JP2008075207A - 繊維製品の変色防止方法および繊維製品変色防止剤 - Google Patents

繊維製品の変色防止方法および繊維製品変色防止剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 洋服タンス、引出し、クローゼット、プラスチック製衣装ケース等の内部に収納されあるいは保管される衣類の変色防止方法、およびそのための薬剤を提供する。
【解決手段】 繊維製品の近傍に存在する、窒素酸化物、硫黄酸化物または硫化水素ガスなどの腐食性ガスを吸着または分解することにより、これらのガスの接触による繊維製品の変色を防止する。また、前記腐食性ガスの吸着能または分解能を有する物質、特に多孔性物質を繊維製品変色防止剤とする。
【選択図】 なし

Description

この発明は、繊維製品の変色防止方法および繊維製品変色防止剤、特には衣類の変色防止方法および衣類の変色防止剤に関するもので、より詳しくは、洋服ダンス、引出し、クローゼット、プラスチック製衣装ケース等の内部に収納される衣類などの繊維製品の変色防止、およびそのために、洋服ダンス、引出し、クローゼット、プラスチック製衣装ケース等の内部に配置される繊維製品変色防止剤に関するものである。
衣服類に代表される繊維製品は、着用、洗濯を繰り返しているうちに、あるいは季節ごとに入れ替えた後の収納保管中に、変色する現象がみられる。
このような変色の原因は、洗濯により落としきれなかった汚れ等の腐食性ガスによる酸化や繊維製品に付着した収納容器中に含まれる酸化防止剤と腐食性ガスの反応等であり、特に、衿や袖等の皮膚とよく接触する部分や、収納容器とよく接触する部分で顕著に変色することが認められる。
このような変色、特に、洋服ダンス、引出し、クローゼット、プラスチック製衣装ケース等の内部に収納され、あるいは保管される衣類の変色に対しては、近年の生活レベルの向上に伴い、その対策が強く求められてきている。
一方、繊維製品およびその付属品として金属製部品、例えば、ボタン、金属製リング、ジッパーなどの変色を防止する方法については、従来から検討されている。
例えば、特開平10−273878号公報(特許文献1)には、包装材料などに含有される2,6−ジ−t−ブチル−P−クレゾール(以下、BHTと略す。)を代表とするフェノール系酸化防止剤や段ボール中に存在するバニリンが原因で、それらで包装された繊維製品が黄変することが示され、その原因として、包装材料中のBHTが経時で昇華し、繊維製品に付着し、このBHTが窒素酸化物(NO)によるニトロ化などによって黄変するとし、その対策として、繊維製品をリンゴ酸やクエン酸などの不揮発性酸や、そのアンモニウム塩で処理することが示されている。
また、繊維製品の付属品としての金属製部品に関しては、特開2004−91918号公報(特許文献2)には、例えば、銀、銅、ニッケル、クロムなどの金属の装飾品が、大気雰囲気中に存在する硫黄酸化物(SO)やメルカプタン、硫化水素の如き硫黄含有ガスによって変色するのを防止するため、架橋構造を有するとともに、分子中にカルボキシル基を有する繊維を含み、前記カルボキシル基の少なくとも一部はアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニアの塩として存在し、かつ、硫黄含有化合物との反応性を有する水に、難溶性の金属及び/又は金属化合物の微粒子が分散している金属の変色防止材が提案されている。
特開平10−273878号公報(特許請求の範囲、段落番号0002〜0004) 特開2004−91918号公報(特許請求の範囲、段落番号0002〜0003)
発明者らは、繊維製品の変色防止、特に、洋服ダンス、引出し、クローゼット、プラスチック製衣装ケース等の内部に収納されあるいは保管される繊維製品における変色防止方法、および、そのための薬剤を見出すことを課題として研究を行った。
発明者らは、繊維製品を着用後あるいは洗濯後に、洋服ダンス、引出し、クローゼット、プラスチック製衣装ケース等の内部に収納し、季節ごとに入れ替えた後の収納保管中に、繊維製品が変色してしまっていることに着目し検討を行った。
すなわち、このような繊維製品の変色が、洗濯により落としきれなかった皮膚汚れや汗などの分泌物が腐食性ガスである窒素酸化物、硫黄酸化物または硫化水素などと接触して酸化され、収納保管中に繊維製品が変色するという問題がある。
また、プラスチック製衣装ケースや包装材料には、製造時の安定剤としてフェノール系酸化防止剤を含有する場合があり、その衣装ケースに繊維製品を保管しておくと、フェノール系酸化防止剤が昇華して衣装ケースなどの内部に充満し繊維製品に付着し、空気中に含まれる腐食性ガスと接触して、繊維製品が変色するということが起こる。
