答速度を示す高分子アクチュエータ素子となることを見出したものである。
上記高分子アクチュエータ素子は、多孔質基材の両面にそれぞれ金属電極層を介して前記導電性高分子が配置されている複合膜を備えるものとすることが好ましく、より具体的には、たとえば、多孔質支持体を中央に、金属電極層、導電性高分子の順でサンドイッチ状に積層した複合膜を備えたバイモルフ型の高分子アクチュエータ素子とすることができる。バイモルフ型の高分子アクチュエータ素子では導電性高分子アクチュエータの直同方向の伸縮挙動を構造体の屈曲方向の動きに変換することができるため、本発明の高分子アクチュエータ素子の伸縮挙動をより効率よく大きな屈曲変形として発現することができる。また、上記バイモルフ型の高分子アクチュエータ素子は、上記複合膜に電解質溶液を含浸させることで、駆動時に電解質溶液に高分子アクチュエータ素子を浸漬することなく常温常圧の開放系においても優れた伸縮率と応答速度を示す空中駆動型の高分子アクチュエータ素子としての使用に特に好適である。
なお、電気特性や耐久性の観点より、上記多孔質基材が多孔質ポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
また、本発明においては、上記非イオン性有機化合物が、沸点もしくは分解温度が180℃以上である有機化合物であることが好ましい。かかる有機化合物を用いることにより、応答性の経時的劣化をより効果的に抑えた高分子アクチュエータ素子とすることができる。
また、本発明においては、上記非イオン性有機化合物の凝固点または軟化点が0℃以下であることが好ましい。これらの非イオン性有機化合物を用いることにより、特に外気が0℃以下の場合でもより確実に長期間駆動することができるものとなる。
さらに、本発明においては、上記非イオン性有機化合物が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、および/またはそれらの類縁化合物などであるポリエーテル化合物であることが好ましい。これらの非イオン性有機化合物、特にポリエーテル化合物を用いることにより、常温常圧の開放系において、特に外気の湿度に大きな影響を受けることなく、より長期間、初期の屈曲量または変位量を維持することができるものとなる。
また、本発明においては、上記駆動電解液中にさらにイオン性液体を含むことができる。上記イオン性液体を用いることにより、常温常圧の開放系において、特に外気の湿度に大きな影響を受けることなく、より長期間、初期の屈曲量または変位量を維持することができるものとなる。
上記イオン性液体としては、
テトラアルキルアンモニウムイオン、ジアルキルイミダゾリウムイオン、トリアルキルイミダゾリウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリジニウムイオン、およびピペリジニウムイオンからなる群より少なくとも一種選ばれたカチオンと、
PF6 −、BF4 −、AlCl4 −、ClO4 −、および下記式(I)
で示されるスルホニウムイミドアニオンからなる群より少なくとも一種選ばれたアニオンとの組合せからなる塩を含ものが好ましい。
(CmF(2m+1)SO3)(CnF(2n+1)SO2)N− (I)
[上記式(I)において、mおよびnは任意の整数である。]。
テトラアルキルアンモニウムイオン、ジアルキルイミダゾリウムイオン、トリアルキルイミダゾリウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリジニウムイオン、およびピペリジニウムイオンからなる群より少なくとも一種選ばれたカチオンと、
PF6 −、BF4 −、AlCl4 −、ClO4 −、および下記式(I)
で示されるスルホニウムイミドアニオンからなる群より少なくとも一種選ばれたアニオンとの組合せからなる塩を含ものが好ましい。
(CmF(2m+1)SO3)(CnF(2n+1)SO2)N− (I)
[上記式(I)において、mおよびnは任意の整数である。]。
さらに、上記導電性高分子が分子鎖にピロールおよび/またはピロール誘導体を含むことが好ましい。
また、上記導電性高分子が、下記式(1)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンがドープされた膜状導電性高分子であること、
(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)N− (1)
〔上記式(1)において、mおよびnは任意の整数。〕、
または、下記式(2)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンがドープされた膜状導電性高分子であること、
(ClF(2l+1)SO2)(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)C− (2)
〔上記式(2)において、l、mおよびnは任意の整数。〕、
が好ましい。
(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)N− (1)
〔上記式(1)において、mおよびnは任意の整数。〕、
または、下記式(2)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンがドープされた膜状導電性高分子であること、
(ClF(2l+1)SO2)(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)C− (2)
〔上記式(2)において、l、mおよびnは任意の整数。〕、
が好ましい。
また、本発明の高分子アクチュエータ素子は、上記導電性高分子の1酸化還元サイクル当たりの伸縮率が5%以上であるものとすることができる。
また、本発明の高分子アクチュエータ素子は、上記高分子アクチュエータ素子の応答周波数が100Hz以上であるものとすることができる。
一方、本発明の高分子アクチュエータ素子の製造方法は、導電性高分子と駆動電解液を含み、前記駆動電解液が常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液である高分子アクチュエータ素子の製造方法であって、
前記導電性高分子を、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物、極性溶媒、および電解質を含む混合溶液に浸漬する第一工程、および、
前記導電性高分子から前記極性溶媒を除去する第二工程、
を含むことを特徴とする。
前記導電性高分子を、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物、極性溶媒、および電解質を含む混合溶液に浸漬する第一工程、および、
前記導電性高分子から前記極性溶媒を除去する第二工程、
を含むことを特徴とする。
また、本発明の高分子アクチュエータ素子の製造方法は、多孔質基材の両面にそれぞれ金属電極層を介して前記導電性高分子が配置されている複合膜と駆動電解液を含む高分子アクチュエータ素子の製造方法であって、
前記複合膜を、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物、極性溶媒、および電解質を含む混合溶液に浸漬する第一工程、および、
前記複合膜から前記極性溶媒を除去する第二工程、
を含むことを特徴とする。
前記複合膜を、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物、極性溶媒、および電解質を含む混合溶液に浸漬する第一工程、および、
前記複合膜から前記極性溶媒を除去する第二工程、
を含むことを特徴とする。
本発明の高分子アクチュエータ素子の製造方法は上述のような工程を有するため、従来困難であった非イオン性有機化合物を含む駆動電解液を効率よく簡便に充填することができ、その結果、伸縮率と応答速度に優れた高分子アクチュエータ素子を簡便に製造することができる。
他方、本発明の高分子アクチュエータ素子の駆動方法は、上述のいずれかの高分子アクチュエータ素子の金属電極間に電圧を印加する工程を含むことを特徴とする。
本発明の高分子アクチュエータ素子は、変位もしくは屈曲の変位を生じる高分子アクチュエータとして、多種多様の実用的用途に容易に用いることができる。特に、上記高分子アクチュエータ素子は常温常圧の開放系において、伸縮率と応答速度に優れた駆動を必要とする用途に好適である。さらには、上記アクチュエータ素子は複雑な機械部品を必要としないため、用いられる装置の小型化および軽量化を容易にすることができる。さらには、上記アクチュエータ素子を、屈曲運動を直線的な運動に変換する装置と組合せることにより、直線的な変位を生じるアクチュエータとすることもできる。直線的な変位もしくは屈曲の変位を生じるアクチュエータは、直線的な駆動力を発生する駆動部、または円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部として用いることができる。さらに、上記アクチュエータ素子は、直線的な動作をする押圧部として用いることもできる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の高分子アクチュエータ素子は、導電性高分子と駆動電解液を含む高分子アクチュエータ素子であって、
前記駆動電解液が、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液であることを特徴とする。
前記駆動電解液が、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液であることを特徴とする。
(駆動電解液)
本発明に用いられる駆動電解液は、上記高分子アクチュエータ素子が電圧印可により駆動するための電解質を含み、上記電解質を溶解するための溶媒として用いられる。本発明においては、上記電解質を溶解する溶媒として常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液を用いることができる。駆動電解液として上記溶液を含むことにより、上記高分子アクチュエータ素子は、一定の電圧を与えた状態における時間に対する伸縮量(駆動速度)を測定した場合、大きな駆動速度を示すことができる。
本発明に用いられる駆動電解液は、上記高分子アクチュエータ素子が電圧印可により駆動するための電解質を含み、上記電解質を溶解するための溶媒として用いられる。本発明においては、上記電解質を溶解する溶媒として常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液を用いることができる。駆動電解液として上記溶液を含むことにより、上記高分子アクチュエータ素子は、一定の電圧を与えた状態における時間に対する伸縮量(駆動速度)を測定した場合、大きな駆動速度を示すことができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、上記電解質中に常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物、なかでも沸点もしくは分解温度が180℃以上であり常温常圧下で液状の有機化合物やポリエーテル化合物を含むことによって、常温常圧の開放系であってもアクチュエータ素子の屈曲量または変位量の経時による変化が生じにくい。そのため、上記高分子アクチュエータ素子は、溶液の外部、すなわち開放系である空気中での駆動も可能であり、しかも電解質の媒体溶液の蒸発がほとんど無いので長期間の駆動に好適である。
上記非イオン性有機化合物は、イオン性官能基やイオン性部位を分子構造中に有していないものであれば特に限定されず適宜用いることができる。上記有機化合物としては、電荷のキャリアとなるイオンを含む塩の溶媒となることができる有機化合物、または電荷のキャリアとなることができる有機化合物であればよい。
