JP2008081500A - 回収ε−カプロラクタムの精製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】回収ε−カプロラクタムを塩基性添加物の存在下で単蒸留した後に、活性炭処理することにより、活性炭の使用量を削減し、より省資源で経済的に有利に、着色の改善された高純度の回収ε−カプロラクタムを得る方法を提供することである。
【解決手段】回収ε−カプロラクタムをアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩から選ばれる少なくとも1つの塩基性添加物の存在下で単蒸留した後に、活性炭処理して精製することを特徴とする回収ε−カプロラクタムの精製法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ナイロン6の解重合やナイロン6重合工程で生成する重合抽出水に含まれるε−カプロラクタムオリゴマーの解重合で得られる回収ε−カプロラクタムの精製法に関するものである。さらに詳しくは、回収ε−カプロラクタムを塩基性添加物の存在下で単蒸留した後、活性炭処理により精製する方法に関するものである。
ナイロン6の解重合やナイロン6重合工程で生成する重合抽出水に含まれるε−カプロラクタムオリゴマーの解重合で得られる回収ε−カプロラクタムの精製法は古くから知られている。回収ε−カプロラクタムの蒸留と活性炭処理の組み合わせによる精製法として、例えば特許文献1には、ナイロン6をリン酸触媒で解重合することにより回収されたε−カプロラクタムをアルカリ処理した後、活性炭処理及び蒸留を行う方法が提案されている。特許文献2には回収ε−カプロラクタムを塩基性添加物の存在下で精留する方法が提案されている。特許文献3には粗ラクタム水溶液に高分子凝集剤を添加して不純物を凝集物として除去する方法が提案されている。また、他素材を含むナイロン6組成物の解重合で得られる回収ε−カプロラクタムを精製する方法として、特許文献4にはナイロン6を主成分とする熱可塑性物質を解重合して得た回収ε−カプロラクタムを晶析する方法が提案されている。特許文献5には、ナイロン6を解重合し、アルキルフェノール性化合物でε−カプロラクタムを抽出して回収する方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1の方法は回収ε−カプロラクタムの蒸留と活性炭処理の組み合わせによる精製法ではあるが、活性炭処理を行った後に蒸留を行うため活性炭の使用量が多く、省資源の観点から満足できるものではなかった。特許文献2記載の方法は、回収ε−カプロラクタムを塩基性添加物の存在下で蒸留する方法ではあるが、精留を行うために精留設備のコストがかさみ経済的に不利である。また特許文献3記載の方法はナイロン6を解重合して回収ε−カプロラクタムを得る方法であるが、高分子凝集剤の添加により生成する凝集物を除去する必要があり、煩雑である。特許文献4記載の方法はナイロン6を主成分とする熱可塑性物質を解重合してケミカルリサイクルする方法であるが、回収ε−カプロラクタムに不純物が多く含有されるために炭化水素、塩素系炭化水素、アルコール等の有機溶媒で再結晶精製が必要となり、煩雑である。特許文献5記載の方法もナイロン6を含む混合物を解重合してケミカルリサイクルする方法であるが、回収ε−カプロラクタムに不純物が多く含有されるためにフェノール性化合物でε−カプロラクタムを抽出して精製する必要がある等、煩雑である。
これらの文献に記載された技術を回収ε−カプロラクタムの精製に適用すると、種々の問題を起こす可能性があることが本発明者らの検討により判明した。すなわち回収ε−カプロラクタムを塩基性添加物の存在下で蒸留することなく活性炭処理を行うと、活性炭の寿命が短く、経済的に不利である。また精留や、凝集物除去処理、晶析、抽出により精製を行うと、設備のコストがかさんだり、工程が煩雑である。そのため上記文献の技術はいずれも実用的なケミカルリサイクルという観点では満足できるものではなかった。
特公昭48− 31116号公報 特公昭60− 21582号公報 特開昭48− 92387号公報 特開平08− 48666号公報 特表平11−508913号公報
そこで本発明は、回収ε−カプロラクタムを精製するに際し、より省資源で経済的に有利に、着色の改善された高純度の回収ε−カプロラクタムを得ることを課題とする。
