JP2008078407A - アクチュエータ装置及び液体噴射ヘッド - Google Patents

アクチュエータ装置及び液体噴射ヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】振動の応答性及び耐久性に優れたアクチュエータ装置及び液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】基板の一方面側に設けられた下電極と該下電極上に設けられた圧電体層と該圧電体層上に設けられた上電極とからなる圧電素子を有し、前記下電極が貴金属からなる電極材料を含有し、前記下電極が前記貴金属からなる電極材料と該電極材料よりも密度が低くヤング率が高い密度弾性調整材料との合金からなる密度弾性調整層を有する。
【選択図】図9

Description

本発明は、振動板上に、下電極、圧電材料からなる圧電体層及び上電極で構成される圧電素子を有するアクチュエータ装置及び液体噴射ヘッドに関する。
アクチュエータ装置に用いられる圧電素子としては、電気機械変換機能を呈する圧電材料、例えば、結晶化した圧電性セラミックス等からなる圧電体層を、下電極と上電極との2つの電極で挟んで構成されたものがある。このようなアクチュエータ装置は、一般的に、撓み振動モードのアクチュエータ装置と呼ばれ、例えば、液体噴射ヘッド等に搭載されて使用されている。なお、液体噴射ヘッドの代表例としては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド等がある。また、インクジェット式記録ヘッドに搭載されるアクチュエータ装置としては、例えば、下電極が設けられた基板上に成膜技術により圧電体膜及び上電極膜を全面に亘って形成し、この圧電体層及び上電極膜をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものがある。
このようなアクチュエータ装置の下電極の電極材料として、白金(Pt)やイリジウム(Ir)が一般的に使用されているが、PtやIrはヤング率が高く硬いが密度が高く重い。下電極も振動板として作用するため、密度が高く重いPtやIrを下電極の電極材料として用いると、振動の応答性が低下するという問題がある。
ここで、白金を多く含む上層とチタン(Ti)と白金との合金からなる下層を有する下電極を具備する圧電素子が開示されている(特許文献1参照)。この文献に記載された下電極は、チタンを用いており白金単独で構成された下電極より軽くなるため、振動の応答性が良好になることが期待できる。
特開2000−252544号公報(特許請求の範囲、段落[0018]等)
しかしながら、チタンは軟らかいので下電極の剛性が低下して耐久性が低下するという問題が生じる。勿論、このような問題は、インクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッドに搭載されるアクチュエータ装置だけでなく、他の装置に搭載されるアクチュエータ装置においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、振動の応答性及び耐久性に優れたアクチュエータ装置及び液体噴射ヘッドを提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、基板の一方面側に設けられた下電極と該下電極上に設けられた圧電体層と該圧電体層上に設けられた上電極とからなる圧電素子を有し、前記下電極が貴金属からなる電極材料を含有し、前記下電極が前記貴金属からなる電極材料と該電極材料よりも密度が低くヤング率が高い密度弾性調整材料との合金からなる密度弾性調整層を有することを特徴とするアクチュエータ装置にある。
かかる第1の態様では、電極材料よりも密度が低くヤング率が高い密度弾性調整材料との合金からなる密度弾性調整層を有するため、電極材料のみからなる下電極を有するアクチュエータ装置よりも、振動の応答性及び耐久性が確実に向上する。
本発明の第2の態様は、前記電極材料がPtで、前記密度弾性調整材料がTiO(0.1≦x≦2)、ZrO(0.1≦X≦2)、AlN、Al(0.1≦X≦2、0.1≦Y≦3)及びTiNから選択される少なくとも一種であることを特徴とする第1の態様のアクチュエータ装置にある。
かかる第2の態様では、電極材料をPtとして、振動の応答性及び耐久性が確実に向上したアクチュエータ装置を提供できる。
本発明の第3の態様は、前記密度弾性調整層中のPtは、前記密度弾性調整層の厚さ方向に成長した最大結晶粒径100nm以下の柱状結晶であり、一部の前記柱状結晶の高さは前記密度弾性調整層の厚みと等しく、残りの前記柱状結晶の高さは前記密度弾性調整層の厚みより低く且つ前記密度弾性調整層の前記基板側に位置することを特徴とする第2の態様のアクチュエータ装置にある。
かかる第3の態様では、Ptが柱状結晶であり、一部の柱状結晶は密度弾性調整層の厚さ方向に亘って位置し、Ptが密度弾性調整層の上層及び下層を繋いでいるため、電気の導通を妨げず、変位が良好なアクチュエータ装置となる。また、密度弾性調整層の厚みより低い高さの柱状結晶が密度弾性調整層の基板側に位置するため、密度弾性調整層の圧電体層側のPt量が少なくなり、下電極の剛性が高くなって振動板の耐久性がより良好になる。
