JP2008079609A - 精製茶抽出物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】非重合体カテキン類の回収率が高く、カフェイン含量が低く、色調が良好で、かつ、呈味の改善された茶抽出物の製造法を提供する。
【解決手段】茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、合成吸着剤に有機溶媒水溶液又は塩基性水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させ、次いで有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる精製茶抽出物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、茶抽出物の精製物の製造方法に関する。
カテキンの効果としてはα−アミラーゼ活性阻害作用などが報告されている(例えば、特許文献1参照)。このような生理効果を発現させるためには、大量のカテキンを摂取するため、飲料にカテキンを高濃度配合する技術が望まれていた。
この方法の一つとして、緑茶抽出物の濃縮物などの茶抽出物を利用して、カテキンを飲料に溶解状態で添加する方法が用いられている。しかしながら、カテキンを高濃度に配合する対象となる飲料の種によっては、例えば、茶系飲料、炭酸飲料などの非茶系飲料等にカテキンを添加する場合など、カフェイン及び緑茶由来の苦渋みの残存や着色が飲料の商品価値を大きく損ねることがわかっている。
茶抽出物から、カフェイン等の夾雑物を取り除く方法としては、吸着法(特許文献2〜4)、抽出法(特許文献5〜6)等が知られている。
上記方法において、茶抽出物中の非重合体カテキン類含有率を上げる場合には、有機溶媒の使用が必要となるが、工業的に見た場合には、回収率が低いという課題があった。
茶抽出物の色調を改善する方法としては、茶抽出液にサイクロデキストリンの存在下に活性炭を作用させ、着色成分等を活性炭に吸着させ除去してなる抗菌脱臭剤の調整方法(特許文献7)が知られているが、飲料用のカテキン製剤への使用は、困難であった。
特開平3−133928号公報 特開平5−153910号公報 特開平8―109178号公報 特開2002−335911号公報 特開平1−289447号公報 特開昭59−219384号公報 特開2001−299887号公報
本発明の目的は、非重合体カテキン類の回収率が高く、カフェイン含量が低く、色調が良好で、かつ、呈味の改善された精製茶抽出物の製造法を提供することにある。
本発明者は、茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後に、有機溶媒水溶液又は塩基性水溶液にて非重合体カテキン類を選択的に溶出させる第一の工程、更に溶出液に有機溶媒水溶液中で活性炭を接触させる第二の工程を行なうことにより、非重合体カテキン類を高収率に回収でき、色調が良好で、カフェイン含量を低減し、呈味の改善した精製物が得られることを見出した。
本発明は、第一に、茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させ、次いで有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる精製茶抽出物の製造方法を提供するものである。
第二に、茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、合成吸着剤に塩基性水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させ、次いで有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる精製茶抽出物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、固形分中の非重合体カテキン類を25〜95質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率0〜70質量%、没食子酸と非重合体カテキン類との比率が0〜0.1であり、カフェインと非重合体カテキン類の比率が0〜0.2、非重合体カテキン類の濃度が1質量%である水溶液としたときの450nmでの色調が0〜0.8である精製茶抽出物を提供するものである。
本発明により、非重合体カテキン類の回収率が高く、カフェイン含量が低く、色調が良好で、かつ、呈味の改善された精製茶抽出物を得ることができる。
本発明で非重合体カテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキンをあわせての総称である。
本発明で非重合体カテキンガレート体とは、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどをあわせての総称である。
非重合体カテキン類中のガレート体率とは、上記非重合体カテキンガレート体の非重合体カテキン類の総量に対する重量比率である。
本発明で用いる茶抽出物としては、茶葉から得られた抽出液が挙げられる。その他のカフェイン含有植物由来、例えばコーヒー等のカフェイン含有抽出物と茶抽出液の混合物等も用いることができる。使用する茶葉としては、より具体的には、Camellia属、例えばC.sinensis、C.assamica及びやぶきた種又はそれらの雑種等から得られる茶葉から製茶された茶葉が挙げられる。製茶された茶葉には、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶等の緑茶類、烏龍茶に代表される半発酵茶、紅茶に代表される発酵茶がある。また、超臨界状態の二酸化炭素接触処理を施した茶葉を用いてもよい。本発明で用いる茶抽出物としては非重合体カテキン類の含有量の点から緑茶抽出物が好ましい。
