JP2008074617A - エレベーター防災緊急通報システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 建物管理者が必要な作業や業務を遂行しながら、エレベータに閉じ込められた人の状況を把握することができるエレベータ防災緊急通報システムを提供する。
【解決手段】 エレベータかご内に設けられた第1の送受話装置10と、エレベータが設置されている建物管理者の詰所に設けられた第2の送受話装置20とが互いに内部回線40により接続されて、インターホンシステムを形成し、このインターホンシステムと、エレベータの管理者の詰所に設けられた第3の送受話装置30とが互いに公衆回線41で接続され、前記第2の送受話装置20は、送受話器22と、受信機ユニット23と、前記第1の送受話装置10および前記第3の送受話装置30間の交信情報を受信機ユニット23のスピーカ23aで該詰所の全員が傍受することができ、且つ前記送受話器22で傍受する状態と受信機ユニット23で傍受する状態とに切り替える切替手段とを具備する。
【選択図】図1

Description

この発明は、エレベーターのかご内に人が閉じ込められた場合等の防災緊急通報システムに関する。
ホテル、商業施設、集合住宅等に設置されているエレベーターは、故障、停電、地震等のエレベーターの運行に支障をきたす事態が発生した場合、自動的に停止するようになっている。現在のエレベーターの多くは、上記理由によりエレベーターが停止する場合でも、人がエレベーターのかご内に閉じ込められることを回避するため、階の途中では停止せず、最寄りの階で停止するように設計されている。ただし、激しい揺れを感知した場合には、安全のために階の途中であっても即時緊急停止してしまう。また、停電時には、最近では最寄りの階に停止するものが殆どだが、古いタイプの物も含めて、階の途中で停止するものも少なくない。このため、大きな地震の発生時には、エレベーターのかご内に人が閉じ込められるということが起きる。
ところで、エレベーターの管理は、専門の管理者(一般的にはエレベーター管理会社)が全て行うようになっており、当該建物の関係者といえども勝手にエレベーターの操作を行うことができない。したがって、上記のように階の途中でエレベーターが停止し、かご内に閉じ込められた人(以下、「閉込者」という。)がいた場合、エレベーター管理者に何らかの方法で通報し、該管理者の到着を待つか、消防署に緊急通報して救助を依頼するかしなければならない。
閉込者が、外部に通報するためのエレベーター防災緊急通報システムは、エレベーターかご内に設置された第1の送受話装置をインターホンの子機とし、エレベーターが設置されている建物管理者の詰所に設けられた第2の送受話装置をインターホンの親機とし、この他必要に応じてエレベーター機械室(以下「機械室」という。)その他に親機(以下、これら全ての親機を総称して「親機」という。)を設けて、お互いに内部回線で接続されたインターホンシステムと、第3の送受話装置と、これら両者を公衆回線を通じて結ぶための公衆回線用自動通報器(通常は機械室等に設置。以下「制御器」という。)によってなっている。
インターホンシステムの第1の送受話装置、親機及び制御器をお互いに接続する回線(以下「内部回線」と言う。)には、第1の送受話装置から発せられる非常呼ボタンを押して流れる呼出信号、エレベーターのかご内の会話や独白の音声信号、親機から流れる呼び出し信号や通話信号、制御器から流れる第3の送受話装置呼び出しのための呼び出し信号、第3の送受話装置から制御器を通じて流れる第3の送受話装置からの呼び出し信号や通話信号など、色々な情報(以下「交信情報等」という。)の電流が流れている。
エレベーターのかご内の第1の送受話装置は、かご内の人が声を出せば、そのまま交信情報等として内部回線を流れるようになっている。親機のどれかの送受話器を取れば、かご内の声を何時でも聞くことができる。
閉込者の緊急通報用として、エレベーターのかご内の第1の送受話装置には非常呼ボタンが設けられている。この非常呼ボタンを押すと、直ちにこのエレベーターが設置されている建物管理者の詰所(事務室、保安室、管理人室等)に設けられた第2の送受話装置など、インターホンシステムの親機にその非常呼ボタンを押している期間、呼出信号が流れ、親機のどれかの送受話器を取れば、直ちに閉込者と通話できるようになっている。押している非常呼ボタンを一定時間(例えば約3秒)(以下、「待機時間」という。)以上押し続けると、制御器を起動して電話の呼出信号を発信し、公衆回線を通じてエレベーター管理者の詰所(エレベーターの管理会社)の電話機に繋がるようになっている。一旦呼出信号を発信すると、それ以降は、非常呼ボタンから手を離しても制御器の電話呼出機能は生きたままの状態に保たれるが、親機への呼び出し信号は停止する。