本発明の第4の態様は、前記密度弾性調整材料がTiO(0.1≦x≦2)であり、前記密度弾性調整層中のTiOの断面存在比率は、前記基板側で1〜10%、前記圧電体層側で50〜70%であることを特徴とする第2又は3の態様に記載のアクチュエータ装置にある。
かかる第4の態様では、密度弾性調整層の圧電体層側のTiO量が多いので、下電極の剛性が高くなり、下電極の耐久性がより良好になる。
本発明の第5の態様は、前記下電極が、前記基板側から順に、PtとTiとの合金からなるPt−Ti層と、TiOとPtとの合金からなる密度弾性調整層と、PtからなるPt層と、IrからなるIr層を具備することを特徴とする第4の態様のアクチュエータ装置にある。
かかる第5の態様では、Pt−Ti層と、TiOとPtとの合金からなる密度弾性調整層と、Pt層と、Ir層を積層した構成の下電極を有し、振動板の応答性及び耐久性に優れたアクチュエータ装置となる。
本発明の第6の態様は、前記電極材料がRu又はIrで、前記密度弾性調整材料がTiNであることを特徴とする第1の態様のアクチュエータ装置にある。
かかる第6の態様では、電極材料をRu又はIrとして、振動の応答性及び耐久性が確実に向上したアクチュエータ装置を提供できる。
本発明の第7の態様は、前記密度弾性調整層は、前記基板側よりも前記圧電体層側のヤング率が高いことを特徴とする第1〜6の何れかの態様のアクチュエータ装置にある。
かかる第7の態様では、圧電体層側のヤング率が高いため、下電極の剛性が高くなり、耐久性がより良好になる。
本発明の第8の態様は、前記下電極が、Pbを実質的に含有しないことを特徴とする第1〜7の何れかの態様のアクチュエータ装置にある。
かかる第8の態様では、密度が高く重い元素であるPbを含有しないため、振動の応答性が良好なアクチュエータ装置となる。また、Pbを含有する電気絶縁層も有さないため、下電極の導電性も良好である。
本発明の第9の態様は、前記基板と前記下電極の間に、SiO層、ZrO層及びZr1−X(0.01≦X≦0.15、Y=2.0±α、αは化学量論的に許容される値、MはIIA族元素、IIIA族元素、又はIIIB族元素)層から選択される少なくとも1層を有することを特徴とする第1〜8の何れかの態様のアクチュエータ装置にある。
かかる第9の態様では、下電極と上記各層が振動板を構成し、振動の応答性に優れたアクチュエータ装置となる。
本発明の第10の態様は、前記基板と前記下電極の間にZrO層を有し、該ZrO層は平均結晶粒径20〜100nmの柱状結晶で(−111)面が優先配向していることを特徴とする第9の態様のアクチュエータ装置にある。
かかる第10の態様では、ZrO層は平均結晶粒径20〜100nmの柱状結晶で(−111)面が優先配向していると、基板と下電極の間にあるZrO層の表面が平滑となり、品質が良好で基板及び下電極との密着性も良好なため、変位が大きくても下電極等から剥離することなく耐久性に優れたアクチュエータ装置となる。
本発明の第11の態様は、前記基板と前記下電極の間に前記Zr1−X層を有し、前記Mが、Y及びCaから選択される少なくとも一種であることを特徴とする第9又は10の態様のアクチュエータ装置にある。
かかる第11の態様では、Zr1−X(MはY及びCaから選択される少なくとも一種)層と下電極が振動板を構成し、振動の応答性に優れたアクチュエータ装置となる。
本発明の第12の態様は、第1〜11の何れかの態様のアクチュエータ装置を液体を噴射させるための液体吐出手段として具備することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第12の態様では、圧電特性及び耐久性に優れた液体噴射ヘッドを実現できる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るアクチュエータ装置を有する液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの要部平面図であり、図3は、図2のA−A′断面図及びその要部拡大断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態ではシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、隔壁11によって区画された複数の圧力発生室12がその幅方向(短手方向)に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、連通路15の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられている。
インク供給路14は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。例えば、本実施形態では、インク供給路14は、リザーバ100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで、圧力発生室12の幅より小さい幅で形成されている。なお、このように、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、インク供給路14の圧力発生室12とは反対側に連通し、インク供給路14の幅方向(短手方向)より大きい断面積を有する。本実施形態では、連通路15を圧力発生室12と同じ断面積で形成した。
すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12と、圧力発生室12の短手方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の短手方向の断面積よりも大きく圧力発生室12と同等の断面積を有する連通路15とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、二酸化シリコンからなり厚さが例えば、約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)からなり厚さが例えば、約0.3〜0.4μmの絶縁体膜55が積層形成されている。なお、本実施形態では、流路形成基板10上に、二酸化シリコン(SiO)からなる弾性膜50及び酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜55を設けたが、流路形成基板10に設ける膜の種類は特に限定されず、例えば、SiO層、ZrO層又はZr1−X(0.01≦X≦0.15、Y=2.0±α、αは化学量論的に許容される値、Mは周期表のIIA族元素、IIIA族元素、又はIIIB族元素であり、好ましくは、MはY及びCaから選択される少なくとも一種である。)の1層でもよく、また、これらの層を積層したものでもよい。絶縁体膜55としてZrO層を設ける場合は、平均結晶粒径20〜100nmの柱状結晶で(−111)面が優先配向していることが好ましい。ZrO層の品質が良好で、ZrO層の表面が平滑となり、ZrO層の下層及び上層との密着性が良好になるため、アクチュエータの変位が大きくても剥れることなく耐久性に優れたアクチュエータ装置となる。ZrO層の表面は粗面であるよりも平滑である方がその面と接する層との密着性を向上させることができる。なお、本明細書において、平均結晶粒径とは、電極膜に平行な面方向における柱状結晶の結晶粒径のことであって、SEMやAFMで得られた像の画像処理によって求めた値である。
また、絶縁体膜55上には、厚さが例えば約0.1〜0.3μmの下電極膜60と、厚さが例えば約0.5〜5μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層70と、厚さが例えば約10〜200nmの上電極膜80とからなる圧電素子300が形成されている。
ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施形態では、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部320が形成されていることになる。なお、本実施形態では、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80が、図3に示すように、上電極膜80側の幅が狭くなるようにパターニングされ、その側面は傾斜面となっている。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエータ装置と称する。上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50、絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみが振動板として作用するようにしてもよい。
図3(b)に示すように、下電極膜60は、絶縁体膜55側から順に、PtとTiとの合金からなるPt−Ti層500と、TiO(0.1≦x≦2)とPtとの合金からなるTiO−Pt層(密度弾性調整層)501と、PtからなるPt層502と、イリジウム(Ir)からなるIr層503を積層した構造である。本実施形態では、下電極の電極材料、即ち、下電極の主成分としてPtを有し、PtとPtよりも密度が低いTiO(0.1≦x≦2)との合金からなる密度弾性調整層501を有するので、Ptのみからなる下電極膜60よりも密度が低下して軽量になるため、振動の応答性が良好になり、アクチュエータ装置の変位特性が向上する。また、Ptよりもヤング率が高いTiOとの合金からなる密度弾性調整層501を有するので、Ptのみからなる下電極膜60よりも、平均ヤング率が高くなり硬いものとなるため、下電極膜60の耐久性に優れたアクチュエータ装置となる。この密度弾性調整層501が、下電極膜60に占める厚さの割合は、60〜70%程度であり、厚さは例えば130〜180nm程度である。