茶を抽出する方法については、攪拌抽出、ドリップ抽出など従来の方法により行う。また抽出時の水にあらかじめアスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸又は有機酸塩類を添加してもよい。また煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法も併用してもよい。このようにして得られた抽出液は、そのままでも、乾燥、濃縮しても本発明に使用できる。茶抽出物の形態としては、液体、スラリー、半固体、固体の状態が挙げられる。
本発明に使用する茶抽出物には、茶葉から抽出した抽出液を使用する代わりに、茶抽出物の濃縮物を水又は有機溶媒に溶解又は希釈して用いても、茶葉からの抽出液と茶抽出物の濃縮物とを併用してもよい。
ここで、茶抽出物の濃縮物とは、茶葉から熱水又は有機溶媒水溶液により抽出された抽出物を濃縮したものであり、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に記載されている方法により調製したものをいう。具体的には、茶抽出物として、市販の東京フードテクノ社製「ポリフェノン」、伊藤園社製「テアフラン」、太陽化学社製「サンフェノン」等の粗カテキン製剤を固体の茶抽出物として用いることもできる。
合成吸着剤としては、一般に不溶性の三次元架橋構造ポリマーでイオン交換基のような官能基を実質的に持たないもので、好ましくは、イオン交換能が1meq/g未満のものを用いることができる。合成吸着剤の母体がスチレン系、メタクリル系、アクリル系、ポリビニル系が好ましく、特にスチレン系がカテキンとカフェインの分離性の点から好ましい。具体的な合成吸着剤としては、その母体がスチレン系、例えばアンバーライトXAD4、XAD16HP、XAD1180、XAD2000、(供給元:米国ローム&ハース社)、ダイヤイオンHP20、HP21(三菱化学社製)、セパビーズSP850、SP825、SP700、SP70(三菱化学社製)、VPOC1062(Bayer社製);臭素原子を核置換して吸着力を強めた修飾スチレン系、例えばセパビーズSP205、SP206、SP207(三菱化学社製);メタクリル系、例えばダイヤイオンHP1MG、HP2MG(三菱化学社製);フェノール系、例えばアンバーライトXAD761(ロームアンドハース社製);アクリル系、例えばアンバーライトXAD7HP(ロームアンドハース社製);ポリビニル系、例えばTOYOPEARL、HW-40C(東ソー社製);デキストラン系、例えばSEPHADEX、LH−20(ファルマシア社製)等が使用できる。
茶抽出物を合成吸着剤に吸着させる手段としては、茶抽出物及びその水溶液に合成吸着剤を添加、撹拌、吸着後、ろ過操作により合成吸着剤を回収するバッチ方法又は合成吸着剤を充填したカラムを用いて連続処理により吸着処理を行なうカラム方法が採用されるが、生産性の点からカラムによる連続処理方法が好ましい。
合成吸着剤が充填されたカラムは、予めSV(空間速度)=0.5〜10[h-1]、合成吸着剤に対する通液倍数として2〜10[v/v]の通液条件で95vol%エタノール水溶液による洗浄を行い、合成吸着剤の原料モノマーや原料モノマー中の不純物等を除去するのが好ましい。そして、その後SV=0.5〜10[h-1]、合成吸着剤に対する通液倍数として1〜60[v/v]の通液条件により水洗を行い、エタノールを除去して合成吸着剤の含液を水系に置換する方法により非重合体カテキン類の吸着能が向上する。
カラムに茶抽出物を通液するときの条件としては、合成吸着剤に吸着させる場合、茶抽出物中の非重合体カテキン類の濃度は、好ましくは0.1〜22質量%、更に好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%、殊更好ましくは0.5〜3質量%が、合成吸着剤への吸着効率の点から好ましい。
茶抽出物を、合成吸着剤を充填したカラムに通液する条件としては、SV(空間速度)=0.5〜10[h-1]の通液速度で、合成吸着剤に対する通液倍数として0.5〜20[v/v]で通液するのが好ましい。10[h-1]以上の通液速度では、非重合体カテキン類の吸着が不充分や20[v/v]以上の通液量であると、非重合体カテキン類の吸着が安定しない場合がある。
茶抽出液を吸着後、合成吸着剤は、水又は有機溶媒水溶液で洗浄するのが好ましい。合成吸着剤の洗浄に使用する水溶液としては、カテキンの回収率の点からpH7以下の水が好ましく、有機溶媒との混合系においても使用することができる。有機溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノールなどが挙げられ、食品への使用の観点から、エタノールが好ましい。含有する有機溶媒の濃度は、0〜5質量%未満、好ましくは0〜2質量%、より好ましくは0〜1質量%がカテキンの回収率の点から好ましい。
この洗浄工程においては、SV(空間速度)=0.5〜10[h-1]の通液速度で、合成吸着剤に対する通液倍数として1〜10[v/v]で、合成吸着剤に付着した夾雑物を除去することが好ましい。更にSV=0.5〜5[h-1] の通液速度で、通液倍数として1〜5[v/v] で洗浄することが夾雑物の除去効果及び非重合体カテキン類の回収率の点から好ましい。
