JP2008074097A - 熱遮蔽性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】
可視光線の透過率が高く、近赤外線の透過率の低い再剥離性を有する熱遮蔽性シートを提供すること。
【解決手段】
少なくとも粘着層と、基材フィルムと、熱遮蔽層と、表面層とからなる熱遮蔽性シートであって、基材フィルムは、合成樹脂からなり、熱遮蔽性シートとしての強度を保有させるものであり、粘着層は基材フィルムの一方の面に形成され、ガラスに対する接着強度が180度ピール力で0.01〜1.0N/25mmであり、熱遮蔽層は、基材フィルムのもう一方の面に形成され、バインダー樹脂と酸化タングステン微粒子を有する層であり、表面層は、熱遮蔽層が形成された側の最外層として積層され、鉛筆硬度が3H以上であることを特徴とする熱遮蔽性シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、建築物や車両の窓(特に内側)に貼るシートであり、特に夏場の太陽光の侵入による室内の温度上昇を抑制するのに用いる熱遮蔽性シートに関する。
従来から、各種建築物や車両の窓などの開口部は、太陽光線のうち可視光線と呼ばれる380〜780nmの波長領域の光線を取り入れるために、透明なガラス板や樹脂板で構成されている。しかし、太陽光線には可視光線の他に紫外線や赤外線が含まれている。赤外線のうち、780〜2100nmの波長領域の近赤外線は物体に当たると光エネルギーが熱エネルギーに変わって物体の温度を上昇させる為、開口部分から進入することで室内の温度を上昇させる原因となる。
そこで近年では、可視光線を透過して明るさを維持しつつ、近赤外線を吸収または反射して室内の温度上昇を抑制する手段として、建築物や車両等の窓に近赤外線を吸収または反射する熱遮蔽性シートを貼付する方法が検討されている。
近赤外線を吸収または反射する熱遮蔽性シートとしては、特許文献1に記載されているように透明樹脂フィルムに、Au、Ag、Al等の金属或いは金属酸化物を蒸着させたものが知られている。しかしながら、これら金属或いは金属酸化物は高い熱伝導性を有する物質であるため、自由電子密度が大きく、可視光線領域においてプラズマ振動数が高い。その結果、可視光線の透過を抑制し、室内の明るさを確保するのが難しくなる問題があった。
そこで、上記問題を解決するために、例えば物理蒸着法を用いて数十nmレベルの極めて薄い膜を透明樹脂フィルム上に作製することが検討されたが、この薄膜を作製する場合、大掛かりな装置や真空設備を必要とし、連続生産性に問題があった。さらに、これら金属或いは金属酸化物からなる熱遮蔽性シートは導電性が高いため、携帯電話等の通信システム、TV、ラジオ等の電波を反射してしまい、そういった電波受信を不能にする問題があった。その上、反射した該電波が周囲の電波障害を起こす原因の一つであった。
そこで、上記問題を解決するために、特許文献2に記載されているような適度な導電性を持ち、かつプラズマ振動数が近赤外線領域にある熱遮蔽材として、例えば、アンチモン含有酸化錫(ATO)、錫含有酸化インジウム(ITO)、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)等が採用されるようになった。これら材料は、可視光線の透過率が高く、しかも近赤外線の透過率が低いものである。しかしながら、単位質量当たりの日射遮蔽力が弱く、所望の遮蔽効果を出現させるためには、膜の中にATOやITO、或いはAZO等の材料を大量に添加する必要があり、非常に高価なものになっていた。さらに、これら材料を用いて膜を作製するにあたり、乾式の物理蒸着法を用いた場合には膜の導電性が上がり、電波を反射してしまう問題があった。
そこで、上記問題を解決するため、最近では特許文献3に記載されているように、ATOやITOよりも可視光線に近い近赤外線を遮蔽できる材料として酸化タングステンが採用されている。特許文献3には、酸化タングステンをバインダー樹脂と溶媒中に混合した溶液を、透明な基材フィルムに塗布し、日射遮蔽体を形成することが記載されている。
しかしながら、特許文献3には、基材に熱遮蔽性塗料をコーティングすることは記載されているが、単純に塗布しただけでは耐久性、耐擦傷性に問題があり、経時での近赤外線透過量の上昇が見られると予想される。つまり、長期の使用においては、熱遮蔽性能が低下してしまうと考えられる。
特開昭61−277437 特開2000−169765 特開2005−187323
一方、建築物や車両の窓において、夏期は日射遮蔽が必要であるが冬期は逆に熱遮蔽を行わないほうが快適な温度を保つことができる。そこで、夏期に貼着した熱遮蔽性シートを冬期に剥がすことができれば便利であるという要求があった。しかしながら、従来の熱遮蔽性シートは、被貼着面全面に接着剤や粘着剤を塗って該シートを窓に貼着させるため、シートを剥がす際、その剥離作業に手間が掛かる。さらに、剥離後の窓面に接着剤や粘着剤が残存し、これらの残存物を除去する作業にも手間が掛かる問題があった。