このため、建物管理者またはエレベーター管理者のいずれかが送受話器を取ることとなる。前記待機時間が終わるまでに、建物管理者が親機のどれかの送受話器を取った場合、前記の通り、制御器の電話のための待機機能は停止し、以後エレベーター管理会社の電話に繋がらなくなるため、建物管理者は、エレベーターの閉込者から状況を聴き、その後、エレベーター管理者に別の電話器で電話をして、閉込者から聴き出した内容を伝えるか、閉込者に待機時間以上の期間を非常呼出ボタンを押し直してもらうことになる。エレベーター管理者が建物管理者より先に電話を取った場合、閉込者とエレベーター管理者との間で通話が行われるが、その通話内容は建物管理者には不明である。閉込者とエレベーター管理者とが通話中に建物管理者が親機のどれかの送受話器を取ると、閉込者、エレベーター管理者、および建物管理者の3者間で相互に通話が可能となる。
複数台のエレベーターを置く場合は、殆どの場合、建物管理者の詰所に親機1台を設置(この1台が、第2の送受話装置)しているだけで、それ以外のエレベーターの運行状況等を表すものは置いていないのが普通である。エレベーターとの通話は、この親機の本体または送受話器に設けられたその複数のエレベーター番号を記したプッシュボタンを押すことによって通話する。したがって、呼出があった場合、送受話器を取った上で、番号を順番に押していって、呼び出しているエレベーターを探すことになる。停電他、何らかの事情で、エレベーターかご内の電灯が消えれば、閉込者は呼び出してこない可能性もある。当然、建物管理者の詰所ではエレベーターの運行状態も、エレベーター内に人が乗っているかどうかということも分らない。
なお、上記現行の通報システムのように、エレベーターのかご内と外部とが通話できるだけでなく、エレベーター監視センターがエレベーターのかご内を撮影した画像データを外部に送信することができ、エレベーターのかご内の状況をより正確に把握できるようにした監視システムも提案されている(例えば特許文献1)。
特開2005−162435号公報
上記従来のエレベーター防災緊急通報システムには、以下のような問題があった。すなわち、エレベーターが階の途中で停止するということは、地震、地震による建物倒壊の危険、停電、電話錯綜、ガス漏れ又は火災の危険等の重大な事態が発生している場合が多く、しかも建物管理要員は少人数であることが多い。その場合、建物管理者は、地震による事務室内の混乱の整理、建物の被害確認、情報収集、ビル内放送、建物内の人の安全な場所への誘導、火災が発生すればその初期対応、本社や各種機関への連絡等、しなければならないこと(以下、「初動活動」という。)が非常に多い。このため、閉込者から非常呼ボタンによる緊急通報の呼び出しがあっても、建物管理者がすぐには第2の送受話器を取ることができるとは限らない。したがって、地震による電話錯綜で電話が繋がるのが遅れるとしても、エレベーター管理者が先に電話を取ることが多くなる。この場合、建物管理者には閉込者とエレベーター管理者との通話内容が分からないので、閉込者への対応が遅れたり、場合によってはインターホンの呼出音がボタンから手を離したら聞こえなくなるため、余りの忙しさに閉込者の存在自体を忘れてしまうことすら生じてしまう。
待機時間より先に建物管理者が第2の送受話器を取った場合には、前述のように、建物管理者が閉込者から状況を聴いた後、エレベーター管理者に連絡して、閉込者から聴いた内容を伝えることとなり、2度手間となる。また第2の送受話装置に閉込者からの呼出があって相当な時間が経ち、エレベーター管理会社の電話に繋がっただろうと思い、第2の送受話器を取った場合、未だ繋がっていなければ、閉込者は、不安と苛立ちから長い通話になってしまう可能性が高い。また、閉込者とエレベーター管理者との通話中に建物管理者が電話を取れば、建物管理者も通話の内容を聴くことができるが、その間、建物管理者の時間を取ることに変わりがない。いずれの場合も建物管理者の初動期の大事な時間を取ることになり、地震等の緊急時にこれらのために時間をかけていると、初動活動が遅れてしまい、被害を大きくする可能性が高い。また、閉込者から呼び出しが続いても、建物管理者には閉込者の救出ができないので、以上の事情を考慮すると、第2の送受話器を取ることすら控えるようになり、エレベーター内部で緊急事態が起こっていても、第2の送受話器を取らない限りそのことが詰所には伝わらないので放置される場合すら起こる可能性がある。
また、特許文献1では、エレベーター管理者がエレベーターかご内の状況を速やかに把握できるが、建物管理者にはエレベーターかご内の状況が伝わらず、建物管理者が現場における速やかな対処を取ることができなかった。
