JP4048236B2 - 導電性高分子複合構造体、積層体及び導電性高分子の製造方法 - Google Patents

導電性高分子複合構造体、積層体及び導電性高分子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、導電性高分子の製造方法、アクチュエータとして使用可能な導電性高分子複合構造体及び積層体に関する。
ポリピロールなどの導電性高分子は、電気化学的な酸化還元によって伸縮する現象である電解伸縮を発現することが知られている。この導電性高分子の電解伸縮は、人工筋肉、ロボットアーム、義手やアクチュエータ等の用途へ適用が近年注目され、マイクロマシン等の小型の用途だけでなく大型化された用途への適用も注目されている。
導電性高分子は、電解重合方法により製造されるのが一般的である。電解重合方法としては、通常は、電解液中にピロール等のモノマー成分を加え、この電解液中に作用電極及び対向電極を設置して、両電極に電圧を印加することで導電性高分子を作用電極上に膜として形成させる方法が行われる(例えば、非特許文献1)。電解重合により得られた導電性高分子は、膜状に成形された導電性高分子に電圧を印加することにより伸縮または屈曲の変位をさせることができる
緒方直哉編 「導電性高分子」、第8版、株式会社サイエンティフィク、1990年2月10日、第70頁〜第73頁
電解重合法により製造された導電性高分子を含む素子(以下、導電性高分子素子)を産業用ロボット等のロボットアーム、義手などの人工筋肉等の大型化した用途の駆動部のアクチュエータに用いる場合には、マイクロマシン等の小型のアクチュエータとして用いられる素子に比べて、より大きな伸縮量若しくはより大きな発生力を得るために素子のサイズを大きく必要がある。そのため、電解重合により得られた導電性高分子膜は、サイズを大きくするために長片化または複数枚積層するなどの厚膜化などの加工を施して、サイズの大きな導電性高分子素子とする必要がある。
サイズの大きな導電性高分子素子としては、従来の用途に比べて長さ方向若しくは高さ方向に大きな伸縮を得るために、長さ方向若しくは高さ方向に大型化した用途での駆動部に用いられる場合もあり、従来の導電性高分子素子よりも長い導電性高分子素子も用いられる。導電性高分子素子の伸縮の変位量は、導電性高分子素子に含まれる導電性高分子やドーパントの種類により導電性高分子素子の伸縮率が決まることから、用途に応じて導電性高分子やドーパントの種類を選択し、導電性高分子素子の長さを制御することにより、所望の変位量とすることができる。
しかし、用途に応じた導電性高分子やドーパントの種類を選択した導電性高分子素子について、大きい変位量を得るために、例えば、柱状体の高さ方向に大型化した導電性高分子素子を用いた場合では、底面一面に電極を設置しても、電解重合法で得られる導電性高分子の導電率は通常10S/cm程度であり、脱ドープ状態では更に導電率が低下するため、素子上部では十分な電圧を印加することができず、高さ方向に金属板等の電極を設置した場合には、金属板等の電極が導電性高分子素子の動作を阻害し、前記導電性高分子素子が伸縮運動をすることが難しいという問題がある。
この問題を解決するために、導電性高分子素子の大きな変位を得るための手段としては、導電性の良好な金属膜を、導電性高分子素子の表面に貼り付けることも考えられる。しかし、前記金属膜を表面に備えた導電性高分子素子は、導電性の良好な金属膜には伸縮性がほとんどないために伸縮を阻害するので、電気化学的酸化還元による変位が伸縮ではなく屈曲となり、電圧印加により直線的な運動をするアクチュエータに用いることができない。また、前記金属膜を表面に備えた導電性高分子の素子を屈曲運動するアクチュエータに用いた場合であっても、変位の繰り返しにより金属膜が素子から剥離する問題が生じ、接着剤等により金属膜を導電性高分子素子に強固に固定した場合には、屈曲運動も阻害される問題が生じる。また、該素子の底面の一点にリードを接続することにより素子の全体に電荷を均一に印加することができる素子の方が、素子を駆動させる装置の構成が制約されないので有利である。
また、サイズの大きな導電性高分子素子は、導電性高分子そのものの機械的強度が高くないので、産業用ロボット等のロボットアーム、義手などの人工筋肉等の大型化した用途の駆動部に用いるための機械的強度が十分ではない場合も考えられる。従って、サイズの大きな導電性高分子素子を実用的な用途に用いる場合に、導電性高分子素子の機械的強度を向上させる補強手段を用いることが望ましい。
さらに、導電性高分子は導電性高分子そのものの機械的強度が高くないために加工時の走査で切断されやすいので、ナノマシンやカテーテル等のマイクロマシンに代表されるサイズの小さな導電性高分子素子を得るために、電解重合で得られた導電性高分子膜をカッティング等の加工により外径または幅が1mm未満の所定の形状に成形することは難しい。また、導電性高分子は、溶融が困難であるために、ワイヤー等の細線状や円筒状の樹脂成形品を製造する際に通常用いることができる押出成形や射出成形等の製造方法を用いることができない。そのため、導電性高分子の電解伸縮により伸縮または屈曲の駆動をするアクチュエータ素子は、ナノマシン及びマイクロマシンを含むサイズの小さな駆動部としての実用化がされていない。従って、ナノマシン及びマイクロマシンに代表されるサイズの小さな用途に用いるために、外径または幅が1mm未満の小さなサイズ素子として導電性高分子の電解伸縮により伸縮または屈曲の駆動をするアクチュエータ素子を得ることも望ましい。
導電性高分子素子を、サイズを大きくしたアクチュエータ素子として用いた場合であっても、実用可能な伸縮若しくは屈曲の変位をすることができる素子を提供することが本発明の目的となる。
そこで、本発明者らは、鋭意検討の結果、導電性基体と導電性高分子とを含む導電性高分子複合構造体であって、前記導電性基体が伸縮性を有し、前記導電性基体の形態が、バネ状、網目状、または繊維構造シートであり、前記導電性基体の導電率が1.0×10S/cm以上である導電性高分子複合構造体を用いることにより、サイズの大きなアクチュエータ素子として用いても伸縮性等の変位性が良好であることを見出し、本発明に至った。
前記導電性高分子複合構造体は、長さ方向または高さ方向にサイズを大きくした導電性高分子素子として場合であっても、素子全体に十分な電位をかけることができる構造を備えているので、アクチュエータとして用いても先端部分に駆動のための十分な電圧を印加することができる。
(導電性高分子複合構造体)
本発明の導電性高分子複合構造体は、導電性基体と導電性高分子とを含む導電性高分子複合構造体であって、前記導電性基体が伸縮性を有し、前記導電性基体の形態が、バネ状、網目状、または繊維構造シートであり、前記導電性基体の導電率が1.0×10S/cm以上である導電性高分子複合構造体である。
以下に、本発明の導電性高分子複合構造体の形状や本発明の導電性高分子複合構造体に導電性基体が含まれる形態を、図を用いて説明するが、本発明の導電性高分子複合構造体は、導電性高分子複合構造体が実用性能として十分な伸縮若しくは屈曲の変位を得ることができれば、導電性高分子複合構造体の形状や導電性基体を含む形態が限定されるものではなく、これらの図に記載された形状や形態に限定されるものではない。
図1は、導電性基体としてコイル型の金属製バネ状部材を用いた場合における本発明の導電性高分子複合構造体の概念斜視図である。図2は、図1の導電性高分子複合構造体における縦断面の部分拡大図である。図1の導電性高分子複合構造体1は、導電性基体としてコイル型の金属製バネ状部材3を用いた場合である。図2に示すように、図1の円筒状の導電性高分子複合体1は、コイル型の金属製バネ状部材を構成する線材の間の空間が導電性高分子2により埋められて、導電性高分子2と導電性基体3とが複合化されている。この複合化により、アクチュエータとしてのサイズを大きくした場合であっても、導電性高分子複合構造体が実用性能として十分な伸縮若しくは屈曲の変位を得ることができる。また、図1の導電性高分子複合構造体は、コイル型の金属製バネ状部材を含んでいるので、外面に垂直な方向から外力がかかる場合において、金属製バネ状部材の線材が補強材として機能し得るので、機械的強度の向上も図ることができる。
