JP4958451B2 - 熱遮蔽性シート - Google Patents

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Description

本発明は、建築物や車両の窓に貼るシートであり、特に夏場の太陽光の侵入による室内の温度上昇を抑制するのに用いる熱遮蔽性シートに関する。
従来から、建築物や車両等の窓には、太陽光のうち可視光線(380乃至780nmの波長領域)と呼ばれる光線を取り入れて、室内の明るさを確保するために透明なガラス板や樹脂板を採用している。しかしながら、太陽光には可視光線の他に赤外線が含まれており、特に赤外線のうち近赤外線(780乃至1350nmの波長領域)と呼ばれる光線は、物体に当たるとその光エネルギーが熱エネルギーに変わって物体の温度を上昇させるものであり、その結果、窓から太陽光が侵入すると室内の温度が上昇するものであった。
そこで、可視光線は透過して室内の明るさを確保しつつ、近赤外線においては吸収または吸収して室内の温度上昇を抑制する手段として、建築物や車両等の窓に熱遮蔽性シートを貼着する方法が検討されている。
近赤外線を吸収または吸収する熱遮蔽性シートとしては、特許文献1に記載されているように透明樹脂フィルムに、Au,Ag,Al等の金属或いは金属酸化物を蒸着させたものが知られている。しかしながら、これら金属或いは金属酸化物は高い熱伝導性を有する物質であるため、自由電子密度が大きく、可視光線領域においてプラズマ振動数が高い。その結果、可視光線の透過を抑制し、室内の明るさを確保するのが難しくなる問題があった。
そこで、上記問題を解決するために、例えば物理蒸着法を用いて数十nmレベルの極めて薄い膜を透明樹脂フィルム上に作製することが検討されたが、この薄膜を作製する場合、大掛かりな装置や真空設備を必要とし、連続生産性に問題があった。さらに、これら金属或いは金属酸化物からなる熱遮蔽性シートは、導電性が高いため携帯電話等の通信システム、TV、ラジオ等の電波を反射してしまい、そういった電波受信を不能にする問題があった。その上、反射した該電波が周囲の電波障害を起こす原因の一つであった。
そこで、上記問題を解決するために、特許文献2に記載されているような適度な導電性を持ち、かつプラズマ振動数が近赤外線領域にある熱遮蔽材として、例えば、ATOや、錫含有酸化インジウム(ITO)、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)等が採用されるようになった。これら材料は、可視光線の透過率が高く、しかも近赤外線の透過率が低いものである。しかしながら、単位質量当たりの日射遮蔽力が弱く、所望の遮蔽効果を出現させる為には膜の中にATOやITO,或いはAZO等の材料を大量に添加する必要があり、非常に高価なものになっていた。さらに、これら材料を用いて膜を作製するにあたり、乾式の物理蒸着法を用いた場合には膜の導電性が上がり電波を反射してしまう問題があった。
そこで、上記問題を解決するため、最近では特許文献3に記載されているように、アンチモン含有酸化錫(ATO)やITOよりも可視光線に近い近赤外線を遮蔽できる材料として6硼化物微粒子が採用されている。また、この6硼化物微粒子をバインダー樹脂と溶媒中に混合した溶液を、透明な基材フィルムに塗布して膜を形成した場合、適度な導電性を持つため電磁波を反射することがない特徴も有する。
特開昭61−277437号公報 特開2000−169765号公報 特開2000−96034号公報
しかしながら、6硼化物微粒子は水と接触すると加水分解を起こす。その結果、近赤外線の透過率が上昇し、所望の熱遮蔽性を有することが難しくなる問題があった。
一方、建築物や車両の窓において、夏期は日射遮蔽が必要であるが冬期は逆に日射遮蔽を行わないほうが快適な温度を保つことができる。そこで、夏期に貼着した熱遮蔽性シートを冬期に剥がすことが出来れば便利であるという要求があった。しかしながら、従来の熱遮蔽性シートは、被貼着全面に接着剤や粘着剤を塗って該シートを貼着させるため、シートを剥がす際、その剥離作業に手間が掛かる。さらに、剥離後の窓面に接着剤や粘着剤が残存し、これらの残存物を除去する作業にも手間が掛かる問題があった。
この発明は、可視光線の領域における太陽光の透過率が高く、近赤外線の領域における太陽光の透過率が低い熱遮蔽性シートであり、しかも、該シートが水と接触したとしても6硼化物微粒子が加水分解を起こすことがない、つまり、シートの遮蔽効果を経時で維持することができる。その上、熱遮蔽性能が不必要な場合には、窓に貼着されている該シートを簡単に剥がすことのできる熱遮蔽性シートを提供するものである。
本発明は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、(1)少なくともバインダー樹脂と6硼化物微粒子とを有する熱遮蔽層が積層された側の最外層として積層される表面層が、鉛筆硬度が3H以上であり、かつ防水性を有するものであることにより、6硼化物微粒子の加水分解を防止するものであり、(2)粘着剤層は、ガラスに対する接着強度が180度ピール力で0.05乃至5.0N/25mmであることにより、熱遮蔽性能が不必要な場合(例えば冬場等)に、窓に貼着されている該シートを簡単に剥がすことのできることを見出し、本発明に到達した。
