JP2011087387A - 高分子アクチュエータ素子及びこれを用いた高分子センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】低湿度で、常温常圧もしくは0℃以下の開放系(被覆なしでも)であっても、アクチュエータ素子の変位量・変形量の経時による変化が生じにくく、長期間駆動させることができ、耐久性に優れた高分子アクチュエータ素子、及び、これを用いた高分子センサを提供する。
【解決手段】金属電極、イオン交換樹脂、及び、電解液から形成される高分子アクチュエータ素子であって、前記金属電極が、対を形成し、前記金属電極が、前記イオン交換樹脂と接し、前記電解液が、少なくとも、常温常圧下で液状のポリエーテル化合物、及び、親水性高分子電解質を含有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、高分子アクチュエータ素子及びこれを用いた高分子センサに関する。
従来の高分子アクチュエータ素子としては、イオン交換樹脂成形品と上記イオン交換樹脂成形品の表面に相互に絶縁状態で形成された金属電極とを備え、上記イオン交換樹脂成形品の含水状態において、上記金属電極間に電位差を設けて、イオン交換樹脂成形品に変位や変形を生じさせることにより、アクチュエータ素子として機能する高分子アクチュエータ素子が提供されている(たとえば、特許文献1参照)。
これらの高分子アクチュエータ素子は軽量であってかつ柔軟であることから、カテーテル等の医療用デバイスの導入部等として好適に用いることが期待されている。また、上記高分子アクチュエータ素子は軽量でかつ構成が簡単であることから、種々の駆動装置や押圧装置としての応用が期待される。
上記高分子アクチュエータ素子は、ナトリウムイオンや4級アンモニウムイオンなどのイオンを含む水溶液中では、一対の金属電極に電圧を印加することにより大きな変位ないし変形を長期間維持することも可能である。
しかし、水溶液中から上記高分子アクチュエータ素子を取り出し、空気中に上記高分子アクチュエータ素子を設置した状態では、電解質媒体としての水が経時で蒸発してしまうため、経時的に電荷のキャリアであるイオンの移動を生じなくなってしまう。このように、水や水溶液を電解質媒体として用いている上記高分子アクチュエータ素子では、被覆無しに空気に曝した状態では初期の駆動(変位量)を1時間も維持することができないことが判明した。
また、上記高分子アクチュエータ素子を、可撓性を有する高分子(樹脂)で被覆して素子からの水の蒸発を防止した場合であっても、上記高分子アクチュエータ素子の駆動などにより被覆層にひびやワレなどが生じると、水が上記高分子アクチュエータ素子から経時で蒸発してしまう。そのため、上記高分子アクチュエータ素子は、被覆層を設けない場合には常温常圧の開放系では20分程度しか初期の駆動性能を維持することができず、被覆層を設けた場合であっても、反復駆動させることなどにより被覆層のひびやワレの発生により数時間程度で初期の駆動性能から大きく低下してしまうことが判明した。このため、上記高分子アクチュエータ素子を被覆した場合であっても、駆動に際しては被覆樹脂のひびやワレが無いことを確認しながら駆動させなければならず、特に長期間用いる用途には特に大きな問題となる。さらには、従来の水媒体系の高分子アクチュエータ素子では水の凝固点以下での使用が困難となる問題もあった。
このような中で、水溶液に代えて、常温常圧下で蒸発しない有機溶媒を使用することも考えられる。しかし、有機溶媒を使用した場合であっても、低温低湿下では、空気中の水分量が少ないことに加えて、一定印加電圧の下で、高分子アクチュエータ素子に流れる電流値が減少してしまう傾向にあり、高分子アクチュエータ素子としての変位や変形(屈曲、湾曲、伸縮等を含む)性能が低下してしまうという問題も生じている。
特許第2961125号公報
そこで、本発明の目的は、低湿度で、常温常圧もしくは0℃以下の開放系(被覆なしでも)であっても、アクチュエータ素子の変位量・変形量の経時による変化が生じにくく、長期間駆動させることができ、耐久性に優れた高分子アクチュエータ素子、及び、これを用いた高分子センサを提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため、高分子アクチュエータ素子の構成について鋭意検討した結果、下記の高分子アクチュエータ素子を用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の高分子アクチュエータ素子は、金属電極、イオン交換樹脂、及び、電解液から形成される高分子アクチュエータ素子であって、前記金属電極が、対を形成し、前記金属電極が、前記イオン交換樹脂と接し、前記電解液が、少なくとも、常温常圧下で液状のポリエーテル化合物、及び、親水性高分子電解質を含有することを特徴とする。
本発明の高分子アクチュエータ素子は、前記親水性高分子電解質が、親水性多糖類及び/又はその塩であることが好ましい。
本発明の高分子アクチュエータ素子は、前記親水性多糖類及び/又はその塩が、ヒアルロン酸、フコイダン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、アルギン酸、ペクチン、カルボキシアルキルキチン、キトサン、カルボキシメチルキトサン、及び、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の高分子アクチュエータ素子は、前記電解液が、イオン性液体、アルカリ金属塩、及び、4級アンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明の高分子アクチュエータ素子は、前記イオン交換樹脂が、フッ素系イオン交換樹脂であることが好ましい。
本発明の高分子アクチュエータ素子は、更に、前記電解液に可溶なリチウムイオン置換のフッ素系イオン交換樹脂を含有することが好ましい。
また、本発明の高分子センサは、前記高分子アクチュエータ素子を用いることが好ましい。
本発明の高分子アクチュエータ素子は、金属電極、イオン交換樹脂、及び、電解液から形成され、前記電解液中に常温常圧下で液状のポリエーテル化合物を含むことによって、常温常圧もしくは0℃以下の開放系(たとえば、大気中、被覆なし)でも、上記イオン交換樹脂中の溶液(溶媒)の蒸発がほとんどないため、アクチュエータ素子の変位量・変形量の経時による変化が生じにくく、長期間の駆動に好適であり、更に、親水性高分子電解質を含有することにより、上記イオン交換樹脂中の溶液(溶媒)をアクチュエータ素子内に保持する能力が向上し、たとえば、25%RH以下の低湿度で、常温常圧もしくは0℃以下の開放系であっても、長期間駆動することができるという優れた高分子アクチュエータ素子を得ることができ、好適である。また、前記高分子アクチュエータ素子は、その金属電極間に印加することにより、変位や変形(屈曲、湾曲、伸縮等を含む)を生じさせることで、アクチュエータとして機能させるものであるが、更に、前記高分子アクチュエータ素子に外力を作用(湾曲や屈曲、変形など)させることで、起電力が生じるなどの特性に基づき、高分子センサ(例えば、湿度センサ、荷重センサ、曲げなどの変位角度センサ、加速度センサなど)としても利用することもでき、有用である。
高分子センサ素子の電極間に発生する起電力の測定装置の概念図。 高分子センサ素子に荷重をかけた際に発生する起電力と荷重の関係。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の高分子アクチュエータ素子は、金属電極、イオン交換樹脂、及び、電解液から形成される高分子アクチュエータ素子であって、前記金属電極が、対を形成し、前記金属電極が、前記イオン交換樹脂と接し、前記電解液が、少なくとも、常温常圧下で液状のポリエーテル化合物、及び、親水性高分子電解質を含有することを特徴とする。
