JP2010173996A - プロピレンオキサイドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プロピレンと酸素と水素からプロピレンオキサイドをより効率的に製造する方法を提供すること。
【解決手段】シリル化剤と接触させた活性炭と貴金属からなる貴金属担持物およびチタノシリケートの存在下に、液相中、プロピレン、酸素および水素を反応させることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレンと酸素と水素からプロピレンオキサイドを製造する方法に関するものである。
特定の全細孔容積を持つ活性炭と貴金属からなる貴金属担持物およびチタノシリケートを触媒として、プロピレンと酸素と水素からプロピレンオキサイドを製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながらこの方法では必ずしも工業的に十分な反応成績が得られない。
特開2008-201776号公報
本発明は、プロピレンと酸素と水素からプロピレンオキサイドをより効率的に製造する方法を提供する。
すなわち、本発明は、シリル化剤と接触させた活性炭と貴金属からなる貴金属担持物およびチタノシリケートの存在下に、液相中、プロピレン、酸素および水素を反応させることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法に関するものである。
本発明によれば、プロピレンと酸素と水素からより効率よくプロピレンオキサイドを製造することができる。
活性炭は、材料や製法によって粉末状、粒状、破砕状、繊維状、ハニカム状等、多彩な形状を持つことが知られているが、本発明で用いられる活性炭は、その形状に制約はない。活性炭の原料としては、木材、オガクズ、ヤシ殻、石炭、石油質等が挙げられる。活性化は、水蒸気や二酸化炭素、空気などで高温処理する方法や、塩化亜鉛等の薬品を用いる方法があり、原料およびその活性化方法に特段制約はないが、薬品により活性化したものが好ましい。
シリル化剤としては、有機化合物の活性な水素を3置換シリル基で置換できるものであればよく、特に限定されない。かかるシリル基を有するシリル化剤としては、典型的には、下記式(I):

R-Si-X(4-n) (I)

(式中、nは、0から3の整数を表し、Rは、同一または相異なる有機残基であり、Xは、活性水素を有する基と反応する基である。)
で表されるシリル化剤が例示される。
有機化合物の活性な水素としては、典型的な例としては、水酸基(−OH)が例示される。
式(I)において、Xとしては、例えば、ハロゲン原子、水素原子、ヒドロカルビルオキシ基およびシリルイミノ基が例示される。ヒドロカルビルオキシ基としては、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、シクロアルキルアルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等が例示される。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基などが例示される。シリルイミノ基としては、トリメチルシリルイミノ基が例示される。
Xで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が例示される。Rで表される有機残基としては、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルケニル基、アリール基およびアラルキル基等のヒドロカルビル基が例示される。
アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピルトリクロロシラン、n−ブチル、n−ヘキシル、n−ヘキシル、n−デシル、n−ドデシル、n−オクタデシルなどのC1-20のアルキル基が例示される。シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が例示される。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が例示される。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が例示される。アラルキル基としては、フェニルメチル、フェニルエチル基等が例示される。
式(I)のシリル化剤として、具体的には、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、トリエチルクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、n−ヘキシルトリクロロシラン、n−デシルトリクロロシラン、n−ドデシルトリクロロシラン、n−オクタデシルトリクロロシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびその混合物があげられる。