なお、前記窒素酸化物は、工場の排気ガスや自動車の排気ガス中は勿論、洋服ダンス、引出し、クローゼット、プラスチック製衣装ケース等の配置してある室内にも存在する。
室内においては、石油ストーブ、石油ファンヒーター、ガス湯沸し器等の使用により窒素酸化物が発生し、NOの環境基準濃度が年平均値で0.04〜0.06ppm以下であるのに対し、石油ストーブ使用中の部屋では、NOの濃度が0.7〜2.3ppmにもなると言われていることについても注目して検討を行った。
その結果、発明者らは、繊維製品の変色に起因する、洋服ダンス、引出し、クローゼット、プラスチック製衣装ケース等の繊維製品収納空間に存在する、窒素酸化物、硫黄酸化物または硫化水素ガスなどの腐食性ガスを、除去あるいは分解することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、この発明を完成させたものである。
この発明の請求項1に記載の発明は、
繊維製品の近傍に存在する腐食性ガスを吸着または分解することにより、これらのガスの接触による繊維製品の変色を防止すること
を特徴とする繊維製品の変色防止方法である。
また、この発明の請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の繊維製品の変色防止方法において、
前記腐食性ガスの吸着または分解は、
多孔性物質により行うこと
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載の繊維製品の変色防止方法において、
前記多孔性物質は、
ゼオライトであること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3に記載の繊維製品の変色防止方法において、
前記腐食性ガスは、
窒素酸化物、硫黄酸化物または硫化水素のガスであること
を特徴とするものである。
さらに、この発明の請求項5に記載の発明は、
腐食性ガスの吸着能または分解能を有する物質からなること
を特徴とする繊維製品変色防止剤である。
また、この発明の請求項6に記載の発明は、
請求項5に記載の繊維製品変色防止剤において、
前記腐食性ガスの吸着能または分解能を有する物質は、
多孔性物質であること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項7に記載の発明は、
請求項6に記載の繊維製品変色防止剤において、
前記多孔性物質は、
ゼオライトであること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項8に記載の発明は、
請求項7に記載の繊維製品変色防止剤において、
前記ゼオライトは、
その孔径が3〜10オングストロームの範囲にあること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項9に記載の発明は、
請求項7又は8に記載の繊維製品変色防止剤において、
前記ゼオライトは、
イオン交換により導入された金属イオンを有するものであること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項10に記載の発明は、
請求項9に記載の繊維製品変色防止剤において、
前記金属イオンは、
銅イオン、鉄イオン、亜鉛イオン、ニッケルイオンの中から選ばれた1種又は2種以上であること
を特徴とするものである。
また、この発明の請求項11に記載の発明は、
請求項5〜10に記載の繊維製品変色防止剤において、
前記腐食性ガスは、
窒素酸化物、硫黄酸化物または硫化水素のガスであること
を特徴とするものである。
この発明は、繊維製品、特に、衣類の近傍に存在する、窒素酸化物、硫黄酸化物または硫化水素ガスなどの腐食性ガスを除去あるいは分解することによって、衣類などの繊維製品、特に、保管の際の変色を効果的に防止するものである。
また、この発明の繊維製品変色防止剤は、防虫剤、殺虫剤、芳香剤、抗菌剤、防黴剤、忌避剤又は除菌剤など通常の繊維製品用の保管剤と併用することにより、それらの特性を低下させることなく、繊維製品の変色を防止できるものである。
さらに、この発明は、繊維製品の付属品である金属製部品、例えば、ボタンやジッパーなどの変色も効果的に防止し、フェノール系酸化防止剤の存在するおそれのある場所においても、効果を発揮するものである。
特に、孔径が3〜10オングストロームである金属イオン交換ゼオライトを繊維製品変色防止剤として使用した場合、ゼオライトが有する孔径よりも小さい分子を選択的に吸着することができるモレキュラシーブの働きにより、分子量の小さい、腐食性ガスを選択的に吸着することができる。
