本発明について、以下図を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(第一の発明)
本発明は、作動部、対極及び電解質を備えたアクチュエータであって、前記電解質を介して前記作動部と前記対極に電圧を印加するためのリードが前記作動部に複数接続され、前記リードのうちの少なくとも1つのリードが導電性の緩衝体を備えたアクチュエータである。以下、前記の本発明を第一の発明とする。
(第一の発明の一態様例)
図1は、第一の発明であるアクチュエータの第一の態様例についての縦断面図である。図1において、円柱状のアクチュエータ1は、膜状の作動部2と板状の対極3とを筐体4の内側に備えている。作動部2には、リード51、52、53がそれぞれ作動部表面上の接続部61、62、63を介して接続されている。前記リード52、53は、導電性の緩衝体71、72にそれぞれ繋がり、リードを介して外部電源8に接続される。対極3もリードを介して電源8に接続されている。電解質9は、作動部2と対極3に電圧を印加した際に、電解質9を介して電圧を印加できるように充填されている。
第一の発明のアクチュエータは、内側に作動部、対極及び電解質を含むことができれば、形状が特に限定されるものではなく、円筒状、四角柱状、多角柱状であっても良く、所望の形状とすることができる。
前記アクチュエータの筐体の材質は、特に限定されるものではなく、硬質プラスチック、金属、ガラス、セラミックス等の硬質材料でもよく、ウレタンゴム、シリコンゴム等の可撓性を有する材料でも良い。図1の筐体4の上部41及び底部42が作動部の伸縮に合わせて動く場合には、側壁面43が柔軟であることが好ましいので、前記アクチュエータの筐体の壁面を構成する材質は、可撓性を有する材料であることが好ましい。また、アクチュエータに耐衝撃性が要求される用途には、前記アクチュエータの筐体の壁面を構成する材料は、硬質材料であることが好ましい。
第一の発明における作動部は、導電性高分子を含み、導電性高分子の電解伸縮により作動部が伸縮するものであれば、特に限定されるものではなく、フィルム状、板状、円柱状、角柱状などの所望の形状とすることができる。前記導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフェニレンなど用いることができるが、分子鎖にピロール及び/またはピロール誘導体を含む導電性高分子であることが、製造が容易であり、導電性高分子として安定であるだけではなく、電解伸縮性能に優れているために好ましい。また、前記作動部は、導電性高分子膜の物理的強度が高いことから、電解重合法により得られた導電性高分子膜、または電解重合法により得られた導電性高分子膜の積層体であることが好ましい。また、前記作動部は、内部または表面に導電性金属基体を含む電解重合法により得られた導電性高分子膜、またはその積層体であることが好ましい。
前記作動部は、ドーパントとしてp−トルエンスルホン酸ナトリウムを含む導電性高分子のような従来の導電性高分子を含むものであっても良い。また、第一の発明のアクチュエータを大きな伸縮を必要とする用途に用いる場合には、前記作動部は、前記作動部に含まれる導電性高分子が、電解重合法により製造する導電性高分子の製造方法であって、前記電解重合法が、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン基及びニトリル基のうち少なくとも1つ以上の結合あるいは官能基を含む有機化合物及び/又はハロゲン化炭化水素を溶媒として含む電解液を用い、前記電解液がトリフルオロメタンスルホン酸イオン及び/または中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンを含む導電性高分子の製造方法により製造された導電性高分子であることが好ましい。前記作動部が前記製造方法により製造された導電性高分子を含む作動部である場合には、前記作動部の1酸化還元サイクル当たりの伸縮率を容易に3%以上とすることができ、アクチュエータを人工筋肉等の大きな伸縮率が要求される用途に用いることができる。また、前記電解液中に、公知のドーパントを含んでいても良く、より大きな1酸化還元サイクル当たりの伸縮率を得るためにトリフルオロメタンスルホン酸イオン及び/または中心原子に結合するフッ素原子を複数含むアニオンを含むことが好ましい。更に、得られた導電性高分子の1酸化還元サイクル当たりの伸縮率が16%以上とするために、前記電解液として、上記のトリフルオロメタンスルホン酸イオン及び/または中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンの替りに、化学式(1)
(CnF(2n+1)SO2)(CmF(2m+1)SO2)N- (1)
(ここで、n及びmは任意の整数。)
で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンをアニオンとして含む電解液を用いることが好ましい。
前記有機化合物としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン(以上、エーテル結合を含む有機化合物)、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸-t-ブチル、1,2−ジアセトキシエタン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、フタル酸ジエチル(以上、エステル結合を含む有機化合物)、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート(以上、カーボネート結合を含む有機化合物)、エチレングリコール、1−ブタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−オクタデカノール(以上、ヒドロキシル基を含む有機化合物)、ニトロメタン、ニトロベンゼン(以上、ニトロ基を含む有機化合物)、スルホラン、ジメチルスルホン(以上、スルホン基を含む有機化合物)、及びアセトニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル(以上、ニトリル基を含む有機化合物)を例示することができる。なお、ヒドロキシル基を含む有機化合物は、特に限定されるものではないが、多価アルコール及び炭素数4以上の1価アルコールであることが、伸縮率が良いために好ましい。なお、前記有機化合物は、前記の例示以外にも、分子中にエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン基及びニトリル基のうち、2つ以上の結合あるいは官能基を任意の組合わせで含む有機化合物であってもよい。前記有機化合物は、前記有機化合物を2種以上混合して用いても良い。