そして、密度弾性調整層501中のPtは、密度弾性調整層501の厚さ方向に成長して電極膜に平行な面方向における最大結晶粒径が100nm以下の柱状結晶であり、一部の柱状結晶の高さは密度弾性調整層501の厚みと等しい。即ち、本実施形態においては、最大結晶粒径100nm以下のPtの柱状結晶が密度弾性調整層501の厚さ方向に亘って位置し、Ptが密度弾性調整層501の上層及び下層を繋いでいるため、電気の導通を妨げず、変位が良好なアクチュエータ装置となる。さらに、密度弾性調整層501の厚みより高さが低いPtの柱状結晶は、密度弾性調整層501の絶縁体膜55側に位置する。密度弾性調整層501中のPtの結晶がこのような構造であるので、密度弾性調整層501の圧電体層70側のPt量が少なくなるため、下電極膜60の剛性が高くなる。従って、振動板の耐久性がより良好になる。そして、密度弾性調整層501はTiOとPtとの合金で構成されているため、TiOも密度弾性調整層501中で厚さ方向の存在比率が異なり、例えば、密度弾性調整層501中のTiOの断面存在比率は、絶縁体膜55側で1〜10%、圧電体層70側で50〜70%となる。このように、本実施形態の密度弾性調整層501の組成比は、厚さ方向に変化している。
また、本実施形態の下電極膜60へは圧電体層70から鉛(Pb)が拡散しないため、下電極膜60はPbを実質的に含有せず、例えば、下電極膜60の鉛の含有量を測定すると、0.1質量%以下である。密度が高く重い元素であるPbを実質的に含有しないため、下電極膜60がPbを含有するアクチュエータ装置よりも振動の応答性が良好になる。なお、下電極膜60は鉛を実質的に含有しないため、鉛を含有する電気絶縁層、例えば、酸化チタンと酸化鉛からなる層も有さず、下電極膜60の導電性も優れている。
また、本実施形態では圧電素子300を構成する圧電体層70の材料(圧電材料)として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いたが、PZTに限定されず、その他の強誘電性圧電性材料や、これにニオブ、ニッケル、マグネシウム、ビスマス又はイットリウム等の金属を添加したリラクサ強誘電体等が用いられる。その組成としては、例えば、PbTiO(PT)、PbZrO(PZ)、Pb(ZrTi1−x)O(PZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O−PbTiO(PMN−PT)、Pb(Zn1/3Nb2/3)O−PbTiO(PZN−PT)、Pb(Ni1/3Nb2/3)O−PbTiO(PNN−PT)、Pb(In1/2Nb1/2)O−PbTiO(PIN−PT)、Pb(Sc1/2Ta1/2)O−PbTiO(PST−PT)、Pb(Sc1/2Nb1/2)O−PbTiO(PSN−PT)、BiScO−PbTiO(BS−PT)、BiYbO−PbTiO(BY−PT)等が挙げられる。
また、上電極膜80としては、Ir層が設けられている。なお、上電極膜はIrに限定されず、Ir,Pt,W,Ta,Mo等の各種金属の何れでもよく、また、これらの合金や、酸化イリジウム等の金属酸化物が挙げられる。
そして、圧電素子300の個別電極である各上電極膜80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、絶縁体膜55上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
さらに、圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32を有する保護基板30が、接着剤35によって接合されている。なお、圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
また、保護基板30には、連通部13に対向する領域にリザーバ部31が設けられており、このリザーバ部31は、上述したように、流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。また、保護基板30の圧電素子保持部32とリザーバ部31との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に下電極膜60の一部及びリード電極90の先端部が露出されている。
また、保護基板30上には、圧電素子300を駆動するための図示しない駆動回路が固定されており、駆動回路とリード電極90とはボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線を介して電気的に接続されている。
保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
ここで、インクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図4〜図8を参照して説明する。なお、図4〜図8は、圧力発生室の長手方向の断面図である。まず、図4(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、その表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン膜51を形成する。なお、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110として、膜厚が約625μmと比較的厚く剛性の高いシリコンウェハを用いている。
