JP2008079609A - 精製茶抽出物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、合成吸着剤に有機溶媒水溶液又は塩基性水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させ、次いで有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる精製茶抽出物の製造方法。
【選択図】なし
Description
上記方法において、茶抽出物中の非重合体カテキン類含有率を上げる場合には、有機溶媒の使用が必要となるが、工業的に見た場合には、回収率が低いという課題があった。
茶抽出物の色調を改善する方法としては、茶抽出液にサイクロデキストリンの存在下に活性炭を作用させ、着色成分等を活性炭に吸着させ除去してなる抗菌脱臭剤の調整方法(特許文献7)が知られているが、飲料用のカテキン製剤への使用は、困難であった。
第二に、茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、合成吸着剤に塩基性水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させ、次いで有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる精製茶抽出物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、固形分中の非重合体カテキン類を25〜95質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率0〜70質量%、没食子酸と非重合体カテキン類との比率が0〜0.1であり、カフェインと非重合体カテキン類の比率が0〜0.2、非重合体カテキン類の濃度が1質量%である水溶液としたときの450nmでの色調が0〜0.8である精製茶抽出物を提供するものである。
非重合体カテキン類中のガレート体率とは、上記非重合体カテキンガレート体の非重合体カテキン類の総量に対する重量比率である。
茶を抽出する方法については、攪拌抽出、ドリップ抽出など従来の方法により行う。また抽出時の水にあらかじめアスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸又は有機酸塩類を添加してもよい。また煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法も併用してもよい。このようにして得られた抽出液は、そのままでも、乾燥、濃縮しても本発明に使用できる。茶抽出物の形態としては、液体、スラリー、半固体、固体の状態が挙げられる。
ここで、茶抽出物の濃縮物とは、茶葉から熱水又は有機溶媒水溶液により抽出された抽出物を濃縮したものであり、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に記載されている方法により調製したものをいう。具体的には、茶抽出物として、市販の東京フードテクノ社製「ポリフェノン」、伊藤園社製「テアフラン」、太陽化学社製「サンフェノン」等の粗カテキン製剤を固体の茶抽出物として用いることもできる。
SV(空間速度)=0.5〜5[h-1]の通液速度で、合成吸着剤に対する通液倍数として1〜15[v/v]で、非重合体カテキン類を溶出することが好ましい。更にSV=1〜3[h-1] の通液速度で、通液倍数として2〜10[v/v] で溶出することが生産性及び非重合体カテキン類の回収率の点から好ましい。
非重合体カテキン類の溶出に用いる溶出液として有機溶媒水溶液を用いる場合は、工程の簡略化及び精製コストの点から好ましい。
濁り成分を析出させる熟成時間は、特に限定されない。例えば、2分〜50時間、更に2分〜24時間、特に5分〜6時間であるのが好ましい。また、濁り成分の析出温度は沈殿物の溶解度を下げる点から、及び濁り成分を析出させた後、呈味及び析出した夾雑物の分離性の点から−5〜40℃、更に5〜25℃であるのが好ましい。
また、遠心分離機は、分離板型、円筒型、デカンター型などの一般的な機器が好ましい。遠心分離条件としては、温度が5〜70℃、更に10〜40℃であるのが好ましく、回転数と時間は、所定の濁度になるように調整された条件であることが望ましい。例えば分離板型の場合、3000〜10000r/min、更に5000〜10000r/min、特に6000〜10000r/minで、0.2〜30分、更に0.2〜20分、特に0.2〜15分であるのが好ましい。
