JP2008075148A - 環状部材の拘束焼入方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】容易に、十分な拘束の効果を確保するとともに、焼入硬化処理の処理効率を向上させることが可能な環状部材の拘束焼入方法を提供する。
【解決手段】環状部材である軸受軌道輪10の拘束焼入方法は、加熱工程、第1冷却工程、拘束工程および第2冷却工程を備えている。そして、拘束工程および第2冷却工程では、軸受軌道輪10の外周面11および端面12A、12Bにおいて接触することなく、稜線部14A、14Bにおいて、拘束部材30と軸受軌道輪10とが接触し、かつ式(1)に示す関係を満たすように軸受軌道輪10が拘束される。
0.9×(b/a)≦(sinβ/sinα)≦1.1×(b/a)・・・(1)
【選択図】図3

Description

本発明は環状部材の拘束焼入方法に関し、より特定的には、環状部材を拘束することにより変形を抑制する環状部材の拘束焼入方法に関するものである。
軸受の軌道輪などの環状部材に対する焼入硬化処理においては、熱処理の際に生ずる変形(熱処理変形)や真円度の低下を抑制するため、当該環状部材を拘束した状態で焼入の冷却を実施する拘束焼入が採用される場合がある。この拘束焼入は、焼入時において、環状部材を構成する鋼がマルテンサイト変態により膨張することを利用したものである。すなわち、環状部材が拘束部材に囲まれた状態で焼入の冷却が実施されることにより、環状部材が拘束部材の壁面に沿って膨張し、所望の形状の環状部材を得ることができる。しかし、この方法によれば、拘束焼入の冷却が終了した時点で、拘束部材の内壁と環状部材とが密着するため、環状部材を拘束部材から分離することが困難となり、焼入硬化処理の効率が低下する場合がある。
これに対し、上部および下部に円形の開口が形成された円柱形状の内壁を有する拘束部材を採用し、環状部材を上部の開口から順次押し込んでいき、環状部材を冷却するとともに、冷却が完了した環状部材を下部の開口から押し出す拘束焼入方法が提案されている。これにより、環状部材の拘束部材からの分離が順次行なわれ、焼入硬化処理の効率低下を抑制することができる(たとえば特許文献1参照)。
特開平9−176740号公報
しかしながら、特許文献1に記載の拘束焼入方法を含めて、環状部材の外周面や内周面に、拘束部材の壁面を密着させて環状部材を拘束する従来の拘束焼入方法では、環状部材の拘束開始時点における寸法を予め正確に予測しておかなければならないという問題点がある。すなわち、環状部材の拘束開始時点における寸法が拘束部材の壁面に囲まれた空間よりも大きい場合、拘束そのものが不可能となる。一方、環状部材の拘束開始時点における寸法が拘束部材の壁面に囲まれた空間よりも小さ過ぎる場合、焼入により環状部材が膨張しても、環状部材が拘束部材により十分拘束されない。これに対し、実際の生産ラインを使用した試作等を行なうことより、このような問題を回避することができる。しかし、この場合、焼入が行なわれる環状部材の形状が変更されるたびに、上記試作等が必要となり、焼入の処理効率が低下する。
以上のように、従来の環状部材の拘束焼入方法は、十分な拘束の効果を確保するために環状部材の正確な寸法予測が必要である点、これを回避するためには試作等による試行錯誤が必要である点、などの問題点を有していた。そして、上記問題点は、十分な拘束の効果の確保を困難にするとともに、焼入硬化処理の処理効率を低下させ、環状部材の生産コストの上昇を招来する。
そこで、本発明の目的は、容易に、十分な拘束の効果を確保するとともに、焼入硬化処理の処理効率を向上させ、環状部材の生産コストを抑制することが可能な環状部材の拘束焼入方法を提供することである。
本発明に従った環状部材の拘束焼入方法は、加熱工程と、第1冷却工程と、拘束工程と、第2冷却工程とを備えている。加熱工程では、鋼からなる環状部材がA点以上の温度に加熱される。第1冷却工程では、加熱工程において加熱された環状部材が、A点以上の温度からM点以下の温度である第1冷却温度まで冷却される。拘束工程では、第1冷却温度まで冷却された環状部材が拘束部材により拘束される。第2冷却工程では、拘束部材により拘束された環状部材が、拘束部材による拘束が開始される温度であり、M点以下の温度である拘束開始温度よりも低い温度である第2冷却温度まで、拘束部材により拘束されつつ冷却される。
そして、拘束工程および第2冷却工程においては、環状部材の外周面および2つの端面において環状部材と拘束部材とが接触することなく、環状部材の外周面と2つの端面とが交差する部位である2つの稜線部において、拘束部材と環状部材とが接触する。さらに、環状部材の軸を含む断面において、拘束部材に負荷される荷重の方向に垂直な面と、拘束部材において環状部材と接触する部位における接線とがなす角度である拘束部材テーパ角度と、環状部材の2つの端面における径方向の厚みとが、以下の式(1)に示す関係を満たすように環状部材が拘束される。