また、請求項1に記載の発明は、少なくとも粘着剤層と、基材フィルムと、熱遮蔽層と、表面層とを積層した熱遮蔽性シートであって、基材フィルムは、合成樹脂フィルムからなり、シートとしての強度を保有させるものであり、粘着剤層は、基材フィルムの一方に積層され、ガラスに対して180度ピール力が0.05乃至5.0N/25mmの接着強度を有し、熱遮蔽層は、基材フィルムの他方に積層され、少なくともバインダー樹脂と6硼化物微粒子とを有する耐溶媒性の層であり、表面層は、熱遮蔽層が積層された側の最外層として積層され、鉛筆硬度が3H以上である防水性の層であることを特徴とする熱遮蔽性シートである。また、請求項2に記載の発明は、前記表面層は、オルガノシロキサン系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の熱遮蔽性シートである。
また、請求項3に記載の発明は、前記粘着剤層は、シリコン系もしくはウレタン系の粘着剤からなるものであることを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載の熱遮蔽性シートである。
この発明の熱遮蔽性シートによれば、可視光線の領域(380乃至780nm)における太陽光の透過率(75%以上である。)が高く、近赤外線の領域(780乃至1350nm)における太陽光の透過率(50%以下である。)が低い熱遮蔽性シートであり、しかも、該シートが水と接触したとしても6硼化物微粒子が加水分解を起こすことがない、つまり、シートの遮蔽効果を経時で維持することができる。その上、熱遮蔽性能が不必要な場合には、窓に貼着されている該シートを簡単に剥がすことのできるものである。
以下、この発明の実施の形態について説明する。本発明の熱遮蔽性シートは、少なくとも粘着剤層と、基材フィルムと、熱遮蔽層と、表面層とを積層した熱遮蔽性シートであって、基材フィルムは、合成樹脂フィルムからなり、シートとしての強度を保有させるものであり、粘着剤層は、基材フィルムの一方に積層され、ガラスに対して180度ピール力が0.05乃至5.0N/25mmの接着強度を有し、熱遮蔽層は、基材フィルムの他方に積層され、少なくともバインダー樹脂と6硼化物微粒子とを有する耐溶媒性の層であり、表面層は、熱遮蔽層が積層された側の最外層として積層され、鉛筆硬度が3H以上である防水性の層であることを特徴とするものである。また、その他に粘着剤層と基材フィルムとの間や、基材フィルムと熱遮蔽層との間や、熱遮蔽層と表面層との間等に別の層を積層してもよい。
本発明の基材フィルムは、合成樹脂フィルムからなり、シートとしての強度を保有させるものである。基材フィルムは合成樹脂フィルムからなり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィン樹脂、ノルボルネン樹脂、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ塩化ビニル等が挙げられ、そのフィルムの製法は特に問わず、例えば、延伸、無延伸のどちらでもよい。また、基材フィルムの厚みは、熱遮蔽性シートとしての強度を保有させられる厚みであれば特に限定されるものではないが、厚みは25乃至150μmがよい。また、可視光線の領域(380乃至780nm)における光線の透過率が80%以上であるものが好ましく、すなわち、透明性に優れた合成樹脂フィルムを用いるのがよい。
本発明の熱遮蔽層は、基材フィルムの他方に積層され、少なくともバインダー樹脂と6硼化物微粒子とを有する耐溶媒性の層である。そして、熱遮蔽層とは、太陽光の近赤外線領域の波長を吸収させる層であり、近赤外線を吸収させることができれば、基材フィルムの表面側や裏面側、或いは太陽光に直接曝される最外層に積層することができるが、シートの最外層に熱遮蔽層を積層し、例えば窓ガラスの室外側に貼着させた場合、雨、風、霜、雪、日光のほか、鳥の糞が付着するなどの自然環境による影響を直接受けて6硼化物微粒子が劣化する問題があり、また、窓ガラスの室内側に貼着させた場合、窓ガラスの開閉時人間の手等によって熱遮蔽層が擦傷する問題がある。したがって、これら問題を解決するために熱遮蔽層は、基材フィルムと、表面層(鉛筆硬度が3H以上である防水性の層)とによってサンドイッチされる。つまり、熱遮蔽層は基材フィルムの一方に積層され、表面層は熱遮蔽層が積層された側の最外層として積層されるものである。
さらに、本発明の熱遮蔽層は、シートとしての熱遮蔽性を付与するために、少なくともバインダー樹脂と6硼化物微粒子とを有するものである。6硼化物微粒子は、近赤外線の波長領域(780乃至1350nm)における光線を吸収させるものであり、例えばITOやATOに比べて単位質量当たりの熱遮蔽性が大きい。その上、可視光線の波長に近い近赤外線の波長も吸収することができる。