第一の発明の有機溶媒水溶液を溶出液として使用する場合は、非重合体カテキン類の溶出に用いる有機溶媒としては、水溶性有機溶媒が好ましく、アセトン、メタノール、エタノール等が挙げられ、食品への使用の観点からエタノールが好ましい。かかる有機溶媒は非重合体カテキン類の収率が大きい、及び不純物量が少なくなる等の点から、水溶液として用いるのが好ましく、有機溶媒濃度としては、5〜80質量%水溶液、更に8〜60質量%水溶液、特に10〜40質量%水溶液として用いるのが好ましい。
SV(空間速度)=0.5〜5[h-1]の通液速度で、合成吸着剤に対する通液倍数として1〜15[v/v]で、非重合体カテキン類を溶出することが好ましい。更にSV=1〜3[h-1] の通液速度で、通液倍数として2〜10[v/v] で溶出することが生産性及び非重合体カテキン類の回収率の点から好ましい。
非重合体カテキン類の溶出に用いる溶出液として有機溶媒水溶液を用いる場合は、工程の簡略化及び精製コストの点から好ましい。
溶出工程においては、溶出に用いる有機溶媒水溶液として互いに濃度が異なる2種以上の有機溶媒水溶液を用い、これら有機溶媒水溶液を濃度が低い順に合成吸着剤に接触させることができる。それぞれの濃度区分で異なる非重合体カテキン類や他の成分を脱着することができる。
非重合体カテキン類を含有する溶出液は、濃縮又はこれに加水することにより沈殿物を析出させ、固液分離して沈殿物を除去する(除濁工程)のが、呈味及び製品の安定性向上のため好ましい。
沈殿物を析出させるには、溶出液を濃縮もしくは加水する。操作によってエタノール濃度を調整し、夾雑物を析出させる。濃縮又は加水後のエタノール濃度は、呈味及び析出した夾雑物の分離性の点から、好ましくは0.01〜40質量%、より好ましくは0.1〜30質量%、更に好ましくは0.2〜20質量%にする。溶出液の非重合体カテキン類の濃度は呈味及び析出した夾雑物の分離性の点から0.1〜60質量%であることが好ましく、0.8〜30質量%がより好ましく、1.0〜15質量%が更に好ましい。
濁り成分を析出させる熟成時間は、特に限定されない。例えば、2分〜50時間、更に2分〜24時間、特に5分〜6時間であるのが好ましい。また、濁り成分の析出温度は沈殿物の溶解度を下げる点から、及び濁り成分を析出させた後、呈味及び析出した夾雑物の分離性の点から−5〜40℃、更に5〜25℃であるのが好ましい。
固液分離の具体的な操作としては、ろ過及び/又は遠心分離処理等が挙げられる。茶抽出物水溶液を固液分離して得られる水溶性部分である茶抽出物水溶液の濁度は、0.1〜100NTU、より好ましくは0.5〜70NTU、更に好ましくは1〜50NTUであると、飲料の呈味及び安定性の点で好ましい。濁度は、2100P型(ハック社製)にて測定し、ここで得られた値[単位:NTU]を以って、分離清澄性の指標とすることができる。
固液分離の方法は、食品工業で使用できる方法が適用できる。例えば、固液分離を膜ろ過で行う場合の膜ろ過条件としては、温度が5〜70℃、更に10〜40℃であるのが好ましい。膜孔径は、所定の濁度になるという点から、0.1〜10μmが好ましく、更に0.1〜5μm、特に0.1〜2μmであるのがろ過に要する時間及び濁り成分の分離性の点から好ましい。膜孔径の測定方法は、水銀圧入法、バブルポイント試験、細菌ろ過法などを用いた一般的な測定方法が挙げられるが、バブルポイント試験で求めた値を用いるのが好ましい。膜ろ過で使用する膜の材質は、高分子膜、セラミック膜、ステンレス膜等が使用できる。
また、遠心分離機は、分離板型、円筒型、デカンター型などの一般的な機器が好ましい。遠心分離条件としては、温度が5〜70℃、更に10〜40℃であるのが好ましく、回転数と時間は、所定の濁度になるように調整された条件であることが望ましい。例えば分離板型の場合、3000〜10000r/min、更に5000〜10000r/min、特に6000〜10000r/minで、0.2〜30分、更に0.2〜20分、特に0.2〜15分であるのが好ましい。
第二の発明の塩基性水溶液を用いる場合、非重合体カテキン類の溶出に用いる塩基性水溶液としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のアルカリ水溶液、好ましくは、ナトリウム、カリウム系のアルカリ性水溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等を好適に用いることができる。また、アルカリ性水溶液のpHは7〜14の範囲が好ましく、非重合体カテキン類回収率の点から9〜13.8、特に10〜13.5が好ましい。pH7〜14のナトリウム系水溶液としては、4%以下の水酸化ナトリウム水溶液、1N−炭酸ナトリウム水溶液等が挙げられる。塩基性水溶液と有機溶媒は混合して用いてもよい。有機溶媒の濃度としては、カフェインとカテキンの分離性の点から0〜90質量%の範囲が好ましく、0〜50質量%がより好ましく、0〜20質量%が更に好ましい。
溶出工程においては、溶出に用いる塩基性水溶液として互いにpHが異なる2種以上の塩基性水溶液を用い、これら塩基性水溶液をpHが低い順に合成吸着剤に接触させることができる。それぞれのpH区分で異なる非重合体カテキン類や他の成分を脱着することができる。
SV(空間速度)=2〜10[h-1]の通液速度で、合成吸着剤に対する通液倍数として1〜30[v/v]で、非重合体カテキン類を溶出することが好ましい。更にSV=3〜7[h-1] の通液速度で、通液倍数として3〜15[v/v] で溶出することが生産性及び非重合体カテキン類の回収率の点から好ましい。
