JP2008075987A - 乾燥装置 - Google Patents

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久仁義 田井
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勝 中井
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Abstract

【課題】糖分を多く含む果物や野菜などであっても短期間で十分に乾燥させることのできる乾燥装置を提供する。
【解決手段】乾燥庫1内の被乾燥物を乾燥させる乾燥装置であって、乾燥庫1内の空気を冷却して除湿する蒸発器11と、冷却除湿された空気を加熱するヒータ14と、このヒータ14で加熱された乾燥空気を前記被乾燥物に送風するとともに、乾燥庫1内の空気を蒸発器11およびヒータ14を通過させる送風機15とを備えている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、例えば食品等を乾燥させる乾燥装置に関する。
従来から、食品を乾燥させる冷風乾燥機が知られている(特許文献1参照)。
かかる冷風乾燥機は、庫内に冷却器と再熱器とを設け、圧縮機から吐出された高温冷媒を凝縮器にて凝縮し、減圧して冷却器に流入させることにより庫内を冷却するものである。また、高温冷媒を再熱器に流入させて庫内を加熱し、再熱器による加熱作用および冷却器による冷却作用により庫内を乾燥させるようになっている。
特開平7−151467号公報
しかしながら、このような冷風乾燥機にあっては、乾燥庫内の温度が15°Cないし30°Cの範囲で使用されるため、食品を十分に乾燥させることができなかった。また、高温冷媒を再熱器に流入させて乾燥庫内を加熱するため、乾燥庫内を高温にすることができず、40°C以上の温度に上げることは困難である。例え40°Cに上げても、糖分を多く含む果物や野菜などの食品の場合、水分の蒸発が悪いことにより乾燥を開始してからある程度時間が経過すると、その食品の乾燥が進まなくなり、食品を十分に乾燥させることができない。
例えば、スライスした玉葱を40°Cで乾燥した場合、乾燥庫内の湿度は20%までしか低下せず、しかも、乾燥を開始してから24時間経過しても玉葱は含水率が16%までしか乾燥しなかった。その後、3日間連続乾燥しても玉葱の含水率は15.4%までしか下がらず、その玉葱を粉末加工することができなかった。
この発明の目的は、糖分を多く含む果物や野菜などであっても短期間で十分に乾燥させることのできる乾燥装置を提供することにある。
請求項1の発明は、 乾燥庫内の被乾燥物を乾燥させる乾燥装置であって、
前記乾燥庫内の空気を冷却して除湿する冷却除湿手段と、
冷却除湿された空気を加熱する加熱手段と、
この加熱手段で加熱された乾燥空気を前記被乾燥物に送風するとともに、乾燥庫内の空気を前記冷却除湿手段および加熱手段を通過させる送風手段とを備えていることを特徴とする。
この発明によれば、糖分を多く含む果物や野菜などであっても短時間で十分に乾燥させることができる。
以下、この発明に係る乾燥装置の実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
図1および図2は断熱材で形成された乾燥装置の乾燥庫1を示したものである。この乾燥庫1の前壁部1Aには開口2,3が形成され、この開口2,3にはドアD1,D2が開閉自在に取り付けられている。また、乾燥庫1の上部には冷凍装置本体30が設けられている。なお、冷凍装置本体30は別置きであってもよい。そして、乾燥庫1と冷凍装置本体30とで乾燥装置が構成されている。
また、乾燥庫1の右側壁部1Dの外側には制御盤40が設けられており、この制御盤40には、設定温度や乾燥時間や後述する送風機15,20,21の風量などを設定するタッチパネル式の操作パネル41(図4参照)と、現在値をデジタル表示する表示パネル42(図4参照)が設けられている。
乾燥庫1内には、前壁部1Aと後壁部1Bとの間に横架した仕切壁4,5が設けられており、仕切壁4の下端と床1Cとの間には所定の高さの隙間H1が形成されている。また、仕切壁5の下端は床1Cに当接している。
仕切壁4と左側壁部1Eとの間には風路F1が形成され、この風路F1に一対の攪拌送風機(送風手段)20,21が設けられている。
仕切壁4,5間には、果物や野菜などの被乾燥物を収納する複数の乾燥ボックス6が着脱可能に取り付けられており、乾燥ボックス6の底や蓋にはメッシュ6aが形成されている。