上記非イオン性有機化合物は、180℃以上の沸点または分解温度を有し、常温常圧下で液状であることが好ましく、さらに溶媒としての機能も有することが好ましい。また、245℃以上の沸点を有する有機溶媒であることがより好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、本発明においては、上記非イオン性有機化合物の凝固点または軟化点が0℃以下であることが好ましい。これらの非イオン性有機化合物を用いることにより、特に外気が0℃以下の場合でもより確実に長期間駆動することができるものとなる。
上記非イオン性有機化合物としては、たとえば、ジエチレングリコール、グリセリン、スルホラン、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、ポリエーテル化合物などをあげることができる。なかでも、たとえば、ジエチレングリコール、グリセリン、スルホラン、ポリエーテル化合物などが好ましく、さらにはポリエーテル化合物を用いることが、バランスの良い駆動性能と共に、より長期の耐久性を得ることができるため、特に好ましい。
また、上記ポリエーテル化合物は、常温常圧下で液状であれば、特に限定されるものではない。上記ポリエーテル化合物は、溶媒としての機能も有することが好ましい。上記ポリエーテル化合物としては、電荷のキャリアとなるイオンを含む塩の溶媒となることができるポリエーテル化合物、または電荷のキャリアとなることができるポリエーテル化合物であればよい。これらのポリエーテル化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
上記ポリエーテル化合物は、アルキレンオキシド(オキシアルキレン)ユニットなどのエーテル構造を繰り返し単位として有する化合物であれば、特に限定されるものではないが、なかでも、エチレンオキシド(オキシエチレン)ユニットやプロピレンオキシド(オキシプロピレン)などを繰り返し単位として有する化合物であることがより好ましい。
上記ポリエーテル化合物としては、アルキレンオキシド(オキシアルキレン)ユニットなどのオキシアルキレン単位の付加モル数(繰り返し単位数)を3単位以上繰り返す構造を有するものがあげられ、これらを直線状または分岐状に高分子量化したホモポリマーおよびコポリマー、ならびにこれらの高分子構造を含む化合物およびこれらの類縁体やエーテル型界面活性剤、エーテル型可塑剤があげられる。
より具体的には、上記ポリエーテル化合物としては、たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)などのポリアルキレングリコール、ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサエート、テトラエチレングリコール−2−エチルヘキサエート、ポリエーテルオール化合物、およびこれらの類縁体があげられる。なかでも特に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、および/またはそれらの類縁化合物などを用いることが好ましい。
上記ポリアルキレングリコールとしては、より具体的には、たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールの共重合体(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)としては、たとえば、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールのブロック共重合体、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールのブロック共重合体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールのブロック共重合体、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールのランダム共重合体などをあげることができる。また、グリコール鎖の末端は、水酸基のままであっても、アルキル基、フェニル基などで置換されていてもよい。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
上記エーテル型界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウムなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類などをあげることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
上記ポリエーテル化合物のオキシアルキレン単位の付加モル数(繰り返し単位数)としては、イオンとの相互作用の観点から、3〜100が好ましく、4〜80がより好ましく、5〜10がより好ましい。オキシアルキレン単位の付加モル数が3未満であると、電解質中の媒体の揮発性が大きくなることや吸湿性が低下することなどから経時による駆動性能の維持が困難となる場合がある。
上記ポリエーテル化合物含有化合物の分子量としては、常温常圧下で液状であれば特に限定されないが、数平均分子量が1000以下のものが好適に用いられ、200〜800のものがより好適に用いられ、300〜600のものがさらに好適に用いられる。数平均分子量が1000を超えると、常温常圧下で固化してしまう場合があり好ましくない。数平均分子量はGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
上記非イオン性有機化合物は単独で用いてもよいし、また2種以上を混合して使用してもよいが、配合量としては、電解液100重量部に対して、0.01〜100重量部であることが好ましく、0.05〜50重量部であることがより好ましく、0.1〜30重量部であることがさらに好ましい。0.01重量部未満であると十分な経時的耐久性が得られない場合があり、100重量部を超えると駆動周波数が低下する場合がある。
また、特に上記ポリエーテル化合物を用いる場合には、上記ポリエーテル化合物は単独で用いてもよいし、また2種以上を混合して使用してもよいが、配合量としては、電解液100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.05〜5重量部であることがより好ましく、0.1〜1重量部であることがさらに好ましい。0.01重量部未満であると十分な耐久性が得られず、10重量部を超えると上記ポリエーテル化合物がブリードする場合がある。上記ポリエーテル化合物を電解質中に含むことにより、上記高分子アクチュエータ素子を密閉しない状態であっても、1ヶ月後に100Hz以上の応答駆動を行うことができる。
さらに、上記駆動電解液には、電解質としてアニオンが含まれる。上記アニオンは、ドーパントイオンとして、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、BF4 −、PF6 −やパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを用いることができる。また、上記アニオンは、たとえば、Na+、K+、Li+等とカチオンと対イオンを形成した電解質塩を用いてもよい。
上記電解質塩としては、たとえば、上記アニオンのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などをあげることができるが、なかでもリチウムパーフルオロアルキルスルホニルイミドが好ましい。
上記電解質として電解質塩が加えられる場合、上記駆動電解液100重量部に対して、上記電解質塩が1〜90重量部含まれることが好ましく、5〜75重量部含まれることがより好ましく、10〜50重量部含まれることが特に好ましい。
また、本発明においては、上記駆動電解液中にさらにイオン性液体を含むことができる。上記イオン性液体を用いることにより、常温常圧の開放系において、特に外気の湿度に大きな影響を受けることなく、より長期間、初期の屈曲量または変位量を維持することができるものとなる。
上記イオン性液体は、常温溶融塩とも呼ばれるものであり、室温(25℃程度)での蒸気圧がほとんどない。そのため、上記高分子電解質が上記ポリエーテル化合物およびイオン性液体で膨潤した状態である本発明の高分子アクチュエータ素子は、数ヶ月程度の長期間でも初期とほぼ同等の屈曲または変位をすることができる。
また、上記イオン性液体は、特に限定されないで用いることができる。なかでも、上記イオン性液体が、テトラアルキルアンモニウムイオン、ジアルキルイミダゾリウムイオン、トリアルキルイミダゾリウムイオンなどのイミダゾリウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリジニウムイオン、およびピペリジニウムイオンからなる群より少なくとも一種選ばれたカチオンと、PF6 −、BF4 −、AlCl4 −、ClO4 −、および下記式(I)で示されるスルホニウムイミドアニオンからなる群より少なくとも一種選ばれたアニオンとの組合せからなる塩を含むことが好ましい。これらのイオン性液体は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO3)N− (I)
[上記式(I)において、mおよびnは任意の整数である。]。
(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO3)N− (I)
[上記式(I)において、mおよびnは任意の整数である。]。
上記テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、たとえば、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウムなどをあげることができる。
上記イミダゾリウムカチオンとしては、たとえば、ジアルキルイミダゾリウムイオンおよび/またはトリアルキルイミダゾリウムイオンなどをあげることができる。より具体的には、上記イミダゾリウムカチオンとしては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオンなどをあげることができる。
上記アルキルピリジニウムイオンとしては、たとえば、N−メチルピリジニウムイオン、N−エチルピリジニウムイオン、N−プロピルピリジニウムイオン、N−ブチルピリジニウムイオン、1−エチル−2−メチルピリジニウムイオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムイオン、1−ブチル−2,4−ジメチルビリジニウムイオンなどをあげることができる。
上記ピロリウムカチオンとしては、たとえば、1,1−ジメチルピロリウムイオン、1−エチル−1−メチルピロリウムイオン、1−メチル−1−プロピルピロリウムイオン、1−ブチル−1−メチルピロリウムイオンなどをあげることができる。
上記ピラゾリウムカチオンとしては、たとえば、1,2−ジメチルピラゾリウムイオン、1−エチル−2−メチルピラゾリウムイオン、1−プロピル−2−メチルピラゾリウムイオン、1−ブチル−2−メチルピラゾリウムイオンなどをあげることができる。
上記ピロリニウムカチオンとしては、たとえば、1,2−ジメチルピロリニウムイオン、1−エチル−2−メチルピロリニウムイオン、1−プロピル−2−メチルピロリニウムイオン、1−ブチル−2−メチルピロリニウムイオンなどをあげることができる。
上記ピロリジニウムカチオンとしては、たとえば、1,1−ジメチルピロリジニウムイオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムイオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムイオン、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムイオンなどをあげることができる。
