JP2008076956A - ポリイミドパターンの形成方法、物品、及びハードディスク用サスペンション - Google Patents

ポリイミドパターンの形成方法、物品、及びハードディスク用サスペンション Download PDF

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Abstract

【課題】ネガ型レジストを用いながら、非水溶性の有機溶媒を用いることなく、感光剤を含まないポリイミドのパターンを形成することができる方法を提供する。
【解決手段】(A)基板上にポリイミド前駆体層を形成する工程、(B)前記ポリイミド前駆体層上にネガ型レジスト層を形成する工程、(C)前記ネガ型レジスト層を選択的に露光するパターン露光工程、(D)前記ネガ型レジスト層の現像後または現像と同時に、下層のポリイミド前駆体層を選択的に除去しパターン化する現像工程、(E)前記パターン化されたポリイミド前駆体層を少なくとも部分的にイミド化することにより塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に対する溶解性を低下させる工程、(F)前記パターン化されたネガ型レジスト層を塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質を用いて剥離する剥離工程、を有するポリイミドパターンの形成方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、パターニングの工程で高価な感光性ポリイミドを用いることなく、安価な市販のネガ型レジストを用いることができるポリイミドパターンの形成方法、さらには、水溶液によるレジストの剥離を可能としたポリイミドパターンの形成方法とそれらの手法を用いて作製されたポリイミドパターンを有する電子部品等の物品、特にハードディスクドライブ用サスペンションに関する。
半導体技術の飛躍的な発展により半導体パッケージの小型化、多ピン化、ファインピッチ化、電子部品の極小化などが急速に進み、いわゆる高密度実装の時代に突入した。それに伴い、プリント配線基板も片側配線から両面配線へ、さらに多層化、薄型化が進められている(非特許文献1)。
また、そのような配線・回路を形成する際のパターン形成方法は、金属−絶縁層−金属という層構成の基板上の金属を塩化第二鉄のような酸性溶液でエッチングし配線を形成した後、層間の導通をとる為、レーザー等のドライ状態やヒドラジン等のウェット状態で絶縁層を所望の形に除去し(特許文献1)めっきや導電ペースト等で配線間をつなぐ方法、または、感光性ポリイミド(特許文献2)などを用いて絶縁層を所望の形に設けた後に、その空隙にめっきで配線を形成する方法(エレクトロニクス実装学会第7回研究討論会予稿集)などが行われている。
電気製品、特にパーソナルコンピューターは低価格化の影響を受け、これらを用いる部材や部品等も価格の下落が激しく、いかに低コストで製品を作るかというのが、非常に大きな課題となっている。
現在、インターネットの普及等によりパーソナルコンピューターの生産量が急激に伸びており、それに組み込まれているハードディスクもまた生産量が増大していく中で、磁気を読み取るヘッドを支持しているサスペンションといわれる部品も、ステンレスのばねに、銅(配)線を接続するワイヤードサスペンションから、小型化への対応のためステンレスのばねに直接銅配線が形成されているワイヤレスサスペンションといわれるものへと主製品が移り変わりつつある。
このようなワイヤレスサスペンションはステンレス基材上に絶縁層としてポリイミドが施され、さらにその上部に銅配線が形成された構造となっている。また、近年より高い信頼性が求められていることから、銅配線を覆うようにポリイミド等によって配線保護層を設ける場合も多くなっている。
高速で回転するディスク上をスキャンすることから細かな振動が加わる部材であるため、各層間の密着強度は非常に重要であり、厳しいスペックが求められている。また、ハードディスクは情報を記録する装置であるので、データの読み書きに対する高度の信頼性が要求され、配線の密着強度やサスペンションから発生する塵などのごみやアウトガスに対してもスペックは厳しい。
一般に、サスペンションは、基板の反りを防ぐためステンレス層及び、導体層と熱膨張率が同じ、低膨張性の絶縁層、及び配線保護層が用いられている。さらに、湿度等の環境の変化によっても反ったりしないようにするために、絶縁層や配線保護層の吸湿膨張率の管理も必要とされている。
ステンレス上に形成される絶縁層のポリイミドパターンの形成方法は、感光性ポリイミドを用いる方法(特許文献3)とステンレス上全面に形成されたポリイミド層を、プラズマや薬液によってエッチングする方法(特許文献4)の2種が開示されている。また、配線保護層として用いられるポリイミドパターンについても上記の手法を用いることができる。
感光性ポリイミドを用いる手法は、工程が短く簡便であるという利点があるが、形成されるポリイミドパターン中に感光剤の分解残渣等が含まれる為、加熱時にそれらがガスとして放出されるという問題がある。さらには感光性の付与と目的の物性の両立が難しいという課題もある。
ステンレス上全面に形成されたポリイミド層をプラズマによってエッチングし、パターンを形成する手法は、比較的広範な組成のポリイミドに対応できるという利点はあるが、エッチングレートが非常に小さく、エッチングに時間を要する為、生産性がよくないという課題がある。
薬液によってエッチングする手法は、エッチングレートが大きく非常に生産性が高いが、エッチング可能なポリイミドの分子構造が限定されており組成の選択の幅が小さいという課題がある。
さらに、多層基板の層間の導通をとるための穴を通常レーザーで開け、それを所望の形に金型で型抜きしていた、フレキシブルプリント基板や多層基板等のポリイミドを絶縁層として利用した電子部品も、同様のポリイミドのパターニング技術を用いて製造することが可能である。
特開平6−164084号公報 特開平4−168441号公報 特開平10−12983号公報 特開2002−240194号公報 特開平6−275511 岩田,原園,「電子材料」,1996,35(10) ,p.53.
古くから行われてきたポリイミドパターニングの方法として、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸が塩基性水溶液に可溶であることを利用し、ポリアミック酸の塗膜上に塩基性現像性のポジ型の感光性材料(レジスト)膜を形成し、所望のパターンに露光後、塩基性水溶液で現像を行うことで、ポジ型フォトレジストとポリアミック酸の膜を同時にパターニングし、さらにその後にポジ型フォトレジストを酢酸n-ブチル等の有機溶媒で剥離し、ポリアミック酸のパターンを得た後にイミド化を行いポリイミドパターンを得るという手法が開示されている(特許文献5)。
この手法は、感光剤を含まないポリイミドのみで形成されたパターンを得られる為、この手法で得られたポリイミドパターンは信頼性が高く、アウトガスも発生させないという特徴がある。
しかしながら、ポジ型フォトレジストの剥離に有機溶媒が必要であるという課題があった。通常、ポジ型フォトレジストを剥離する剥離工程で、塩基性水溶液等を用いることができないのは、ポリアミック酸自体が塩基性水溶液に対して可溶である為である。その為、ポリアミック酸は溶解しないが未露光のポジ型フォトレジストは溶解するような有機溶媒を用いて、ポジ型フォトレジストの剥離を行わざる得ないという事情があった。
このような非水溶性の有機溶媒による剥離工程は、自然環境に対する負荷が高いだけでなく、作業者の安全対策や廃液処理費用等の関係で実用化に対して大きな障害となっている。
また、特許文献5では、ポジ型レジストの代わりにネガ型レジストを用いることは検討されていない。それは、ネガ型レジストが、電磁波等の露光によって架橋反応が進行し溶解性が低下するメカニズムなので、露光後のパターン化されたネガ型レジストは剥離し難いためと推定される。
なお、特許文献5においては、ポジ型フォトレジストをパターン露光し、ポリアミック酸の塗膜と同時に現像を行った後、ホットプレート又は、オーブンによって、50℃〜90℃で30秒から20分程度加熱する工程が記載されているが、ポジ型フォトレジストの剥離性が改善されることを目的として、ポジ型フォトレジスト膜中の残留溶媒の均一化を図っているものである。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、安価なネガ型レジストを用いながら、更に水溶性化合物又はそれらの水溶液によるレジストの剥離を可能とし、剥離後の洗浄工程に水または水性溶液の適用が可能な、感光剤を含まないポリイミドパターンを形成する方法と、その手法を用いて作製されたポリイミドパターンを有する物品、特にハードディスクドライブ用サスペンションを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、下記の(A)〜(F)の工程;
(A)基板上にポリイミド前駆体層を形成する工程、
(B)前記ポリイミド前駆体層上にネガ型レジスト層を形成する工程、
(C)前記ネガ型レジスト層を選択的に露光するパターン露光工程、
(D)前記ネガ型レジスト層の現像後または現像と同時に、下層のポリイミド前駆体層を選択的に除去しパターン化する現像工程、
(E)前記パターン化されたポリイミド前駆体層を少なくとも部分的にイミド化することにより塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に対する溶解性を低下させる工程、
(F)前記パターン化されたネガ型レジスト層を塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質を用いて剥離する剥離工程、を有するポリイミドパターンの形成方法を提供する。
本発明によれば、上記(F)剥離工程の前に、上記(E)前記パターン化されたポリイミド前駆体層を少なくとも部分的にイミド化することにより塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に対する溶解性を低下させる工程を有することにより、安価なネガ型レジストを用いながら、前記パターン化されたネガ型レジスト層を塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質を用いて剥離することができ、且つ剥離後の洗浄工程に水または水性溶液の適用が可能となり、パターニングの工程で非水溶性の有機溶媒を用いることなく、感光剤を含まないポリイミドパターンを形成することができる。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法においては、更に、(G)前記パターン化されたポリイミド前駆体層をポリイミド化する工程を有することが、好ましい。上記(E)工程においてポリイミド前駆体をポリイミド化させることも可能であるが、上記(E)工程でポリイミド前駆体を完全にポリイミド化させる場合には、ポリイミド前駆体の上層であるレジスト層がポリイミド化させるための比較的強い刺激によって劣化し、剥離し難くなる場合が多いため、通常は、ネガ型レジストを剥離後に完全にポリイミド化させる工程を有することが好ましい。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法においては、前記(A)工程における前記ポリイミド前駆体層中に、イミド化を促進する化合物を含有することが好ましい。前記(A)工程における前記ポリイミド前駆体層中に、イミド化を促進する化合物を含有する場合には、前記(E)パターン化されたポリイミド前駆体層の塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に対する溶解性を低下させる工程において、イミド化を促進する化合物の作用によって、より短時間のより低温加熱等、より温和な刺激によってイミド化反応をさせることが可能になり、ポリイミド前駆体層の溶解性を低下させることが可能になる。