本発明者は、課題を解決するために鋭意検討した結果、回収ε−カプロラクタムを特定の方法で単蒸留と活性炭処理により精製することにより、より少ない活性炭で経済的に有利に、着色の改善された高純度のε−カプロラクタムが得られ、また、活性炭処理後に更にイオン交換樹脂処理することにより、遊離酸および遊離塩基量が安定して少ない、ナイロン原料等によりいっそう適した高純度のε−カプロラクタムが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、回収ε−カプロラクタムを活性炭処理する前に塩基性添加物の存在下で単蒸留することを特徴とする回収ε−カプロラクタムの精製法である。活性炭処理を、回収ε−カプロラクタムの塩基性添加物存在下での単蒸留の後に行うことにより、活性炭処理を単蒸留前に行った場合と比較して格段に活性炭使用量を削減でき、省資源の観点から本発明の方法は有効であることを見出した。また、本発明は活性炭処理後に更にイオン交換樹脂処理を行うことを特徴とし、遊離酸および遊離塩基量が安定して少ない高純度の回収ε−カプロラクタムが得られることを見出した。
本発明によれば、回収ε−カプロラクタムを単蒸留と活性炭処理により精製するに際し、より省資源で経済的に有利に、着色の改善された高純度の回収ε−カプロラクタムを得ることができる。また、着色の改善された高純度の回収ε−カプロラクタムが得られるため、煩雑な精製を行わずに工業的に有利に、例えばナイロン原料として使用できる。
上記において活性炭処理後に更に、イオン交換樹脂処理を行うことにより、着色の改善された遊離酸および遊離塩基量が安定して少ない、高純度のε−カプロラクタムを得ることができる。また、着色の改善された遊離酸および遊離塩基量が安定して少ない高純度の回収ε−カプロラクタムが得られるため、煩雑な精製を行わずに工業的にいっそう有利に、例えばナイロン原料として使用できる。
本発明は、回収ε−カプロラクタムを塩基性添加物の存在下で単蒸留した後に活性炭処理により精製し、その後にイオン交換樹脂処理により精製することを特徴とする、回収ε−カプロラクタムの精製法である。
<回収ε−カプロラクタム>
本発明において使用される回収ε−カプロラクタムとしては、ナイロン6の解重合で得られるε−カプロラクタムや、ナイロン6重合工程で生成する重合抽出水に含まれるε−カプロラクタムオリゴマーの解重合で得られるε−カプロラクタムなどを挙げることができる。ナイロン6やε−カプロラクタムオリゴマーはそれのみで解重合しても良いし、一緒に解重合することもできる。
<ナイロン6>
本発明において、使用されるナイロン6としては、特に制限はないが、単一組成であること、すなわちホモポリマーであることが好ましいが本発明の効果を損なわない程度、例えば全単量体中50モル%以下、好ましくは10モル%以下、更に好ましくは5モル%以下であれば他の共重合成分が共重合されていても構わない。解重合触媒としてリン酸等の酸性触媒を使用して解重合する場合、触媒が共重合成分のジアミン成分等により失活する場合があるが、ジアミン成分により失活する触媒量相当の触媒を追加することにより、解重合反応を問題無く行うことができる。また、これらのナイロン6には、重合度調節剤、末端基調整剤などが付加されていても良い。共重合成分としては、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ジアミノブタン、p−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミンなどのジアミン成分、またアジピン酸、セバシン酸、コハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分、あるいはラウロラクタムなどのアミノカルボン酸成分などを挙げることができる。重合度調節剤、末端基調整剤としては、たとえば酢酸、安息香酸などを挙げることができる。
また、本発明で用いるナイロン6としては、ナイロン6を含む、好ましくはそれを50質量%以上含むナイロン6製品、ナイロン6製品製造過程で発生する産業廃棄物、あるいはナイロン6製品使用済み廃棄物などを挙げることができる。たとえば、工業用、衣料用、屋内外用の構造物、あるいはこれらの屑などを挙げることができる。これらのナイロン6は単独で解重合の原料としても良いし、これらを組み合わせて原料としても良い。