上記ピベリジニウムカチオンとしては、たとえば、1,1−ジメチルピペリジニウムイオン、1−エチル−1−メチルピペリジニウムイオン、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムイオン、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムイオンなどをあげることができる。
上記イオン性液体は、上記アニオンと上記カチオンとの組み合わせが特に限定されるものではないが、たとえば、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホイミド(EMITFSI)、1−メチル−3−イミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF4)、1−メチル−3−イミダゾリウムヘキサフルオロリン酸(EMIPF6)、トリメチルプロピルアンモニウムトリフルオロメタンスルホイミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホイミドなどを用いることができる。
本発明の高分子アクチュエータ素子において、上記高分子電解質が上記非イオン性有機化合物、なかでもポリエーテル化合物、および上記イオン性液体を含むことにより、大気圧下(常温常圧下もしくは0℃以下)で1000時間程度放置しても上記高分子アクチュエータ素子は駆動することができる。
上記イオン性液体は単独で用いてもよいし、また2種以上を混合して使用してもよいが、イオン性液体を併用する場合には、イオン性液体の配合量としては、上記駆動電解質溶液100重量部中、上記イオン性液体が2〜80重量%であることが好ましく、10〜60重量%含まれることがより好ましく、20〜50重量%含まれることがさらに好ましい。2重量%未満であると添加効果が十分には選られない場合があり、80重量%を超えるとブリードアウト(イオン性液体(イオン流体)の分離析出)する場合がある。
さらには、上記駆動電解液において、より速い駆動速度を得るために、上記高分子アクチュエータ素子に含まれる導電性高分子のバルク中に下記式(1)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを含み、かつ、上記駆動電解液中にも下記式(1)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを含むことがより好ましい。
(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)N− (1)
〔上記式(1)において、mおよびnは任意の整数。〕。
(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)N− (1)
〔上記式(1)において、mおよびnは任意の整数。〕。
また、上記駆動電解液において、より速い駆動速度を得るために、上記高分子アクチュエータ素子に含まれる導電性高分子のバルク中に下記式(2)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンを含み、かつ、上記駆動電解液中にも下記式(2)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンを含むことがより好ましい。
(ClF(2l+1)SO2)(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)C− (2)
〔上記式(2)において、l、mおよびnは任意の整数。〕。
(ClF(2l+1)SO2)(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)C− (2)
〔上記式(2)において、l、mおよびnは任意の整数。〕。
これらのドーパントイオンを含むことにより、上記導電性高分子のバルク中に上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンが取り込まれ、または放出されて、導電性高分子が大きな伸縮運動をすることができるので、上記高分子アクチュエータ素子は、従来の導電性高分子の電解伸縮方法に比べて、速い駆動速度を示すことができる。
なお、本発明の高分子アクチュエータ素子においては、特定の形状を有し、かつ導電性高分子を含んでなる導電性高分子有形物に含まれるアニオンと同じアニオンが、上記作動電解液中に含まれることが好ましい。上記高分子アクチュエータ素子に用いられた導電性高分子のバルク中に含まれ、ドーパントとして機能し得るアニオンと同じアニオンが上記作動電解液中に含まれることにより、導電性高分子バルク中への出入りが容易となりやすく、所望の伸縮量の電解伸縮を容易に得ることができる。また、上記駆動電解液中に含まれるアニオンがパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンである場合には、上記駆動電解液中で電解伸縮をさせる導電性高分子有形物の製造用電解液中に含まれるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンとイオン半径が同程度であることが、電解伸縮を容易に行うことができるので好ましい。
(高分子アクチュエータ素子)
本発明の高分子アクチュエータ素子は、上記の駆動電解液を含むものであって、電圧を印加することにより、電解伸縮により駆動することができる導電性高分子を含むものであれば、特に限定されるものではない。
本発明の高分子アクチュエータ素子は、上記の駆動電解液を含むものであって、電圧を印加することにより、電解伸縮により駆動することができる導電性高分子を含むものであれば、特に限定されるものではない。
上記導電性高分子は、バルクとしての形状が特に限定されるものではなく、膜状体、筒状体、円柱状体、角柱状や六角柱状等の多角柱状体、円錐状体、板状体、直方体状体などの、特定の形状であればよい。上記導電性高分子が、特定の形状の有形物として高分子アクチュエータ素子の一部もしくは全体を構成することにより、導電性高分子への電圧印可による電解伸縮により上記導電性高分子が容易に駆動することができる。
上記高分子アクチュエータ素子の形状としては、上記の形状以外にも使用状況に適した形状に適宜形成することができる。また、本願発明の高分子アクチュエータ素子の形状に保護部材等の部品を付加して所望の形状とすることができる。なお、上記高分子アクチュエータ素子は、電解重合により作用電極上に得られた導電性高分子膜をそのまま用いてもよく、積層等の成形を施して、所望の形状にしてもよい。さらに、対極についても、柱状に限定されるものではなく、板状等の形状にすることができる。
上記導電性高分子は、ドーパントとしてのアニオンを、該導電性高分子へのドーピングおよび脱ドーピングすることができるものであれば、特に限定されるものではない。上記ドーパントは、必要とされる電解伸縮量や用途等に応じて、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、BF4 −、PF6 −、過塩素酸イオンやパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを用いることができる。
特に、上記導電性高分子として、上記導電性高分子が、下記式(1)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンがドープされた膜状導電性高分子を用いること、
(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)N− (1)
〔上記式(1)において、mおよびnは任意の整数。〕、
または、上記導電性高分子として、下記式(2)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンがドープされた膜状導電性高分子を用いること、
(ClF(2l+1)SO2)(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)C− (2)
〔上記式(2)において、l、mおよびnは任意の整数。〕、
が、より速い駆動速度を得ることができるために好ましい。
(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)N− (1)
〔上記式(1)において、mおよびnは任意の整数。〕、
または、上記導電性高分子として、下記式(2)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンがドープされた膜状導電性高分子を用いること、
(ClF(2l+1)SO2)(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)C− (2)
〔上記式(2)において、l、mおよびnは任意の整数。〕、
が、より速い駆動速度を得ることができるために好ましい。
上述のようにパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンをバルク中に含む導電性高分子は、1酸化還元サイクル当たりの大きな伸縮率をも発揮することもできる。これらの上記アニオンは、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等の従来のドーパントに比べてより大きな分子サイズを有する。したがって、所定形状を有する導電性高分子の有形物では、パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンが内部に存在することになるが、印加する電圧の正負の切り替えを繰り返すことにより、これらのより大きな分子サイズのアニオンが導電性高分子の有形物から出入りし、その結果、1酸化還元サイクル当たりの大きな電解伸縮をすることができると推測している。
上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンは、アニオン中心である窒素原子にスルホニル基が結合し、さらに、置換基である2つのパーフルオロアルキル基を有している。このパーフルオロアルキルスルホニル基は、一つはCnF(2n+1)SO2で表され、他のパーフルオロアルキルスルホニル基は、CmF(2m+1)SO2で表される。
上記のmおよびnは、それぞれ1以上の任意の整数であり、mとnとが同じ整数であってもよく、nとmとが異なる整数であってもよい。たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基などをあげることができる。上記パーフルオロアルキルスルホニルイミド塩としては、たとえば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド塩、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド塩、ビス(ヘプタデカフルオロオクチルスルホニル)イミド塩などを用いることができる。
また、上記パーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンは、アニオン中心である炭素原子にスルホニル基が結合し、さらに、置換基である2つのパーフルオロアルキル基を有している。このパーフルオロアルキルスルホニル基は、一つはCnF2n+1SO2で表され、他のパーフルオロアルキルスルホニル基はCmF2m+1SO2、さらにClF21+1SO2で表される。
上記のl、m、およびnは、それぞれ1以上の任意の整数であり、l、m、およびnが同じ整数であってもよく、l、m、およびnが異なる整数であってもよい。たとえば、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロエチルスルホニル基、ヘプタフルオロプロピルスルホニル基、ノナフルオロブチルスルホニル基、ウンデカフルオロペンチルスルホニル基、トリデカフルオロヘキシルスルホニル基、ペンタデカフルオロヘプチルスルホニル基、ヘプタデカフルオロオクチルスルホニル基などをあげることができる。上記パーフルオロアルキルスルホニルメチド塩としては、たとえば、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド塩、トリス(ペンタフルオロエチルスルホニル)メチド塩、トリス(ヘプタデカフルオロオクチルスルホニル)メチド塩を用いることができる。中でも、本発明の態様として、上記メチドイオンが上記式1においてl=1、m=1、n=1、または上記式3においてn=1であるトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオンなどを用いることが好ましい。