さらに、本発明の熱遮蔽層側の最外層として表面層が積層されるが、該表面層を形成する溶液中の溶媒により、熱遮蔽層のバインダー樹脂が溶かされると、該熱遮蔽層の膜が均一性を保てなくなり、所望の遮蔽性を得難くなる。さらに、窓用のシートとして用いると歪みの原因となり外観上問題である。したがって、熱遮蔽層は、表面層の溶液中の溶媒に対して耐溶媒性を有するものがよい。
本発明の6硼化物微粒子の粒径は、200nm以下であり、好ましくは100nm以下である。粒子径が200nmよりも大きくなると、熱遮蔽性シートとしての可視光線の波長領域における光線の透過率が75%以上を確保し難く、また、近赤外線の波長領域(780乃至1350nm)における光線の透過率が50%以下とし難い。また、バインダー樹脂と6硼化物微粒子とを分散させるために溶媒を用いるが、その溶媒中で6硼化微粒子が凝集する場合がある。その結果、シートとした時に熱遮蔽性が部分的に劣る箇所が出来、好ましくない。
また、本発明の6硼化物微粒子をバインダー樹脂中に均一分散させるために溶媒を用いてもよい。そして、溶媒中に6硼化物微粒子とバインダー樹脂とを分散させた溶液を作製し、該溶液を基材フィルム上に塗布するが、その際の塗布条件や塗布環境、塗布する溶液中のバインダー樹脂などに合わせて溶媒を適宜選択すればよい。
また、溶媒としては、例えば、トルエン,シクロヘキサノン,イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類、メチルエチルケトン(MEK), メチルイソブチルケトン(MIBK),DIBK等のケトン類、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン(THF)からなる有機溶媒が好適である。また、溶媒として水系のものでも分散が可能であるが、建築物や車両等の窓用として使用するので窓で発生する結露の問題、或いは6硼化物微粒が水と接触すると加水分解を起こしやすい問題があるので、有機溶媒が好ましい。
また、6硼化物微粒子の添加量は特に限定されるものではないが、熱遮蔽層を形成するための溶液(少なくとも6硼化物微粒子とバインダー樹脂と溶媒とからなる液)における分散性、該溶液を基材フィルム上への濡れ性、所望の近赤外線遮蔽力等を考えると、溶媒に6硼化物微粒子とバインダー樹脂とを混合させた溶液の合計量に対し、6硼化物微粒子を0.05乃至5重量%添加するのがよい。
本発明の熱遮蔽層は、6硼化物微粒子とバインダー樹脂とを溶媒中に分散させた溶液を基材フィルム上に塗布し、その後、溶媒を乾燥させて形成される膜である。また、熱遮蔽層の厚みは1乃至10μmの膜がよい。厚みが10μmを超えると、基材フィルムに対する追随性が劣り、例えば本発明のシートを窓ガラスに貼着させる(もしくは剥がす)際、該シートを曲げたりすると熱遮蔽層にひび割れが生じる場合がある。逆に、厚みが1μmより薄いと、所望の熱遮蔽性を得難いものである。
本発明の熱遮蔽層に用いるバインダー樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等が使用でき、この中でもアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂が好適に用いられる。
また、ポリエステル系樹脂としては、水酸基含有のモノマーとカルボキシル基含有の酸モノマーを縮合反応することによりえられるもので、水酸基含有モノマーとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3ーブタンジオール、1、6ーヘキサンジオール、等の2価のアルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価のトリオール等が使用され、酸モノマーとしては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族2価酸または酸無水物、アジピン酸、アゼライン酸、フマル酸等の脂肪族2価酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の多価酸および酸無水物が使用される。
また、アクリル系樹脂としては、アクリル酸エステルモノマーもしくはメタクリル酸エステルモノマーの重合体(以下「(メタ)アクリル」と記すものは、メタクリルとアクリルの両方を意味する)であり、ラジカル重合させることにより高分子化したものが用いられる。
(メタ)アクリルのモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソプロピル等であり、これに必要に応じて官能基含有のモノマーを共重合することができ、例えば。(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基含有アクリルモノマー、(メタ)アクリルアミド、グリジシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、アクリロニトリル等を用いる事ができる。さらにこれら(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なモノマーとしては、スチレン、イソプレン、ブタジエン等を用いることができる。