本発明の高分子アクチュエータ素子の製造方法としては、特に限定されないが、たとえば、イオン交換樹脂を膨潤させることができる溶媒や溶液(特に良溶媒と呼ばれるものを用いることが好ましい)など用いて膨潤させ、この膨潤状態において、無電解メッキ法により、前記イオン交換樹脂界面に金属電極を形成し、更に得られたイオン交換樹脂と金属電極からなる金属−イオン交換樹脂接合体の内部に電解液を充填して、膨潤させることにより、本発明の高分子アクチュエータ素子を得ることができる。その具体的な製造方法については、以下に説明する。
本発明の高分子アクチュエータ素子に用いられるイオン交換樹脂としては、特に限定されるものではなく、公知のフッ素系イオン交換樹脂や、炭化水素系イオン交換樹脂などを用いることができ、前記フッ素系イオン交換樹脂や、前記炭化水素系イオン交換樹脂を用いることが、より好ましい態様である。
前記フッ素系イオン交換樹脂として、たとえば、陽イオン交換樹脂を用いる場合には、フッ素系樹脂や、炭化水素系イオン交換樹脂に、スルホン酸基、カルボキシル基などの親水性官能基を導入したものを用いることができる。このような樹脂としては、たとえばパーフルオロスルホン酸樹脂(商品名「Nafion」、DuPont社製)、パーフルオロカルボン酸樹脂(商品名「フレミオン」、旭硝子社製)、ACIPLEX(旭化成工業社製)、NEPTON(IONICS)、NEOSEPTA(トクヤマ社製)、SELEMION(旭硝子製)などを用いることができる。上記イオン交換樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を併せて使用してもよいが、前記イオン交換樹脂として、フッ素系イオン交換樹脂を使用することがより好ましい態様である。
上記イオン交換樹脂を溶媒や溶液などを用いて膨潤させた際の厚みとしては、通常0.01〜10mmのものが用いられ、0.02〜5mmであることがより好ましく、0.05〜1mmであることがさらに好ましい。
本発明の高分子アクチュエータ素子に用いられる上記電解液中には、常温常圧下で液状のポリエーテル化合物を含むことによって、常温常圧もしくは0℃以下の開放系(被覆なしでも)でも、上記電解液の蒸発がほとんどないため、電解液に主として水を使用する場合に比べて、アクチュエータ素子の変位量・変形量の経時による変化が生じにくく、長期間の駆動に好適である。前記ポリエーテル化合物を使用することにより、水のように電気分解を生じないため、高分子アクチュエータ素子を駆動させるために、3.0Vより高い特定の電圧を金属電極に印加しても、気泡を発生することがなく、更に、外気の湿度に大きな影響を受けることもないため、長期間、初期の変位量や変形(屈曲、湾曲、伸縮等を含む)量を維持することができる。このような特性を発現する詳細な理由は明らかではないが、ポリエーテル化合物の有する吸水性・吸湿性や、拡散性、粘度、電解液中に含まれる塩のイオン解離のしやすさ、誘電率などがバランスよく作用することによるものと推測される。
上記ポリエーテル化合物は、常温常圧下で液状であれば、特に限定されるものではないが、溶媒としての機能も有することが好ましく、また、電荷のキャリアとなるイオンを含む塩の溶媒となることができるポリエーテル化合物、または電荷のキャリアとなることができるポリエーテル化合物であることが好ましい。また、本発明においては、上記ポリエーテル化合物の凝固点または軟化点が0℃以下であることが好ましい。これらのポリエーテル化合物を用いることにより、特に外気が0℃以下の場合でも、より確実に長期間駆動することができるものとなる。これらのポリエーテル化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
上記ポリエーテル化合物としては、アルキレンオキシド(オキシアルキレン)ユニットなどのエーテル構造を繰り返し単位として有する化合物であれば、特に限定されるものではないが、なかでも、エチレンオキシド(オキシエチレン)ユニットやプロピレンオキシド(オキシプロピレン)などを繰り返し単位として有する化合物であることがより好ましい。
上記ポリエーテル化合物としては、アルキレンオキシド(オキシアルキレン)ユニットなどのオキシアルキレン単位の付加モル数(繰り返し単位数)を3単位以上繰り返す構造を有するものがあげられ、これらを直線状または分岐状に高分子量化したホモポリマーおよびコポリマー、ならびにこれらの高分子構造を含む化合物およびこれらの類縁体やエーテル型界面活性剤、エーテル型可塑剤があげられる。また、前記ポリエーテル化合物のオキシアルキレン単位の付加モル数(繰り返し単位数)としては、電解液中に含まれるイオンとの相互作用の観点から、3〜100がより好ましく、3〜30が更に好ましく、3〜10が特に好ましい。オキシアルキレン単位の付加モル数が3未満であると、電解質中の媒体の揮発性が大きくなることや、吸水性・吸湿性が低下することなどから、経時による駆動性能の維持が困難となる場合がある。
また、上記ポリエーテル化合物の分子量としては、常温常圧下で液状であれば特に限定されないが、数平均分子量が1000以下のものが好適に用いられ、150〜600のものがより好適に用いられる。数平均分子量が1000を超えると、常温常圧下で固化してしまう場合があり好ましくない。数平均分子量はGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
より具体的には、上記ポリエーテル化合物としては、たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールのブロック共重合体、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールのブロック共重合体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールのブロック共重合体、ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールのランダム共重合体などをあげることができる。また、グリコール鎖の末端は、水酸基のままであっても、アルキル基、フェニル基などで置換されていてもよい。また、その他には、ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサエート、トリプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ポリエーテルオールのエステル化合物、およびこれらの類縁体があげられる。なかでも特に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、および/またはそれらの類縁化合物などを用いることが好ましい。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
上記電解液中のポリエーテル化合物の配合量としては、電解液全量100重量部に対して、0.01〜30重量部であることが好ましく、0.05〜25重量部であることがより好ましく、0.1〜20重量部であることがさらに好ましい。0.01重量部未満であると十分な耐久性が得られず、10重量部を超えると上記ポリエーテル化合物がブリードする場合がある。
本発明の高分子アクチュエータ素子に用いられる電解液には、親水性高分子電解質を含有させるが、特に限定されるものではないが、具体的には、親水性高分子電解質として、親水性多糖類及び/又はその塩であることが好ましく、前記親水性多糖類及び/又はその塩が、ヒアルロン酸、フコイダン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、アルギン酸、ペクチン、カルボキシアルキルキチン、キトサン、カルボキシメチルキトサン、及び、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、ヒアルロン酸やフコイダンの塩を用いることが特に好ましい。前記親水性高分子電解質を用いることにより、たとえば、25%RH以下の低湿度で、常温常圧もしくは0℃以下の開放系(大気中)であっても、長期間駆動することができ、耐久性に優れた高分子アクチュエータ素子を得ることができる。このような特性を発揮する詳細な理由は明らかではないが、前記親水性高分子電解質が、その構造中にヒドロキシル基やカルボキシル基等を有するため、電解液中に含まれるポリエーテル化合物や、溶媒などと水素結合を形成し、これらを高分子アクチュエータ(金属−イオン交換樹脂接合体)内部に前記溶媒などを保持することができるためと推測される。また、前記親水性高分子電解質を電解液に溶解するために最低限配合する必要がある水等の蒸発を抑制する働きに基づくものと推測される。また、前記親水性高分子電解質は、溶媒(電解液)に対する溶解性に優れたものを用いることが、より好ましい態様であり、たとえば前記親水性高分子電解質が、中性塩であることが特に好ましい。