本発明の目的は可視光線領域の光を透過して明るさを維持しつつ、近赤外線領域の光を吸収または反射して室内の温度上昇を抑制する熱遮蔽性シートを提供することである。そのうえ、熱遮蔽性能が不必要な場合には容易に貼り剥がしのできる熱遮蔽性シートを提供することにある。
本発明者らは上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、透明性の良い基材フィルムの一方の面に、酸化タングステン微粒子を分散させた層を形成し、さらにその上に表面層を設けた近赤外線遮蔽構造を形成し、基材フィルムのもう一方の面に、再剥離性を有する粘着層を配することによって上記の問題が解決された近赤外線遮蔽シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも粘着層と、基材フィルムと、熱遮蔽層と、表面層とからなる熱遮蔽性シートであって、基材フィルムは、合成樹脂からなり、熱遮蔽性シートとしての強度を保有させるものであり、粘着層は基材フィルムの一方の面に形成され、ガラスに対する接着強度が180度ピール力で0.01〜1.0N/25mmであり、熱遮蔽層は、基材フィルムのもう一方の面に形成され、バインダー樹脂と酸化タングステン微粒子を有する層であり、表面層は、熱遮蔽層が形成された側の最外の層であって鉛筆硬度が3H以上であり、粘着層、基材フィルム、熱遮蔽層、表面層の少なくともいずれかに紫外線吸収剤を含有することを特徴とする熱遮蔽性シートに関するものである。
また、本発明の熱遮蔽性シートにおいては、粘着層に紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
さらに、本発明の熱遮蔽性シートにおいては、380〜780nmの可視光線領域における日射透過率が70%以上であり、780〜2100nmの近赤外線領域における日射透過率が40%以下であることが好ましい。
本発明の熱遮蔽性シートによれば、可視光線領域(380〜780nm)における日射透過率が高く、近赤外線領域(780〜2100nm)における日射透過率が低い、耐久性、耐擦傷性に優れた熱遮蔽性シートを提供することができる。また、熱遮蔽効果を必要としない場合(例えば冬期等)には、窓に貼着されている該シートを簡単に剥がすことのできるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の熱遮蔽性シートは、少なくとも粘着層と、基材フィルムと、熱遮蔽層と、表面層とからなる熱遮蔽性シートであり、粘着層、基材フィルム、熱遮蔽層、表面層の少なくともいずれかに紫外線吸収剤を含有する。基材フィルムは、合成樹脂からなり、透明性があって、熱遮蔽性シートとしての強度を保有するものである。粘着層は、基材フィルムの一方の面に形成され、ガラスに対して180度ピール力が0.01〜1.0N/25mmの接着強度を有する。熱遮蔽層は基材フィルムのもう一方の面に形成され、バインダー樹脂と酸化タングステン微粒子を含む。表面層は、熱遮蔽層が形成された側の最外の層として形成され、鉛筆硬度が3H以上である層であることを特徴とするものである。また、その他に粘着層と基材フィルムの間や、基材フィルムと熱遮蔽層との間や、熱遮蔽層と表面層との間に別の層を介在させてもよい。
本発明で使用される基材フィルムは、合成樹脂からなり、透明性があってシートとしての強度を保有するものである。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。基材フィルムの製法は特に問わず、延伸、無延伸どちらでも構わない。
基材フィルムの厚みに関しては、熱遮蔽性シートとしての強度を保有させることができれば特に限定されるものではないが、25μm〜150μmのものが好適に使用される。
熱遮蔽層は基材フィルムの一方の面に積層され、バインダー樹脂と酸化タングステン微粒子を有する層である。酸化タングステン微粒子は、近赤外線領域(780〜2100nm)において、60%以上の日射吸収率を示す。つまり、近赤外線領域の光を吸収するため、熱遮蔽性を有し、室内の温度上昇を防ぐことができるのである。酸化タングステンは、例えばITOやATOに比べて単位質量当たりの日射遮蔽力が大きく、高い熱遮蔽性能を示す。また、酸化タングステンは可視光線領域(380〜780nm)における日射透過率が高いので、透明性と熱遮蔽性を兼ね備えたものである。