非重合体カテキン類の溶出に用いる溶出液として塩基性水溶液を用いる場合は、精製茶抽出物の色調、活性炭処理での回収率の点から好ましい。
塩基性水溶液で溶出した場合には、非重合体カテキン類の溶出液は、塩基性であり、非重合カテキン類の安定性の観点から、溶出液のpHを7以下に、より好ましくはpHを1〜6、更に好ましくは1〜5、殊更好ましくは2〜4に調整する。具体的には、酸による中和、電気透析によるアルカリ金属イオンの除去、又はイオン交換樹脂によるアルカリ金属イオンの除去が利用できる。イオン交換樹脂としては特にH型のカチオン交換樹脂を用いるのが好ましい。プロセスの簡便性からイオン交換樹脂によるpH調整が好ましい。カチオン交換樹脂としては、具体的には、アンバーライト200CT、IR120B、IR124、IR118、ダイヤイオンSK1B、SK1BH、SK102、PK208、PK212等を用いることができる。
塩基性水溶液で溶出した場合には、中和後の溶出液を濃縮し、析出した夾雑物を固液分離除去することが、呈味及び製品の安定性向上のため好ましい。濃縮は、減圧蒸留、薄膜蒸留、膜濃縮等により実施することができる。濃縮倍率としては、呈味及び析出した夾雑物の分離性の点から2〜500倍、更に2〜250倍、特に2〜125倍が好ましい。濃縮後の非重合体カテキン類の濃度は、呈味及び析出した夾雑物の分離性の点から0.1〜60質量%、更に0.2〜30質量%、特に0.5〜15質量%が好ましい。固液分離の具体的な操作としては、ろ過及び/又は遠心分離処理等が挙げられる。茶抽出物水溶液を固液分離して得られる水溶性部分である茶抽出物水溶液の濁度は、0.1〜100NTU、より好ましくは0.5〜70NTU、更に好ましくは1〜50NTUであると、飲料の呈味及び安定性の点で好ましい。濁度は、2100P型(ハック社製)にて測定し、ここで得られた値[単位:NTU]を以って、分離清澄性の指標とすることができる。
固液分離の方法は、第一の発明の場合と同様に食品工業で使用できる方法が適用できる。
溶出液は有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる。活性炭の原料としては、ヤシ殻、木質、石炭があげられるが、木質のものが好ましい。活性炭の賦活方法としては、水蒸気賦活法、ガス賦活法、薬品賦活法があげられるが、薬品賦活法が好ましい。
例えば、ZN−50、Y−10S、GS-1、GS-B(味の素ファインテクノ製)、クラレコールGLC、クラレコールPK−D、クラレコールPW−D、クラレコールGW、クラレコールGA、クラレコールGA-D、クラレコールRP−15(クラレケミカル社製)、白鷺AW50、白鷺A、白鷺P、白鷺KL、白鷺M、白鷺C、カルボラフィン、WH2C(日本エンバイロケミカルズ製)、GM130A、CW130A、CW130AR、CW350AR、GL130A、SG、SGA、SGP(フタムラ化学製)、ヤシコール、MAS印、梅蜂印、梅蜂F印(太平化学産業製)、CPG、CAL、S80A(三菱化学カルゴン製)等の市販品を用いることができる。
製品の色調を改善する点、活性炭の使用量を低減する点、回収率を向上する点から、活性炭としては以下のものが好ましい。平均細孔径は0.5〜10nm(ナノメーター)、更に、1.0〜9.0nm(ナノメーター)、特に2.0〜8.0nm(ナノメーター)のものが好ましい。細孔容積は0.01〜2.5mL/g、更に0.1〜2.0mL/g、特に0.5〜1.7mL/gのものが好ましい。また、比表面積は800〜2000m2/g、更に900〜1600m2/g、特に1000〜1500m2/gの範囲のものが好ましい。なお、これらの物性値は窒素吸着法に基づく値である。
活性炭は、溶出液中の非重合体カテキン類100質量部に対して1〜200質量部、更に5〜100質量部、特に10〜80質量部添加することが、精製効果、回収率を向上する点、ろ過工程におけるケーク抵抗が小さい点で好ましい。
活性炭と接触させる際に用いる有機溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール等が挙げられ、食品への使用の観点からエタノールが好ましい。かかる有機溶媒は得られる製品の色調が良好である、非重合体カテキン類の収率が大きい、不純物量が少ない等の点から、水溶液として用いる。有機溶媒濃度としては、1〜80質量%水溶液、更に2〜70質量%水溶液、特に5〜50質量%水溶液、殊更7〜40質量%水溶液として用いるのが好ましい。
活性炭と接触させる際、有機溶媒水溶液中の非重合体カテキン類の濃度は、精製効果、回収率を向上する点から、0.5〜20質量%、更に1〜15質量%、特に2〜8質量%が好ましい。
活性炭と接触させる際、合成吸着剤からの溶出液は、水や有機溶媒水溶液の添加、減圧濃縮、膜濃縮、脱溶媒等により、溶媒濃度や非重合体カテキン類濃度を所定の濃度に調整することが好ましい。
活性炭と接触させる手段としては、溶出液に活性炭を添加、撹拌し吸着後、ろ過操作により活性炭を回収する撹拌槽方法又は活性炭を充填したカラムを用いて連続処理により接触させるカラム方法が採用されるが、生産性の点からカラム方法による連続処理方法が好ましい。
本発明によって得られる精製茶抽出物は、その固形分中に、非重合体カテキン類を25〜95質量%含有するが、40〜95質量%、更に50〜90質量%、特に60〜85質量%含有することが、飲料への配合上好ましい。
また、本発明により得られる精製茶抽出物中のカテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートからなるガレート体の全非重合体カテキン類中での割合は、0〜70質量%、更に1〜60質量%、特に2〜40質量%殊更10〜35質量%であるのが、非重合体カテキン類の生理効果の有効性、苦味低減の点で好ましい。
