JP2008075223A - 合成繊維用油剤付与ガイド装置およびそれを用いた油剤付与方法 - Google Patents

合成繊維用油剤付与ガイド装置およびそれを用いた油剤付与方法 Download PDF

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Abstract

【課題】合成繊維糸条の油剤付与過程において、安定して均一に油剤を付着させることができる油剤付与ガイド装置および方法を提供する。
【解決手段】該給油ガイド装置は、走行糸条と接触することによって油剤が付与される接糸面(a)と、該接糸面(a)に糸条を導入するための2〜15mmの奥行きLをもったストレートな壁面からなる糸条導入部(b)と、走行糸条に対して横断する形で前記接糸面(a)から該糸条導入部(b)のストレートな壁面まで延長されて設けられた油剤溜め溝(c)と、前記接糸面(a)へ油剤を流下供給するために形成され、かつ該接糸面(a)に対し20°以下の交差角θ1を形成して交差する油剤供給面(d)と、該油剤供給面(d)上に開口する吐出孔(e)とからなり、該給油ガイドの上面部分(f)が糸条の走行方向に対して下流側に傾斜した形状を有し、かつ開口部(g)の幅Wが3mm以下であること。
【選択図】図2

Description

本発明は、合成繊維の溶融紡糸工程における油剤を付与するための繊維用油剤付与ガイド装置に関するものである。さらに詳しくは、高速に走行する糸条への油剤の均一付与、付着効率向上および油剤付与後の余剰油剤による飛散防止のために有効な繊維用油剤付与ガイド装置および油剤付与方法に関するものである。
ポリアミドやポリエステルなどの合成繊維の溶融紡糸工程において、走行する糸条に潤滑剤や帯電防止剤を含む油剤を付与している。油剤付与装置としてはガイド型油剤付与装置(以下給油ガイドという)が広く使われている。この給油ガイドは、基本的に計量された油剤を定常的に吐出する油剤吐出孔をもち、その油剤吐出孔から吐出された油剤を走行糸条接糸部で、そこを接糸走行する糸条に付与するものである。この給油ガイドは、油剤供給量を一定に供給できるため、ローラー型油剤付与装置(オイリングローラーともいう)に比べ、糸条の長さ方向に対して均一に油剤を付与しやすい長所を有する。
他方、走行糸条を接糸部へ導入して走行させ、走行糸条が高速で走行する場合には、給油ガイドに糸条とともに大量の随伴気流が流れ込むために吐出孔から接糸部への油剤が偏流して接糸部への供給斑が生じたり、また、接糸部への案内部分が随伴気流を取り込むため糸条の単糸の糸揺れ、あるいは接糸部の油剤偏流、極端な場合には油剤飛散を引き起こし、油剤の付着斑や付着効率が低下する問題がある。これらの問題を解決するため、糸条の給油ガイドとしては、種々の形状のものが提案されている。
たとえば、接糸面に走行糸条に対して横断する形で油剤溜め溝を設けて、かつ接糸面に対して135°〜180°の交差角度を形成して交差する油剤供給面を有している給油ガイドが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この給油ガイドでは走行糸条が接糸面へ進入する開口部が広いため、走行糸条が持ち込む随伴気流の影響を受けやすく、油剤供給面上を流れる油剤が偏流や変動を起こしやすいという問題が生じる。さらに、接糸面のみに設けられている油剤溜め溝では走行糸条に遮られて、偏流した油剤を安定して油剤溜め溝にトラップしきれないため、付着効率の低下や油剤飛散を解消できずに問題となっている。特に糸条の走行速度が3000m/分以上の場合や糸条のフィラメント数が多い場合はこの問題が顕著となる。
このような走行糸条に随伴する気流によって生じる問題を解決するために、糸条が接糸面に進入する前に随伴気流を走行糸条から分離する遮蔽面を有する給油ガイド(特許文献2,3参照)や接糸面に随伴気流が進入しないように糸条の走行に沿って設けられた接糸幅規制溝を吐出孔の前に設けた給油ガイド(特許文献4参照)が提案されている。しかしながら、糸条の走行速度が高速化してくると、このような遮蔽面を設けても完全には随伴気流をカットすることは不可能であり、接糸面上での油剤の偏流や変動は回避できず、それに起因する油剤付着斑、付着効率低減、油剤飛散等の問題は依然残っていた。特に、油剤付与装置前に加熱筒延伸熱処理装置を設置する紡糸プロセスの場合、口金から吐出された糸条が集束するまでの距離が長くなり、随伴気流がより大きくなるため問題となっていた。