また、前記製造方法において、電解液に溶媒として含まれるハロゲン化炭化水素は、炭化水素中の水素が少なくとも1つ以上ハロゲン原子に置換されたもので、電解重合条件で液体として安定に存在することができるものであれば、特に限定されるものではない。
前記ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタンを挙げることができる。前記ハロゲン化炭化水素は、1種類のみを前記電解液中の溶媒として用いることもできるが、2種以上併用することもできる。また、前記ハロゲン化炭化水素は、上記の有機化合物と混合して用いてもよく、該有機溶媒との混合溶媒を前記電解液中の溶媒として用いることもできる。
前記電解重合法に用いられる電解液には、電解重合される有機化合物(例えば、ピロール)およびトリフルオロメタンスルホン酸イオン及び/または中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンを含む。この電解液を用いて電解重合を行うことにより、電解伸縮において1酸化還元サイクル当たりの伸縮率及び/または特定時間あたりの変位率が優れた導電性高分子を得ることができる。上記電解重合により、トリフルオロメタンスルホン酸イオン及び/または中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンが導電性高分子に取り込まれることになる。
前記トリフルオロメタンスルホン酸イオン及び/または中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンは、電解液中の含有量が特に限定されるものではないが、電解液中に0.1〜30重量%含まれるのが好ましく、1〜15重量%含まれるのがより好ましい。
トリフルオロメタンスルホン酸イオンは、化学式CF3SO3 −で表される化合物である。また、中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンは、ホウ素、リン、アンチモン及びヒ素等の中心原子に複数のフッ素原子が結合をした構造を有している。中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンとしては、特に限定されるものではないが、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 −)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 −)、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン(SbF6 −)、及びヘキサフルオロヒ酸イオン(AsF6 −)を例示することができる。なかでも、CF3SO3 −、BF4 −及びPF6 −が人体等に対する安全性を考慮すると好ましく、CF3SO3 −及びBF4 −がより好ましい。前記の中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンは、1種類のアニオンを用いても良く、複数種のアニオンを同時に用いても良く、さらには、トリフルオロメタンスルホン酸イオンと複数種の中心原子に対しフッ素原子を複数含むアニオンとを同時に用いても良い。
前記電解重合法に用いられる電解液には、前記有機化合物溶媒と前記トリフルオロメタンスルホン酸イオン及び/または中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンとの溶液中に、導電性高分子の単量体を含み、さらにポリエチレングリコールやポリアクリルアミドなどの公知のその他の添加剤を含むこともできる。
前記電解重合法は、導電性高分子単量体の電解重合として、公知の電解重合方法を用いることが可能であり、定電位法、定電流法及び電気掃引法のいずれをも用いることができる。例えば、前記電解重合は、電流密度0.01〜20mA/cm2、反応温度−70〜80℃、好ましくは電流密度0.1〜2mA/cm2、反応温度−40〜40℃の条件下で行うことが好ましく、反応温度が−20〜30℃の条件であることがより好ましい。
第一の発明のアクチュエータにおいて、作動部は、導電性高分子及びドーパントが含まれる他に、動作電極としての抵抗値を低下させるために、金属線や導電性酸化物などの導電性材料を適宜含むことができる。
第一の発明のアクチュエータにおける対極は、電極として用いることができる導電性材料で形成されているものであれば、形状が特に限定されるものではなく、棒状、線状、膜状及び板状であっても良い。また、前記対極の材質は、特に限定されるものではなく、種類として金、白金等の貴金属を含む金属であっても良く、導電性樹脂やITOガラス等の導電性非金属であっても良い。前記対極の材質は、腐食しにくくて加工が容易なことから貴金属であることが好ましく、白金または金であることがより好ましい。本発明における対極は、対極及び作動部に電圧を印加した際に、対極と作動部との間で電解質を介して電流が流れ、短絡が生じない程度に、作動部との間隔を有することが好ましい。前記間隔を有することにより、不織布等のセパレータを必要とせず、アクチュエータの構成が簡単だからである。
第一の発明のアクチュエータにおける緩衝体は、作動部に接続されるリードに備えられ、導電性を有している。前記緩衝体は、作動部が伸縮によりリードにかかる張力や、外部からの衝撃による作動部等の振動によりリードにかかる張力を緩和でき、作動部が伸縮を阻害するものでなければ、材質及び構造が特に限定されるものではない。前記緩衝体としては、例えば、金属メッシュ、導電性繊維、導電性ゴム、金属バネ、炭素バネを用いることができる。また前記緩衝体は、帯状、線状、板状などのアクチュエータの構造に適した形状として用いることができる。なお、前記緩衝体の個数は、作動部に接続するリードに少なくとも1つ以上取り付けられていれば良く、作動部に接続する複数のリードのそれぞれに取り付けられても良い。また、作動部が一の端部で筐体等に固定される場合には、作動部の固定された部分に接続するリードを除く全てのリードにそれぞれに取り付けられていることが、作動部において伸縮が阻害されることがなく、少ない緩衝体の個数で大きな伸縮を得ることができるので好ましい。
