JP2008081488A - プロピレンオキサイドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、貴金属および酸素12員環以上の細孔を有するチタノシリケートを含む触媒を用いてプロピレンと酸素と水素からプロピレンオキサイドをより効率的に製造する方法を提供すること。
【解決手段】プロピレン、酸素および水素を、水、ニトリル化合物およびアンモニウム塩を含む溶液中、貴金属触媒および酸素12員環以上の細孔を有するチタノシリケート触媒の存在下、反応させることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレンと酸素と水素からプロピレンオキサイドを製造する方法に関するものである。
パラジウム及びTS-1を触媒として水素/酸素/プロピレンからプロピレンオキサイドを製造する反応に水・メタノールを溶媒として用い、水酸化アンモニウムを添加するとプロピレンオキサイド生成量が増え、プロパン副生量が減ると報告されている(例えば、特許文献1参照)。さらに、パラジウム及びTS-1を触媒として水素/酸素/プロピレンからプロピレンオキサイドを製造する反応に、水・メタノールを溶媒として用い、炭酸水素アンモニウム塩を添加する方法(特許文献2)、あるいはリン酸セシウムを水溶媒に添加して用いる方法(特許文献3)が報告されている。特許文献2(段落0008)および特許文献3(段落0009)においては、プロピレンの酸化には、比較的小さい細孔のチタンゼオライトであるチタンシリカライトが好ましく、TS−1チタンシリカライトの使用が断然有利であると記載されている。しかしながら、これらの方法は、反応の効率の点で必ずしも満足のいくものではない。
また、酸素12員環細孔をもつ、Ti-MWW触媒やTi-MWWの前駆体である層状のチタノシリケートとPdを含む触媒を用い、アセトニトリル溶媒として水素/酸素/プロピレンからプロピレンオキサイドを製造する方法が報告されている(例えば非特許文献1参照)。しかしながら、その効率も必ずしも十分とは言えない。
特表2002-511455 特表2005-514364 特表2005-508362 平成14年度次世代化学プロセス技術開発・ノンハロゲン化学プロセス技術開発成果報告書,152-180, (2003)
本発明は、貴金属触媒および酸素12員環以上の細孔を有するチタノシリケートからなる触媒の存在下にプロピレンと酸素と水素からプロピレンオキサイドをより効率的に製造する方法を提供する。
すなわち、本発明は、プロピレン、酸素および水素を、水、ニトリル化合物およびアンモニウム塩を含む溶液中、貴金属触媒および酸素12員環以上の細孔を有するチタノシリケート(以下、「本発明のチタノシリケート」と略記することもある)触媒の存在下、反応させることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法に係るものである。
本発明によれば、プロピレンと酸素と水素から効率良くプロピレンオキサイドを製造することができる。
本発明で用いられる貴金属触媒としては、典型的には、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、金またはそれらの合金もしくは混合物があげられる。好ましい貴金属触媒としては、パラジウム、白金、金があげられる。さらに好ましい貴金属触媒はパラジウムである。
パラジウムには、白金、金、ロジウム、イリジウム、オスミウムなどを添加混合して用いることができる。このうち好ましい添加金属としては、白金があげられる。
貴金属触媒は、通常、担体に担持して使用される。貴金属触媒は、本発明のチタノシリケートに担持して使用することもできるし、当該チタノシリケート以外の担体であるシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ニオビア等の酸化物、ニオブ酸、ジルコニウム酸、タングステン酸、チタン酸または炭素およびそれらの混合物に担持してもよい。本発明のチタノシリケート以外の担体に貴金属触媒を担持させた場合、貴金属触媒を担持した担体を、本発明のチタノシリケートと混合し、当該混合物を触媒として使用することができる。本発明のチタノシリケート以外の担体のなかでは、炭素が好ましい担体として挙げられる。
貴金属触媒を担持する方法としては、貴金属粒子をクエン酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヘキサメタリン酸ナトリウム等の分散剤で分散させた貴金属のコロイド溶液を担体上に含浸法等によって担持し、不活性ガス下にて焼成する方法があげられる。