また、接糸幅規制溝を吐出孔前に設けた給油ガイドの場合、上記問題に加えて糸条が高速化していくと糸条に油剤が付与される前に規制溝と接触するため、糸条が削られて白粉が発生する。この白粉が蓄積すると糸条走行が不安定となり、糸への著しいダメージを与え、糸のタフネス低下、毛羽、糸切れなどの問題があった。
特開2002−146623号公報([請求項1]) 特開2002−068600号公報([請求項1]) 特開2000−212825号公報([請求項1]) 特開2000−045121号公報([請求項1])
本発明の課題は、上記従来技術の諸問題を解決し、合成繊維糸条の油剤付与過程において、特に3000m/分以上の高速で走行する糸条に対して、吐出面および接糸面上の油剤の偏流、変動、飛散を抑えて、油剤の付着効率を損なわずに安定して均一に油剤を付着させることができる合成繊維用油剤付与ガイド装置および該装置を用いた油剤付与方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は下記の構成を採用するものである。すなわち、
(1)繊維糸条を接触走行させて糸条に油剤を付与する給油ガイド装置において、該給油ガイド装置は、走行糸条と接触することによって油剤が付与される接糸面(a)と、該接糸面(a)に糸条を導入するための2〜15mmの奥行きLをもったストレートな壁面からなる糸条導入部(b)と、走行糸条に対して横断する形で前記接糸面(a)から該糸条導入部(b)のストレートな壁面まで延長されて設けられた油剤溜め溝(c)と、前記接糸面(a)へ油剤を流下供給するために形成され、かつ該接糸面(a)に対し20°以下の交差角θ1を形成して交差する油剤供給面(d)と、さらに該油剤供給面(d)上へ油剤を計量供給するために該油剤供給面(d)上に開口する吐出孔(e)とからなり、走行糸条の上流側に面した該給油ガイドの上面部分(f)が糸条の走行方向に対して下流側に傾斜した形状を有し、かつ該給油ガイドの上面部分(f)に設けられた開口部(g)の幅Wが3mm以下であることを特徴とする合成繊維用油剤付与ガイド装置。
(2)接糸面の糸が接している長さが3mm以上であることを特徴とする前記(1)に記載の合成繊維用油剤付与ガイド装置。
(3)接糸部の形状がフラットな底溝であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の合成繊維用油剤付与ガイド装置。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1項記載の合成繊維用油剤付与ガイド装置を用いて接糸部の糸条走行速度を3000m/分以上とした給油を特徴とする油剤付与方法。
(5)前記(4)記載の油剤付与方法において、合成繊維用油剤付与ガイド装置の上流に加熱筒延伸熱処理装置を設けたことを特徴とする油剤付与方法。
本発明によれば、高速で走行する糸条に随伴する気流の影響を低減して、油剤の付着斑や付着効率の低下、油剤の飛散を生じないように糸条に油剤を付与することが可能であり、特に、3000m/分以上の高速紡糸や加熱筒延伸熱処理装置を用いた紡糸プロセスにおいて本発明を適用した場合は、その効果は極めて大きい。
以下、本発明の給油ガイドの主要部を示す図面を参照しながら詳細に説明する
図1は本発明に係る給油ガイドの一例を示す縦断面図、図2は本発明に係る給油ガイドの一例を示す正面図、図3は本発明に係る給油ガイドのもう一つの一例を示す正面図、図4、図5は本発明に係る給油ガイド上部の拡大正面図、図6、図7は本発明に係る給油ガイドの一例を示す上面図である。
図において、(X)は給油ガイド、(Y)は走行する糸条、(a)は糸条(Y)と接する接糸面、(b)は糸条導入部、(c)は油剤溜め溝、(d)は油剤供給面、(e)は油剤吐出孔、(f)は糸条(Y)の上流側に面した給油ガイド上面部、(g)は給油ガイドに糸条が進入する開口部、Lは糸条導入部の奥行きの長さ、Wは開口部(g)の幅、θ1は接糸面(a)と油剤供給面(d)の交差角、θ2は走行糸条に対して垂直な面と給油ガイド上面部(f)のなす角を示す。なお、糸条(Y)は矢印で示した方向へ高速に走行し、これに伴って、その周りに気流を随伴しながら走行している。