上記電解液中の親水性高分子電解質の配合量は、電解液全量100重量部に対して、0.01〜10重量部含有することが好ましく、より好ましくは、0.05〜1重量部である。前記範囲を外れると、析出が起こり、性能が劣化するため、好ましくない。なお、電解液中の溶媒が蒸発することにより、前記親水性高分子電解質などが析出しないように、不揮発性溶媒を電解液に用いることが好ましい態様である。
また、本発明の高分子アクチュエータ素子に用いられる電解液には、イオン性液体を含有することが好ましい。前記イオン性液体とは、常温溶融塩とも呼ばれるものであり、室温(25℃程度)での蒸気圧がほとんどないため、イオン性液体の経時の蒸発等がなく、高分子アクチュエータ素子の変位量・変形量などの経時による変化が生じにくく、長期間の駆動に好適である。
上記イオン性液体は、特に限定なく、使用することができる。なかでも、上記イオン性液体が、テトラアルキルアンモニウムイオン、ジアルキルイミダゾリウムイオン、トリアルキルイミダゾリウムイオンなどのイミダゾリウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリウムイオン、ピロリニウムイオン、ピロリジニウムイオン、およびピペリジニウムイオンからなる群より少なくとも一種選ばれたカチオンと、PF 、BF 、AlCl 、ClO 、および下記式(I)で示されるスルホニウムイミドアニオンからなる群より少なくとも一種選ばれたアニオンとの組合せからなる塩を含むことが好ましい。これらのイオン性液体は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
(C(2n+1)SO)(C(2m+1)SO)N (I)
[上記式(I)において、nおよびmは任意の整数である。]。
上記テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、たとえば、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウムなどをあげることができる。
上記イミダゾリウムカチオンとしては、たとえば、ジアルキルイミダゾリウムイオンおよび/またはトリアルキルイミダゾリウムイオンなどをあげることができる。より具体的には、上記イミダゾリウムカチオンとしては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオンなどをあげることができる。
上記アルキルピリジニウムイオンとしては、たとえば、N−メチルピリジニウムイオン、N−エチルピリジニウムイオン、N−プロピルピリジニウムイオン、N−ブチルピリジニウムイオン、1−エチル−2−メチルピリジニウムイオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムイオン、1−ブチル−2,4−ジメチルビリジニウムイオンなどをあげることができる。
上記ピロリウムカチオンとしては、たとえば、1,1−ジメチルピロリウムイオン、1−エチル−1−メチルピロリウムイオン、1−メチル−1−プロピルピロリウムイオン、1−ブチル−1−メチルピロリウムイオンなどをあげることができる。
上記ピラゾリウムカチオンとしては、たとえば、1,2−ジメチルピラゾリウムイオン、1−エチル−2−メチルピラゾリウムイオン、1−プロピル−2−メチルピラゾリウムイオン、1−ブチル−2−メチルピラゾリウムイオンなどをあげることができる。
上記ピロリニウムカチオンとしては、たとえば、1,2−ジメチルピロリニウムイオン、1−エチル−2−メチルピロリニウムイオン、1−プロピル−2−メチルピロリニウムイオン、1−ブチル−2−メチルピロリニウムイオンなどをあげることができる。
上記ピロリジニウムカチオンとしては、たとえば、1,1−ジメチルピロリジニウムイオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムイオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムイオン、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムイオンなどをあげることができる。
上記ピベリジニウムカチオンとしては、たとえば、1,1−ジメチルピペリジニウムイオン、1−エチル−1−メチルピペリジニウムイオン、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムイオン、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムイオンなどをあげることができる。
上記イオン性液体は、上記アニオンと上記カチオンとの組み合わせが特に限定されるものではないが、たとえばN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシ)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシ)アンモニウムテトラフルオロボレート、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホイミド(EMITFSI)、1−メチル−3−イミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF)、1−メチル−3−イミダゾリウムヘキサフルオロリン酸(EMIPF)、トリメチルプロピルアンモニウムトリフルオロメタンスルホイミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホイミドなどを用いることができる。
上記電解液中のイオン性液体の配合量は、電解液全量100重量部に対して、0.01〜20重量部含有することが好ましく、より好ましくは、0.05〜10重量部である。
また、本発明の高分子アクチュエータ素子に用いられる電解液には、アルカリ金属塩を含有することが好ましい。前記アルカリ金属塩は、上記の常温常圧で液状のポリエーテル化合物などを溶解できるものであれば特に限定されるものではないが、前記アルカリ金属塩としては、Na、K、Li等の1価のカチオン(アルカリ金属イオン)から構成されるものを用いることができる。前記アルカリ金属塩を用いることにより、変位や変形(屈曲、湾曲、伸縮等を含む)することができるため好ましい。これらのイオンは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、本発明の高分子アクチュエータ素子に用いられる電解液には、4級アンモニウム塩を含有することが好ましい。前記4級アンモニウム塩は、上記の常温常圧で液状のポリエーテル化合物などを含有する電解液に溶解できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、(CH、(CH(C)、(CH(C、(CH)N(C、(C、(C、(C等の4級アンモニウムイオン(カチオン)から構成されるものを用いることができる。前記4級アンモニウム塩を構成する4級アンモニウムイオンは、イオン半径が大きいため、大きな変位や変形(屈曲、湾曲、伸縮等を含む)を得ることができる。これらのイオンは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、上記アルカリ金属塩や4級アンモニウム塩を構成するアニオンとしては、特に限定されないが、たとえば、BF 、PF 、ClO 、Ts、SO 2−、NO 、Cl、Br、I、CFSO 、CSO 、(CFSO、BCH(C 、B(C 、B(C 、AsF、SbF 等を用いることができる。