図3は、導電性基体として網目状部材である金属メッシュを用いた場合における本発明の導電性高分子複合構造体の斜視図である。図3の膜状の導電性高分子複合体4は、金属メッシュを構成する線材の間の空間が埋められて、導電性高分子5と導電性基体6とが複合化されている。この複合化により、アクチュエータとしてのサイズを大きくした場合であっても、導電性高分子複合構造体が実用性能として十分な伸縮若しくは屈曲の変位を得ることができる。また、図3の導電性高分子複合構造体は、金属メッシュを含んでいるので、引張りなどの外力がかかる場合において、金属製バネ状部材の線材が補強材として機能し得るので、機械的強度の向上も図ることができる。
前記導電性基体は、図1及び図3に示すように、コイル型の金属製バネ状部材及び金属メッシュを構成する導電性の線材間に空間部を有しているが、前記空間部が特に限定されるものではない。線材間の間隔が広く、前記空間部が大きい場合には、前記導電性基体に補助用電極基体を組み合わせることにより、空間部が導電性高分子により充填された導電性高分子複合構造体を得ることができる。例えば、導電性基体が金属メッシュであって、金属メッシュの目開きが広い場合には、補助用電極基体として金属板を用い、前記金属板に前記金属メッシュを積層したものを作用電極として電解重合した後に前記金属板を除去することにより、金属メッシュの空間部が導電性高分子のより充填した形態の導電性高分子複合構造体を得ることができる。また、前記導電性基体は板ばね等の線材以外による空間部を備えたものであってもよい。
前記導電性基体は、前記導電性高分子複合構造体の全体に十分な電位をかけるように含まれていれば良く、図1及び図3に示すように、導電性高分子複合構造体の厚さ方向の中心付近に配されていてもよく、導電性高分子複合構造体の表面付近に配されていても良いが、導電性高分子複合構造体の厚さ方向の中心付近に配されていることが、素子全体に十分な電位をかけることが容易にできるので好ましい。また、前記導電性基体は、前記導電性高分子複合構造体のほぼ全体に含まれていることが素子全体に十分な電位をかけることができるので好ましく、前記導電性基体が前記導電性高分子複合構造体と同じ形状をしていることが容易に素子全体に十分な電位をかけることができるので好ましい。
前記導電性高分子複合構造体は、形状が特に限定されるものではなく、円柱状、角柱状、板状、シート状、管状、筒状等の用途に応じた所望の形状にすることができる。例えば、前記導電性高分子複合構造体を図1に示すように筒状の形状としてもよく、図3に示すように膜状の形状としても良い。
また、前記導電性高分子複合構造体は、素子のサイズが大きくて加工を容易に行うことができる場合においては、用途に応じた所望の形状にするたに加工を施してもよい。例えば、円柱状の導電性高分子複合構造体を得るために、図3に示す膜状の導電性高分子複合構造体を捲回することにより円柱状の導電性高分子複合構造体としても良く、図1の筒状の導電性高分子複合構造体において導電性高分子を連通した空間部に充填することにより円柱状の導電性高分子複合構造体としても良い。さらに、図4に示すようにコイル型の金属製バネ部材をエキスパンダー様として、伸縮可能なように並列に固定した導電性基体の集合体と導電性高分子とを複合したり、金属メッシュとの導電性高分子複合構造体を積層してもよい良い。また用途に応じて所望の加工を施しても良い。
さらに、本発明の導電性高分子複合構造体において、導電性基体としてコイル型金属製バネ部材を用いた導電性高分子複合構造体を複数本束ねて集合体を形成し、その導電性高分子複合構造体の集合体を更に束ねることにより導電性高分子複合構造体の集合体群を形成することもできる。図5は、導電性基体としてコイル型金属製バネ部材を用いた円筒状の導電性高分子複合構造体の図である。図6は、図5に示した円筒状の導電性高分子複合構造体を束ねることにより得られた円柱状の導電性高分子複合構造体の集合体(導電性高分子複合構造体の1次集合体)についての一端の部分拡大斜視図である。図7は、図6に示した導電性高分子複合構造体の1次集合体を束ねることにより得られた円柱状の導電性高分子複合構造体の集合体群(導電性高分子複合構造体の2次集合体)についての一端の部分拡大斜視図である。図8は、図7に示した導電性高分子複合構造体の集合体群(導電性高分子複合構造体の2次集合体)を束ねることにより得られた導電性高分子複合構造体の集合体群の集合物(導電性高分子複合構造体の3次集合体)についての一端の部分拡大図である。
図5において、導電性高分子複合構造体12は、導電性基体としてコイル型金属製バネ部材の長さ方向の両端に金属線13、13’を接合し、金属線13及び/又は金属線13’を電源に接続し、公知の電解重合法により導電性高分子を導電性基体上に生成することにより得られた筒状の導電性高分子複合構造体である。図5では、導電性高分子複合構造体12は、両端に金属線を備えているがどちらか一方でも良い。
図6において、導電性高分子複合構造体の集合体14は、導電性高分子複合構造体12を束ねることにより得られた導電性高分子複合構造体の1次集合体である。導電性高分子複合構造体の集合体とすることにより、アクチュエータとして駆動させた際に、導電性高分子複合構造体に比べてより大きな発生力を得ることができる。導電性高分子複合構造体の集合体を得るために導電性高分子複合構造体を束ねる方法としては、公知の線状体を束ねる方法であれば特に限定されるものではない。図6の実施態様においては、導電性高分子複合構造体12の端部に備えてある金属線13は、束ねられて金属線束15を形成している。金属線束を金属線が束ねられた状態として固定する方法としては、特に限定されるものではなく、金属線束の外周部分に接着剤等により被膜を形成しても、金属線をよじることにより金属線が束ねられた状態を固定化しても良い。なお、導電性高分子複合構造体の集合体は、導電性高分子複合構造体が束ねられた状態を容易に形成するために、導電性高分子複合構造体の両端の金属線を束ねて固定化した金属線束を、両端に備えていることが好ましい。また、前記の導電性高分子複合構造体の集合体をアクチュエータとするために、導電性高分子複合構造体に電圧を印加する際には、導電性高分子複合構造体の両端の金属線に電圧を印加しても、どちらか一端の金属線に印加しても良い。
図7において、導電性高分子複合構造体の集合体群16は、導電性高分子複合構造体の集合体14を束ねることにより得られた導電性高分子複合構造体の2次集合体である。導電性高分子複合構造体の集合体群とすることにより、アクチュエータとして駆動させた際に、導電性高分子複合構造体の集合体に比べてより大きな発生力を得ることができる。導電性高分子複合構造体の集合体群を得るために導電性高分子複合構造体の集合体を束ねる方法としては、公知の線状体を束ねる方法であれば特に限定されるものではない。また、図7においては、導電性高分子複合構造体の集合体14が備える金属線束15を束ねることにより、金属線束群17が形成されている。金属線束群を金属線束が束ねられた状態として固定する方法としては、特に限定されるものではなく、金属線束群の外周部分に接着剤等により被膜を形成しても、金属線束をよじることにより金属線束が束ねられて群を形成している状態として固定化しても良い。
図8において、7本の導電性高分子複合構造体の集合体群16は、更に束ねられて、導電性高分子複合構造体の集合体群の集合物18を形成している。導電性高分子複合構造体の集合体群の集合物とすることにより、アクチュエータとして駆動させた際に必要な発生力に応じて導電性高分子複合構造体の集合体群を組み合わせることにより、所望の発生力を得ることができる。