式(I)のシリル化剤のなかでも、Rが、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびビニル基からなる群から選ばれる少なくともひとつの基であり、Xが、ハロゲンである、シリル化剤がより好ましい。
式(I)で表されるより好ましいシリル化剤としては、具体的には、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、トリエチルクロロシラン、n−プロピルトリクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラン、n−ヘキシルトリクロロシラン、n−デシルトリクロロシラン、n−ドデシルトリクロロシラン、n−オクタデシルトリクロロシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、およびその混合物があげられる。
活性炭とシリル化剤との接触は、活性炭をシリル化剤の蒸気と接触させて処理する方法であっても良いし、活性炭をシリル化剤を含む溶液と接触させて処理する方法で実施することもできる。また活性炭は、予め150℃〜300℃程度の加熱処理等で吸着水を除去することが好ましく、一般的に水分に対し不安定なシリル化剤の分解を抑制することができる。さらに活性炭と貴金属からなる貴金属担持物を、上記の通りシリル化剤と接触させることも可能である。
活性炭をシリル化剤の蒸気と接触させて処理する場合には、活性炭を収容した後、予め150℃〜300℃程度の加熱処理等で吸着水を除去し、その後減圧状態とした密閉容器内にシリル化剤の蒸気を導入し、所定時間保持する方法が採用される。次いで、容器から余剰のシリル化剤の蒸気を減圧操作等で除き、活性炭を80〜150℃程度の温度で加熱し、容器内にアルゴンなどの不活性ガスを導入し、再度減圧操作を行う。最後に不活性ガスが充填された状態でシリル化剤と接触させた活性炭を容器外に取り出す。得られたシリル化剤と接触させた活性炭は、余剰のシリル化剤が残存している場合には、必要によりさらに水、有機溶媒等を用いて洗浄する。洗浄は、余剰のシリル化剤が除かれる程度まで実施すれば良い。
活性炭をシリル化剤を含む溶液と接触させて処理する場合には、例えば、エタノール、トルエン等の有機溶媒に、シリル化剤を溶解し、この溶液中に、例えば、予め150℃〜300℃程度の加熱処理等で吸着水を除去した活性炭を浸漬する方法が採用される。接触後、得られた、シリル化剤と接触させた活性炭は、通常ろ過により分離され、必要によりさらに水、有機溶媒等を用いて洗浄する。洗浄は、余剰のシリル化剤が除かれる程度まで実施すれば良い。
用いるシリル化剤の量は、特に限定されず、例えば、活性炭重量単位重量当たり、0.001〜100重量部であり、0.1〜10重量部の範囲でも有効である。
本発明で用いられる貴金属としては、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、金等、またはそれらの合金もしくは混合物があげられる。好ましい貴金属としては、パラジウム、白金、金があげられる。さらにより好ましい貴金属はパラジウムである。パラジウムとしては、例えば、パラジウムコロイドを用いてもよい(例えば、特開2002-294301号公報、実施例1等参照)。
パラジウムには、白金、金、ロジウム、イリジウム、オスミウム等の金属を添加混合して用いることができる。好ましい添加金属としては、白金があげられる。
また、これらの貴金属は、酸化物や水酸化物等の化合物の状態であっても良い。貴金属化合物の状態で反応器に充填し、反応条件下、反応原料中の水素により部分的あるいは全てを還元することもできる。
貴金属担持物の調製方法としては、例えばPdテトラアンミンクロリド等のアンミン錯体等を担体上に含浸法等によって担持した後、還元する方法が知られている。還元方法としては、水素等の還元剤を用いて還元しても良いし、不活性ガス下、熱分解時に発生するアンモニアガスで還元しても良い。還元温度は、貴金属アンミン錯体によって異なるがPdテトラアンミンクロリドを用いた場合は、通常、100℃から500℃であり、200℃から350℃が好ましい。かくして、得られる貴金属担持物は、貴金属を、通常、0.01〜20重量%の範囲、好ましくは0.1〜5重量%含むものである。
次に、本発明において用いられるチタノシリケートについて説明する。チタノシリケートとは、テクトケイ酸塩中のSiの一部がTiに同形置換されたものの総称である(触媒の事典(朝倉書店) 2000年11月1日発行)の「チタノシリケート」の項の記載を参照)。TiのSiとの同形置換は、例えば、紫外可視吸収スペクトルで210 nm〜230 nmにピークを持つことにより容易に確認できる。