なお、上記導電性高分子は、ドーパントとしてのアニオンとして、該導電性高分子へのドーピングおよび脱ドーピングすることができる他のアニオンを含めることもできる。たとえば、必要とされる電解伸縮量や用途等に応じて、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、BF4 −、PF6 −、過塩素酸イオン、またはパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンなどを用いることができる。
また、上記化学式(1)のパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンおよび上記化学式(2)のパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンは、カチオンと塩を形成することができ、パーフルオロアルキルスルホニルイミド塩またはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオン塩として電解重合法における電解液中に加えられていてもよい。
これらパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンと塩を形成するカチオンは、Li+などの1つの元素から構成されていてもよく、複数の元素より構成されていてもよい。また、上記カチオンは、1価の陽イオンとしてパーフルオロアルキルスルホニルイミド塩またはパーフルオロアルキルスルホニルメチド塩を形成することができ、電解液中で解離することができるルイス酸であれば、特に限定されるものではない。
また、上記導電性高分子は電解重合法などによって容易に得ることができる。また、上記導電性高分子は、電解重合法により得られた導電性高分子であって、上記電解重合に用いる電解液(導電性高分子製造用電解液)が、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン基およびニトリル基のうち少なくとも1つ以上の結合または官能基を含む有機化合物および/またはハロゲン化炭化水素を溶媒として含むことが好ましい。上記の電解液中に上記溶媒を含み、さらに、パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンなどを含むことにより、得られた導電性高分子は、1酸化還元サイクル当たりにおいてより大きな電解伸縮を示すものとなる。
上記有機化合物としては、たとえば、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン(以上、エーテル結合を含む有機化合物)、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸−t−ブチル、1,2−ジアセトキシエタン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル(以上、エステル結合を含む有機化合物)、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート(以上、カーボネート結合を含む有機化合物)、エチレングリコール、ブタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−オクタデカノール(以上、ヒドロキシル基を含む有機化合物)、ニトロメタン、ニトロベンゼン(以上、ニトロ基を含む有機化合物)、スルホラン、ジメチルスルホン(以上、スルホン基を含む有機化合物)、およびアセトニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル(以上、ニトリル基を含む有機化合物)をあげることができる。なお、ヒドロキシル基を含む有機化合物は、特に限定されるものではないが、多価アルコールおよび炭素数4以上の1価アルコールであることが、伸縮率が良いためにより好ましい。なお、上記有機化合物は、上記の例示以外にも、分子中にエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン基およびニトリル基のうち、2つ以上の結合または官能基を任意の組合わせで含む有機化合物であってもよい。
また、上記導電性高分子製造用電解液に溶媒として含まれるハロゲン化炭化水素は、炭化水素中の水素が少なくとも1つ以上ハロゲン原子に置換されたもので、電解重合条件で液体として安定に存在することができるものであれば、特に限定されるものではない。上記ハロゲン化炭化水素としては、たとえば、ジクロロメタン、ジクロロエタンをあげることができる。上記ハロゲン化炭化水素は、1種類のみを上記導電性高分子製造用電解液中の溶媒として用いることもできるが、2種以上併用することもできる。また、上記ハロゲン化炭化水素は、上記の有機化合物との混合液として用いてもよく、上記有機溶媒との混合溶媒を上記導電性高分子製造用電解液中の溶媒として用いることもできる。
上記電解重合法により得られた導電性高分子のバルク中には、上記電解重合法に用いられた上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンが存在することとなる。上記導電性高分子が上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンを含む上記導電性高分子は、上述のように1酸化還元サイクル当りの伸縮量が大きく、駆動速度(%/s)の値も大きく、しかも、容易に得ることができるので好ましい。たとえば、上記の導電性高分子の有形物を膜状体は、従来の導電性高分子の電解伸縮がその最大の伸縮率が面方向で1酸化還元サイクル当たり10〜15%程度までしか得られていなかったのに対して、ドーパントとして上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンを導電性高分子のバルク中に含むことにより、長さ方向において、1酸化還元サイクル当たり16%以上、特に20%以上の優れた最大の伸縮率を示すことが可能となる。上記膜状体は、人工筋肉に代表される大きな伸縮率が要求される用途に好適に用いることができる。なお、上記の導電性高分子の有形物は、ドーパントの他に、動作電極としての抵抗値を低下させるために、金属線や導電性酸化物などの導電性材料を適宜含むことができる。
上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンは、上記の説明と同様に、アニオン中心である窒素原子にスルホニル基が結合し、さらに、置換基である2つのパーフルオロアルキル基を有していればよい。たとえばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基、ペンタデカフルオロヘプチル基、ヘプタデカフルオロオクチル基などをあげることができる。上記パーフルオロアルキルスルホニルイミド塩としては、たとえば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド塩、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド塩、ビス(ヘプタデカフルオロオクチルスルホニル)イミド塩を用いることができる。
また、上記パーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンは、上記の説明と同様に、アニオン中心である炭素原子にスルホニル基が結合し、さらに、置換基である3つのパーフルオロアルキル基を有していればよい。たとえば、トリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロエチルスルホニル基、ヘプタフルオロプロピルスルホニル基、ノナフルオロブチルスルホニル基、ウンデカフルオロペンチルスルホニル基、トリデカフルオロヘキシルスルホニル基、ペンタデカフルオロヘプチルスルホニル基、ヘプタデカフルオロオクチルスルホニル基などをあげることができる。上記パーフルオロアルキルスルホニルメチド塩としては、たとえば、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド塩、トリス(ペンタフルオロエチルスルホニル)メチド塩、トリス(ヘプタデカフルオロオクチルスルホニル)メチド塩を用いることができる。
上記電解重合法の電解液中に含むまれ得る上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンは、カチオンと塩を形成することができ、パーフルオロアルキルスルホニルイミド塩またはパーフルオロアルキルスルホニルメチド塩として電解重合法における電解液中に加えられていてもよい。パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンと塩を形成するカチオンは、Li+の様に1つの元素から構成されていてもよく、複数の元素より構成されていてもよい。上記カチオンは、1価の陽イオンとしてパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを形成することができ、電解液中で解離することができるルイス酸であれば、特に限定されるものではない。
上記カチオンが金属元素である場合には、たとえばリチウムなどのアルカリ金属から選ばれる元素を用いることができる。また、上記カチオンが分子である場合には、たとえば、テトラブチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムに代表されるアルキルアンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウムなどを用いることができる。
上記導電性高分子のドーパントとして用いられ得る上記のパーフルオロスルホニルイミドイオンは、上記のように塩基成分であるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンと酸成分であるカチオンとの組み合わせにより種々の塩を形成することができるが、パーフルオロスルホニルイミド塩は、溶液中の解離が容易であって入手も容易であることから、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドなどのリチウムビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド、ならびにビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、およびビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドなどのビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドについての、テトラブチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩またはイミダゾリジウム塩が好ましい。