前記緩衝体は、構造が簡単であり、リードとの接続が容易であることから弾性体であることが好ましい。前記弾性体は、電解質と接触する場合においては電解質中に含まれる有機成分による膨潤による影響を受けることが無く、弾性を保つことができることから、金属バネであることが好ましい。特に、全方向から屈曲や伸縮に容易に追従できることから、前記緩衝体がコイル型金属バネであることが好ましい。前記コイル型金属バネの材料は、Ag、Ni、Ti、Au、Pt、Ta、W等の金属やこれらの合金、並びにSUS等の合金を用いることができる。中でも、前記材質は、耐腐食性が良いためにPt、Auであることが好ましい。なお、前記緩衝体は、導電性高分子の伸縮を阻害しない緩衝体であればよい。
第一の発明において、図1では、リードが接続部において作動部に接続されているが、前記緩衝体がリードを介することなく接続部に接続されてもよい。前記緩衝体は、リードを介して接続部に接続されることが、作動部と接触して作動部に外傷を与えることがないので好ましい。前記緩衝体と前記リードとの接続部分は、リードと緩衝体との導通を保つことができ、作動部の伸縮によってリード並びに緩衝部にかかる張力と外部振動によりリード並びに緩衝部にかかる張力とにより、リードと緩衝体とが分離しなければ、特に限定されるものではない。前記緩衝体と前記リードとの接続部分としては、材料として、はんだ止め、導電性接着剤、重合時に複合化するなどの方法を用いることができる。
第一の発明において、作動部に形成されている接続部を介して電源から電圧が印加される。図1においては、接続部51、52、53の3つが形成され、作動部には、3箇所から電圧が印加される。前記接続部は、図1においては、接続部2の一端の面を覆うように接続部6が形成され、接続部62、63が作動部2の側面に一部にそれぞれ形成されている。第一の発明の接続部は、リードから作動部に電圧を印加することができるように、作動部上にリードまたは緩衝体が固定されるものであれば、特に限定されるものではない。前記接続部の形状についても、作動部に電圧が印加されて作動部が電解伸縮するものであれば、限定されるものではない。前記接続部は、作動部の一端に形成される場合には、一端の一面を覆うように形成されても良く、一部に形成されても良い。また、前記作動部が、作動部の側面上に形成される場合には、側面の一部分に形成されても良く、側面外周上を周回するように形成されても良い。
前記接続部は、導電性接着剤、導電性テープ、金属クリップまたは金属板を用いることができる。また、前記接続部は、重合時に導電性高分子とリード若しくは緩衝体とを複合化させることもできる。前記接続部の個数は、複数個であれば特に限定されるものではなく、作動部に含まれる導電性高分子の種類や作動部の長さに応じて、適当な箇所に適宜配置することができる。また、前記作動部が導電性高分子としてポリピロールを含む場合には、隣接した接続部の間隔は、長さ方向において5cm以下であることが、アクチュエータ全体として大きな伸縮性を得ることが容易であるために好ましい。
リード54は、導電性の緩衝体及びリードを介して、電源より各接続部に電圧を印加するための電気経路である。前記電気経路は、アクチュエータに対する衝撃等によりリードが振動して切断されることがないように、筐体の内側面に固定若しくは保持するように設置されることが好ましい。
第一の発明のアクチュエータに含まれる電解質は、特に限定されるものではなく、液状であってもよく、固体電解質でもよい。前記電解質が液状である場合には、水溶媒であっても、有機溶媒であっても良いが、毒性が低く揮発する速度が比較的遅いために取り扱いが容易であり、大きな伸縮を得ることができるため、水溶媒であることが好ましい。前記電解液が固体電解質である場合には、ゲル高分子電解質であっても完全固体高分子電解質であってもよいが、電解質中のイオン伝導度が大きいためにゲル高分子電解質が好ましい。前記ゲル高分子電解質に用いるゲルとしては、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、寒天などを用いることが、水溶液電解質と複合させ、容易にゲル高分子電解質を調製できるので好ましい。前記電解質は、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオン及び炭素数3以下のスルホン酸塩からなる群より少なくとも1以上選ばれた化合物を含む電解質とすることが、アクチュエータが1酸化還元サイクル当たりのさらに大きな伸縮を生じることが可能となるので、好ましい。また、前記電解質は、
(CnF(2n+1)SO2)(CmF(2m+1)SO2)N−
(ここで、n及びmは任意の整数。)を含むことができる。作動部がドーパントとして化学式
(CnF(2n+1)SO2)(CmF(2m+1)SO2)N−
(ここで、n及びmは任意の整数。)
で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンを含む場合には、
(CnF(2n+1)SO2)(CmF(2m+1)SO2)N−
(ここで、n及びmは任意の整数。)を含む電解質を用いて本発明のアクチュエータを電解伸縮させることが好ましい。前記アクチュエータの作動部が、従来のドーパントよりもイオン半径が大きいパーフルオロアルキルスルホニルイミドのドーピング及び脱ドーピングが行われるために、トリフルオロメタンスルホン酸イオンなどを含む電解質を用いた場合に比べて、1酸化還元サイクル当たりの優れた伸縮率及び優れた特定時間あたりの変位率を示すことができる。
図1においては、作動部2の接続部61の反対側の端部(先端部)にシャフトが備えられている。電解質を介して作動部2と対極3に電圧が印加されることにより、前記作動部が電解伸縮し、前記シャフトも上下運動する。前記シャフトの運動により、作動部2の伸縮により発生する力をアクチュエータ外部に伝えることができるようになっている。なお、前記電解質が電解液である場合には、アクチュエータの先端部分をキャップすることが好ましい。