従って、ポリイミド前駆体の上層であるレジスト層の劣化を抑制できる。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法においては、前記イミド化を促進する化合物がアミンであることが、イミド化反応に対する触媒能の点、さらには、金属層に対する耐腐食性の観点から好ましい。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法においては、前記アミンが脂肪族アミンであることが、イミド化反応に対する触媒効果が高い点から好ましい。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法においては、前記(A)工程における前記ポリイミド前駆体層において、ポリイミド前駆体100重量部に対してイミド化を促進する化合物が0.1重量部〜40重量部含有されていることが好ましい。0.1重量部未満だと、十分な触媒効果が得られず、40重量部を超えるとイミド化後のポリイミド中にアミンが残存しやすく、ポリイミドの物性が低下する場合がある。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法においては、得られるポリイミドパターンの線熱膨張係数が1ppm/℃〜40ppm/℃であることが、最終的に得られる電子部品、特にハードディスクドライブ用サスペンションの平坦性を良好にできる点から好ましい。ポリイミドパターンが導体層などとして用いられる金属と積層されている場合、金属と線熱膨張係数が近いほど基板の反りが低減され平坦性が向上する。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法においては、得られるポリイミドパターンの吸湿膨張係数が1ppm/%RH〜40ppm/%RHであることが、最終的に得られる電子部品、特にハードディスクドライブ用サスペンションの平坦性を良好にできる点から好ましい。ポリイミドパターンの吸湿膨張係数が大きいと、吸湿膨張係数がほとんど0に近い金属との膨張率の差によって、湿度の上昇とともに基板の反りが発生する場合がある。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法においては、前記(F)剥離工程において、アミンを含有する組成物によってネガ型レジスト層を剥離することが、レジスト層の剥離ムラを起こさず均一な剥離を行える点から好ましい。さらに、アミンを含有する組成物がアミンを含有する水溶液である事が、廃液処理コストの低減、作業環境の改善の観点から好ましい。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法においては、前記(F)剥離工程における前記アミンを含有する組成物中のアミンが、脂肪族アミンであることが、剥離性の点から好ましい。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法においては、前記(F)剥離工程における前記アミンを含有する組成物中のアミンが、分子内に1つ以上の水酸基を有する構造であることが、水に対する溶解性の点から好ましい。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法においては、前記(F)剥離工程における前記アミンを含有する水溶液は、アミンの水に対する濃度が0.1重量%〜30重量%であることが、ネガ型レジストの剥離性、廃液処理の容易さの点から好ましい。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法においては、前記(F)剥離工程におけるアミンを含有する組成物の温度が0℃以上100℃以下で、ネガ型レジスト層を剥離することが、剥離液の濃度を一定に保ち、均一な剥離を行う点から好ましい。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法においては、前記(F)工程が、前記パターン化されたネガ型レジスト層と前記パターン化されたポリイミド前駆体層が形成された基板を加熱するレジスト剥離前加熱工程であって、加熱温度が100℃〜250℃であることが、ポリイミド前駆体層の塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に対する難溶性を創出するのに十分なイミド化反応が行われながら、ネガ型レジストの劣化を防止する点から好ましい。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法においては、前記(B)工程において、前記ネガ型レジスト層がドライフィルムレジストを用いて形成されることが好ましい。例えば市販のネガ型のドライフィルムレジストを適用することにより、ポリイミド前駆体層の上部にネガ型レジスト層を形成する際に溶媒を使用せずに済む為、作業安全性に優れる。
本発明に係る物品は、半導体装置、電子部品、光回路、光回路部品、又は光学部材いずれかの物品であって、前記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンを有するものである。
本発明に係る物品は、前記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンを有することにより、感光剤を含まないポリイミドパターンを有するため、アウトガスの発生がなく、吸湿線膨張係数や線熱膨張係数も低くすることが可能なため基板の反り等の不具合が生じず、信頼性が高いものである。さらには、より安価な感光性を有しないポリイミド前駆体とネガ型レジストを利用し、廃液処理コストの低い水系の液体による処理が可能であることより、安価に製造できるといった特徴を有する。
本発明に係る物品においては、一実施態様として、前記ポリイミドパターンが、ステンレスまたは、表面処理を施したステンレス上に形成されていることが挙げられる。例えば本発明に係るハードディスクドライブ用サスペンションにおいては、通常前記ポリイミドパターンが、ステンレスまたは、表面処理を施したステンレスパターン上に形成されている。ここで用いられるステンレスまたは、表面処理を施したステンレスの厚みは、50μm〜1μmであることが、磁気ディスクへの追従性の点から好ましい。
本発明に係るハードディスク用サスペンションは、前記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンを有するものである。
本発明に係るハードディスク用サスペンションは、前記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンを有することにより、感光剤を含まないポリイミドパターンを有するため、アウトガスの発生がなく、吸湿線膨張係数や線熱膨張係数も低くすることが可能なため反り等の不具合が生じず、信頼性が高いものである。
以上に述べたように、本発明のポリイミドパターンの形成方法によれば、安価なネガ型レジストを用いながら、更に水溶性化合物又はそれらの水溶液によるレジストの剥離を可能とし、剥離後の洗浄工程に水または水性溶液の適用が可能で、パターニングの工程で非水溶性の有機溶媒を用いることなく、感光剤を含まないポリイミドのパターンを形成することができる。さらに、ポリイミド前駆体の化学構造に制限されずパターン形成できる為、多種多様な化学構造のポリイミド前駆体を用いることができ、目的の特性に応じて、最終的に得られるポリイミドの構造を広範囲から選択することができる。
本発明によれば、非水溶性の有機溶剤を用いることなく、塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質でネガ型レジストを剥離することが可能なため、他の工程で用いた既存の設備をそのまま使用可能な上、自然環境に対する負荷を低くし、作業者の安全対策や廃液処理費用等の実用化にあたって直面する問題を解決することができる。
本発明のポリイミドパターンの形成方法によれば、感光剤を含まないポリイミドのパターンを形成することができるため、得られたポリイミドパターンは、アウトガスの発生がなく、吸湿線膨張係数や線熱膨張係数も低くすることが可能であり、永久膜として耐熱性や絶縁性や寸法安定性を付与する要素として機能し、例えば、ハードディスク用サスペンション等の物品を形成するのに適している。
本発明に係るハードディスク用サスペンション等の物品は、上記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法により形成された、感光剤を含まないポリイミドパターンを有するため、アウトガスの発生がなく、吸湿線膨張係数や線熱膨張係数も低くすることが可能なため反りや製品の動作不良等の不具合が生じず、信頼性が高いものである。
以下、本発明について詳しく説明する。
なお本発明において、露光するのに用いる光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
本発明は、ポリイミドパターンの形成方法、物品、及びハードディスクドライブ用サスペンションに関するものである。以下、ポリイミドパターンの形成方法、物品及びハードディスクドライブ用サスペンションについて順に説明する。
I.ポリイミドパターンの形成方法
まず、本発明のポリイミドパターンの形成方法について説明する。本発明のポリイミドパターンの形成方法は、下記の(A)〜(F)の工程;
(A)基板上にポリイミド前駆体層を形成する工程、
(B)前記ポリイミド前駆体層上にネガ型レジスト層を形成する工程、
(C)前記ネガ型レジスト層を選択的に露光するパターン露光工程、
(D)前記ネガ型レジスト層の現像後または現像と同時に、下層のポリイミド前駆体層を選択的に除去しパターン化する現像工程、
(E)前記パターン化されたポリイミド前駆体層を少なくとも部分的にイミド化することにより塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に対する溶解性を低下させる工程、
(F)前記パターン化されたネガ型レジスト層を塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質を用いて剥離する剥離工程、を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記(F)剥離工程の前に、上記(E)前記パターン化されたポリイミド前駆体層を少なくとも部分的にイミド化することにより塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に対する溶解性を低下させる工程を有することにより、安価なネガ型レジストを用いながら、前記パターン化されたネガ型レジスト層を塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質(以下、塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質を、塩基性溶液という場合がある。)によって剥離することができ、且つ剥離後の洗浄工程に水または水性溶液の適用が可能となり、パターニングの工程で非水溶性の有機溶媒を用いることなく、感光剤を含まないポリイミドパターンを形成することができる。本発明のポリイミドパターンとは、ある一定の厚みを有するポリイミドで形成された2次元パターンである。