乾燥庫1の右側壁部1Dには上下方向に延びたダクト10が設けられており、このダクト10の上部8は天井壁7に沿って仕切壁4の上端の上方位置の近傍まで延びている。そして、ダクト10の上部8と仕切壁5の上端との間には所定の隙間H2が形成されている。
ダクト10の下部の開口10Aには、乾燥庫1内の空気を冷却する蒸発器(冷却除湿手段)11が設けられており、この蒸発器11の下には受皿12が設けられている。この受皿12は蒸発器11の冷却によって結露した水を受けるものである。
受皿12には排水管13が連結され、受皿12に溜まった水が排水管13を介して乾燥庫1外に排水されるようになっている。
また、ダクト10内には、蒸発器11の上にヒータ14と、このヒータ14の上方位置に送風機15とが設けられている。
図3は乾燥装置の構成を示したブロック図である。図3において、31は凝縮器、32は圧縮機、33は膨張弁、34は送風機であり、蒸発器11と圧縮機32とが吸入圧力調整弁35およびアキュームレーター36を介して接続されている。
吸入圧力調整弁35は、圧縮機32に流入する冷媒の温度を10°C以下にするもので、圧縮機32のオーバーロードを防止するためのものである。すなわち、吸入圧力調整弁35は、蒸発器11が吐出する冷媒の温度の高低に拘わらず、圧縮機32に流入する冷媒の温度を10°C以上にならないように絞られている。
アキュームレーター36は、圧縮機32への冷媒の液バックを防止するためのものであり、圧縮機32に流入する冷媒の液体とガスの混合比を一定にするものである。
また、凝縮器31で凝縮された冷媒の一部を圧縮機32の吸入側へ戻す戻り流路37が設けられており、この戻り流路37にはインジェクション用電磁弁38とキャピラリーチューブ39とが設けられている。
インジェクション用電磁弁38は、圧縮機32の冷媒の吐出温度を検出する温度センサSaが所定温度以上を検出したとき開成して、凝縮した冷媒液をキャピラリーチューブ39を介して圧縮機32の吸入側へ戻すものである。
キャピラリーチューブ39は、液化した冷媒を膨張させて気化させるものであり、この気化により温度が低下した冷媒を圧縮機32の流入側へ流入させることにより圧縮機32の冷媒の吐出温度の上昇を抑えるものである。
凝縮器31と蒸発器11との間には膨張弁33および電磁弁41が設けられている。
膨張弁33は、蒸発器11の冷媒の吐出温度を検出する温度センサSbの検出に応じて弁の開度を調整するようになっている。すなわち、冷媒の温度上昇に応じて膨張弁33の開度が大きくなる。
そして、蒸発器11と凝縮器31と圧縮機32と膨張弁33などとで除湿サイクル(冷凍サイクル)が構成される。また、凝縮器31,圧縮機32,送風機34,吸入圧力調整弁35およびアキュームレーター36等が冷凍装置本体30内に設けられている。
図4は乾燥装置の制御系の構成を示したブロック図である。図4において、S1は乾燥庫1内の温度を検出する温度センサであり、この温度センサS1は図1に示すように例えばダクト10の開口10Aに設けられている。
50は温度センサS1の検出温度や操作パネル41の操作に応じてヒータ14や送風機15,20,21や冷凍機を制御する制御装置である。この制御装置50は、送風機15をインバータ制御して蒸発器11およびヒータ14を通過する風量、すなわちダクト10内を流れる風量を調整する風量調整手段としての機能を有する。
送風機15は、冷凍サイクルの運転に対して適正に制御装置50により自動調整され、低温時には風量を増加して冷媒の液バックを防止し、高温時には風量を落としてオーバーロードを防止する。
[動 作]
次に、上記のように構成される乾燥装置の動作について説明する。
先ず、スライスした玉葱(被乾燥物)を複数の乾燥ボックス6に入れ、これら乾燥ボックス6を図1に示すように仕切壁4,5間にセットする。そして、制御盤40の操作パネル41を操作して乾燥温度や乾燥時間を設定するとともに冷凍サイクルを駆動させる。
制御装置50は、送風機15,20,21を駆動させるとともに温度センサS1の検出温度に基づいてヒータ14の通電を制御する。この制御は例えば比例制御で行う。
また、制御装置50は、温度センサS1の検出温度に基づいて送風機15の送風量が制御される。立ち上がり時では、温度センサS1の検出温度が低いことにより、制御装置50は送風機15の回転数を上げて風量を大きくし、冷媒の液バックを防止する。