本発明において用いられるチタノシリケートとしては、IZA(国際ゼオライト学会)の構造コードで、MFI構造を有するTS-1、MEL構造を有するTS-2、MTW構造を有するTi-ZSM-12 (例えば、ゼオライト(Zeolites) 15, 236-242, (1995)に記載されたもの)、BEA構造を有するTi-Beta (例えば、ジャーナルオブキャタリシス(Journal of Catalysis) 199, 41-47, (2001)に記載されたもの)、MWW構造を有するTi-MWW (例えば、ケミストリーレターズ(Chemistry Letters) 774-775,(2000)に記載されたもの)、DON構造を有するTi-UTD-1 (例えば、ゼオライト(Zeolites) 15, 519-525, (1995)に記載されたもの)、Ti-MCM-68(例えば、公開特許公報2008-50186号に記載されたもの)や、Ti-MWW前駆体(例えば、公開特許公報2005-262164号に記載されたもの)、Ti-YNU-1(例えば、アンゲバンテケミーインターナショナルエディション(Angewandte Chemie International Edition) 43, 236-240, (2004)に記載されたもの)のようにMWW構造の層間が広がった構造を持つチタノシリケート等が例示される。ここで、Ti-MWW前駆体とは、これを焼成することによりMWWを有するチタノシリケートであるTi-MWWとなるものの総称である。
本発明において用いられるチタノシリケートのうち、酸素12員環以上の細孔を有するチタノシリケートが好ましい。酸素12員環以上の細孔を有するチタノシリケートとしては、Ti-ZSM-12、Ti-Beta、Ti-MWW、Ti-MCM-68、Ti-UTD-1、Ti-MWW前駆体等が例示される。
酸素12員環以上の細孔を有するチタノシリケートのうち、下記に示すX線回折パターンを有するチタノシリケートがさらに好ましい。下記に示すX線回折パターンを有するチタノシリケートとしては、Ti-MWW前駆体、Ti-YNU-1、Ti-MWWや、Ti-MCM-68等が知られている。この中でもより好ましいチタノシリケートとしては、Ti-MWW前駆体があげられる。
X線回折パターン
(格子面間隔d/Å)
12.4±0.8
10.8±0.3
9.0 ±0.3
6.0 ±0.3
3.9 ±0.1
3.4 ±0.1
これらのX線回折パターンは、銅K-アルファ放射線を使用した一般的なX線回折装置を用いて測定することができる。
Ti-MWW前駆体は、通常、ホウ素化合物、チタン化合物、ケイ素化合物と構造規定剤から直接水熱合成した層状化合物(as-synthesizedサンプルとも称される)を還流条件下、強酸水溶液と接触させ、構造規定剤を除き、ケイ素と窒素のモル比(Si/N比)を21以上に調整して合成される(例えば、特開2005-262164号公報を参照)。一方、キャタリシスツデー(Catalysis Today) 117 (2006) 199-205 には、Ti-MWW、ピペリジンおよび水を混合して得られる化合物を水熱処理後、水洗して、13.5%−14.2Wt%の窒素を含むTi-MWW前駆体が得られることが開示されている。このTi-MWW前駆体は、同文献記載のCHN元素分析結果、Si/Ti比、Si/B比から、そのSi/N比は、8.5−8.6と計算され、従来知られているTi-MWW前駆体に比べて窒素含量が高いものであるが、本発明においても好ましいチタノシリケート(Ti-MWW前駆体)として使用できる。本発明において用いられるチタノシリケートは、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン等のシリル化剤を用いてシリル化したものも含む。シリル化することで、さらに活性あるいは選択性を高くすることができるため、シリル化したチタノシリケートも好ましいチタノシリケート(例えば、シリル化したTi-MWW前駆体等)である。
また、チタノシリケートは、適切な濃度の過酸化水素溶液で処理することにより活性化し使用することもできる。通常、過酸化水素溶液の濃度は0.0001重量%〜50重量%の範囲である。過酸化水素溶液の溶媒は、特に限定されないが、水あるいはプロピレンオキサイド合成反応に用いる溶媒が、工業的に簡便であり、好ましい。過酸化水素処理の温度は、0℃〜100℃の範囲で実施可能である。好ましい温度は、0℃から60℃である。また、処理時間は、過酸化水素の濃度にもよるが、通常、10分〜5時間行われるが、1時間〜3時間が好ましい。