上記導電性高分子のドーパントとして用いられ得る上記のパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンは、上記のように塩基成分であるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンと酸成分であるカチオンとの組み合わせにより種々の塩を形成することができるが、パーフルオロスルホニルメチド塩は、溶液中の解離が容易であって入手も容易であることから、リチウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、リチウムトリス(ペンタフルオロエチルスルホニル)メチドなどのリチウムトリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチド、ならびにトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、およびトリス(ペンタフルオロエチルスルホニル)メチドなどのトリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドについての、テトラブチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩またはイミダゾリジウム塩が好ましい。
上記電解重合法における上記パーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンまたはパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンの電解液中の含有量が特に限定されるものではないが、十分な電解液のイオン導電性を確保するために、パーフルオロアルキルスルホニルイミド塩として、電解液中に1〜40重量%含まれるのが好ましく、2.8〜20重量%含まれるのがより好ましい。また、電解重合法により得られる導電性高分子膜の膜質を向上させるために、トリフルオロメタンスルホン酸塩を電解液中に1〜80%加えた複合電解質を用いることもできる。また、これらのイオンは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、上記電解重合法にて用いられる電解液(導電性高分子製造用電解液)には、さらに、パーフルオロアルキルスルホニルイミド塩を含む以外に、導電性高分子の単量体を含んでいてもよく、さらにポリエチレングリコールやポリアクリルアミドなどの公知のその他の添加剤を含むこともできる。
上記電解重合法は、導電性高分子単量体の電解重合として、公知の電解重合方法を用いることが可能であり、定電位法、定電流法および電気掃引法のいずれをも適宜用いることができる。たとえば、上記電解重合法は、電流密度0.01〜20mA cm−2、反応温度−70〜80℃で行うことができ、良好な膜質の導電性高分子を得るために、電流密度0.1〜2mA cm−2、反応温度−40〜40℃の条件下で行うことが好ましく、反応温度が−30〜30℃の条件であることがより好ましい。
なお、上記電解重合法に用いられる作用電極は、電解重合に用いることができれば特に限定されるものではなく、ITOガラス電極、炭素電極や金属電極などを適宜用いることができる。上記金属電極は、金属を主とする電極であれば特に限定されるものではないが、Pt、Ti、Ni、Au、Ta、Mo、CrおよびWからなる群より選ばれた金属元素についての金属単体の電極または合金の電極を好適に用いることができる。なかでも、得られた導電性高分子の伸縮率および発生力が大きく、かつ電極を容易に入手できることから、金属電極に含まれる金属種がPt、Tiであることが特に好ましい。なお、上記合金としては、たとえば、商品名「INCOLOY alloy 825」、「INCONEL alloy 600」、「INCONEL alloy X−750」(以上、大同スペシャルメタル社製)を用いることができる。また、対極については公知の電極、たとえばPt、Niを好適に用いることができる。
上記電解重合法に用いられる電解液に含まれる導電性高分子の単量体としては、電解重合による酸化により高分子化して導電性を示す化合物であれば特に限定されるものではなく、たとえばピロール、チオフェン、イソチアナフテン等の複素五員環式化合物、ならびにそのアルキル基、オキシアルキル基等の誘導体があげられる。なかでも、ピロール、チオフェン等の複素五員環式化合物、ならびにその誘導体が好ましく、特にピロールおよび/またはピロール誘導体を含む導電性高分子であることが、製造が容易であり、導電性高分子として安定であるために好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、上記高分子アクチュエータ素子は、多孔質基材の両面にそれぞれ金属電極層を介して前記導電性高分子が配置されている複合膜を備えるものとすることが好ましく、より具体的には、たとえば、図1に示すように、多孔質支持体(基材層10)を中央に、金属電極層12、導電性高分子14の順でサンドイッチ状に積層した複合膜を備えたバイモルフ型の高分子アクチュエータ素子とすることができる。バイモルフ型の高分子アクチュエータ素子では導電性高分子アクチュエータの直同方向の伸縮挙動を構造体の屈曲方向の動きに変換することができるため、本発明の高分子アクチュエータ素子の伸縮挙動をより効率よく大きな屈曲変形として発現することができる。また、上記バイモルフ型の高分子アクチュエータ素子は、上記複合膜(特に多孔質基材中)に電解質溶液を含浸させることで、駆動時に電解質溶液に高分子アクチュエータ素子を浸漬することなく常温常圧の開放系においても優れた伸縮率と応答速度を示す空中駆動型の高分子アクチュエータ素子としての使用に特に好適である。
上記複合膜の金属電極層に両面を挟まれる基材層としては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド、ポリオレフィン、セルロースアセテートなどの多孔質基材(多孔質支持体)が好ましい。なかでも、上記多孔質基材(多孔質支持体)としては、化学的安定性や柔らかさや高分子アクチュエータ素子の繰り返しの駆動における耐久性の観点から、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(多孔質PTFE)などをもちいることが特に好ましい。また空中で駆動させる場合は、電解液を保持している層(多孔質基材層(多孔質支持体層))のイオン導電率が高いことがより好ましく、また、空孔率は可能な限り高い方が好ましい。
また、金属電極層としては、金、白金、銅、ニッケルなどを用いることができるが、なかでも金、白金などが好ましい。
また、特にバイモルフ型の高分子アクチュエータ素子では、上記導電性高分子を金属電極層上に重合して強固に一体化させることが、より長期の駆動性能保持の観点からも好ましい。
上記高分子アクチュエータ素子において、上記導電性高分子の厚みは0.01〜10μmであることが好ましく、0.1〜2μmであることがより好ましい。
また、上記高分子アクチュエータ素子の厚みは0.5〜50μmであることが好ましく、1〜30μmであることがより好ましい。特に、バイモルフ型の高分子アクチュエータ素子においては、上記高分子アクチュエータ素子の厚みは1〜100μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましい。
本発明における高分子アクチュエータ素子は上述のような構成を有するものである。上記導電性高分子により所望の形状を有する有形物が構成され、上記有形物が上記高分子アクチュエータ素子の全体または一部を構成し、上記有形物が駆動することにより上記高分子アクチュエータ素子が駆動する。上記導電性高分子成の有形物は、その形状が特に限定されるものではなく、膜状、管状、筒状、角柱および繊維状等の形状に成形または成型されたものであってもよいが、上記導電性高分子が電解重合時に作用電極に膜状として得られることから、膜状であることまたは膜状で適用できることが好ましい。また、作用電極上に重合された導電性高分子は、アセトン等の導電性高分子を膨潤させることができる溶媒を用いて作用電極から分離することにより、上記有形物である導電性高分子膜として容易に得ることができる。
(高分子アクチュエータ素子の製造方法)
本発明の高分子アクチュエータ素子の製造方法は、導電性高分子と駆動電解液を含み、前記駆動電解液が常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液である高分子アクチュエータ素子の製造方法であって、
前記導電性高分子を、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物、極性溶媒、および電解質を含む混合溶液に浸漬する第一工程、および、
前記導電性高分子から前記極性溶媒を除去する第二工程、
を含むことを特徴とする。
本発明の高分子アクチュエータ素子の製造方法は、導電性高分子と駆動電解液を含み、前記駆動電解液が常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液である高分子アクチュエータ素子の製造方法であって、
前記導電性高分子を、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物、極性溶媒、および電解質を含む混合溶液に浸漬する第一工程、および、
前記導電性高分子から前記極性溶媒を除去する第二工程、
を含むことを特徴とする。
また、本発明の高分子アクチュエータ素子の製造方法は、多孔質基材の両面にそれぞれ金属電極層を介して前記導電性高分子が配置されている複合膜と駆動電解液を含む高分子アクチュエータ素子の製造方法であって、
前記複合膜を、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物、極性溶媒、および電解質を含む混合溶液に浸漬する第一工程、および、
前記複合膜から前記極性溶媒を除去する第二工程、
を含むことを特徴とする。
前記複合膜を、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物、極性溶媒、および電解質を含む混合溶液に浸漬する第一工程、および、
前記複合膜から前記極性溶媒を除去する第二工程、
を含むことを特徴とする。
従来の高分子アクチュエータ素子における(電解質)駆動電解液においては、電解質の媒体として非イオン性有機化合物、特に非イオン性高分子化合物が用いられることは皆無であった。これは非イオン性有機化合物を媒体(電解質媒体)として用いることにより、導電性高分子との親和性が低いことや、さらには高分子化合物の分子鎖が高分子に絡まってしまうことや、媒体が高分子量体にすることによりイオンなどの電解質の動きを阻害してしまうことなどのためである。さらには、導電性高分子等へ非極性化合物を充填すること自体が困難であった。しかしながら、本発明においては、上記非イオン性有機化合物を含む高分子アクチュエータ素子を用いることにより、上述のような駆動電解液を用いることにより、常温常圧の開放系において優れた伸縮率と応答速度を示す高分子アクチュエータ素子となることを見出したものである。
より具体的には、たとえば、前記導電性高分子または前記複合膜を、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物、極性溶媒、および電解質を含む混合溶液に浸漬する第一工程と、前記導電性高分子または前記複合膜から前記極性溶媒を除去する第二工程とを含む駆動電解液の充填方法を用いることにより、本発明の高分子アクチュエータ素子を製造することができる。なお、上記極性溶媒が常温常圧下で経時的に揮発しにくい溶媒である場合は、前記極性溶媒を除去する第二工程を含まなくてもよい。
上記非イオン性有機化合物と混合する極性溶媒は特に限定されないが、充填後、加熱処理等により選択的に揮発可能な溶媒が好ましい。上記水等の溶媒が揮発後も上記非イオン性有機化合物が電解質中の溶媒として残存して電解質媒として機能しうることから、常温常圧の開放系に長時間放置してもその後も初期の屈曲量または変位量とほぼ同等を示すことができると推測される。
上記混合溶液中において極性溶媒が3〜50重量%であることが好ましく、10〜40重量%含まれることがより好ましく、20〜35重量%含まれることがさらに好ましい。また、上記非極性化合物の粘性が水やアセトニトリルに対して1桁以上高いため、高分子アクチュエータ素子膜(上記複合膜)への浸透、膨潤時間を短縮することを目的に特に水やアセトニトリルなどの上記極性溶媒を10〜50重量%の混合溶液とすることが好ましい。