第一の発明のアクチュエータにおいては、作動部2の伸縮により発生する力をアクチュエータ外部に伝える手段としては、作動部にシャフトを形成する方法に限定されるものではなく、アクチュエータの筐体が可撓性を有する材料で形成され、アクチュエータ全体が伸縮運動するものであってもよい。アクチュエータ全体が伸縮運動する場合には、筐体を形成する可撓性材料は、特に限定されるものではなく、アクチュエータの伸び率に応じて、適宜選択することができ、伸び率5%以上の合成樹脂を用いることが好ましく、伸び率20%以上の合成樹脂を用いることがより好ましい。前記可撓性材料としては、例えば、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系ゴム、ウレタン系ゴム等を用いることができる。また、前記可撓性材料は、電解質をアクチュエータ外部に漏洩することを防止する機能をも有することから、耐溶剤性を有することが好ましく、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系ゴム又はウレタン系ゴムを好適に用いることができる。なお、前記アクチュエータは、作動部が筐体により密閉されている構造を備えている場合は、棒状体のような力を伝える手段が筐体を貫通して構造に比べて、長期の使用による電解質の漏洩が無いので、人工筋肉等の機械部品として用いることに優れている。
(第一の発明についての第二の態様例)
図2は、第一の発明のアクチュエータの第二の態様例についての縦断面図である。図2において、円柱状のアクチュエータ11は、膜状の作動部12と板状の対極13とを筐体14の内側に備えている。作動部12には、リード151、152、153、154、155がそれぞれ作動部表面上の接続部161、162、163を介して接続されている。前記リード152、153は導電性の緩衝体171、前記リード154、155は緩衝体172に繋がっている。作動部表面上の接続部161、162、163には、リード及び緩衝体を介して外部電源18から直列で電力が供給される。対極13もリードを介して電源18に接続されている。電解質19は、作動部12と対極13に電圧を印加した際に、電解質19を介して電圧を印加できるように充填されている。
第二の態様例である図2のアクチュエータは、作動部に電圧を印加するために、接続部161、162、163へ電圧が与えられる。接続部161に電圧を供給するための第一の電気経路は、リード151を含む経路である。接続部162に電圧を与えるための第二の電気経路は、リード152と緩衝体171とリード153とを含む経路である。接続部163に電圧を与えるための第三の電気経路は、リード154と緩衝体17とリード155とを含む経路である。これに対し、図1においては、作動部に電圧を印加するために接続部61、62、63へ電圧を与えるための電気経路は、接続部61に電圧を与える第一の電気経路がリード51を含む経路であり、接続部62に電圧を与えるための第二の電気経路がリード52と緩衝体71とを含む経路であり、接続部63に電圧を与えるための第三の電気経路がリード53と緩衝体72とを含む経路である。
本願の第一の発明の第一の態様例である図1においては、作動部に電圧を印加するための電気経路として、第一の電気経路と第二の電気経路と第三の電気経路が並列に設定されている。第一の発明の第二の態様例である図2においては、作動部に電圧を印加するための電気経路として、第一の電気経路と第二の電気経路と第三の電気経路が直列に接続されている。即ち、本願の第一の発明において、作動部に電圧を印加するための電気経路の接続形式は、作動部に接続された複数の電気経路が並列に接続されても良く、直列に接続されても良い。前記接続形式は、目的に応じて好適な形式を選択することができ、アクチュエータ全体としてのサイズを小さくし省スペース化を図る場合には、作動部に接続された複数の電気経路が直列に接続されることが好ましく、作動部の大きな伸縮等により接続部における断線が懸念される場合には、作動部に接続された複数の電気経路が並列に接続されることが好ましい。
図2においても、図1の第一の態様例と同様に、作動部12の接続部15の反対側の端部(先端部)にシャフトが備えられ、前記シャフトの上下運動により、作動部2の伸縮により発生する力をアクチュエータ外部に伝えることができるようになっている。なお、前記電解質が電解液である場合には、アクチュエータの先端部分をキャップすることが好ましい。
(第二の発明)
本発明は、作動部、対極及び電解質を備えたアクチュエータであって、前記電解質を介して前記作動部と前記対極に電圧を印加するためのリードが前記作動部に複数接続され、前記リードが直列して作動部に接続されているアクチュエータである。以下、前記の本発明を第二の発明とする。
(第二の発明の一態様例)
図3は、第二の発明であるアクチュエータの一態様例についての縦断面図である。図3において、円柱状のアクチュエータ21は、膜状の作動部22と板状の対極23とを筐体24の内側に備えている。作動部22には、リード251が作動部表面上の接続部261において接続され、リード252が隣接する接続部261及び接続部262に接続され、リード253が隣接する接続部262及び接続部263に接続されている。前記リード251、252、253は、直列に接続されて、外部電源28に接続される。対極23もリードを介して電源28に接続されている。電解質29は、作動部22と対極23に電圧を印加した際に、電解質29を介して電圧を印加できるように充填されている。
第二の発明のアクチュエータは、リードが作動部に複数接続され、前記リードが直列して前記作動部に接続されている。アクチュエータに強い振動が与えられる場合には、図1のようにリードが並列に接続している構造においては、リードの切断防止のためにリード54が筐体の内側面に固定または保持されている必要があるが、図3のようにリードが作動部に複数接続され、前記リードが直列して前記作動部に接続されている構造においては、リード252、253が筐体の内側面に固定または保持させる必要がなく、構造が簡易である。