これと異なって、貴金属源となる貴金属化合物、硝酸パラジウム等の貴金属の硝酸塩、硫酸パラジウム2水和物等の硫酸塩、塩化パラジウム等の貴金属のハロゲン化物、酢酸パラジウムカルボン酸塩、あるいはテトラアンミンパラジウム塩化物水和物等のアンミン錯体等を担体上に含浸法等によって担持した後、還元剤を用いて還元することにより調製することもできるし、あるいは水酸化ナトリウム等のアルカリを用いて一旦貴金属の水酸化物にした後、還元剤を用いて液相あるいは気相で還元することにより調製することもできる。
液相で還元する場合の還元剤としては、水素、ヒドラジン1水和物、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム等があげられる。ヒドラジン1水和物やホルムアルデヒドを用いる場合には、アルカリを添加して実施してもよい。
気相で還元する場合の還元の還元剤としては、水素があげられる。水素ガス存在下にて貴金属源を担持した担体を焼成・還元することにより調製することもできる。好適に還元する温度は、担持した貴金属源により異なるが、通常、0℃から500℃である。
一方、Pdテトラアンミンクロリド等の貴金属のアンミン錯体を用いて担体上に含浸法等によって担持し、不活性ガス下、熱分解時に発生するアンモニアガスにて還元する方法も可能である。還元温度は、貴金属アンミン錯体によって異なるがPdテトラアンミンクロリドを用いた場合は、通常、100℃から500℃であり、200℃から350℃が好ましい。いずれの方法においても、必要により、得られた触媒を不活性ガス、アンモニアガス、真空、水素或いは空気の中での熱処理を行い活性化することもできる。
かくして、得られる貴金属触媒担持物は、貴金属触媒を、通常、0.01〜20重量%の範囲、好ましくは0.1〜5重量%含むものである。
本明細書において、酸素12員環以上の細孔を有するチタノシリケートにおける、細孔とは、Si-OあるいはTi-O結合から構成される細孔を意味し、1次粒子で構成されるような粒子間の細孔は含まない。
これらのチタノシリケート細孔直径は、結晶性チタノシリケートや層状チタノシリケートで通常0.6 nm〜1.0 nm、メソポーラスチタノシリケートで通常2 nm〜10 nmである。
チタノシリケートの組成は、通常、下記の式(I)で表すことができる。

xTiO2・(1-x)SiO2(I)
(式中、xは通常0.0001〜0.5であり、好ましくは0.01〜0.2である。)
通常、チタノシリケートのTiはSiO2骨格内に入っており、Siの一部がTiに置き換わった構造である。TiがSiO2骨格内に入っていることは、紫外可視吸収スペクトル、チタンK殻XAFS分析等により容易に確認できる。
本発明のチタノシリケートを合成する一般的な方法は、型剤あるいは構造規定剤として界面活性剤を使用し、チタン化合物とケイ素化合物を加水分解させ、必要に応じて水熱合成等で結晶化あるいは細孔規則性を向上させた後、焼成あるいは抽出により界面活性剤を除去する方法である。
Ti-MWW構造を持つ結晶性チタノシリケートの一般的な調製方法としては、例えばChemistry Letters 774-775, (2000)や公開特許公報2003-327425号、あるいはChemical Communications 1026-1027, (2002)等に記載されている方法が知られている。即ち、ケイ素化合物およびチタン化合物を構造規定剤存在下、加水分解しゲルを調製する。得られたゲルを水熱合成等により水存在下で加熱処理を行い層状の結晶前駆体を調製する。層状の結晶前駆体を、焼成により結晶化してMWW構造を持つ結晶性チタノシリケートを調製する。
酸素12員環以上の細孔を有するチタノシリケートとしては、具体的には、Ti-Beta (例えば、Journal of Catalysis 199, 41-47, (2001)) 、Ti-ZSM-12 (例えば、Zeolites 15, 236-242, (1995))、TAPS0-5 (例えば、Zeolites 15, 228-235, (1995))、Ti-MOR (例えば、The Journal of Physical Chemistry B 102, 9297-9303 (1998))、Ti-ITQ-7 (例えば、Chemical Communications 761-762, (2000))、Ti-UTD-1 (例えば、Zeolites 15, 519-525, (1995))、Ti-MWW等の酸素12員環以上の細孔を有する結晶性チタノシリケート、Ti-MWW前駆体のような酸素12員環以上の細孔を有する層状チタノシリケート、Ti-MCM-41 (例えば、Microporous Materials 10, 259-271, (1997))、Ti-MCM-48 (例えば、Chemical Communications 145-146, (1996))、Ti-SBA-15 (例えば、Chemistry of Materials 14, 1657-1664, (2002))等のメソポーラスチタノシリケートがあげられる。好ましいチタノシリケートとしては、Ti-MWWまたはTi-MWW前駆体、更に好ましいチタノシリケートとしては、Ti-MWWがあげられる。