<ε−カプロラクタムの回収方法>
<ナイロン6の解重合>
ε−カプロラクタムの回収方法の1つとしてナイロン6の解重合が挙げられる。本発明で行う解重合法は、いかなる方法でも良い。通常、ナイロン6は加熱により解重合され、触媒を用いても良く、水の不存在下でも(乾式)、存在下でも良い(湿式)。
解重合圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれであっても良い。解重合温度は、通常、100から400℃であり、好ましくは、200から350℃、さらに好ましくは、220から300℃である。温度が低いと、ナイロン6が溶融しないうえ、解重合速度が遅くなる。温度が高いと、不必要なナイロン6の分解が起こり、回収ε−カプロラクタムの純度低下をもたらす。
触媒を用いる場合は、通常、酸、あるいは塩基触媒などを用いる。酸触媒としては、リン酸、ホウ酸、硫酸、有機酸、有機スルホン酸、固体酸、およびこれらの塩、また塩基触媒としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属塩、有機塩基、固体塩基などが挙げられる。好ましくは、リン酸、ホウ酸、有機酸、およびこれらの塩、また塩基触媒としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属塩などが挙げられる。さらに好ましくは、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられる。
触媒の使用量は、通常、ナイロン6成分に対して、0.01から50質量%である。好ましくは、0.1から20質量%、さらに好ましくは、0.5から10質量%である。触媒使用量は少ないと、反応速度が遅くなり、多いと、副反応が多くなるうえ、触媒コストがかさみ経済的に不利になる。
湿式解重合の水使用量は、ナイロン6成分に対して、0.1から50質量倍である。好ましくは、0.5から20質量倍、さらに好ましくは、1から10質量倍である。水の使用量は、少ないと、反応速度が遅くなり、多いと、回収ε−カプロラクタム水溶液の濃度が低くなり、ε−カプロラクタムの取得上、不利になる。
乾式解重合を行う場合、生成した回収ε−カプロラクタムを反応装置から蒸留により留出させ、回収ε−カプロラクタムを得る。解重合反応が終了してから、蒸留により回収ε−カプロラクタムを取り出しても良いし、反応の進行とともに、連続的に取り出しても良い。
湿式解重合を行う場合は、生成した回収ε−カプロラクタムを反応装置から水とともに留出させ、回収ε−カプロラクタム水溶液を得る。解重合反応が終了してから、蒸留により回収ε−カプロラクタム水溶液を取り出しても良いし、反応の進行とともに、連続的に取り出しても良い。好ましくは、反応装置へ連続的に、水を供給し、かつ、生成する回収ε−カプロラクタム水溶液を反応装置から連続的に取り出す。さらに好ましくは、常圧で、反応装置へ連続的に水蒸気を供給し、かつ生成する回収ε−カプロラクタム水溶液を反応装置から連続的に取り出す。
<ナイロン6重合工程で生成する重合抽出水からのε−カプロラクタムの回収>
ε−カプロラクタムの回収方法として、ナイロン6重合工程で生成するε−カプロラクタムやε−カプロラクタムオリゴマーの抽出された重合抽出水に含まれるε−カプロラクタムオリゴマーの解重合によりε−カプロラクタムを回収する方法が挙げられる。ナイロン6重合工程で生成する重合抽出水に含まれるε−カプロラクタムオリゴマーは、蒸留等の操作により重合抽出水よりε−カプロラクタムを除去した後に残渣として残り、これを前記解重合に供することにより回収ε−カプロラクタムが得られる。
<回収ε−カプロラクタムの塩基性添加物の存在下での単蒸留>
本発明においては、活性炭処理の前に塩基性添加物の存在下で回収ε−カプロラクタムの単蒸留を行うのが重要である。塩基性添加物の存在下で単蒸留を行う前に、解重合缶から回収ε−カプロラクタムを取り出すために予め蒸留や水蒸気蒸留を行っていても良い。
塩基性添加物としては、無機塩基、有機塩基などが挙げられる。好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩であり、これらの中から選ばれる少なくとも1つの塩基性添加物を添加する。さらに好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物である。