本発明で使用する酸化タングステン微粒子は、一般式WyOzで表記したとき(W:タングステン、O:酸素)、2.2≦z/y<3.0であることが望ましい。2.2≦z/y<3.0であると、自由電子が生成し、近赤外線の吸収特性が発現する。2.2≦z/yであると、WOの結晶層が現れるようになり、また、z/yが3.0であると有効な自由電子が存在しないため、近赤外線領域における光の吸収反射特性がない。
また、一般式MxWyOz(M:陽性元素、W:タングステン、O:酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表される、陽性元素Mを添加した複合酸化タングステン微粒子を使用してもよい。陽性元素を添加することで自由電子が生成され、1000nm付近の近赤外線領域に自由電子由来の光吸収性能が発現し、近赤外線吸収材料として有効になる。
陽性元素Mの添加量は、0.001≦x/y≦1であることが望ましい。陽性元素Mの添加量が0.001より多ければ自由電子が充分に生成し、目的とする熱遮蔽性能が得られるが、陽性元素Mの添加量が多いほど不純物が生成しやすくなるので、x/yを1以下とすることが望ましい。
ここで、陽性元素Mは、アルカリ土類金属、遷移金属、4B族、5B族に属する元素が好ましい。さらに、上記複合酸化タングステン微粒子は立方晶、正方晶、六方晶の結晶構造を含むものが好ましい。特に六方晶の結晶構造を含む場合が、日射遮蔽用途には適している。六方晶を形成する陽性元素Mとしては、Cs、Rb、K、Ti、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn等が挙げられる。
熱遮蔽層のバインダーとしては、各種の樹脂が使用され、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等が使用でき、この中でもポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂のバインダーが好適に使用される。
ポリエステル系樹脂としては、水酸基含有のモノマーとカルボキシル基含有の酸モノマーを縮合反応することにより得られるもので、水酸基含有モノマーとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、等の2価のアルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価のトリオール等が使用され、酸モノマーとしては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族2価酸または酸無水物、アジピン酸、アゼライン酸、フマル酸等の脂肪族2価酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の多価酸および酸無水物が使用される。
これらポリエステル系樹脂は、分子中にわずかに官能基含有のモノマー添加して、これら官能基を塗工後に反応させることにより架橋させることが可能である。架橋構造を取り入れることにより、熱遮蔽層の強度が大きくなる。
さらに、上記水酸基含有モノマーおよび、酸モノマーの構造中に芳香族を多く取り入れることにより難溶解性にすることができ、特定の溶剤のみに溶解するようなポリエステル樹脂とすることも可能である。
アクリル系樹脂としては、アクリル酸エステルモノマーもしくはメタクリル酸エステルモノマーの重合体が好ましく、ラジカル重合させることにより高分子化したものが用いられる。
アクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸イソプロピル等であり、これに必要に応じて官能基含有のモノマーを共重合することができる。官能基含有のモノマーとしては、例えば、アクリル酸2ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基含有アクリルモノマー、アクリルアミド、グリジシルアクリレート、アクリル酸、マレイン酸、アクリロニトリル等が挙げられる。
メタクリル酸エステルモノマーとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸イソプロピル等であり、これに必要に応じて官能基含有のモノマーを共重合することができる。官能基含有のモノマーとしては、例えば、メタクリル酸2ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基含有アクリルモノマー、メタクリルアミド、グリジシルメタクリレート、メタクリル酸、マレイン酸、アクリロニトリル等が挙げられる。
さらにこれらアクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なモノマーとしては、スチレン、イソプレン、ブタジエン等を上げることができる。