非重合体カテキン類の溶出に用いる溶出液として塩基性水溶液を用いる場合は、精製茶抽出物の色調、活性炭処理での回収率の点から好ましい。
例えば、ZN−50、Y−10S、GS-1、GS-B(味の素ファインテクノ製)、クラレコールGLC、クラレコールPK−D、クラレコールPW−D、クラレコールGW、クラレコールGA、クラレコールGA-D、クラレコールRP−15(クラレケミカル社製)、白鷺AW50、白鷺A、白鷺P、白鷺KL、白鷺M、白鷺C、カルボラフィン、WH2C(日本エンバイロケミカルズ製)、GM130A、CW130A、CW130AR、CW350AR、GL130A、SG、SGA、SGP(フタムラ化学製)、ヤシコール、MAS印、梅蜂印、梅蜂F印(太平化学産業製)、CPG、CAL、S80A(三菱化学カルゴン製)等の市販品を用いることができる。
活性炭と接触させる際、有機溶媒水溶液中の非重合体カテキン類の濃度は、精製効果、回収率を向上する点から、0.5〜20質量%、更に1〜15質量%、特に2〜8質量%が好ましい。
活性炭と接触させる際、合成吸着剤からの溶出液は、水や有機溶媒水溶液の添加、減圧濃縮、膜濃縮、脱溶媒等により、溶媒濃度や非重合体カテキン類濃度を所定の濃度に調整することが好ましい。
具体的には、タンナーゼ活性を有する酵素として市販品では、ペクチナーゼPLアマノ(天野エンザイム社製)、ヘミセルラーゼアマノ90(天野エンザイム社製)、タンナーゼKTFH(キッコーマン社製)等が利用できる。その中でもタンナーゼが好ましい。例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属のタンナーゼ生産菌を培養して得られるタンナーゼが挙げられる。このうちアスペルギルス オリーゼ由来のものが好ましい。
本発明で行うタンナーゼ活性を有する酵素処理、即ち酵素反応は、タンニンアシルヒドラーゼEC3.1.1.20などで行うことが好適である。市販品としては、商品名「タンナーゼ」キッコーマン(株)製及びタンナーゼ「三共」三共(株)製などが挙げられる。
本発明で使用するタンナーゼ活性を有する酵素は、500〜100,000U/gの酵素活性を有することが好ましく、500U/g以下であると工業的に限られた時間内で処理するためには多量の酵素が必要となり、100,000U/g以上であると酵素反応速度が速すぎる為、反応系を制御することが困難となる。ここで1Unitは30℃の水中においてタンニン酸に含まれるエステル結合を1マイクロモル加水分解する酵素量を示す。ここでタンナーゼ活性を有するとは、タンニンを分解する活性を有するものであり、本活性を有すれば任意の酵素が使用できる。
茶抽出物中の非重合体カテキン類に対してタンナーゼ活性を有する酵素を、好ましくは1〜300Unit/g−非重合体カテキン、更に好ましくは3〜200Unit/g−非重合体カテキン、特に好ましくは5〜150Unit/g−非重合体カテキンになるように添加する。
酵素処理の温度は、最適な酵素活性が得られる0〜70℃が好ましく、更に好ましくは0〜60℃、特に好ましくは5〜50℃である。
酵素の失活は、バッチ式もしくはプレート型熱交換機のような連続式で加熱を行うことでできる。又、タンナーゼの失活後、遠心分離などの操作により茶抽出物を清浄化することができる。
フルーツフレーバーには、果汁及び香料が含まれる。一般に果汁のことをフルーツジュース、香料のことをフレーバーと呼んでいるが、これらを含む天然又は合成香料や果汁が本発明で使用できる。
更に必要により、本発明飲料は酸味料を含有していてもよい。酸味料としては、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸等のような食用酸が挙げられる。酸味料は本発明飲料のpHを調整するために用いてもよい。
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、島津製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラムL−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法で分析した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
