JP2008084792A - 固体酸化物形燃料電池及びそのスタック構造 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池及びそのスタック構造 Download PDF

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Abstract

【課題】電解質を薄膜化しても、強度を損ねることなく、小容量で高い出力を得ることが可能な固体酸化物形燃料電池及びそのスタック構造を提供する。
【解決手段】本発明に係る単室型固体酸化物形燃料電池は、薄膜状の燃料極12、空気極13、及びこれらの間に配置される薄膜状の電解質11をそれぞれ有する複数の単セル1と、複数の単セル1を直列に接続する薄膜状のインターコネクター2と、を備え、複数の単セル1は、燃料極12と空気極13とが対向するように積層され、インターコネクター2は、隣接する単セル1の間に介挿されており、複数の単セル1及びインターコネクター2には、積層方向にこれらを貫通する少なくとも一つの貫通孔3が形成されるとともに、積層方向の合計厚さが500μm以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料ガス及び酸化剤ガスにより動作する固体酸化物形燃料電池及びそのスタック構造に関する。
燃料電池とは外部からの燃料供給と燃焼生成物の排気とを連続的に行いながら、燃料が酸化する際に発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換できる電池である。燃料電池の種類は電解質により分類され、電解質にイオン伝導性を持つ固体酸化物を用いたものを固体酸化物形燃料電池と呼んでいる。この固体酸化物形燃料電池としては、種々のものが提案されているが、例えば、特許文献1には、固体電解質の両面に、燃料極および空気極をそれぞれ形成した単室型固体酸化物形燃料電池が開示されている。
特開2002−352846号公報
ところで、上記特許文献1のように、電解質の両面に燃料極と空気極とをそれぞれ形成する燃料電池では、強度を向上するため、電解質を支持基板として構成することが多い。この場合、電解質の厚さは、強度を維持するためにある程度厚くする必要があり、これによって、高い出力を期待できないという問題があった。
そこで、本発明は、電解質を薄膜化しても、出力の向上が可能な固体酸化物形燃料電池及びそのスタック構造を提供することを目的とする。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、薄膜状の燃料極、空気極、及びこれらの間に配置される薄膜状の電解質をそれぞれ有する複数の単セルと、前記複数の単セルを直列に接続する薄膜状のインターコネクターと、を備え、前記複数の単セルは、前記燃料極と空気極とが対向するように積層され、前記インターコネクターは、隣接する前記単セルの間に介挿されており、前記複数の単セル及びインターコネクターには、積層方向にこれらを貫通する少なくとも一つの貫通孔が形成され、しかも、積層方向の合計厚さが500μm以上である。
この構成によれば、燃料極、空気極、及び電解質のすべてを薄膜化した単セルをインターコネクターを介して複数個積層し、全体の厚みを500μm以上としているため、電解質を薄くしても全体の厚みによって強度を確保することができる。これにより、電極を印刷する際のセルの作製時、スタック化時や運転時の振動による単セルの割れなどを防止することができる。したがって、強度を確保したまま電解質を薄くできるため、電池の出力を向上することができる。また、この電池は、薄膜化された単セルが複数積層されているため、小容量で高い出力を得ることが可能となる。なお、両電極、電解質、及びインターコネクターには、積層方向に貫通孔が形成されているため、この貫通孔にガスを供給すれば、両電極にガスが行き渡るため、薄膜化してもガスの供給には問題がない。
薄膜化される燃料極および空気極の厚さは、例えば、20〜50μmであることが好ましい。また、電解質の厚さは、50〜200μmであることが好ましい。さらに、インターコネクターの厚さは、5〜50μmであることが好ましい。
上記燃料極、空気極、電解質、及びインターコネクターは、種々の方法で形成することができるが、例えば、グリーン体によって形成することができる。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池によれば、電解質を薄膜化しても、強度を損ねることなく、小容量で高い出力を得ることができる。
以下、本発明に係る固体酸化物形燃料電池の一実施形態について添付図面にしたがって説明する。図1は本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る固体酸化物形燃料電池は、薄膜状の燃料極12、電解質11、及び空気極13がこの順で積層された平面視矩形状の単セル1を複数有しており(図1では、2個)、この単セル1がインターコネクター2を介して複数個積層させることで電池が構成されている。インターコネクター2は、単セル1と同様に平面視矩形状の薄膜状に形成され、上下に隣接する単セル1の空気極13と燃料極12とを電気的に接続するように配置されている。このように形成された電池には、積層方向に、各単セル1、インターコネクター2を貫通する複数の貫通孔3が形成されている。
また、上記電池の積層方向の厚さTは、500μm以上とされている。また、各部材の厚みは、次のようにすることが好ましい。すなわち、燃料極12および空気極13の厚さは、例えば、20〜50μmであることが好ましい。これは、20μm以上であると、ガスとの反応場を確保しやすく、50μm以下とすることでガスの拡散性を維持できるからである。また、電解質11の厚さは、酸素イオン伝導の距離を短くするという観点から、できるだけ薄いことが好ましいが、例えば、50〜200μmであることが好ましい。また、インターコネクター2の厚さは、5〜50μmであることが好ましい。