この発明の繊維製品の変色防止方法および繊維製品変色防止剤においては、繊維製品、特に衣類の近傍に存在する、窒素酸化物、硫黄酸化物または硫化水素ガスなどの腐食性ガスを吸着又は分解することを必須の構成要件とするもので、腐食性ガスを吸着又は分解する能力を有するものであれば、いかなるものでも繊維製品変色防止剤として、繊維製品の変色防止方法に用いることが可能であるが、通常は、それらの特性を有する多孔性物質を用いるのが好ましい。
また、多孔性物質としては、活性炭、ゼオライト、アルミナ、シリカゲル、備長炭等の炭等が好ましいものとして例示され、これらの中でも、上記の腐食性ガスを選択的に吸着することができるゼオライトが特に好ましい。
ゼオライトは、含水アルミノケイ酸塩を主成分とする化合物で、天然ゼオライト、合成ゼオライトがある。いずれもイオン交換能を有し、脱水しても結晶構造が変化せず、脱水した後に分子サイズの細孔が得られ、大きい吸着能を有することが特徴である。
一般式は、次の通りである。
(化1)
(L,M)O・Al・xSiO・yH
なお、式中、Lはアルカリ金属を、Mはアルカリ土類金属を、xは2以上の数字を表し、yはゼオライトの種類、状態によって決まる数である。
前記ゼオライト結晶の基本構造は、SiOとその置換体のAlOのそれぞれの四面体で、それらがお互いに頂点の酸素原子を共有し、3次元方向に発達した結晶構造を形成している。
この発明で使用されるゼオライトは、天然、又は合成のいずれでもよく、腐食性ガスを吸着することができる細孔を有しておれば、いかなる構造のゼオライトでも使用できる。
天然ゼオライトとしては、例えば、クリノプチロライト型、モルデナイト型及びチャバサイト型等が一般的に知られている。
また、人工的に合成した合成ゼオライトとしては、A型、フォージャサイト型(X型、Y型)、L型、モルデナイト型、ZSM−5型等が工業的に製造されている。
前記合成ゼオライトの中には、金属イオン交換ゼオライトおよび金属担持ゼオライトが存在する。金属イオン交換ゼオライトは、腐食性ガスを選択的に吸着することが可能である。一方、金属担持ゼオライトは、腐食性ガスを分解することが可能である。
しかしながら、金属担持ゼオライトを使用する場合は、腐食性ガスのみを分解するのでなく、他の化学物質までも分解してしまうため、後述する他の薬剤と併用して使用することは避けるのが好ましい。
よって、前記合成ゼオライトの中でも、腐食性ガスである窒素酸化物や硫黄酸化物、硫化水素等を選択的に吸着することができ、併用する薬剤に影響を与えない金属イオン交換ゼオライトが好ましい。
特に、ゼオライト内部に腐食性ガスを選択的に吸着し、併用する薬剤の吸着は起り難い、孔径が3〜10オングストロームの範囲にあるゼオライトが好ましい。
金属イオン交換ゼオライトは、金属イオンが交換されて調製されるもので、イオン交換には、各種の金属イオンが用いられるが、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、亜鉛、鉄、マンガン、ニッケル、カルシウム、マグネシウム、コバルト、スズ等の金属イオンとイオン交換を行ったゼオライトが好ましいものとして挙げられる。
特に、銅、鉄、亜鉛、ニッケルの金属イオンとイオン交換されたゼオライトが好ましい。
これらは、単独で又は2種以上の金属イオン交換ゼオライトを混合して使用される。
前記合成ゼオライトの中には、ハイシリカゼオライトと呼ばれるものも存在する。
ハイシリカゼオライトは、通常のゼオライトと同じく、化学的にはアルミノシリケート金属塩の結晶である。
しかしながら、結晶中のシリカとアルミナの比率が通常のゼオライトと異なり、アルミナに比較してシリカの占める割合が大きくなっている。
また、シリカ構造中の酸素原子がほとんど塩基性を持たず、水素結合の形成に関与しないため、ゼオライト表面に存在する(Si−O−Si)結合は撥水性を示し、水分子を吸着しない。
よって、アルミナに対するシリカの割合が大きくなる程、撥水性が増す。したがって、湿度の高い環境下においては、ハイシリカゼオライトを用いることで、腐食性ガスである窒素酸化物や硫黄酸化物、硫化水素等をより選択的に吸着することが可能となる。
ゼオライトの金属イオン交換は、通常用いられる方法を用いることができる。例えば、ゼオライトを金属化合物溶液に浸漬させる方法等が挙げられる。
この発明の繊維製品変色防止剤は、容器に収納または担持されて用いられ、容器としては、各種形状のものが挙げられる。
具体的には、プラスチック成形容器、紙器、木器、陶器で、袋状あるいは板状等の形状のものも挙げられる。
繊維製品変色防止剤の容器への収納または担持方法において、各種溶剤、バインダーと組み合わせて分散、液状化して行うこと等も可能である。
また、印刷、塗布、接着、散布、熱プレス、サンドイッチ、容器への練り込み等といった手法及び溶剤系接着剤、エマルジョン系接着剤等といった材料を任意に組み合わせて行うことも可能であるが、バインダーを使用した印刷、特に、平面はもちろん、二次、三次曲面にも印刷することができること及び詳細な図柄が印刷することができることから、PAD印刷により容器表面に保持させるのが好ましい。