塩基性添加物の具体例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムが好ましく挙げられる。塩基性添加物は固体で添加しても良いし、溶液の形態で添加しても良い。
塩基性添加物の添加量は、回収ε−カプロラクタムがアルカリ性または中性である場合は回収ε−カプロラクタムに対して、通常0.01から20質量%である。好ましくは、0.05から5質量%である。さらに好ましくは、0.1から2質量%である。回収ε−カプロラクタムが酸性の場合は回収ε−カプロラクタムを中和させる量より、回収ε−カプロラクタムに対して、通常、0.01から20質量%、好ましくは0.05から5質量%、さらに好ましくは、0.1から2質量%過剰に添加する。添加量が少ないと品質改善効果が不十分であり、多いと不必要な分解が起こる上、薬品コストがかさみ経済的に不利である。
本発明において、回収ε−カプロラクタムの液性はpHで判断する。回収ε−カプロラクタムのpHは回収ε−カプロラクタム10gを水で100mlに希釈して測定し、pHが7よりも大きい場合はアルカリ性、pHが7未満の場合は酸性、pH7の場合を中性であるとする。
塩基性添加物は回収ε−カプロラクタムに予め添加して蒸留缶に仕込んでも良いし、連続的に塩基性添加物と回収ε−カプロラクタムを蒸留缶に仕込んでも良い。回収ε−カプロラクタムの単蒸留は、回収ε−カプロラクタムに含まれる水分を留去させた後、塩基性添加物を添加し、バッチ方式、あるいは連続方式で行う。
蒸留における減圧度としては、0.01から27kPa、好ましくは0.07から13kPa、更に好ましくは0.13から6.6kPaである。減圧度が高いと蒸留操作上の問題が多くなり、減圧度が低いと蒸留温度が高くなり、ε−カプロラクタムが劣化する。回収ε−カプロラクタムの蒸留缶内温度は蒸留する減圧度により決定されるが、通常、60から300℃であり、好ましくは、90から280℃であり、さらに好ましくは、120から230℃である。温度が低いと、蒸留操作上の問題が多くなり、温度が高いと、ε−カプロラクタムが劣化し、留出ε−カプロラクタムの収率低下をもたらす。
<活性炭処理>
本発明においては、活性炭処理による精製を塩基性添加物の存在下で単蒸留を行った後に行うのが重要である。本発明で行う活性炭処理方法は、活性炭を使用して不純物が除去できれば連続式、回分式などいかなる方法でも良い。活性炭処理に使用する装置の形式は、固液接触が可能なものであれば特に限定されないが、槽型、管型、塔型等である。また、装置は1基でも2基以上を連結したものでも良い。連続式で行う場合は、活性炭処理装置内に活性炭を充填し、塩基性添加物の存在下で単蒸留を行ったε−カプロラクタムを連続的に通液する。本発明では活性炭処理を行う前に、活性炭の細孔内に存在する不純物を除去するために、活性炭を純水で十分洗浄しておくことが望ましい。
本発明で用いる活性炭は特に限定するものでは無いが、粒状、粉末状、繊維状等いずれの形状でもよく、また、木質系、石炭系、椰子殻系等のいずれでもよい。本発明で用いることができる活性炭としては、例えば二村化学工業(株)製の太閤S、CW、GMや日本ノリット(株)製のROWなどを挙げることができる。回収ε−カプロラクタム水溶液を処理する場合は、水溶液用に精製されたものであることが望ましい。
活性炭処理を回分式で行う場合、活性炭の使用量は特に限定するものではないが、通常ε−カプロラクタムに対して0.01から20質量%である。好ましくは、0.05から10質量%である。更に好ましくは0.1から5質量%である。なかでも下限としては1質量%以上であることが好ましい。また、処理時間は通常0.1から100時間、好ましくは0.1から50時間、更に好ましくは0.1から25時間である。
活性炭処理を連続式で行う場合、通液倍数(回収ε−カプロラクタムの質量/活性炭の質量)は特に限定するものではないが、通常、5から10000倍、好ましくは10から2000倍である。更に好ましくは20から1000倍である。また、空塔通液速度(SV)は特に限定するものではないが、通常SV=0.01から50、好ましくはSV=0.05から20、更に好ましくはSV=0.1から10である。空塔通液速度が速すぎると、十分な精製効果が得られず、空塔通液速度が遅すぎると、処理量が低下する。