また、上記バインダー樹脂に官能基含有のモノマーを共重合させたり、或いは上記バインダー樹脂に架橋剤を加え架橋反応させることにより、耐溶媒性の熱遮蔽層を得ることができる。
例えば、熱遮蔽層のバインダー樹脂としてポリエステル系樹脂を用いる場合、そのポリエステル系樹脂に官能基含有のモノマーを共重合させることにより得た熱遮蔽溶液を、基材フィルム上に塗布し、その後、加熱により溶媒成分を乾燥させることにより耐溶媒性の膜(熱遮蔽層)を得ることができる。また、ポリエステル系のバインダー樹脂を作成する際、上記水酸基含有のモノマーおよび酸モノマーの構造中に芳香族系のモノマーを添加したものを熱遮蔽層のバインダー樹脂として用いれば、耐溶媒性を有する膜を得ることができる。また、例えば、熱遮蔽層のバインダー樹脂としてアクリル系樹脂を用いる場合、ガラス転移温度(Tg)が高い例えばメタクリル酸ブチルや、メタクリル酸エチル等のモノマーに、部分的に軟らかいモノマー及び/又は官能基含有のモノマーを共重合させることにより得た熱遮蔽溶液を、基材フィルム上に塗布し、その後、加熱により溶媒成分を乾燥させることにより耐溶媒性を有する膜を得ることができる。
本発明の熱遮蔽層を形成するための溶液を製造する方法は、例えば、溶媒中に予めバインダー樹脂を溶解し、その溶液中に6硼化物微粒子を混合撹拌することにより得ることができる。この際の混合撹拌方法には、例えば、単純なプロペラミキサーや、インクミル、ボールミル、ペイントシエーカー等の分散機を用いることが出来る。
本発明の熱遮蔽層は、基材フィルム上に積層するものであるが、その積層方法は特に制限されず、どのような方法であってもよい。上記例えば、グラビアコータ、ロールコータ、ドクターナイフコータ、ロータリスクリーン、スプレーコート、刷毛塗り等種々の方法が利用できる。
本発明の表面層は、熱遮蔽層が積層された側の最外層として積層され、鉛筆硬度が3H以上である防水性の層である。そして、表面層は、熱遮蔽層の6硼化物微粒子の加水分解を防止するために、基材フィルムと表面層との間に熱遮蔽層をサンドイッチするように積層され、しかも防水性を有する層である。さらに、表面層は、例えば窓ガラスの開閉時において、人間の爪による引掻き傷や清掃時の雑巾がけによって傷が付き、その傷口から水が浸入すると熱遮蔽層の6硼化物微粒子が加水分解を起こす問題がある。そのため、その問題を防止するために、表面層は鉛筆硬度が3H以上である(耐擦傷性を有する)必要がある。
本発明の表面層の厚みは、鉛筆硬度3H以上であれば特に限定するものではないが、好ましくは0.5乃至10μm、さらに好ましくは2乃至5μmである。0.5μm未満では、充分な鉛筆硬度が得られ難く、耐擦傷性が不十分である。逆に、10μmを超えると、例えば本発明のシートを窓ガラスに貼着させる(もしくは剥がす)際、該シートを曲げたりすると表面層にひび割れが生じる場合がある。
また、表面層は、本発明の熱遮蔽シートの最外層として積層される層であるため、例えば窓ガラスの室外側に該シートを貼着させた場合、太陽光の影響を直に受けて表面層が劣化し、所望の効果を奏しない場合がある。そこで、耐候(光)性に優れる樹脂として、例えばオルガノシロキサン系樹脂を積層したものが好ましい。
オルガノシロキサン系樹脂からなる溶液は、下記一般式(I) で表される有機シロキサンを主成分とするものであり、その一部または全部が加水分解していてもよい。

Ra 7 Rb 8 Si(OR9 )4-(a+b) ・・・(I)

(式中、R7 、R8 は、同一または異なり、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはハロゲン原子、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリルオキシ基もしくはシアノ基を有する炭化水素基、R9 は、アルキル基、アリール基、アルコキシアルキル基、またはアシル基であり、aおよびbは0、1または2、かつa+bは0、1または2である。)一般式(I) で表される有機シロキサンの具体例としては、メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、i−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケート、t−ブチルシリケート、テトラアセトシランなどのシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリフェノキシシラン、などのトリアルコキシ、トリアシルオキシまたはトリフェノキシシラン類、またはその加水分解物、およびジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、グリシドキシメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、などのアルコキシシランまたはジアシルオキシシラン類、またはその加水分解物などが挙げられる。これらの有機シロキサンは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。これらの有機シロキサンのうちでは、得られる成形品を染色する場合の染色性の点から、アルコキシ基およびエポキシ基を有するものが好ましく、具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等がある。