制御装置50は、温度センサS1の検出温度が上昇していくにしたがって送風機15の送風量を下げていく。そして、温度センサS1の検出温度が例えば30°Cに達すると、設定された乾燥温度に対応した送風量となるように送風機15を所定の一定の周波数で駆動する。例えば、乾燥庫11内の温度を50°Cに設定すれば周波数F1で送風機15が駆動され、60°Cに設定すればF1より小さい周波数F2(F1>F2)で送風機15が駆動され、設定温度が60°Cのときの風量は設定温度が50°Cのときの風量より小さくなる。
送風機15の駆動により、ダクト10の開口10Aへ空気が吸い込まれて蒸発器11により冷却される。この冷却により結露が生じ、この結露した水が受皿12に溜まり、この水が排水管13により乾燥庫1外へ排出される。すなわち、乾燥庫1内の空気は蒸発器11により冷却除湿される。
この冷却除湿された空気はヒータ14により加熱され、加熱乾燥空気となって図1に示す風路K1を通り、さらに矢印Q1で示すように風路F1へ流れていく。そして、攪拌送風機20,21により加熱乾燥空気が攪拌されながら矢印Q2で示すように最下方位置にある乾燥ボックス6の下に送り込まれ、この加熱乾燥空気が各乾燥ボックス6を通って上方へ流れていく。
この加熱乾燥空気が各乾燥ボックス6を流れていくことにより、各乾燥ボックス6に入れられたスライス玉葱の水分が蒸発していく。
そして、各乾燥ボックス6を通る加熱乾燥空気のほとんどが矢印Q4で示すように再度風路F1へ流れていき、この加熱乾燥空気は矢印Q1,Q2,Q4で示すように循環して流れていく。この加熱乾燥空気の循環によりスライス玉葱は水分がさらに蒸発して除々に乾燥していく。
スライス玉葱の水分の蒸発により、各乾燥ボックス6を通った加熱乾燥空気の湿度が高くなっていき、その一部が矢印Q3で示すようにダクト10の開口10Aへ吸い込まれていく。
ここでは、矢印Q2から矢印Q3へ流れる風量は約10%であり、矢印Q4へ流れる風量は約90%である。
このように、ダクト10内の風量すなわち蒸発器11を通過する風量を少なくすることにより、高温の空気を確実に冷却除湿することができ、しかも冷凍サイクルを安定して運転することができることになる。
ダクト10の開口10Aへ吸い込まれた加熱乾燥空気は蒸発器11により冷却される。この冷却により結露が生じ、この結露した水が受皿12に溜まり、この水が排水管13により乾燥庫1外へ排出される。このため、乾燥庫1内の湿度が低下していく。
蒸発器11により冷却された空気はヒータ14により加熱されて、上記と同様にして加熱乾燥空気となって送風機15によりダクト10の風路K1から矢印Q1で示すように風路F1へ流れていき、上記の動作が繰り返し行われる。
この実施例では、ヒータ14によって乾燥庫1内の空気を加熱するので、50°C〜80°Cの高温にすることができ、しかもヒータ14の通電を比例制御するので、乾燥庫1内の温度を一定に維持することができる。
また、乾燥庫1内の温度が50°C〜80°Cの高温であっても、蒸発器11を通過する風量が少なくなるように制御装置50は送風機15を制御するので、高温の空気を確実に冷却除湿することができる。さらに、蒸発器11から吐出される冷媒の温度が高くなった場合、膨張弁33の開度が大きくなり、冷媒の流れる流量が増加されるので、高温の空気を確実に冷却除湿することができる。
さらに、吸入圧力調整弁35が、蒸発器11から吐出される冷媒の温度に拘わらず圧縮機32に流入する冷媒の温度を10°C以下にするので、圧縮機32のオーバーロードを防止することができ、しかも、圧縮機32の冷媒吐出温度が所定温度以上になると、インジェクション用電磁弁38が開成して、凝縮器31から吐出される凝縮した冷媒液をキャピラリーチューブ39を介して圧縮機32の吸入側へ戻すので、圧縮機32の冷媒の吐出温度の上昇を抑えることができる。
このため、乾燥庫1内の温度が50°C〜80°Cの高温であっても冷凍サイクルを安全に且つ安定して連続運転することができ、冷凍サイクルに不具合を発生させることなく高温の空気を連続乾燥させることができる。
図5は乾燥温度が50°Cの場合、乾燥庫1内の温度と乾燥庫1内の湿度と経過時間との関係をグラフで示したものである。このグラフから分かるように、開始時から5時間経過までは乾燥庫1内の乾燥が急速に進み、湿度が10%まで低下する。その後、湿度は10%でほぼ一定となる。
また、図6は乾燥温度が60°Cの場合、乾燥庫1内の温度と乾燥庫1内の湿度と経過時間との関係をグラフで示したものである。このグラフから分かるように、開始時から2時間経過までは乾燥庫1内の乾燥が急速に進み、湿度が10%まで低下する。その後、湿度は10%でほぼ一定となる。