0.9×(b/a)≦(sinβ/sinα)≦1.1×(b/a)・・・(1)
ここで、αおよびβは、それぞれ環状部材の2つの端面のうちの一方の端面側および他方の端面側における拘束部材テーパ角度、aおよびbは、それぞれ環状部材の2つの端面のうちの上記一方の端面および上記他方の端面における径方向の厚みである。
一般に、環状部材の拘束焼入の冷却においては、環状部材の外周面および端面が全体にわたって拘束部材と接触するように、環状部材が拘束される。これに対し、本発明者は、環状部材の拘束焼入における拘束部位と、焼入後の環状部材の真円度との関係について詳細な検討を行なった。その結果、以下のような知見を得た。
すなわち、環状部材の拘束焼入の冷却においては、環状部材の外周面および端面において、環状部材と拘束部材とが接触しなくても、環状部材の外周面と端面とが交差する部位である稜線部において、拘束部材と環状部材とが接触するように環状部材が拘束されることにより、十分な真円度を得ることができることを本発明者は見出した。
さらに、環状部材の拘束焼入においては、上述の真円度だけでなく、焼入硬化処理により環状部材の直径が軸方向に不均一に増大または減少することにより、環状部材の軸を含む断面において、環状部材の外周面や内周面が軸に対して傾斜する変形(倒れ変形)をも抑制する必要がある。本発明者は鋭意検討の結果、拘束部材テーパ角度と、環状部材の2つの端面における径方向の厚みとが、上述の式(1)に示す関係を満たすように環状部材が拘束されることにより、倒れ変形を有効に抑制可能であることを見出した。
本発明の環状部材の拘束焼入方法では、加熱工程においてA点以上の温度に加熱されてオーステナイト化した鋼からなる環状部材は、第1冷却工程においてM点以下の第1冷却温度に冷却されることにより、マルテンサイト変態を開始する。ここで、鋼のマルテンサイト変態は、温度を低下させなければ進行しない。また、鋼は、M点以下の温度に冷却されている場合、パーライト変態およびベイナイト変態も進行しない。そして、拘束工程で、環状部材が稜線部において上述のように拘束され、第2冷却工程においてさらに第2冷却温度まで冷却されることによりマルテンサイト変態が進行し、真円度の低下および倒れ変形が抑制されつつ環状部材が硬化する。
ここで、たとえば環状部材と接触するための壁面である拘束面が、一の軸に垂直な面における断面が円形である拘束部材、あるいは拘束面が一の軸に対して傾斜している部分を有する拘束部材、具体的には拘束面が円錐面形状、球面形状などの形状を有する拘束部材が採用される。そして、拘束部材の当該一の軸と環状部材の軸とが一致するように、拘束部材の拘束面と環状部材の稜線部とを接触させることにより、環状部材の拘束開始時点における寸法を予め正確に予測することなく、環状部材を稜線部において拘束することができる。一方、稜線部において、上述のように拘束部材と環状部材とが接触するように環状部材が拘束されることにより、十分な真円度を得ることができ、かつ倒れ変形を抑制することができる。そのため、本発明の環状部材の拘束焼入方法によれば、容易に、十分な拘束の効果を確保するとともに、焼入硬化処理の処理効率を向上させ、環状部材の生産コストを抑制することができる。
なお、採用されるべき拘束部材の拘束面は、円錐面形状、球面形状など軸方向に垂直な断面が円形であり、軸方向において断面の直径が連続的に小さくなる(または大きくなる)壁面を有する拘束部材であればよい。また、拘束工程および第2冷却工程において、環状部材の内周面は拘束されてもよいが、基本的には上記稜線部が拘束されることで、十分な拘束の効果を確保できるため、拘束されなくてもよい。
また、A点とは鋼を加熱した場合に、鋼の組織がフェライトからオーステナイトに変態を開始する温度に相当する点をいう。また、M点とはオーステナイト化した鋼が冷却される際に、マルテンサイト化を開始する温度に相当する点をいう。さらに、真円度とは、JIS B7451に規定された最小二乗中心法(LSC)による真円度である。
上記環状部材の拘束焼入方法において好ましくは、拘束開始温度は150℃以上である。上述のように、本発明の環状部材の拘束焼入方法においては、環状部材が拘束されつつ冷却され、環状部材を構成する鋼のマルテンサイト変態が進行することにより、環状部材の真円度の低下および倒れ変形が抑制される。しかし、拘束開始温度が150℃未満では、拘束開始前に既にマルテンサイト変態が相当程度進行しており、拘束開始後にマルテンサイトに変態するオーステナイトの割合が少なくなっている。そのため、拘束による真円度の低下および倒れ変形の抑制効果が不十分となる。拘束開始温度を150℃以上とすることにより、拘束開始後にマルテンサイトに変態するオーステナイトの割合が十分に確保され、環状部材の真円度の低下および倒れ変形が一層抑制される。