また、上記アルカリ金属塩及び/又は4級アンモニウム塩の含有濃度としては、イオン交換樹脂の官能基と等量以上の濃度として含まれていれば特に限定されないが、より十分な変位や変形(屈曲、湾曲、伸縮等を含む)を得るためには、0.01〜10mol/lであることが好ましく、0.02〜3.0mol/lであることがより好ましく、0.05〜1.0mol/lであることがさらに好ましい。なお、イオン性液体を用いる場合には、上記塩を用いなくてもよいが、適宜併用してもよい。
なお、本発明の高分子アクチュエータ素子は、その特性に問題ない範囲であれば、上記アルカリ金属塩や4級アンモニウム塩以外の塩等を含有することができる。
本発明の高分子アクチュエータ素子に用いられる前記電解液には、更に、前記電解液に可溶なリチウムイオン置換のフッ素系イオン交換樹脂を含有することが好ましい。前記リチウムイオン置換のフッ素系イオン交換樹脂を用いることにより、詳細な理由は明らかではないが、高分子アクチュエータ素子としての俊敏性や湾曲性などを兼ね備えることができ、更に高分子アクチュエータ素子自体の弾性や、耐熱性を向上させることができる。
上記リチウムイオン置換のフッ素系イオン交換樹脂としては、たとえば、スルホン酸基、カルボキシル基などの親水性官能基を導入したパーフルオロスルホン酸樹脂やパーフルオロカルボン酸樹等の粉体などであって、電解液中に溶解することができるものであることが好ましい。
上記電解液中のリチウムイオン置換のフッ素系イオン交換樹脂の配合量としては、電解液全量100重量部に対して、1〜50重量部であることが好ましく、5〜40重量部であることがより好ましく、10〜30重量部であることがさらに好ましい。1重量部未満であると十分な俊敏性や湾曲性、耐熱性等が得られず、50重量部を超えると上記リチウムイオン置換のフッ素系イオン交換樹脂が、電解液(溶媒)の蒸発した際に、析出する恐れがあり、好ましくない。
また、前記親水性高分子電解質やリチウムイオン置換のフッ素系イオン交換樹脂が析出しないように、不揮発溶媒や電解質(イオン液体等の不揮発性液体)と共に配合して、電解液(溶媒、充填液、組成液)の蒸発を制御することが、より好ましい態様である。前記親水性高分子電解質やリチウムイオン置換のフッ素系イオン交換樹脂の析出が生じた場合には、アクチュエータ素子やセンサとしての感度不足や、剛性不足、環境変動への耐性不足に陥いってしまう恐れがあり、好ましくない。そのため、前記親水性高分子電解質と、リチウムイオン置換のフッ素系イオン交換樹脂とでは、共に相溶性を保つことが求められ、溶媒を含めた電解液に対して、十分な溶解性を確保することが好ましい。
一方、本発明の高分子アクチュエータ素子は、金属電極、イオン交換樹脂、及び、電解液から形成され、前記金属電極が対を形成し、前記金属電極が前記イオン交換樹脂と接するように形成され、イオン交換樹脂層を挟んで両側に金属電極(電極層)を1つずつ備えても良く、両側もしくは片側に電極層を複数備えていてもよく、また、管状のイオン交換樹脂の外側面および/または内側面の表面上に複数の金属電極(電極層)を備えていてもよい。
上述の金属電極(電極層)が、イオン交換樹脂を挟んで電極対を形成した高分子アクチュエータ素子としては、公知の方法により得ることができる。たとえば、膜状、板状、もしくは管状の形状を有するイオン交換樹脂に、無電解メッキをすることによって、イオン交換樹脂表面や、イオン交換樹脂表面から内側の範囲に、金属電極(電極層)を形成させ、上記金属電極(電極層)として用いることで、上記高分子アクチュエータ素子である金属−イオン交換樹脂接合体を得ることもできる。
上記無電解メッキとしては、たとえば、イオン交換樹脂を膨潤させることが可能な溶媒又は溶液(いわゆる良溶媒)中に浸漬して膨潤させた状態で、前記イオン交換樹脂に白金錯体や金錯体等の金属錯体を吸着させる吸着工程を行い、次いで吸着された金属錯体を還元剤により還元させ金属を析出させる還元工程を行い、さらに上記還元工程後に、必要に応じて還元剤を洗浄除去する洗浄工程を行うことにより、無電解メッキを行うことができる。
上記無電解メッキでは、金属電極(電極層)を、通電し駆動させるためや、変位や変形(屈曲、湾曲、伸縮等を含む)させるために必要な厚さを有するようにするために、上述の膨潤工程、吸着工程、還元工程、および、洗浄工程を1サイクルとして、繰り返し行うことができる。このようにして得られた高分子アクチュエータ素子は、イオン交換樹脂の内部方向に電極層が成長して、金属電極が形成され、イオン交換樹脂と金属電極(電極層)との界面において、金属電極(電極層)の断面がフラクタル状、半島状、島状部に首状の狭さく部を備えた形状、樹木形状、茸形状、ツララ形状、ポリープ状及び/または珊瑚状等の構造を形成することにより、表面積が広くすることができ、金属電極とイオン交換樹脂との界面で大きな電気二重層を持つことができる。さらに、上記金属電極がイオン交換樹脂層の内部方向にフラクタル状等の構造を形成していることにより、アンカー効果が働くため、高分子アクチュエータ素子(金属−イオン交換樹脂接合体)は、繰り返し曲げることに対して、耐久性を有することになる。
上述の無電解メッキを行う前のイオン交換樹脂の膨潤工程は、前記イオン交換樹脂に良溶媒(または、良溶媒を含む混合溶媒)を浸透させることにより、膨潤した前記イオン交換樹脂が、乾燥した状態に比べて体積を増大させるものである。前記膨潤工程を行うことにより、イオン交換樹脂中の官能基を有する側鎖についてのセグメント運動の自由度が増大し、この自由度の増大により、無電解メッキの吸着工程において、金属錯体が前記高分子電解質の表面より内部へ吸着しやすくなり、また、還元工程においても還元剤溶液中の還元剤が高分子電解質の表面より内部へ吸着しやすくなり、高分子電解質内部において金属錯体及び還元剤のブラウン運動が容易となるものと推測される。
前記良溶媒とは、高分子(フッ素系イオン交換樹脂や、炭化水素系イオン交換樹脂等)を良く膨潤させることができる溶媒であり、高分子の種類により異なる。従って、前記良溶媒は、無電解メッキにより最終的に得られる積層体の用途等に応じて採用される高分子電解質の組成に応じて、適した溶媒種を用いることができる。前記良溶媒は、複数種類の良溶媒を混合して用いても良い。前記良溶媒としては、例えば、メタノール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等を用いることができる。前記高分子電解質が、パーフルオロカルボン酸樹脂またはパーフルオロスルホン酸樹脂である場合には、メタノール、エタノール、プロパノール、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ジエチレングリコール、グリセリン等を用いることができるが、特に本発明のようにフッ素系イオン交換樹脂等を使用する場合には、メタノールやエタノール、またはこれらを含む混合溶媒を用いることが好ましい。
上述の無電解メッキの吸着工程に用いられる金属錯体溶液は、還元により形成される金属電極が電極層として機能することができる金属錯体を含むものであれば、特に限定されない。
上記金属錯体としては、イオン化傾向の小さい金属が電気化学的に安定であることから、金錯体、白金錯体、パラジウム錯体、ロジウム錯体、またはルテニウム錯体等の金属錯体を使用することが好ましい。また、析出した金属が電極として使用されるため、通電性が良好で電気化学的な安定性に富んだ貴金属からなる金属錯体が好ましく、さらに電気分解が比較的起こりにくい金からなる金錯体がより好ましい。
また、上記金属錯体溶液に用いられる溶媒は特に限定されるものではないが、金属塩(金属錯体)の溶解が容易であって、かつ、取り扱いが容易であることから、水を主成分とすることが好ましい。より具体的には、上記金属錯体溶液としては、金属錯体水溶液であることが好ましく、特に金錯体水溶液または白金錯体水溶液であることがより好ましく、金錯体水溶液がさらに好ましい。