本発明で得られる精製茶抽出物中のカフェイン濃度は、非重合体カテキン類に対して、カフェイン/非重合体カテキン類(質量比)=0〜0.2、更に0〜0.15、特に0〜0.1、更に0〜0.05、殊更に0〜0.035であるのが呈味改善の点で好ましい。
また、本発明で得られる精製茶抽出物中の没食子酸と非重合体カテキン類との比率(質量比)は0〜0.1、更に0〜0.07、特に0〜0.05であるのが、呈味改善、色調の点から好ましい。
本発明で得られる精製茶抽出物の色調は、非重合体カテキン類の濃度が1質量%である水溶液としたときの450nmでの色調(/cm)が0〜0.8、更に0.01〜0.75、特に0.1〜0.6、殊更0.2〜0.5であることが、飲料に配合した時の色調の点、精製コストの点から好ましい。
茶抽出物は、更に苦味を低減したい場合は加水分解処理することができる。加水分解処理は、本発明の樹脂処理の前に行うのが好ましい。加水分解処理としては、タンナーゼ活性を有する酵素で処理することが好ましい。呈味の点から合成吸着剤に吸着する前に酵素処理することが好ましい。
具体的には、タンナーゼ活性を有する酵素として市販品では、ペクチナーゼPLアマノ(天野エンザイム社製)、ヘミセルラーゼアマノ90(天野エンザイム社製)、タンナーゼKTFH(キッコーマン社製)等が利用できる。その中でもタンナーゼが好ましい。例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属のタンナーゼ生産菌を培養して得られるタンナーゼが挙げられる。このうちアスペルギルス オリーゼ由来のものが好ましい。
本発明で行うタンナーゼ活性を有する酵素処理、即ち酵素反応は、タンニンアシルヒドラーゼEC3.1.1.20などで行うことが好適である。市販品としては、商品名「タンナーゼ」キッコーマン(株)製及びタンナーゼ「三共」三共(株)製などが挙げられる。
本発明で使用するタンナーゼ活性を有する酵素は、500〜100,000U/gの酵素活性を有することが好ましく、500U/g以下であると工業的に限られた時間内で処理するためには多量の酵素が必要となり、100,000U/g以上であると酵素反応速度が速すぎる為、反応系を制御することが困難となる。ここで1Unitは30℃の水中においてタンニン酸に含まれるエステル結合を1マイクロモル加水分解する酵素量を示す。ここでタンナーゼ活性を有するとは、タンニンを分解する活性を有するものであり、本活性を有すれば任意の酵素が使用できる。
タンナーゼ活性を有する酵素処理するときの非重合体カテキン濃度は、好ましくは0.1〜22質量%、更に好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%、殊更好ましくは0.5〜3質量%である。0.1質量%未満ではこの後の合成吸着剤への吸着時に吸着量が低下し、22質量%を超えると、加水分解処理に長時間を要し、生産性及び茶抽出物の味の点から好ましくない。
茶抽出物中の非重合体カテキン類に対してタンナーゼ活性を有する酵素を、好ましくは1〜300Unit/g−非重合体カテキン、更に好ましくは3〜200Unit/g−非重合体カテキン、特に好ましくは5〜150Unit/g−非重合体カテキンになるように添加する。
酵素処理の温度は、最適な酵素活性が得られる0〜70℃が好ましく、更に好ましくは0〜60℃、特に好ましくは5〜50℃である。
酵素反応を終了させるには、酵素活性を失活させる必要がある。酵素失活の温度は、70〜100℃が好ましい。
酵素の失活は、バッチ式もしくはプレート型熱交換機のような連続式で加熱を行うことでできる。又、タンナーゼの失活後、遠心分離などの操作により茶抽出物を清浄化することができる。
本発明で得られた精製茶抽出物はそのままで飲料として使用できる。また、減圧濃縮、薄膜濃縮などの方法により溶媒を除去してもよい。また精製茶抽出物の製品形態として粉体が望ましい場合は、噴霧乾燥や凍結乾燥等の方法により粉体化できる。
本発明の精製茶抽出物を用いた容器詰飲料の非重合体カテキン類濃度を0.05〜0.5質量%、好ましくは0.06〜0.5質量%、更に0.08〜0.5質量%、更に好ましくは0.092〜0.4質量%、殊更に好ましくは0.11〜0.3質量%、特に好ましくは0.12〜0.3質量%に、調整すると、雑味がなく良好な風味の容器詰飲料が得られる点で好ましい。
また、前記容器詰飲料中のカテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートからなる総称ガレート体の全非重合体カテキン類中での割合が0〜70質量%、更に1〜60質量%、特に2〜40質量%、殊更10〜35質量%方が、呈味、非重合体カテキン類の生理効果の有効性上好ましい。
また、本発明の容器詰飲料中の没食子酸含有量は、苦味、酸味の低減効果、更には風味及び色調の保存安定性の点から10mg/100mL未満であることがよい。
本発明の容器詰飲料は、茶系飲料及び非茶系飲料として用いることができる。非茶系飲料としては、具体的には、甘味料及びフルーツフレーバーを含有した酸性飲料、及びスポーツ飲料又はアイソトニック飲料が挙げられる。
本発明の容器詰飲料に用いられる甘味料としては人工甘味料類、炭水化物類、グリセロール類(例えばグリセリン)が用いられる。
フルーツフレーバーには、果汁及び香料が含まれる。一般に果汁のことをフルーツジュース、香料のことをフレーバーと呼んでいるが、これらを含む天然又は合成香料や果汁が本発明で使用できる。