上記環状部材の拘束焼入方法において好ましくは、第2冷却温度は100℃以下である。100℃よりも高い温度で環状部材の拘束が終了した場合、その後の冷却において新たにマルテンサイト変態するオーステナイトの割合が多いため、その後の冷却において真円度の低下および倒れ変形が発生するおそれがある。第2冷却温度を100℃以下とすることにより、その後にマルテンサイト変態するオーステナイトの割合を十分に抑制し、環状部材の真円度の低下および倒れ変形の発生を一層抑制することができる。なお、環状部材を構成する鋼のM点まで環状部材の拘束を継続すれば、残存しているオーステナイトはなくなり、その後の冷却による真円度の低下や倒れ変形をほぼ完全に回避することができる。したがって、M点未満の温度域に環状部材を冷却しても、更なる効果が期待できず、焼入硬化処理の効率低下を招来するため、第2冷却温度はM点以上とすることができる。ここで、M点とは、オーステナイト化した鋼が冷却される際に、マルテンサイト化が完了する温度に相当する点をいう。
上記環状部材の拘束焼入方法において好ましくは、第2冷却工程における冷却速度は6℃/秒以下である。第2冷却工程における冷却速度を6℃/秒以下とすることにより、真円度の低下および倒れ変形を一層抑制することができる。なお、冷却速度が1℃/秒未満では、熱処理変形や倒れ変形の抑制効果が飽和する一方、第2冷却工程に要する時間が長くなり、焼入硬化処理の処理効率が低下する。そのため、第2冷却工程における冷却速度は1℃/秒以上とすることが好ましい。ここで、冷却速度とは、単位時間あたりの温度の低下幅をいう。
以上の説明から明らかなように、本発明の環状部材の拘束焼入方法によれば、容易に、十分な拘束の効果を確保するとともに、焼入硬化処理の処理効率を向上させ、環状部材の生産コストを抑制することが可能な環状部材の拘束焼入方法を提供することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
図1は、本発明の一実施の形態における環状部材の拘束焼入方法により焼入硬化される環状部材としての軸受軌道輪の概略断面図である。また、図2は、本発明の一実施の形態における環状部材の拘束焼入方法の概略を示す流れ図である。また、図3は、本発明の一実施の形態における環状部材の拘束焼入方法の拘束工程および第2冷却工程を説明するための概略断面図である。図1〜図3を参照して、本発明の一実施の形態における環状部材の拘束焼入方法について説明する。
図1を参照して、軸受軌道輪10は、環状の形状を有しており、外周面11と、軸受軌道輪10の軸Aを含む断面において、外周面11に対して、環状部材のテーパ角度としての軌道輪テーパ角度θをなす内周面13と、外周面11および内周面13に交差する端面である、径方向の厚みの大きい厚肉側端面12Aと、厚肉側端面12Aよりも径方向の厚みの小さい薄肉側端面12Bとを備えている。また、厚肉側端面12Aと外周面11が交差する部位には、稜線部としての厚肉側稜線部14Aが形成されており、薄肉側端面12Bと外周面11が交差する部位には、稜線部としての薄肉側稜線部14Bが形成されている。厚肉側端面12Aおよび薄肉側稜線部14Bは、たとえば面取りされた領域である面取り部である。以下、軸受軌道輪10に対して実施される環状部材の拘束焼入方法の一例について説明する。なお、環状部材のテーパ角度とは、環状部材の軸を通る断面において、内周面を延長した直線と軸とがなす角度である。
図2を参照して、本実施の形態における環状部材の拘束焼入方法は、加熱工程と、第1冷却工程と、拘束工程と、第2冷却工程とを備えている。加熱工程では、軸受鋼(たとえばJIS規格SUJ2)などの鋼からなる環状部材としての軸受軌道輪10がA点以上の温度である800℃以上1000℃以下の温度、たとえば850℃に加熱される。第1冷却工程では、加熱工程において加熱された軸受軌道輪10が、A点以上の温度からM点以下の温度である150℃以上250℃以下の温度、たとえば230℃の第1冷却温度まで冷却される。
さらに、図2および図3を参照して、拘束工程では、第1冷却温度まで冷却された軸受軌道輪10が拘束部材30により拘束される。第2冷却工程では、拘束部材30により拘束された軸受軌道輪10が、拘束部材30による拘束が開始される温度であり、M点以下の温度である拘束開始温度よりも低い温度である30℃以上100℃以下の温度、たとえば80℃の第2冷却温度まで、拘束部材30により拘束されつつ冷却される。
ここで、上記加熱および冷却により行なわれる焼入硬化処理としては、大気中で加熱され、その後冷却される通常の焼入硬化処理が採用されてもよいし、光輝熱処理、浸炭窒化処理などの制御された雰囲気中で加熱され、その後冷却される焼入硬化処理が採用されてもよい。