この発明の繊維製品変色防止剤は、通常の繊維製品保管製剤、例えば、防虫剤又は殺虫剤、芳香剤、防臭剤、抗菌剤、防カビ剤、忌避剤の中から選ばれた1種又は2種以上の薬剤と併用して用いることができる。
前記防虫剤又は殺虫剤としては、例えば、常温で揮散する種々の害虫防除剤が挙げられるが、加温にて揮散する成分あるいは接触によって害虫を防除できる成分等も使用可能である。
このような害虫防除剤としては、従来から殺虫、忌避、防虫等の目的で使用されている各種薬剤がいずれも使用可能で、例えば、有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系、アミド系の各種殺虫剤、昆虫成長調節剤等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
使用可能な害虫防除剤の具体例を、一般名あるいは商品名にて以下に示す。
ピレスロイド系殺虫剤としては、例えば、メトフルトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、アレスリン、dl・d−T80−アレスリン、d・d−T80−アレスリン、バイオアレスリン、フタルスリン、レスメトリン、d−T80−フラメトリン、ペルメトリン、フェノトリン、フェンバレレート、エスフェンバレレート、d・d−T80−プラレトリン、テフルスリン、シペルメトリン、シフェノトリン、フェンプロパトリン、フェンフルスリン、エムペントリン、テラレスリン、ネオピナミンフォルテ、エトフェンプロックス、イミプロトリン等が挙げられる。
これらの中では、殺虫効果に優れ、低汚染性で、薬効の持続性に優れるとともに、安全性にも優れていることから、メトフルトリン、トランスフルトリン及びプロフルトリン、エムペントリンが好ましい。
また、レスメトリン、ペルメトリン、フェノトリン等は、接触により防除できる成分として使用することができる。
有機リン系殺虫剤としては、例えば、一般名DDVP、ダイアジノン、スミチオン、バイテックス等が挙げられる。
カーバメート系殺虫剤としては、例えば、プロポクサー、カルバリル等が挙げられる。
これらの害虫防除剤には、通常用いられている効力増強剤、揮散率向上剤、容器移行抑制剤等の各種添加剤を任意に添加することができる。
効力増強剤としては、例えば、ピペロニルブトキサイド、N−プロピルイゾーム、MGK−264、サイネピリン222、サイネピリン500、リーセン384、IBTA、S421等を挙げることができる。
また、揮散率向上剤としては、例えば、フエネチルイソチオシアネート、ハイミツクス酸ジメチル等を、容器移行抑制剤としては、クエン酸トリエチル、トリエチルホスフェート、トリイソブチルホスフェート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート等が挙げられる。
その他の害虫防除剤として、植物精油、テルペン、昇華性のナフタレン、樟脳又はパラジクロロベンゼン等が挙げられる。
芳香剤としては、例えば、じゃ香、竜延香、アビエス油、アルモンド油、ページル油、パーチ油、カヤブチ油、シトロネラ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、レモン油、レモングラス油、ナツメッグ油、ハッカ油、オレンジ油、テレピン油、セイジ油等の天然香料、ピネン、リモネン、リナロール、ゲラニオール、シトロネラール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、アネトール、オイゲノール、アルデヒド、シトラール、シトロネラール、ワニリン、カルボン、ケトン、メントン、アセトフェノン、クマリン、シネオール、エチルアセテート、オクチルアセテート、プロピオン酸ブチル、イソ酪酸イソプロピル、カプロン酸アリル、安息香酸エチル、桂皮酸メチル、サリチル酸メチル等の人造香料等が挙げられる。
防臭剤としては、例えば、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトネート、ミリスチル酸アセトフェノン、パラメチルアセトフェノンベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、アミルシンナミックアルデヒド、アニシックアルデヒド、ジフェニルオキサイド、安息香酸メチル、安息香酸エチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、ネオリン、サフロール、シトロネラ油、レモングラス油等が挙げられる。