本発明の反応は、通常、水、有機溶媒あるいはその両者の混合物からなる液相中で行われる。有機溶媒としては、アルコール、ケトン、ニトリル、エーテル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エステル、グリコール、またはそれらの混合物があげられる。プロピレンオキサイド合成反応において、水あるいはアルコールと反応し副生する逐次生成物の副生を抑制するのに好適な有機溶媒として、直鎖または分岐鎖飽和脂肪族ニトリルまたは芳香族ニトリルがあげられる。これらのニトリル化合物としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソブチロニトリル、ブチロニトリル等のC2〜C4のアルキルニトリルおよびベンゾニトリルが例示され、アセトニトリルが好ましい。
水と有機溶媒の混合物を使用する場合、水と有機溶媒の比率は、通常、重量比で90:10〜0.01:99.99であり、好ましくは、50:50〜0.01:99.99である。水の比率が大きくなりすぎると、プロピレンオキサイドが水と反応して開環劣化しやすくなる場合があり、プロピレンオキサイドの選択率が低くなる場合もある。逆に有機溶媒の比率が大きくなりすぎると、溶媒の回収コストが高くなる。
プロピレンオキサイドの製造方法においては、緩衝塩を反応溶媒に加える方法も、触媒活性の減少を防止したり、触媒活性をさらに増大させたり、原料ガスの利用効率を向上させることができるため有効である。緩衝塩を反応溶媒に加える方法としては、緩衝塩を液相中に溶解させた後、反応に使用する方法が一般的であるが、予め貴金属錯体の一部に含ませておくことも有効である。例えば、Pdテトラアンミンクロリド等のアンミン錯体等を担体上に含浸法等によって担持した後、還元し、アンモニウムイオンを残存させ、エポキシ化反応中に緩衝塩を発生させる方法である。緩衝塩の添加量は通常、単位溶媒重量(水およびニトリル化合物の合計重量)あたり、通常、0.001 mmol /kg〜100 mmol/kgである。
緩衝塩としては、1)硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸2水素イオン、ピロリン酸水素イオン、ピロリン酸イオン、ハロゲンイオン、硝酸イオン、水酸化物イオンもしくはC1-C10カルボン酸イオンから選ばれるアニオンと、2)アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルキルアリールアンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩から選ばれるカチオンとからなる緩衝塩が例示される。
C1-C10カルボン酸イオンとしては、酢酸イオン、蟻酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、酪酸イオン、吉草酸イオン、カプロン酸イオン、カプリル酸イオン、カプリン酸イオン、安息香酸イオンが例示される。
アルキルアンモニウムの例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ-n-プロピルアンモニウム、テトラ-n-ブチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムが挙げられ、アルカリ金属またはアルカリ土類金属カチオンの例は、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、ルビジウムカチオン、セシウムカチオン、マグネシウムカチオン、カルシウムカチオン、ストロンチウムカチオン、バリウムカチオンが例示される。
好ましい緩衝塩としては、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、ピロリン酸水素アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩または酢酸アンモニウム等のC1-C10のカルボン酸のアンモニウム塩が例示され、好ましいアンモニウム塩としては、リン酸2水素アンモニウムが挙げられる。
プロピレンオキサイドの製造方法においては、キノイド化合物を、チタノシリケート、貴金属触媒担持物とともに反応溶媒に加える方法も、プロピレンオキサイドの選択性をさらに増大させることができるため有効である。
キノイド化合物としては、下記式(1)のρ−キノイド化合物およびフェナントラキノン化合物が例示される。
式(1)

Figure 2010173996

(式中、R、R、RおよびRは、水素原子を表すかあるいは、互いに相隣り合うRとR、あるいはRとRは、それぞれ独立に、その末端で結合し、それぞれが結合しているキノンの炭素原子とともに、アルキル基もしくはヒドロキシル基で置換されていてもよいベンゼン環または、アルキル基もしくはヒドロキシル基で置換されていてもよいナフタレン環を表し、XおよびYは同一または互いに相異なり、酸素原子もしくはNH基を表す。)
式(1)の化合物としては、
1)式(1)にいおいて、R、R、RおよびRが、水素原子であり、XおよびYが共に酸素原子であるキノン化合物(1A)、