酸素12員環以上の細孔を有するチタノシリケートには、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン等のシリル化剤を、当該チタノシリケートに作用させシリル化した酸素12員環以上の細孔を有するチタノシリケートも含まれる。シリル化することで、さらに活性あるいは選択性を改良することができ、かかるシリル化により得られたシリル化チタノシリケートも(例えば、シリル化Ti-MWW)好ましいものとして使用される。
また、チタノシリケートは、適切な濃度の過酸化水素溶液で処理することにより活性化し使用することもできる。通常、過酸化水素溶液の濃度は0.0001重量%〜50重量%の範囲で実施することができる。過酸化水素溶液の溶媒は、特に限定されないが、水あるいはプロピレンオキサイド合成反応に用いる溶媒が、工業的に簡便であり、好ましい。
貴金属触媒の酸素12員環以上の細孔を有するチタノシリケートに対する重量比(貴金属触媒の重量/チタノシリケートの重量)は、好ましくは、0.01〜100重量%、より好ましくは、0.1〜20重量%である。
ニトリル化合物としては、直鎖または分岐鎖飽和脂肪族ニトリルまたは芳香族ニトリルがあげられる。ニトリル化合物としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソブチロニトリル、ブチロニトリル等のC2〜C4のアルキルニトリルおよびベンゾニトリルが例示され、アセトニトリルが好ましい。通常、水とニトリル化合物の比率は、重量比で90:10〜0.01:99.99であり、好ましくは、50:50〜0.1:99.9である。水の比率が大きくなりすぎると、プロピレンオキサイドが水と反応して開環劣化しやすくなる場合があり、プロピレンオキサイドの生成活性が低くなる場合もある。逆にニトリル化合物の比率が大きくなりすぎると、溶媒の回収コストが高くなる。
アンモニウム塩としては、下記式(II)で表される化合物を用いることができる。

NX (II)

(式中、Rは、同一または互いに相異なり、それぞれ独立に、水素、アルキル基、もしくはアリール基を表し、Xは、酸のアニオンを表す。)
ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等のC1-20のアルキル基が例示され、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基等が例示される。
Xで表される酸のイオンとしては、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸2水素イオン、ピロリン酸水素イオン、ピロリン酸イオン、ハロゲンイオン、硝酸イオンなどの無機酸のイオン、酢酸イオンなどの有機酸(例えばカルボン酸)イオンなどが例示される。
式(II)のアンモニウムとしては、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、ピロリン酸水素アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩および酢酸アンモニウム等の有機酸のアンモニウム塩等が例示される。好ましいアンモニウム塩としては、リン酸2水素アンモニウムがあげられる。
式(II)のアンモニウム塩を構成するアンモニウムカチオンとしては、アルキルアンモニウム、アルキルアリールアンモニウム等が例示される。
アルキルアンモニウムとしては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ-n-プロピルアンモニウム、テトラ-n-ブチルアンモニウムもしくはセチルトリメチルアンモニウムが例示される。アルキルアンモニウム塩としては、これらのアルキルアンモニウムの、硫酸塩、硫酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸水素塩、リン酸2水素塩、リン酸塩、ピロリン酸水素塩、ピロリン酸塩、塩化物等のハロゲン化物、酢酸塩等が例示される。
添加するアンモニウム塩の量は単位溶媒重量(水およびニトリル化合物の合計重量)あたり、通常、0.001mmol /kg〜100 mmol/kgである。アンモニウム塩の量が少なすぎると効果が表われ難くなり、多すぎるとプラント内で析出して詰まりの原因となる可能性が高くなるおそれがある。