次に、上記燃料電池を構成する材料について説明する。電解質11の材料としては、固体酸化物形燃料電池の電解質として公知のものを使用することができ、例えば、サマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物、ストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物などの酸素イオン伝導性セラミックス材料を用いることができる。
燃料極12及び空気極13は、セラミックス粉末材料により形成することができる。このとき用いられる粉末の平均粒径は、好ましくは10nm〜100μmであり、さらに好ましくは50nm〜50μmであり、特に好ましくは100nm〜10μmである。なお、平均粒径は、例えば、JISZ8901にしたがって計測することができる。
燃料極12は、例えば、金属触媒と酸化物イオン導電体からなるセラミックス粉末材料との混合物を用いることができる。このとき用いられる金属触媒としては、ニッケル、鉄、コバルトや、貴金属(白金、ルテニウム、パラジウム等)等の還元性雰囲気中で安定で、水素酸化活性を有する材料を用いることができる。また、酸化物イオン導電体としては、蛍石型構造又はペロブスカイト型構造を有するものを好ましく用いることができる。蛍石型構造を有するものとしては、例えばサマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物などを挙げることができる。また、ペロブスカイト型構造を有するものとしてはストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物を挙げることができる。上記材料の中では、酸化物イオン導電体とニッケルとの混合物で、燃料極2を形成することが好ましい。なお、酸化物イオン導電体からなるセラミックス材料とニッケルとの混合形態は、物理的な混合形態であってもよいし、ニッケルへの粉末修飾またはセラミックス材料へのニッケル修飾などの形態であってもよい。また、上述したセラミックス材料は、1種類を単独で、或いは2種類以上を混合して使用することができる。また、燃料極12は、金属触媒を単体で用いて構成することもできる。
空気極13を形成するセラミックス粉末材料としては、例えば、ペロブスカイト型構造等を有するCo,Fe,Ni,Cr又はMn等からなる金属酸化物を用いることができる。具体的には(Sm,Sr)CoO,(La,Sr)MnO,(La,Sr)CoO,(La,Sr)(Fe,Co)O,(La,Sr)(Fe,Co,Ni)Oなどの酸化物が挙げられ、好ましくは、(La,Sr)(Fe,Co)Oである。上述したセラミックス材料は、1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用することができる。
また、インターコネクター2は、Pt,Au,Ag,Ni,Cu,SUS等の導電性金属、或いは金属系材料,又はLa(Cr,Mg)O,(La,Ca)CrO,(La,Sr)CrOなどのランタン・クロマイト系等の導電性セラミックス材料によって形成することができ、これらのうちの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
上記燃料極12、及び空気極13は、上述した材料を主成分として、さらにバインダー樹脂、有機溶媒などが適量加えられることにより形成される。より詳細には、上記主成分とバインダー樹脂との混合において、上記主成分が50〜95重量%となるように、バインダー樹脂等を加えることが好ましい。また、電解質11も、上記燃料極12及び空気極13と同様に、上述した材料を主成分として、バインダー樹脂、有機溶媒などが適量加えられることにより成型されるが、上記主成分とバインダーとの混合において、上記主成分の割合が80重量%以上となるように混合されることが好ましい。さらに、インターコネクター2も、上述した材料に上記添加物を加えることにより形成される。
次に、上述した燃料電池の製造方法について参照しつつ説明する。まず、上述した燃料極、空気極作製用の材料をバインダー、溶剤、可塑剤、分散剤、発泡剤を混合し、ボールミルで分散後、真空脱法を行い、燃料極ペースト及び空気極ペーストを作製する。次に電解質、インターコネクター作製用の材料に、バインダー、溶剤、可塑剤、分散剤を混合後、上記と同様にボールミルで分散後、真空脱法を行い、電解質用ペースト及びインターコネクター用ペーストを作製する。これらペーストを、それぞれ、離型層がコートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に乾燥後、所定膜厚になるようにドクターブレードにより印刷し、120℃で乾燥することにより、PETフィルム上に燃料極、空気極、電解質、及びインターコネクター用のグリーン体を形成する。
続いて、燃料極用グリーン体と、電解質用グリーン体とを貼り合わせ、熱プレスをすることで、グリーン体同士を融着させた後、電解質用グリーン体のPETフィルムを剥がす。こうして露出した電解質用グリーン体に、空気極用グリーン体を貼り合わせ、熱プレスで融着させた後、空気極用グリーン体のPETフィルムを剥がす。続いて、インターコネクター用グリーン体も同様に積層する。これに続いて、燃料極、電解質、空気極、及びインターコネクター用グリーン体の積層を繰り返し、図1に示すような積層体を作製する。
これに続いて、積層体を積層方向に複数箇所で打ち抜いて貫通孔3を形成した後、1100〜1500℃で焼結すれば、本実施形態に係る燃料電池が完成する。このとき、燃料極用グリーン体及び空気極用グリーン体には、発泡剤が含まれているので、上記のように焼結すれば、燃料極12および空気極13を多孔化することができる。