感光性を有しないポリイミド前駆体とポジ型又はネガ型レジストとを用いてポリイミドパターンを形成する方法は、ポリイミド前駆体に感光剤等が含まれないので、最終製品におけるポリイミドパターン中に感光剤を含まないポリイミドのみで形成されたパターンを得ることができるため、アウトガスも発生させず、吸湿線膨張係数や線熱膨張係数も低くすることが可能になり、信頼性が高いという利点を有すると考えられる。しかしながら、従来の感光性を有しないポリイミド前駆体層とポジ型フォトレジストとを用いてポリイミドパターンを形成する方法においては、ポリイミド前駆体層とポジ型フォトレジストとの間で溶解性に差がある非水溶性の有機溶剤を用いてポジ型フォトレジストを剥離していたため、自然環境に対する負荷が高いだけでなく、作業者の安全対策や廃液処理費用等の関係で実用化に対して大きな障害となり問題となっていた。更に、ネガ型レジストは、電磁波等の露光によって架橋反応が進行し溶解性が低下するメカニズムであり、露光、現像の後のレジスト剥離がしにくくなるために、ポリイミド前駆体とネガ型レジストとを用いてポリイミドパターンを形成する方法は採用し難いものであった。
この点、本発明によれば、レジストを剥離する工程の前に、上記(E)溶解性低下工程を用いることにより、安価なネガ型レジストを用いながら、塩基性溶液によって剥離することができ、且つ剥離後の洗浄工程に水または水性溶液の適用が可能となり、感光剤を含まないポリイミドパターンを形成することができる。本発明においては、非水溶性の有機溶剤を用いることなく塩基性溶液でレジストを剥離することが可能になり、他の工程で用いた既存の設備をそのまま使用可能な上、自然環境に対する負荷を低くし、作業者の安全対策や廃液処理費用等の実用化の問題を解決しながら、信頼性が高いポリイミドパターンを得ることができる。
本発明において、レジストを剥離する工程の前に、上記(E)溶解性低下工程を用いることにより、安価なネガ型レジストを用いながら、塩基性溶液によって剥離することが可能なのは次のような理由による。
すなわち、ネガ型レジストは、露光部において架橋反応が進行して弱塩基性水溶液や有機溶媒に不溶となるため、通常、炭酸ナトリウム水溶液等の弱塩基性水溶液や有機溶媒で現像を行い、架橋反応が進行した現像後のレジストの剥離は水酸化ナトリウム水溶液等の強塩基性水溶液で行う。しかし、(D)現像工程でパターン化されたポリイミド前駆体層も塩基性溶液に溶解してしまう為、そのまま塩基性溶液で剥離しようとするとポリイミドパターンを得ることはできない。
そこで、上記(C)パターン露光工程及び(D)現像工程の後、(F)ネガ型レジストの剥離工程の前の状態で、例えば適度な加熱を行い、ポリイミド前駆体層を少なくとも部分的にイミド化することで塩基性溶液に対して溶解性を低下させる上記(E)溶解性低下工程を用いることにより、上層のネガ型レジストと下層のポリイミド前駆体層との間で塩基性溶液に対する溶解性に差ができる。従って、その後に、架橋したネガ型レジストを剥離可能であるが部分的にイミド化されたポリイミド前駆体層は溶解しない塩基性溶液を用いて、パターン化されたネガ型レジストのみを剥離することで、ポリイミド前駆体層のパターンを得ることができる。
このような本発明のポリイミドパターンの形成方法について、図面を用いて具体的に説明する。図1は、本発明のポリイミドパターンの形成方法の一例を示す工程図である。図1(A)に示すように、まず、基板1上にポリイミド前駆体層2を形成する上記(A)工程が行われる。次いで、図1(B)に示すように、前記ポリイミド前駆体層2上にネガ型レジスト層3を形成する上記(B)工程が行われる。次いで、図1(C)に示すように、前記ネガ型レジスト層3を例えばマスク4を介して選択的に露光5する、上記(C)パターン露光工程が行われる。これにより、露光されたネガ型レジスト層3の部分のみ、現像液に溶解しないように変化する。次いで、図1(D)に示すように、ネガ型レジスト層3の未露光部の現像後または現像と同時に、当該ネガ型レジスト層3の未露光部の下層のポリイミド前駆体層2の部分のみを選択的に除去し、パターン化されたネガ型レジスト層3’とパターン化されたポリイミド前駆体層2’を得る上記(D)現像工程が行われる。次いで、図1(E)に示すように、例えば適度な加熱などの刺激6を与えることにより、前記パターン化されたポリイミド前駆体層2’を少なくとも部分的にイミド化することにより、塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に対する溶解性を低下させる上記(E)溶解性低下工程が行われる。これにより、前記パターン化されたポリイミド前駆体層2’は塩基性溶液に対する溶解性が低下したポリイミド前駆体層2”となる。ポリイミド前駆体層2’と刺激6の組み合わせによっては、塩基性溶液に対する溶解性が低下したポリイミド前駆体層2”は、完全にポリイミド化されたポリイミド層となる場合もある。次いで、図1(F)に示すように、前記パターン化されたネガ型レジスト層3’を塩基性溶液によって剥離する上記(F)剥離工程が行われる。これにより、ポリイミド前駆体層2”の2次元パターンが得られる。
上述のように、上記(F)工程において、ポリイミド前駆体層2”が完全にポリイミド化されたポリイミド層となる場合もあるが、通常、更に(G)前記パターン化されたポリイミド前駆体層2”をポリイミド化する工程を有する(図示せず)。これにより、ポリイミドで形成された2次元パターンが得られる。
<(A)ポリイミド前駆体層形成工程>
本発明においては、まず、基板上にポリイミド前駆体層を形成する工程(A)を有する。
基板上にポリイミド前駆体層を形成する方法としては、基板上にポリイミド前駆体層形成用塗工液を塗布して、乾燥して塗膜を形成する方法が挙げられるが特に限定されない。
ポリイミドパターンを形成する基板としては、目的に応じて適宜選択すれば特に制限されずに用いることができ、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム、合金銅などの合金等の金属、シリコンウェハやシリコンウェハ上に回路や素子が形成された半導体装置、ポリイミドやエポキシ樹脂などの樹脂、又はそれらの樹脂にガラスや炭素、アラミド樹脂などの繊維や粒子を混合させたもの、さらには、それらの上に銅やアルミニウム等で配線が形成されたものなどが例示される。
これらの基板には、密着性改良、信頼性向上、マイグレーション防止などの目的のため、めっきやスパッタ、シランカップリング処理等の薬液処理、サンドブラスト等の物理的処理などの表面処理が施されていても良い。
本発明に用いられるポリイミド前駆体としては、得られるポリイミドパターンの使用目的に応じて適宜選択され、特に制限されず用いることができる。上記(D)工程において、ネガ型レジスト層3の未露光部の現像と同時に、当該ネガ型レジスト層3の未露光部の下層のポリイミド前駆体層2の部分のみを選択的に除去することが可能な点から、塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質などの塩基性溶液に可溶なものが好ましく、好適に用いられる物として、ポリアミック酸が挙げられる。また、塩基性溶液に可溶なポリイミド前駆体として、具体的には、ポリアミック酸のカルボキシル基にエステル結合等でフェノール残基を導入したものや、部分的にイミド化されたポリアミック酸などが挙げられる。
ポリアミック酸は、塩基性溶液に可溶なだけでなく酸2無水物とジアミンを溶液中で混合するのみで得られるので、1段階の反応で合成することができ、合成が容易で低コストで入手できるので好ましい。
また、ポリアミック酸に関して、最終的に得られるポリイミドの耐熱性及び寸法安定性の要求が厳しい用途に対しては、酸二無水物由来の部分が芳香族構造を有し、さらにジアミン由来の部分も芳香族構造を含む全芳香族ポリイミドの前駆体であることが好ましい。それゆえジアミン成分由来の構造も芳香族ジアミンから誘導される構造であることが好ましい。
ここで、全芳香族ポリイミド前駆体とは、芳香族酸成分と芳香族アミン成分の共重合、又は、芳香族酸/アミノ成分の重合により得られるポリイミド前駆体及びその誘導体である。また、芳香族酸成分とは、ポリイミド骨格を形成する4つの酸基が全て芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族アミン成分とは、ポリイミド骨格を形成する2つのアミノ基が両方とも芳香族環上に置換している化合物であり、芳香族酸/アミノ成分とはポリイミド骨格を形成する酸基とアミノ基がいずれも芳香族環上に置換している化合物である。ただし、後述する原料の具体例から明らかなように、全ての酸基又はアミノ基が同じ芳香環上に存在する必要はない。
本発明のポリアミック酸を製造する方法としては、従来公知の手法を適用することができる。例えば、(1)酸二無水物とジアミンから前駆体であるポリアミド酸を合成する手法。(2)酸二無水物に1価のアルコールやアミノ化合物、エポキシ化合物等を反応させ合成した、エステル酸やアミド酸モノマーのカルボン酸に、ジアミノ化合物やその誘導体を反応させて得られた化合物と酸二無水物をさらに反応させて、部分的に官能基が導入されたポリアミック酸を合成する手法などが挙げられるがこれに限定されない。
本発明のポリアミック酸に適用可能な酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、1,4−ビス〔(3,4−ジカルボキシ)ベンゾイル〕ベンゼン二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、
2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}プロパン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、4,4’−ビス〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、4,4’−ビス〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕ビフェニル二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}ケトン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルホン二無水物、ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}スルフィド二無水物、2,2−ビス{4−〔4−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルプロパン二無水物、2,2−ビス{4−〔3−(1,2−ジカルボキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,1,1,3,3,3−プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ぺリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。そして、特に好ましく用いられるテトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物が挙げられる。
併用する酸二無水物としてフッ素が導入された酸二無水物や、脂環骨格を有する酸二無
水物を用いると、ポリイミド前駆体の透明性が向上する。また、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの剛直な酸二無水物を用いると、最終的に得られるポリイミドの線熱膨張係数が小さくなる。
一方、アミン成分も、1種類のジアミン単独で、または2種類以上のジアミンを併用して用いることができる。用いられるジアミン成分は限定されるわけではないが、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、
1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、また、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てをフルオロ基、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基から選ばれた置換基で置換したジアミンも使用することができる。
さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ベンゾシクロブテン−4’−イル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基、及びイソプロペニル基のいずれか1種又は2種以上を、上記ジアミンの芳香環上水素原子の一部若しくは全てに置換基として導入しても使用することができる。
ジアミンは、目的の物性によって選択することができ、p−フェニレンジアミンなどの剛直なジアミンを用いれば、最終的に得られるポリイミドは低膨張率となる。剛直なジアミンとしては、同一の芳香環に2つアミノ基が結合しているジアミンとして、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2、6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノアントラセンなどが挙げられる。
さらに、2つ以上の芳香族環が単結合により結合し、2つ以上のアミノ基がそれぞれ別々の芳香族環上に直接又は置換基の一部として結合しているジアミンが挙げられる。具体例としては、ベンジジン等が挙げられる。
さらに、上記のジアミンにおいて、他のベンゼン環との結合に関与せず、ベンゼン環上のアミノ基が置換していない位置に置換基を有するジアミンも用いることができる。これら置換基は、1価の有機基であるがそれらは互いに結合していてもよい。
具体例としては、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル等が挙げられる。
また、最終的に得られるポリイミドを光導波路、光回路部品として用いる場合には、芳香環の置換基としてフッ素を導入すると1μm以上の波長の電磁波に対しての透過率を向上させることができる。
一方、ジアミンとして、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンなどのシロキサン骨格を有するジアミンを用いると、最終的に得られるポリイミドの弾性率が低下し、ガラス転移温度を低下させることができる。
ここで、選択されるジアミンは耐熱性の観点より芳香族ジアミンが好ましいが、目的の物性に応じてジアミンの全体の60モル%、好ましくは40モル%を超えない範囲で、脂肪族ジアミンやシロキサン系ジアミン等の芳香族以外のジアミンを用いても良い。
本発明に用いられるポリイミド前駆体は、上述のように塩基性溶液に対して溶解性を有することが好ましく、具体的には、基板上に形成された塗膜の25℃における0.1wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対する溶解速度が、100Å/sec以上であることが好ましい。当該溶解速度は500Å/sec以上であることがさらに好ましい。さらには、より一般的に用いられる現像液である2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が、100Å/sec以上であることが好ましく、500Å/sec以上であることがさらに好ましい。上記定義による溶解速度が100Å/secより小さい場合、現像時間が遅くなり作業性、生産性が悪くなると共に、露光部、未露光部間の溶解性コントラストが得にくくなる。
上記溶解速度を測定する具体的手順としては、無アルカリガラス等の基板上に形成された高分子前駆体の塗膜を、25℃に調温され、撹拌された現像液(この場合0.1重量%TMAH水溶液または、2.38重量%TMAH水溶液)に一定時間、浸漬し、蒸留水でリンス後、乾燥させた後で測定した膜厚と、初期膜厚との差を、膜減り量とし、その膜減り量を、現像液に浸漬した時間で割ったものが、25℃における単位時間当たりの溶解速度ということになる。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量は、その用途にもよるが、3,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、5,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましく、10,000〜500,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が3,000未満であると、塗膜又はフィルムとした場合に十分な強度が得られにくい。また、加熱処理等を施しポリイミドとした際の膜の強度も低くなる。一方、重量平均分子量が1,000,000を超えると粘度が上昇し、溶解性も落ちてくるため、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜又はフィルムが得られにくい。
ここで用いている分子量とは、公知の手法により得られる分子量であり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値が例示される。この場合、ポリイミド前駆体そのものの分子量でも良いし、無水酢酸等で化学的イミド化処理を行った後のものでも良い。
(A)工程におけるポリイミド前駆体層中には、イミド化を促進する化合物を含有することが好ましい。イミド化を促進する化合物とは、ポリイミド前駆体のポリイミド化反応を促進する触媒作用を有する化合物をいう。当該(A)工程における前記ポリイミド前駆体層中に、イミド化を促進する化合物を含有する場合には、後述する(E)前記パターン化されたポリイミド前駆体層の塩基性溶液に対する溶解性を低下させる工程において、イミド化を促進する化合物の作用によって、より温和な刺激によってポリイミド前駆体層をイミド化して塩基性溶液に対する溶解性を低下させることが可能になる。従って、このような場合には、ポリイミド前駆体の上層であるネガ型レジスト層の劣化を防止でき、濃度の薄い水溶液等の刺激の弱い薬液を用いることが可能となり、ネガ型レジスト層の剥離工程において基板やポリイミド前駆体のパターンにダメージを与えることを抑制できる。
すなわち、後述する(E)工程において、イミド化率が高ければ高いほどポリイミド前駆体パターンの塩基性溶液に対する耐性が向上するが、イミド化率を高くするための強い刺激は、一方でネガ型レジストも劣化し、ネガ型レジスト層の塩基性溶液に対する溶解性が低下する恐れがある。ネガ型レジスト層が劣化すると、より強い塩基性溶液を用いたり、過激な条件で剥離する必要が生じてくる。このような過激な条件でネガ型レジスト層の剥離を行うと基板やポリイミド前駆体のパターンにダメージを与える可能性が出てくるため、こういった現象を抑制する為には、出来る限りネガ型レジストの劣化を抑えられる様な温和な条件でポリイミド前駆体層をイミド化して塩基性溶液に対する溶解性を低下させることが好ましいのである。
ポリイミド前駆体層中に含有させるイミド化を促進する化合物としては、塩基性物質が挙げられ、中でも、その触媒能の高さから、有機物であるアミンが好ましい。
その中でも脂肪族のアミンがその級数を問わずポリイミド前駆体のイミド化の反応に対する触媒効果が高いことから、特に好ましい。なお、脂肪族アミンとは、アンモニアの水素原子を炭化水素基で置換した化合物のうち、炭化水素基の窒素と結合を有する炭素原子から伸びている結合全てが単結合であるものをいう。また、その炭化水素基は、直鎖でも分岐でも環状でもよく、その構造内に置換基やヘテロ結合を有していてもよい。それらとしては、n−ブチルアミン、ベンジルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミンやオクチルアミンなどの第一級アミン類、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジメチルピペリジンのような第2級アミン類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、トリエチレンジアミン(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルキレンジアミン類、ジエチレントリアミンなどのトリアミン、その他テトラミン化合物、ベンジルアミンなどのアミンが例示されるが、本発明の効果を達成することができるものであれば特に限定されない。
当該(A)工程における前記ポリイミド前駆体層において、ポリイミド前駆体100重量部に対してイミド化を促進する化合物は、0.1重量部〜40重量部、更に0.5重量部〜30重量部、含有されていることが好ましい。ポリイミド前駆体100重量部に対してイミド化を促進する化合物が0.1重量部未満である場合には、イミド化反応を促進する効果が不充分である。一方、ポリイミド前駆体100重量部に対してイミド化を促進する化合物が40重量部超過である場合には、イミド化後のポリイミド中にイミド化を促進する化合物が残存しやすく、ポリイミドの物性が低下する場合がある。
(A)工程におけるポリイミド前駆体層中に含有させるイミド化を促進する化合物は、最終的に得られるポリイミドパターン中には残存しないように用いることが、信頼性の点から好ましい。従って、当該イミド化を促進する化合物は、ポリイミド化を行う工程で、分解、または揮発してしまうことが好ましい。具体的には、イミド化を促進する化合物は、加熱して初期の重量から5%重量が減少したときの温度(5%重量減少温度)が25℃〜350℃、好ましくは、25℃〜250℃であることが、加熱によりイミド化を促進する化合物を分解、または、揮発させ、イミド化後のポリイミド中に残存しないようにできる点から好ましい。
本発明の(A)工程におけるポリイミド前駆体層中には、本発明の効果を損なわない限り、加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が含まれ、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、その機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
基板上にポリイミド前駆体層形成用塗工液を塗布して、乾燥して塗膜を形成してポリイミド前駆体層を形成する場合における塗工液は、上記ポリイミド前駆体を必須成分として適宜その他の成分を配合し、溶媒に溶解させて調製する。溶媒としては、上記ポリイミド前駆体を必須成分として適宜その他の成分の良溶媒であれば特に限定されず用いることができ、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。
塗布法としては、ディップコート、スピンコート、ダイコート、ロールコート、スリットコート等、適宜公知の手法を用いることができる。
また、塗工液を塗布した膜から溶媒を除去するための乾燥方法としては、加熱が挙げられ、オーブンやホットプレートなど公知の装置・手法を用いることができる。加熱温度としては、80℃〜140℃の範囲で行うのが好ましい。
ポリイミド前駆体層の厚みは、得られるポリイミドパターンの用途により適宜選択され、特に限定されるものではないが、通常、0.5μm〜100μmとなるように形成される。
<(B)前記ポリイミド前駆体層上にネガ型レジスト層を形成する工程>
前記ポリイミド前駆体層上にネガ型レジスト層を形成する方法としては、前記(A)工程で形成されたポリイミド前駆体層上にネガ型レジスト層形成用塗工液を塗布して、乾燥して塗膜を形成する方法が挙げられるが特に限定されない。ドライフィルムレジストのように、ネガ型レジスト層が常温で固体、またはゲル状のフィルムの形態を取っているものを、基板上に貼り合わせる方法も挙げられる。溶媒を用いずにネガ型レジスト層を形成できることから、ドライフィルムレジストの使用が、作業環境の向上の観点から好ましい。