上述の無電解メッキの還元工程に用いられる還元剤としては、イオン交換樹脂に吸着される金属錯体溶液に使用される金属錯体の種類に応じて、その種類を適宜選択して使用することができる。上記還元剤としては、たとえば、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム等を用いることができる。これらの還元剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
また、上記還元剤は析出させる金属種によって、適宜選択することもできる。還元により析出させる金属がニッケルまたはコバルトの場合には、還元剤として、たとえば、ホスフィン酸ナトリウム、ジメチルアミノボラン、ヒドラジン、テトラヒドロホウ酸カリウムなどを用いることができる。還元により析出させる金属がパラジウムの場合には、還元剤として、たとえば、ホスフィン酸ナトリウム、ホスホン酸ナトリウム、テトラヒドロホウ酸カリウムなどを用いることができる。還元により析出させる金属が銅の場合には、還元剤として、たとえば、ホルマリン、ホスホン酸ナトリウム、テトラヒドロホウ酸カリウムなどを用いることができる。還元により析出させる金属が銀または金の場合には、還元剤として、たとえば、ジメチルアミノボラン、テトラヒドロホウ酸カリウムなどを用いることができる。還元により析出させる金属が白金の場合には、還元剤として、たとえば、ヒドラジン、テトラヒドロホウ酸ナトリウムなどを用いることができる。還元により析出させる金属が錫の場合には、還元剤として、たとえば、三塩化チタンを用いることができる。さらに、還元剤は、上記の種類に限られるものではなく、白金黒などの触媒と共に用いられる水素、HgS、HIやIなどの非金属の酸またはイオン、Na(HPO)やNaなどの低級酸素酸塩、COやSOなどの低級酸化物、Li、Na、Cu、Mg、Zn、Fe、Fe(II)、Sn(II)、Ti(III)、Cr(II)などのイオン化傾向の大きい金属またはそれらのアマルガムおよび低原子価金属塩、AlH〔(CHCHCHや水素化リチウムアルミニウムなどの水素化物、ジイミド、ギ酸、アルデヒド、糖類およびL−アスコルビン酸などを適宜用いることもできる。
上記還元剤は、上述のように、還元される金属種に応じて適宜選択することもできるが、さらにはメッキの成長速度、析出した金属の粒子サイズ、フラクタル状等の構造の金属電極と、イオン交換樹脂の接触面積、電極構造ならびにメッキ後の樹脂の可撓性を調整するため、適宜選択して用いることができる。また、還元工程における還元浴を好ましいpHとするために、前記還元剤の種類を適宜選択してもよい。
また、上記還元剤溶液の濃度は、金属錯体の還元により析出させる金属量を得ることができるのに十分な量の還元剤を含んでいれば、特に限定されるものではないが、通常の無電解メッキにより電極を形成する場合に用いられる金属塩溶液と同等の濃度を用いることも可能である。また、還元剤溶液中には、イオン交換樹脂の良溶媒を含むことができる。さらには、金属錯体を還元する際に、必要に応じて酸またはアルカリを添加してもよい。
上述の無電解メッキの洗浄工程としては、残存する還元剤を除去することができれば、特に限定されないが、たとえば、金属電極を形成したイオン交換樹脂(金属−イオン交換樹脂接合体)を取り出し、40〜70℃の水で1〜5時間洗浄することにより、行うことができる。
本発明の高分子アクチュエータ素子は、対を形成することができるように形成された金属電極と接するイオン交換樹脂の内部に、電解液(たとえば、ポリエーテル化合物や親水性高分子電解質、溶媒、イオン性液体、及び、塩などを含む電解液)を含むものであり、前記高分子アクチュエータ素子を、変位や変形(屈曲、湾曲、伸縮等を含む)させるために、高分子アクチュエータ素子は、柔軟性を有することが好ましい。本発明においては、上記柔軟性を得るために、前記イオン交換樹脂は、常温常圧で液状のポリエーテル化合物などを含んだ電解液により膨潤した状態、つまりは、電解液は、イオン交換樹脂や、フラクタル状等の形状をした金属電極から形成される金属−イオン交換樹脂接合体(又は高分子アクチュエータそのもの)中を満たした状態であることが、好ましい状態である。
上記膨潤の程度(膨潤度)については、特に限定されるものではないが、上記高分子アクチュエータ素子の膨潤度が、3〜100%であることが好ましく、10〜50%であることがより好ましく、15〜30%であることがさらに好ましい。前記膨潤度が、3%未満である場合には、変位・変形(屈曲、湾曲、伸縮等を含む)性能が劣る場合がある。一方、上記膨潤度が100%よりも大きい場合にも、変位・変形性能が劣り、さらには大きく引張り強度が低下する場合がある。なお、前記膨潤度とは、高分子アクチュエータ素子の乾燥した状態に対して、高分子アクチュエータ素子の膨潤した状態での厚さの割合から計算したものであり、例えば、膨潤した高分子アクチュエータ素子の厚さが、乾燥した状態での厚さに対して110%である場合の当該膨潤度は10%となる。
なお、上記膨潤状態の高分子アクチュエータ素子(金属−イオン交換樹脂接合体)を得る方法としては、前記高分子アクチュエータ素子を電解液中に浸漬することや、上記電解液をさらに加熱して浸漬する方法が挙げられる。たとえば、上記高分子アクチュエータ素子が、イオン交換樹脂に無電解メッキを施すことにより、金属電極が形成された素子である場合には、前記イオン交換樹脂を前記電解液中に直接浸漬する手法や、溶媒を置換する手法などにより、金属−イオン交換樹脂接合体(又は高分子アクチュエータそのもの)が、膨潤した状態のものを得ることができる。なお、上記膨潤する際に用いる溶媒は、イオン交換樹脂を膨潤させることができ、電解液と置換できる溶媒であれば、特に限定されない。また、本発明においては、上述の膨潤には無限膨潤を含まない。
上記電解液には、有機溶媒や、水等の溶媒を適宜混合したものを使用することができる。前記溶媒は特に限定されないが、常温常圧下で経時的に揮発しにくい溶媒が好ましい。また、たとえば、水等の常温常圧下で経時的に揮発しやすい溶媒を混合溶媒として用いる場合であって、水等の溶媒にのみ溶解する塩などを電解液に混合・使用する場合には、前記塩が溶解する限度の量で、水等を混合することが、より好ましい態様である。なお、本発明においては、水等の溶媒を混合溶媒として使用した場合であっても、前記ポリエーテル化合物や親水性高分子電解質が電解液中に存在することにより、上記水等の溶媒の蒸発(揮発)を抑え、たとえ蒸発した後であっても、前記ポリエーテル化合物や親水性高分子電解質の存在により、低湿度の常温常圧や、0℃以下の環境下で、開放系において、高分子アクチュエータ素子を長時間放置して、その後駆動させた場合でも、初期の変位量・変形量とほぼ同等の値を示すことができる。
本発明の高分子アクチュエータ素子は、上記ポリエーテル化合物等を含有した電解液を含むものであり、開放系においても、長期間駆動することができるが、可撓性を有する樹脂で、高分子アクチュエータ素子自体を被覆して、使用してもよい。
上記可撓性を有する樹脂としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ポリウレタン樹脂および/またはシリコーン樹脂をあげることができる。
上記ポリウレタン樹脂としては、たとえば、柔軟度が大きく密着性が良好であるため、柔軟性(柔軟度)の高い熱可塑性ポリウレタンが特に好ましい。上記熱可塑性ポリウレタンとしては、商品名「アサフレックス825」(柔軟度200%、旭化成社製)、商品名「ペレセン 2363−80A」(柔軟度550%)、「ペレセン 2363−80AE」(柔軟度650%)、「ペレセン 2363−90A」(柔軟度500%)、「ペレセン 2363−90AE」(柔軟度550%)(以上、ダウ・ケミカル社製)を用いることができる。
上記シリコーン樹脂は、たとえば、柔軟度が50%以上である樹脂が、柔軟度が大きいので密着性が良好であり特に好ましい。上記シリコーン樹脂としては、たとえば、「シラシール3FW」、「シラシールDC738RTV」、「DC3145」、および「DC3140」(以上、ダウコーニング社製)などを用いることができる。なお、ここでの柔軟度とは、ASTM D412に準拠して測定された引張破断伸び(Ultimate Elongation%)をいう。