バインダーとしてアクリル系樹脂を使用する場合、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル等のある程度高いTgを訂する樹脂を形成するモノマーを使用し、部分的に軟らかいモノマーおよび官能基含有のモノマーを共重合させることが好ましい。
熱遮蔽層の形成において、酸化タングステン微粒子をバインダー樹脂中に均一に分散させるために、溶媒を用いる。本発明の熱遮蔽性シートの場合、特に窓の結露に起因する耐水性の観点から、水系の分散媒の使用は避けたほうがよく、有機溶剤系のものを選択することが望ましい。これらの溶媒としては、一般に知られているイソプロピルアルコール(IPA)、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK), 酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン(THF)等が使用できる。溶媒は塗布する溶液中のバインダー樹脂などに合わせて適宜選択すればよい。
熱遮蔽層を形成する塗料作成方法に関しては各種の方法があり、あらかじめバインダー樹脂を溶解した溶媒中に酸化タングステン微粒子を混合し、撹拌することにより塗料化することが一般的である。この際の混合撹拌方法に関しては、酸化タングステン微粒子が均一に溶液中に分散する方法であれば任意に選択でき、例えば、単純なプロペラミキサーや、インクミル、ボールミル、ペイントシエーカー等の方法を挙げることができる。
上記塗料は、基材への塗布量、熱遮蔽能力、塗料の分散性を考えて溶媒100重量部に対して酸化タングステン5重量部〜25重量部程度、バインダー樹脂1〜5重量部程度の配合が好ましい。
本発明の熱遮蔽層は、酸化タングステン微粒子とバインダー樹脂とを溶媒に分散させた塗料を基材フィルム上に塗布し、その後、溶媒を乾燥させて形成される。これら塗料の基材フィルムへの塗工方法に関しては特に制限はなく、グラビアコート法、スプレーコート法などのコーティング手段を用いてコーティングし、溶媒成分を乾燥させることにより膜化される。必要に応じて架橋させることにより、耐溶剤性のある塗膜とすることも可能である。これら乾燥温度、架橋条件等は適宜選択することにより調整される。
熱遮蔽層の厚みは1〜10μmの膜がよい。厚みが10μmを超えると、熱遮蔽層の基材フィルムに対する追随性が劣り、例えば本発明のシートを窓ガラスに貼着させる(もしくは剥がす)際、該シートを曲げたりすると熱遮蔽層にひび割れが生じる場合がある。逆に、厚みが1μmより薄いと、所望の熱遮蔽性が得難くなる。
熱遮蔽層上に形成される。本発明の表面層は、鉛筆硬度が3H以上あることが望ましく、2H以下の場合には爪による引掻き傷や清掃時の雑巾がけ傷が付きやすくなる。さらに表面層は窓用フィルムとして使用できる耐候(光)安定性を備えている必要がある。表面層を形成する樹脂については、必要な硬度が出れば表面層を形成する樹脂については特に限定されるものではないが、容易に硬度が高く調製できるUV硬化性アクリル系樹脂、UV硬化性シリコーン系樹脂等が好適である。
表面層を形成する樹脂は、IPA等のアルコール類、MEK、MIBK、DIBK等のケトン類、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、キシレン、トルエン、酢酸エチルなどの溶剤に混合され、その得られた溶液を熱遮蔽層上に塗布する。
表面層は、酸化タングステン微粒子を配合した熱遮蔽層上に上記溶液に塗布し、硬化させて形成される。この際の硬化方法は、加熱硬化若しくはUV硬化のどちらでもよいが、より強固な層を得るためにはUV硬化方法を選択することが好ましい。加熱硬化の場合には、硬化剤を併用してもよく、この硬化剤としては、例えばエポキシ樹脂硬化剤、有機ケイ素樹脂硬化剤などが使用される。
表面層の膜厚は、熱遮蔽性シートとして必要な硬度が出れば特に限定するものではないが、好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μmである。0.1μm未満では充分な硬度が得られず、耐摩耗性が劣るようになり、一方10μmを超えると経済的に高価になるばかりか、表面層の割れなどが生じる可能性もあり好ましくない。
粘着層は、基材フィルムのもう一方の面に積層され、ガラスに対して180度ピール力が0.01〜1.0N/25mmの接着強度であるために再剥離性を有する。また、ガラスに対する接着強度が180度ピール力で0.01〜1.0N/25mmとすることでガラスにフィルムを貼る際にフィルムとガラスの間に入る空気の抜けが非常に良くなり、施工性に優れるものである。
粘着層を成す組成としては、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤より適宜選定される。中でも、シリコーン系もしくはウレタン系の粘着剤で構成されることが好ましい。シリコーン系もしくはウレタン系の粘着剤は再剥離性に優れ、基材への濡れ性に優れる。さらに、特にシリコーン系粘着剤は耐熱性に優れる為、日射の当たる窓ガラスに使用しても熱劣化が少ないため、好ましい。