ネガ型レジストは、紫外線等の電磁波の照射によって、照射された部分の現像液に対する溶解性が、可溶性から不溶・又は難溶性に変化する材料である。ネガ型レジストは、所望の露光マスク(パターン)を通して紫外線等の電磁波を照射することで露光部と未露光部でのパターニングが可能であり、未露光部が現像液に溶出する。
ネガ型レジストは、具体的には、高分子バインダー、単官能、及び/または多官能モノマー、光重合開始剤、その他添加剤から構成される。上記ネガ型レジスト層形成用塗工液としては、通常、これら構成成分の混合溶液を用いる。また、上記ドライフィルムとしては、これらの混合溶液をフィルムのような基材に塗布し作製される。
ネガ型レジストに用いられる高分子バインダーは、ネガ型レジストの塗膜やドライフィルムの形態を保持する成膜性を付与する目的、また、現像性を付与する目的などで混合されている。
高分子バインダーとしては、主にアクリル系樹脂が用いられているが、その他にもポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリアリルアミン等特に限定されない。また、ドライフィルムとして用いる場合にはその、形状を保持しなければならないことから、高分子バインダーの重量平均分子量は、6000以上であることが好ましく、現像性の観点から重量平均分子量が100000以下であることが好ましく用いられるが、特に限定されない。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラーフィー(通称:GPC)によって標準ポリスチレンとの相対値によって求める方法が一般的であるが、溶解性に乏しくGPCによって測定できない場合は、他の公知の方法を用いて測定することができる。
高分子バインダーには、pHを調節した水溶液による現像性を付与する為、アルカリ現像の場合は酸性の官能基が導入されている。
また、最終硬化物の耐熱性や力学特性を向上させる為に光硬化性置換基を導入されているものであっても良い。光硬化性置換基としては、エチレン性不飽和結合含有基、オキセタニル基などが例示される。
これら光硬化性置換基は、光ラジカル発生剤、光酸発生剤、光塩基発生剤などの添加剤の働きにより光硬化性を示す。
多官能モノマー、および単官能モノマーは、紫外線等が照射され光重合開始剤が発生させたラジカルにより、高分子バインダーや他の多官能モノマーと反応し架橋構造を形成することでネガ型レジストの溶解性を減少させる働きがある。
多官能モノマー、および単官能モノマーは、硬化性置換基を1つ以上有する低分子量成分でその分子量、または数平均又は重量平均分子量は、100以上10,000以下が好ましく、100以上5,000以下がさらに好ましい。100未満であると、乾燥時に硬化性成分が揮発し、樹脂組成物の成分比が変化してしまう。また、分子量が大きいと溶解性が低下する。
多官能モノマー及び、単官能モノマーに含まれる硬化性置換基としては、エチレン性不飽和結合含有基、オキセタニル基などが例示される。
具体的には1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、2ージ(pーヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、及びウレタン基を含有する多官能(メタ)アクリレート、ビスフェノールAを構造中に含んだ多官能メタクリレートまたはアクリレート等があるが、特に限定されない。
光重合開始剤は、電磁波、特に紫外線を吸収し、解裂、及び/または他分子からの水素引きぬきを行いラジカルを発生させるものであり、例えば、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノンなどのキノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物、チオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせ、例えばエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチル、2−クロルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチル、イソプロピルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、また、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体とミヒラーズケトンとの組み合わせ、9−フェニルアクリジン等のアクリジン類、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−o−ベンゾイルオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(ο−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類等があるが、特に限定されない。
その他、添加剤としては、照射された電磁波の吸収効率を高める色素や、ネガ型レジストやそのドライフィルム自体に柔軟性を与える可塑剤、等が挙げられるが、特に限定されない。
本発明に用いるネガ型レジストは塩基性溶液により現像と剥離が行えるものが好ましいが、特に限定されない。たとえば、塩基性水溶液により現像・剥離が行えるネガ型レジストでドライフィルムの形態で市販されているのは、旭化成工業株式会社製サンフォートシリーズ(商品名)、ニチゴーモ−トン製ALPHOシリーズ、LAMINARシリーズなどが挙げられる。
ネガ型レジストがドライフィルムタイプの場合、その基板への適応方法は、特に限定されないが、ラミネート手法を用いる場合は、通常ロールプレス、面プレス等公知のラミネート方法を用いる事ができる。
用いる基板の剛性が低い場合は、中でも、面プレス方法を用いることが好ましい。ロールプレスによりラミネートを行うと、シート毎に加工した場合、基板が反ってしまう恐れがあり、基板が反ると、その後、露光を行うときにアライメントに大きなずれが生じるからである。その為、ドライフィルムレジストをラミネートする場合には、面プレスを用いるのが精度良く設計どおりの製品を作製するのに好ましい。
ドライフィルムをラミネートする条件としては、温度は20〜100℃の範囲で行うのが好ましく、圧力は0.05〜0.3MPa(0.5〜3Kgf/cm2)の範囲で行うのが好ましい。
また、ラミネートする際に気泡の混入があると、その部分が密着不良となり、ポリイミド前駆体のパターン形状に不良が出る。この為、減圧状態でのラミネートが有効である。
基板上の凹凸が大きい場合に、気泡の混入を低減させる必要がある点から、ラミネートする際の雰囲気は1.0×10−1Pa(50mmHg)以下の蒸気圧で行うのが好ましい。しかし、パターンが比較的大きく配線間隔等も大きい場合は、減圧しなくても気泡の混入がみうけられない場合もあり、その場合は必ずしも減圧を行わなくてもよい。
加工するシートサイズにより真空吸引時間を調整するが、圧着時にドライフィルムレジストとシート間に気泡が残らないように、時間を設定する。
また、減圧状態でのラミネートの際に、表面に微細な凹凸が施されているようなドライフィルムを用い、基板側に凹凸を向けるようにしてラミネートすると、気泡の除去に非常に有効である。
ドライフィルムレジスト表面に施された凹凸は、その表面粗さRzが0.5μm〜50μmの範囲であることが好ましい。その凹凸を形成する手法は、構成成分の混合溶液をドライフィルムの状態にした後にエンボス加工によりなされても、予め凹凸のついたフィルムに構成成分の混合溶液を塗布し、乾燥させることによって、凹凸を形成させても良いが、その手法に関しては特に限定されない。
ポリイミド前駆体層上にネガ型レジスト形成用塗工液を塗布して、乾燥して塗膜を形成してネガ型レジスト層を形成する場合における塗工液は、ネガ型レジストを形成する成分の他、適宜その他の成分を配合し、溶媒に溶解させて調製する。溶媒の選択には、注意する必要がある。つまり、下層となるポリイミド前駆体層が溶解しないような溶媒を選ぶ必要がある。具体的には、その溶媒に対して下層となるポリイミド前駆体が3.0重量%以上溶解しないような溶媒を選択する必要がある。
塗布法としては、上記(A)工程に挙げたのと同様の方法を用いることができる。
塗布後乾燥させる温度は、60℃〜120℃が好ましく、更に好ましくは70℃〜100℃の範囲で行うのがよい。60℃未満であると十分溶媒が揮発せず膜中に残存したり、乾燥に時間を要するので好ましくない。120℃を超えると、ネガ型レジスト中の感光剤や添加剤が徐々に分解してくる為、好ましくない。
ネガ型レジスト層の厚みは、特に限定されるものではないが、通常、0.5μm〜100μmとなるように形成される。
<(C)パターン露光工程>
工程(C)においては、前記ネガ型レジスト層を選択的に露光する。これにより、ネガ型レジスト層のうち露光された部分のみ、現像液に対する溶解性が、不溶又は難溶性に変化する。
選択的に露光する方法としては、例えば、マスクを介して投影露光する方法等が挙げられる。露光工程に用いられる露光方法や露光装置は特に限定されることなく、密着露光でも間接露光でも良くステッパー、スキャナー、アライナー、密着プリンター、レーザー、電子線描画等、公知のあらゆる手段を用いることができる。
<(D)現像工程>
工程(D)においては、工程(C)においてパターン露光されたネガ型レジスト層3の未露光部の現像後または現像と同時に、当該ネガ型レジスト層3の未露光部の下層のポリイミド前駆体層2の部分のみを選択的に除去し、パターン化されたネガ型レジスト層3’とパターン化されたポリイミド前駆体層2’を得る。
ネガ型レジスト層の現像は、用いるネガ型レジストに対応した現像液を用い、その推奨条件で行うのが好ましく、特に限定されない。
しかし、先に述べたように廃棄物処理の観点から、後述の(G)剥離工程と同様に、塩基性水溶液による現像がこのましい。特に有機アルカリ水溶液による現像が好ましく、その中でも水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液が好ましい。濃度は、0.01重量%〜70重量%がよく、0.1重量%〜20重量%の間が特に好ましい。0.01重量%未満であるとネガ型レジストの未露光部の溶解性が乏しく現像がうまくできない。70重量%を超えると露光部が膨潤し目的のパターンを得にくくなる。
現像方法は、ディップ法でもスプレー法でも、液中スプレー法でも良く、特に限定されない。
このときに用いる現像液に、ネガ型レジストの下層のポリイミド前駆体層が溶解する場合、ネガ型レジスト層とポリイミド前駆体層を同時に選択的に除去してパターン化することが可能である為、プロセスが削減できる。この意味でも、塩基性水溶液に可溶なポリイミド前駆体を用いた上で、無機または有機アルカリ水溶液によるネガ型レジストの現像は有効である。
ネガ型レジストの現像液にポリイミド前駆体が溶解しない場合は、ネガ型レジストの現像後に、得られたネガ型レジストパターンが溶解せず、ポリイミド前駆体が溶解するような液体を用いてポリイミド前駆体の膜のパターン形成を行う。その場合、ポリイミド前駆体のパターン形成に用いる溶液に対する、ネガ型レジストパターンの溶解速度とポリイミド前駆体の溶解速度の差が50倍以上であり、ポリイミド前駆体が大きい方が良い。
<(E)溶解性低下工程>
工程(E)においては、現像工程(D)においてパターン化されたポリイミド前駆体層を少なくとも部分的にイミド化することにより、塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に対する溶解性を低下させる。塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質については、次の工程(F)において詳述する。