そして、拘束工程および第2冷却工程においては、図3を参照して、軸受軌道輪10の外周面11および2つの端面である厚肉側端面12Aおよび薄肉側端面12Bにおいて軸受軌道輪10と拘束部材30とが接触することなく、軸受軌道輪10の外周面11と2つの端面である厚肉側端面12Aおよび薄肉側端面12Bとが交差する部位である2つの稜線部としての厚肉側稜線部14Aおよび薄肉側稜線部14Bにおいて、拘束部材30と軸受軌道輪10とが接触する。
さらに、軸受軌道輪10の軸Aを含む断面において、拘束部材30に負荷される荷重Lの方向に垂直な面と、拘束部材30を構成する上部拘束部材31および下部拘束部材32において軸受軌道輪10と接触する部位におけるそれぞれの接線とがなす角度である拘束部材テーパ角度としての上部拘束部材テーパ角度αおよび下部拘束部材テーパ角度βと、軸受軌道輪10の厚肉側端面12Aおよび薄肉側端面12Bにおける径方向の厚みaおよびbとが、式(1)に示す関係を満たすように軸受軌道輪10が拘束される。
ここで、上部拘束部材テーパ角度αおよび下部拘束部材テーパ角度βと、軸受軌道輪10の厚肉側端面12Aおよび薄肉側端面12Bにおける径方向の厚みaおよびbとは、以下の式(2)の関係を満たすことが理想的である。
(b/a)=(sinβ/sinα)・・・(2)
しかし、式(1)の関係を満たす範囲であれば、倒れ量の抑制効果は式(2)を満たす場合と比べてほとんど遜色なく、倒れ量を実用上許容可能な範囲に抑制することができる。なお、倒れ量を特に抑制する必要がある場合、上部拘束部材テーパ角度αおよび下部拘束部材テーパ角度βと、軸受軌道輪10の厚肉側端面12Aおよび薄肉側端面12Bにおける径方向の厚みaおよびbとは、以下の式(3)の関係を満たすことが好ましい。
0.95×(b/a)≦(sinβ/sinα)≦1.05×(b/a)・・・(3)
より具体的には、拘束工程においては、第1冷却温度まで冷却された軸受軌道輪10が拘束冷却装置20を用いて拘束され、第2冷却工程においては、拘束工程において拘束された軸受軌道輪10が、拘束された状態を保持しつつ、第2冷却温度まで冷却される。ここで、図3を参照して、本実施の形態における拘束冷却装置20は、支持台33と、支持台33上に配置された下部拘束部材32と、下部拘束部材32上に配置された上部拘束部材31と、上部拘束部材31上に配置された荷重伝達部材34とを備えている。下部拘束部材32および上部拘束部材31は、拘束部材30を構成している。
支持台33には、平坦な面である支持面33Aが形成されている。下部拘束部材32には、円錐面形状を有する拘束面32Aが形成されている。拘束面32Aは、直円錐の側面の一部を構成する形状を有している。そして、下部拘束部材32は、平坦な面である底面32Bにおいて支持台33の支持面33Aに接触するように配置されている。また、下部拘束部材32は、拘束面32Aを含む直円錐の頂点と底面の中心とを結ぶ軸である軸Aに垂直な面と、拘束面32Aとが交差して形成される円が支持面33Aに対して平行になるように配置されている。さらに、下部拘束部材32は、拘束面32Aからみて、拘束面32Aを含む直円錐の頂点が、支持台33の側になるように、支持台33上に配置されている。すなわち、下部拘束部材32は、軸Aに垂直な面と拘束面32Aとが交差して形成される円の直径が、支持台33に近づくにしたがって小さくなるように、支持台33上に配置されている。
一方、上部拘束部材31には、下部拘束部材32と同様に、円錐面形状を有する拘束面31Aが形成されているほか、基本的には下部拘束部材32と同様の構成を有している。そして、上部拘束部材31の拘束面31Aと、下部拘束部材32の拘束面32Aとが、互いに対向するように、上部拘束部材31は配置されている。また、上部拘束部材31は、拘束面31Aを含む直円錐の頂点と底面の中心とを結ぶ軸である軸Aに垂直な面と、拘束面31Aとが交差して形成される円が支持面33Aに対して平行になるように配置されている。さらに、上部拘束部材31は、拘束面31Aからみて、拘束面31Aを含む直円錐の頂点が、支持台33とは反対側の側になるように配置されている。すなわち、上部拘束部材31は、軸Aに垂直な面と拘束面31Aとが交差して形成される円の直径が、支持台33に近づくにしたがって大きくなるように、下部拘束部材32上に配置されている。また、上部拘束部材31および下部拘束部材32の軸Aと軸Aとが一致するように、上部拘束部材31および下部拘束部材32は配置されている。
ここで、拘束部材30としては、上部拘束部材テーパ角度αおよび下部拘束部材テーパ角度βと、軸受軌道輪10の厚肉側端面12Aおよび薄肉側端面12Bにおける径方向の厚みaおよびbとが、式(1)に示す関係を満たすような上部拘束部材31および下部拘束部材32が採用される。
さらに、荷重伝達部材34は、平坦な面である平坦面34Aが、支持面33Aと平行になるように、かつ上部拘束部材31の平坦な面である底面31Bに接触するように配置されている。