本発明の容器詰飲料を、スポーツドリンク又はアイソトニック飲料とする場合には、ナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンを含有させるのが好ましい。
更に必要により、本発明飲料は酸味料を含有していてもよい。酸味料としては、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸等のような食用酸が挙げられる。酸味料は本発明飲料のpHを調整するために用いてもよい。
本発明の容器詰飲料は、苦渋味抑制剤を配合すると飲用しやすくなり好ましい。用いる苦渋味抑制剤は特に限定はないが、サイクロデキストリンが好ましい。サイクロデキストリンとしては、α−、β−、γ−サイクロデキストリン及び分岐α−、β−、γ−サイクロデキストリンが使用できる。サイクロデキストリンは飲料中に0.005〜0.5質量%、更に0.01〜0.3質量%含有するのが好ましい。本発明の容器詰飲料には、酸化防止剤、各種エステル類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、ガム、乳化剤、油、ビタミン、アミノ酸、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を単独、あるいは併用して配合できる。
本発明の容器詰飲料のpHは、25℃で2〜7、好ましくは2〜6.5とするのが呈味及び非重合体カテキン類の安定性の点で好ましい。
本発明の容器詰飲料において、カテキンの生理効果を得るための一日当りの必要摂取量を確保する意味から、本発明の容器詰飲料1本(350〜500mL)当り300mg以上、好ましくは450mg以上、更に好ましくは500mg以上の配合量であるものがよい。
また上記の容器詰飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造される。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。
(1)カテキン類、カフェイン及び没食子酸の測定
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、島津製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラムL−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法で分析した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
(2)茶抽出物の精製物の味の評価
各実施例で得られた精製緑茶抽出物を非重合体カテキン類含有率が0.175%[w/v]となるように脱イオン水で希釈し、その40mLを50mLの耐圧製ガラス容器に入れた。そこにアスコルビン酸Naを0.1質量%添加し、5%重炭酸Na水溶液でpHを6.4に調整し、窒素置換を行い、オートクレーブで121℃、10分間加熱滅菌した。その後、評価パネラー5名によって先味と後味について苦味の評価を行った。苦味に関しては硫酸キニーネ法にて行った。また実施例10に関しては評価パネラー5名によって雑味に関する評価を行った。
(3)硫酸キニーネ法(等価濃度試験法)による苦味評価
硫酸キニーネ2水和物を表に記載の苦味強度に対応した濃度に調整した。評価サンプルを試飲した後、標準苦味溶液のどのサンプルと苦味の強さが等しいか判断した。評価パネラー5名によって苦味強度の確認を行った。(参考文献:新版官能検査ハンドブック 日科技連官能検査委員会p448-449、Perception & Psychophysics,5,1696,347-351)
Figure 2008079609
(4)色調の測定
HITACHIの分光光度計(型式U−2001型)を用い、ガラスセルにサンプル中の非重合体カテキン類の濃度が1質量%の水溶液になるようにイオン交換水で希釈して測定した。分析時の分光光度計の測定波長は450nmに設定した。
実施例1
緑茶葉(ケニア産、大葉種)3kgに88℃の熱水45kgを添加し、60分間攪拌バッチ抽出したのち、100メッシュ金網で粗ろ過後、抽出液中の微粉を除去する為に遠心分離操作を行い、「緑茶抽出液」37.2kg(pH5.4)を得た(緑茶抽出液中の非重合体カテキン類濃度=0.89質量%、緑茶抽出液のガレート体率=52.3質量%、カフェイン0.17質量%)。この緑茶抽出液を温度15℃に保持し、タンナーゼ(キッコーマン社製タンナーゼKTFH、500U/g)を緑茶抽出液に対して430ppmとなる濃度で添加し、55分間保持し、ガレート体率が30.5質量%になったところで、90℃に溶液を加熱して、2分間保持し酵素を失活させ、反応を止めた(pH5.1)。次いで70℃、6.7kpaの条件下で、減圧濃縮でBrix濃度20%まで濃縮処理を行い、更に噴霧乾燥して粉末状の「タンナーゼ処理した緑茶抽出物」0.9kgを得た。得られた緑茶抽出物は非重合体カテキン類含有量27.8質量%、非重合体カテキンガレート体率30.3質量%、カフェイン含有量6.74質量%、没食子酸3.58質量%であった。「タンナーゼ処理した緑茶抽出物」285gを、脱イオン水8550gに25℃で30分間攪拌溶解した(タンナーゼ処理液)。