各実施例で得られた精製緑茶抽出物を非重合体カテキン類含有率が0.175%[w/v]となるように脱イオン水で希釈し、その40mLを50mLの耐圧製ガラス容器に入れた。そこにアスコルビン酸Naを0.1質量%添加し、5%重炭酸Na水溶液でpHを6.4に調整し、窒素置換を行い、オートクレーブで121℃、10分間加熱滅菌した。その後、評価パネラー5名によって先味と後味について苦味の評価を行った。苦味に関しては硫酸キニーネ法にて行った。また実施例10に関しては評価パネラー5名によって雑味に関する評価を行った。
硫酸キニーネ2水和物を表に記載の苦味強度に対応した濃度に調整した。評価サンプルを試飲した後、標準苦味溶液のどのサンプルと苦味の強さが等しいか判断した。評価パネラー5名によって苦味強度の確認を行った。(参考文献:新版官能検査ハンドブック 日科技連官能検査委員会p448-449、Perception & Psychophysics,5,1696,347-351)
HITACHIの分光光度計(型式U−2001型)を用い、ガラスセルにサンプル中の非重合体カテキン類の濃度が1質量%の水溶液になるようにイオン交換水で希釈して測定した。分析時の分光光度計の測定波長は450nmに設定した。
緑茶葉(ケニア産、大葉種)3kgに88℃の熱水45kgを添加し、60分間攪拌バッチ抽出したのち、100メッシュ金網で粗ろ過後、抽出液中の微粉を除去する為に遠心分離操作を行い、「緑茶抽出液」37.2kg(pH5.4)を得た(緑茶抽出液中の非重合体カテキン類濃度=0.89質量%、緑茶抽出液のガレート体率=52.3質量%、カフェイン0.17質量%)。この緑茶抽出液を温度15℃に保持し、タンナーゼ(キッコーマン社製タンナーゼKTFH、500U/g)を緑茶抽出液に対して430ppmとなる濃度で添加し、55分間保持し、ガレート体率が30.5質量%になったところで、90℃に溶液を加熱して、2分間保持し酵素を失活させ、反応を止めた(pH5.1)。次いで70℃、6.7kpaの条件下で、減圧濃縮でBrix濃度20%まで濃縮処理を行い、更に噴霧乾燥して粉末状の「タンナーゼ処理した緑茶抽出物」0.9kgを得た。得られた緑茶抽出物は非重合体カテキン類含有量27.8質量%、非重合体カテキンガレート体率30.3質量%、カフェイン含有量6.74質量%、没食子酸3.58質量%であった。「タンナーゼ処理した緑茶抽出物」285gを、脱イオン水8550gに25℃で30分間攪拌溶解した(タンナーゼ処理液)。
実施例1における『樹脂処理品1』。
ステンレスカラム4(内径110mm×高さ230mm、容積2185mL)に合成吸着剤SP−70(三菱化学(株)製)を2048mL充填した。予めカラムは実施例1と同様の方法で洗浄した。その後、実施例1で得られたタンナーゼ処理液8191g(4倍容積対合成吸着剤)をSV=1(h-1)でカラム4に通液し透過液は廃棄した。次いでSV=2(h-1)で2048mL(1倍容積対合成吸着剤)の水で洗浄した。水洗後、20質量%エタノール水溶液をSV=2(h-1)で12287mL(6倍容積対合成吸着剤)を通液し、非重合体カテキン類組成物12090g(pH2.1)を得た。この抽出物中には非重合体カテキン類0.51質量%が含まれており、非重合体カテキン類組成物のガレート体率は27.4質量%であった。又、カフェイン0.075質量%、没食子酸量0.002質量%であった。茶抽出物の固形分中の非重合体カテキン類62.5質量%であった。更に減圧濃縮にて、40℃、2.7kPaでエタノールを留去し、その後、水分量を調整して「樹脂処理品2」を得た。次いで、実施例1と同様の方法で活性炭と接触処理(活性炭の量は非重合体カテキン類の量に対して0.6)して「活性炭処理品2」(1.7NTU)を得た。この抽出物中には非重合体カテキン類15.0質量%が含まれており、非重合体カテキン類組成物のガレート体率は20.9質量%であった。又、カフェイン0.264質量%、没食子酸量0.057質量%であった。固形分中の非重合体カテキン類72.8質量%であった。
実施例2における『樹脂処理品2』。
実施例1に準ずる操作で、加水分解処理なし及びガレート体率を約3.5%となるまで加水分解処理し、活性炭接触時の有機溶媒水溶液濃度を20質量%及び60質量%とした場合の操作を行った(活性炭の量は非重合体カテキン類の量に対して0.6)。結果を表3に示す。
実施例1及び実施例2に準ずる操作で、活性炭接触時の有機溶媒水溶液濃度を0質量%、7.5質量%及び20質量%とし、活性炭との接触操作は撹拌槽方法で行った(活性炭の量は非重合体カテキン類の量に対して0.6)。結果を表4に示す。