式(II)のアンモニウム塩は、水酸化アンモニウムあるいは水酸化アルキルアンモニウムを、上記のXで表される酸のアニオンとプロトンからなる酸、好ましくは、これら酸のうち緩衝剤となるリン酸、炭酸水素、リン酸水素、リン酸2水素、ピロリン酸水素、ピロリン酸等を反応系内に加え、反応系内で所望のアンモニウム塩を発生させ使用してもよい。
溶液のpH値は、高くなりすぎると、プロピレンオキサイド生成活性が低下する場合があり、また一方でpHが低くなりすぎるとプロパン副生が増大したり、プロピレンオキサイド生成活性が低下したりして、プロピレンオキサイド選択率が低下する場合があり、さらには、酸あるいはアルカリによりプロピレンオキサイドが開環劣化するためpHが高くなりすぎても低くなりすぎてもプロピレンオキサイド選択率は低下する。従って、好ましくは、pH値が3.0〜6.6の溶液が使用される。より好ましくは、pH値が5.0〜6.6であるものが使用される。
pH値を好ましい範囲に設定して使用する場合、1種類のアンモニウム塩のみを溶液に添加してpH値が好ましい範囲に入らないときは、酸、塩基、緩衝剤等と組み合わせて使用することができる。また、例えば水酸化アンモニウムや、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウムのような塩基性アンモニウム塩を添加する場合、pH計で測定したpH値が6.6よりも高くなることがあるが、その場合は、更に酸あるいは緩衝剤等を加えて、水、ニトリル化合物およびアンモニウム塩を含む溶液のpH値(pH計で測定した溶液のpH値)を好ましい範囲であるpH3.0〜6.6、あるいはより好ましいpH5.0〜6.6に調整しては使用する。
硫酸水素アンモニウム等のアンモニウム塩を加えた場合、pH計で測定したpH値が5.0よりも低くなることがあるが、その場合は、更に塩基あるいは緩衝剤等を適宜加えて、pH計で測定した溶媒のpH値をより好ましい5.0〜6.6にして使用することもできる。
かくしてpH計で測定したpH値が好ましい範囲になるようにpH値を調製された水、ニトリル化合物およびアンモニウム塩を含む溶液を反応器に供給して、本発明の製造方法は典型的には実施される。
本発明の反応は、加圧条件や高温条件で行われることもあるため反応係内での溶液のpHを測定した場合、その条件によりpH測定値が異なる場合も考えられるが、本発明の方法においては、pH値は、反応系に供給するため調整された溶液を20℃〜25℃でpH計で測定して得られた測定値を意味するものである。
本発明におけるpH計によるpH値の測定方法は、通常以下の方法による。
まず、比較電極にはダブルジャンクションのスリーブ式比較電極を用意する。次に、一般に水が溶媒として使用される比較電極の外筒液のKCl溶液を、IUPACにより推奨される有機溶媒系でのpH測定方法(Pure and Applied Chemistry 59, 1549-1560, (1987)参照)と同様に被検液に変更する。この際、IUPACの方法と同様に、測定に使用する溶媒のKCl溶液に0.05 mol/kgのフタル酸水素カリウムをバッファーとして予め添加しておく。KCl溶液は、通常、飽和溶液が使用される。この比較電極を用いてpHを測定することにより、本発明におけるpH計によるpHを測定することができる。なお、本発明におけるpH計で測定したpH値は20℃〜25℃で測定したpH値を意味するので、測定温度も20℃〜25℃の間で実施する。
pH計で測定する場合のpH値は、通常、基準電極と比較電極間を用いて液間起電力を測定し、その値からpHを求めているが、実際は理論値と違う勾配や不斉電位差の発生などから、予めキャリブレーションを行う必要がある。通常、水溶媒中でキャリブレーションが行われ、測定も水溶媒中で行われるが、有機溶媒を混合した場合、より正確なpH値を求めるためには、溶媒の組成が異なる毎にキャリブレーションを行った方が良いが、測定する液が変わる毎にキャリブレーションを行う作業は煩雑のため、本発明においては、水溶媒中でキャリブレーションを行ったpH計で測定したpH値を用いるものである。
本発明による反応の反応方法としては、流通式固定床反応、流通式スラリー完全混合反応等があげられる。
反応器に供給する酸素と水素の分圧比は、通常、1:50〜50:1の範囲で実施される。好ましい酸素と水素の分圧比は、1:2〜10:1である。何れの範囲においても爆発範囲外で実施することが安全上好ましい。酸素と水素の分圧比(酸素/水素)が高すぎるとプロピレンオキサイドの生成速度が低下する場合がある。また、酸素と水素の分圧比(酸素/水素)が低すぎると、プロパン副生の増大によりプロピレンオキサイドの選択率が低下する場合がある。