次に、拘束工程における拘束冷却装置20を用いた軸受軌道輪10の拘束の手順について説明する。まず、第1冷却温度まで冷却された軸受軌道輪10が薄肉側稜線部14Bにおいて、下部拘束部材32の拘束面32Aに接触するように、かつ軸受軌道輪10の軸Aが支持台33上に配置された下部拘束部材32の軸Aに一致するように、セットされる。
その後、上部拘束部材31は、上部拘束部材31の軸Aが、軸受軌道輪10の軸Aおよび下部拘束部材32の軸Aと一致する状態を保持しつつ、下部拘束部材32との距離を減じるように移動し、軸受軌道輪10と接触する。そして、上部拘束部材31上には底面31Bに接触するように荷重伝達部材34が配置され、図示しないプレス用重錘、油圧シリンダなどの荷重負荷装置により荷重伝達部材34に所望の荷重Lが負荷される。これにより、軸受軌道輪10は、稜線部14A、14Bにおいて拘束される。
ここで、前述のように、拘束部材30の拘束面31A、32Aは直円錐の側面の一部であるため、軸受軌道輪10は、2つの稜線部14A、14Bにおいて上部拘束部材31および下部拘束部材32の拘束面31Aおよび32Aに接触し、外周面11、内周面13および2つの端面12A、12Bにおいては、上部拘束部材31および下部拘束部材32と接触しない。また、前述のように、拘束部材30としては、上部拘束部材テーパ角度αおよび下部拘束部材テーパ角度βと、軸受軌道輪10の厚肉側端面12Aおよび薄肉側端面12Bにおける径方向の厚みaおよびbとが、式(1)に示す関係を満たすような上部拘束部材31および下部拘束部材32が採用されているため、軸受軌道輪10は、式(1)に示す関係を満たすように稜線部14A、14Bにおいて拘束される。
そして、第2冷却工程においては、上述のように拘束工程において拘束された軸受軌道輪10が、拘束された状態を保持しつつ第2冷却温度まで冷却される。ここで軸受軌道輪10は、上述のように拘束された状態で大気中に放置されることにより冷却されてもよいし(放冷)、ブロアなどの送風装置が用いられて空気などの気体が吹き付けられて冷却されてもよい(衝風冷却)。また、焼入硬化処理の効率化を図るため、軸受軌道輪10が油中に浸漬されて、あるいは油が吹き付けられて冷却されてもよいし(油冷)、水中に浸漬されて、あるいは水が吹き付けられて冷却されてもよい(水冷)。
上述のように拘束工程および第2冷却工程が実施されることにより、軸受軌道輪10の拘束開始時点における寸法を予め正確に予測することなく、軸受軌道輪10を2つの稜線部14Aおよび14Bにおいて拘束することができる。また、上述のように拘束工程および第2冷却工程が実施されることにより、十分な真円度を得ることができ、かつ倒れ変形を抑制することができる。その結果、本実施の形態の環状部材の拘束焼入方法によれば、容易に、十分な拘束の効果を確保するとともに、焼入硬化処理の処理効率を向上させ、環状部材としての軸受軌道輪10の生産コストを抑制することができる。
さらに、上記実施の形態における環状部材の拘束焼入方法においては、拘束開始温度は150℃以上であることが好ましい。これにより、拘束開始後にマルテンサイトに変態するオーステナイトの割合が十分に確保され、軸受軌道輪10の真円度の低下および倒れ変形が一層抑制される。
さらに、上記実施の形態における環状部材の拘束焼入方法においては、第2冷却温度は100℃以下であることが好ましい。これにより、第2冷却工程の後にマルテンサイト変態するオーステナイトの割合を十分に抑制し、軸受軌道輪10の真円度の低下および倒れ変形を一層抑制することができる。
さらに、上記実施の形態における環状部材の拘束焼入方法においては、第2冷却工程における冷却速度は6℃/秒以下であることが好ましい。これにより、軸受軌道輪10の真円度の低下および倒れ変形を一層抑制することができる。
さらに、上記実施の形態における環状部材の拘束焼入方法を採用し、環状部材の製造方法を提供することができる。図4は、本発明の一実施の形態における環状部材の製造方法の概略を示す流れ図である。図4を参照して、本発明の一実施の形態における環状部材の製造方法を説明する。
図4を参照して、本実施の形態における環状部材の製造方法は、成形部材準備工程と、焼入硬化工程と、焼戻工程と、仕上げ加工工程とを備えている。成形部材準備工程では、鋼からなり、環状部材としての軸受軌道輪10の概略形状に成形された部材である成形部材が準備される。具体的には、たとえばJIS規格 SUJ2からなる鋼材が鍛造、切削等により加工されて、成形部材が作製される。焼入硬化工程では、成形部材準備工程において準備された成形部材が焼入硬化される。焼戻工程では、焼入硬化工程において焼入硬化された成形部材が、A点未満の温度である150℃以上300℃以下の温度、たとえば180℃に加熱され、30分間以上240分間以下の時間、たとえば120分間保持されて、その後室温の空気中で放冷される(空冷)。仕上げ加工工程においては、焼戻工程において焼戻が実施された成形部材が、仕上げ加工される。具体的には、成形部材に対して、研削加工、超仕上げ加工などの仕上げ加工が施され、環状部材としての軸受軌道輪10が完成する。