回収ε−カプロラクタムは溶媒に溶解させて活性炭処理を行っても、溶媒を使用せずに活性炭処理を行っても良いが、通常、溶媒に溶解させて行う。好ましくは水溶液の状態で処理を行う。活性炭処理を行う際のε−カプロラクタムの濃度は5質量%以上であることが好ましく、5から90質量%であることがより好ましい。さらに好ましくは10から80質量%である。特に好ましくは20から60質量%である。濃度が高すぎると活性炭処理の効果が低く、濃度が低すぎると後工程で濃縮する際に経済的に不利である。
また、活性炭処理を行う温度は処理を行うε−カプロラクタム水溶液の濃度にもよるが、ε−カプロラクタム水溶液の凝固点から80℃である。好ましくは凝固点から60℃である。更に好ましくは凝固点から30℃である。本発明においては上記のとおり、回収ε−カプロラクタムの活性炭処理を行う前に塩基性添加物存在下で単蒸留することにより、活性炭の使用量を削減することができ、例えば工業的に有利にナイロンの原料として使用できる着色の改善された高純度のε−カプロラクタムを得ることができる。
<イオン交換樹脂処理>
本発明においては、イオン交換樹脂処理を活性炭処理の後に行うのが好ましい。例えばナイロンの原料として使用する回収ε−カプロラクタムは、遊離酸及び遊離塩基量が安定して少ないことが望ましく、通常、0.5meq/kg以下である。好ましくは0.1meq/kg以下であり、更に好ましくは0.05meq/kg以下である。通常、塩基性添加物存在下で単蒸留した回収ε−カプロラクタムは、遊離塩基を多く含む。しかし、これを活性炭(例えば太閤S,太閤CW,太閤GM:二村化学(株)製)で処理すると、遊離酸量が増加すると共に、連続式で処理した場合には通液と共に遊離酸量が連続的に変化する。この回収ε−カプロラクタムを陰イオン交換樹脂で処理することにより、遊離酸および遊離塩基量をよりいっそう低めに安定させることができる。
本発明で行うイオン交換樹脂処理方法は、イオン交換樹脂を使用して遊離酸および遊離塩基量をよりいっそう低めに安定させることができれば連続式、回分式などいかなる方法でも良い。イオン交換処理に使用する装置の形式は、固液接触が可能なものであれば特に限定されないが、槽型、管型、塔型等である。また、装置は1基でも2基以上を連結したものでも良い。連続式で行う場合は、イオン交換処理装置内にイオン交換樹脂を充填し、活性炭処理を行った回収ε−カプロラクタムを連続的に通液する。また、本発明ではイオン交換樹脂処理を行う前に、イオン交換樹脂の細孔内に存在する不純物を除去するために、イオン交換樹脂を純水で十分洗浄しておくことが望ましい。
また、本発明で用いられるイオン交換樹脂は、強塩基性陰イオン交換樹脂、弱塩基性陰イオン交換樹脂などを用いることができ、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂と共に用いても良い。またゲル型、ポーラス型の何れでも良い。粒径は0.1から2mm、見掛け密度500から1000g/lのイオン交換樹脂が好適に用いることができ、例えば三菱化学株式会社製のダイヤイオンPA 308が挙げられる。
イオン交換樹脂処理を回分式で行う場合、イオン交換樹脂の使用量は特に限定するものではないが、通常ε−カプロラクタムに対して0.01から10質量%である。好ましくは、0.01から5質量%である。更に好ましくは0.01から1質量%である。また、処理時間は通常0.1から100時間、好ましくは0.1から50時間、更に好ましくは0.1から25時間である。
イオン交換樹脂処理を連続式で行う場合、通液倍数(回収ε−カプロラクタムの質量/イオン交換樹脂の質量)は特に限定するものではないが、通常、10から10000倍、好ましくは20から10000倍である。更に好ましくは100から10000倍である。また、空塔通液速度(SV)は特に限定するものではないが、通常SV=0.01から50、好ましくはSV=0.05から20、更に好ましくはSV=0.1から10である。空塔通液速度が速すぎると、十分な精製効果が得られず、空塔通液速度が遅すぎると、処理量が低下する。