これらオルガノシロキサン系樹脂は、IPA等のアルコール類、MEK,MIBK,DIBK等のケトン類、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、キシレン、トルエン、酢酸エチルなどの溶媒に混合し、その得られた溶液を熱遮蔽層側の最外層として塗布するものである。
本発明の表面層は、上記溶液を熱遮蔽層側の最外層として塗布し、硬化させて形成される。この際の硬化方法は、加熱硬化若しくはUV硬化どちらでもよい。より強固な層を得るためにはUV硬化方法を採用することが好ましい。さらに加熱硬化の場合、硬化剤を併用してもよく、この硬化剤としては、例えばエポキシ樹脂硬化剤、有機ケイ素樹脂硬化剤などが用いられる。
本発明の粘着層は、基材フィルムの一方に積層され、ガラスに対して180度ピール力が0.05乃至5.0N/25mmの接着強度を有する層である。粘着層はガラスに貼着する層であり、ガラスに対して180度ピール力が0.05乃至5.0N/25mmの接着強度を有する層であるので、本発明のシートはガラスから剥がれない。また、該シートを剥がす際にもガラスに糊残りなく剥がすことができる(つまり、再剥離性に優れるものである)。また、ガラスに対して180度ピール力が0.05乃至5.0N/25mmより小さいと、ガラスに対する粘着性を充分維持することが出来ず、該シートがガラスから剥がれる場合がある。また、ガラスに対して180度ピール力が5.0N/25mmより大きいと、ガラスから該シートを剥がす際、糊のこりが発生し、簡単に剥がすことが出来ない場合がある。
本発明の粘着剤層の厚みは、5乃至100μmがよい。100μmより厚いと、可視光線の透過率が80%より劣るものである。その結果、例えば建築物や車の室内が暗くなる。逆に、5μmより薄いと、粘着性を維持するのが難しくなる。
本発明の粘着層は、例えば、シリコン系、ウレタン系、アクリル系、ゴム系の粘着剤を用いることができる。
一般にアクリル系の粘着剤は、粘着力、保持力に優れているが、その強い粘着力のため、剥離するときに粘着剤組成物の一部が被着体に残存してしまうという「糊残り」の現象が見られ、再剥離性に劣りやすいものである。 アクリル系の粘着剤の中でも、用いるモノマー組成を考慮し、Tgの高いモノマーを使用し、かつ架橋等により凝集を上げた組成物の場合、「糊残り」の無い再剥離性を付与することが可能であるが、逆に粘着剤として硬くなってしまい、ガラスに対する濡れ性が悪化し、本発明の熱遮蔽性シートをガラスに貼着させときに、シートとガラスとの間に空気の気泡が入りやすく、場合によっては剥がれる。
また、ゴム系の粘着剤は、一般的に粘着力が強く、さらに低分子化合物をタッキファイヤーとして含有させないと、粘着力、保持力等について十分な性能が確保できないが、該低分子化合物が表面にブリードし、粘着性能の低下を引き起こすし、長期耐候性に劣るという問題もあり、本願発明の用途としては、好ましいものではない。
以上の理由から、再剥離性に優れ、基材への濡れ性に優れたシリコン系粘着剤もしくはウレタン系粘着剤が好適に使用される。特に、シリコン系粘着剤は耐熱性(および耐候(光)性)に優れる為、太陽光の当たる窓ガラスに使用しても熱劣化が少なく好適である。
また、シリコン系粘着剤は、シリコーンガム成分とシリコーンレジン成分からなっており、トルエンやキシレンなどの有機溶媒で溶液となっている。
シリコーンガム成分は上記(化1)に示される構造の直鎖状の高重合度のオルガノポリシロキサンであり、凝集力を付与する成分である。Rの大部分はメチル基であり、フェニル基を含むものもある。シリコーンレジン成分は上記(化2)と(化3)に示されるM単位とQ単位とからなるMQレジンと呼ばれる特殊なレジンであり、粘着性を付与する働きをする。このレジンは官能基としてわずかにシラノール基(Si-OH)を含有し、MQレジンのM/Q比はおおむね0.6乃至1.2位であるが、本発明の再剥離性粘着剤としては0.7乃至0.9が更に好ましい。
シリコーン系粘着剤の粘着特性はガム成分とレジン成分の比率や、レジン成分の構造で決まり、ガム成分の比率が大きいと一般にタックは向上するが、粘着力は低下する。レジン成分のM単位の比率が大きいと柔らかくタックや粘着力の大きい粘着剤となり。Q単位の比率が大きいと凝集力の大きい粘着剤となる。
更に、長期の使用および耐熱性を改良する目的でガム成分を架橋させることができ、過酸化物およびヒドロシリル化反応(付加型反応)により架橋させる事もできる。