本発明に係る給油ガイド(X)は、図示したように、接糸面(a)、糸条導入部(b)、油剤溜め溝(c)、油剤供給面(d)、油剤吐出孔(e)、給油ガイド上面部(f)、糸条が接糸面に進入する開口部(g)を含んで構成される。なお、糸条(Y)は、走行糸条(Y)に対して横断する形で設けられた油剤溜め溝(c)を有する接糸面(a)に接触しながら走行する。
また、油剤は、図示しない計量ポンプから一定量計量されて連続的に供給され、油剤供給面(d)に穿設された油剤吐出孔(e)から吐出される。吐出された油剤は、油剤供給面(d)を流下して接糸面(a)に油膜を形成しながら、糸条(Y)と接触して付着する。糸条(Y)に付着しきれなかった残余油剤は、直接、もしくは随伴気流により飛散した油剤とともに糸条導入部(b)まで延長された溝を通して前記油剤溜め溝(c)に滞留し、再び糸条(Y)と接触して付着する。
上記の油剤溜め溝(c)は走行糸条に横断する形で接糸面(a)から糸条導入部(b)まで延長して設けられており、糸条導入部(b)のストレートな壁面の長さLが2〜15mmの範囲において形成されることが重要である。本発明において、このような油剤溜め溝(c)が必要なのは、糸条の随伴気流が当たった油剤は接糸面(a)上だけではなく、糸条導入部(b)の壁面にも偏流、飛散するので、糸条導入部(b)のストレートな壁面の部分まで油剤溜め溝を延長して、偏流、飛散した油剤を接糸面(a)に戻すためである。もし、前記糸条導入部(b)のストレートな壁面まで油剤溜め溝(c)が延長されていなかったら、該壁面に偏流、飛散した油剤は糸条に付着しないため、油剤の付着斑、付着効率低下、給油ガイド下部での油剤飛散が発生し好ましくない。また、該油剤溜め溝(c)は製糸条件によって、1個から複数個設けることが可能だが、3個以上設けていると油剤の回収能力が高く好ましい。
さらに、上記糸条導入部(b)のストレートな壁面の奥行きLについては、2mm〜15mmの範囲であることが重要である。Lが2mm未満の場合、随伴気流が大きくなると糸条導入部を越えて油剤が飛散してしまうので、油剤溜め溝(c)で回収しきれず、油剤の付着斑、付着効率低下、給油ガイド下部での油剤飛散が発生する。逆に、Lが15mmを越える場合、糸掛け作業時の際に接糸面(a)が見づらく、作業性が悪化する。
加えて、本発明に係るガイドで重要なことは、接糸面(a)と油剤供給面(d)の交差角θ1が20°以下であることと、走行糸条(Y)の上流側に面した部分(f)が糸条の走行方向に対して下流側に傾斜した形状を有し、かつ該部分(f)に設けられた糸条(Y)が給油ガイド(X)に進入する開口部(g)の幅が3mm以下となることである。これは、糸条(Y)が接糸面(a)に達し油剤供給面(d)から供給される油剤に接するまでに、走行する糸条によって発生する随伴気流の影響を低減させることに大きく効果を発揮する。
交差角θ1が20°以下とする必要性は、吐出孔(e)から油剤供給面(d)を流下する油剤をできる限り迅速に接糸面(a)に供給するためであり、もし、前記の交差角θ1が20°より大きいと、油剤供給面(d)から供給される油剤の流下速度が遅くなって随伴気流の影響を受けやすくなり、油剤供給面(d)上を流れる油剤が偏流、変動を起こしやすくなって好ましくない。上記理由から交差角θ1は20°以下が好ましく、15°以下であればさらに随伴気流の影響を受けにくく、より好ましい。また、交差角θ1は0°以下になると、糸条(Y)が接糸面(a)よりも先に油剤供給面(d)と接触するので好ましくない。したがって、交差角θ1は0°よりも大きいことが好ましい。
給油ガイド(X)の、走行糸条(Y)の上流側に面した上面部分(f)が、糸条の走行方向に対して下流側に傾斜した形状を有していることが重要である。これにより、糸条(Y)にまとわりつく随伴気流の大部分を分離して該給油ガイド(X)の両側面に円滑に排出されるため、随伴気流の油剤供給面(d)への進入がなくなり、随伴気流の影響を大幅に低減させるとともに、随伴気流が給油ガイド上部で衝突して乱流を引き起こして、糸条の走行状態を乱すこともなくなる。したがって、給油ガイドの走行糸条の上流側に面した上面部分(f)が、糸条の走行方向に傾斜を持つことが肝心であり、その傾斜角であるθ2が10°以上であることが好ましく、15°以上であることがより好ましく、給油ガイド装置を製作する際に加工しやすさから、60°以下であることが好ましい。また、傾斜面は平面でも良いが、図3の例のように上流側に凸を持つ曲面であることがより好ましい。