回収ε−カプロラクタムは溶媒に溶解させてイオン交換樹脂処理を行っても、溶媒を使用せずにイオン交換樹脂処理を行っても良いが、通常、溶媒に溶解させて行う。好ましくは、水溶液の状態で処理を行う。イオン交換樹脂処理を行う際のε−カプロラクタムの濃度は5質量%以上であることが好ましく、5から95質量%であることがより好ましい。更に好ましくは10から90質量%である。特に好ましくは20から90質量%である。濃度が高いと処理温度をε−カプロラクタム水溶液の凝固点以上に上げる必要があり不必要なε−カプロラクタムの分解が起こり、濃度が低いと後工程で濃縮する際に経済的に不利である。
また、イオン交換処理を行う温度は処理を行うε−カプロラクタム水溶液の濃度にもよるが、ε−カプロラクタム水溶液の凝固点から60℃である。本発明においては上記の通り、回収ε−カプロラクタムの活性炭処理を行った後にイオン交換樹脂処理を行うことにより、回収ε−カプロラクタム中の遊離酸および遊離塩基を除去することができ、工業的に有利に例えばナイロン原料として使用できる着色の改善された遊離酸および遊離塩基量の安定して少ない高純度のε−カプロラクタムを得ることができる。
以下に本発明の実施例を示すが、これらに限定されるものではない。
また、着色の程度の目安として分光光度計を用いて、ε−カプロラクタム50質量%水溶液について、10mm長の石英セルを用いて、波長390nmにおける水を基準にした透過率を測定し、色調として表した。一般的に色調(透過率)が高い程、着色の程度が低い。
遊離酸および遊離塩基量の測定は、メチルレッド−メチレンブルー混合指示薬を入れた60mlの蒸留水を中和し、これに50質量%のε−カプロラクタム水溶液40gを加えて攪拌して得られた溶液の中和滴定により求めた。蒸留水の中和と中和滴定は混合指示薬の色が緑色のときは0.02N硫酸で、紫紅色のときは0.02N水酸化ナトリウムで行い、溶液が灰色になる点を終点とした。添加した0.02Nの硫酸または水酸化ナトリウムの使用量をT(ml)、硫酸または水酸化ナトリウムのファクターをf、用いたε−カプロラクタムの質量をW(g)として、遊離酸量(FA)または遊離塩基量(FB)を算出した。水酸化ナトリウムで滴定した場合はFA、硫酸で滴定した場合はFBとして表した。
FA又はFB(meq/kg)=T(ml)×(1/50)×f×1000/W(g)
<解重合>
ナイロン6製品200gと、解重合触媒である75質量%のリン酸水溶液8.0gを解重合装置に仕込み、窒素雰囲気下で260℃まで加熱した。過熱水蒸気を導入速度約250g/時間で解重合装置への吹き込みを始め、反応を開始した。解重合装置から連続的に留出するε−カプロラクタム及び水蒸気を冷却して、ε−カプロラクタム水溶液を回収しながら、6時間解重合反応を実施した。6時間の解重合反応の結果、1701gの留出液が得られた。得られた留出液中のε−カプロラクタムの濃度は10.7質量%であり、解重合装置に仕込んだナイロン6製品を基準として回収率91%でε−カプロラクタムが得られた。留出液をエバポレーターで濃縮したところ、得られたえ回収ε−カプロラクタムはHPLC純度79.11%、GC純度99.1%、色調24%であった。
実施例1
得られた濃縮液を100℃のオイルバス中で減圧度3.3kPaで脱水した。脱水後のε−カプロラクタム153gに20質量%水酸化ナトリウム水溶液6.3g(脱水後のε−カプロラクタム中和分として2.5g、塩基性添加物として脱水後のε−カプロラクタムに対して0.5質量%で3.8g)を添加して、再度、同条件下で脱水を行った後に、160℃のオイルバス中で減圧度0.67kPaで単蒸留を行った。得られたε−カプロラクタムはHPLC純度97.67%、GC純度99.90%、色調65%、液性はアルカリ性であった。単蒸留後のε−カプロラクタムをε−カプロラクタム濃度30質量%に調整し、ε−カプロラクタムに対して2質量%の活性炭(太閤S:二村化学工業(株)製)を加えて室温(25℃)で60分攪拌を行った。攪拌後、5Cの濾紙で濾過して得られた活性炭処理後のε−カプロラクタムはHPLC純度99.81%、GC純度99.99%、色調94%であった。
実施例2
活性炭処理におけるε−カプロラクタムの濃度を50質量%にした以外は実施例1と同様に、回収ε−カプロラクタムの精製を行ったところ、得られた活性炭処理後のε−カプロラクタムはHPLC純度99.79%、GC純度99.99%、色調97%、FA0.22meq/kgであった。
実施例3