図9は、前記の導電性高分子複合構造体の集合体を用いたアクチュエータの駆動部材23についての一態様を示す図である。4つの導電性高分子複合構造体の集合体19は、固定部材20、20’に備えられた孔に嵌入され、接着剤等で固定される。4つの導電性高分子複合構造体の集合体に備えられた金属線は、束ねられて金属線群21を形成し、リードを介して電源へと接続される。固定部材20’に備えられた掛け部22には、動作対象物に設置されたワイヤー等を接続する。駆動部材23を電解液中に浸漬したり、固体電解質を導電性高分子複合構造体の集合体に接するように設置して固体電解質及び駆動部材を樹脂等により被覆することにより、アクチュエータを形成することができる。導電性高分子複合構造体に電圧を印加することにより導電性高分子複合構造体が伸縮をし、掛け部に接続されたワイヤー等が牽引されて、対象物を動かすことができる。図9においては前記集合体が並列に4本配置されているが、アクチュエータの駆動部材に用いられる集合体は、使用本数が特に限定されるものではなく、必要な発生力に応じて約1000本などの100本以上の本数を用いることができ、大型の駆動装置に適用するアクチュエータに用いるためには前記集合体を100本以上用いることがより大きな発生力を得ることができるので好ましい。前記集合体の配置は、円筒状、円柱状、角柱状を形成させてもよく、例えば約600本の前記集合体を並列に配置して円筒状を形成することができる。なお、前記固定部材は、前記集合体の配置位置を固定するとともに、導電性高分子複合構造を前記固定部材に固定化することにより体集合体を束ねる効果を発揮することができる。
(導電性基体)
本発明の導電性高分子複合構造体に含まれる導電性基体は、前記導電性基体が伸縮性を有し、前記導電性基体の形態が、バネ状、網目状、または繊維構造シートであり、前記導電性基体の導電率が1.0×10S/cm以上である。前記導電性基体の導電率が1.0×10S/cm以上であることにより、前記導電性基体を含む導電性高分子複合構造体のサイズを大きくしても、アクチュエータとして実用可能な伸縮等の変位をすることが可能となる。
前記導電性基体は、伸縮性を発揮し、導電率が1.0×10S/cm以上であれば、材質が特に限定されるものではない。前記材質は、導電性及び機械的強度の面から見て、金属、金属メッキした高分子繊維、及び炭素材料であることが好ましい。前記導電性基体の構造は、導電性基体が金属等の非伸縮性の材料を含むことによって導電率1.0×10S/cm以上の導電性を有する場合には、伸縮可能な構造とすることが好ましい。導電性基体が伸縮可能であることにより、導電性基体が導電性高分子と複合化された導電性高分子複合構造体は、アクチュエータとして実用可能な伸縮等の変位を得ることができる。また、前記導電性高分子複合構造体は、導電性基体が前記導電性高分子複合構造体において芯材としても機能し得ることから、機械的強度も向上できる。
前記伸縮可能な構造は、板状や直線線分状の構造と異なり、コイル型ばね、板ばね及びメッシュの様に縦断面において導電性基体を構成する部材間に空間を有する構造を備えた構造である。前記伸縮可能な構造としては、バネ状部材、網目状部材、繊維構造シートである。
前記伸縮可能な構造がバネ状部材である場合には、伸縮可能な構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、導電性基体として巻きばね、板ばね、コイル型ばねを用いることができる。
前記伸縮可能な構造が網目状部材である場合には、伸縮可能な構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、網目の空所部分が四角形、六角形、八角形等の多角形である網目状部材を用いることができる。前記空所部分は、特に限定されるものではないが、一方向にのみ伸縮が生じやすい形状である場合には特定の方向にのみ伸縮を制御することが可能な導電性高分子複合構造体を得ることができ、六角形等の多方向に伸縮しやすい形状である場合には上下左右等の他方向に伸縮することが可能な導電性高分子複合構造体を得るのに好適である。
前記網目状部材は、金属メッシュに代表されるように網目の空所部分を備えた単独層の網目状部材であってもよく、網目の空所部分を備えた層が複数積層された構造の網目状部材であってもよい。前記空所部分が六角形状である場合には、前記網目状部材は、ハニカム状に空所が形成されたハニカム型構造体であっても良い。
また、前記伸縮可能な構造としては、伸縮可能な繊維構造シートである。前記繊維構造シートとしては、編物、織物、不織布のいずれであっても良く、シートの構造、糸の特性、糸の構造などの作用で伸縮性を発揮するものであっても良いが、伸縮性のある天竺編み、ゴム編み、パール編み、またはそれらの組合わせからなる緯編による編地の繊維構造シートが伸縮性を得やすいために好ましい。
前記導電性基体の構造がバネ状部材または網目状部材である場合には、導電性基体は、導電性金属で形成されていても良く、メッキ等により芯材が導電性金属で被覆されていても良い。前記導電性基体が繊維構造シートである場合には、メッキ等により繊維構造シートを構成する繊維が導電性金属で被覆されていることが好ましい。
本発明の導電性高分子に含まれる導電性基体の導電性は、導電性基体として1.0×10S/cm以上の導電率を示すものであれば良く、導電性金属やカーボン等の導電性材料で形成されていても良く、メッキ等により表面が導電性金属やカーボン等の導電性材料で被覆されていても良い。前記導電性基体の導電率が1.0×10S/cm以上であることにより、さらに、長さ方向または高さ方向にサイズを大きくした導電性高分子複合構造体の場合であっても、伸縮等の変位をするのに十分な電位を素子全体にかけることができる。導電性金属を含む導電性基体としては、Ag、Ni、Ti、Au、Pt、W等の金属やSUS等の合金を用いることができる。特に、前記導電性基体は、大きな伸縮性能をもつ導電性高分子を得るために、Pt、W、Ni、Ta等の元素についての金属単体を含むことが好ましく、W、Ni合金が特に好ましい。
(導電性高分子)
本発明の導電性高分子複合構造体に含まれる導電性高分子は、公知の導電性高分子を用いることができ、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフェニレンなどを用いることができる。特に前記導電性高分子として、分子鎖にピロール及び/またはピロール誘導体を含む導電性高分子であることが、製造が容易であり、導電性高分子として安定であるだけではなく、電解伸縮性能に優れているために好ましい。また、前記導電性高分子は、電解伸縮において優れた1酸化還元サイクル当たりの伸縮率を示し、特定時間あたりの変位率をも示すことができるために、トリフルオロメタンスルホン酸イオン及び/または中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンを、ドーパントとして含むことが好ましい。
(積層体)
本発明は、導電性高分子含有層と固体電解質層とを含む積層体であって、前記導電性高分子含有層が導電性基体と導電性高分子とを含む導電性高分子複合構造を備え、前記導電性基体が伸縮性を有し、前記導電性基体の形態が、バネ状、網目状、または繊維構造シートであり、前記導電性基体の導電率が1.0×10S/cm以上である積層体でもある。前記積層体が前記導電性高分子含有層と前記固体電解質層を含むことにより、前記固体電解質層中の電解質が前記導電性高分子含有層に供給され、液体の電解液中ではなくてもアクチュエータとして伸縮若しくは屈曲の変位をすることができる。前記積層体中の前記導電性高分子含有層と固体電解質層とは、直接接していることが好ましいが、前記固体電解質中の電解質を前記導電性高分子に移動させることができるのであれば、他の層を間に介していても良い。例えば、第1図の筒状の導電性高分子複合構造体において、連通した空間部に固体電解質を充填することにより円柱状の前記積層体としても良い。また、円柱状の固体電解質の外面に第3図の導電性高分子複合構造体を巻きつけることにより円柱状の前記積層体とすることもできる。