さらに、エレベーター管理者(監視センター)内で、エレベーターからの音声を把握することができるのは通話者のみであり、エレベーター管理者(監視センター)内の全員がその音声を把握することはできなかった。
本発明は、上記従来の問題を解決して、建物管理者が必要な作業や業務を遂行しながら、閉込者の状況を把握することができるエレベーター防災緊急通報システムを提供することを課題としている。
本発明にかかるエレベーター防災緊急通報システムの内部回線を流れる交信情報等を受信機ユニットの音声部に送ることを特徴としている。この構成によれば、内部回線を流れる交信情報を第2の送受話器で傍受するだけでなく、該送受話器を取ることなく、建物管理者の詰所にいる全員が受信機ユニットのスピーカや、イヤホンで傍受できるため、地震、火災発生直後の緊迫した初動期に、建物管理者は、地震による事務室内の混乱の整理、建物の被害確認、情報収集、ビル内放送、建物内の人の安全な場所への誘導、本社や各種機関への連絡等の緊急事項の処理をしながら、第2の送受話器を取ることなく、N/S比のよい音声信号増幅回路と高出力のスピーカから聞こえるエレベーターかご内の微小な音で閉込者の有無が確かめられ、また、スピーカから流れる閉込者の独白、閉込者と第3の送受話装置間との通話内容を聞くことができる。特に必要な場合は、第2の送受話器を取って、閉込者やエレベーター管理者と通話することもできる。
本発明にかかるエレベーター防災緊急通報システムの内部回線上を流れる交信情報等の信号を前記第2の送受話装置の送受話器で傍受する状態と、前記受信機ユニットのスピーカで傍受する状態とに切り替える切替手段とを具備することを特徴としている。
この発明において、前記切替手段は、親機本体に設けてあるフックスイッチと連動する連動スイッチを設けて、前記送受話器が非通話状態では、交信情報等を前記受信機ユニットで傍受し、前記送受話器が通話状態では、同交信情報等を前記受信機ユニットで傍受しないように切り替えるのが良い。この構成とすると、人が親機本体の送受話器を取る動作および戻す動作に連動して、同交信情報等を受信機ユニットで傍受する状態と送受話器で傍受する状態とに自動的に切り替わるため、余分な動作が不要であり、前記切替を円滑に行える。
また、この発明において、交信情報等を前記送受話器で傍受しているときに、同交信情報等を前記受信機ユニットでも傍受できるように手動で切り替える受信機可聴スイッチを設けるのが好ましい。受信機可聴スイッチが設けられていると、特に重要な話の内容の場合には一人が送受話器で通話しているときに、その人の判断で手動で切り換えて他の人がその通話内容を受信機ユニットで聴くこともできる。受信機可聴スイッチは、親機本体に設けても親器の送受話器に設けてもよい。
さらに、この発明において、前記送受話器に送話信号が入力されない状態、又は、送話信号が一定レベル以下になると、この送受話器を非通話状態にする送話信号スイッチを設けるのが好ましい。送話信号スイッチが設けられていると、第2の送受話装置の送受話器を非通話状態にしたつもりが正しく操作されずに通話状態になっている場合や、何らかの事情で非通話状態から通話状態に変わってしまった場合に、建物管理者の詰所内の会話が閉込者に聴こえるのを防ぐことができる。これにより、閉込者に無用な不安や苛立ちを与えることが避けられる。
さらに、この発明において、内部回線内を流れる信号の有無を前記建物管理者の詰所に居る人が視覚的に認識できるように表示する表示手段、交信情報表示器を設けるのが好ましい。表示手段があると、受信機ユニットから音声が騒音等により聴こえない場合でも、交信情報等の有無を確認できる。
さらに、この発明において、エレベーターに人が乗っているかどうかを、前記建物管理者の詰所にいる人が視覚的に認識できる表示手段、乗客感知表示器を前記受信機ユニットに設けることが好ましい。乗客感知表示器が設けられていると、地震や停電があった場合、エレベーター内に閉込者がいるかどうかを建物管理者の詰所で直ちに視覚的に確認でき、迅速で、的確な対応が可能となる。
特に、エレベーターが、複数台あるときに親器に呼び出しがあった場合、どのエレベーターからの呼出があったか分らないが、この乗客感知表示器があれば、閉込者のいるエレベーターが特定できる。
さらに、この発明において、エレベーターの運行状況を視覚的に確認できる表示手段であるエレベーター運行表示器を前記受信機ユニットに設けることが好ましい。エレベーター運行表示器があると、地震等でエレベーターが階の途中で停止した場合、停止階、途中停止等の運行状況等を建物管理者の詰所で居ながらにして視覚的に確認でき、前記乗客感知表示器で閉込者の有無が確認できることと併せれば的確な対応が可能となる。特に、火災が同時発生した場合は前記乗客感知表示器と併せて、火災階以上にエレベーターが停止しているか、閉込者がいるかを視覚的に確認でき、正しい情報のもとに緊急対応できる。