上記混合溶液に用いる極性溶媒としては、たとえば、水、アセトニトリル、低級アルコール、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどがあげられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、前記導電性高分子または前記複合膜から前記極性溶媒を除去する第二工程としては、前記極性溶媒を選択的に除去できる処理であれば特に限定されず、加熱処理、風乾処理、減圧処理等またはこれらの組み合わせなどの手法をあげることができる。
本発明の高分子アクチュエータ素子の製造方法は上述のような駆動電解質の充填方法を含む工程を有するため、従来困難であった非イオン性有機化合物を含む駆動電解液を効率よく簡便に充填することができ、その結果、伸縮率と応答速度に優れた高分子アクチュエータ素子を簡便に製造することができる。
(駆動条件)
本発明の高分子アクチュエータ素子の駆動方法は、上述のいずれかの高分子アクチュエータ素子の金属電極間に電圧を印加する工程を含むことを特徴とする。
本発明の高分子アクチュエータ素子の駆動方法は、上述のいずれかの高分子アクチュエータ素子の金属電極間に電圧を印加する工程を含むことを特徴とする。
本発明の高分子アクチュエータ素子の駆動方法において、上記駆動電解液の温度は特に限定されるものではないが、上記の導電性高分子をより速い速度で電解伸縮させるために、10〜100℃であることが好ましく、20〜60℃であることがさらに好ましい。
また、上記駆動電解液中のアニオンの濃度も特に限定されるものではないが、0.1〜5.0mol dm−3であることが好ましく、大きな伸縮率が得られ、安定して駆動することができる。
また上記駆動方法においては、特に多孔質基材の両面にそれぞれ金属電極層を介して前記導電性高分子が配置されている複合膜を備えるバイモルフ型高分子アクチュエータ素子として用いることが、より効率よく簡便に駆動性能を利用できるので好ましい。
また、上記高分子アクチュエータ素子の駆動における上記電圧は特に限定されるものではないが、その厚みが0.01mm〜1mm程度である場合には、通常印加電圧(V)の絶対値が0.2〜5Vであることができるが、0.5〜3Vであることが好ましく、0.5〜1.5Vであることがより好ましい。なお、本発明の高分子アクチュエータ素子を用いることにより、従来と同一の駆動性能を発揮させる場合においても、従来よりも駆動電圧をより低く設定して駆動させることができる。
また、本発明の高分子アクチュエータ素子を用いることにより、たとえばバイモルフ型として左右に往復する等の連続的な変位運動をさせる場合には、上記高分子アクチュエータ素子の1酸化還元サイクル当たりの振幅が素子長の50%以上とすることができる。
また、上記高分子アクチュエータ素子を用いることにより、たとえばバイモルフ型として左右に往復する等の連続的な変位運動をさせる場合には、0.1〜400Hz周期で各電極に反対電圧が印加されるようにすることができ、0.2〜300Hz周期であることが好ましく、0.5〜200Hzであることがより好ましい。特に、本発明の高分子アクチュエータ素子を用いることにより、これまで例がなかった100Hz以上もの大きな応答周波数に対しても応答駆動させることが可能となった。さらには、本願の高分子アクチュエータ素子は、300Hz程度であっても素子長の6%以上の大きな変位や変形が可能となるものである。
(用途)
本発明の高分子アクチュエータ素子は、人工筋肉、ロボットアーム、パワードスーツ、義手および義足に好適に使用することができる。また、本発明の高分子アクチュエータ素子を、マイクロサージェリー技術におけるピンセット、ハサミ、鉗子、スネア、レーザメス、スパチュラ、クリップなどの医療器具、検査や補修等を行う各種センサーもしくは補修用工具など、健康器具、湿度計、湿度計コントロール装置、ソフトマニュピュレーター、水中バルブ、ソフト運搬装置などの工業用機器、金魚などの水中モービル、または動く釣り餌や推進ヒレなどのホビー用品などの水中で用いられる物品に好適に使用することができる。
本発明の高分子アクチュエータ素子は、人工筋肉、ロボットアーム、パワードスーツ、義手および義足に好適に使用することができる。また、本発明の高分子アクチュエータ素子を、マイクロサージェリー技術におけるピンセット、ハサミ、鉗子、スネア、レーザメス、スパチュラ、クリップなどの医療器具、検査や補修等を行う各種センサーもしくは補修用工具など、健康器具、湿度計、湿度計コントロール装置、ソフトマニュピュレーター、水中バルブ、ソフト運搬装置などの工業用機器、金魚などの水中モービル、または動く釣り餌や推進ヒレなどのホビー用品などの水中で用いられる物品に好適に使用することができる。
より具体的には、上記高分子アクチュエータ素子は、OA機器、アンテナ、ベッドや椅子等の人を乗せる装置、医療機器、エンジン、光学機器、固定具、サイドトリマ、車両、昇降器械、食品加工装置、清掃装置、測定機器、検査機器、制御機器、工作機械、加工機械、電子機器、電子顕微鏡、電気かみそり、電動歯ブラシ、マニピュレータ、マスト、遊戯装置、アミューズメント機器、乗車用シミュレーション装置、車両乗員の押さえ装置および航空機用付属装備展張装置、OA機器や測定機器等の上記機器等を含む機械全般に用いられる弁、ブレーキおよびロック装置において、直線的な駆動力を発生する駆動部もしくは円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部、または直線的な動作もしくは曲線的な動作をする押圧部として好適に用いることができる。また、上記高分子アクチュエータ素子は、上記の装置、機器、器械等以外においても、機械機器類全般において、位置決め装置の駆動部、姿勢制御装置の駆動部、昇降装置の駆動部、搬送装置の駆動部、移動装置の駆動部、量や方向等の調節装置の駆動部、軸等の調整装置の駆動部、誘導装置の駆動部、および押圧装置の押圧部において、直線的な駆動力を発生する駆動部もしくは円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部、または直線的な動作もしくは曲線的な動作をする押圧部として好適に用いることができる。また、上記高分子アクチュエータ素子は、関節装置における駆動部として、関節中間部材等の直接駆動可能な関節部または関節に回転運動を与える駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、CAD用プリンター等のインクジェットプリンターにおけるインクジェット部分の駆動部、プリンターの上記光ビームの光軸方向を変位させる駆動部、外部記憶装置等のディスクドライブ装置のヘッド駆動部、ならびに、プリンター、複写機およびファックスを含む画像形成装置の給紙装置における紙の押圧接触力調整手段の駆動部として好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、電波天文用の周波数共用アンテナ等の高周波数給電部を第2焦点へ移動させるなどの測定部や給電部の移動設置させる駆動機構の駆動部、ならびに、車両搭載圧空作動伸縮マスト(テレスコーピングマスト)等のマストやアンテナにおけるリフト機構の駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、椅子状のマッサージ機のマッサージ部の駆動部、介護用または医療用ベットの駆動部、電動リクライニング椅子の姿勢制御装置の駆動部、マッサージ機や安楽椅子等に用いられるリクライニングチェアのバックレスト・オットマンの起倒動自在にする伸縮ロッドの駆動部、椅子や介護用ベッド等における背もたれやレッグレスト等の人を乗せる家具における可倒式の椅子の背もたれやレッグレスト或いは介護用ベッドの寝台の旋回駆動等に用いられる駆動部、ならびに、起立椅子の姿勢制御のため駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、検査装置の駆動部、体外血液治療装置等に用いられている血圧等の圧力測定装置の駆動部、カテーテル、内視鏡装置や鉗子等の駆動部、超音波を用いた白内障手術装置の駆動部、顎運動装置等の運動装置の駆動部、病弱者用ホイストのシャシの部材を相対的に伸縮させる手段の駆動部、ならびに、介護用ベッドの昇降、移動や姿勢制御等のための駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、エンジン等の振動発生部からフレーム等の振動受部へ伝達される振動を減衰させる防振装置の駆動部、内燃機関の吸排気弁のための動弁装置の駆動部、エンジンの燃料制御装置の駆動部、ならびにディーゼルエンジン等のエンジンの燃料供給装置の駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、手振れ補正機能付き撮像装置の校正装置の駆動部、家庭用ビデオカメラレンズ等のレンズ駆動機構の駆動部、スチルカメラやビデオカメラ等の光学機器の移動レンズ群を駆動する機構の駆動部、カメラのオートフォーカス部の駆動部、カメラ、ビデオカメラ等の撮像装置に用いられるレンズ鏡筒の駆動部、光学望遠鏡の光を取り込むオートガイダの駆動部、立体視カメラや双眼鏡等の2光学系を有する光学装置のレンズ駆動機構または鏡筒の駆動部、光通信、光情報処理や光計測等に用いられるファイバ型波長可変フィルタの波長変換のファイバに圧縮力を与える駆動部もしくは押圧部、光軸合せ装置の駆動部、ならびに、カメラのシャッタ機構の駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、ホース金具をホース本体にカシメ固定する等の固定具の押圧部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、自動車のサスペンションの巻ばね等の駆動部、車両のフューエルフィラーリッドを解錠するフューエルフィラーリッドオープナーの駆動部、ブルドーザーブレードの伸張および引っ込みの駆動の駆動部、自動車用変速機の変速比を自動的に切り替えるためやクラッチを自動的に断接させるための駆動装置の駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、座板昇降装置付車椅子の昇降装置の駆動部、段差解消用昇降機の駆動部、昇降移載装置の駆動部、医療用ベッド、電動ベッド、電動テーブル、電動椅子、介護用ベッド、昇降テーブル、CTスキャナ、トラックのキャビンチルト装置、リフター等や各種昇降機械装置の昇降用の駆動部、ならびに重量物搬送用特殊車両の積み卸し装置の駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、食品加工装置の食材吐出用ノズル装置等の吐出量調整機構の駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、清掃装置の台車や清掃部等の昇降等の駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、面の形状を測定する3次元測定装置の測定部の駆動部、ステージ装置の駆動部、タイヤの動作特性を検知システム等のセンサー部分の駆動部、力センサーの衝撃応答の評価装置の初速を与える装置の駆動部、孔内透水試験装置を含む装置のピストンシリンダのピストン駆動装置の駆動部、集光追尾式発電装置における仰角方向へ動かすための駆動部、気体の濃度測定装置を含む測定装置のサファイアレーザー発振波長切替機構のチューニングミラーの振動装置の駆動部、プリント基板の検査装置や液晶、PDPなどのフラットパネルディスプレイの検査装置においてアライメントを必要とする場合にXYθテーブルの駆動部、電子ビーム(Eビーム)システムまたはフォーカストイオンビーム(FIB)システムなどの荷電粒子ビームシステム等において用いる調節可能なアパーチャー装置の駆動部、平面度測定器における測定対象の支持装置もしくは検出部の駆動部、ならびに、微細デバイスの組立をはじめ、半導体露光装置や半導体検査装置、3次元形状測定装置などの精密位置決め装置の駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