次いで、ステンレスカラム1(内径110mm×高さ230mm、容積2185mL)に合成吸着剤SP−70(三菱化学(株)製)を2209mL充填した。ステンレスカラム2(内径38mm×高さ770mm、877.4容積mL)にイオン交換樹脂SK1BH(三菱化学(株)製)を852mL充填した。予め両カラム共にSV=5(h-1)で95%(v/v)エタノールを4倍容積量(対充填樹脂)通液後、水を10倍容積量(対充填樹脂)通液して洗浄した。その後、得られたタンナーゼ処理液8835g(4倍容積対合成吸着剤)をSV=1(h-1)でカラム1に通液し透過液は廃棄した。次いでSV=2(h-1)で2209mL(1倍容積対合成吸着剤)の水で洗浄した。水洗後、0.1質量%水酸化ナトリウム水溶液(pH12.4)をSV=5(h-1)で13256mL通液した(6倍容積対合成吸着剤)。溶出液は連続でカラム2に通液して、脱イオンを行い、非重合体カテキン類組成物13080g(pH3.3)を得た。この抽出物中には非重合体カテキン類0.38質量%が含まれており、非重合体カテキン類組成物のガレート体率は28.6質量%であった。又、カフェイン0質量%、没食子酸量0.002質量%であった。茶抽出物の固形分中の非重合体カテキン類69.0質量%であった。更に40℃、2.6kPa条件で減圧濃縮して非重合体カテキン類濃度6%(濁度208NTU)まで濃縮した。次いで0.8μmのセルロースアセテート膜(ADVANTEC:C080A090C)を通過させ、懸濁物と固液分離して「樹脂処理品1」(濁度1.5NTU)を得た。次いで、ステンレスカラム3(内径22mm×高さ145mm、容積55.1mL)に粒状活性炭太閤SGP(フタムラ化学(株)製)を6.5g充填した。「樹脂処理品1」を非重合体カテキン類濃度4%で且つエタノール濃度20質量%となるように調製し、その267gをSV=2(h-1)でカラム3に通液した(活性炭の量は非重合体カテキン類の量に対して0.6)。続けて0.2μmメンブランフィルターによってろ過を行った。最後にイオン交換水50gを添加して、40℃、2.7kPaの条件でエタノールを留去し、その後、水分量を調整して「活性炭処理品1」(2.1NTU)を得た。この抽出物中には非重合体カテキン類13.7質量%が含まれており、非重合体カテキン類組成物のガレート体率は23.5質量%であった。又、カフェイン0質量%、没食子酸量0.054質量%であった。固形分中の非重合体カテキン類79.6質量%であった。
比較例1
実施例1における『樹脂処理品1』。
実施例2
ステンレスカラム4(内径110mm×高さ230mm、容積2185mL)に合成吸着剤SP−70(三菱化学(株)製)を2048mL充填した。予めカラムは実施例1と同様の方法で洗浄した。その後、実施例1で得られたタンナーゼ処理液8191g(4倍容積対合成吸着剤)をSV=1(h-1)でカラム4に通液し透過液は廃棄した。次いでSV=2(h-1)で2048mL(1倍容積対合成吸着剤)の水で洗浄した。水洗後、20質量%エタノール水溶液をSV=2(h-1)で12287mL(6倍容積対合成吸着剤)を通液し、非重合体カテキン類組成物12090g(pH2.1)を得た。この抽出物中には非重合体カテキン類0.51質量%が含まれており、非重合体カテキン類組成物のガレート体率は27.4質量%であった。又、カフェイン0.075質量%、没食子酸量0.002質量%であった。茶抽出物の固形分中の非重合体カテキン類62.5質量%であった。更に減圧濃縮にて、40℃、2.7kPaでエタノールを留去し、その後、水分量を調整して「樹脂処理品2」を得た。次いで、実施例1と同様の方法で活性炭と接触処理(活性炭の量は非重合体カテキン類の量に対して0.6)して「活性炭処理品2」(1.7NTU)を得た。この抽出物中には非重合体カテキン類15.0質量%が含まれており、非重合体カテキン類組成物のガレート体率は20.9質量%であった。又、カフェイン0.264質量%、没食子酸量0.057質量%であった。固形分中の非重合体カテキン類72.8質量%であった。
比較例2
実施例2における『樹脂処理品2』。
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2を比較した結果を表2に示す。
Figure 2008079609
表2から明らかなように、茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、有機溶媒水溶液又は塩基性水溶液で溶出し、次いで有機溶媒水溶液中で活性炭処理することにより、カフェインが低減し、後味の苦味が低減し、色調が向上した精製茶抽出物を得ることができた。従って、この抽出物は茶系飲料だけでなく、非茶系飲料としても有用である。
実施例3〜6
実施例1に準ずる操作で、加水分解処理なし及びガレート体率を約3.5%となるまで加水分解処理し、活性炭接触時の有機溶媒水溶液濃度を20質量%及び60質量%とした場合の操作を行った(活性炭の量は非重合体カテキン類の量に対して0.6)。結果を表3に示す。
Figure 2008079609
表3より、活性炭接触時の有機溶媒水溶液濃度が20質量%と60質量%の場合を比較すると、色調の点において、20質量%のほうが好ましい。回収率の点では、60質量%のほうが好ましい。
実施例7〜9,比較例3〜4
実施例1及び実施例2に準ずる操作で、活性炭接触時の有機溶媒水溶液濃度を0質量%、7.5質量%及び20質量%とし、活性炭との接触操作は撹拌槽方法で行った(活性炭の量は非重合体カテキン類の量に対して0.6)。結果を表4に示す。
Figure 2008079609
表4から明らかなように、活性炭接触時の有機溶媒水溶液濃度を0質量%とした場合(水を溶媒をした場合)に比べて、活性炭接触時の有機溶媒水溶液濃度を7.5質量%及び20質量%とした場合のほうが、色調が良好であり、回収率が良好である。
実施例10