さらに、該給油ガイドの上面部分(f)に設けられた糸条(Y)が給油ガイド(X)に進入する開口部(g)については、その幅Wが3mm以下となることが好ましい。開口部(g)の幅Wが3mmより大きいと随伴気流を油剤供給面(d)に取り込みやすくなり、該供給面(d)上の油剤の偏流、変動を引き起こしやすくなるため、好ましくない。したがって、該開口部(g)の幅Wは3mm以下が好ましく、より好ましくは2mm以下であることが望ましい。また、前記幅が0.5mmよりも狭いと単糸間の干渉が大きくなり、白粉や削れ、更には毛羽、糸切れにもつながり好ましくない。上記理由から前記幅は0.5mm以上3mm以下、より好ましくは2mm以下が好ましい。
糸条の接糸面(a)は走行糸条に対してフラットな底溝であることが好ましい。一般的なR型のものは糸条単糸が重なるため、糸条間の均一付着、油剤付着効率という面でフラットな底溝の方が優位である。
また、該接糸面(a)の実際に糸条が接している面の長さ(図1の糸条が最初に接糸面(a)に接する点Y1から、接糸面(a)から離れる点Y2までの長さから、油剤溜め溝の幅を差し引いた長さ)は、走行糸条(Y)に十分油剤を付着させる時間を与えるためにも、3mm以上あることが好ましい。また、紡糸張力を過剰に高くしないためにも、前記長さは10mm以下であることが好ましい。
本発明による合成繊維用給油ガイド装置を用いることにより、走行する糸条の随伴気流による影響を大幅に低減して、油剤の付着斑や飛散の生じない、かつ油剤の付着効率の高い油剤付与方法が可能となる。特に、極めて随伴気流の多いと考えられる、3000m/分〜6500m/分の高速で油剤を付与する場合や、加熱筒延伸熱処理を用いた紡糸方法のように糸条が集束するまでの距離が長い場合においても、本発明の給油ガイドおよび油剤付与方法にて、高効率で安定して均一に油剤を糸条に付与させることに大きな効果を発揮する。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中の評価項目は以下に述べる方法で測定した。
(1)油滴落下数
糸条に付着しない油剤量として5分間あたりの給油ガイド下に落下する油滴数を測定した。油滴落下数は0〜1滴/5分のものが油剤付着効率が良いと考えられ、本発明の給油ガイド装置とした。
(2)油剤飛散状態
給油ガイドを通過した直後の糸条周部を目視で観察し、ミスト状の油剤飛散が無いか確認した。判断基準は以下の通りとし、○および△を本発明の給油ガイド装置とした。
○:ミスト状の油剤飛散が全く見られない場合
△:ライトを当てることにより少量のミスト状飛散が見られる場合
×:目視で明らかにミスト状の油剤飛散が見られる場合
(3)油剤付着変動率
油剤付着変動率△Rは、給油ガイド下の走行する糸条の油水分の変動を抵抗計を用いて5分間連続で測定し、得られた出力電圧値(R)を下記算出式で計算し比較した。油剤付着変動率ΔR%は15%以下のものが油剤の均一付着性が高いと考えられ、本発明の給油ガイド装置とした。
△R(%)={(Rmax−Rmin)/{(Rmax+Rmin)}/2}
Rmax:5分間連続測定時の最大出力電圧値
Rmin:5分間連続測定時の最小出力電圧値
(4)油剤付着効率
油剤付着効率はQ(%)、吐出された油剤が100%付着した場合の理論上の油分量Qに対して、実際に糸条に付着した油分量Qの比で下記算出式で計算される。
Q(%)=(Q/Q)×100
Q(%)が80%以上を○、70%以上80%未満を△、70%未満を×とし、○および△を本発明の給油ガイド装置とした。
実施例1