また、エレベーターが複数台あり、親機に呼び出しがあれば、どのエレベーターからか分らないが、このエレベーター運行表示器と、前記の乗客感知表示器と併せれば、閉込者のいるエレベーターや呼出音を発信するエレベーターを特定できる。また、逆に第2の送受話装置の送受話器から第1の送受話装置を呼び出す必要があれば、閉込者のいるエレベーターを探すためにプッシュボタンのエレベーター番号を色々押してみることなく、1度で正しく呼び出すことができる。
さらに、この発明において、前記受信機ユニットに設ける前記エレベーター運行表示器を、受像機に替えることも一法である。この場合、受像機の内または外に文字等信号変換合成器を設け、エレベーターの停止、移動、移動階等の前記運行状態の信号電流を、文字、矢印、点滅その他の受像機用の文字等画像信号に変換し、併せて、エレベーターかご内に、エレベーターかご内を撮影するためのビデオカメラを設け、このビデオ画像信号と該文字等画像信号を合成してエレベーターかご内の画像を併せて表示すれば、閉込者の有無、閉込者の状況などエレベーターかご内の状況も併せて視覚的に確認できるので、状況に応じて迅速且つ的確な対応が可能となる。この方法を取る場合は、前記乗客感知表示器23hと人感知センサー12はなくてもよい。また、該受信機ユニットと、該受像機とを一体化して、省スペース化することも一法である。
さらに、この発明において、エレベーター毎に前記受信機ユニットを1台設けるが、エレベーターの台数が多い場合は、建物管理者の詰所に多くのスペースが必要となるのを避けるために、複数台の交信情報等を1台の前記受信機ユニットに纏める。この場合各エレベーターから入る交信情報等が、他のエレベーターに流れないための混信防止回路を、受信機ユニットの回路、または親機に設ける。
複数台の交信情報等を1台の前記受信機ユニットに纏める場合、交信情報表示器、乗客感知表示器、エレベーター運行表示器は、全てのエレベーター毎に設けて表示器の数が増えるので、これらを前記受信機ユニットに設けず、パネルなどの表示設備に整然と配置する。従って前記建物管理者の詰所に居る人が判断を誤ることがない。
本発明にかかるエレベーターの緊急通報システムは、交信情報等を、エレベーターが設置されている建物管理者の詰所に設けられた第2の送受話器および受信機ユニットのいずれか、または両方で傍受できるため、建物管理者が、第2の送受話器を取って閉込者とエレベーター管理者との通話に加わり、又はかご内の話し声などの状況に応じて、閉込者と話すか、あるいは第2の送受話器を取ることなく上記通話内容を受信機ユニットで聴くだけにするかを、状況に応じて選択でき、緊急時の必要な作業や業務を行いながら、時機に即した対応ができ、交信情報表示器や、受像機により交信情報等の有無が視認できるため、消防自動車などのけたたましい騒音などで音声がさえぎられる場合でも、詰所でこれを視覚的に確認でき、閉込者の有無やエレベーターの運行状況なども視認できるので、労少なく、且つ地震等災害直後の初動期の困難な初動活動に大きな影響を与えることなく、閉込者の正確な情報をつかむことができ、閉込者に対して的確な対応が可能となる。
エレベーターが複数台ある場合は、前記の他に複数台の交信情報等を1台の前記受信機ユニットに纏めるので設置スペースを小さくでき、この複数台の交信情報等を1台の前記受信機ユニットに纏めることによって生じる、各エレベーターから入る交信情報等が、他のエレベーターに流れないための混信防止回路を、受信機ユニットの回路、または親機に設けるので、エレベーター毎の内部回線に、他のエレベーターからの交信情報等が混入することもない。交信情報表示器、乗客感知表示器、エレベーター運行表示器等は表示器パネルにエレベーターごとに整然と配備するので、前記建物管理者の詰所に居る人が判断を誤ることがない。
図1、図2及び図3は本発明にかかるエレベーター防災緊急通報システムの構成を示すブロック図である。
先ず図1について、このエレベーター防災緊急通報システムは、エレベーターのかご1内に設けられた第1の送受話装置10(子機)と、エレベーターが設置されている建物管理者の詰所2に設けられた第2の送受話装置20(親機)と、機械室に設けられた親機13と、エレベーターの管理者の詰所3に設けられた第3の送受話装置30から公衆回線41を介して結ばれた制御器31とを、内部回線40により互いに接続してなる。ここで、建物管理者とは、建物がホテルであればホテルスタッフであり、建物が商業施設であれば保安担当者であり、建物が集合住宅であれば管理人である。また、エレベーターの管理者とは、一般的にはエレベーター管理会社またはその管理会社の社員である。