過酸化物による架橋では、過酸化ベンゾイル(BPO)等の有機過酸化物が使用できるが、粘着剤の中にこれら過酸化物およびその残鎖が残留することもあり、経時劣化の原因になることがある。
付加型の架橋反応は、SiH基含有シロキサン架橋剤を添加し、白金触媒で硬化させることによって架橋させる。このヒドロシリル化反応は有機過酸化物架橋に比較して、低温で反応させることができ、基材へのダメージが少なくて済み、また、離型面へ粘着加工する「転写法」が可能である等の理由で特に好ましい。
また、ウレタン系粘着剤としてはポリオール成分とイソシアネート成分の反応により得られる化合物を使用し、これらポリオール成分、イソシアネート成分を適宜選択することにより、再剥離性が良く、されに基材への濡れ性の良好な粘着剤を得ることができる。
ポリオール成分としては、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールのどちらも用いることが可能であり、本発明ではガラス転移温度の高いポリエステルポリオールとガラス転移温度の比較的低いてポリエーテルポリオールを併用することが特に好ましく、分子内に芳香族環及びポリオキシアルキレン基を有するポリエステルジオール(芳香族ポリエステルポリオール)と脂肪族または脂環族のポリエーテルポリオール等が特に好適に使用される。更に、これらポリオール成分を適度に架橋させることにより柔軟性があり、糊残りの無い粘着剤を得ることができる。
これらポリオール成分は、短鎖ポリオールをイソシアネートと予め反応させて末端に水酸基を有するポリオールプレポリマーを形成させて用いることにより粘着性能のバラツキの原因となる短分子成分を抑制することができ好ましい。
ポリオール成分は、凝集力を上げ、再剥離性を持たせるためにイソシアネート化合物等により適度に架橋される。こられたイソシアネートとしては、MDI,TDI等の芳香族ジイソシアネートおよびHDI等の脂肪族ジイソシアネート、IPDI、H-MDI等の脂環式ジイソシアネートを用いることができるが、耐候性の観点から、とくに脂肪族および脂環式のイソシアネートが特に好適に使用される。
これらイソシアネート化合物も必要に応じて予めジオール、トリオール成分と反応させプレポリマー化したもの、例えば、トリメチロールプロパンにHDI系イソシアネートを反応させた3官能のポリイソシアネート(例えば、日本ポリウレタン工業株式会社製のコロネートHL)や、イソシアヌレート構造を有するジイソシアネートの三量体(例えば日本ポリウレタン工業株式会社製のコロネートHX)を用いることも出来る。さらには、末端にイソシアネート基を有するニ官能性のプレポリマーと三官能性のプレポリマーを適宜混合することによって柔らかさと凝集力を兼ね備えた粘着剤組成物とすることも可能である。
本発明の熱遮蔽性シートは、JIS A 5759で規定される紫外線透過率を1%以下にするために粘着剤層、基材フィルム、熱遮蔽層、表面層のいずれかに紫外線吸収剤を入れてもよい。また、紫外線吸収剤を入れる層としては、太陽光をはじめに受ける側の層に入れていくのが好適であり、例えば窓ガラスの室内側に熱遮蔽性シートを貼着する場合、太陽光をはじめに受ける粘着剤層もしくは粘着剤層の上(室内側)に設けられる基材フィルム中に紫外線吸収剤を添加しておくことが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、チヌビン326(チバスペシャリティーケミカルズ社製)、アデカスタブLA31(旭電化工業社製)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チヌビン1577FF等のトリアジン系紫外線吸収剤、キマソーブ81(チバスペシャリティーケミカルズ社製)、ホスタビンARO8(クラリアント社製)等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、チヌビン120(チバスペシャリティーケミカルズ社製)等のベンゾエート系紫外線吸収剤、チヌビン144(チバスペシャリティーケミカルズ社製)等のヒンダードアミン系紫外線吸収剤を用いる事ができる。
熱遮蔽層を形成するための上記溶液中に紫外線吸収剤を添加する場合、その添加量については特に限定されるものではない。ただし、1)該紫外線吸収剤の溶液中への添加量および2)該溶液を基材上へ塗布する量を調整することによって、基材上に塗布した熱遮蔽層が紫外線の波長領域(280乃至380nm)において(JIS A 5759)による吸収が80%以上であるように調節するのが好ましい。その理由は、80%より低いと、紫外線の影響を受けて表面層が劣化し、表面層の性能を得難くなるからである。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(熱遮蔽層を形成するための熱遮蔽溶液Aの作製方法)
耐溶媒性のバインダー樹脂であるポリエステル系樹脂(東洋紡績社製バイロン245)を、有機溶媒であるシクロヘキサノン中に70℃に加温して溶解させ、6硼化物微粒子であるLaB6(住友金属鉱山製KHDS-02)を0.6重量%,紫外線吸収剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製チヌビン326)を0.5重量%添加し、ボールミル機で分散させて熱遮蔽溶液Aを作製した。