また、上記高分子アクチュエータ素子(金属−イオン交換樹脂接合体)の膨潤時の厚みは、通常0.01〜10mmで用いられるが、0.02〜5mmであることがより好ましく、0.05〜1mmであることがさらに好ましい。上記アクチュエータ素子の厚みが10mm以上となると著しく性能が低下してしまう場合があり好ましくない。
本発明の高分子アクチュエータ素子(金属−イオン交換樹脂接合体)は、印加することにより、駆動させることができる。本発明の高分子アクチュエータ素子は、上述のような構成を有するので、160°以上の変位や変形(屈曲、湾曲、伸縮等を含む)を生じさせるために、3.0Vより高い電圧を印加した場合であっても、電解液の電気分解に基づく気泡を発生することがなく、さらには電解液自体の蒸発が生じにくいので、高分子アクチュエータ素子の可撓性樹脂などによる被覆なしに900日間以上、初期の変位量・変形量とほぼ同等の駆動を可能とするものである。
上記高分子アクチュエータ素子は、その厚みが0.1mm〜1mm程度である場合には、通常0.1〜1,000Vの電圧を印加することで駆動させることができるが、1〜100Vであることが好ましく、3〜18Vであることがより好ましい。また、高分子アクチュエータ素子に、たとえば左右に往復する等の連続的な変位・変形運動をさせる場合には、0.01〜1,000Hz周期で各金属電極に反対電圧が印加されるようにすることが好ましく、0.1〜500Hz周期であることがより好ましく、0.2〜300Hz周期であることがさらに好ましい。
本発明の高分子アクチュエータ素子は、たとえば、OA機器、アンテナ、ベッドや椅子等の人を乗せる装置、医療機器、エンジン、光学機器、固定具、サイドトリマ、車両、昇降機械、食品加工装置、清掃装置、測定機器、検査機器、制御機器、工作機械、加工機械、電子機器、電子顕微鏡、電気剃刀、電動歯ブラシ、マニピュレータ、マスト、遊戯装置、アミューズメント機器、乗車用シミュレーション装置、車両乗員の押さえ装置および航空機用付属装備展張装置において、直線的な駆動力を発生する駆動部もしくは円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部、直線的な動作もしくは曲線的な動作をする押圧部として好適に用いることができる。
また、本発明の高分子アクチュエータ素子は、たとえば、OA機器や測定機器等の上記機器等を含む機械全般に用いられる弁、ブレーキ、またはロック装置等において、直線的な駆動力を発生する駆動部、円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部、または直線的な動作をする押圧部などとして用いることができる。さらには、上記の装置、機器、器械等以外として、機械機器類全般において、位置決め装置の駆動部、姿勢制御装置の駆動部、昇降装置の駆動部、搬送装置の駆動部、移動装置の駆動部、量や方向等の調節装置の駆動部、軸等の調整装置の駆動部、誘導装置の駆動部、または押圧装置の押圧部などとして好適に用いることができる。
また、本発明の高分子アクチュエータ素子は、回転的な運動をすることができるので、たとえば、切替え装置の駆動部、搬送物等の反転装置の駆動部、ワイヤ一等の巻取り装置の駆動部、牽引装置の駆動部、または首振り等の左右方向への旋回装置の駆動部などとしても用いることができる。
また、本発明の高分子アクチュエータ素子を、屈曲運動を直線的な運動に変換する装置と組合せることにより、直線的な変位を生じるアクチュエータとすることもできる。直線的な変位や、屈曲などの変形を生じるアクチュエータは、直線的な駆動力を発生する駆動部、または円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部として用いることができる。さらに、上記アクチュエータは、直線的な動作をする押圧部として用いることもできる。
更に、上記高分子アクチュエータ素子を、高分子センサに用いることができる。前記高分子アクチュエータ素子は、金属電極間に印加して、変位や変形(屈曲、湾曲、伸縮等を含む)を生じさせることで、アクチュエータとして機能させるものであるが、前記高分子アクチュエータ素子に外力を作用させると起電力が生じたり、外気に含まれる水分を吸収するとインピーダンスが変化することから、高分子センサ(例えば、湿度センサ、発汗センサ、荷重センサ、曲げなどの変位角度センサ、加速度センサなど)としても利用することができる。前記高分子センサは、アクチュエータとしての機能と共に、センサとしての機能も併せ持つことになり、非常に有用なものとなり得る。また、高分子アクチュエータ素子の厚み等の形状を調整することにより、0.0001N以下の微少な力から、数10N以上の大きな力まで、感度良くセンシング(グラフ)することが可能である。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、本発明は実施例等により、制限されるものではない。
(金属−イオン交換樹脂接合体(i)の調製)
フッ素系イオン交換樹脂(パーフルオロカルボン酸樹脂、旭硝子社製、フレミオン、乾燥時の膜厚:140μm、イオン交換容量:1.4meq/g)を用いて、下記(1)を行った後、下記(2)〜(4)の工程を1サイクルとして、5サイクル繰り返し、イオン交換樹脂を挟んで形成された一対の金属電極を備えたイオン交換樹脂膜(金属−イオン交換樹脂接合体(i))を得た。
(1)膨潤工程:エタノール中に1時間浸漬し、膨潤度50%のフッ素系イオン交換樹脂を得た。
(2)吸着工程:ジクロロフフェナントロリン金塩化物水溶液(濃度:1.1重量%)に12時間浸漬し、上記フッ素系イオン交換樹脂内にジクロロフェナントロリン金錯体を吸着させた。
(3)還元工程:亜硫酸ナトリウムを含む水溶液(濃度:20重量%)中で、吸着したジクロロフェナントロリン金錯体を還元し、上記膜状高分子電解質(イオン交換樹脂膜)に金電極を形成させた。このとき、水溶液の温度は室温〜80℃とし、亜硫酸ナトリウムを徐々に添加しながら、6時間ジクロロフェナントリン金錯体の還元処理(無電解メッキ)を行った。
(4)洗浄工程:表面に金電極が形成したフッ素系イオン交換樹脂膜を取り出し、70℃の水で1時間洗浄した。上記無電解メッキにより一対の金属電極が形成されたイオン交換樹脂膜を長さ22mm、幅1.5mmのサイズに切断し、金属−イオン交換樹脂接合体(i)を得た。
(金属−イオン交換樹脂接合体(ii)の調製)
炭化水素系イオン交換樹脂(強酸性陽イオン交換樹脂、旭化成社製、ACIPLEX K−172、乾燥時の膜厚:150μm、イオン交換容量:1.5〜1.6meq/g)を用いて、下記(1)を行った後、下記(2)〜(4)の工程を1サイクルとして、3サイクル繰り返し、イオン交換樹脂を挟んで形成された一対の金属電極を備えたイオン交換樹脂膜(金属−イオン交換樹脂接合体(ii))を得た。
(1)膨潤工程:メタノール中に2時間浸漬し、膨潤度20%の炭化水素系イオン交換樹脂を得た。
(2)吸着工程:ジクロロフフェナントロリン金塩化物水溶液(濃度:0.7重量%)に12時間浸漬し、上記炭化水素系イオン交換樹脂内にジクロロフェナントロリン金錯体を吸着させた。
(3)還元工程:亜硫酸ナトリウムを含む水溶液(濃度:20重量%)中で、吸着したジクロロフェナントロリン金錯体を還元し、上記膜状高分子電解質(イオン交換樹脂膜)に金電極を形成させた。このとき、水溶液の温度は60〜80℃とし、亜硫酸ナトリウムを徐々に添加しながら、6時間ジクロロフェナントリン金錯体の還元処理(無電解メッキ)を行った。
(4)洗浄工程:表面に金電極が形成した炭化水素系イオン交換樹脂膜を取り出し、70℃の水で1時間洗浄した。上記無電解メッキにより一対の金属電極が形成されたイオン交換樹脂膜を長さ20mm、幅4mmのサイズに切断し、金属−イオン交換樹脂接合体(ii)を得た。
(金属−イオン交換樹脂接合体(iii)の調製)