本願の第二の発明のアクチュエータにおいて、隣接する接続部間の電気経路となるリードの長さは、作動部が最大に伸張した場合に前記リードが切断されないように、適用される接続部間の距離であって、作動部が最大に伸張した場合の接続部間の距離以上の長さであることが好ましい。
第二の発明のアクチュエータは、上述の第一の発明と同様に、内側に作動部、対極及び電解質を含むことができれば、形状が特に限定されるものではない。
第二の発明のアクチュエータは、上述の第一の発明の同様に、前記アクチュエータの筐体の材質は、特に限定されるものではなく、硬質プラスチック、金属、ガラス、セラミックス等の硬質材料でもよく、ウレタンゴム、シリコンゴム等の可撓性を有する材料でも良い。前記アクチュエータの筐体の壁面を構成する材質は、可撓性を有する材料であることが好ましい。また、アクチュエータに耐衝撃性が要求される用途には、前記アクチュエータの筐体の壁面を構成する材料は、硬質材料であることが好ましい。
第二の発明のアクチュエータは、上述の第一の発明と同様に、作動部は、導電性高分子を含み、導電性高分子の電解伸縮により作動部が伸縮するものであれば、特に限定されるものではない。前記導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフェニレンなど用いることができるが、分子鎖にピロール及び/またはピロール誘導体を含む導電性高分子であることが好ましい。
前記作動部は、上述の第一の発明と同様に、ドーパントとしてp−トルエンスルホン酸ナトリウムを含む導電性高分子のような従来の導電性高分子を含むものであっても良いが、前記作動部に含まれる導電性高分子が、電解重合法により製造する導電性高分子の製造方法であって、前記電解重合法が、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、ニトロ基、スルホン基及びニトリル基のうち少なくとも1つ以上の結合あるいは官能基を含む有機化合物及び/又はハロゲン化炭化水素を溶媒として含む電解液を用い、前記電解液がトリフルオロメタンスルホン酸イオン及び/または中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンを含む導電性高分子の製造方法により製造された導電性高分子であることが1酸化還元サイクルでの大きな伸縮率が得られるので好ましい。更に、得られた導電性高分子の1酸化還元サイクル当たりの伸縮率が16%以上とするために、前記電解液として、上記のトリフルオロメタンスルホン酸イオン及び/または中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオンの替りに、化学式(1)
(CnF(2n+1)SO2)(CmF(2m+1)SO2)N- (1)
(ここで、n及びmは任意の整数。)
で表されるパーフルオロアルキルスルホニルイミドイオンをアニオンとして含む電解液を用いることが好ましい。
また、前記作動部は、導電性高分子及びドーパントが含まれる他に、動作電極としての抵抗値を低下させるために、金属線や導電性酸化物などの導電性材料を適宜含むことができる。また、前記作動部は、導電性高分子膜の物理的強度が高いことから、電解重合法により得られた導電性高分子膜、または電解重合法により得られた導電性高分子膜の積層体であることが好ましい。また、前記作動部は、内部または表面に導電性金属基体を含む電解重合法により得られた導電性高分子膜、またはその積層体であることが好ましい。
第二の発明のアクチュエータにおける対極は、第一の発明と同様に、電極として用いることができる導電性材料で形成されているものであれば、形状が特に限定されるものではなく、材質が特に限定されるものではなく、腐食しにくくて加工が容易なことから貴金属であることが好ましく、白金または金であることがより好ましい。
第ニの発明において、作動部に形成されている接続部は、第一の発明と同様に、電源から電圧が印加される。前記接続部は、図3においては、接続部2の一端の面を覆うように接続部261が形成され、接続部262、263が作動部22の側面の一部にそれぞれ形成されている。前記接続部の形状についても、作動部に電圧が印加されて作動部が電解伸縮するものであれば、限定されるものではない。前記接続部は、第一の発明と同様に、作動部の一端に形成される場合には、一端の一面を覆うように形成されても良く、一部に形成されても良い。また、前記作動部が、作動部の側面上に形成される場合には、側面の一部分に形成されても良く、側面外周上を周回するように形成されても良い。
前記接続部は、第一の発明と同様に、導電性接着剤、導電性テープ、金属クリップ、金属板や重合時に複合化させる方法を用いることができる。前記接続部の個数は、複数個であれば特に限定されるものではなく、作動部に含まれる導電性高分子の種類や作動部の長さに応じて、適当な箇所に適宜配置することができる。また、前記作動部が導電性高分子としてポリピロールを含む場合には、隣接した接続部の間隔は、長さ方向において5cm以下であることが、アクチュエータ全体として大きな伸縮性を得ることが容易であるために好ましい。
第二の発明のアクチュエータに含まれる電解質は、第一の発明と同様に、特に限定されるものではなく、液状であってもよく、固体電解質でもよい。前記電解質が液状である場合には、水溶媒であっても、有機溶媒であっても良いが、毒性が低く、揮発する速度が比較的遅いために取り扱いが容易であるので、水溶媒であることが好ましい。前記電解液が固体電解質である場合には、電解質中のイオン伝導度が大きいためにゲル高分子電解質が好ましい。前記高分子電解質としては、に用いるゲルとしては、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、寒天などを用いることが、水溶液電解質と複合させ、容易にゲル高分子電解質を調製できるので好ましい。前記電解質は、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、中心原子に対してフッ素原子を複数含むアニオン及び炭素数3以下のスルホン酸塩からなる群より少なくとも1以上選ばれた化合物を含む電解質とすることが、アクチュエータが1酸化還元サイクル当たりのさらに大きな伸縮を生じることが可能となるので、好ましい。