上記のように構成された燃料電池は、次のように発電が行われる。まず、電池に対して水素、又はメタン、エタンなどの炭化水素からなる燃料ガスと空気等の酸化剤ガスとの混合ガスを高温の状態(例えば、400〜1000℃)で供給する。このとき混合ガスは、貫通孔3の一方の開口から供給する。これにより、混合ガスは、貫通孔3を介して燃料極12および空気極13と接触するので、燃料極12と空気極13との間で、電解質11を介した酸素イオン伝導が起こり、発電が行われる。なお、混合ガスは、貫通孔3の他方の開口から排出されるほか、多孔質として形成される燃料極12および空気極13の縁部からも排出される。つまり、貫通孔3から放射状に両電極12,13を通過して電池の外部へ排出される。
以上のように、本実施形態によれば、燃料極12、空気極13、及び電解質11のすべてを薄膜化した単セル1をインターコネクター2を介して複数個積層し、全体の厚みを500μm以上としているため、電解質11を薄くしても全体の厚みによって強度を確保することができる。すなわち、個々の部材は薄膜化されていても全体の厚さが500μm以上であるので、電池としての強度を保つことができる。したがって、強度を確保したまま電解質11を薄くできるため、電池の出力を向上することができる。また、この電池は、薄膜化された複数の単セル1が設けられているため、小容量で高い出力を得ることが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。上記実施形態では、すべての層をグリーン体で形成したが、一部の層をグリーン体上に印刷し、その印刷面にグリーン体を積層することも可能である。また、2つの単セル1をインターコネクター2を介して重ねたが、これに限定されるものではなく、3つ以上の単セル1を重ね合わせてもよい。すなわち、全体としての厚さが500μm以上であれば、単セルの数、これを構成する燃料極12、空気極13、電解質11、及びインターコネクター2の厚さは、上述したように薄膜であれば、特には限定されない。
また、貫通孔3の数、形状も、反応場を減少させることなく、ガスが各電極に接触できるようになっていれば、特には限定されない。
また、本発明に係る燃料電池の作成方法は、上記に限定されず、例えば、粉末プレス成型で形成することができる。より詳細には、燃料極、空気極、電解質、及びインターコネクター用の原料粉末にバインダ−、溶剤、離型剤、潤滑剤などをそれぞれ添加し、攪拌、脱泡を行う。その後、乾燥し、粉砕、篩分けを行い、各部材ごとの顆粒を作製する。続いて、電極用の顆粒には発泡剤を混合しておき、金型に作製した顆粒を充填する。すなわち、インターコネクター、燃料極、電解質、空気極の順番に、所望の層構成になるように、金型に繰り返し顆粒を充填し、プレス成型後、焼成する。こうして、上記のような積層体が作製された後、貫通孔を形成すれば、上記のような燃料電池が完成する。なお、貫通孔の形成は、ブラスト加工など一般的な手法を用いる。
以下、本発明に係る実施例について説明する。但し、本発明は以下の実施例には限定されない。
以下に示す材料で単セルを作製し、これをインターコネクターを介して積層し、表1に示す実施例及び比較例を準備した。
平面寸法: 10×10mm
貫通孔の数:4個
貫通孔の径:1mm
電解質材料: Ce0.9Gd0.1O1.9(GDC)
燃料極材料:NiO-Ce0.8Sm0.2O1.9(SDC)
空気極材料:Sm0.5Sr0.5CoO3
インターコネクター材料:Au
Figure 2008084792
上記のような実施例及び比較例をそれぞれ5個ずつ準備し、貫通孔を設けたSUSの集電板(厚さ2mm)で挟みこみ、発電をさせた後、各セルの状態を観察した。結果は、以下の通りである。
Figure 2008084792
以上の結果より、合計厚さは、500μm以上であることが好ましいことがわかる。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の一実施形態を示す斜視図である。
符号の説明
1 単セル
11 電解質
12 燃料極
13 空気極
2 インターコネクター
3 貫通孔

Claims (5)

  1. 薄膜状の燃料極、空気極、及びこれらの間に配置される薄膜状の電解質からなる単セルを複数有し、
    前記複数の単セルを直列に接続する薄膜状のインターコネクター、を備え、
    前記複数の単セルは、前記燃料極と空気極とが対向するように積層され、前記インターコネクターは、隣接する前記単セルの間に介挿されており、
    前記複数の単セル及びインターコネクターには、積層方向にこれらを貫通する少なくとも一つの貫通孔が形成されるとともに、積層方向の合計厚さが500μm以上である、固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記燃料極および空気極の厚さは、20〜50μmである、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  3. 前記電解質の厚さは、50〜200μmである、請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池。
  4. 前記インターコネクターの厚さは、5〜50μmである、請求項1から3のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
  5. 前記燃料極、空気極、電解質、及びインターコネクターは、グリーン体によって形成されている、請求項1から4のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
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