、電気かみそりの駆動部、ならびに、電動歯ブラシの駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、三次元物体の撮像デバイス或いはCD、DVD共用の読み出し光学系の焦点深度調整用デバイスの駆動部、複数の高分子アクチュエータ素子によって駆動対象面を能動曲面としてその形状を変形させることによって所望の曲面を近似的に形成して焦点位置を容易に可変できる可変ミラーの駆動部、光ピックアップ等の磁気ヘッドの少なくとも一方を有する移動ユニットを直線移動させることが可能なディスク装置の駆動部、リニアテープストレージシステム等の磁気テープヘッド高分子アクチュエータ素子センブリのヘッド送り機構の駆動部、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリなどに適用される画像形成装置の駆動部、磁気ヘッド部材等の搭載部材の駆動部、集束レンズ群を光軸方向に駆動制御する光ディスク原盤露光装置の駆動部、光ヘッドを駆動するヘッド駆動手段の駆動部、記録媒体に対する情報の記録または記録媒体に記録された情報の再生を行う情報記録再生装置の駆動部、ならびに、回路しゃ断器(配電用回路しゃ断器)の開閉操作の駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、ゴム組成物のプレス成形加硫装置の駆動部、移送される部品について単列・単層化や所定の姿勢への整列をさせる部品整列装置の駆動部、圧縮成形装置の駆動部、溶着装置の保持機構の駆動部、製袋充填包装機の駆動部、マシニングセンタ等の工作機械や射出成形機やプレス機等の成形機械等の駆動部、印刷装置、塗装装置やラッカ吹き付け装置等の流体塗布装置の駆動部、カムシャフト等を製造する製造装置の駆動部、覆工材の吊上げ装置の駆動部、無杼織機における房耳規制体等の駆動装置、タフティング機の針駆動システム、ルーパー駆動システム、およびナイフ駆動システム等の駆動部、カム研削盤や超精密加工部品等の部品の研磨を行う研磨装置の駆動部、織機における綜絖枠の制動装置の駆動部、織機における緯糸挿通のための経糸の開口部を形成する開口装置の駆動部、半導体基板等の保護シート剥離装置の駆動部、通糸装置の駆動部、CRT用電子銃の組立装置の駆動部、衣料用縁飾り、テーブルクロスやシートカバー等に用途をもつトーションレースを製造するためのトーションレース機におけるシフターフォーク駆動選択リニア制御装置の駆動部、アニールウィンドウ駆動装置の水平移動機構の駆動部、ガラス溶融窯フォアハースの支持アームの駆動部、カラー受像管の蛍光面形成方法等の露光装置のラックを進退動させる駆動部、ボールボンディング装置のトーチアームの駆動部、ボンディングヘッドのXY方向への駆動部、チップ部品のマウントやプローブを使った測定などにおける部品の実装工程や測定検査工程の駆動部、基板洗浄装置の洗浄具支持体の昇降駆動部、ガラス基板を走査される検出ヘッドを進退させる駆動部、パターンを基板上に転写する露光装置の位置決め装置の駆動部、精密加工などの分野においけるサブミクロンのオーダで微小位置決め装置の駆動部、ケミカルメカニカルポリシングツールの計測装置の位置決め装置の駆動部、導体回路素子や液晶表示素子等の回路デバイスをリソグラフィ工程で製造する際に用いられる露光装置および走査露光装置に好適なステージ装置の位置決めのための駆動部、ワーク等の搬送または位置決め等の手段の駆動部、レチクルステージやウエハステージ等の位置決めや搬送のための駆動部、チャンバ内の精密位置決めステージ装置の駆動部、ケミカルメカニカルポリシングシステムでのワークピースまたは半導体ウェーハの位置決め装置の駆動部、半導体のステッパー装置の駆動部、加工機械の導入ステーション内に正確に位置決めする装置の駆動部、NC機械やマシニングセンタ等の工作機械等またはIC業界のステッパーに代表される各種機器用のパッシブ除振およびアクティブ除振の除振装置の駆動部、半導体素子や液晶表示素子製造のリソグラフィ工程に使用される露光装置等において光ビーム走査装置の基準格子板を上記光ビームの光軸方向に変位させる駆動部、ならびに、コンベヤの横断方向に物品処理ユニット内へ移送する移送装置の駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、電子顕微鏡等の走査プローブ顕微鏡のプローブの位置決め装置の駆動部、ならびに、電子顕微鏡用試料微動装置の位置決め等の駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、自動溶接ロボット、産業用ロボットや介護用ロボットを含むロボットまたはマニピュレータにおけるロボットアームの手首等に代表される関節機構の駆動部、直接駆動型以外の関節の駆動部、ロボットの指のそのもの、ロボット等のハンドとして使用されるスライド開閉式チャック装置の運動変換機構の駆動部、細胞微小操作や微小部品の組立作業等において微小な対象物を任意の状態に操作するためのマイクロマニピュレータの駆動部、開閉可能な複数のフィンガーを有する電動義手等の義肢の駆動部、ハンドリング用ロボットの駆動部、補装具の駆動部、ならびにパワースーツの駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、サイドトリマの上回転刃または下回転刃等を押圧する装置の押圧部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、パチンコ等の遊戯装置における役物等の駆動部、人形やペットロボット等のアミューズメント機器の駆動部、ならびに、乗車用シミュレーション装置のシミュレーション装置の駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、上記機器等を含む機械全般に用いられる弁の駆動部に用いることができ、たとえば、蒸発ヘリウムガスの再液化装置の弁の駆動部、ベローズ式の感圧制御弁の駆動部、綜絖枠を駆動する開口装置の駆動部、真空ゲート弁の駆動部、液圧システム用のソレノイド動作型制御バルブの駆動部、ピボットレバーを用いる運動伝達装置を組み込んだバルブの駆動部、ロケットの可動ノズルのバルブの駆動部、サックバックバルブの駆動部、ならびに、調圧弁部の駆動部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、上記機器等を含む機械全般に用いられるブレーキの押圧部として用いることができ、たとえば、非常用、保安用、停留用等のブレーキやエレベータのブレーキに用いて好適な制動装置の押圧部、ならびに、ブレーキ構造もしくはブレーキシステムの押圧部に好適に用いることができる。
上記高分子アクチュエータ素子は、たとえば、上記機器等を含む機械全般に用いられるロック装置の押圧部として用いることができ、たとえば、機械的ロック装置の押圧部、車両用ステアリングロック装置の押圧部、ならびに、負荷制限機構および結合解除機構を合わせ持つ動力伝達装置の押圧部に好適に用いることができる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
<伸縮率の測定>
下記の方法により作製した高分子アクチュエータ素子の1酸化還元サイクル当たりの伸縮率(%)を測定した。
下記の方法により作製した高分子アクチュエータ素子の1酸化還元サイクル当たりの伸縮率(%)を測定した。
各高分子アクチュエータ素子を長さ15mm、幅2mmの短冊状とし、高分子アクチュエータ素子を動作電極とし、白金プレートを対向電極とし、各電極の端部にリードを接続し、各電極を上記電解液中に保持しながら、リードを介して電源と接続して、各周波数(Hz)における電位(−0.7〜+0.7V v.s. Ag/Ag+)を1サイクル印加して変位量(変位した長さ)を測定した。動作電極が1サイクルの印加(1酸化還元サイクル)で伸長と収縮とをすることにより得られた変位の差を、動作電極の元の長さで割ることにより、1酸化還元サイクル当たりの伸縮率(%)を求めた。
<変位角の測定>
下記の方法により作製した高分子アクチュエータ素子の変位角(°)を測定した。
下記の方法により作製した高分子アクチュエータ素子の変位角(°)を測定した。
作製した各高分子アクチュエータ素子について、一方の端部から2mm内側の位置において、一対の金属電極のそれぞれに通電できるように、白金端子にて高分子アクチュエータ素子の厚さ方向に挟み、膜面が重力方向と平行になるように握持した。
次に、ポテンショスタット(ボテンショ・ガルバノスタット HA−151、北斗電工社製)およびマルチファンクションジェネレータ(エヌエフ回路設計ブロック社製、ウェーブファクトリーWF1946)を用いて一対の金属電極の一方が正極、もう一方が負極となるようにして、±0.5Vの正弦波電圧を印加し、次いで0.5Hz周期で各金属電極に反対電圧が印加されるように電圧を印加し左右に往復する変位運動をさせた。
この往復変位運動における屈曲ないし変位した状態での高分子アクチュエータ素子の先端の変位凸面の接線方向と重力方向とのなす角を、室温にて、右側変位、左側変位とも測定し、これを平均して変位角とした。
<応答周波数の測定>
下記の方法により作製した高分子アクチュエータ素子の応答周波数(Hz)を測定した。
下記の方法により作製した高分子アクチュエータ素子の応答周波数(Hz)を測定した。
クリップで保持した部分から3mmの位置の挙動をレーザー変位計(キーエンス社製、LC−4000)で観察し、測定を行った。なお目視による評価については、外乱の影響を受けないようにガラスセル中に短冊状に切り出した(幅:2mm、測定長:15mm)バイモルフ素子を固定し、評価を行った。
〔実施例1〕
多孔質基材としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターフィルム(孔径15μm、フロン工業社製)、親水性PTFEメンブレンフィルター(厚さ29μm、空孔率60%、ジャパンゴアテックス社製)、親水性PTFEメンブレンフィルター(厚さ35μm、空孔率83%、アドバンテック東洋社製)、紙不織布セパレータ(TF−40、ニッポン高度紙社製)、を使用した。また、実施例2以降については、親水性PTFEメンブレンフィルター(厚さ35μm、空孔率83%、アドバンテック東洋社製)を使用した。
多孔質基材としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターフィルム(孔径15μm、フロン工業社製)、親水性PTFEメンブレンフィルター(厚さ29μm、空孔率60%、ジャパンゴアテックス社製)、親水性PTFEメンブレンフィルター(厚さ35μm、空孔率83%、アドバンテック東洋社製)、紙不織布セパレータ(TF−40、ニッポン高度紙社製)、を使用した。また、実施例2以降については、親水性PTFEメンブレンフィルター(厚さ35μm、空孔率83%、アドバンテック東洋社製)を使用した。
図1に示すように、はじめに、多孔質基材(基材層10)の両面にスパッタリングで約0.1μmのAu層12を構築した。これを作用極として用い、電解重合方法(条件:ピロール、0.1mol/l、0℃)により、TBACF3SO3の安息香酸メチル溶液中にて0.2mA cm−2の電流密度で4時間定電流電解重合を行った。電解重合後アセトンで洗浄し、室内で乾燥させ、多孔質基材とPPy−CF3SO3 −14が複合化された、[PPy−CF3SO3 −−Au−多孔質基材−Au−PPy−CF3SO3 −]の5層構造からなるPPyバイモルフ素子を得た。このとき複合化されたPPy−CF3SO3 −層の厚みは10〜15μmであった。また空中駆動に用いるバイモルフ素子は、電解重合時間を調整してPPy−CF3SO3 −層14が約5μmのものを調製し用いた。
表1に示すように、バイモルフタイプのアクチュエータにおいて、溶液中および空気中での動作特性を検討した。電解伸縮させる電解液にはアセトニトリル(1MのLiTFSI(ジトリフルオロメタンスルフォニルイミドのリチウム塩)を含有)溶液を用いた。空気中での評価は、グリセロールカーボネート(1MのLiTFSI(ジトリフルオロメタンスルフォニルイミドのリチウム塩)を含有)溶液中で駆動後、電解液から引き上げて表面の電解液を拭ったものを用いた。