炭化水素系イオン交換樹脂(強酸性陽イオン交換樹脂、トクヤマ社製、NEOSEPTA CMX、乾燥時の膜厚:210μm、イオン交換容量:1.5〜1.8meq/g)を用いて、下記(1)を行った後、下記(2)〜(4)の工程を1サイクルとして、2サイクル繰り返し、イオン交換樹脂を挟んで形成された一対の金属電極を備えたイオン交換樹脂膜(金属−イオン交換樹脂接合体(iii))を得た。
(1)膨潤工程:エタノール中に3時間浸漬し、膨潤度15%の炭化水素系イオン交換樹脂を得た。
(2)吸着工程:ジクロロフフェナントロリン金塩化物水溶液(濃度:0.5重量%)に12時間浸漬し、上記炭化水素系イオン交換樹脂内にジクロロフェナントロリン金錯体を吸着させた。
(3)還元工程:亜硫酸ナトリウムを含む水溶液(濃度:20重量%)中で、吸着したジクロロフェナントロリン金錯体を還元し、上記膜状高分子電解質(イオン交換樹脂膜)に金電極を形成させた。このとき、水溶液の温度は40〜80℃とし、亜硫酸ナトリウムを徐々に添加しながら、6時間ジクロロフェナントリン金錯体の還元処理(無電解メッキ)を行った。
(4)洗浄工程:表面に金電極が形成した炭化水素系イオン交換樹脂膜を取り出し、70℃の水で1時間洗浄した。上記無電解メッキにより一対の金属電極が形成されたイオン交換樹脂膜を長さ20mm、幅5mmのサイズに切断し、金属−イオン交換樹脂接合体(iii)を得た。
(高分子アクチュエータ素子の作製及びその性能評価)
〔実施例1〕
前記金属−イオン交換樹脂接合体(i)(厚さ:160μm)を下記組成液(電解液)A及びBの混合液に、60℃×5時間浸漬し、その後、前記電解液から引き上げた後、常温常湿(25℃×50%RH)下で乾燥した。
次いで、ポリプロピレン製の板に載せ、110℃×18時間放置することにより、高分子アクチュエータ素子を得た。
(組成液A)
ポリエチレングリコール(分子量300:関東化学)300重量部、トリプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(和光純薬工業)200重量部、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシ)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド(関東化学)25重量部、トリプロピレングリコール(異性体混合物:和光純薬)200重量部、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシ)アンモニウムテトラフルオロボレート(関東化学)150重量部、リチウムイオン置換のフッ素系イオン交換樹脂(リチウム置換フレミオン)を10重量%溶解したメタノール300重量部を混合して組成液Aを得た。
なお、前記リチウムイオン置換のフッ素系イオン交換樹脂(リチウム置換フレミオン)は、旭硝子社製のカリウム型1.8meqフレミオンペレット10gを1Lの純水に室温で24時間浸漬して、膨潤させた後に、テトラエチルアンモニウムクロライド5gを添加・攪拌しながら、混合物の温度を80℃×10時間保ち、交換イオンの置換を行ない、固形物を濾取した後に、大量の水で洗浄し、自然乾燥して調製したものを用いた。
(組成液B)
純水800重量部、0.08重量%のヒアルロン酸ソーダ(鶏冠由来、和光純薬工業)を溶解したメタノール/水(3/1体積比)混合溶媒11重量部を混合・溶解して、組成液Bを得た。
前記高分子アクチュエータ素子を、2mm×10mmの短冊状に切断し、恒温槽中で前記高分子アクチュエータ素子の両電極間に、6Vp−p0で、0.5Hzの矩形波を印加しながら駆動させ、レーザ変位計(キーエンス社製、LC−2400)にて掴み位置から6mmの地点での変位量を測定した。
(1)35℃×60%RHと25℃×35%RHでの変位量を比較した。湿度の減少にともない、変位量は35℃×60%RHにおいて3.5mmであったのに対して、25℃×35%RHにおいては3.3mmとなり、若干の変位量の低下が認められたが、その変位低下率は10%以内に収まり、環境湿度の変化に耐性を示すことが確認できた。
(2)次に同高分子アクチュエータ素子を恒温槽内の温度を80℃に保って、240時間放置した後、室温に戻し、25℃×50%RHの環境下で、変位量を測定し、80℃に保存する前の同環境下での変位量と比較したところ、保存試験前後で、それぞれ3.5mmと3.2mmの変位量が得られ、変位低下率は10%以内であり、良好な耐熱保存性能を示した。
〔実施例2〕
実施例1の組成液Bから、ヒアルロン酸ソーダの替わりに、フコイダン(宇部興産製、ウベフコイダン、成分名称:クラドシホンノバエカレドニアエエキス、α−フコースを主とする硫酸化多糖)を同重量比で添加した点を除いて、高分子アクチュエータ素子の変位量を同様な手法にて測定した。
(1)変位量は35℃×60%RHにおいて2.5mmであったのに対して、25℃×35%RHにおいては2.4mmとなり、変位低下率は10%以内で良好な再現性を示した。以上からアクチュエータ素子の環境湿度の変化に耐性を示すことが、ヒアルロン酸ソーダ同様に、フコイダンにも認められることが確認された。
(2)80℃×240時間放置前後の変位量はそれぞれ2.5mmと2.4mmが得られ、変位低下率は5%以内であり、良好な耐熱保存性能を示した。
〔比較例1〕
実施例1の組成液Bから、ヒアルロン酸ソーダを除いて作製した高分子アクチュエータ素子の変位量を同様な手法にて測定した。
(1)変位量は35℃×60%RHにおいて2.2mmであったのに対して、25℃×35%RHにおいては1.0mmとなり、変位低下率が50%以上となり、アクチュエータ性能が劣ることが確認された。以上からアクチュエータ素子の環境湿度の変化に耐性に、ヒアルロン酸ソーダが効果的に作用することが確認された。
(2)80℃×240時間放置前後の変位量はそれぞれ2.1mmと2.0mmであり、その低下率は10%以内であった。
(3)弾性率(ヤング率)を測定したところ、45〜50N/cmであった。なお、ヤング率の測定にあたっては、微小荷重変位計(キーエンス株式会社)を使用し、評価条件として、室温環境(25℃×50%RH程度)において測定を行った。
〔比較例2〕
(2)比較例1の組成液Aからリチウム置換フレミオンを除いて作製した高分子アクチュエータ素子の耐熱保存性を実施例1と同様な方法で評価したところ、80℃×240時間放置前後の変位量は3.1mmと2.6mmであり、その変位低下率は、15%程度であった。
(3)また、高分子アクチュエータ素子の弾性率を測定した。まず、前記高分子アクチュエータ素子の80℃での保存前の弾性率を測定したところ、45〜50N/cmであった。これに対して、80℃×240時間放置後の弾性率は3N/cm程度にまで低下していた。以上からアクチュエータ素子の耐熱保存性能の改善にリチウム置換フレミオンが効果的に作用することが確認された。
(センサの作製及びその性能評価)
〔実施例3〕
金属−イオン交換樹脂接合体(i)(厚さ:160μm)を上記組成液(電解液)AとBの混合液に、60℃×5時間浸漬し、その後、前記電解液から引き上げた後、常温常湿(25℃×50%RH)下で3時間乾燥して、190μm厚の高分子センサ素子を得た。
続いて、図1に示すような装置を作製し、ここに前記素子の両電極の一端A(端部A)に、Pt電極(接続電極)を接触(導通)させ、厚さ100μmのポリエステルの絶縁フィルムで覆い、前記素子の両電極の一端のPt電極と接触している方とは反対側の一端B(端部B)が露出するように、SUS板にて、両側から挟み込み、前記端部Bに押圧(荷重)をかけることにより、前記高分子センサ素子が撓み、その撓みによる前記素子の両極間に発生する起電力を測定した。なお、ここでは、水平状態に設置した前記素子において測定を行ったが、前記素子を加速度運動させて、静止物体に衝突させた際に発生する起電力を評価するなど、評価方法は特に制限されない。
前記発生した起電力(mV)と、起電力を発生させるために加えた荷重(gf)との関係を、図2に示した。