一般にアクリル系の粘着剤組成物は、粘着力、保持力に優れているが、その強い粘着力のため、剥離するときに粘着剤組成物の一部が被着体に残存してしまうという「糊残り」の現象が見られ、再剥離性に劣る。アクリル系の粘着剤の中でも、使用するモノマー組成を考慮し、Tgの高いモノマーを使用し、かつ架橋等により凝集を上げた組成物の場合、「糊残り」の無い再剥離性を付与することは可能である。
シリコーン系粘着剤は、耐熱性、耐候性に優れ、基材への濡れ性も良い。シリコーン系粘着剤はシリコーンガム成分とシリコーンレジン成分からなっており、トルエンやキシレンなどの有機溶媒溶液となっている。
シリコーンガム
シリコーンレジン M型
シリコーンレジン Q型

シリコーンガム成分は化1に示される構造の直鎖状の高重合度のオルガノポリシロキサンであり、凝集力を付与する成分である。Rの大部分はメチル基であり、フェニル基を含むものもある。
シリコーンレジン成分は化1、化2に示されるM単位とQ単位からなるMQレジンと呼ばれる特殊なレジンであり、粘着性を付与する働きをする。このレジンは官能基としてわずかにシラノール基(Si−OH)を含有し、MQレジンのM/Q比はおおむね0.6〜1.2位であるが、本発明の再剥離性粘着剤としては0.7〜0.9が更に好ましい。
シリコーン系粘着剤の粘着特性はガム成分とレジン成分の比率や、レジン成分の構造で決まり、ガム成分の比率が大きいと一般にタックは向上するが、粘着力は低下する。レジン成分のM単位の比率が大きいと柔らかくタックや粘着力の大きい粘着剤となる。Q単位の比率が大きいと凝集力の大きい粘着剤となる。
更に、長期の使用および耐熱性を改良する目的でガム成分を過酸化物およびヒドロシリル化反応(付加型反応)により架橋させることもできる。
過酸化物による架橋では、過酸化ベンゾイル(BPO)等の有機過酸化物が使用できるが、粘着剤の中にこれら過酸化物およびその残鎖が残留することもあり、経時劣化の原因になることがある。
付加架橋反応は、SiH基含有シロキサン架橋剤を添加し、白金触媒で硬化させることによって架橋させる。このヒドロシリル化反応は有機過酸化物架橋に比較して、低温で反応させることができ、基材へのダメージが少なくて済み、また、離型面へ粘着加工する「転写法」が可能である等の理由で特に好ましい。
ウレタン系粘着剤としてはポリオール成分とイソシアネート成分の反応により得られる化合物を使用し、これらポリオール成分、イソシアネート成分を適宜選択することにより、再剥離性が良く、さらに基材への濡れ性の良好な粘着剤を得ることができる。
ポリオール成分としては、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールのどちらも使用することが可能であり、本発明ではガラス転移温度の高いポリエステルポリオールとガラス転移温度の比較的低いてポリエーテルポリオールを併用することが特に好ましく、分子内に芳香族環及びポリオキシアルキレン基を有するポリエステルジオール(芳香族ポリエステルポリオール)と脂肪族または脂環族のポリエーテルポリオール等が特に好適に使用される。更に、これらポリオール成分を適度に架橋させることにより柔軟性があり、糊残りの無い粘着剤を得ることができる。
これらポリオール成分は、短鎖ポリオールをイソシアネートと予め反応させて末端に水酸基を有するプレポリマーを形成させて使用することにより粘着性能のバラツキの原因となる短分子成分を抑制することができ好ましい。
ポリオール成分は、凝集力を上げ、再剥離性を持たせるためにイソシアネート化合物等により適度に架橋される。これらイソシアネートとしては、MDI、TDI等の芳香族ジイソシアネートおよびHDI等の脂肪族ジイソシアネート、IPDI、H−MDI等の脂環式ジイソシアネートを使用することができるが、耐候性の観点から、とくに脂肪族および脂環式のイソシアネートが特に好適に使用される。
これらイソシアネート化合物も必要に応じて予めジオール、トリオール成分と反応させプレポリマー化したもの、例えば、トリメチロールプロパンにHDI系イソシアネートを反応させた3官能のポリイソシアネート(例えば、日本ポリウレタン工業株式会社製のコロネートHL)や、イソシアヌレート構造を有するジイソシアネートの三量体(例えば日本ポリウレタン工業株式会社製のコロネートHX)を使用することも出来る。さらには、末端にイソシアネート基を有する二官能性のプレポリマーと三官能性のプレポリマーを適宜混合することによって柔らかさと凝集力を兼ね備えた粘着剤組成物とすることも可能である。
粘着層の厚みは、必要性能により適宜選定されるものである。一般的に、層厚は固形分状態で10〜70μm程度であることが好ましく、さらに好ましくは30〜50μm程度である。