(粘着剤層を形成するための粘着剤溶液Aの作製方法)
粘着剤樹脂であるシリコーン系粘着剤(信越シリコーン社製X-40-3229)に、硬化剤であるCAT-PL-50Tを0.5重量%、有機溶媒であるトルエンを50重量%、紫外線吸収剤チバスペシャリティーケミカルズ社製チヌビン326)を3重量%添加し、攪拌機で分散させて粘着剤溶液Aを作製した。
(熱遮蔽性シートの作製方法)
基材フィルムである50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムとする。)上に、上記方法にて作製した熱遮蔽溶液Aをグラビコート法により塗布した後、加熱により熱遮蔽溶液A中の溶媒成分を乾燥させて5μm厚の熱遮蔽層を形成した。
次に、熱遮蔽層上に、表面層を形成するための表面溶液AであるUV硬化型有機無機ハイブリットハードコート塗料(JSR社製Z7503)をグラビアコート法により塗布した後、加熱により表面溶液A中の溶媒成分を乾燥させて、紫外線を照射し硬化させて3μm厚の表面層を形成した。なお、該熱遮蔽層が耐溶媒性を有するものである。
次に、基材の熱遮蔽層が形成された面とは反対側の面上に、上記方法にて作成した粘着剤溶液Aを、コンマコート法により塗布した後、加熱により粘着剤溶液Aの溶媒成分を乾燥させて30μm厚の粘着剤層を形成し、表1に示す熱遮蔽性シートを得た。
また、PETフィル上に、上記方法にて作製した熱遮蔽溶液Aを塗布し、その後、加熱により熱遮蔽溶液A中の溶媒成分を乾燥させて5μm厚の熱遮蔽層を形成し、該熱遮蔽層上に有機溶媒であるメチルエチルケトン(MEK)、トルエン、イソプロピルアルコール(IPA)、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン(THF)をそれぞれ塗布し、該熱遮蔽層のバインダー樹脂を溶かさなかったものを○、溶かしたものを×とし、耐溶媒性について評価した。その結果、表2に示すように熱遮蔽溶液Aからなる熱遮蔽層のバインダー樹脂は、各有機溶媒により溶かされることがなかった。つまり、耐溶媒性を有するものであった。
また、該粘着剤層は、ガラスに対して180度ピール力が0.08N/25mmの接着強度を有するものであった。
(実施例2)
(熱遮蔽層を形成するための熱遮蔽溶液Bの作製方法)
バインダー樹脂であるポリエステル系樹脂(東洋紡績社製バイロン240)を、有機溶媒であるシクロヘキサノン中に70℃に加温して溶解させ、6硼化物微粒子であるLaB6(住友金属鉱山製KHDS-02)を0.6重量%,紫外線吸収剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製チヌビン326)を0.5重量%添加し、ボールミルで分散させた後、架橋剤を加え攪拌機で分散させて熱遮蔽溶液Bを作製した。
(熱遮蔽性シートの作製方法)
熱遮蔽溶液Aに代えて、熱遮蔽溶液Bとした以外は、実施例1の作製方法と同じであり、その方法により、表1に示す熱遮蔽性シートを得た。
また、PETフィル上に、上記方法にて作製した熱遮蔽溶液Bを塗布し、その後、加熱により熱遮蔽溶液A中の溶媒成分を乾燥させて5μm厚の熱遮蔽層を形成し、該熱遮蔽層上に有機溶媒であるメチルエチルケトン(MEK)、トルエン、イソプロピルアルコール(IPA)、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン(THF)をそれぞれ塗布し、該熱遮蔽層のバインダー樹脂を溶かさなかったものを○、溶かしたものを×とし、耐溶媒性について評価した。その結果、表2に示すように熱遮蔽溶液Bからなる熱遮蔽層のバインダー樹脂が各有機溶媒により溶かされることがなかった。つまり、耐溶媒性を有するものであった。
(比較例1)
(熱遮蔽層を形成するための熱遮蔽溶液Cの作製方法)
バインダー樹脂であるポリエステル系樹脂(東洋紡績社製バイロン240)を、有機溶媒であるシクロヘキサノン中に70℃に加温して溶解させ、6硼化物微粒子であるLaB6(住友金属鉱山製KHDS-02)を0.6重量%,紫外線吸収剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製チヌビン326)を0.5重量%添加し、ボールミルで分散させて熱遮蔽溶液Cを作製した。
(熱遮蔽性シートの作製方法)
熱遮蔽溶液Aに代えて、熱遮蔽溶液Cとした以外は、実施例1の作製方法と同じであり、その方法により、表1に示す熱遮蔽性シートを得た。なお、該熱遮蔽層のバインダー樹脂が耐溶媒性を有するものではない。
また、PETフィル上に、上記方法にて作製した熱遮蔽溶液Cを塗布し、その後、加熱により熱遮蔽溶液C中の溶媒成分を乾燥させて5μm厚の熱遮蔽層を形成し、該熱遮蔽層上に有機溶媒であるメチルエチルケトン(MEK)、トルエン、イソプロピルアルコール(IPA)、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン(THF)をそれぞれ塗布し、該熱遮蔽層のバインダー樹脂を溶かさなかったものを○、溶かしたものを×とし、耐溶媒性について評価した。その結果、表2に示すように熱遮蔽溶液Cからなる熱遮蔽層のバインダー樹脂が各有機溶媒により溶かされることがなかった。つまり、耐溶媒性を有するものではなかった。