図3においては、作動部22の接続部251の反対側の端部(先端部)にシャフトが備えられている。電解質を介して作動部22と対極23に電圧が印加されることにより、前記作動部が電解伸縮し、前記シャフトも上下運動する。前記シャフトの運動により、作動部22の伸縮により発生する力をアクチュエータ外部に伝えることができるようになっている。なお、前記電解質が電解液である場合には、アクチュエータの先端部分をキャップすることが好ましい。
第二の発明のアクチュエータは、第一の発明と同様に、アクチュエータの筐体が可撓性を有する材料で形成され、アクチュエータ全体が伸縮運動するものであってもよい。アクチュエータ全体が伸縮運動する場合には、筐体を形成する可撓性材料は、特に限定されるものではなく、アクチュエータの伸び率に応じて、適宜選択することができ、伸び率5%以上の合成樹脂を用いることが好ましく、伸び率20%以上の合成樹脂を用いることがより好ましい。前記可撓性材料としては、例えば、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系ゴム、ウレタン系ゴム等を用いることができる。また、前記可撓性材料は、電解質をアクチュエータ外部に漏洩することを防止する機能をも有することから、耐溶剤性を有することが好ましく、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系ゴム又はウレタン系ゴムを好適に用いることができる。なお、前記アクチュエータは、作動部分が筐体により密閉されている構造を備えている場合には、棒状体のような力を伝える手段が筐体を貫通して構造に比べて、長期の使用による電解質の漏洩が無いので、人工筋肉等の機械部品として用いることに優れている。
本願の第二の発明のアクチュエータにおいて、前記の隣接する接続部間の電気経路であるリードは、作動部が収縮している場合には弛んだ状態となり、弛みの部分が長すぎる場合には、対極と接触して短絡を生じ易くなり、リード同士が絡まることも生じ易くなる。作動部が3%以上の伸縮を生じる場合には、本願の第二の発明のアクチュエータを用いることも可能であるが、第一の発明のアクチュエータを用いることが、対極と接触して短絡を生じ難く、リード同士が絡まることも生じ難いので、好ましい。
(第一の発明及び第二の発明)
上記の第一の発明及び第二の発明のアクチュエータは、より大きな伸縮率を得ることが容易であるので、変位が小さくても用いることができるスイッチやセンサー等の用途以外に、変位が大きい用途である人工筋肉としても好適に用いることがでる。つまり、本発明のアクチュエータは、変位が小さい用途にしか用いることができなかった導電性高分子を含むアクチュエータを、人工筋肉等の変位が大きな用途へと用途拡大を図ることができる。また、第一の発明及び第二の発明は、リードに緩衝機能を有するリードを用いてもよい。前記アクチュエータは、リニアアクチュエータとして用いることが可能であり、例えば、図1〜図3のアクチュエータの作動部の先端に取り付けられたシャフトに動力伝達対象部材を接続させることで、駆動装置として用いることが可能であり、また、前記シャフトを制御対象物に押圧するようにすることで押圧装置として用いることができる。前記アクチュエータにおいて作動部の1酸化還元サイクルあたりの伸縮率が3%以上である場合には、シャフトが3%以上伸縮して、アクチュエータとして3%以上の伸縮を得ることができ、人工筋肉等の変位が大きな用途へと用途に好適に用いることができる。本発明のアクチュエータは、電気により導電性高分子が駆動するアクチュエータであるので、駆動時に無音であるために、室内用途装置における駆動部または押圧部として好適である。また、前記アクチュエータは、金属部品が少ないために従来のリニアアクチュエータに比べて軽量であるので、位置決め装置、姿勢制御装置、昇降装置、搬送装置、移動装置、調節装置、調整装置、誘導装置並びに関節装置の駆動部として用いること好適に用いることができる。
上記の第一の発明及び第二の発明のアクチュエータは、人工筋肉として用いるためには、前記作動部の伸縮率が、アクチュエータとしての大きな伸縮を得ることができるために、1酸化還元サイクル当たりの3%以上、より好ましくは5%以上であることが好ましい。
(用途)
本願の第一の発明及び第二の発明のアクチュエータは、人工筋肉、ロボットアームや義手に好適に使用することができる。また、マイクロサージェリー技術におけるピンセット、ハサミ、鉗子、スネア、レーザメス、スパチュラ、クリップなどの医療器具、検査や補修等を行う各種センサー若しくは補修用工具など、健康器具、湿度計、湿度計コントロール装置、ソフトマニュピュレーター、水中バルブ、ソフト運搬装置などの工業用機器、金魚などの水中モービル、または動く釣り餌や推進ヒレなどのホビー用品などの水中で用いられる物品についても、本発明のアクチュエータを好適に使用することができる。
また、本願の第一の発明及び第二の発明のアクチュエータは、OA機器、アンテナ、ベッドや椅子等の人を乗せる装置、医療機器、エンジン、光学機器、固定具、サイドトリマ、車両、昇降器械、食品加工装置、清掃装置、測定機器、検査機器、制御機器、工作機械、加工機械、電子機器、電子顕微鏡、電気かみそり、電動歯ブラシ、マニピュレータ、マスト、遊戯装置、アミューズメント機器、乗車用シミュレーション装置、車両乗員の押さえ装置及び航空機用付属装備展張装置において、直線的な駆動力を発生する駆動部若しくは円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部、または直線的な動作若しくは曲線的な動作をする押圧部として好適に用いることができる。前記アクチュエータは、例えば、OA機器や測定機器等の上記機器等を含む機械全般に用いられる弁、ブレーキ及びロック装置において、直線的な駆動力を発生する駆動部もしくは円弧部からなるトラック型の軌道を移動するための駆動力を発生する駆動部、または直線的な動作をする押圧部として用いることができる。また、前記の装置、機器、器械等以外においても、機械機器類全般において、位置決め装置の駆動部、姿勢制御装置の駆動部、昇降装置の駆動部、搬送装置の駆動部、移動装置の駆動部、量や方向等の調節装置の駆動部、軸等の調整装置の駆動部、誘導装置の駆動部、及び押圧装置の押圧部として好適に用いることができる。