第1の送受話装置10は、図示しないスピーカやマイクおよび非常呼ボタン11を備える。非常呼ボタン11を押すと、直ちに内部回線40を通じて第2の送受話装置20および機械室などのインターホン親機13に呼出信号が送られ、どの親機からも対応できる。該非常呼ボタン11を待機時間以上押し続けると、制御器31の働きにより、公衆回線41を通じて第3の送受話装置30と繋がるようになっている。第1の送受話装置が常にONの状態となっていて、どの親機からでも送受話器22を取れば、会話など、かご内の様子を聞くことが出来る。
第2の送受話装置20は、切替手段をもつ詰所の親機本体21と、該親機本体21に接続された送受話器22および受信機ユニット23とを備える。該親機本体21には、該送受話器22のフックスイッチ(図示せず)に連動する連動スイッチ21aが設けられている。フックスイッチは、該親機本体21に該送受話器22を掛けているときは該送受話器22を非通話状態にし、該親機本体21から該送受話器22を取り上げると該送受話器22を通話状態にするスイッチである。該送受話器22が非通話状態であるときは、この連動スイッチ21aは閉じて受信機ユニット回線42から該受信機ユニット23に流れ、該送受話器22が通話状態であるときは、この連動スイッチ21aは開いて受信機ユニット回線42から該受信機ユニット23に交信情報が流れない
前記親機本体21には、前記連動スイッチ21aと平行に手動操作式の受信機可聴スイッチ24が設けられ、該受信機可聴スイッチ24を手動で、開、閉できるようになっている。該受信機可聴スイッチ24が開いた状態では、該連動スイッチ21aによる前記送受話器22と前記受信機ユニット23との切替が機能するが、該受信機可聴スイッチ24を閉じると、該連動スイッチ21aの状態に関係なく、常に内部回線40を流れる交信情報等が該受信機ユニット23に流れる状態になる。該受信機可聴スイッチ24は、本図のように前記親機本体21に設けてもよく、前記送受話器22に設けてもよい。
前記送受話器22の内部には、送話信号が入力されない状態になると、該送受話器22を非通話状態にする送話信号スイッチ22aが設けられている。この送話信号スイッチ22aは、手動で通話状態と非通話状態とを切り替えるものであっても、あるいは、送話信号が一定以上小さければ自動で切り替えるものであってもよい。また、自動で切り替えるものとした場合、該送受話器22を手で持っているときは通話状態となり、手から離すと非通話状態となるようにしてもよく、あるいは送話信号が入力されない状態が所定時間以上継続されると、通話状態から非通話状態に切り替わるようにしてもよい。
前記受信機ユニット23は音声部と表示部に別れ、該音声部は、受信機としてのスピーカ23aと、外部受信機であるイヤホン25を接続するためのイヤホンジャック23bと、スピーカ・イヤホン切替スイッチ23cと、スピーカ音量調整装置23dと、イヤホン音量調節装置23eとを備えている。該受信機ユニット23には 又は前記受信機可聴スイッチ24を経由して受信機ユニット回線42を介して交信情報等が入り、その信号電流を増幅器(図示せず)で増幅して、該スピーカ23aまたは該イヤホン25に供給する。
また、前記受信機ユニット23の前記表示部には、表示手段である交信情報表示器23f、乗客感知表示器23h及びエレベーター運行表示器23kが設けられている。該交信情報表示器23fは、内部回線40を通る信号電流を交信情報感知リレー23gが感知すると、該交信情報表示器23fに電流が流れて信号電流の量に応じて表示器が明滅するようになっている。該交信情報表示器23fは、ランプ、液晶またはその他のものであってもよい。
前記乗客感知表示器23hは、エレベーター内に設けられた人感知センサー12の信号電流を、人感知センサー回線50で前記受信機ユニット23内の人感知センサーリレー23jに結び、このリレー23jが該人感知センサー12からの信号電流を感知すると、前記乗客感知表示器23hに電流を流して、エレベーターかご内に人がいることを、視覚的に表示できるようになっている。表示器は、ランプ、液晶またはその他のものであってもよい。
エレベーター運行表示器23kは、エレベーター運行階数を表示する装置や、運行・停止を示す表示装置(エレベーターかご内やエレベーター乗降口上部などに表示されたもの)の信号電流をエレベーター運行回線51で運び、これをそのまま、または加工して、エレベーター運行表示器23kに流し、エレベーターの運行状況を、視覚的に表示し、詰所でこれを視覚的に確認できるようになっている。表示器や回線はエレベーターの機種によって、運行階数の表示装置や、運行・停止を示す表示装置が異なり、表示機も、1つでよいか複数必要かが異り、前記加工も異なるので、エレベーターの種類に合せた回路を設ける。表示器はランプ、液晶またはその他のものであってもよい。