そして、上記焼入硬化工程における焼入処理は、上記実施の形態における環状部材の拘束焼入方法を用いて実施される。上述のように、容易に、十分な拘束の効果を確保するとともに、焼入硬化処理の処理効率を向上させることが可能な上記実施の形態における環状部材の拘束焼入方法が焼入硬化工程において採用されることにより、本実施の形態における環状部材の製造方法によれば、真円度の低下および倒れ変形が安定して抑制され、かつ生産コストが抑制される。
以下、本発明の実施例1について説明する。環状部材の真円度に及ぼす(1)拘束の有無、(2)拘束開始温度、(3)拘束終了温度(第2冷却温度)、(4)第2冷却工程での冷却速度、(5)下部拘束部材のテーパ角度、(6)拘束荷重、の影響について調査する試験を行なった。
まず、試験方法について説明する。まず、高炭素クロム軸受鋼であるJIS規格SUJ2の鋼材を旋削加工等により成形し、図1に示す外径φ80.4mm、厚肉側内径φ68.5mm、薄肉側内径φ75.6mmのテーパ形状を有する環状部材を作製した。そして、当該環状部材を、脱炭を防止するために還元性の雰囲気に調整された加熱炉中に挿入し、810℃に40分間保持した。
その後、環状部材を加熱炉から取り出し、直ちに(1秒以内に)80℃に調整された焼入油(コールドタイプ、日本グリース株式会社製ハイスピードクエンチオイルNo.1070S)中に浸漬し、M点以下の温度である第1冷却温度まで冷却した。そして、環状部材を焼入油中から取り出し、図3に基づいて説明した上記実施の形態における拘束冷却装置20を用いて拘束した。また、拘束を開始した時点での環状部材の温度(拘束開始温度)を測定した。拘束開始温度は、M点以下の温度となっており、かつ第1冷却温度よりも低い温度となっていた。
さらに、拘束された環状部材を拘束開始温度よりも低い第2冷却温度まで冷却し、その後、拘束冷却装置20から取り出した。上述の手順において、拘束開始温度、拘束終了温度(第2冷却温度)、第2冷却工程での冷却速度、下部拘束部材のテーパ角度および拘束荷重を変化させた環状部材を作製し、サンプルとした。
そして、上述のように作製されたサンプルについて、真円度測定装置を用いて、JIS B7451に規定された最小二乗中心法(LSC)による真円度を測定した。なお、真円度は、その数値が小さいほど真円に近く、真円度が優れていることを表わす。
また、拘束の効果を確認するため、上述の手順のうち、拘束冷却装置による拘束を省略したサンプルも作製し、真円度を測定した。
次に、試験の結果について説明する。表1には、試験の条件および真円度の測定結果が示されている。ここで、実際の量産工程を考慮すると、真円度に関しては、ばらつきが小さいことも重要となる。そのため、測定された真円度の平均値とともに標準偏差も算出され、表1に表示されている。
Figure 2008075148
(1)拘束の有無
まず、稜線部における拘束の有無の影響について説明する。表1を参照して、拘束を実施していないサンプル番号1と、上述のように稜線部における拘束を実施したサンプル番号2〜17とを比較すると、稜線部における拘束を実施したサンプル番号2〜17は、サンプル番号1に比べて真円度の平均値および標準偏差が小さくなっている。このことから、稜線部において環状部材を拘束することにより、真円度を向上させることが可能であることが確認された。
(2)拘束開始温度
次に、拘束開始温度の影響について説明する。図5は、表1のサンプル番号10、11および3のデータに基づき、拘束開始温度と真円度との関係を示した図である。図5において、横軸は拘束開始温度、縦軸は真円度を示しており、丸印は真円度の平均値、バツ印は真円度の標準偏差を示している。
図5を参照して、拘束開始温度が150℃以上では、真円度の平均値は一定となっているのに対し、拘束開始温度が150℃未満では、真円度が2倍以上に悪化している。これは、拘束開始温度が150℃未満では、拘束開始後にマルテンサイトに変態するオーステナイトの割合が少なくなっているため、拘束による真円度の低下の抑制効果が不十分となるためであると考えられる。また、図5を参照して、拘束開始温度を250℃とすると、真円度の平均値には差がないものの、標準偏差が大幅に抑制されており、真円度のばらつきが小さくなっていることが分かる。
以上より、真円度を向上させるためには、拘束開始温度は、150℃以上とすることが好ましく、250℃以上とすることがより好ましいことが確認された。
(3)拘束終了温度(第2冷却温度)
次に、拘束終了温度(第2冷却温度)の影響について説明する。図6は、表1のサンプル番号12〜14および3のデータに基づき、拘束終了温度(第2冷却温度)と真円度との関係を示した図である。図6において、横軸は拘束終了温度(第2冷却温度)、縦軸は真円度を示しており、丸印は真円度の平均値、バツ印は真円度の標準偏差を示している。