当該パターン化されたポリイミド前駆体層の塩基性溶液に対する溶解性を低下させることにより、上層のネガ型レジスト層との間で、塩基性溶液に対する溶解性の差ができ、上層のネガ型レジスト層のみを塩基性溶液で剥離することが可能になる。上記塩基性溶液に対する溶解性の差としては、用いる塩基性溶液に対して、工程(E)を行った後のネガ型レジストパターンの溶解速度が、工程(E)を行った後のポリイミド前駆体パターンの溶解速度の10倍以上、更に30倍以上であることが好ましい。より具体的には、例えば、工程(E)を行った後のポリイミド前駆体パターンの25℃における0.1wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対する溶解速度が、1000Å/sec未満であることが好ましく、更に、25℃における2.38wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対する溶解速度が、1000Å/sec未満であることが好ましい。
ポリイミド前駆体は、上述の工程における利点上、塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に可溶なのものが好適に用いられるが、このようなアルカリ可溶性ポリイミド前駆体であっても、ポリイミド化させると、ポリイミド前駆体の塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に対する溶解性が低下する。従って、本発明においては、ポリイミド前駆体層の塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に対する溶解性を低下させる方法として、ある塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に対して、上層のネガ型レジスト層は溶解するが、ポリイミド前駆体層は溶解しない程度に、ポリイミド前駆体層を少なくとも部分的にイミド化させる。
ポリイミド前駆体層中におけるイミド化率は、使用されるポリイミド前駆体の塩基性溶液に対する溶解性により適宜調整されるものであって特に限定されないが、通常、1%以上、更に5%以上であることが好ましい。ここでのイミド化率は、赤外線吸収スペクトル(例えば、日本分光製フーリエ変換型赤外線分光光度計FT-IR610を用いて測定)において、上記(A)工程で用いた原料としてのポリイミド前駆体についての、前駆体由来のアミド結合のカルボニル基のピーク(通常1663cm−1付近)のピーク面積を1としたときに、加熱過程でのピーク面積の減少量をイミド化率と換算して求めるものである。上記(A)工程におけるポリイミド前駆体層の状態がイミド化率0%、ピークが完全に消失したときをイミド化率100%とする。ポリイミド前駆体パターンの塩基性溶液に対する溶解性を低下させる点からは、イミド化率100%となるまでポリイミド反応を行ってもよい。また、イミド化を完結させてしまえば、ネガ型レジストを剥離後にイミド化する工程を行わなくてもよく、大幅にプロセスを短縮できるというメリットがある。一方で、イミド化率100%とするために高温で長時間加熱を行うと、上層のネガ型レジスト層が劣化して、過激な条件で剥離することになり、その結果、基板やポリイミド前駆体のパターンにダメージを与える場合がある。
なお、最初から部分的にイミド化されたポリイミド前駆体を用いる場合は、その初期値をイミド化率0%としイミド化率を算出する。
ポリイミド前駆体層を部分的にイミド化させる方法としては、例えば、適度に加熱を行うことが挙げられる。加熱により部分的にイミド化する工程は、オーブンやホットプレート、コンベア式の赤外炉等により行うことができる。この場合の温度条件は、用いたポリイミド前駆体に合わせて適宜選択することができるが、通常、100℃〜450℃の範囲、好ましくは140℃〜250℃の範囲である。上述の工程(A)においてポリイミド前駆体層中にイミド化を促進する化合物を含有させた場合には、より低温でイミド化を行って溶解性を低下させることができ、温度条件は、120℃〜230℃の範囲で選択することができる。温度が低すぎると塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に対して難溶性を創出するのに十分なイミド化反応をすることができず、温度が高すぎるとネガ型レジストを劣化させ易く、塩基性溶液に溶解しにくくしてしまう恐れがある。
なお、本発明における加熱条件の加熱温度は、加熱されるものが接している箇所の温度をいう。
上記加熱温度における加熱保持時間は、加熱温度や加熱手法により適宜設定することが必要であるが、1秒〜30分の間、好ましくは5秒〜20分の間がよい。加熱保持時間が短すぎると加熱の効果が発現しにくく、次の工程であるネガ型レジストの剥離に用いる液体に対してポリアミック酸が溶解しやすくなってしまい、加熱保持時間が長すぎると生産性が低下する。
さらに加熱工程は、不活性雰囲気化で行われることが、ネガ型レジストの劣化抑制の観点から好ましい。この場合の不活性雰囲気の具体例としては、減圧下、窒素雰囲気下、アルゴン、ヘリウム等の希ガス雰囲気下等が挙げられる。
用いるポリイミド前駆体とネガ型レジストの組み合わせによっては、当該(E)溶解性低下工程でイミド化反応を行った際に、完全にイミド化が行える場合もある。この場合には、後述の(G)ネガ型レジスト剥離後のポリイミド化工程を省略することができ、大幅にプロセスを短縮できるというメリットがある。
<(F)剥離工程>
工程(F)においては、パターン化されたネガ型レジスト層を、塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質を用いて剥離する。
本発明においては、自然環境に対する負荷を低くし、作業者の安全対策や廃液処理費用等の実用化の問題を解決するために、非水溶性の有機溶剤を用いることなく、塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質でネガ型レジストを剥離する。塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質で剥離することから、上記(D)現像工程で用いる設備をそのまま使用可能であるというメリットがある。さらには、剥離後の基板のリンス、洗浄工程も、水又は水溶液で行うことが可能になる。
ネガ型レジスト層の剥離としては、ネガ型レジストが膨潤して剥離する場合と、溶解して剥離される場合、その両方が組み合わさった場合がある。
上記塩基性溶液としては、工程(E)を行った後のポリイミド前駆体パターンは溶解性が低いが、ネガ型レジストパターンに対して溶解性の高い溶液を適宜選択して用いる必要がある。このような塩基性溶液を選択する場合の目安としては、工程(E)を行った後のネガ型レジストパターンの溶解速度が、工程(E)を行った後のポリイミド前駆体パターンの溶解速度の10倍以上、より好ましくは100倍以上の溶解速度を有するような塩基性溶液を選択することが挙げられる。
本発明に用いられる塩基性溶液のうち、塩基性水溶液としては、無機または有機アルカリ水溶液が挙げられ、特に廃液処理の観点からは有機アルカリ水溶液が好ましい。その中でも水溶性アミンの水溶液が好ましい。ここで、水溶性アミンとは蒸留水に対して0.1mol/L以上の濃度で溶解することのできる1級〜4級アミンのことをいう。剥離性の観点から、脂肪族の1級、2級、3級アミンが好ましく、水に対する溶解性の観点から分子内に1つ以上の水酸基を含有する1級、2級、3級アミンが好ましい。分子内に1つ以上の水酸基を含有する脂肪族の1級、2級、3級アミンがさらに好ましい。これら1〜4級アミンは、置換基を有していてもよく特に、水酸基を有する脂肪族アミンとしては、エタノールアミン、N,N,−ジメチルエタノールアミン、プロパノールアミン、トリエタノールアミンなどが例示されるが特に限定されない。
水溶性アミンの水に対する濃度は、0.01重量%〜30重量%の間が好ましく、0.5〜20重量%の間がより好ましい。0.01重量%未満であるとネガ型レジストの露光部の溶解性が乏しくネガ型レジストパターンの剥離がうまくできない。30重量%を超えるとポリアミック酸パターンが膨潤したり、溶出したりして目的のパターンを得にくくなる。
また、本発明に用いられる塩基性溶液のうち、水溶性塩基性物質とは、水溶性のpHが7より大きな有機化合物をいい、具体的には、1級、2級、3級アミン、或いは4級アミン(アンモニウム化合物)が挙げられる。ここで本発明の水溶性塩基性物質の水溶性とは、25℃において、1重量%以上90重量%以下の濃度で水溶液が得られるものをいい、好ましくは5重量%以上60重量%以下の濃度の水溶液が得られるものをいう。上記(E)工程における加熱等の刺激によって溶解性が非常に低下したネガ型レジスト層を剥離するには、上記水溶性塩基性物質による剥離が好ましい。具体的には、0℃〜100℃の間のいずれかの温度で液体である1級〜4級アミンが用いられ、さらに1級〜4級の脂肪族アミンである事が好ましい。脂肪族アミンであると一般に塩基性が高い為、より剥離性に優れる。
これら1〜4級アミンは、置換基を有していてもよく、特に、水酸基を有する脂肪族アミンが剥離に対して有効である。具体的には、上記塩基性水溶液で述べたようなアミンなどが例示されるが特に限定されない。
塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質を用いて剥離する際には、アミンを含有する組成物など、塩基性物質の他に、界面活性剤、酸化防止剤、基板へのダメージを抑制する薬品等の各種添加剤を混合した組成物を、剥離液として用いてもよい。これらの各種添加剤は、無機又は、有機の塩基性物質の働きを阻害しないようにする為、無機又は、有機の塩基性物質の濃度よりも低く添加する方がよい。
通常剥離は、剥離液が液体の状態で存在できる温度で行うが、剥離に要する時間を短縮させるには、剥離液の温度をより高くすることが好ましい。アミン等の塩基性物質を含有する組成物の温度は、通常0℃以上100℃以下で、ネガ型レジスト層を剥離する。剥離液が水溶液の場合は、 10℃〜85℃がさらに好ましく、20℃〜70℃の間がさらに好ましい。0℃未満であると、剥離に時間を要し、95℃を超えると、剥離液が揮発しやすくなり、内容物の濃度が変化しやすい、さらにはポリイミド前駆体のパターンに対してダメージを与えやすくなる、といった問題がある。
剥離方法は、ディップ法でもスプレー法でも、液中スプレー法でも良く、特に限定されない。
<(G)ポリイミド化工程>
工程(G)においては、(F)前記パターン化されたポリイミド前駆体層2”をポリイミド化する。
パターン化されたポリイミド前駆体層2”をイミド化する前に、必要に応じて蒸留水や温水等で洗浄を行っても良い。
イミド化する方法としては、加熱を行う方法、触媒と接触させる方法、触媒溶液に浸漬後加熱する方法等が挙げられる。
加熱によってイミド化する場合には、150℃から400℃の間の温度、好ましくは180℃〜370℃の間の温度で、1分〜300分の間加熱処理を行うことが好ましく、その加熱手法は、公知の手法を用いることが可能である。
さらにこの加熱工程は、基板に酸化しやすい金属を含む場合には、不活性雰囲気化で行われることが、金属の酸化防止の観点から好ましい。この場合の不活性雰囲気の具体例としては、減圧下、窒素雰囲気下、アルゴン、ヘリウム等の希ガス雰囲気下等が挙げられる。
このようにして得られたポリイミドパターンは、窒素中で測定した5%重量減少温度が、250℃以上が好ましく、300℃以上がさらに好ましい。特に、はんだリフローの工程を通るような電子部品等の用途に用いる場合は、5%重量減少温度が300℃未満であると、はんだリフローの工程で発生した分解ガスにより気泡等の不具合が発生する恐れがある。
ここで、5%重量減少温度とは、熱重量分析装置を用いて重量減少を測定した時に、サンプルの重量が初期重量から5%減少した時点(換言すればサンプル重量が初期の95%となった時点)の温度である。同様に10%重量減少温度とはサンプル重量が初期重量から10%減少した時点の温度である。