次に、図4(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。具体的には、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、例えば、スパッタリング法等によりジルコニウム(Zr)層を形成後、このジルコニウム層を、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化することにより酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜55を形成する。
次に、図5(a)に示すように、Ti膜61、Pt膜62及びIr膜63からなる下電極膜60を、DCマグネトロンスパッタリング法等により形成する。具体的には、まず、絶縁体膜55上に、TiからなるTi膜61を形成した後、Ti膜61上にPtからなるPt膜62を形成する。そして、Pt膜62上にIrからなるIr膜63を形成する。なお、Ir膜63を設けることにより、後の工程で圧電体層70を焼成して結晶化させて形成する際に、Ti膜61のTiが圧電体層70に拡散するのを防止すると共に圧電体層70の成分が弾性膜50側に拡散するのを抑制することができる。このIr膜63の代わりに、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)及びオスミウム(Os)からなる群から選択される少なくとも一つの元素を主成分とするものを設けてもよい。なお、この下電極膜60を形成するための金属膜の種類や比率、後述する加熱条件等を適宜調整することにより、密度弾性調整層が形成されるようにする。
次に、下電極膜60上に、チタン(Ti)をスパッタリング法、例えば、DCスパッタリング法で1回以上、本実施形態では2回塗布することにより所定の厚さの種チタン層(図示なし)を形成する。この種チタン層は、種チタン層上に形成され圧電体層70となる圧電体膜の配向を制御する配向制御層となる。このように、種チタン等の配向制御層を設けると、チタン結晶を核として圧電体膜72の結晶が成長するので圧電体膜72の配向度等の結晶性が大幅に向上する。なお、圧電体層70の結晶性に特に支障がなければ、この配向制御層は設けなくても良い。配向制御層を設けた場合は、製造されるアクチュエータ装置の下電極膜60と圧電体層70との間には、配向制御層を構成する物質を含む層が残存する場合がある。例えば、配向制御層として下電極膜60上に種チタン層を設けた場合、酸化チタンからなる層が若干残存する。
次に、このように形成した種チタン層上に、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層70を形成する。ここで、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化して圧電体前駆体膜71を形成し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成している。また、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法やスパッタリング法等を用いてもよい。薄膜の圧電体前駆体膜を焼成して結晶化させる方法であれば、圧電体層70を製造する方法は限定されない。
圧電体層70の具体的な形成手順としては、まず、図5(b)に示すように、下電極膜60上にPZT前駆体膜である圧電体前駆体膜71を成膜する。すなわち、下電極膜60が形成された流路形成基板10上に金属有機化合物(チタン酸ジルコン酸鉛)を含むゾル(溶液)を塗布して例えば膜厚が0.1μm程度の圧電体前駆体膜71を形成する(塗布工程)。次いで、この圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間乾燥させる(乾燥工程)。次に、乾燥した圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。なお、ここで言う脱脂とは、圧電体前駆体膜71に含まれる有機成分を、例えば、NO2、CO2、H2O等として離脱させることである。
次に、図5(c)に示すように、圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間保持することによって結晶化させ、圧電体膜72を形成する(焼成工程)。なお、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程で用いられる加熱装置としては、例えば、赤外線ランプの照射により加熱するRTA(Rapid Thermal Annealing)装置やホットプレート等が挙げられる。
次に、図6(a)に示すように、圧電体膜72上に所定形状のレジスト400を形成する。次に、図6(b)に示すように、レジスト400をマスクとして下電極膜60及び1層目の圧電体膜72をそれらの側面が傾斜するように同時にパターニングする。
次いで、レジスト400を剥離した後、上述した塗布工程、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程からなる圧電体膜形成工程を複数回繰り返して複数の圧電体膜72からなる圧電体層70を形成することで、図6(c)に示すように複数層の圧電体膜72からなる所定厚さの圧電体層70を形成する。例えば、ゾルの1回あたりの膜厚が0.1μm程度の場合には、例えば、10層の圧電体膜からなる圧電体層70全体の膜厚は約1.1μm程度となる。なお、本実施形態では、圧電体膜72を積層して設けたが、1層のみでもよい。