また、本発明の熱遮蔽性シートは、室内の家具やカーペット等の日焼け防止等のために、紫外線吸収剤を含有する。紫外線吸収剤は、粘着層、基材フィルム、熱遮蔽層、表面層の少なくともいずれかに含有されていればよいが、粘着層に含有されていることが好ましい。本発明の熱遮蔽性シートは、特に建築物や車両の窓の内側に貼るシートであるため、光線に対して粘着層が最外の層となる。光線に対して最外の層である粘着層が紫外線吸収性能を有していると、室内の家具やカーペット等の日焼け防止に加え、熱遮蔽性シート自体の劣化防止することができる。熱線遮蔽シートを長期に亘って使用する場合、紫外線によって酸化タングステン微粒子が劣化し、所望の近赤外線吸収性能を有さなくなるおそれがある。また、紫外線により、基材フィルムおよび各層が日焼けして変色することを防止し、長期に亘って高い可視光透過率を維持することができる。つまり、粘着層に紫外線吸収性能を付与することにより、熱遮蔽性シートは長期に亘ってその性能を保持することが可能となるのである。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸エステル、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリロニトリル置換体等が挙げられる。このような紫外線吸収剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−tert−オクチル−6−ベンゾトリアゾール)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリチレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等のオキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類が挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量は、例えば粘着層に添加する場合においては、粘着性に寄与する組成物固形分100重量部に対して0.1〜10重量部含有することが好ましい。0.1重量部未満であると初期段階で十分な紫外線吸収性能を有しないばかりか、経時で吸収性能が減衰するため、使用時に十分な性能を発揮されない場合がある。また、10重量部を超えると糊残りなどの粘着性能に悪影響を及ぼすため好ましいものではない。
また、本発明の熱遮蔽性シートは必要に応じて、各種機能性添加剤を添加してもよく、添加の如何によって本発明の特性に悪影響を与えるもの以外はすべて利用できる。
上記構成からなる本願発明の熱遮蔽性シートは、780〜2100nmの近赤外線領域における日射透過率が40%以下であることが好ましい。780〜2100nmの近赤外線領域における日射透過率が40%を超えると、室内の温度上昇を抑制する効果が低くなる傾向にある。
さらに本願の熱遮蔽性シートは、380〜780nmの可視光領域における日射透過率が70%以上であることが好ましい。本願の熱遮蔽性シートは特に建築物や車両等の窓に貼られるものであるため、380〜780nmの可視光領域における日射透過率が70%未満であると、内部が暗くなってしまったり視認性が悪くなってしまったりするおそれがある。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(熱遮蔽層を形成するための熱遮蔽性溶液の調製方法)
トルエン100重量部中にバインダー樹脂であるポリエステル系樹脂(東洋紡績社製バイロン240)2.5重量部を溶解させ、酸化タングステン(住友金属鉱山社製YMDS−06)を、21.9重量部を添加し、ボールミル機で分散させて熱遮蔽性溶液を調製した。
(粘着層を形成するための粘着剤溶液の調製方法)
シリコーン系粘着剤(信越シリコーン社製X−40−3229)100重量部に硬化剤であるCAT−PL−50Tを0.5重量部、紫外線吸収剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製 Tinuvin 571)2.0重量部、トルエンを50重量部混合し、攪拌機で分散させて粘着剤溶液を調製した。
(表面層を形成するための表面層溶液の調製方法)
IPA100重量部にUV硬化型多官能アクリル系樹脂(三洋化成工業社製サンラッドRC−610)150重量部を混合し、表面層溶液を調製した。
(熱遮蔽性シートの作製方法)
基材フィルムである50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」とする)上に、上記方法にて調製した熱遮蔽性溶液をグラビアコート法により塗布した後、加熱により熱遮蔽性溶液の溶媒成分を乾燥させて5μm厚の熱遮蔽層を形成した。