2)式(1)において、R、R、RおよびRが、水素原子であり、Xが酸素原子であり、YがNH基であるキノンイミン化合物(1B)、
3)式(1)において、R、R、RおよびRが、水素原子であり、XおよびYがNH基であるキノンジイミン化合物(1C)が例示される。
式(1)のキノイド化合物には、下記のアントラキノン化合物(2)が含まれる。
式(2)

Figure 2010173996

(式中、XおよびYは式(1)において定義されたとおりであり、R、R、RおよびRは、同一または互いに相異なり、水素原子、ヒドロキシル基もしくはアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル等のC1-Cアルキル基)を表す。)の化合物。
式(1)および式(2)において、XおよびYは好ましくは、酸素原子を表す。式(1)のXおよびYが酸素原子であるキノイド化合物は、特別にキノン化合物あるいはρ−キノン化合物と呼ばれており、また、式(2)のXおよびYが酸素原子であるキノイド化合物は、更に特別にアントラキノン化合物と呼ばれている。
キノイド化合物のジヒドロ体としては、前記式(1)および(2)の化合物のジヒドロ体である下記の式(3)および(4)の化合物が例示される。
式(3)

Figure 2010173996
(式中、R、R、R、R、XおよびYは、前記式(1)に関して定義されたとおり。)
式(4)
Figure 2010173996
(式中、X、Y、R、R、RおよびRは前記式(2)に関して定義されたとおり。)
式(3)および式(4)において、XおよびYは好ましくは、酸素原子を表す。式(3)のXおよびYが酸素原子であるキノイド化合物のジヒドロ体は、特別にジヒドロキノン化合物あるいはジヒドロρ−キノン化合物と呼ばれており、また、式(4)のXおよびYが酸素原子であるキノイド化合物のジヒドロ体は、更に特別にジヒドロアントラキノン化合物と呼ばれている。
フェナントラキノン化合物としては、ρ−キノイド化合物である1,4-フェナントラキノン、ο−キノイド化合物である1,2-、3,4-および9,10-フェナントラキノンが例示される。
具体的なキノン化合物としては、ベンゾキノンやナフトキノン、アントラキノン、例えば2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−ブチルアントラキノン、2−t−アミルアントラキノン、2−イソプロピルアントラキノン、2−s−ブチルアントラキノンまたは2−s−アミルアントラキノン等の2−アルキルアントラキノン化合物ならびに、2−ヒドロキシアントラキノン、例えば1,3−ジエチルアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2,7−ジメチルアントラキノン等のポリアルキルアントラキノン化合物、2,6−ジヒドロキシアントラキノン等のポリヒドロキシアントラキノン、ナフトキノンおよびその混合物があげられる。
好ましいキノイド化合物としては、アントラキノンや、2−アルキルアントラキノン化合物(式(2)において、XおよびYが酸素原子であり、R5が2位に置換したアルキル基であり、R6が水素を表し、R7およびR8が水素原子を表す。)があげられる。好ましいキノイド化合物のジヒドロ体としては、これらの好ましいキノイド化合物に対応するジヒドロ体が挙げられる。
キノイド化合物もしくはキノイド化合物のジヒドロ体(以下、キノイド化合物誘導体と略記する。)を反応溶媒に添加する方法としては、キノイド化合物誘導体を液相中に溶解させた後、反応に使用する方法が挙げられる。例えばヒドロキノンや、9,10-アントラセンジオールのようにキノイド化合物が水素化された化合物を液相中に添加し、反応器内で酸素により酸化してキノイド化合物を発生させて使用しても良い。
さらに、例示したキノイド化合物を含め、本発明で用いるキノイド化合物は、反応条件によっては、一部が水素化されたキノイド化合物のジヒドロ体となり得るが、これらの化合物を使用してもよい。
用いるキノイド化合物の量は、単位溶媒重量(水、ニトリル化合物もしくは両者の混合物の単位重量)あたり、通常、0.001 mmol/kg〜500 mmol/kgの範囲で実施することができる。好ましいキノイド化合物の量は、0.01 mmol/kg〜50 mmol/kgである。
さらに本発明の方法においては、アンモニウム、アルキルアンモニウムまたはアルキルアリールアンモニウムからなる塩とキノイド化合物を同時に反応系中に加えることも可能である。
本発明による反応の反応方法としては、固定床反応、攪拌槽型反応、流動層反応、移動層反応、気泡塔型反応、管型反応、循環式反応等があげられる。