ステンレスカラム5(内径36mm×高さ330mm、容積1310mL)に合成吸着剤SP−70(三菱化学(株)製)を1186mL充填した。予めカラムは実施例1と同様の方法で洗浄した。その後、実施例1で得られたタンナーゼ処理液4744g(4倍容積対合成吸着剤)をSV=1(h-1)でカラム5に通液し透過液は廃棄した。次いでSV=1(h-1)で1779mL(1.5倍容積対合成吸着剤)の水で洗浄した。水洗後、50質量%エタノール水溶液をSV=1(h-1)で1483mL(1.25倍容積対合成吸着剤)を通液し、0〜1.25BV画分を分取し「樹脂処理品3」(33.4NTU)を得た。この脱離溶液に水を444g(0.38倍容積対合成吸着剤)添加し、2時間攪拌して沈殿物を析出させた。そのときの濁度は122NTUであった。この溶液を遠心分離機によって6000rpm・10minで沈降させ、上澄み「遠心分離除濁品1」(3.8NTU)である非重合体カテキン類組成物40.9g(pH4.7)を得た。この抽出物中には非重合体カテキン類1.78質量%が含まれており、非重合体カテキン類組成物のガレート体率は35質量%であった。又、カフェイン0.51質量%、没食子酸量0.001質量%であった。茶抽出物の固形分中の非重合体カテキン類61.0質量%であった。
実施例10における「樹脂処理品3」。
実施例1の『活性炭処理品1』を用いて表6に記載の容器詰飲料を調製した。食品衛生法に基づく殺菌処理及びホットパック充填を行って容器詰飲料とした。
Claims (9)
- 茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させ、次いで溶出液を有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる精製茶抽出物の製造方法。
- 茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、合成吸着剤に塩基性水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させ、次いで溶出液を有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる精製茶抽出物の製造方法。
- 茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、合成吸着剤を洗浄し、合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させ、次いで溶出液を有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる精製茶抽出物の製造方法。
- 茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後、合成吸着剤を洗浄し、合成吸着剤に塩基性水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させ、次いで有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる精製茶抽出物の製造方法。
- 茶抽出物が、加水分解処理して得られるものである請求項1〜4のいずれか1項記載の精製茶抽出物の製造方法。
- 有機溶媒がエタノールである請求項1〜5のいずれか1項記載の精製茶抽出物の製造方法。
- 合成吸着剤に塩基性水溶液を接触させ非重合体カテキン類を溶出させた後、溶出液をpH7以下に調整する請求項2、4〜6のいずれか1項記載の精製茶抽出物の製造方法。
- 該溶出液を濃縮又は加水することにより生じる沈殿を固液分離した後に、溶出液を有機溶媒水溶液中で活性炭と接触させる請求項1〜7のいずれか1項記載の精製茶抽出物の製造方法。
- 固形分中の非重合体カテキン類25〜95質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率0〜70質量%、没食子酸と非重合体カテキン類との比率が0〜0.1、カフェインと非重合体カテキン類の比率が0〜0.2、かつ、非重合体カテキン類の濃度が1質量%である水溶液としたときの450nmでの色調が0以上0.8以下である精製茶抽出物。
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