抗菌剤及び防カビ剤としては、例えば、イルガサンDP300、ダウシルS−13、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ヒノキチオール、プリベントールA5、プリベントールA4、プリベントールA3、チアベンダゾール(TBZ)、ジオキシン、O−フェニルフェノール、イソプロピルメチルフェノール、2−クロロ−4−フェニルフェノール、チモール、フェノキシエタノール等が挙げられる。
忌避剤の具体例としては、N,N−ジエチル−m−トルアミド(ディート)、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジ−n−プロピル イソシンコメロネート、p−ジクロロベンゼン、ジ−n−ブチルサクシネート、カラン−3,4−ジオール、1−メチルプロピル−2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシラート等が挙げられる。
これらの繊維製品保管製剤は、単独又は複数を組み合わせて用いてもよく、その使用量(濃度)は、薬剤の種類や揮散性等を考慮して、適宜、所望の効果を奏するように決定すればよい。
さらに、上記の薬剤には、例えば、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリル−チオ−ジ−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、フェニル−β−ナフチルアミン、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、α−トコフェロール、アスコルビン酸、エリソルビン酸等の安定剤を適宜配合してもよい。
上記薬剤を溶液形態に調製するための溶剤としては、例えば、水、ナフテン、白灯油、パラフィン等の炭化水素類、グリセリン、プロピレングリコール、メタノール、イソプロパノール、1−オクタノール、1−ドデカノール等のアルコール類、アセトン、アセトフェノン等のケトン類、ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、アジピン酸ジオクチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジエチル等のエステル類、キシレン、クロルセン、クロロホルム、シリコーンオイル等が挙げられる。
この発明の繊維製品変色防止剤を、前記衣類保管用の薬剤と併用する際は、両者を同一容器の同一の収納部に収納したり、あるいは同一容器の異なる収納部にそれぞれ収納してもよいが、薬剤の接触又は吸着及び分解を避けるために、同一容器の異なる収納部にそれぞれ収納するのが好ましい。
例えば、前記繊維製品変色防止剤を表面に担持した容器本体に、前記薬剤を保持する基材を収納することで、変色発生防止効果と薬剤の持つ効果が十分に発揮させることができる。
上記容器としては、プラスチック成形容器、紙器、袋状物等があげられる。
基材への薬剤の保持方法については、薬剤そのままでも良いが各種樹脂、バインダー、溶剤等と任意に組み合わせることが可能で、各種版を使った印刷、含浸、浸漬、スプレー塗布、滴下、基材材質への練り込み等が挙げられるが特に制限はない。
例えば、含浸又は浸漬の場合は、薬剤をそのまま、又は適当な溶剤に溶解させて基材の表面に塗布する等して、基材の表面に保持させるか、担体内部に含浸させ乾燥させて用いればよい。
また、バインダーを使用した印刷、特に、平面はもちろん、二次、三次曲面にも印刷することができること及び詳細な図柄が印刷することができることから、PAD印刷により容器表面に保持させるのが好ましい。
このような基材としては、特に制限されるものではなく、例えば、紙、不織布、織布、木材、パルプ、無機高分子物質、無機多孔質物質(ケイ酸塩、シリカ等)、有機高分子物質(セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール等)、ゲル化物質(寒天、カラギーナン、ゼラチン等)、樹脂類等が挙げられる。
これらは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、この基材の形態としては特に限定されるものではなく、任意の形態を選択できる。
例としては、球状、角状、偏平状の形状を有する多孔質粒体、織布、不織布、シート、マット等があげられる。
また、この発明の繊維製品変色防止剤は、洋服ダンス、引出し、クローゼット、プラスチック製衣装ケース、整理ダンス等の衣類を収納する場所に適用することができ、腐食性ガスを吸着又は分解することで、衣類繊維製品を変色から守ることができるものである。
この発明において繊維製品とは、洋服や靴下などの衣類、ハンカチ、タオルなどで、洋服ダンス、引出し、クローゼット、プラスチック製衣装ケース、整理ダンス等に保管する繊維製品の全てを対象とすることができる。
以下、実施例を挙げてこの発明をさらに詳しく説明するが、この発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