(導電性高分子の製造方法)
本発明は、導電性基体を作用電極として電解重合を行うことを特徴とする導電性高分子の製造方法であって、前記導電性基体が伸縮性を有し、前記導電性基体の導電率が1.0×10S/cm以上であることを特徴とする導電性高分子の製造方法である。本発明の導電性高分子の製造方法を用いることにより、作用電極である伸縮性を有する導電性基体上で導電性高分子が電解重合され、導電性基体と導電性高分子とが複合化された構造を備えた導電性高分子複合構造体を容易に得ることができる。
前記導電性基体は、用途に応じた所望の形状を得るために、その形状の輪郭と同様の形状を概形の輪郭とする導電性基体を作用電極とすることにより、容易に所望の形状の得ることができるので好ましい。例えば、筒状の導電性高分子複合構造体を得る場合に、概形の輪郭が筒状であるコイル型の金属製バネ状部材を導電性基体とすることにより、電解重合により加工を施さずに筒状の導電性高分子複合構造体を得ることができる。
本発明の導電性高分子の製造方法において、電解重合時の作用電極としてコイル型の金属製バネ状部材を用いた場合には、図1に示す筒状の導電性高分子複合構造体を得ることができる。電解重合において、作用電極であるコイル型の金属製バネ状部材に電圧を印加することにより、コイル型の金属製バネ状部材の線材表面に導電性高分子が重合され、作用電極表面から導電性高分子が成長する。この成長により、図2に示すようにコイル型の金属製バネ状部材を構成する線材の間の空間が埋められて、図1の円筒状の導電性高分子複合体を得ることができる。
図3の導電性高分子複合構造体は、本発明の導電性高分子の製造方法において、電解重合時の作用電極として金属メッシュを用いた場合である。電解重合において、作用電極である金属メッシュに電圧を印加することにより、金属メッシュの線材表面に導電性高分子が得られ始め、導電性高分子が成長する。この成長により、作用電極としてコイル状のばねを用いた場合と同様に、金属メッシュを構成する線材の間の空間が埋められて、図3の板状の導電性高分子複合体を得ることができる。
本発明の導電性高分子の製造方法において、作用電極として用いられる導電性基体は、特にサイズが限定されるものではなく、50mm×50mm角以上の金属メッシュや外径が3mm以上のコイル型の金属製バネ状部材などの大型の導電性基体を用いても良く、数十μm径のコイル型の金属製バネ状部材等の小型の導電性基体を用いても良い。本発明の導電性高分子の製造方法は、導電性高分子複合構造体の製造方法であって、特に、大型のアクチュエータ素子または小型のアクチュエータ素子として使用可能な導電性高分子複合構造体を容易に得るための導電性高分子複合構造体の製造方法として好適に用いることができる。小型のアクチュエータ素子を得る場合において、導電性高分子膜のみでは加工に際して機械的強度が十分ではないために、電解重合により得られた導電性高分子膜を外径または幅が1mm未満のアクチュエータ素子、特に外径または幅が500μm未満のアクチュエータ素子に加工することは難しく、100μm未満である数十μm径の円柱状のアクチュエータ素子に加工することはさらに難しい。しかし、本発明の導電性高分子の製造方法は、得られる導電性高分子複合構造体が目的のアクチュエータ素子のサイズ及び形状となるように、あらかじめ導電性基体を選択して本発明の導電性高分子の製造方法を行うことにより、加工すること無しに外径または幅が1mm未満である導電性高分子の電解伸縮により伸縮または屈曲の駆動をするアクチュエータ素子を得ることができる。また、大型の素子についても、本発明の導電性高分子の製造方法で作用電極に大型の導電性基体を用いて導電性高分子を電解重合すれば、大型のアクチュエータ素子として用いることができる導電性高分子複合構造体を容易に得ることができる。
(電解重合条件)
本発明の導電性高分子の製造方法において用いられる電解重合法は、導電性高分子単量体の電解重合として、公知の電解重合方法を用いることが可能である。従って、公知の電解液、公知の導電性高分子単量体を用いることができ、また定電位法、定電流法及び電気掃引法のいずれをも用いることができる。例えば、前記電解重合は、電流密度0.01〜20mA/cm2、反応温度−70〜80℃、好ましくは電流密度0.1〜2mA/cm、反応温度−40〜40℃の条件下で行うことが好ましく、反応温度が−20〜30℃の条件であることがより好ましい。
本発明の導電性高分子の製造方法においては、電解重合法に用いられる電解液として、公知の溶媒を用いることができ、より大きな1酸化還元サイクル当たりの伸縮率を得るためにエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン基及びニトリル基のうち少なくとも1つ以上の結合あるいは官能基を含む有機化合物及び/又はハロゲン化炭化水素を溶媒として用いることが好ましい。また、前記電解液中に、公知のドーパントを含んでいても良く、より大きな1酸化還元サイクル当たりの伸縮率を得るためにトリフルオロメタンスルホン酸イオン及び/または中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンを含むことが好ましい。
また、前記電解液中に、公知のドーパントを含んでいても良く、より大きな1酸化還元サイクル当たりの伸縮率を得るためにトリフルオロメタンスルホン酸イオン及び/または中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンを含むことが好ましい。更に、得られた導電性高分子の1酸化還元サイクル当たりの伸縮率が16%以上とするために、前記電解液としてアニオンとして、上記のトリフルオロメタンスルホン酸イオン及び/または中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンの替りに、化学式(1)
(C(2n+1)SO)(C(2m+1)SO)N- (1)
(ここで、n及びmは任意の整数。)
で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを含む電解液を用いることが好ましい。
本発明の導電性高分子の製造方法において、電解重合法に用いられる電解液に含まれる導電性高分子の単量体としては、電解重合による酸化により高分子化して導電性を示す化合物であれば特に限定されるものではなく、例えばピロール、チオフェン、イソチアナフテン等の複素五員環式化合物及びそのアルキル基、オキシアルキル基等の誘導体が挙げられる。その中でもピロール、チオフェン等の複素五員環式化合物及びその誘導体が好ましく、特にピロール及び/またはピロール誘導体を含む導電性高分子であることが、製造が容易であり、導電性高分子として安定であるために好ましい。また、上記モノマーは2種以上併用することができる。
(電解伸縮)
本発明の導電性高分子複合構造体は、電解伸縮させるための電解液中に支持電解質が特に限定されるものではないが、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオン及び炭素数3以下のスルホン酸塩からなる群より少なくとも1以上選ばれた化合物を支持電解質として含む電解液とするが好ましい。トリフルオロメタンスルホン酸イオン、中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオン及び炭素数3以下のスルホン酸塩からなる群より少なくとも1以上選ばれた化合物を支持電解質とすることにより、1酸化還元サイクル当たりについてさらに大きな伸縮を得ることができるからである。