活性炭処理におけるε−カプロラクタムの濃度を80質量%にした以外は実施例1と同様に、回収ε−カプロラクタムの精製を行ったところ、得られた活性炭処理後のε−カプロラクタムはHPLC純度99.76%、GC純度99.99%、色調97%であった。
実施例4
実施例2で得られたFA0.22meq/kgのε−カプロラクタム214mlを、ポーラス型強塩基性陰イオン交換樹脂(ダイヤイオン PA 308:三菱化学株式会社)2.2mlを充填した内径1cmのイオン交換塔に室温(25℃)で空塔通液速度SV=2で通液した。通液後のε−カプロラクタムを6時間ごとにサンプリングしたところ、通液開始直後から通液終了まで、FAが0.00から0.02meq/kgの範囲にあり、遊離酸および遊離塩基量が安定して少ない回収ε−カプロラクタムを得ることができた。
比較例1
実施例1と同様に解重合して得られたε−カプロラクタム濃度10.7質量%の回収ε−カプロラクタム水溶液に、ε−カプロラクタムに対して2質量%の活性炭を添加し、室温(25℃)で60分攪拌を行った。攪拌後、5Cの濾紙で濾過して得られた活性炭処理後のε−カプロラクタムは、HPLC純度82.34%、GC純度99.53%、色調79%であった。
比較例2
実施例1と同様に解重合、濃縮した回収ε−カプロラクタム水溶液をε−カプロラクタムの濃度を30質量%に濃縮調整し、ε−カプロラクタム含有量に対して10質量%の活性炭を添加し、室温(25℃)で60分攪拌を行った。攪拌後、5Cの濾紙で濾過して得られた活性炭処理後のε−カプロラクタムは、HPLC純度92.87%、GC純度99.97%、色調84%であった。得られた活性炭処理後のε−カプロラクタム水溶液を100℃のオイルバス中で減圧度3.3kPaで脱水した。脱水後のε−カプロラクタムに水酸化ナトリウムを0.5質量%添加した以外は実施例1と同様の方法で単蒸留を行ったところ、HPLC純度99.80%、GC純度99.99%、色調97%であった。実施例1と比較して同等のHPLC純度を得るために5倍の活性炭を要した。
本発明によれば、回収ε−カプロラクタムを工業的に有利な方法で精製し、例えばナイロンの原料として使用できる着色の改善された遊離酸および遊離塩基量の安定して少ない高純度のε−カプロラクタムを得ることができる。

Claims (6)

  1. 回収ε−カプロラクタムを塩基性添加物の存在下で単蒸留した後、活性炭処理により精製することを特徴とする回収ε−カプロラクタムの精製法。
  2. 回収ε−カプロラクタムを塩基性添加物の存在下で単蒸留した後、活性炭処理により精製し、その後にイオン交換樹脂処理により精製することを特徴とする請求項1に記載の回収ε−カプロラクタムの精製法。
  3. 塩基性添加物の添加量が、回収ε−カプロラクタムがアルカリ性または中性である場合は回収ε−カプロラクタムに対して、0.01から20質量%、回収ε−カプロラクタムが酸性の場合は回収ε−カプロラクタムを中和させる量より、回収ε−カプロラクタムに対して、0.01から20質量%過剰、であることを特徴とする請求項1または2に記載の回収ε−カプロラクタムの精製法。
  4. 塩基性添加物がアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸水素塩から選ばれる少なくとも1つの塩基性添加物であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の回収ε−カプロラクタムの精製法。
  5. 活性炭処理する回収ε−カプロラクタムが水溶液であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の回収ε−カプロラクタムの精製法。
  6. 活性炭処理する回収ε−カプロラクタム水溶液が水分を5質量%以上含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の回収ε−カプロラクタムの精製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101781280A (zh) * 2010-03-11 2010-07-21 江苏爱利思达清泉化学有限公司 一种制备颜色稳定的ε-己内酯的办法

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