このように圧電体層70を形成する工程でTi膜61、Pt膜62及びIr膜63も加熱され、合金化された下電極膜60が形成される。そして、TiOとPtとの合金からなる密度弾性調整層が下電極膜60中に形成され、下電極膜60の構成は、絶縁体膜55側から順に、PtとTiとの合金からなるPt−Ti層と、TiOとPtとの合金からなる密度弾性調整層と、PtからなるPt層と、IrからなるIr層となる。なお、この製造方法で得られた下電極膜60は実質的にPbを含有していない。圧電体層70の圧電材料(PZT)由来のPbが下電極膜60に拡散しないためである。
このように圧電体層70を形成した後は、図7(a)に示すように、圧電体層70上の全面に亘ってイリジウム(Ir)からなる上電極膜80をスパッタリング法等で形成し、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして、下電極膜60と圧電体層70と上電極膜80からなる圧電素子300を形成する。なお、圧電体層70と上電極膜80とのパターニングでは、所定形状に形成したレジスト(図示なし)を介してドライエッチングすることにより一括して行うことができる。そして、このようなドライエッチングでは、レジストの側面を予め傾斜させておくと、圧電体層70及び上電極膜80が、上電極膜80側の幅が狭くなるようにパターニングされ、その側面が傾斜面となる。
次に、図7(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなるリード電極90を形成後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して各圧電素子300毎にパターニングする。
次に、図7(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300側に、シリコンウェハであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハ130を接着剤35を介して接合する。なお、この保護基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するため、保護基板用ウェハ130を接合することによって流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上することになる。ここでは、流路形成基板用ウェハ110に保護基板用ウェハ130を接合した後に、流路形成基板用ウェハ110を所定の厚さに薄くする。
次に、図8(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をある程度の厚さとなるまで薄くする。また、流路形成基板用ウェハ110上に、マスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。
そして、図8(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をマスク膜52を介してKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、圧電素子300に対応する圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する。
その後は、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130とは反対側の面の二酸化シリコン膜51を除去した後にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハ110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとする。
以下、実施例及び比較例に基づいてさらに詳細に説明する。
(実施例1)
上記実施形態に基づき、アクチュエータ装置を製造した。詳述すると、表1中、PZT成膜前構造に示すように、厚さ625μmのシリコン基板に、振動板を構成する厚さ1μmのSiO膜及び厚さ400nmのZrO膜を順に設け、その上に、厚さ70nmのTi膜、厚さ80nmのPt膜、厚さ10nmのIr膜をスパッタリング法で形成した。その後、PZT組成がPb/(Zr+Ti)=1.18、Zr/(Zr+Ti)=0.517のゾルを用いて、下電極膜上に配向制御層を介してPZTからなる圧電体層を形成した。なお、圧電体層は、当該ゾルを用いて形成した1層目の圧電体前駆体膜を焼成した後、その上に圧電体前駆体膜を3層形成する毎に焼成する工程を3回行って、厚さ1.1μmの圧電体層を作成した。この時の焼成条件は、4回とも700℃で5分とした。その後、圧電体層上に厚さ50nmのIrからなる上電極を設けて、アクチュエータ装置を製造した。製造されたアクチュエータ装置の構成を表1に示す。また、製造されたアクチュエータ装置から圧電体層及びZrO膜を剥がし、下電極膜の厚さ方向断面をTEMで透過観察した結果を図9に示す。なお、図9中、右側の水平線は、各層の境界を表しており、また、酸素の添え字xは省略している。さらに、下電極膜のZrO膜との境界から圧電体層までEDXで測定した結果を図10に示す。