反応器に供給する酸素と水素の分圧比は、通常、1:50〜50:1の範囲で実施される。好ましい酸素と水素の分圧比は、1:2〜10:1である。酸素と水素の分圧比(酸素/水素)が高すぎるとエポキシ化合物の生成速度が低下する場合がある。また、酸素と水素の分圧比(酸素/水素)が低すぎると、パラフィン副生の増大によりエポキシ化合物の選択率が低下する場合がある。本反応で用いられる酸素および水素ガスは希釈用のガスで希釈して反応を行うことができる。希釈用のガスとしては、窒素,アルゴン,二酸化炭素、メタン,エタン,プロパンがあげられる。希釈用ガスの濃度に特に制限は無いが、必要により、酸素あるいは水素を希釈して反応は行われる。
酸素原料としては、酸素ガス、あるいは空気等があげられる。酸素ガスは安価な圧力スウィング法で製造した酸素ガスも使用できるし、必要に応じて深冷分離等で製造した高純度酸素ガスを用いることもできる。
本反応における反応温度は、通常0℃〜150℃、好ましくは40℃〜90℃である。
反応温度が低すぎると反応速度が遅くなり、反応温度が高くなりすぎると副反応による副生成物が増加する。
反応圧力は、特に制限は無いが、通常、ゲージ圧力で0.1 MPa〜20 MPa、好ましくは、1MPa〜10MPaである。反応圧力が低すぎると原料ガスの溶解が不十分となり、反応速度が遅くなる。反応圧力が高すぎると反応に係わる機器のコストが増大する。本発明の生成物であるエポキシ化合物の回収は、通常の蒸留分離により行うことができ、未反応オレフィン、溶媒も、必要により、例えば、蒸留、膜ろ過によって分離することができる。
チタノシリケートに対する貴金属の重量比(貴金属の重量/チタノシリケートの重量)は、好ましくは、0.01〜100重量%、より好ましくは0.1〜20重量%である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例における分析装置
元素分析方法
Ti(チタン)は、アルカリ融解-硝酸溶解-ICP発光分析法により、触媒中の重量を求めた。即ち、白金坩堝に試料約20mgを量り取り、試料上に炭酸ナトリウムを被せた後、ガスバーナーで融解操作を行った。融解後、純水及び硝酸で白金坩堝中の内容物を加熱溶解し、その後、純水で定容した後、この測定溶液をICP発光分析装置(ICPS-8000 島津製作所製)にて各元素の定量を行った。
粉末X線回折法(XRD)
サンプルを以下の装置、条件で粉末X線回折パターンを測定した。
装置:理学電機社製RINT2500V
線源:Cu Kα線
条件:出力 40kV-20mA
範囲:2θ=0.75〜20°
紫外可視吸収スペクトル(UV-Vis)
サンプルをメノウ乳鉢でよく粉砕後、ペレット化(7mmφ)し以下の装置、条件で紫外可視吸収スペクトルを測定した。
装置:拡散反射装置(HARRICK製 Praying Mantis)
付属品:紫外可視分光光度計(日本分光製(V-7100))
圧力:大気圧
測定値:反射率
データ取込時間:0.1秒
バンド幅:2nm
測定波長:200〜900nm
スリット高さ:半開
データ取込間隔:1nm
ベースライン補正(リファレンス):BaSO4ペレット(7mmφ)
実施例1
本反応に用いたTi-MWW前駆体は、以下の方法により調製した。室温、Air雰囲気下、オートクレーブにピペリジン899g、純水2402g、TBOT(テトラ−n−ブチルオルソチタネート)22.4g、ホウ酸565g、ヒュームドシリカ(cab-o-sil M7D)410gを撹拌しながら溶解させてゲルを調製し、1.5時間熟成させた後、密閉した。さらに撹拌しながら8時間かけて昇温した後、160℃で120時間保持することで、水熱合成を行い、懸濁溶液を得た。得られた懸濁溶液をろ過した後、ろ液のpHが10.4になるまで水洗した。次にろ塊を50℃で重量減少が見られなくなるまで乾燥し、564gの固体を得た。
上記の通り得られた固体 75gに2Mの硝酸3750mL、TBOT(テトラ−n−ブチルオルソチタネート)9.5gを加え、20時間リフラックスさせた。次いで、ろ過し、中性付近まで水洗し、150℃で重量減少が見られなくなるまで真空乾燥して62gの白色粉末を得た。この白色粉末のX線回折パターン、紫外可視吸収スペクトルを測定した結果、Ti-MWW前駆体であることが確認された。また、ICP発光分析および、酸素循環燃焼・TCD検出分析結果からTi含量が1.56質量%であり、Si/N比が55であった。
得られたSi/N比が55のTi-MWW前駆体 60gを530℃で6時間焼成し、54gの固体(Ti-MWW)を得た。得られた固体がMWW構造を持つことは、X線回折パターンを測定することにより確認した。さらに、上記と同様の操作を2回実施し、合わせて162gのTi-MWWを得た。
室温、Air雰囲気下、オートクレーブにピペリジン300g、純水600g、上記の通り得られたTi-MWW 110gを撹拌しながら溶解させてゲルを調製し、1.5時間熟成させた後、密閉した。さらに撹拌しながら4時間かけて昇温した後、160℃で24時間保持することで、水熱反応を行い、懸濁溶液を得た。得られた懸濁溶液をろ過した後、ろ液がpH9付近になるまで水洗した。次にろ塊を150℃で重量減少が無くなるまで真空乾燥し、108gの白色粉末を得た(触媒J)。この白色粉末のX線回折パターン、紫外可視吸収スペクトル測定の結果、Ti-MWW前駆体構造を有するチタノシリケートであることを確認した。また、ICP発光分析および、酸素循環燃焼・TCD検出分析結果からTi含量が1.58質量%であり、Si/N比が10であった。