親水性PTFEメンブレンフィルターを基材に用いたものは、PPy−CF3SO3 −、PPy−TFSI−のどちらと複合化したアクチュエータにおいても、PPy層の基材からの剥離は30,000回の駆動後も発生せず、電解液中、空気中共に安定した変形を示した。一方、紙不織布セパレータを用いたものは電解液中、空気中共に動作可能であったが、しかし繰り返し動作を行ったところ、基材の不織布が破けてしまった。
また、得られたPPy−CF3SO3 −のバイモルフ素子の断面写真を図2に示す。親水性PTFEメンブレンフィルターの表面に構成されたAu層を作用極として電解重合されたPPy−CF3SO3 −は、多孔質体である親水性PTFEメンブレンフィルター表面を覆うように重合されている。PTFE−MFとPPy−CF3SO3 −は強固に一体化され、長期にわたって剥離を起こさず安定した駆動が得られている。バイモルフ素子の表面のSEM写真を図3に示すが、得られたPPy−CF3SO3 −の表面は若干の凹凸を持った形状をしていた。複合化されたPPy−CF3SO3 −の厚みは、親水性PTFEメンブレンフィルターと複合化した層が出来ているため正確な測定が困難であるが、得られたバイモルフ素子の厚みをマイクロメーターで測定し、親水性PTFEメンブレンフィルターの厚みを除して計算したところ、10〜15μm程度であった。なお、図2において、(a)PPy−CF3SO3 −層、(b)Au層、(c)PTFEを示す。
〔実施例2〕
図4に空中駆動型PPy−CF3SO3 −バイモルフアクチュエータの周波数に対する振幅挙動を示す。駆動電解液に高沸点有機溶媒であるグリセロールカーボネートを使用している。1.5Vの電圧印加を0.5Hzの周波数で印加したところ、1.95mm幅の振幅を示した。周波数を高くしていくとその振幅幅は減少していく。このアクチュエータは10Hzで0.67mm、100Hzで0.12mmの振幅挙動を示した。200Hz近辺では振幅幅が若干向上し、0.25mmの振幅挙動を示した。このバイモルフアクチュエータは300Hz以上の周波数にも応答を示し、従来の導電性高分子アクチュエータの性能を大幅に向上した周波数応答性を示した(印加電圧:±1.5V、測定位置:固定部から4mmの位置)。
図4に空中駆動型PPy−CF3SO3 −バイモルフアクチュエータの周波数に対する振幅挙動を示す。駆動電解液に高沸点有機溶媒であるグリセロールカーボネートを使用している。1.5Vの電圧印加を0.5Hzの周波数で印加したところ、1.95mm幅の振幅を示した。周波数を高くしていくとその振幅幅は減少していく。このアクチュエータは10Hzで0.67mm、100Hzで0.12mmの振幅挙動を示した。200Hz近辺では振幅幅が若干向上し、0.25mmの振幅挙動を示した。このバイモルフアクチュエータは300Hz以上の周波数にも応答を示し、従来の導電性高分子アクチュエータの性能を大幅に向上した周波数応答性を示した(印加電圧:±1.5V、測定位置:固定部から4mmの位置)。
さらには、動作電解液に高沸点有機溶媒であるグリセロールカーボネートを使用しているため、バイモルフ素子中に含浸された電解液が蒸発しにくく、長期にわたって空気中での使用が可能となった。電解液を含浸する処理を行った後、常温下で約1ヶ月保管したバイモルフ素子は、処理直後に測定した周波数応答性とほぼ同等の性能を維持していた。
〔実施例3〕
分子量200のポリエチレングリコール(和光純薬社製)をビーカーに入れ、ジトリフルオロメタンスルフォニルイミドのリチウム塩(LiTFSI)を固体粉末のまま、濃度が1M、100mM、10mM、1mMになるように所定量を加えて室温で攪拌し、各濃度の溶解液を電解液とした。
分子量200のポリエチレングリコール(和光純薬社製)をビーカーに入れ、ジトリフルオロメタンスルフォニルイミドのリチウム塩(LiTFSI)を固体粉末のまま、濃度が1M、100mM、10mM、1mMになるように所定量を加えて室温で攪拌し、各濃度の溶解液を電解液とした。
この電解液に実施例2と同様にPPy−CF3SO3 −バイモルフ素子を室温で2日間浸漬した後に各溶液中で駆動後電解液から引き上げて表面の電解液を拭った。
次に、各アクチュエータを1.5Vの印加電圧のもとで0.5Hzの矩形波駆動を行なって、実施例2と同様な処方でその振幅を測定したところ、電解質濃度の低下に伴ってその振幅は1.8mm、1.5mm、0.5mm、0.1mmと低下した。常温下、湿度フリーで1週間放置した後に同様な駆動と振幅評価を行なったところ、4個の各アクチュエータは±10%の範囲内の偏差で振幅が一致した。
〔実施例4〕
ポリエチレングリコールモノラウレートとグリセロールカーボネートを体積比で1/1になるように混合してからこの混合液と等量のアセトニトリル液(1MのLiTFSIを含む)に溶解させ、実施例2と同様にPPy−CF3SO3 −バイモルフ素子を40℃で5時間浸漬した後で溶液中で駆動後電解液から引き上げて表面の電解液を拭いアクチュエータを得た。
ポリエチレングリコールモノラウレートとグリセロールカーボネートを体積比で1/1になるように混合してからこの混合液と等量のアセトニトリル液(1MのLiTFSIを含む)に溶解させ、実施例2と同様にPPy−CF3SO3 −バイモルフ素子を40℃で5時間浸漬した後で溶液中で駆動後電解液から引き上げて表面の電解液を拭いアクチュエータを得た。
このアクチュエータを室温で20Hz程度で共振するような大きさ(2mm幅×10mm長さ)にカットし、1.5Vの正弦波駆動を行なったところ、電圧印加時間が24時間を経過してもその振幅の減衰量は5%以内に止まった。
〔実施例5〕
分子量200のポリエチレングリコールとイオン流体(イオン性液体)としてのスルフォイミド塩(N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド)の1/1体積比混合液を等量のアセトニトリル液に溶解させ、実施例2と同様にPPy−CF3SO3 −バイモルフ素子を40℃で5時間浸漬した後で溶液中で駆動後電解液から引き上げて表面の電解液を拭いアクチュエータを得た。
分子量200のポリエチレングリコールとイオン流体(イオン性液体)としてのスルフォイミド塩(N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド)の1/1体積比混合液を等量のアセトニトリル液に溶解させ、実施例2と同様にPPy−CF3SO3 −バイモルフ素子を40℃で5時間浸漬した後で溶液中で駆動後電解液から引き上げて表面の電解液を拭いアクチュエータを得た。
このアクチュエータを20Hz程度で共振するような大きさ(2mm幅×10mm長さ)にカットした後に恒温槽に入れ、槽内を湿度フリーの下で−10℃に維持しつつ、1.5Vの正弦波駆動を行なったところその振幅量は室温(25℃)時の約30%を保ちつづけたことから、極低温下での実用に供されることが判明した。
10 基材層
12 金属電極層
14 導電性高分子
12 金属電極層
14 導電性高分子
Claims (15)
- 導電性高分子と駆動電解液を含む高分子アクチュエータ素子であって、
前記駆動電解液が、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液であることを特徴とする高分子アクチュエータ素子。 - 多孔質基材の両面にそれぞれ金属電極層を介して前記導電性高分子が配置されている複合膜を備える請求項1に記載の高分子アクチュエータ素子。
- 前記多孔質基材が多孔質ポリテトラフルオロエチレンである請求項1または2に記載の高分子アクチュエータ素子。
- 前記非イオン性有機化合物が沸点もしくは分解温度が180℃以上である有機化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子。
- 前記非イオン性有機化合物がポリエーテル化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子。
- 前記駆動電解液中にさらにイオン性液体を含む請求項1〜5のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子。
- 前記イオン性液体が、
テトラアルキルアンモニウムイオン、ジアルキルイミダゾリウムイオン、トリアルキルイミダゾリウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリジニウムイオン、およびピペリジニウムイオンからなる群より少なくとも一種選ばれたカチオンと、
PF6 −、BF4 −、AlCl4 −、ClO4 −、および下記式(I)で示されるスルホニウムイミドアニオンからなる群より少なくとも一種選ばれたアニオンとの組合せからなる塩を含む請求項6に記載の高分子アクチュエータ素子。
(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)N− (I)
〔上記式(1)において、mおよびnは任意の整数。〕 - 前記導電性高分子が分子鎖にピロールおよび/またはピロール誘導体を含む請求項1〜7のいずれかに記載のアクチュエータ素子。
- 前記導電性高分子が、下記式(1)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンがドープされた膜状導電性高分子である請求項1〜8のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子。
(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)N− (1)
〔上記式(1)において、mおよびnは任意の整数。〕 - 前記導電性高分子が、下記式(2)で表されるパーフルオロアルキルスルホニルメチドイオンがドープされた膜状導電性高分子である請求項1〜8のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子。
(ClF(2l+1)SO2)(CmF(2m+1)SO2)(CnF(2n+1)SO2)C− (2)
〔上記式(2)において、l、mおよびnは任意の整数。〕 - 前記導電性高分子の1酸化還元サイクル当たりの伸縮率が5%以上である請求項1〜10のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子。
- 前記高分子アクチュエータ素子の応答周波数が100Hz以上である請求項1〜11のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子。
- 導電性高分子と駆動電解液を含み、前記駆動電解液が常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物を含む溶液である高分子アクチュエータ素子の製造方法であって、
前記導電性高分子を、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物、極性溶媒、および電解質を含む混合溶液に浸漬する第一工程、および、
前記導電性高分子から前記極性溶媒を除去する第二工程、
を含むことを特徴とする高分子アクチュエータ素子の製造方法。 - 多孔質基材の両面にそれぞれ金属電極層を介して前記導電性高分子が配置されている複合膜と駆動電解液を含む高分子アクチュエータ素子の製造方法であって、
前記複合膜を、常温常圧下で液状の非イオン性有機化合物、極性溶媒、および電解質を含む混合溶液に浸漬する第一工程、および、
前記複合膜から前記極性溶媒を除去する第二工程、
を含むことを特徴とする高分子アクチュエータ素子の製造方法。 - 請求項1〜12のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子の金属電極間に電圧を印加する工程を含む高分子アクチュエータ素子の駆動方法。
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