図9に示すように、下電極膜は、ZrO膜側から順に、PtとTiとの合金からなり厚さ41nmのPt−Ti層500、TiO(X=0.1〜2)とPtとの合金からなり厚さ180nmのTiO−Pt層(密度弾性調整層501)、PtからなるPt層502、IrからなるIr層503が積層された状態であることがわかった。なお、Pt層502及びIr層503の厚さは、Ir層上に形成された種チタン層に由来するTiOと合わせて38nmであった。このように、電極材料であるPtと、Ptよりも密度が低くヤング率が高い材料であるTiOからなる密度弾性調整層501を有するため、Ptのみからなる下電極膜60よりも、密度が低下して軽量になり、また、平均ヤング率が高くなり硬いものとなるため、振動の応答性及び耐久性に優れたアクチュエータ装置となった。
また、密度弾性調整層501のPtは最大結晶粒径100nm以下の柱状結晶であり、密度弾性調整層501の厚さ方向に亘って存在する結晶と、ZrO膜側のみに存在する結晶が観察された。したがって、Pt柱状結晶が密度弾性調整層501の上層及び下層を繋いでいるため、導電性の良好な下電極膜60であった。さらに、図9のTEM写真からTiOの断面存在比率を計算すると、TiOは、ZrO膜側(密度弾性調整層501の厚さ方向の中心よりもZrO膜側でTiOの存在比率が最も低い部分)で5%、圧電体層側(密度弾性調整層501の厚さ方向の中心よりも圧電体層側でTiOの存在比率が最も高い部分)で57%だった。密度弾性調整層501の圧電体層70側のPt量が少なくなるため、下電極膜60の剛性が高く、下電極膜60の耐久性がより良好になった。
(実施例2)
Ti膜の膜厚を50nmとして、アクチュエータ装置を作製した。実施例1と同様にしてTEM観察した結果を図11に示す。図11に示すように、ZrO膜側から順に、PtとTiとの合金からなり厚さ57nmのPt−Ti層500、TiO(X=0.1〜2)とPtとの合金からなり厚さ133nmのTiO−Pt層(密度弾性調整層501)、PtからなるPt層502、IrからなるIr層503が積層された状態であることがわかった。なお、Pt層502及びIr層503の厚さは、Ir層503上に形成された種チタン層に由来するTiOと合わせて28nmであった。また、密度弾性調整層501中のPtは柱状結晶であり、密度弾性調整層501の厚さ方向に亘って存在する結晶と、ZrO膜側のみに存在する結晶が観察された。
(比較例1)
Ti膜の膜厚を20nmとして、アクチュエータ装置を作製した。実施例1と同様にしてTEM観察した結果を図12に示す。図12に示すように、ZrO膜側から順に、PtとTiとの合金からなり厚さ142nmのPt−Ti層、PtとTiO(X=0.1〜2)とIrとPbO(X=0.1〜2)との合金からなり厚さ49nmのPt−TiO−Ir−PbO層、TiO(X=0.1〜2)とPbO(X=0.1〜2)との合金からなり厚さ3nmのTiO−PbO層、IrとPbO(X=0.1〜2)との合金からなるIr−PbO層が積層された状態であることがわかった。なお、Ir−PbO層の厚さは、Ir−PbO層上に形成された種チタン層に由来するTiOと合わせて19nmであった。上述のように、Pbが下電極膜中に拡散しており、また、電気絶縁層(TiO−PbO層)が形成されていた。
Figure 2008078407
尚、この実施例1及び2で示したPZT成膜前膜構造のシリコン基板、SiO膜、ZrO膜、Ti膜、Pt膜、Ir膜、配向制御層、圧電体層の厚みやPZT組成などは、あくまでも一例に過ぎず、電極材料よりも密度が低くヤング率が高い密度弾性調整材料との合金からなる密度弾性調整層を有する構成であれば、PZT成膜前膜構造は限定されないことを付言する。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的構成は上述した実施形態1に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、下電極膜60の電極材料をPtとし、Ptと、密度弾性調整材料であるTiOとの合金からなる密度弾性調整層501を設けるようにしたが、密度弾性調整材料はPtよりも密度が低くヤング率が高いものであればよく、例えば、ZrO(0.1≦X≦2)、AlN、Al(0.1≦X≦2、0.1≦Y≦3)やTiNでもよい。また、実施形態1では、下電極膜60を絶縁体膜55側から順に、PtとTiとの合金からなるPt−Ti層と、TiOとPtとの合金からなるTiO−Pt層(密度弾性調整層)と、PtからなるPt層と、イリジウムからなるIr層を積層した構造としたが、下電極膜60は密度弾性調整層を有していればよく、密度弾性調整層の位置や、その他の層の組成は特に限定されない。さらに、電極材料は、貴金属である白金族(Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt)、金、銀であればよい。例えば、電極材料としてRuやIrを用いた場合は、密度弾性調整材料としてはTiNを用いることができる。