図7ないし図10に示す表1ないし表4は、上記の乾燥装置の乾燥結果を示したものである。
図7の表示1は、乾燥温度が50°C、スライス玉葱の重量が3830gの場合で、乾燥時間が4時間と18.5時間と21時間のときの、スライス玉葱の重量と歩留率と含水率とをそれぞれ示したものである。この表1から分かるように、乾燥時間が21時間という短時間で含水率が9.7%まで進み、スライス玉葱の乾燥が十分に行われており、粉末にすることも可能である。
図8の表2は、乾燥温度が60°C、スライス玉葱の重量が3440gの場合で、乾燥時間が14時間と17時間のときの、スライス玉葱の重量と歩留率と含水率とをそれぞれ示したものである。この表2から分かるように、乾燥時間が17時間という短時間で含水率が10.3%まで進み、スライス玉葱の乾燥が十分に行われており、粉末にすることも可能である。
図9の表3は、乾燥温度が60°C、トマト(被乾燥物)の中玉および小玉を1/2と1/4にそれぞれカットしたものの重量と歩留率と含水率とをそれぞれの乾燥時間毎に示したものである。この表3から分かるように、トマトをスライスしない場合でも乾燥させることができ、ドライトマトとして利用できる。トマトは図11に示すトレー60に載置する。トレー60には図示しないメッシュが形成されている。
図10の表4は、桃(被乾燥物)を溶液(砂糖20%、クエン酸0.3%、亜硫酸ナトリウム0.5%)に2時間漬け込み、この桃を乾燥させた結果を示したものである。すなわち、桃の重量と歩留率と含水率とをそれぞれの乾燥時間毎に示したものである。この表から分かるように、23時間の乾燥で含水率を10.5%にすることができ、ドライフルーツを短時間で生成することができる。トマトや桃は図11に示すトレー60に載置する。
これら表1ないし表4から分かるように、高温の乾燥した空気を被乾燥物に吹き付けるものであるから、被乾燥物を確実に短時間で十分に乾燥させることができる。
この発明に係る乾燥装置の乾燥庫の構成を示した断面図である。 図1の乾燥庫の平断面図である。 乾燥装置の構成を示すブロック図である。 乾燥装置の制御系の構成を示すブロック図である。 乾燥庫内の温度と湿度と時間との関係を示したグラフである。 乾燥庫内の温度と湿度と時間との関係を示した他のグラフである。 所定の乾燥温度に対して、スライス玉葱の重量と乾燥時間と歩留率と含水率とをそれぞれ示した表である。 異なる所定の乾燥温度に対して、スライス玉葱の重量と乾燥時間と歩留率と含水率とをそれぞれ示した表である。 トマトの重量と乾燥時間と歩留率と含水率とをそれぞれ示した表である。 桃の重量と乾燥時間と歩留率と含水率とをそれぞれ示した表である。 他の例を示した説明図である。
符号の説明
1 乾燥庫
11 蒸発器(冷却除湿手段)
14 ヒータ(加熱手段)
15 送風機(送風手段)

Claims (6)

  1. 乾燥庫内の被乾燥物を乾燥させる乾燥装置であって、
    前記乾燥庫内の空気を冷却して除湿する冷却除湿手段と、
    冷却除湿された空気を加熱する加熱手段と、
    この加熱手段で加熱された乾燥空気を前記被乾燥物に送風するとともに、乾燥庫内の空気を前記冷却除湿手段および加熱手段を通過させる送風手段とを備えていることを特徴とする乾燥装置。
  2. 前記送風手段の送風量を乾燥庫内の温度に応じて調整する風量調整手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
  3. 前記冷却除湿手段は、50°Cないし80°Cの高温の空気を冷凍サイクルの蒸発器で冷却することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
  4. 前記蒸発器と前記冷凍機の圧縮機との間に吸入圧力調整弁とアキュームレーターを接続したことを特徴とする請求項3に記載の乾燥装置。
  5. 前記冷凍機の凝縮器で凝縮された冷媒の一部を前記圧縮機の吸入側へ戻すことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の乾燥装置。
  6. 前記冷媒の一部をインジェクション用電磁弁とキャピラリーチューブを介して戻すことを特徴とする請求項5に記載の乾燥装置。
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