図2において、前記エレベーター運行表示器23kに替えて受像機23mとする場合は、エレベーターの停止、移動、移動階等運行状態を、文字、矢印、点滅その他で画像表示すると共に、エレベーターかご内の画像を併せて映像表示する。この場合、受像機の内または外に文字等信号変換合成器23lを設け、エレベーターから出てくるエレベーターの停止、移動、移動階その他の運行状態の信号電流を、受像機用の文字等画像信号に変換し、併せて、エレベーターかご内に設けたビデオカメラのビデオ画像信号と該文字等画像信号を合成して、合成映像信号をつくり、該合成映像信号を受像機内部の映像信号増幅回路に送ることにより、該受像機に該映像表示を得る。この場合は、前記乗客感知表示器23hと人感知センサー12はなくてもよい。なお、受信機ユニット23と受像機23mとを、省スペース化のために一体化することも一法である。
第3の送受話装置30は、内部回線40に繋がる公衆回線のための制御器31と公衆回線41を介して繋がっている。制御器31は、前記非常呼ボタン11を押したときに生じる呼出信号を一定の待機時間(3秒程度)以上感知すると、第3の送受話装置30に対して発呼信号(呼出音の信号)および選択信号(エレベーター管理会社の電話番号を指定する信号)を繋がるまで送り続け、第3の送受話装置30に繋がった後は、第1の送受話装置10または第2の送受話装置20、または親機からの音声信号を送話信号として第3の送受話装置30に送り、第3の送受話装置30からの音声信号を受話信号として受ける電話機としての役割を果たすものである。非常呼ボタン11の呼出信号を感知してから発呼信号および選択信号を出力するまでの時間は固定したものと調節可能なものがある。
この実施形態のエレベーター防災緊急通報システムは、第1の送受話装置10および第3の送受話装置間30の交信情報を、第2の前記送受話器22を取ることなく前記受信機ユニット23のスピーカ23aで傍受することができるため、建物管理者は、閉込者とエレベーター管理者との通話に加わって情報の収集および提供をするか、あるいは他の作業や業務を行いながら、閉込者とエレベーター管理者との通話内容を該受信機ユニット23で聴いて情報を収集するかを、状況に応じて選択することができる。
例えば、ホテルにおいて地震・ビル火災が同時に発生した場合であれば、建物管理者が先ず優先的にしなければならないことは、地震で混乱した室内の応急整理、館内被害状況の緊急調査、消防署緊急通報、本社・関係機関等への連絡や報告、館内緊急放送および客の避難誘導等である。これらの作業中に、閉込者からの通報により第2の送受話装置20の呼出音が鳴ったとしても、繁忙のため前記送受話器22を取ることができない場合が多い。しかし、そのまま放置しておけば、やがてエレベーター管理会社に電話が繋がり、閉込者とエレベーター管理会社との通話内容を前記受信機ユニット23のスピーカ23aまたはイヤホン25で聴けるので、閉込者の状況を把握することができる。必要があれば、建物管理者も前記送受話器22を取って通話に入ることができる。但し、火災階以上にエレベーターが停止し、閉込者がいる場合は、第2の送受話装置の呼出音が鳴れば、直ちに出て状況を聞き、消防署に緊急救助を依頼することになる。また、館内緊急放送で、スピーカ23aから聞こえる音を止めたいときは、イヤホン25に切り替えて館内緊急放送を行なうことができる。
親機本体21に設置している前記送受話器22のためのフックスイッチに連動する連動スイッチ21aにより、人が該送受話器22を取る動作および戻す動作に連動して、第1の送受話装置10および第3の送受話装置30間の交信情報を該送受話器22で傍受する状態と前記受信機ユニット23で傍受する状態との切り替わるため、この切替に余分な動作は不要であり、切替が円滑に行える。
また、第1の送受話装置10および第3の送受話装置30間の交信情報を前記送受話器22で傍受しているときに、同交信情報を前記受信機ユニット23でも傍受できるようにする受信機可聴スイッチ24が設けられているため、一人が該送受話器22で通話している際に、その通話の内容が重要な場合にはその人の判断で該受信機可聴スイッチ24を切り替えて、他の人がその通話内容を該受信機ユニット23で聴くことができ、詰所にいる全ての建物管理者が正確な情報を得ることができる。
さらに、交信情報表示器23fが設けられているため、消防車が到着したときなどの激しい騒音等のために、前記受信機ユニット23からの音声が聴こえない場合でも、内部回線を流れる交信情報等を交信情報表示器23fで表示しているため、該受信機ユニット23で傍受している状態であることを視覚的に認識できる。