図6を参照して、拘束終了温度が100℃以下である場合、真円度の平均値は一定となっているのに対し、拘束終了温度が100℃を超えると、真円度が大幅に悪化している。これは、100℃よりも高い温度で環状部材の拘束が終了した場合、その後の冷却において新たにマルテンサイト変態するオーステナイトの割合が多いため、その後の冷却において真円度の低下が発生したためであると考えられる。また、図6を参照して、拘束終了温度を80℃以下とすると、真円度の平均値には差がないものの、標準偏差が大幅に抑制されており、真円度のばらつきが小さくなっていることが分かる。
以上より、真円度を向上させるためには、拘束終了温度は、100℃以下とすることが好ましく、80℃以下とすることがより好ましいことが確認された。
(4)第2冷却工程での冷却速度
次に、第2冷却工程での冷却速度の影響について説明する。図7は、表1のサンプル番号15〜17および3のデータに基づき、第2冷却工程での冷却速度と真円度との関係を示した図である。図7において、横軸は第2冷却工程での冷却速度、縦軸は真円度を示しており、丸印は真円度の平均値、バツ印は真円度の標準偏差を示している。
図7を参照して、冷却速度が6℃/秒以下である場合、真円度の平均値はほぼ一定となっているのに対し、冷却速度が6℃/秒を超えると、真円度が大幅に悪化している。これは、6℃/秒を超える冷却速度で環状部材が冷却された場合、変態時の変態超塑性における応力と歪との関係の冷却速度依存性が大きくなるためであると考えられる。また、図7を参照して、冷却速度を3℃/秒以下とすると、真円度の平均値には差がないものの、標準偏差が大幅に抑制されており、真円度のばらつきが小さくなっていることが分かる。
以上より、真円度を向上させるためには、第2冷却工程での冷却速度は、6℃/秒以下とすることが好ましく、3℃/秒以下とすることがより好ましいことが確認された。
(5)下部拘束部材のテーパ角度
次に、下部拘束部材のテーパ角度βの影響について説明する。図8は、表1のサンプル番号5〜9および4のデータに基づき、下部拘束部材のテーパ角度と真円度との関係を示した図である。図8において、横軸は下部拘束部材のテーパ角度β、縦軸は真円度を示しており、丸印は真円度の平均値、バツ印は真円度の標準偏差を示している。
図8を参照して、下部拘束部材のテーパ角度βが大きくなると、真円度の平均値がやや大きくなる傾向にあるとも考えられるが、標準偏差がほぼ一定であることも考慮すると、下部拘束部材のテーパ角度βが真円度に及ぼす影響は小さいといえる。また、下部拘束部材のテーパ角度βが0度の場合、すなわち下部拘束部材が平板形状であって環状部材を径方向に拘束していない場合であっても、真円度は低下していない。
以上より、本発明の環状部材の拘束焼入における下部拘束部材のテーパ角度βが、環状部材の真円度に及ぼす影響は小さいことが確認された。
(6)拘束荷重
次に、拘束荷重の影響について説明する。図9は、表1のサンプル番号2〜4のデータに基づき、拘束荷重と真円度との関係を示した図である。図9において、横軸は拘束荷重(図3において荷重伝達部材34に負荷される荷重L)、縦軸は真円度を示しており、丸印は真円度の平均値、バツ印は真円度の標準偏差を示している。
図9を参照して、拘束荷重が20kgf以上である場合、真円度はほぼ一定となっているのに対し、拘束荷重が20kgf未満では、真円度が大幅に悪化している。したがって、上記環状部材の形状においては、拘束荷重は20kgf以上であることが好ましいといえる。
ここで、第1冷却工程での冷却速度が十分であって、表面から内部まで均一に焼入硬化される焼入条件においては、環状部材は表面から内部まで均一に冷却される。そのため、上述の(1)〜(5)において説明した関係は、環状部材の大きさおよび形状に関わらず、成立するものと考えられる。
以下、本発明の実施例2について説明する。倒れ変形に及ぼす拘束部材テーパ角度の影響を調査する試験を行なった。以下、試験方法について説明する。
図1および図3を参照して、実施例1と同様の試験方法において、上部拘束部材テーパ角度αを45°で一定とし、下部拘束部材テーパ角度β(薄肉側稜線部14Bと接触している拘束部材のテーパ角度である薄肉側テーパ角)を0°から45°まで変化させた場合における環状部材の倒れ変形の度合いである倒れ量を測定した。なお、比較のため、上述の試験方法において、拘束部材による拘束を省略したもの(フリー焼入)についても、同様に倒れ量を測定した。ここで、倒れ量は、以下の式(4)により定義される。
(倒れ量)={(厚肉側端面における外径の平均値)−(薄肉側端面における外径の平均値)}/2・・・(4)
次に、試験結果について説明する。図10は、実施例2の試験結果を示す図である。図10においては、各薄肉側テーパ角およびフリー焼入の場合における倒れ量が示されている。