前記導電性高分子複合構造体を伸縮させるために電解液に動作電解質として含まれるトリフルオロメタンスルホン酸イオンは、化学式CFSO で表される化合物である。また、中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンは、ホウ素、リン、アンチモン及びヒ素等の中心原子に複数のフッ素原子が結合をした構造を有したイオンである。また、炭素数3以下のスルホン酸塩は、炭素数が3以下であるスルホン酸の塩であれば特に限定されず、例えばメタンスルホン酸ナトリウム、エタンスルホン酸ナトリウムを用いることができる。前記電解液が塩化ナトリウムを支持電解質として含む水溶液であってもよい。前記電解液は、生体成分に含まれる電解質である塩化ナトリウムを主として含むことにより、生体内の体液と前記電解液との互換が容易である状態で動作をさせることが可能である。
また、電解伸縮方法について、導電性高分子を動作させるための電解液が、
(C(2n+1)SO)(C(2m+1)SO)N
(ここで、n及びmは任意の整数。)を動作電解質として含む電解液とすることができる。電解重合法を用いた導電性高分子の製造方法であって、該電解重合法が化学式
(C(2n+1)SO)(C(2m+1)SO)N
(ここで、n及びmは任意の整数。)
で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを含む電解液を用いた導電性高分子の製造方法により得られた導電性高分子を含む導電性高分子複合構造体は、
(C(2n+1)SO)(C(2m+1)SO)N
(ここで、n及びmは任意の整数。)を動作電解質として含む電解液で電解伸縮させることが好ましい。前記導電性高分子複合構造体は、前記パーフルオロアルキルスルホニルイミドが動作電解液中にも含まれているために、導電性高分子成型品の電解伸縮における伸張時に取り込まれ易くなるので、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなどを含む電解液を用いた電解伸縮方法に比べて、1酸化還元サイクル当たりの優れた伸縮率を示し、さらには優れた特定時間あたりの変位率を示す。
(用途)
本発明の導電性高分子複合構造体及び積層体は、上述のように、変位を生じることができるのでアクチュエータ素子として用いることができる。本発明の導電性高分子複合構造体において、例えば、樹脂等による被覆がされていないものについては、電解液中で直線的な変位をすることができるアクチュエータ素子として用いることができる。本発明の積層体において、例えば、導電性高分子含有層を中間層とした際の上層下層のうち一方または両方の層が、導電性高分子含有層層の電解伸縮時の伸縮率と同等若しくはそれ以上の伸縮性を有する固体電解質層である場合には、直線的な変位をするアクチュエータ素子として用いることができる。また、本発明の積層体において、例えば、導電性高分子含有層を中間層とした際の上層下層のうち一方の層が、導電性高分子含有層の電解伸縮時の伸縮率よりも小さい伸縮性を有する固体電解質層若しくは樹脂層である場合には、導電性高分子層に比べて固体電解質層または樹脂層が伸び縮みしないので、屈曲の変位をするアクチュエータ素子として用いることができる。直線的な変位若しくは屈曲の変位を生じるアクチュエータ素子は、直線的な駆動力を発生する駆動部、または円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部として用いることができる。さらに、前記アクチュエータ素子は、直線的な動作をする押圧部として用いることもできる。
即ち、前記アクチュエータ素子は、OA機器、アンテナ、ベッドや椅子等の人を乗せる装置、医療機器、エンジン、光学機器、固定具、サイドトリマ、車両、昇降器械、食品加工装置、清掃装置、測定機器、検査機器、制御機器、工作機械、加工機械、電子機器、電子顕微鏡、電気かみそり、電動歯ブラシ、マニピュレータ、マスト、遊戯装置、アミューズメント機器、乗車用シミュレーション装置、車両乗員の押さえ装置及び航空機用付属装備展張装置において、直線的な駆動力を発生する駆動部若しくは円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部、または直線的な動作若しくは曲線的な動作をする押圧部として好適に用いることができる。前記アクチュエータ素子は、例えば、OA機器や測定機器等の上記機器等を含む機械全般に用いられる弁、ブレーキ及びロック装置において、直線的な駆動力を発生する駆動部もしくは円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部、または直線的な動作をする押圧部として用いることができる。また、前記の装置、機器、器械等以外においても、機械機器類全般において、位置決め装置の駆動部、姿勢制御装置の駆動部、昇降装置の駆動部、搬送装置の駆動部、移動装置の駆動部、量や方向等の調節装置の駆動部、軸等の調整装置の駆動部、誘導装置の駆動部、及び押圧装置の押圧部として好適に用いることができる。また、前記アクチュエータ素子は、関節装置における駆動部として、関節中間部材等の直接駆動可能な関節部または関節に回転運動を与える駆動部に好適に用いることができる。前記アクチュエータ素子は、切替え装置の駆動部、搬送物等の反転装置の駆動部、ワイヤ−等の巻取り装置の駆動部、牽引装置の駆動部、及び首振り等の左右方向への旋回装置の駆動部としても好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、CAD用プリンター等のインクジェットプリンターにおけるインクジェット部分の駆動部、プリンターの前記光ビームの光軸方向を変位させる駆動部、外部記憶装置等のディスクドライブ装置のヘッド駆動部、並びに、プリンター、複写機及びファックスを含む画像形成装置の給紙装置における紙の押圧接触力調整手段の駆動部として好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、電波天文用の周波数共用アンテナ等の高周波数給電部を第2焦点へ移動させるなどの測定部や給電部の移動設置させる駆動機構の駆動部、並びに、車両搭載圧空作動伸縮マスト(テレスコーピングマスト)等のマストやアンテナにおけるリフト機構の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、椅子状のマッサージ機のマッサージ部の駆動部、介護用又は医療用ベットの駆動部、電動リクライニング椅子の姿勢制御装置の駆動部、マッサージ機や安楽椅子等に用いられるリクライニングチェアのバックレスト・オットマンの起倒動自在にする伸縮ロッドの駆動部、椅子や介護用ベッド等における背もたれやレッグレスト等の人を乗せる家具における可倒式の椅子の背もたれやレッグレスト或いは介護用ベッドの寝台の旋回駆動等に用いられる駆動部、並びに、起立椅子の姿勢制御のため駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、検査装置の駆動部、体外血液治療装置等に用いられている血圧等の圧力測定装置の駆動部、カテーテル、内視鏡装置や鉗子等の駆動部、超音波を用いた白内障手術装置の駆動部、顎運動装置等の運動装置の駆動部、病弱者用ホイストのシャシの部材を相対的に伸縮させる手段の駆動部、並びに、介護用ベッドの昇降、移動や姿勢制御等のための駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、エンジン等の振動発生部からフレーム等の振動受部へ伝達される振動を減衰させる防振装置の駆動部、内燃機関の吸排気弁のための動弁装置の駆動部、エンジンの燃料制御装置の駆動部、並びにディーゼルエンジン等のエンジンの燃料供給装置の駆動部として好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、手振れ補正機能付き撮像装置の校正装置の駆動部、家庭用ビデオカメラレンズ等のレンズ駆動機構の駆動部、スチルカメラやビデオカメラ等の光学機器の移動レンズ群を駆動する機構の駆動部、カメラのオートフォーカス部の駆動部、カメラ、ビデオカメラ等の撮像装置に用いられるレンズ鏡筒の駆動部、光学望遠鏡の光を取り込