さらに、乗客感知表示器23hが設けられているため、地震や停電があった場合に、エレベーター昇降口に行って確かめなくても、または、第2の送受話装置20から第1の送受話装置10を呼び出して確認しなくても、エレベーター内に人がいるかどうかということを建物管理者の詰所で直ちに視覚的に確認でき、迅速で、的確な対応ができる。乗客感知表示器23hが設けられていなければ、第2の送受話装置20から第1の送受話装置10を呼び出して閉込者の有無を確認することになるが、呼び出された閉込者は、不安と苛立ちで長い通話時間が取られやすく、優先すべきビル内の人の避難その他の初動活動に支障をきたすことになる。
また、エレベーターが複数台あるときは、第1の送受話装置10から第2の送受話装置20に呼び出しがあった場合、乗客感知表示器23hがあれば、呼出音を発信するエレベーターを特定できる。
さらに、エレベーター運行表示器23kがあるために、地震等でエレベーターが階の途中で停止した場合に、エレベーター昇降口に行って確かめなくても、エレベーターの停止階、途中階停止かどうかの停止状況を建物管理者の詰所2で直ちに視覚的に確認できる。特に火災が同時に発生した場合には、前記の乗客感知表示器23hで、閉込者の有無が確認できることと併せれば、火災階以上にエレベーターが停止しているかどうか、火災階以上に乗客が居るかどうかを詰所にいながら即座に確認できるので。救助のための緊急消防署通報など、迅速で的確な対応が可能となる。
前記エレベーター運行表示器23kに替えて受像機23mとする場合は、エレベーターの停止、移動、移動階等運行状態と共に、エレベーターかご内の映像が見えるので、大地震後の初動期の緊急事態下であっても、受信機ユニット23から流れるエレベーターかご内の独白や、第三の送受話装置との通話状況に応じて、受像機を見れば、直ちに視覚的にも状況を正確に把握できる。特に大地震に火災が併発した場合は、火災階以上の乗客の消息を詰所にいながら即座に把握できるので、救助のための緊急消防署通報など、迅速で的確な対応が可能となる。なお、受信機ユニット23と受像機23mとを、省スペース化のために一体化することも一法である。
さらに、前記送受話器22での通話が終わり、送受話器に微小な通話信号が流れる状態又は全く流れない状態になると、この該送受話器22を非通話状態にする送話信号スイッチ22aが設けられているため、該送受話器22を非通話状態にしたつもりが正しく操作されずに通話状態になっている場合や、何らかの事情で非通話状態から通話状態に変わってしまった場合に、建物管理者の詰所2内の会話が閉込者に聴こえるのを防ぐことができる。これにより、閉込者に無用な不安や苛立ちを与えることが避けることができる。
この実施形態では、受信機としてスピーカ23aおよびイヤホン25が設けられているので、スピーカ23aにより複数の建物管理者が通話内容を聴くようにすることもでき、あるいはイヤホン25により騒音の中でも正確に通話内容を聴くようにすることもできる。
図3(EV複数代の場合)について
エレベーターが複数台の場合は、1台の前記受信機ユニットに纏めるので、建物管理者の詰所2のスペースを少なくすることができ、この複数台の交信情報等を1台の前記受信機ユニットに纏めることによって生じる、各エレベーターから入る交信情報等が、他のエレベーターに流れないための混信防止回路21cを、受信機ユニット23の回路、または親器に設けるので、エレベーター毎の内部回線に、他のエレベーターからの交信情報等が混入することもない。
さらに、エレベーターが複数台の場合は、表示器パネル32に、エレベーター毎に、交信情報表示器23f、乗客感知表示器23h、エレベーター運行表示器23kに整然と配備するので、前記建物管理者の詰所2に居る人が判断を誤ることがない。
上記実施例では、受信機ユニット23で受信する音声及び受像機23mで受信する映像を記録することはできなかったが、受信機ユニット23には録音機23nを、受像機23mには録画機23oを設けることによって、事態収拾後における被害状況や救出処置の検証等のために、音声及び映像を記録することが望ましい。
上記実施形態では、ホテルにおいて地震・ビル火災が同時に発生した場合を例にとって説明したが、この発明は、集合住宅でも、百貨店その他の小売施設でも、およそ多数の人が出入りするビルのエレベーターに適用し、建物管理者の詰所に設けるものである。
本発明にかかるエレベーター防災緊急通報システムの構成を示すブロック図である。 本発明にかかるエレベーター運行表示器に替えて受像機を用いる場合のエレベーター防災緊急通報システムの構成を示すブロック図である。 本発明にかかるエレベータが複数台の場合のエレベータ防災緊急通報システムの構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 エレベーターのかご