酸化チタン0.3wt%を含有するポリエステルを、図8に示す加熱筒延伸熱処理装置を用いて延伸し、5000m/分で引き取る高速製糸工程において、図1に示す給油形状で接糸面(a)から糸条導入部(b)まで延長された油剤溜め溝(c)が3つ設けられており、糸条導入部(b)の奥行きLが10mm、接糸面(a)と油剤供給面(d)がなす交差角θ1が10°、走行糸条上流側に面した給油ガイド上面部(f)が平面で下流側方向にθ2=15°傾斜して、糸条が進入する開口部(g)の幅Wが2mm、かつ接糸面(a)の底溝形状がフラット(曲率のないもの)で、実際に糸条が接する接糸長が3.5mmの給油ガイドを用いて、濃度15%の油剤水溶液からなる油剤を付与して56デシテックス,36フィラメントの三角断面のポリエステル糸を製糸した。
すなわち、押出機1を経て紡糸口金2より溶融紡出されたポリエステル糸条Yを冷却装置3により冷却固化した後、加熱筒9に導入し、延伸後、給油ガイド4により油剤を付与し収束した後、交絡処理装置で交絡を付与し、第1ゴデッドローラー6、第2ゴデッドローラー7で順次引き取り、巻取機8に巻き取った。
実施例1の油剤付与状況(油剤滴下数、油剤飛散)を観察した結果および付着変動率、付着効率を測定した結果を表1に示す。実施例1は油剤滴下ならびに油剤飛散はなく、付着変動率、付着効率ともに本発明の要件を満たすレベルのものが得られた。
実施例2〜3、比較例1〜2
実施例2、3は給油ガイドの該油剤溜め溝(c)の個数がそれぞれ2つ、1つである以外は実施例1と同様に製糸した。その結果を表1に示す。実施例2、3ともに油剤滴下数、油剤飛散、付着変動率、付着効率について本発明を要件を満たすものであったが、付着変動率、付着効率が実施例1に比べると若干劣性となった。
比較例1は給油ガイドに油剤溜め溝がないもの、比較例2は油剤溜め溝は3つ設けられているが糸条導入部(b)まで該溜め溝が延長されていないものを使用した以外は実施例1と同様に製糸した。その結果を表1に示す。比較例1、2ともに油剤滴下数が多く、また油剤飛散も目視で確認された。また、付着変動率、付着効率ともに本発明の要件を満たすレベルではなかった。
Figure 2008075223
実施例4〜6、比較例3
実施例4〜6、および比較例3は給油ガイドの糸条導入部(b)の奥行きLをそれぞれ2、5、15、1mmにした以外は実施例1と同様に製糸した。その結果を表2に示す。実施例4、5、6ともに油剤滴下数、油剤飛散、付着変動率、付着効率について本発明を要件を満たすものであったが、実施例4については油剤飛散、付着効率が他の実施例に比べると若干劣性となった。比較例3については、油剤滴下数、油剤飛散、付着変動率、付着効率ともに劣性で、本発明の要件を満たすレベルではなかった。
Figure 2008075223
実施例7、8、比較例4
実施例7、8、および比較例4は給油ガイドの接糸面(a)と油剤供給面(d)の交差角θ1をそれぞれ15°、20°、25°にした以外は実施例1と同様に製糸した。その結果を表3に示す。実施例7、8ともに油剤滴下数、油剤飛散、付着変動率、付着効率について本発明を要件を満たすものであったが、実施例8については、付着変動率、付着効率ともに若干劣性となった。比較例4については、付着変動率、付着効率ともに劣性で、本発明の要件を満たすレベルではなかった。
Figure 2008075223
実施例9〜12、比較例5
実施例9、10、11および比較例5、6は走行糸条上流側の給油ガイド上面部(f)の下流方向の傾斜角θ2をそれぞれ7°、10°、25°、0°にした以外は実施例1と同様に製糸した。また、実施例12は該上面部(f)を凸状の曲面としθ2を15°とした以外は実施例1と同様に製糸した。その結果を表4に示す。実施例9〜12ともに油剤滴下数、油剤飛散、付着変動率、付着効率について本発明を要件を満たすものであった。比較例5については、油剤滴下数、油剤飛散、付着変動率、付着効率ともに劣性で、本発明の要件を満たすレベルではなかった。
Figure 2008075223
実施例13、14、比較例6
実施例13、14、および比較例6は給油ガイドの糸条進入口である開口部(g)の幅Wをそれぞれ1、3、4mmにした以外は実施例1と同様に製糸した。その結果を表5に示す。実施例13、14ともに油剤滴下数、油剤飛散、付着変動率、付着効率について本発明を要件を満たすものであった。比較例6については、油剤滴下数、油剤飛散、付着変動率、付着効率ともに劣性で、本発明の要件を満たすレベルではなかった。
Figure 2008075223
実施例15〜17