反応で用いられる酸素および水素ガスは希釈用のガスで希釈して反応を行うことができる。希釈用のガスとしては、窒素,アルゴン,二酸化炭素、メタン,エタン,プロパンがあげられる。希釈用ガスの濃度に特に制限は無いが、必要により、酸素あるいは水素を希釈して、反応は行われる。
酸素としては、酸素ガス、あるいは空気等の分子状酸素があげられる。酸素ガスは安価な圧力スウィング法で製造した酸素ガスも使用できるし、必要に応じて深冷分離等で製造した高純度酸素ガスを用いることもできる。
本反応における反応温度は、通常0℃〜150℃、好ましくは40℃〜90℃である。
反応温度が低すぎると反応速度が遅くなり、反応温度が高くなりすぎると副反応による副生成物が増加するおそれがある。
反応圧力は、特に制限は無いが、通常、ゲージ圧力で0.1 MPa〜20 MPa、好ましくは、1MPa〜10MPaである。反応圧力が低すぎると原料ガスの溶解が不十分となり、反応速度が遅くなり、反応圧力が高すぎると反応に係わる機器のコストが増大するおそれがある。
反応後、反応器から取り出した液相もしくは気相を蒸留分離することにより目的物を得ることができる。
実施例
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
用いたTi-MWWは、Chemistry Letters 774-775,(2000) に記載の方法により調製した。室温、Air雰囲気下、オートクレーブにピペリジン9.1 kg、純水25.6 kg、ホウ酸6.2 kg、TBOT(テトラ−n−ブチルオルソチタネート)0.54 kg、ヒュームドシリカ(cab-o-sil M7D)4.5 kgからなるゲルを撹拌しながら調製し、1.5時間熟成させた後、密閉した。さらに撹拌しながら10時間かけて昇温した後、170℃で168時間保持することで、水熱合成を行い、懸濁溶液を得た。得られた懸濁溶液をろ過した後、ろ液がpH10付近になるまで水洗した。つぎにろ塊を50℃で乾燥し、未だ水を含んだ状態の白色粉末を得た。得られた粉末350 gに13重量%の硝酸3.5 Lを加え、20時間リフラックスさせた。次いで、ろ過し、中性付近まで水洗し、50℃で十分乾燥して98 gの白色粉末を得た。この白色粉末を銅K-アルファ放射線を使用したX線回折装置を用いてX線回折パターンを測定した結果、Ti-MWW前駆体であることが確認された。得られたTi-MWWを530℃で6時間焼成し、Ti-MWW粉末を得た。得られた粉末がMWW構造を持つことは、X線回折パターンを測定することにより確認し、ICP発光分析によるチタン含量は0.9重量%であった。
同じく本反応に用いたPd/カーボンブラック(CB)触媒は、米国公開特許第2005-0014636号に記載の方法に従い、調製した。500 mLナスフラスコ中に、塩化パラジウム0.56 mmol、塩化白金0.006 mmol、ポリアクリル酸ナトリウム(分子量:1200、1.27 mmol)、塩化水素30 mmolを含む水溶液500 mLを混合し、室温、Air雰囲気下で1時間攪拌した。この混合液に室温にて20分間、水素ガスを100 mL/分で導入し、Pdコロイドを形成させた。上記のコロイド溶液に市販のCB(シースト9、東海カーボン株式会社製)6 gを加え、8時間攪拌した。攪拌終了後、ロータリーエバポレータを用いて水分を除去し、さらに50℃にて12時間真空乾燥を行った。得られた前駆体粉末を窒素雰囲気下300℃で6時間焼成し、Pd/CBを得た。ICP発光分析によるパラジウム含量は1.01重量%であり、白金含量は0.02重量%であった。
反応は容量0.5 Lのオートクレーブを反応器として用い、この中に、プロピレン/酸素/水素/窒素の体積比が4/1/8/87となる原料ガスを16 L/時間、0.7 mmol/kgのリン酸2水素アンモニウムを含む水/アセトニトリル=20/80(重量比)の溶液(pH計の示した値:6.05)を108 mL/時間の速度で供給し、反応器からフィルターを介して反応混合物の液相を抜き出すことにより、温度60℃、圧力0.8MPa (ゲージ圧)、滞留時間90分の条件で連続式反応を行った。この間、反応器内の反応混合物中には、反応溶媒131 g、Ti-MWW 0.133 g、Pd/CB 0.03 gを存在させた。反応開始から5時間後に抜き出した液相および気相をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、単位Ti-MWW重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性は3.28 mmol-PO/g-Ti-MWW・h、プロピレン基準の選択率72%、水素基準の選択率(生成したプロピレンオキサイドモル量/消費した水素モル量)35%であった。