また、前記アクチュエータは、関節装置における駆動部として、関節中間部材等の直接駆動可能な関節部または関節に回転運動を与える駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、CAD用プリンター等のインクジェットプリンターにおけるインクジェット部分の駆動部、プリンターの前記光ビームの光軸方向を変位させる駆動部、外部記憶装置等のディスクドライブ装置のヘッド駆動部、並びに、プリンタ、複写機及びファックスを含む画像形成装置の給紙装置における紙の押圧接触力調整手段の駆動部として好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、電波天文用の周波数共用アンテナ等の高周波数給電部を第2焦点へ移動させるなどの測定部や給電部の移動設置させる駆動機構の駆動部、並びに、車両搭載圧空作動伸縮マスト(テレスコーピングマスト)等のマストやアンテナにおけるリフト機構の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、椅子状のマッサージ機のマッサージ部の駆動部、介護用又は医療用ベットの駆動部、電動リクライニング椅子の姿勢制御装置の駆動部、マッサージ機や安楽椅子等に用いられるリクライニングチェアのバックレスト・オットマンの起倒動自在にする伸縮ロッドの駆動部、椅子や介護用ベッド等における背もたれやレッグレスト等の人を乗せる家具における可倒式の椅子の背もたれやレッグレスト或いは介護用ベッドの寝台の旋回駆動等に用いられる駆動部、並びに、起立椅子の姿勢制御のため駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、検査装置の駆動部、体外血液治療装置等に用いられている血圧等の圧力測定装置の駆動部、カテーテル、内視鏡装置や鉗子等の駆動部、超音波を用いた白内障手術装置の駆動部、顎運動装置等の運動装置の駆動部、病弱者用ホイストのシャ−シの部材を相対的に伸縮させる手段の駆動部、並びに、介護用ベッドの昇降、移動や姿勢制御等のための駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、エンジン等の振動発生部からフレーム等の振動受部へ伝達される振動を減衰させる防振装置の駆動部、内燃機関の吸排気弁のための動弁装置の駆動部、エンジンの燃料制御装置の駆動部、並びにディーゼルエンジン等のエンジンの燃料供給装置の駆動部として好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、手振れ補正機能付き撮像装置の校正装置の駆動部、家庭用ビデオカメラレンズ等のレンズ駆動機構の駆動部、スチルカメラやビデオカメラ等の光学機器の移動レンズ群を駆動する機構の駆動部、カメラのオートフォーカス部の駆動部、カメラ、ビデオカメラ等の撮像装置に用いられるレンズ鏡筒の駆動部、光学望遠鏡の光を取り込むオートガイダの駆動部、立体視カメラや双眼鏡等の2光学系を有する光学装置のレンズ駆動機構または鏡筒の駆動部、光通信、光情報処理や光計測等に用いられるファイバ型波長可変フィルタの波長変換のファイバに圧縮力を与える駆動部若しくは押圧部、光軸合せ装置の駆動部、並びに、カメラのシャッタ機構の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、ホース金具をホース本体にカシメ固定する等の固定具の押圧部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、自動車のサスペンションの巻ばね等の駆動部、車両のフューエルフィラーリッドを解錠するフューエルフィラーリッドオープナーの駆動部、ブルドーザーブレードの伸張及び引っ込みの駆動の駆動部、自動車用変速機の変速比を自動的に切り替える為やクラッチを自動的に断接させる為の駆動装置の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、座板昇降装置付車椅子の昇降装置の駆動部、段差解消用昇降機の駆動部、昇降移載装置の駆動部、医療用ベッド、電動ベッド、電動テーブル、電動椅子、介護用ベッド、昇降テーブル、CTスキャナ、トラックのキャビンチルト装置、リフター等や各種昇降機械装置の昇降用の駆動部、並びに重量物搬送用特殊車両の積み卸し装置の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、食品加工装置の食材吐出用ノズル装置等の吐出量調整機構の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、清掃装置の台車や清掃部等の昇降等の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、面の形状を測定する3次元測定装置の測定部の駆動部、ステージ装置の駆動部、タイヤの動作特性を検知システム等のセンサー部分の駆動部、力センサーの衝撃応答の評価装置の初速を与える装置の駆動部、孔内透水試験装置を含む装置のピストンシリンダのピストン駆動装置の駆動部、集光追尾式発電装置における仰角方向へ動かすための駆動部、気体の濃度測定装置を含む測定装置のサファイアレーザー発振波長切替機構のチューニングミラーの振動装置の駆動部、プリント基板の検査装置や液晶、PDPなどのフラットパネルディスプレイの検査装置においてアライメントを必要とする場合にXYθテーブルの駆動部、電子ビーム(Eビーム)システム又はフォーカストイオンビーム(FIB)システムなどの荷電粒子ビームシステム等において用いる調節可能なアパーチャー装置の駆動部、平面度測定器における測定対象の支持装置若しくは検出部の駆動部、並びに、微細デバイスの組立をはじめ、半導体露光装置や半導体検査装置、3次元形状測定装置などの精密位置決め装置の駆動部に好適に使用できる。