得られたTi-MWW前駆体粉末0.6 g当り、0.1重量%の過酸化水素を含む水/アセトニトリル=20/80(重量比)の溶液100 gで、室温下、1時間処理し、ろ過後、500 mLの水で洗浄した。反応には、上記過酸化水素処理したTi-MWW前駆体を用いた。
同じく本反応に用いた貴金属担持物は、以下の方法により調製した。市販の活性炭(活性炭素,粉末、和光純薬工業株式会社製) 10gを10Lの熱水(100℃)で洗浄し、150℃窒素気流下で6時間乾燥させた(洗浄活性炭)。得られた洗浄活性炭 6gをガラス製容器に導入し、160℃窒素気流下で乾燥させ、その後放冷した。室温まで放冷後、エタノール(脱水、和光純薬工業株式会社製)50mLおよび、ジメチルジクロロシラン 9.2gを活性炭上に加え、3日間静置した。静置後、活性炭をろ過により濾別し、エタノール 500mL、水 2L、熱水(100℃) 5Lの順で洗浄を行い、残存したジメチルジクロロシランが無いことを確認した。さらに室温下で12時間乾燥させ、シリル化剤と接触させた活性炭7.7gを得た(シリル化剤と接触させた活性炭(I))。
上記シリル化剤と接触させた活性炭(I) 2.5gと水 200mLとを 1Lナスフラスコ中に加え空気下、室温にて撹拌した。この懸濁液に、Pdコロイド(日揮触媒化成製) 0.20mmolを含む水溶液100 mLを空気下、室温にてゆっくり滴下した。滴下終了後、さらに懸濁液を空気下、室温にて8時間撹拌した。攪拌終了後、ロータリーエバポレータを用いて水分を除去し、80℃にて6時間真空乾燥させ、貴金属担持物(I)を得た。ICP発光分析からPd含量が1.24質量%であることが分かった。
プロピレンオキサイドの製造は容量0.5 Lのオートクレーブを反応器として用い、この中に上記の通り得られた予め過酸化水素処理したTi-MWW前駆体 0.6gおよび同じく上記の通り得られた貴金属担持物(I) 0.016gを入れ、プロピレン/酸素/水素/窒素の体積比が6.5/4.5/11/78となる原料ガスを21.3 NL/hr、アントラキノン0.7mmol/kgを含有する水/アセトニトリル=20/80(重量比)の溶液を108mL/時間の速度で供給し、反応器からフィルターを介して反応混合物を抜き出すことにより、温度60℃、圧力0.8MPa (ゲージ圧)、滞留時間90分の条件で連続式反応を行うことにより実施した。反応開始から5時間後に抜き出した液相および気相をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、プロピレンオキサイドおよびプロパン生成量はそれぞれ、15.51mmol/hr、0.36mmol/hrであった。
実施例2
洗浄活性炭 8gをガラス製容器に導入し、160℃窒素気流下で乾燥させ、その後放冷した。室温まで放冷後、ブチルアミン(関東化学株式会社製)40mLを加え、5分間超音波処理を実施した。その後、60℃の加熱処理を行い、1時間後放冷した。室温まで放冷後、トルエン(脱水、和光純薬工業株式会社製)180mL、オクチルトリクロロシラン(信越化学工業株式会社製)24gを加え、12時間静置した。静置後、活性炭をろ過により濾別し、トルエン(500mL)、ヘキサン(500mL)、エタノール(500mL)、アセトン(500mL)、エタノール/水=1/1(体積比)(500mL)、アセトン(500mL)、熱水(100℃) 5Lの順で洗浄を行った。さらに窒素気流下150℃で6時間乾燥させ、シリル化剤と接触させた活性炭 7.9gを得た(シリル化剤と接触させた活性炭(II))。
上記シリル化剤と接触させた活性炭(II) 3gと水 300mLとを 1Lナスフラスコ中に加え空気下、室温にて撹拌した。この懸濁液に、Pdコロイド(日揮触媒化成製) 0.30mmolを含む水溶液100 mLを空気下、室温にてゆっくり滴下した。滴下終了後、さらに懸濁液を空気下、室温にて8時間撹拌した。攪拌終了後、ロータリーエバポレータを用いて水分を除去し、80℃にて6時間真空乾燥させ、さらに熱水(100℃) 5Lで洗浄を行い、窒素気流下150℃で6時間乾燥させ、貴金属担持物(II)を得た。
貴金属担持物(I) 0.016gの代わりに、貴金属担持物(II) 0.02gを用いた以外は、実施例1と同様のプロピレンオキサイドの製造を行った。反応開始から5時間後に抜き出した液相および気相をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、プロピレンオキサイドおよびプロパン生成量はそれぞれ、14.91mmol/hr、0.67mmol/hrであった。