ステンレスカラム5(内径36mm×高さ330mm、容積1310mL)に合成吸着剤SP−70(三菱化学(株)製)を1186mL充填した。予めカラムは実施例1と同様の方法で洗浄した。その後、実施例1で得られたタンナーゼ処理液4744g(4倍容積対合成吸着剤)をSV=1(h-1)でカラム5に通液し透過液は廃棄した。次いでSV=1(h-1)で1779mL(1.5倍容積対合成吸着剤)の水で洗浄した。水洗後、50質量%エタノール水溶液をSV=1(h-1)で1483mL(1.25倍容積対合成吸着剤)を通液し、0〜1.25BV画分を分取し「樹脂処理品3」(33.4NTU)を得た。この脱離溶液に水を444g(0.38倍容積対合成吸着剤)添加し、2時間攪拌して沈殿物を析出させた。そのときの濁度は122NTUであった。この溶液を遠心分離機によって6000rpm・10minで沈降させ、上澄み「遠心分離除濁品1」(3.8NTU)である非重合体カテキン類組成物40.9g(pH4.7)を得た。この抽出物中には非重合体カテキン類1.78質量%が含まれており、非重合体カテキン類組成物のガレート体率は35質量%であった。又、カフェイン0.51質量%、没食子酸量0.001質量%であった。茶抽出物の固形分中の非重合体カテキン類61.0質量%であった。
次いで、ステンレスカラム6(内径22mm×高さ145mm、容積55.1mL)に粒状活性炭太閤SGP(フタムラ化学(株)製)を27.9g充填した。「遠心分離除濁品1」をSV=0.75(h-1)でカラム6に通液した(活性炭の量は非重合体カテキン類の量に対して0.6)。続けて0.2μmメンブランフィルターによってろ過を行った。
40℃、2.7kPaの条件でエタノールを留去し、その後、水分量を調整して「活性炭処理品3」を得た。この抽出物中には非重合体カテキン類1.1質量%が含まれており、非重合体カテキン類組成物のガレート体率は31質量%であった。固形分中の非重合体カテキン類82質量%であった。
比較例5
実施例10における「樹脂処理品3」。
Figure 2008079609
実施例10では処理前後における非重合体カテキン類の回収率が高く、カフェイン濃度及び色相が低減し、かつ雑味が低減し呈味の改善された精製茶抽出物が得られた。比較例5は除濁工程がなく、活性炭処理がなかったため、カフェインが含まれ、また色調及び呈味も悪かった。
実施例11
実施例1の『活性炭処理品1』を用いて表6に記載の容器詰飲料を調製した。食品衛生法に基づく殺菌処理及びホットパック充填を行って容器詰飲料とした。
製造した容器詰飲料を37℃で30日間保存した後、評価した。外観、呈味の安定性は良かった。
Figure 2008079609

Claims (9)

  1. 茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させ、次いで溶出液を有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる精製茶抽出物の製造方法。
  2. 茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、合成吸着剤に塩基性水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させ、次いで溶出液を有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる精製茶抽出物の製造方法。
  3. 茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、合成吸着剤を洗浄し、合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させ、次いで溶出液を有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる精製茶抽出物の製造方法。
  4. 茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、合成吸着剤を洗浄し、合成吸着剤に塩基性水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させ、次いで有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる精製茶抽出物の製造方法。
  5. 茶抽出物が、加水分解処理して得られるものである請求項1〜4のいずれか1項記載の精製茶抽出物の製造方法。
  6. 有機溶媒がエタノールである請求項1〜5のいずれか1項記載の精製茶抽出物の製造方法。
  7. 合成吸着剤に塩基性水溶液を接触させ非重合体カテキン類を溶出させた後、溶出液をpH7以下に調整する請求項2、4〜6のいずれか1項記載の精製茶抽出物の製造方法。
  8. 該溶出液を濃縮又は加水することにより生じる沈殿を固液分離した後に、溶出液を有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる請求項1〜7のいずれか1項記載の精製茶抽出物の製造方法。
  9. 固形分中の非重合体カテキン類25〜95質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率0〜70質量%、没食子酸と非重合体カテキン類との比率が0〜0.1、カフェインと非重合体カテキン類の比率が0〜0.2、かつ、非重合体カテキン類の濃度が1質量%である水溶液としたときの450nmでの色調が0以上0.8以下である精製茶抽出物。
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