次に、熱遮蔽層上に、表面層を形成するための表面層溶液をグラビアコート法により塗布した後、加熱により表面溶液中の溶媒成分を乾燥させて、紫外線を照射して硬化させて3μm厚の表面層を形成した。
次に、PETフィルムの熱遮蔽層が形成された面とは反対側の面上に、上記方法にて調製した粘着剤溶液を、コンマコート法により塗布した後、加熱により粘着剤溶液の溶媒成分を乾燥させて30μm厚の粘着層を形成し、熱遮蔽性シートを得た。
このようにして得られた熱遮蔽性シートについて、以下のような評価を行なった。その結果を表1に示す。
<紫外線透過率の測定方法>
熱遮蔽性シートを、自記分光光度計U−4000(日立製作所社製)を用いて、サンプルを入れない状態での透過率を100%とし、210nm〜380nmでの透過率(分光透過率)を測定し、JIS A5759付表3を用いて、分光透過率に各波長での重価係数を乗じた値の和を計算し、日射透過率を導き出した。
<近赤外線領域における日射透過率、可視光線領域における日射透過率>
熱遮蔽性シートを、自記分光光度計U−4000(日立製作所社製)を用いて、サンプルを入れない状態での透過率を100%とし、各波長での透過率(分光透過率)を測定し、JIS A5759付表3を用いて、分光透過率に各波長での重価係数を乗じた値の和を計算し、日射透過率を導き出した。
<耐光促進1000時間後の近赤外線領域における日射透過率、可視光線領域における日射透過率>
JIS L0891に基づく耐光促進試験としてサンシャインウェザーメーターに1000時間暴露後の熱遮蔽性シートを同様に自記分光光度計U−4000(日立製作所社製)を用いて、各波長での透過率(分光透過率)を測定し、日射透過率を導き出した。
<熱遮蔽性、実貼1000時間後の熱遮蔽性>
熱遮蔽性シートを窓の内側全面に貼着したプレハブ小屋(A)と、熱遮蔽性シートを設けないプレハブ小屋(B)において、外気温32℃の状況下で、プレハブ小屋内の日向の空間部の温度を測定した。プレハブ小屋(B)の温度−プレハブ(A)の温度差から、以下のように熱遮蔽性を評価した。また、熱遮蔽性シートを貼着後1000時間においても、以下のように評価した。
〔評価基準〕
〇:温度差が6℃以上
△:温度差が2℃以上6℃未満
×:温度差が2℃未満
<鉛筆硬度>
JIS K 5400に規定される方法で熱遮蔽性シートの鉛筆硬度を測定した。
<耐擦傷性>
♯0000のスチールウールで500gの荷重で100往復させたときの、ヘーズ(%)により、熱遮蔽性シートの耐擦傷性を評価した。評価基準は下記のとおりである。
〔評価基準〕
〇:ヘーズが5%未満
×:ヘーズが5%以上
<再剥離性>
熱遮蔽性シートをガラス板に貼着し、該シートを剥離した際の評価をした。評価基準は下記のとおりである。
〔評価基準〕
〇:弱い力で剥がすことができ、かつガラス板に糊残りのない状態である。
△:強い力で剥がすことができる、もしくは弱い力で剥がせるが糊残りする。
×:強い力でも容易に剥がせず、糊残りのする状態である。
<エア抜き性>
熱遮蔽性シートをガラスに貼着する際の、ガラスとシートの間の空気の抜けやすさを評価した。評価基準は下記のとおりである。
〇:空気が抜けやすい
×:空気抜きが困難
(実施例2)
粘着層を形成する樹脂を、二種のシリコーン系樹脂(信越シリコーン社製X−40−3229、KR−3700)各々50重量部とした以外は、実施例1と同じ作製方法で熱遮蔽性シートを得た。このようにして得られた熱遮蔽性シートについて、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。
(実施例3)
熱遮蔽層を形成するバインダー樹脂をアクリル系樹脂(東栄化成(株)社製ダイヤナール#5000)とした以外は、実施例1と同じ作製方法で熱遮蔽性シートを得た。このようにして得られた熱遮蔽性シートについて、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。
(実施例4)
熱遮蔽層を形成するバインダー樹脂をウレタン系樹脂(大日精化工業(株)社製レザミンNES−9950−3)とした以外は、実施例1と同じ作製方法で熱遮蔽性シートを得た。このようにして得られた熱遮蔽性シートについて、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。
(実施例5)
熱遮蔽層に添加する酸化タングステン(住友金属鉱山社製YMDS−06)量を4.5重量部にし、熱遮蔽層の厚みを8μmにした以外は、実施例1と同じ作製方法で熱遮蔽性シートを得た。このようにして得られた熱遮蔽性シートについて、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。
(実施例6)