図10を参照して、薄肉側テーパ角が小さくなるにつれて、倒れ量が小さくなる傾向があることが確認される。そして、薄肉側テーパ角が0°の場合、倒れ量はマイナスの値となっており、薄肉側端面における外径の平均値が厚肉側端面における外径の平均値よりも大きくなっていることが分かる。また、薄肉側テーパ角が17°の場合に、倒れ量の絶対値が最も小さくなっている。
ここで、前述のように、本発明の環状部材の拘束焼入方法においては、上部拘束部材テーパ角度αおよび下部拘束部材テーパ角度βと、軸受軌道輪10の厚肉側端面12Aおよび薄肉側端面12Bにおける径方向の厚みaおよびbとは、以下の式(2)の関係を満たすことが理想的である。
(b/a)=(sinβ/sinα)・・・(2)
本実施例においては、a=5.95mm、b=2.4mm、α=45°であるため、式(2)より、β=16.5°が理想的である。これに対し、図10を参照して、本実施例の試験結果によれば、薄肉側テーパ角、すなわち下部拘束部材テーパ角度βが17°の場合に、倒れ量の絶対値が最も小さくなっている。このことから、本発明の環状部材の拘束焼入方法による、倒れ変形の抑制効果が確認された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の環状部材の拘束焼入方法は、鋼からなる環状部材を拘束することにより変形を抑制する環状部材の拘束焼入方法に、特に有利に適用され得る。
本発明の一実施の形態における環状部材の拘束焼入方法により焼入硬化される軸受軌道輪の概略断面図である。 本発明の一実施の形態における環状部材の拘束焼入方法の概略を示す流れ図である。 本発明の一実施の形態における環状部材の拘束焼入方法の拘束工程および第2冷却工程を説明するための概略断面図である。 本発明の一実施の形態における環状部材の製造方法の概略を示す流れ図である。 拘束開始温度と真円度との関係を示した図である。 拘束終了温度(第2冷却温度)と真円度との関係を示した図である。 第2冷却工程での冷却速度と真円度との関係を示した図である。 下部拘束部材のテーパ角度と真円度との関係を示した図である。 拘束荷重と真円度との関係を示した図である。 実施例2の試験結果を示す図である。
符号の説明
10 軸受軌道輪、11 外周面、12A 厚肉側端面、12B 薄肉側端面、13 内周面、14A 厚肉側稜線部、14B 薄肉側稜線部、20 拘束冷却装置、30 拘束部材、31 上部拘束部材、31A 拘束面、31B 底面、32 下部拘束部材、32A 拘束面、32B 底面、33 支持台、33A 支持面、34 荷重伝達部材、34A 平坦面。

Claims (4)

  1. 鋼からなる環状部材がA点以上の温度に加熱される加熱工程と、
    前記加熱工程において加熱された前記環状部材が、A点以上の温度からM点以下の温度である第1冷却温度まで冷却される第1冷却工程と、
    前記第1冷却温度まで冷却された前記環状部材が拘束部材により拘束される拘束工程と、
    前記拘束部材により拘束された前記環状部材が、前記拘束部材による拘束が開始される温度であり、M点以下の温度である拘束開始温度よりも低い温度である第2冷却温度まで、前記拘束部材により拘束されつつ冷却される第2冷却工程とを備え、
    前記拘束工程および前記第2冷却工程においては、
    前記環状部材の外周面および2つの端面において前記環状部材と前記拘束部材とが接触することなく、前記環状部材の前記外周面と前記2つの端面とが交差する部位である2つの稜線部において、前記拘束部材と前記環状部材とが接触し、
    前記環状部材の軸を含む断面において、前記拘束部材に負荷される荷重の方向に垂直な面と、前記拘束部材において前記環状部材と接触する部位における接線とがなす角度である拘束部材テーパ角度と、前記環状部材の前記2つの端面における径方向の厚みとが、以下の式(1)に示す関係を満たすように前記環状部材が拘束される、環状部材の拘束焼入方法。
    0.9×(b/a)≦(sinβ/sinα)≦1.1×(b/a)・・・(1)
    ここで、αおよびβは、それぞれ環状部材の前記2つの端面のうちの一方の端面側および他方の端面側における拘束部材テーパ角度、aおよびbは、それぞれ環状部材の前記2つの端面のうちの前記一方の端面および前記他方の端面における径方向の厚みである。
  2. 前記拘束開始温度は150℃以上である、請求項1に記載の環状部材の拘束焼入方法。
  3. 前記第2冷却温度は100℃以下である、請求項1または2のいずれか1項に記載の環状部材の拘束焼入方法。
  4. 前記第2冷却工程における冷却速度は6℃/秒以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の環状部材の拘束焼入方法。
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