2 建物管理者の詰所
3 エレベーターの管理者の詰所
10 第1の送受話装置
11 非常呼ボタン
12a ビデオカメラ
13 親機
20 第2の送受話装置
21 親機本体
21a 連動スイッチ
22 送受話器
22a 送話信号スイッチ
23 受信機ユニット
23a スピーカ(受信機)
23b イヤホンジャック
23c スピーカ、イヤホン切り換えスイッチ
23d スピーカ音量調節器
23e イヤホン音量調節器
23f 交信情報表示器
23g 交信情報感知リレー
23h 乗客感知表示器
23j 人感知センサーリレー
23k エレベーター運行表示器
23l 文字等信号変換合成器
23m 受像機
23n 録音機
23o 録画機
24 受信機可聴スイッチ
25 イヤホン(受信機)
30 第3の送受話装置
31 制御器
40 内部回線
41 公衆回線
42 受信機ユニット回線
50 人感知センサー回線
51 エレベーター運行回線

Claims (8)

  1. エレベーターのかご内に設けられた第1の送受話装置と、エレベーターが設置されている建物管理者の詰所に設けられた第2の送受話装置とが互いに内部回線により接続されて、インターホンシステムを形成し、このインターホンシステムと、エレベーターの管理者の詰所に設けられた第3の送受話装置とが互いに公衆回線で接続され、前記第2の送受話装置は、送受話器と、受信機ユニットと、前記第1の送受話装置および前記第3の送受話装置間の交信情報を受信機ユニットのスピーカで該詰所の全員が傍受することができ、且つ前記送受話器で傍受する状態と受信機ユニットで傍受する状態とに切り替える切替手段とを具備することを特徴とするエレベーター防災緊急通報システム。
  2. 前記切替手段は、前記送受話器が非通話状態である場合には、同交信情報を前記受信機ユニットで傍受し、前記送受話器が通話状態である場合には、前記第1の送受話装置および前記第3の送受話装置間の交信情報を前記送受話器で傍受するように切り替えるものである請求項1に記載のエレベーター防災緊急通報システム。
  3. 前記第1の送受話装置および前記第3の送受話装置間の交信情報を前記送受話器で傍受しているときに、同交信情報を前記受信機ユニットでも傍受できるようにする受信機可聴スイッチが設けられた請求項2に記載のエレベーター防災緊急通報システム。
  4. 前記第1の送受話装置に流れるかご中の会話および前記第3の送受話装置間との交信信号を前記受信機ユニットで傍受している状態であること、エレベーターの乗客の有無及びエレベーターの停止、移動、移動階等の運行状態を、前記建物管理者の詰所に居る人が視覚的に認識できるようにエレベーター毎に表示する表示手段が設けられた請求項2又は3に記載のエレベーター防災緊急通報システム。
  5. エレベーターの停止、移動、移動階等の前記運行状態を、前記建物管理者の詰所に居る人が視覚的に認識できるようにエレベーター毎に表示する前記表示手段を受像機に替え、該受像機の内または外に、文字等信号変換合成器を設け、該文字等信号変換合成器に前記エレベーター運行状態を受像機に文字等で画像表示できるように変換する文字信号等変換回路と、エレベーターかご内に、かご内を撮影するために設けたビデオカメラから出るビデオ画像信号を該文字信号等変換回路から出てくる文字等映像信号と合成する合成回路とを設け、該受像機で、エレベーターの運行状態とエレベーターかご内の映像を同時に見ることができる該受像機が設けられた請求項2又は3に記載のエレベーター防災緊急通報システム。
  6. 前記送受話器に送話信号が入力されない状態、又は信号が一定レベル以下になると、前記送受話器を非通話状態にする送話信号スイッチが設けられた請求項2乃至4のいずれかに記載のエレベーター防災緊急通報システム。
  7. 前記受信機ユニットは、エレベーター毎に1台設けるのが普通であるが,これをエレベーター複数台の同交信情報を受信機ユニット1台にまとめることを特徴とするエレベーター防災緊急通報システム。
  8. 同交信情報を前記受信機ユニットで傍受している状態であること、エレベーターの乗客の有無及びエレベーターの停止、移動、運行階数等の運行状態を、前記建物管理者の詰所に居る人が視覚的に認識できるようにエレベーター毎に表示する表示手段を前記受信ユニットに設けるが、エレベーターが複数台の場合に、エレベーター複数台の同交信情報を受信機ユニット1台にまとめると、これらの表示手段を詰所に居る人が見難くなるのを避けるために、パネルなどに整然と配備する表示設備が設けられた、請求項2、3又は4に記載のエレベーター防災緊急通報システム。
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