前記アクチュエータは、例えば、電気かみそりの駆動部、並びに、電動歯ブラシの駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、三次元物体の撮像デバイス或いはCD、DVD共用の読み出し光学系の焦点深度調整用デバイスの駆動部、複数のアクチュエータによって駆動対象面を能動曲面としてその形状を変形させることによって所望の曲面を近似的に形成して焦点位置を容易に可変できる可変ミラーの駆動部、光ピックアップ等の磁気ヘッドの少なくとも一方を有する移動ユニットを直線移動させることが可能なディスク装置の駆動部、リニアテープストレージシステム等の磁気テープヘッドアクチュエータアセンブリのヘッド送り機構の駆動部、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリなどに適用される画像形成装置の駆動部、磁気ヘッド部材等の搭載部材の駆動部、集束レンズ群を光軸方向に駆動制御する光ディスク原盤露光装置の駆動部、光ヘッドを駆動するヘッド駆動手段の駆動部、記録媒体に対する情報の記録又は記録媒体に記録された情報の再生を行う情報記録再生装置の駆動部、並びに、回路しゃ断器(配電用回路しゃ断器)の開閉操作の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、ゴム組成物のプレス成形加硫装置の駆動部、移送される部品について単列・単層化や所定の姿勢への整列をさせる部品整列装置の駆動部、圧縮成形装置の駆動部、溶着装置の保持機構の駆動部、製袋充填包装機の駆動部、マシニングセンタ等の工作機械や射出成形機やプレス機等の成形機械等の駆動部、印刷装置、塗装装置やラッカ吹き付け装置等の流体塗布装置の駆動部、カムシャフト等を製造する製造装置の駆動部、覆工材の吊上げ装置の駆動部、無杼織機における房耳規制体等の駆動装置、タフティング機の針駆動システム、ルーパー駆動システム、およびナイフ駆動システム等の駆動部、カム研削盤や超精密加工部品等の部品の研磨を行う研磨装置の駆動部、織機における綜絖枠の制動装置の駆動部、織機における緯糸挿通のための経糸の開口部を形成する開口装置の駆動部、半導体基板等の保護シート剥離装置の駆動部、通糸装置の駆動部、CRT用電子銃の組立装置の駆動部、衣料用縁飾り、テーブルクロスやシートカバー等に用途をもつトーションレースを製造するためのトーションレース機におけるシフターフォーク駆動選択リニア制御装置の駆動部、アニールウィンドウ駆動装置の水平移動機構の駆動部、ガラス溶融窯フォアハースの支持アームの駆動部、カラー受像管の蛍光面形成方法等の露光装置のラックを進退動させる駆動部、ボールボンディング装置のトーチアームの駆動部、ボンディングヘッドのXY方向への駆動部、チップ部品のマウントやプローブを使った測定などにおける部品の実装工程や測定検査工程の駆動部、基板洗浄装置の洗浄具支持体の昇降駆動部、ガラス基板を走査される検出ヘッドを進退させる駆動部、パターンを基板上に転写する露光装置の位置決め装置の駆動部、精密加工などの分野においけるサブミクロンのオーダで微小位置決め装置の駆動部、ケミカルメカニカルポリシングツールの計測装置の位置決め装置の駆動部、導体回路素子や液晶表示素子等の回路デバイスをリソグラフィ工程で製造する際に用いられる露光装置及び走査露光装置に好適なステージ装置の位置決めのための駆動部、ワーク等の搬送あるいは位置決め等の手段の駆動部、レチクルステージやウエハステージ等の位置決めや搬送のための駆動部、チャンバ内の精密位置決めステージ装置の駆動部、ケミカルメカニカルポリシングシステムでのワークピースまたは半導体ウェーハの位置決め装置の駆動部、半導体のステッパー装置の駆動部、加工機械の導入ステーション内に正確に位置決めする装置の駆動部、NC機械やマシニングセンター等の工作機械等またはIC業界のステッパーに代表される各種機器用のパッシブ除振及びアクティブ除振の除振装置の駆動部、半導体素子や液晶表示素子製造のリソグラフィ工程に使用される露光装置等において光ビーム走査装置の基準格子板を前記光ビームの光軸方向に変位させる駆動部、並びに、コンベヤの横断方向に物品処理ユニット内へ移送する移送装置の駆動部に好適に使用できる。
前記アクチュエータは、例えば、電子顕微鏡等の走査プローブ顕微鏡のプローブの位置決め装置の駆動部、並びに、電子顕微鏡用試料微動装置の位置決め等の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、自動溶接ロボット、産業用ロボットや介護用ロボットを含むロボットまたはマニピュレータにおけるロボットアームの手首等に代表される関節機構の駆動部、直接駆動型以外の関節の駆動部、ロボットの指のそのもの、ロボット等のハンドとして使用されるスライド開閉式チャック装置の運動変換機構の駆動部、細胞微小操作や微小部品の組立作業等において微小な対象物を任意の状態に操作するためのマイクロマニピュレータの駆動部、開閉可能な複数のフィンガーを有する電動義手等の義肢の駆動部、ハンドリング用ロボットの駆動部、補装具の駆動部、並びにパワースーツの駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、サイドトリマの上回転刃又は下回転刃等を押圧する装置の押圧部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、パチンコ等の遊戯装置における役物等の駆動部、人形やペットロボット等のアミューズメント機器の駆動部、並びに、乗車用シミュレーション装置のシミュレーション装置の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、上記機器等を含む機械全般に用いられる弁の駆動部に用いることができ、例えば、蒸発ヘリウムガスの再液化装置の弁の駆動部、ベローズ式の感圧制御弁の駆動部、綜絖枠を駆動する開口装置の駆動部、真空ゲート弁の駆動部、液圧システム用のソレノイド動作型制御バルブの駆動部、ピボットレバーを用いる運動伝達装置を組み込んだバルブの駆動部、ロケットの可動ノズルのバルブの駆動部、サックバックバルブの駆動部、並びに、調圧弁部の駆動部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、上記機器等を含む機械全般に用いられるブレーキの押圧部として用いることができ、例えば、非常用、保安用、停留用等のブレーキやエレベータのブレーキに用いて好適な制動装置の押圧部、並びに、ブレーキ構造もしくはブレーキシステムの押圧部に好適に用いることができる。
前記アクチュエータは、例えば、上記機器等を含む機械全般に用いられるロック装置の押圧部として用いることができ、例えば、機械的ロック装置の押圧部、車両用ステアリングロック装置の押圧部、並びに、負荷制限機構及び結合解除機構を合わせ持つ動力伝達装置の押圧部に好適に用いることができる。