むオートガイダの駆動部、立体視カメラや双眼鏡等の2光学系を有する光学装置のレンズ駆動機構または鏡筒の駆動部、光通信、光情報処理や光計測等に用いられるファイバ型波長可変フィルタの波長変換のファイバに圧縮力を与える駆動部若しくは押圧部、光軸合せ装置の駆動部、並びに、カメラのシャッタ機構の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、ホース金具をホース本体にカシメ固定する等の固定具の押圧部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、自動車のサスペンションの巻ばね等の駆動部、車両のフューエルフィラーリッドを解錠するフューエルフィラーリッドオープナーの駆動部、ブルドーザーブレードの伸張及び引っ込みの駆動の駆動部、自動車用変速機の変速比を自動的に切り替える為やクラッチを自動的に断接させる為の駆動装置の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、座板昇降装置付車椅子の昇降装置の駆動部、段差解消用昇降機の駆動部、昇降移載装置の駆動部、医療用ベッド、電動ベッド、電動テーブル、電動椅子、介護用ベッド、昇降テーブル、CTスキャナ、トラックのキャビンチルト装置、リフター等や各種昇降機械装置の昇降用の駆動部、並びに重量物搬送用特殊車両の積み卸し装置の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、食品加工装置の食材吐出用ノズル装置等の吐出量調整機構の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、清掃装置の台車や清掃部等の昇降等の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、面の形状を測定する3次元測定装置の測定部の駆動部、ステージ装置の駆動部、タイヤの動作特性を検知システム等のセンサー部分の駆動部、力センサーの衝撃応答の評価装置の初速を与える装置の駆動部、孔内透水試験装置を含む装置のピストンシリンダのピストン駆動装置の駆動部、集光追尾式発電装置における仰角方向へ動かすための駆動部、気体の濃度測定装置を含む測定装置のサファイアレーザー発振波長切替機構のチューニングミラーの振動装置の駆動部、プリント基板の検査装置や液晶、PDPなどのフラットパネルディスプレイの検査装置においてアライメントを必要とする場合にXYθテーブルの駆動部、電子ビーム(Eビーム)システム又はフォーカストイオンビーム(FIB)システムなどの荷電粒子ビームシステム等において用いる調節可能なアパーチャー装置の駆動部、平面度測定器における測定対象の支持装置若しくは検出部の駆動部、並びに、微細デバイスの組立をはじめ、半導体露光装置や半導体検査装置、3次元形状測定装置などの精密位置決め装置の駆動部に好適に使用できる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、電気かみそりの駆動部、並びに、電動歯ブラシの駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、三次元物体の撮像デバイス或いはCD、DVD共用の読み出し光学系の焦点深度調整用デバイスの駆動部、複数のアクチュエータ素子によって駆動対象面を能動曲面としてその形状を変形させることによって所望の曲面を近似的に形成して焦点位置を容易に可変できる可変ミラーの駆動部、光ピックアップ等の磁気ヘッドの少なくとも一方を有する移動ユニットを直線移動させることが可能なディスク装置の駆動部、リニアテープストレージシステム等の磁気テープヘッドアクチュエータアセンブリのヘッド送り機構の駆動部、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリなどに適用される画像形成装置の駆動部、磁気ヘッド部材等の搭載部材の駆動部、集束レンズ群を光軸方向に駆動制御する光ディスク原盤露光装置の駆動部、光ヘッドを駆動するヘッド駆動手段の駆動部、記録媒体に対する情報の記録又は記録媒体に記録された情報の再生を行う情報記録再生装置の駆動部、並びに、回路しゃ断器(配電用回路しゃ断器)の開閉操作の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、ゴム組成物のプレス成形加硫装置の駆動部、移送される部品について単列・単層化や所定の姿勢への整列をさせる部品整列装置の駆動部、圧縮成形装置の駆動部、溶着装置の保持機構の駆動部、製袋充填包装機の駆動部、マシニングセンタ等の工作機械や射出成形機やプレス機等の成形機械等の駆動部、印刷装置、塗装装置やラッカ吹き付け装置等の流体塗布装置の駆動部、カムシャフト等を製造する製造装置の駆動部、覆工材の吊上げ装置の駆動部、無杼織機における房耳規制体等の駆動装置、タフティング機の針駆動システム、ルーパー駆動システム、およびナイフ駆動システム等の駆動部、カム研削盤や超精密加工部品等の部品の研磨を行う研磨装置の駆動部、織機における綜絖枠の制動装置の駆動部、織機における緯糸挿通のための経糸の開口部を形成する開口装置の駆動部、半導体基板等の保護シート剥離装置の駆動部、通糸装置の駆動部、CRT用電子銃の組立装置の駆動部、衣料用縁飾り、テーブルクロスやシートカバー等に用途をもつトーションレースを製造するためのトーションレース機におけるシフターフォーク駆動選択リニア制御装置の駆動部、アニールウィンドウ駆動装置の水平移動機構の駆動部、ガラス溶融窯フォアハースの支持アームの駆動部、カラー受像管の蛍光面形成方法等の露光装置のラックを進退動させる駆動部、ボールボンディング装置のトーチアームの駆動部、ボンディングヘッドのXY方向への駆動部、チップ部品のマウントやプローブを使った測定などにおける部品の実装工程や測定検査工程の駆動部、基板洗浄装置の洗浄具支持体の昇降駆動部、ガラス基板を走査される検出ヘッドを進退させる駆動部、パターンを基板上に転写する露光装置の位置決め装置の駆動部、精密加工などの分野においけるサブミクロンのオーダで微小位置決め装置の駆動部、ケミカルメカニカルポリシングツールの計測装置の位置決め装置の駆動部、導体回路素子や液晶表示素子等の回路デバイスをリソグラフィ工程で製造する際に用いられる露光装置及び走査露光露光装置に好適なステージ装置の位置決めのための駆動部、ワーク等の搬送あるいは位置決め等の手段の駆動部、レチクルステージやウエハステージ等の位置決めや搬送のための駆動部、チャンバ内の精密位置決めステージ装置の駆動部、ケミカルメカニカルポリシングシステムでのワークピースまたは半導体ウェーハの位置決め装置の駆動部、半導体のステッパー装置の駆動部、加工機械の導入ステーション内に正確に位置決めする装置の駆動部、NC機械やマシニングセンター等の工作機械等またはIC業界のステッパーに代表される各種機器用のパッシブ除振及びアクティブ除振の除振装置の駆動部、半導体素子や液晶表示素子製造のリソグラフィ工程に使用されるの露光装置等において光ビーム走査装置の基準格子板を前記光ビームの光軸方向に変位させる駆動部、並びに、コンベヤの横断方向に物品処理ユニット内へ移送する移送装置の駆動部に好適に使用できる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、電子顕微鏡等の走査プローブ顕微鏡のプローブの位置決め装置の駆動部、並びに、電子顕微鏡用試料微動装置の位置決め等の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、自動溶接ロボット、産業用ロボットや介護用ロボットを含むロボットまたはマニピュレータにおけるロボットアームの手首等に代表される関節機構の駆動部、直接駆動型以外の関節の駆動部、ロボットの指のそのもの、ロボット等のハンドとして使用されるスライド開閉式チャック装置の運動変換機構の駆動部、細胞微小操作や微小部品の組立作業等において微小な対象物を任意の状態に操作するためのマイクロマニピュレータの駆動部、開閉可能な複数のフィンガーを有する電動義手等の義肢の駆動部、ハンドリング用ロボットの駆動部、補装具の駆動部、並びにパワースーツの駆動部に好適に用いることができる