表1に示す各種の繊維製品変色防止剤を、プラスチック製シート表面にバインダーで100mg担持させた(実施例1〜9)。
また、比較のために、プラスチック製シートのみのものを比較例1とした。
(試験例1)
<変色防止試験>
実施例1〜9、比較例1について、繊維製品変色防止剤の機能を、以下のようにして確認した。
各繊維製品変色防止剤と布地(大きさ:3cm×3cm)を、テドラーバッグ(1L)に入れシールした。前記布地としては、キュプラ及び絹を用いた。
ついで、前記テドラーバッグに窒素ガスで希釈し、100ppmに調整した一酸化窒素ガスを入れ、温度25℃で2週間保存した。
2週間後、テドラーバックより布地を取り出し、目視により布地の変色を確認し、その結果を表2に示した。
<目視による着色評価基準>
評点変色状況
◎ : 変色なし
○ : わずかに変色
△ : 少し変色
× : かなり変色
××: 著しく変色
表2より、実施例1〜9の変色防止試験においては、変色が防止されていることが分かる。
一方、繊維製品変色防止剤を使用していない比較例1においては、顕著な変色が確認された。このことから、この発明は衣類の変色を防止する効果を有するものであることが分かる。
(試験例2)
<防虫効果試験>
実施例1〜9の繊維製品変色防止剤に対して、エムペントリン、アレスリン、プロフリルトリンを各50mg防虫剤として併用し、それぞれを容器の内外に配置して、以下の方法で防虫効果を確認した。
1.8リットル容量の広口瓶の底部に、平織のウールモスリン布(大きさ:3cm×3cm)及びコイガの幼虫10匹を入れた金属製虫かご(サイズ:φ3.5cm)を載置した。
また、同じ広口瓶に使用する蓋の裏側に、各容器を貼り付けた。
ついで、温度25℃の条件下で防虫効果試験を行った。
広口瓶は、蓋をすることにより密閉した。7日間静置後、広口瓶中のウールモスリン布の質量を測定した。
また、試験前後の質量により、食害率を下記式(1)により算出した。
さらに、試験後のコイガの死虫数を測定し、下記式(2)より死虫率を算出した。
食害率={(試験前の質量−試験後の質量)÷試験前の質量}×100・・・式(1)
死虫率=(死亡虫数÷投入虫数)×100・・・式(2)
いずれの場合においても、併用による変色効果の低下はなく、食害率0%、死虫率100%であった。
このことから、繊維製品変色防止剤は、各種繊維製品保管製剤を吸着ないし分解することなく、防虫効果も十分発揮していた。
この発明の繊維製品の変色防止および繊維製品変色防止剤は、その優れた特性の故に、各家庭を始め、繊維製品を取り扱う業界において広く利用される可能性を有するものである。また、防虫剤などの繊維製品保管製剤を調製する業界においても広く利用される可能性のあるものである。

Claims (11)

  1. 繊維製品の近傍に存在する腐食性ガスを吸着または分解することにより、これらのガスの接触による繊維製品の変色を防止すること
    を特徴とする繊維製品の変色防止方法。
  2. 前記腐食性ガスの吸着または分解は、
    多孔性物質により行うこと
    を特徴とする請求項1に記載の繊維製品の変色防止方法。
  3. 前記多孔性物質は、
    ゼオライトであること
    を特徴とする請求項2に記載の繊維製品の変色防止方法。
  4. 前記腐食性ガスは、
    窒素酸化物、硫黄酸化物または硫化水素のガスであること
    を特徴とする請求項1〜3に記載の繊維製品の変色防止方法。
  5. 腐食性ガスの吸着能または分解能を有する物質からなること
    を特徴とする繊維製品変色防止剤。
  6. 前記腐食性ガスの吸着能または分解能を有する物質は、
    多孔性物質であること
    を特徴とする請求項5に記載の繊維製品変色防止剤。
  7. 前記多孔性物質は、
    ゼオライトであること
    を特徴とする請求項6に記載の繊維製品変色防止剤。
  8. 前記ゼオライトは、
    その孔径が3〜10オングストロームの範囲にあること
    を特徴とする請求項7に記載の繊維製品変色防止剤。
  9. 前記ゼオライトは、
    イオン交換により導入された金属イオンを有するものであること
    を特徴とする請求項7又は8に記載の繊維製品変色防止剤。
  10. 前記金属イオンは、
    銅イオン、鉄イオン、亜鉛イオン、ニッケルイオンの中から選ばれた1種又は2種以上であること
    を特徴とする請求項9に記載の繊維製品変色防止剤。
  11. 前記腐食性ガスは、
    窒素酸化物、硫黄酸化物または硫化水素のガスであること
    を特徴とする請求項5〜10に記載の繊維製品の変色防止方法。
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