なお、荷重100gfにおいては、起電力が1.1mV発生することが確認され、前記高分子センサ素子を、圧力センサとして使用できることが確認できた。また、前記素子を恒温槽(60℃×80%RH)に投入して、240時間放置後、常温常湿(25℃×50%RH)に戻して、上記と同様に、荷重100gfをかけて、起電力を測定したところ、おおむね恒温層に投入前と同様の起電力1.0mV(±10%以内の変位)を発生させることが確認された。また、この時の前記素子は、当初の厚みは190μmであったが、60℃×80%RHの高温高湿下に曝した場合であっても、190μm程度で、厚みが保持されていることが確認された。
〔実施例4〕
金属−イオン交換樹脂接合体(i)(厚さ:160μm)を、上記組成液(電解液)Bと、下記組成液(電解液)Cの混合液に、60℃×5時間浸漬し、その後、前記電解液から引き上げた後、常温常湿(25℃×50%RH)下で3時間乾燥して、170μm厚の高分子センサ素子を得た。
前記素子を、実施例3と同様に荷重100gfをかけたところ、7.3mVの起電力が発生したことが確認された。また、前記素子を恒温槽(60℃×80%RH)に投入して、100時間放置後、常温常湿(25℃×50%RH)に戻して、上記と同様に、荷重100gfをかけて、起電力を測定したところ、おおむね恒温層に投入前と同様の起電力7.1mV(±10%以内の変位)を発生させることが確認された。また、この時の前記素子は、当初の厚みは170μmであったが、60℃×80%RHの高温高湿下に曝した場合であっても、170μm程度で、厚みが保持されていることが確認された。
(組成液C)
ポリエチレングリコール(分子量200:関東化学社製)100重量部、トリプロピレングリコール(異性体混合物、和光純薬工業社製)50重量部、テトラエチルアンモニウム酢酸塩(4水和物、Aldrich社製)25重量部、純水100重量部を混合して組成液Cを得た。
〔比較例3〕
金属−イオン交換樹脂接合体(i)(厚さ:160μm)を下記組成液(電解液)Dに、60℃×12時間浸漬し、その後、前記電解液から引き上げた後、常温常湿(25℃×50%RH)下で3時間乾燥して、200μm厚の高分子センサ素子を得た。
前記素子を、実施例3と同様に荷重400gfをかけたところ、1.7mVの起電力しか発生しないことが確認された。また、前記素子を恒温槽(60℃×80%RH)に投入して、5時間放置後、常温常湿(25℃×50%RH)に戻して、上記と同様に、荷重400gfをかけて、起電力を測定したところ、0.01mvであり、大幅に起電力が低下し、実用的な再現性も得られなかった。また、この時の前記素子は、当初の厚みは200μmであったが、60℃×80%RHの高温高湿下に曝すことにより、厚さが160μmにまで低下したことから充填液である組成液Dのほとんどが、前記素子中から流出していることが確認された。これは、実施例3のように、親水性高分子電解質(ヒアルロン酸ソーダ)を含んでいないため、高分子センサ素子中に、組成液(溶媒)が保持できなかったことによるものと推測される。
(組成液D)
ジエチレングリコール(関東化学社製)100重量部、グリセリン(異性体混合物、和光純薬工業社製)50重量部、テトラエチルアンモニウムクロリド(関東化学社製)25重量部、純水100重量部を混合して組成液Dを得た。
〔実施例5〕
金属−イオン交換樹脂接合体(ii)(厚さ:190μm)を上記組成液(電解液)B及びCの混合液に、60℃×5時間浸漬し、その後、前記電解液から引き上げた後、常温常湿(25℃×50%RH)下で乾燥し、次いで、ポリプロピレン製の板に載せ、90℃×8時間放置することにより、215μm厚の高分子センサ素子を得た。
前記素子を、実施例3と同様に荷重100gfをかけたところ、6.4mVの起電力が発生したことが確認された。また、前記素子を恒温槽(60℃×80%RH)に投入して、100時間放置後、常温常湿(25℃×50%RH)に戻して、上記と同様に、荷重100gfをかけて、起電力を測定したところ、おおむね恒温層に投入前と同様の起電力6.2mV(±10%以内の変位)を発生させることが確認された。また、この時の前記素子は、当初の厚みは215μmであったが、60℃×80%RHの高温高湿下に曝した場合であっても、210μm程度で、厚みが保持されていることが確認された。
〔実施例6〕
金属−イオン交換樹脂接合体(iii)(厚さ:215μm)を上記組成液(電解液)AとBの混合液に、60℃×5時間浸漬し、その後、前記電解液から引き上げた後、常温常湿(25℃×50%RH)下で乾燥し、次いで、ポリプロピレン製の板に載せ、80℃×13時間放置することにより、230μm厚の高分子センサ素子を得た。
前記素子を、実施例3と同様に荷重100gfにおいては、起電力が0.8mV発生することが確認された。また、前記素子を恒温槽(60℃×80%RH)に投入して、240時間放置後、常温常湿(25℃×50%RH)に戻して、上記と同様に、荷重100gfをかけて、起電力を測定したところ、おおむね恒温層に投入前と同様の起電力0.9mV(±10%以内の変位)を発生させることが確認された。また、この時の前記素子は、当初の厚みは230μmであったが、60℃×80%RHの高温高湿下に曝した場合であっても、227μmで、厚みが保持されていることが確認された。
〔比較例4〕
金属−イオン交換樹脂接合体(iii)(厚さ:215μm)を上記組成液(電解液)Dに、60℃×12時間浸漬し、その後、前記電解液から引き上げた後、常温常湿(25℃×50%RH)下で3時間乾燥して、225μm厚の高分子センサ素子を得た。
前記素子を、実施例3と同様に荷重400gfをかけたところ、1.1mVの起電力しか発生しないことが確認された。また、前記素子を恒温槽(60℃×80%RH)に投入して、5時間放置後、常温常湿(25℃×50%RH)に戻して、上記と同様に、荷重400gfをかけて、起電力を測定したところ、0.01mV以下であり、大幅に起電力が低下し、実用的な再現性も得られなかった。また、この時の前記素子は、当初の厚みは225μmであったが、60℃×80%RHの高温高湿下に曝すことにより、厚さが216μmにまで低下したことから充填液である組成液Dのほとんどが、前記素子中から流出していることが確認された。これは、比較例3と同様に、親水性高分子電解質(ヒアルロン酸ソーダ)を含んでいないため、高分子センサ素子中に、組成液(溶媒)が保持できなかったことによるものと推測される。
A:高分子センサ素子の一端(端部A)
B:高分子センサ素子の一端(端部B)

Claims (7)

  1. 金属電極、イオン交換樹脂、及び、電解液から形成される高分子アクチュエータ素子であって、
    前記金属電極が、対を形成し、前記金属電極が、前記イオン交換樹脂と接し、
    前記電解液が、少なくとも、常温常圧下で液状のポリエーテル化合物、及び、親水性高分子電解質を含有することを特徴とする高分子アクチュエータ素子。
  2. 前記親水性高分子電解質が、親水性多糖類及び/又はその塩であることを特徴とする請求項1に記載の高分子アクチュエータ素子。
  3. 前記親水性多糖類及び/又はその塩が、ヒアルロン酸、フコイダン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、アルギン酸、ペクチン、カルボキシアルキルキチン、キトサン、カルボキシメチルキトサン、及び、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の高分子アクチュエータ素子。
  4. 前記電解液が、イオン性液体、アルカリ金属塩、及び、4級アンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子。
  5. 前記イオン交換樹脂が、フッ素系イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子。
  6. 更に、前記電解液に可溶なリチウムイオン置換のフッ素系イオン交換樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の高分子アクチュエータ素子を用いることを特徴とする高分子センサ。

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