前記アクチュエータ素子は、例えば、サイドトリマの上回転刃又は下回転刃等を押圧する装置の押圧部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、パチンコ等の遊戯装置における役物等の駆動部、人形やペットロボット等のアミューズメント機器の駆動部、並びに、乗車用シミュレーション装置のシミュレーション装置の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、上記機器等を含む機械全般に用いられる弁の駆動部に用いることができ、例えば、蒸発ヘリウムガスの再液化装置の弁の駆動部、ベローズ式の感圧制御弁の駆動部、綜絖枠を駆動する開口装置の駆動部、真空ゲート弁の駆動部、液圧システム用のソレノイド動作型制御バルブの駆動部、ピボットレバーを用いる運動伝達装置を組み込んだバルブの駆動部、ロケットの可動ノズルのバルブの駆動部、サックバックバルブの駆動部、並びに、調圧弁部の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、上記機器等を含む機械全般に用いられるブレーキの押圧部として用いることができ、例えば、非常用、保安用、停留用等のブレーキやエレベータのブレーキに用いて好適な制動装置の押圧部、並びに、ブレーキ構造もしくはブレーキシステムの押圧部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータ素子は、例えば、上記機器等を含む機械全般に用いられるロック装置の押圧部として用いることができ、例えば、機械的ロック装置の押圧部、車両用ステアリングロック装置の押圧部、並びに、負荷制限機構及び結合解除機構を合わせ持つ動力伝達装置の押圧部に好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
モノマーであるピロールと表1に記載されたドーパントイオンの塩とを表1に記載の溶媒に公知の撹拌方法により溶解して電解液を調製した。この電解液はモノマー濃度が0.25mol/lであり、かつ表1のドーパント塩が0.5mol/lである。この電解液を用い、作用電極及び対向電極を設定して重合電流密度0.2mA/cmの定電流法により電解重合を行うことにより、表1に示す形状の実施例1の導電性高分子複合構造体を得た。前記作用電極には、表1の導電性基体(金属メッシュ、商品名「Auアミ 0.1mmφ、100メッシュ」、(株)徳力本店社製)を用いた。前記対向電極には、市販のPt電極を用いた。なお、表中「−」は、該当する事項が無かったことを表示するものである。
(実施例2)
表1の導電性基体(金属メッシュ、Niメッシュ(0.05mmφ、200メッシュ)、(株)レアメタリック社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の導電性高分子複合構造体を得た。
(実施例3〜8)
表1または表2のコイル型のばね部材である導電性基体を用い、表1または表2の溶媒とドーパント塩を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3〜8の導電性高分子複合構造体を得た。なお、実施例3に用いたコイル型のばね部材には「Niワイヤー 線径0.10mmφ」((株)レアメタリック社製)を用いて表1の特徴として形成されたばね部材を用い、実施例4に用いたコイル型のばね部材は商品名「SUS/Niメッキコイル 外径0.5mmφ、線径40mmφ、ピッチ110μm」(日本ケーブル・システム社製)を用いた。実施例5に用いたコイル型のバネ部材は、「Pt/Wコイル、外径0.5mmφ、線径40μmφ、ピッチ110μm」(日本ケーブル・システム社製)を用いた。また、実施例6及び8においては、「Wコイル、外径0.25mm、線径0.03mm、ピッチ60μm」(日本ケーブル・システム社製)を用いた。実施例7においては、商品名「Inconel X750」(Ni合金、日本ケーブル・システム社製)を用いた。
(比較例1〜4)
モノマーであるピロールと表1または表2に記載されたドーパントイオンの塩とを表1または表2に記載の溶媒に公知の撹拌方法により溶解し、モノマー濃度が0.25mol/lであり、かつ表1または表2のドーパント塩が0.5mol/lである電解液を調製した。この電解液に作用電極としてITO電極板を用い、対向電極としてPt電極を用いて、重合電流密度0.2mA/cmの定電流法により電解重合を行うことにより、作用電極上に導電性高分子を得た。得られた導電性高分子をITO電極板から剥離することにより膜状の導電性高分子膜を得た。
なお、表中の「−」は、該当する事項が無かったことを表示するものである。表中において、DMRとは1,2−ジメトキシエタンを表し、TBABFとはテトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム塩を表す。また、表中の導電性高分子複合構造体及び導電性高分子膜の導電率については、導電率測定器(4探針測定法、商品名「低抵抗率計 Loresta−GP」、三菱化学(株)社製)を用いて測定した。
Figure 0004048236
Figure 0004048236


Figure 0004048236
(評価)
〔伸縮性〕
実施例1〜8の導電性高分子複合構造体、並びに比較例1〜4の導電性高分子膜を用いて、表1に記載の長さの素子を得た。前記素子を表1に記載の支持電解質を1mol/lとなるように水に溶解した電解液中にそれぞれ保持して、下記の方法により1酸化還元サイクル当たりの伸縮率を測定した。実施例1及び2の導電性高分子複合構造体並びに比較例1〜4の導電性高分子膜より得られた素子の幅は2mmとした。
実施例1〜8の導電性高分子複合構造体並びに比較例1〜4の導電性高分子膜より得られた素子を動作電極とし、動作電極を前記電解液中に保持した。白金プレートを対向電極とし、それぞれ電極の端部に、リードを介して電源と接続して、電位(−0.9〜+0.7V v.s. Ag/Ag)を1サイクル印加して変位量(変位した長さ)を測定した。動作電極が1サイクルの印加(1酸化還元サイクル)で伸長と収縮とをすることにより得られた変位の差(伸縮率)を下記基準で評価した。結果を表1及び表2に示す。
〔伸縮性の評価基準〕
◎:伸縮率が優れ、アクチュエータ素子として伸縮性に優れている。
○:伸縮率が良好であり、アクチュエータ素子として実用可能な伸縮性である。
△:伸縮率が小さく、アクチュエータ素子として実用に適していない。
×:伸縮しない。
〔機械的強度〕
同様の形状である、実施例1及び2の導電性高分子複合構造体と比較例1〜4の導電性高分子膜について、商品名「デジタルゲージ9810」(アイコーエンジニアリング(株)社製)を用いて、機械的強度(引張り強度)を測定した。結果を表3に示す。
(結果)
実施例1及び2の導電性高分子複合構造体より得られた素子は、比較例1の素子の長さ(15mm)よりも長い膜状の素子であるが、アクチュエータ素子として実用可能な伸縮性を示した。一方、導電性高分子膜である比較例2の素子においては、実施例1及び2の素子のサイズが同じであるが、導電性基体を含まないために素子の伸縮率が小さく、アクチュエータ素子として実用に適していなかった。また、比較例1の素子は、優れた伸縮性を示し、アクチュエータ素子としても優れているが、サイズが従来の長さであるために小さく、大型の用途には適していなかった。
実施例3〜8の導電性高分子複合構造体より得られた素子は、比較例1の素子の長さ(15mm)よりも長い円筒状の素子であるが、導電性基体を含んでいるために、比較例1の素子と同等の優れた伸縮性を示し、アクチュエータ素子としても優れていた。