実施例15は給油ガイド接糸面(a)の底溝形状をR状にしたもの、実施例16、17は給油ガイド接糸面(a)の実際に糸条が接する接糸長をそれぞれ3.0、2.5mmにした以外は実施例1と同様に製糸した。その結果を表6に示す。実施例15〜17ともに油剤滴下数、油剤飛散、付着変動率、付着効率について本発明を要件を満たすものであったが、実施例15は油剤飛散、付着変動率、付着効率ともに実施例1に比べると劣性であった。また、実施例16、17についても、接糸長が短くなるにつれて付着変動率、付着効率が若干劣性となった。
Figure 2008075223
本発明の給油ガイド例を示す縦断面図である。 本発明の給油ガイド例を示す正面図である。 本発明の給油ガイド例で、給油ガイド上部(f)が上流側に凸な曲面を持つ具体例を示す正面図である。 本発明の給油ガイド上部を拡大した正面図である。 本発明の給油ガイド例で、給油ガイド上部(f)が上流側に凸な曲面を持つ具体例の上部を拡大した正面図である。 本発明の給油ガイド例を示す上面図である。 本発明の給油ガイド例で、接糸面の底溝形状がR状の具体例を示す上面図である。 本発明の油剤付与方法を適用した合成繊維の溶融紡糸方法の一例を示す概念図である。
符号の説明
X:給油ガイド
Y:走行糸条
Y1:糸条と接糸面が最初に接する点
Y2:糸条と接糸面が離れる点
a:接糸面
b:糸条導入部
c:油剤溜め溝
d:油剤供給面
e:油剤吐出孔
f:走行糸条の上流側に面した給油ガイド上部面
g:走行糸条が給油ガイドに進入する開口部
L:糸条導入部(b)の奥行き長
W:開口部(g)の幅
θ1:接糸面(a)と油剤供給面(d)の交差角
θ2:給油ガイド上部面(f)の走行糸条下流方向への傾斜角
1:押出機
2:紡糸口金
3:冷却装置
4:給油ガイド
5:交絡処理装置
6:第1ゴデットロール
7:第2ゴデットロール
8:巻取機
9:加熱筒延伸熱処理装置

Claims (5)

  1. 繊維糸条を接触走行させて糸条に油剤を付与する給油ガイド装置において、該給油ガイド装置は、走行糸条と接触することによって油剤が付与される接糸面(a)と、該接糸面(a)に糸条を導入するための2〜15mmの奥行きLをもったストレートな壁面からなる糸条導入部(b)と、走行糸条に対して横断する形で前記接糸面(a)から該糸条導入部(b)のストレートな壁面まで延長されて設けられた油剤溜め溝(c)と、前記接糸面(a)へ油剤を流下供給するために形成され、かつ該接糸面(a)に対し20°以下の交差角θ1を形成して交差する油剤供給面(d)と、さらに該油剤供給面(d)上へ油剤を計量供給するために該油剤供給面(d)上に開口する吐出孔(e)とからなり、走行糸条の上流側に面した該給油ガイドの上面部分(f)が糸条の走行方向に対して下流側に傾斜した形状を有し、かつ該給油ガイドの上面部分(f)に設けられた開口部(g)の幅Wが3mm以下であることを特徴とする合成繊維用油剤付与ガイド装置。
  2. 接糸面の糸が接している長さが3mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の合成繊維用油剤付与ガイド装置。
  3. 接糸部の形状がフラットな底溝であることを特徴とする請求項1または2に記載の合成繊維用油剤付与ガイド装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の合成繊維用油剤付与ガイド装置を用いて接糸部の糸条走行速度を3000m/分〜6500m/分とした給油を特徴とする油剤付与方法。
  5. 請求項4記載の油剤付与方法において、合成繊維用油剤付与ガイド装置の上流に加熱筒延伸熱処理装置を設けたことを特徴とする油剤付与方法。
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DE102011018179A1 (de) 2011-04-19 2012-10-25 Oerlikon Textile Gmbh & Co. Kg Vorrichtung zum Auftragen eines Fluids auf einen laufenden multifilen Faden

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