また、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。なお、本発明は、液体噴射ヘッド(インクジェット式記録ヘッド等)に搭載されるアクチュエータ装置だけでなく、あらゆる装置に搭載されるアクチュエータ装置に適用できることは言うまでもない。
実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの要部平面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの要部拡大断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施例1の下電極膜のTEM観察結果を示す写真である。 実施例1の下電極膜のEDX測定結果を示す図である。 実施例2の下電極膜のTEM観察結果を示す写真である。 比較例1の下電極膜のTEM観察結果を示す写真である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 40 コンプライアンス基板、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 71 圧電体前駆体膜、 72 圧電体膜、 80 上電極膜、 90 リード電極、 100 リザーバ、 300 圧電素子、 320 圧電体能動部、 500 Pt−Ti層、 501 TiO−Pt層(密度弾性調整層)、 502 Pt層、 503 Ir層

Claims (12)

  1. 基板の一方面側に設けられた下電極と該下電極上に設けられた圧電体層と該圧電体層上に設けられた上電極とからなる圧電素子を有し、
    前記下電極が貴金属からなる電極材料を含有し、前記下電極が前記貴金属からなる電極材料と該電極材料よりも密度が低くヤング率が高い密度弾性調整材料との合金からなる密度弾性調整層を有することを特徴とするアクチュエータ装置。
  2. 前記電極材料がPtで、前記密度弾性調整材料がTiO(0.1≦x≦2)、ZrO(0.1≦X≦2)、AlN、Al(0.1≦X≦2、0.1≦Y≦3)及びTiNから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ装置。
  3. 前記密度弾性調整層中のPtは、前記密度弾性調整層の厚さ方向に成長した最大結晶粒径100nm以下の柱状結晶であり、一部の前記柱状結晶の高さは前記密度弾性調整層の厚みと等しく、残りの前記柱状結晶の高さは前記密度弾性調整層の厚みより低く且つ前記密度弾性調整層の前記基板側に位置することを特徴とする請求項2に記載のアクチュエータ装置。
  4. 前記密度弾性調整材料がTiO(0.1≦x≦2)であり、前記密度弾性調整層中のTiOの断面存在比率は、前記基板側で1〜10%、前記圧電体層側で50〜70%であることを特徴とする請求項2又は3に記載のアクチュエータ装置。
  5. 前記下電極が、前記基板側から順に、PtとTiとの合金からなるPt−Ti層と、TiOとPtとの合金からなる密度弾性調整層と、PtからなるPt層と、IrからなるIr層を具備することを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ装置。
  6. 前記電極材料がRu又はIrで、前記密度弾性調整材料がTiNであることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ装置。
  7. 前記密度弾性調整層は、前記基板側よりも前記圧電体層側のヤング率が高いことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のアクチュエータ装置。
  8. 前記下電極が、Pbを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のアクチュエータ装置。
  9. 前記基板と前記下電極の間に、SiO層、ZrO層及びZr1−X(0.01≦X≦0.15、Y=2.0±α、αは化学量論的に許容される値、MはIIA族元素、IIIA族元素、又はIIIB族元素)層から選択される少なくとも1層を有することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のアクチュエータ装置。
  10. 前記基板と前記下電極の間にZrO層を有し、該ZrO層は平均結晶粒径20〜100nmの柱状結晶で(−111)面が優先配向していることを特徴とする請求項9に記載のアクチュエータ装置。
  11. 前記基板と前記下電極の間に前記Zr1−X層を有し、前記Mが、Y及びCaから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項9又は10に記載のアクチュエータ装置。
  12. 請求項1〜11の何れかに記載のアクチュエータ装置を液体を噴射させるための液体吐出手段として具備することを特徴とする液体噴射ヘッド。
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