実施例1〜8の導電性高分子複合構造体は、導電率が1×10S/cm以上であり、比較例1及び2の導電性高分子膜に比べて導電率が10倍以上高い。このために、本発明の導電性高分子複合構造体をアクチュエータ素子として用いた場合には、アクチュエータ素子は、サイズを大きくしても伸縮等の変位をするのに十分な電位を素子全体に与えることが可能であり、ロボットハンドの駆動部等の大きなサイズのアクチュエータとして十分な実用性を備えている。
実施例1及び2の導電性高分子複合構造体は、53MPa及び111MPaであり優れた機械的強度を示した。一方、比較例1及び2の導電性高分子膜についての機械的強度は、17MPaであった。実施例1及び2の導電性高分子複合構造体は、同じ形状(膜状)である比較例1及び2の導電性高分子膜に比べて約3倍及び約7倍の機械的強度を示し、機械的強度が大きく向上した。
また、比較例3については、素子の長さが15mmの場合には伸縮性が優れている。しかし、比較例3と同じ組成の導電性高分子を用いて素子の長さを長くした場合には、それぞれ比較例4に示したように、伸縮特性は低下する。また、比較例3及び4については、機械的強度についても、形状が同様の膜状である実施例1及び2に比べて著しく低い。従って、実施例1及び2は、比較例1〜4に示した導電性高分子膜に比べて、伸縮性及び機械的強度に優れている。
また、実施例1〜8の導電性高分子複合構造体は、導電性基体を構成する線材の表面上に導電性高分子が形成されていることから、導電性基体の上に形成される導電性高分子の厚さの分だけ薄い、外径または幅の導電性基体を用いることにより、外径または幅が1mm未満の導電性高分子の電解伸縮により伸縮または屈曲の駆動をするアクチュエータ素子を容易に得ることができる。
本発明の導電性高分子複合構造体は、アクチュエータ素子に用いることにより、従来の導電性高分子の素子に比べて、サイズの大きな素子としても十分な伸縮等の変位をすることが可能であり、実用的な駆動をすることができるので、ロボットハンドや人工筋肉などのサイズの大きなアクチュエータ等の用途として好適である。特に、本発明の導電性高分子複合構造体は、位置決め装置、姿勢制御装置、昇降装置、搬送装置、移動装置、調節装置、調整装置、誘導装置、関節装置、切替え装置、反転装置、巻取り装置、牽引装置、及び旋回装置の駆動部、並びに押圧装置、加圧装置、握持装置、押出装置、折り曲げ装置、挟持装置、密着装置、及び当接装置の押圧部に好適に用いることができる。
本発明の導電性高分子複合構造体は、導電性基体と導電性高分子とを含み、前記導電性基体が連続した構造体であって前記導電性高分子複合構造体のほぼ全体に含まれている場合には、導電性高分子単独では製造が困難な外径または幅が1mm未満の小型のアクチュエータを製造することができる。前記導電性高分子複合構造体は、さらに500μm未満のアクチュエータ素子を製造することもでき、100μmである数十ミクロン径の小さなアクチュエータ素子をも製造することができる。また、本発明の導電性高分子の製造方法は、容易に導電性高分子複合構造体を得ることができるので、導電性高分子複合構造体の製造方法に好適である。
導電性基体にバネ状部材を用いた場合における本発明の導電性高分子複合構造体の模式的な斜視図。 図1の導電性高分子複合構造体の縦断面の部分拡大図。 導電性基体に金属メッシュを用いた場合における本発明の導電性高分子複合構造体の模式的な斜視図。 導電性基体に伸縮可能なように並列に固定した導電性基体の集合体を用いた場合における本発明の導電性高分子複合構造体の模式的な斜視図。 導電性基体としてコイル型金属製バネ部材を用いた円筒状の導電性高分子複合構造体の斜視図。 円柱状の導電性高分子複合構造体の集合体群についての一端の部分拡大斜視図。 円柱状の導電性高分子複合構造体の集合体群についての一端の部分拡大斜視図。 導電性高分子複合構造体の集合体群の集合物についての一端の部分拡大斜視図。 導電性高分子複合構造体の集合体を用いたアクチュエータの駆動部材23についての一態様を示す斜視図。
符号の説明
1 導電性高分子複合構造体(円筒状)
2 導電性高分子
3 導電性基体(バネ状部材)
4 導電性高分子複合構造体(膜状)
5 導電性高分子
6 導電性基体(金属メッシュ)
7 導電性高分子複合構造体(シート状)
8 導電性高分子
9 導電性基体(導電性基体の集合体)
10 通電可能な導電性基体の固定具
11 電圧印加用のリード
12 導電性高分子複合構造体
13、13’ 金属線
14 導電性高分子複合構造体の集合体
15 金属線束
16 導電性高分子複合構造体の集合体群
17 金属線束群
18 導電性高分子複合構造体の集合体群の集合物
19 導電性高分子複合構造体の集合体
20、20’ 固定部材
21 金属線群
22 掛け部
23 駆動部材

Claims (12)

  1. 導電性基体と導電性高分子とを含む導電性高分子複合構造体であって、
    前記導電性基体が伸縮性を有し、前記導電性基体の形態が、バネ状、網目状、または繊維構造シートであり、前記導電性基体の導電率が1.0×10S/cm以上である導電性高分子複合構造体。
  2. 導電性高分子含有層と固体電解質層とを含む積層体であって、
    前記導電性高分子含有層が導電性基体と導電性高分子とを含む導電性高分子複合構造を備え、前記導電性基体が伸縮性を有し、前記導電性基体の形態が、バネ状、網目状、または繊維構造シートであり、前記導電性基体の導電率が1.0×10S/cm以上である積層体。
  3. 請求項1記載の導電性高分子複合構造体を用いたアクチュエータ素子であって、
    前記アクチュエータ素子が、導電性高分子の電解伸縮により伸縮または屈曲に駆動するものであり、外径または幅が1mm未満であるアクチュエータ素子。
  4. 請求項2記載の積層体を用いたアクチュエータ素子であって、
    前記アクチュエータ素子が、導電性高分子の電解伸縮により伸縮または屈曲に駆動するものであり、外径または幅が1mm未満であるアクチュエータ素子。
  5. 導電性基体と導電性高分子とを含み、前記導電性基体が伸縮性を有し、前記導電性基体の形態が、網目状または繊維構造シートであり、前記導電性基体の導電率が1.0×10S/cm以上である導電性高分子複合構造体を、2以上束ねた導電性高分子複合構造体の集合体。
  6. 導電性基体と導電性高分子とを含み、前記導電性基体が伸縮性を有し、前記導電性基体の形態が、バネ状であり、前記導電性基体の導電率が1.0×10S/cm以上である導電性高分子複合構造体を、2以上束ねた導電性高分子複合構造体の集合体。
  7. 記導電性高分子複合構造体が円筒状体であり、前記集合体が該円筒状体の束状である請求項6に記載の導電性高分子複合構造体の集合体。
  8. 導電性基体を作用電極として電解重合を行う導電性高分子の製造方法であって、
    前記導電性基体が伸縮性を有し、前記導電性基体の形態が、バネ状、網目状、または繊維構造シートであり、前記導電性基体の導電率が1.0×10S/cm以上であることを特徴とする導電性高分子の製造方法。
  9. 請求項1の導電性高分子複合構造体を駆動部に用いた位置決め装置、姿勢制御装置、昇降装置、搬送装置、移動装置、調節装置、調整装置、誘導装置、関節装置、切替え装置、反転装置、巻取り装置、牽引装置、または旋回装置。
  10. 請求項1の導電性高分子複合構造体を押圧部に用いた押圧装置、加圧装置、握持装置、押出装置、折り曲げ装置、挟持装置、密着装置、または当接装置。
  11. 請求項2の積層体を駆動部に用いた位置決め装置、姿勢制御装置、昇降装置、搬送装置、移動装置、調節装置、調整装置、誘導装置、関節装置、切替え装置、反転装置、巻取り装置、牽引装置、または旋回装置。
  12. 請求項2の積層体を押圧部に用いた押圧装置、加圧装置、握持装置、押出装置、折り曲げ装置、挟持装置、密着装置、または当接装置。
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