比較例1
シリル化剤と接触させた活性炭(II)の代わりに、洗浄活性炭を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行った。反応開始から5時間後に抜き出した液相および気相をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、プロピレンオキサイドおよびプロパン生成量はそれぞれ、13.15mmol/hr、0.31mmol/hrであった。
プロピレンと酸素と水素からより効率よくプロピレンオキサイドを製造することができる。

Claims (16)

  1. プロピレン、酸素および水素を、液相中、シリル化剤と接触させた活性炭と貴金属からなる貴金属触媒担持物およびチタノシリケートの存在下に反応させることを特徴とするプロピレンオキサイドの製造方法。
  2. チタノシリケートが酸素12員環以上の細孔を有することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. チタノシリケートがMWW構造を有する結晶性チタノシリケートまたはTi-MWW前駆体である請求項1記載の製造方法。
  4. チタノシリケートが下記に示す値のX線回折パターンを有するチタノシリケートである請求項1に記載の製造方法。
    X線回折パターン
    (格子面間隔d/Å)
    12.4±0.8
    10.8±0.3
    9.0 ±0.3
    6.0 ±0.3
    3.9 ±0.1
    3.4 ±0.1
  5. チタノシリケートがTi-MWW若しくはTi-MWW前駆体である請求項1に記載の製造方法。
  6. 液相が、有機溶媒を含む液相である請求項1〜5の何れかに記載の製造方法。
  7. 有機溶媒が、アルコール、ケトン、ニトリル、エーテル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エステル、グリコールまたはそれらの混合物から選ばれる有機溶媒である請求項6に記載の製造方法。
  8. 有機溶媒がアセトニトリルである請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 液相が、有機溶媒と水の混合物からなり、かつ有機溶媒と水の比率(重量比)が、90:10〜0.01:99.99である請求項6、7または8に記載の製造方法。
  10. 液相が、アンモニウム、アルキルアンモニウムまたはアルキルアリールアンモニウムからなる塩を含む液相である請求項6から9の何れかに記載の製造方法。
  11. アンモニウム、アルキルアンモニウムまたはアルキルアリールアンモニウムからなる塩が、1)硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸2水素イオン、ピロリン酸水素イオン、ピロリン酸イオン、ハロゲンイオン、硝酸イオン、水酸化物イオンもしくはC1-C10カルボン酸イオンから選ばれるアニオンと、2)アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルキルアリールアンモニウムから選ばれるカチオンとからなる塩である請求項10記載の製造方法。
  12. アンモニウムからなる塩がアンモニウムカチオンからなる塩である請求項10記載の製造方法。
  13. 液相が、キノイド化合物もしくはキノイド化合物のジヒドロ体を含む液相である請求項6から9に記載の製造方法。
  14. キノイド化合物が、フェナントラキノン化合物もしくは式(1)

    Figure 2010173996

    (式中、R、R、RおよびRは、水素原子を表すかあるいは、互いに相隣り合うRとR、あるいはRとRは、それぞれ独立に、その末端で結合し、それぞれが結合しているキノンの炭素原子とともに、アルキル基もしくはヒドロキシル基で置換されていてもよいベンゼン環または、アルキル基もしくはヒドロキシル基で置換されていてもよいナフタレン環を表し、XおよびYは同一または互いに相異なり、酸素原子もしくはNH基を表す。)
    で表される化合物である請求項13に記載の製造方法。
  15. キノイド化合物が、フェナントラキノン化合物もしくは式(2)

    Figure 2010173996

    (式中、XおよびYは同一または互いに相異なり、酸素原子もしくはNH基を表し、R、R、RおよびRは、同一または互いに相異なり、水素原子、ヒドロキシル基もしくはアルキル基を表す。)
    で表される化合物である請求項13に記載の製造方法。
  16. XおよびYが共に酸素原子である請求項14または項15に記載の製造方法。
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