実施例2
実施例1で得られたTi-MWW粉末0.6 gを、0.1重量%の過酸化水素を含む水/アセトニトリル=20/80(重量比)の溶液100 gで室温下、1時間処理し、500 mLの水で洗浄後、ろ過したものを反応に用いた。また、0.7 mmol/kgのリン酸2水素アンモニウムを含む水/アセトニトリル=20/80の溶液の代わりに、0.7 mmol/kgの硝酸アンモニウムを含む水/アセトニトリル=20/80の溶液(pH計の示した値:5.50)を用いて反応操作をおこなった。上記以外は、実施例1と同様の操作を行った。反応開始から5時間後に抜き出した液相および気相をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、単位Ti-MWW重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性2.64 mmol-PO/g-Ti-MWW・h、プロピレン基準の選択率67%、水素基準の選択率23%であった。
実施例3
0.7 mmol/kgの硝酸アンモニウムを含む水/アセトニトリル=20/80の溶液の代わりに、0.7 mmol/kgの硫酸水素アンモニウムを含む水/アセトニトリル=20/80の溶液(pH計の示した値:3.37)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行った。反応開始から5時間後に抜き出した液相および気相をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、単位Ti-MWW重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性2.44 mmol-PO/g-Ti-MWW・h、プロピレン基準の選択率61%、水素基準の選択率19%を与えた。
比較例1
0.7 mmol/kgのリン酸2水素アンモニウムを含む水/アセトニトリル=20/80の溶液の代わりに、6.3 mmol/kgの水酸化アンモニウムを含む水/メタノール=22/78の溶液を用い、Ti-MWWの代わりに1.3 重量%のチタンを含むTS-1を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。反応開始から5時間後に抜き出した液相および気相をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、単位TS-1重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性0.03 mmol-PO/g-TS-1・h、プロピレン基準の選択率7%、水素基準の選択率6%を与えた。
比較例2
0.7 mmol/kgのリン酸2水素アンモニウムを含む水/アセトニトリル=20/80の溶液の代わりに、添加剤を含まない水/アセトニトリル=20/80の溶液(pH計の示した値:6.75)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。反応開始から5時間後に抜き出した液相および気相をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、単位Ti-MWW重量あたりのプロピレンオキサイド生成活性1.02 mmol-PO/g-Ti-MWW・h、プロピレン基準の選択率50%、水素基準の選択率11%を与えた。

Claims (7)

  1. プロピレン、酸素および水素を、水、ニトリル化合物およびアンモニウム塩を含む溶液中、貴金属触媒および酸素12員環以上の細孔を有するチタノシリケート触媒の存在下、反応させることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
  2. 水、ニトリル化合物およびアンモニウム塩を含む溶液がpH値3.0〜6.6を示す溶液である請求項1記載の製造方法。
  3. 水、ニトリル化合物およびアンモニウム塩を含む溶液のpH値が5.0〜6.6である請求項1記載の製造方法。
  4. アンモニウム塩が、リン酸2水素アンモニウムである請求項1から3の何れかに記載の製造方法。
  5. ニトリル化合物がアセトニトリルである請求項1から4の何れかに記載の製造方法。
  6. 貴金属触媒がパラジウムである請求項1から5の何れかに記載の製造方法。
  7. 酸素12員環以上の細孔を有するチタノシリケートがTi-MWW、Ti-MWW前駆体またはシリル化したTi-MWWである請求項1から6の何れかに記載の製造方法
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