また、このようにして得られたポリイミドパターンは、寸法安定性の観点から、線熱膨張係数が1ppm/℃〜40ppm/℃であることが好ましい。特に、電子部品等の製造プロセスにおいて銅やステンレスといった金属上に膜を形成する場合には、密着性、基板のそりの観点から1ppm/℃〜20ppm/℃であることがさらに好ましい。ここで、本発明におけるポリイミドパターンの線熱膨張係数は、パターンの大きさに関わらず同等値となるとみなすことができるので、パターンの大きさによりポリイミドパターンそのものを測定できない場合には、ポリイミドパターンに使用されているポリイミド前駆体を用いて同様のパターン形成方法のプロセスを経た線熱膨張係数評価用ポリイミド膜を作成して評価しても良い。なお、本発明における線熱膨張係数は、熱機械的分析装置(TMA)によって求めることができる。熱機械的分析装置(例えばThermo Plus TMA8310(リガク社製)によって、昇温速度を10℃/min、評価サンプルの断面積当たりの加重が同じになるように引張り加重を1g/25000μm2として得られる。
また、このようにして得られたポリイミドパターンは、寸法安定性の観点から、吸湿膨張係数が1ppm/%RH〜40ppm/%RHであることが好ましい。特に、電子部品等の製造プロセスにおいて密着性、基板のそりの観点から1ppm/%RH〜20ppm/%RHであることがさらに好ましい。ここで、本発明におけるポリイミドパターンの吸湿膨張係数は、パターンの大きさに関わらず同等値となるとみなすことができるので、パターンの大きさによりポリイミドパターンそのものを測定できない場合には、ポリイミドパターンに使用されているポリイミド前駆体を用いて同様のパターン形成方法のプロセスを経た吸湿膨張係数評価用ポリイミド膜を作成して評価しても良い。なお、本発明における吸湿膨張係数は、25℃において30%Rh〜70%Rhまで湿度変化させたときの1%Rhあたりの材料の長さの平均変化率(変位/初期長)をいう。
II.ハードディスク用サスペンション等の物品
本発明に係る物品は、半導体装置、電子部品、光回路、光回路部品、又は光学部材いずれかの物品であって、前記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンを有するものである。
また、本発明に係るハードディスク用サスペンションは、前記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンを有するものである。
本発明に係るハードディスク用サスペンションなど電子部品等の物品は、前記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンを有することにより、感光剤を含まないポリイミドパターンを有するため、アウトガスの発生が少なく、吸湿線膨張係数や線熱膨張係数も低くすることが可能なため反り等の不具合が生じず、信頼性が高いものである。
前記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンを有する本発明に係る物品は、半導体装置、電子部品、光回路、光回路部品、又は光学部材のいずれかであって、特に限定されない。例えば、フレキシブルプリント基板の絶縁層、配線保護層、半導体実装基板の絶縁層、配線保護層、半導体装置の絶縁層、表面保護膜などにポリイミドパターンを有する半導体装置が例示される。また、ハードディスク用サスペンション、チップスケールパッケージ用基板等の電子部品の他に、光回路部品の導波路やクラッド層等、光回路の部品などが挙げられる。
本発明に係る物品の一つである電子部品について、本発明に係るハードディスク用サスペンションを例に挙げて、具体的に説明する。本発明に係るハードディスク用サスペンションは、ハードディスクドライブの磁気ヘッドを支持している部品である。
図2は、本発明に係るハードディスク用サスペンションの一例の模式的断面図である。
本発明に係るハードディスク用サスペンションは、図2に示されるように、バネの役割をする金属基板10と、金属基板10上に上記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンである絶縁層20と、当該絶縁層20上に設けられた銅配線層30と、銅配線層30が上記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンである配線保護層40によって覆われている構造を有する。
上記例においては、絶縁層20と配線保護層40の両方ともが、上記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンであるが、絶縁層20と配線保護層40のいずれかのみが上記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンであっても良い。配線保護層40としては、アクリル系樹脂なども用いることができる。
金属基板10としては、通常、ステンレスまたは、表面処理を施したステンレス等のバネ状弾性を有する金属箔等が用いられる。用いられる金属基板10は厚さを50μm以下、中でも20μm〜1μmとすると、磁気ディスクへの追従性が良好になり、上記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンと組み合わせて用いた場合に、反りをより低減することができ、平坦性を向上することができる。
本発明に係るハードディスク用サスペンションに用いられるポリイミドパターンは、上記本発明に係るポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンに求められる特性を満たせば、良好な特性を示すサスペンションを得られる。
上記サスペンションの製造の一般例としては、以下が挙げられる。まず、金属基板10としてのステンレス箔(20μm)上に、本発明に係るポリイミドパターン形成方法を用いて所望の形状でポリイミドパターンを形成し、絶縁層20を備えた基板を得る。次に、スパッタにより、上記得られた基板全面に銅、ニッケルなどのシード層を形成する。そこへ、ネガ型レジスト溶液を塗布または、ネガ型ドライフィルムレジストをラミネートし、基板上へネガ型レジスト層を形成する。その後、露光・現像を行い、銅配線を形成したい部位のみ開口部を設ける。
次に、配線の形状の開口部に銅めっきを行った後、レジストを剥離する。その後、基板の裏面をマスクし、希塩酸水溶液等を用い、銅配線及びシード層の表層をエッチングする。ここで、シード層が露出している部位を完全に除去すると、独立した銅配線層30が形成された基板となる。次に当該銅配線層が形成された基板上に、本発明に係るポリイミドパターン形成方法を用いて所望の形状でポリイミドパターンを形成し、配線保護層40を形成する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。
(製造例1)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル 1.20g(6mmol)を50mlの3つ口フラスコに投入し、5mlの脱水されたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ窒素気流下、氷浴で冷却しながら撹拌した。そこへ、少しずつピロメリット酸2無水物 1.31g(6mmol)を添加し、添加終了後、氷浴中で5時間撹拌し、その溶液を、脱水されたジエチルエーテルによって再沈殿し、その沈殿物を室温で減圧下、17時間乾燥し、白色固体を2.11g(ポリイミド前駆体1)を得た。
(実施例1)
20μmの厚みのSUS304(新日本製鉄(株)製)上に、製造例1で得られたポリイミド前駆体1の20wt%ジメチルアセトアミド溶液をバーコートし、乾燥後18±2μmになるように塗布し、熱風循環式オーブンで80℃で、30分乾燥させた。その後、厚み38μmのアルカリ現像型ドライフィルムレジスト302J38E(ニチゴーモートン製)を真空ラミネーターで0.5Mpaに減圧し、熱板の表面の温度70℃で、15分室温で放置し、ポリイミド前駆体の膜上にネガ型レジスト膜が形成された基板を作成した。
次に手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−1200)を用いて、所望のパターンが描かれたフォトマスクを介して50mJ/cm (i線換算)で露光し、0.8wt%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(液温25度)を用いてコンベア式スプレー現像装置を用い、ネガ型レジストとポリイミド前駆体層を同時に現像を行い、その後、蒸留水によってリンスを行い温風乾燥させ、ネガ型レジストとポリイミド前駆体層が積層されたパターンを得た。
上記の手法で得られたネガ型レジスト層とポリイミド前駆体層が積層されたパターンが形成された基板を、200℃で4分、コンベア式オーブンで加熱した。
そのサンプルを、60℃の9:1:90の2−アミノエタノール:サーフィノール104A(日信化学工業製):蒸留水という混合比で作製した剥離液に7分浸漬し、その後、蒸留水でリンスを行い、ネガ型レジストパターンのみ剥離した。その後、窒素気流下350℃、60分加熱処理し、SUS箔上にポリイミドパターンが形成された基板を得た。
(実施例2)
実施例1と同様にして得た、ネガ型レジスト層とポリイミド前駆体層が積層されたパターンが形成された基板を、220℃で4分、コンベア式オーブンで加熱した。
そのサンプルを、75℃に加熱したエタノールアミンで7分、浸漬した後、蒸留水でリンスを行い、ネガ型レジストパターンのみ剥離した。その後、窒素気流下350℃、60分加熱処理し、SUS箔上にポリイミドパターンが形成された基板を得た。
(実施例3)
実施例1で用いたポリイミド前駆体1の20wt%ジメチルアセトアミド溶液の代わりに、ポリイミド前駆体1の重量に対して5重量%の添加量となるように、ジメチルピペリジンを加えた溶液(樹脂組成物1)を用いた以外は、実施例1と同様に、ポリイミド前駆体層、当該ポリイミド前駆体層上にネガ型レジスト層が形成された基板を作成した。更に、実施例1と同様にして、ネガ型レジスト層とポリイミド前駆体層が積層されたパターンを得た。
上記の手法で得られたネガ型レジスト層とポリイミド前駆体層が積層されたパターンが形成された基板を、170℃で4分、コンベア式オーブンで加熱した。
そのサンプルを、60℃の9:1:90の2−アミノエタノール:サーフィノール104A(日信化学工業製):蒸留水という混合比で作製した剥離液に3分浸漬し、その後、蒸留水でリンスを行い、ネガ型レジストパターンのみ剥離した。その後、窒素気流下350℃、60分加熱処理し、SUS箔上にポリイミドパターンが形成された基板を得た。
(実施例4)
実施例3と同様にして得た、ネガ型レジスト層とポリイミド前駆体層が積層されたパターンが形成された基板を、200℃で4分、コンベア式オーブンで加熱した。
そのサンプルを、60℃に加熱したエタノールアミンで7分、浸漬した後、蒸留水でリンスを行い、ネガ型レジストパターンのみ剥離した。その後、窒素気流下350℃、60分加熱処理し、SUS箔上にポリイミドパターンが形成された基板を得た。
(実施例5)
実施例3で用いたジメチルピペリジンの代わりに、ポリイミド前駆体1の重量に対して5重量%の添加量となるように、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンを加えた溶液を用いた(樹脂組成物2)以外は、実施例4と同様にしてSUS箔上にポリイミドパターンが形成された基板を作成したところ、同じ条件で良好なポリイミドパターンが得られた。
(実施例6)
実施例5と同様にして得た、ネガ型レジスト層とポリイミド前駆体層が積層されたパターンが形成された基板を、200℃で4分、コンベア式オーブンで加熱した。