粘着層に紫外線吸収剤を添加せず、熱遮蔽層に紫外線吸収剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製 品番Tinuvin 571)をトルエン100重量部に対して5重量部添加した以外は実施例1と同じ作製方法で熱遮蔽性シートを得た。このようにして得られた熱遮蔽性シートについて、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。
(比較例1)
表面層を形成しなかった以外は、実施例1と同じ作製方法で熱遮蔽性シートを得た。このようにして得られた熱遮蔽性シートについて、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。
(比較例2)
粘着層を形成する粘着剤として、アクリル系の粘着剤(東洋インキ製造(株)社製オリバインBPS5160)を使用し、粘着層のガラスに対する接着強度を180度ピール力で7.5N/25mmにした以外は実施例1と同じ作製方法で熱遮蔽性シートを得た。このようにして得られた熱遮蔽性シートについて、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。
(比較例3)
熱遮蔽層に酸化タングステンに代えて、ITO(DegussaAG社製Ad−Nano ITO IR−5)21.9重量部(トルエン100重量部に対して)添加した以外は実施例1と同じ作製方法で熱遮蔽性シートを得た。このようにして得られた熱遮蔽性シートについて、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。
(比較例4)
熱遮蔽層に酸化タングステンを添加しなかった以外は実施例1と同じ作製方法で熱遮蔽性シートを得た。このようにして得られた熱遮蔽性シートについて、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。
(比較例5)
粘着剤層に紫外線吸収剤を添加しなかった以外は実施例1と同じ作製方法で熱遮蔽性シートを得た。このようにして得られた熱遮蔽性シートについて、実施例1と同様の評価を行なった。その結果を表1に示す。
上記試験をした結果、表1からわかるように、実施例1〜6は、可視光線領域(380〜780nm)における日射透過率が高く、近赤外線領域(780〜2100nm)における日射透過率が低い、耐久性、耐擦傷性に優れた熱遮蔽性を有するシートであり、再剥離性を有するものである。特に、実施例1〜5においては、粘着層に紫外線吸収剤を含有しているため、長期に亘って使用しても、可視光領域および近赤外線領域の日射透過率の変化が小さく、初期の性能を維持することが可能である。
比較例1に関しては、表面層を設けていないため、熱遮蔽層が剥き出しの状態となっており、耐久性、耐擦傷性に問題がある。
比較例2に関しては、粘着層の接着強度が180度ピール力で7.5N/25mmであるため、接着強度が強く、シートを窓から剥離する際の糊残りが見られ、再剥離性の悪いものであった。
比較例3に関しては、熱遮蔽層に、酸化タングステンに代えてITOを使用した。ITOも酸化タングステンと同様に高い可視光線透過率を有するが、近赤外線透過率も高いため、熱遮蔽性に劣る。
比較例4に関しては、熱遮蔽層に酸化タングステンを添加しなかったため、近赤外線透過率が高く、熱遮蔽性能がない。
比較例5に関しては、紫外線透過率が高いため、室内のカーペットや家具等が日焼けするおそれがあるとともに、経時での熱遮蔽性が劣る。

Claims (3)

  1. 少なくとも粘着層と、基材フィルムと、熱遮蔽層と、表面層とからなる熱遮蔽性シートであって、
    基材フィルムは、合成樹脂からなり、熱遮蔽性シートとしての強度を保有させるものであり、
    粘着層は基材フィルムの一方の面に形成され、ガラスに対する接着強度が180度ピール力で0.01〜1.0N/25mmであり、
    熱遮蔽層は、基材フィルムのもう一方の面に形成され、バインダー樹脂と酸化タングステン微粒子を有する層であり、
    表面層は、熱遮蔽層が形成された側の最外の層であり、鉛筆硬度が3H以上であり、
    粘着層、基材フィルム、熱遮蔽層、表面層の少なくともいずれかに紫外線吸収剤を含有することを特徴とする熱遮蔽性シート。
  2. 粘着層に紫外線吸収剤が含有されていることを特徴とする請求項1に記載の熱遮蔽性シート。
  3. 380〜780nmの可視光線領域における日射透過率が70%以上であり、780〜2100nmの近赤外線領域における日射透過率が40%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱遮蔽性シート。
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