そのサンプルを、60℃に加熱したエタノールアミンで7分、浸漬した後、蒸留水でリンスを行い、ネガ型レジストパターンのみ剥離した。その後、窒素気流下350℃、60分加熱処理し、SUS箔上にポリイミドパターンが形成された基板を得た。
実施例3〜6については、ポリイミド前駆体にイミド化を促進する化合物である塩基性物質を添加することで、ポリイミド前駆体の溶解性を変化させるためのイミド化反応する温度を低下させることができた為、ポリイミド前駆体層の塩基性溶液に対する溶解性を低下させる工程において、加熱処理温度を低くすることができ、基板等に対するダメージを最小限にすることが可能となった。
<試験例;熱硬化温度>
ポリイミド前駆体1及び上記樹脂組成物1を、それぞれクロムめっきされたガラス板上に最終膜厚2μmになるようにスピンコートし、100℃のホットプレート上で2分間乾燥させた。この塗膜を、日本分光製IR−610及び、アズワン社製 HOTPLATE EC−1200を用い、室温から5℃/minで加熱を350℃まで行いながら赤外分光スペクトルを測定した。
加熱にしたがって前駆体由来のスペクトルが消失し、加熱によって生成したポリイミド由来のピークが現れた。イミド化の進行状況を確認する為に、測定前の前駆体由来の1663cm−1のピーク面積を1としたときに、加熱過程でのピーク面積の減少量をイミド化率と換算しプロットした。(測定前の状態がイミド化率0%、ピークが完全に消失したときをイミド化率100%とした。)
その結果は図3に示した通りである。上記樹脂組成物1は、アミン添加の効果により、ポリイミド前駆体1に比べて前駆体の減少がより低温で起こっている事がわかった。
(実施例7:ハードディスク用サスペンション)
厚み20μmの新日本製鉄製SUS304 HTA箔−厚み10μmポリイミド−厚み12μmのジャパンエナジー社製銅合金箔(NK−120)からなる積層体を、金属加工用レジストを用いて、塩化第二鉄溶液によってCu面を所望の形にエッチングした。レジストを剥離して得られたその基板に、ポリイミド層エッチング用のアルカリ現像型ドライフィルムレジストをラミネートし、所望の形状のマスクを通して紫外線露光を行い、NaCO1重量%水溶液で、ドライフィルムレジストを現像した。その後、ポリイミド層のエッチングを行い、3重量%NaOH水溶液で、ドライフィルムレジストを剥離した。その様にして、所望の形状に絶縁層をウェットエッチングし、箔上に、絶縁層として所望の形状にパターニングされたポリイミドを挟んで、銅配線が形成された基板を得た。
その基板上に、実施例3で得られた(樹脂組成物1)をバーコートし、乾燥後18±2μmになるように塗布し、熱風循環式オーブンで80℃で、30分乾燥させた。その後、厚み38μmのアルカリ現像型ドライフィルムレジスト302J38E(ニチゴーモートン製)を真空ラミネーターで0.5Mpaに減圧し、熱板の表面の温度70℃で、15分室温で放置し、ポリイミド前駆体の膜上にネガ型レジスト膜が形成された基板を作成した。
次に手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−1200)を用いて、所望のパターンが描かれたフォトマスクを介して50mJ/cm (i線換算)で露光し、0.8wt%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(液温25度)を用いてコンベア式スプレー現像装置を用い、ネガ型レジストとポリイミド前駆体層について同時に現像を行い、その後、蒸留水によってリンスを行い温風乾燥させ、ネガ型レジスト層とポリイミド前駆体層が積層されたパターンを得た。
ネガ型レジスト層とポリイミド前駆体層が積層されたパターンが形成された基板を、170℃で4分、コンベア式オーブンで加熱した。
そのサンプルを、60℃の9:1:90の2−アミノエタノール:サーフィノール104A(日信化学工業製):蒸留水という混合比で作製した剥離液に3分浸漬し、その後、蒸留水でリンスを行い、ネガ型レジストパターンのみ剥離した。その後、窒素気流下350℃、60分加熱処理し、基板上に配線保護層としてポリイミドパターンが形成された基板を得た。
その後SUS箔を金属加工用レジストを用いて、塩化第二鉄溶液によって所望の形にエッチングし、ハードディスク用サスペンションを得た。
(実施例8:ハードディスク用サスペンション)
厚み20μmの新日本製鉄製SUS304 HTA箔−厚み10μmポリイミド−厚み12μmのジャパンエナジー社製銅合金箔(NK−120)からなる積層体を、金属加工用レジストを用いて、塩化第二鉄溶液によってCu面を所望の形にエッチングした。
その基板上に、実施例3で得られた(樹脂組成物1)をバーコートし、乾燥後18±2μmになるように塗布し、熱風循環式オーブンで80℃で、30分乾燥させた。その後、厚み38μmのアルカリ現像型ドライフィルムレジスト302J38E(ニチゴーモートン製)を真空ラミネーターで0.5Mpaに減圧し、熱板の表面の温度70℃で、15分室温で放置し、ポリイミド前駆体の膜上にネガ型レジスト膜が形成された基板を作成した。
次に手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−1200)を用いて、所望のパターンが描かれたフォトマスクを介して50mJ/cm (i線換算)で露光し、0.8wt%の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(液温25度)を用いてコンベア式スプレー現像装置を用い、ネガ型レジストとポリイミド前駆体層について同時に現像を行い、その後、蒸留水によってリンスを行い温風乾燥させ、ネガ型レジスト層とポリイミド前駆体層が積層されたパターンを得た。
ネガ型レジスト層とポリイミド前駆体層が積層されたパターンが形成された基板を、170℃で4分、コンベア式オーブンで加熱した。
そのサンプルを、60℃の9:1:90の2−アミノエタノール:サーフィノール104A(日信化学工業製):蒸留水という混合比で作製した剥離液に3分浸漬し、その後、蒸留水でリンスを行い、ネガ型レジストパターンのみ剥離した。その後、窒素気流下350℃、60分加熱処理し、基板上に配線保護層としてポリイミドパターンが形成された基板を得た。
その基板に、ポリイミド層エッチング用のアルカリ現像型ドライフィルムレジストをラミネートし、所望の形状のマスクを通して紫外線露光を行い、NaCO1重量%水溶液で、ドライフィルムレジストを現像した。その後、ポリイミド層のエッチングを行い、3重量%NaOH水溶液で、ドライフィルムレジストを剥離した。その様にして、所望の形状に絶縁層をウェットエッチングし、SUS箔上に、絶縁層として所望の形状にパターニングされたポリイミドを挟んで、銅配線が形成され、さらにその上にポリイミドパターンが形成された基板を得た。
その後SUS箔を金属加工用レジストを用いて、塩化第二鉄溶液によって所望の形にエッチングし、ハードディスク用サスペンションを得た。
本発明に係るポリイミドパターンの形成方法の一例を示す工程図である。 本発明に係るハードディスク用サスペンションの一例の模式的断面図である。 ポリイミド前駆体1及び上記樹脂組成物1における、熱硬化処理温度と、ポリイミド前駆体のイミド化率の関係を示すグラフである。

Claims (20)

  1. 下記の(A)〜(F)の工程;
    (A)基板上にポリイミド前駆体層を形成する工程、
    (B)前記ポリイミド前駆体層上にネガ型レジスト層を形成する工程、
    (C)前記ネガ型レジスト層を選択的に露光するパターン露光工程、
    (D)前記ネガ型レジスト層の現像後または現像と同時に、下層のポリイミド前駆体層を選択的に除去しパターン化する現像工程、
    (E)前記パターン化されたポリイミド前駆体層を少なくとも部分的にイミド化することにより塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質に対する溶解性を低下させる工程、
    (F)前記パターン化されたネガ型レジスト層を塩基性水溶液又は水溶性塩基性物質を用いて剥離する剥離工程、を有するポリイミドパターンの形成方法。
  2. 更に、(G)前記パターン化されたポリイミド前駆体層をポリイミド化する工程を有する、請求項1に記載のポリイミドパターンの形成方法。
  3. 前記(A)工程における前記ポリイミド前駆体層中に、イミド化を促進する化合物を含有する、請求項1又は2に記載のポリイミドパターンの形成方法。
  4. 前記イミド化を促進する化合物がアミンである、請求項3に記載のポリイミドパターンの形成方法。
  5. 前記アミンが脂肪族アミンである、請求項4に記載のポリイミドパターンの形成方法。
  6. 前記(A)工程における前記ポリイミド前駆体層において、ポリイミド前駆体100重量部に対してイミド化を促進する化合物が0.1重量部〜40重量部含有されている、請求項3乃至5のいずれかに記載のポリイミドパターンの形成方法。
  7. 得られるポリイミドパターンの線熱膨張係数が1ppm/℃〜40ppm/℃である、請求項1乃至6のいずれかに記載のポリイミドパターンの形成方法。
  8. 得られるポリイミドパターンの吸湿膨張係数が1ppm/%RH〜40ppm/%RHである、請求項1乃至7のいずれかに記載のポリイミドパターンの形成方法。
  9. 前記(F)剥離工程において、アミンを含有する組成物によってネガ型レジスト層を剥離する、請求項1乃至8のいずれかに記載のポリイミドパターンの形成方法。
  10. 前記(F)剥離工程において、前記アミンを含有する組成物が、アミンを含有する水溶液である、請求項9に記載のポリイミドパターンの形成方法。
  11. 前記(F)剥離工程における、前記アミンを含有する組成物中のアミンが、脂肪族アミンである、請求項9又は10に記載のポリイミドパターンの形成方法。
  12. 前記(F)剥離工程における、前記アミンを含有する組成物中のアミンが、分子内に1つ以上の水酸基を有する構造である、請求項9乃至11のいずれかに記載のポリイミドパターンの形成方法。
  13. 前記(F)剥離工程における、前記アミンを含有する水溶液は、アミンの水に対する濃度が0.1重量%〜30重量%である、請求項10乃至12のいずれかに記載のポリイミドパターンの形成方法。
  14. 前記(F)剥離工程において、アミンを含有する組成物の温度が0℃以上100℃以下で、ネガ型レジスト層を剥離する、請求項1乃至13のいずれかに記載のポリイミドパターンの形成方法。
  15. 前記(E)工程が、前記パターン化されたネガ型レジスト層と前記パターン化されたポリイミド前駆体層が形成された基板を加熱するレジスト剥離前加熱工程であって、加熱温度が100℃〜250℃である、請求項1乃至14のいずれかに記載のポリイミドパターンの形成方法。
  16. 前記(B)工程において、前記ネガ型レジスト層がドライフィルムレジストを用いて形成される、請求項1乃至15のいずれかに記載のポリイミドパターンの形成方法。
  17. 前記請求項1乃至16のいずれかに記載のポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンを有する、半導体装置、電子部品、光回路、光回路部品、又は光学部材いずれかの物品。
  18. 前記ポリイミドパターンが、ステンレスまたは、表面処理を施したステンレス上に形成されている、請求項17に記載の物品。
  19. 前記ステンレスまたは、表面処理を施したステンレスの厚みが、1μm〜50μmである、請求項18に記載の物品。
  20. 前記請求項1乃至16のいずれかに記載のポリイミドパターンの形成方法を用いて形成されたポリイミドパターンを有するハードディスク用サスペンション。
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