(比較例2)
(熱遮蔽性シートの作製方法)
表面層を積層していない以外は、実施例1の作製方法と同じであり、その方法により、表1に示す熱遮蔽性シートを得た。
(比較例3)
(熱遮蔽性シートの作製方法)
粘着剤層をアクリル系粘着剤(SKダイン906(綜研化学社製))を積層した以外は、実施例1の作製方法と同じであり、その方法により、表1に示す熱遮蔽性シートを得た。
また、該粘着剤層は、ガラスに対して180度ピール力が5N/25mmの接着強度を超えるものであった。
(比較例4)
(熱遮蔽性シートの作製方法)
表面層の厚みが3μmのところを0.1μmとした以外は、実施例1の作製方法と同じであり、その方法により、表1に示す熱遮蔽性シートを得た。
*1.熱遮蔽層が耐溶媒性を有するものではない。
*2.表面層を有するものではない。
*3.粘着剤層は、ガラスに対して180度ピール力が5N/25mmの接着強度を超えるものである。
*4.鉛筆硬度がHである。
このようにして得られた熱遮蔽性シートについて、以下のような評価を行った。その結果を、表3に示す。
<近赤外線透過率の試験>
実施例1乃至2及び比較例1乃至4で得られたシートについて、780乃至1350nmの波長領域における透過率の平均値について分光光度計(日本分光(株)製 V−570装置)にて測定した。得られた結果を、表3に示す。
<可視光線透過率の試験>
実施例1乃至2及び比較例1乃至4で得られたシートについて、JIS A 5759に規定される方法で可視光線透過率を測定した。結果を、表3に示す。
<鉛筆硬度>
実施例1乃至2及び比較例1乃至4で得られたシートについて、JIS K 5400に規定される方法で鉛筆硬度を測定した。結果を、表3に示す。
<耐久性>
実施例1乃至2及び比較例1乃至4で得られたシートについて、耐久性を評価した。すなわち、各シートを、サンシャインウェザーメーター1000時間曝露後の日射透過率の上昇により評価した。評価基準は下記の通りである。結果を、表3に示す。
〔評価基準〕
○:上昇が5%以下であった。
×:それ以上の上昇であった。
<耐擦傷性>
実施例1乃至2及び比較例1乃至4で得られたシートについて、耐擦傷性を評価した。すなわち、各シートを、#0000のスチールウールで500g荷重で100往復させた場合のヘーズ(%)により評価した。結果を、表3に示す。
〔評価基準〕
○:ヘーズが5%以下であった。
×:5%以上であった。
<耐溶媒性>
実施例1乃至2及び比較例1乃至4のシートを作成する際、具体的には熱遮蔽層を形成後、該熱遮蔽層上に表面層を積層して該熱遮蔽層の耐溶媒性を評価した。すなわち、各シートの熱遮蔽層形成後、該熱遮蔽層上に表面層を形成する溶液を積層し、熱遮蔽層のバインダー樹脂を溶かさなかった、溶かしたで評価した。結果を、表3に示す。
〔評価基準〕
○:溶かさなかった。
×:溶かした。
<再剥離性>
実施例1乃至2及び比較例1乃至4で得られたシートについて、再剥離性を評価した。すなわち、各シートを、ガラス板に貼着し、そのシートを剥離した際の評価をおこなった。評価基準は下記の通りである。結果を、表3に示す。
〔評価基準〕
○:弱い力で剥がす事が出来、かつガラス板が糊残りのない状態であった。
△:強い力で剥がす事ができる、もしくは糊残りする状態であった。
×:強い力でも容易に剥がせず、糊残りする状態であった。
<air抜き性>
実施例1乃至2及び比較例1乃至4で得られたシートについて、air抜き性を評価した。すなわち、各シートを、ガラスに貼着する際のガラスとシートとの間の空気の抜けやすさを評価した。評価基準は下記の通りである。結果を、表3に示す。
〔評価基準〕
○:空気が抜けやすい状態であった。
△:抜けにくい状態であった。
×:空気抜きが困難な状態であった。
* 4.初期の近赤外線透過率は48%であるが、経時で上昇していった。
* 5.初期の近赤外線透過率は48%であるが、経時で上昇していった。
上記試験をした結果、表3からわかるように比較例1は、該熱遮蔽層が耐溶媒性を有するものではないので、熱遮蔽層上に表面層を積層した際、その表面層を形成する溶液中に含まれた溶媒により熱遮蔽層のバインダー樹脂が溶かされ、熱遮蔽層が不均一な層となった。その結果、初期の近赤外線透過率が70%であり、近赤外線透過率が50%を超えるものであった。
比較例2は、表面層が形成されていない。つまり、熱遮蔽層が剥き出し状態であるため、耐久性および耐擦傷性に問題があった。その結果、初期の近赤外線透過率は48%であったが、経時で該透過率が上昇し、近赤外線透過率が50%を超えるものであった。また、該シートが水と接触した場合、6硼化物微粒子が加水分解を起こすため、経時で熱遮蔽性が悪くなる問題があった。
比較例3は、粘着溶液Bを積層させた熱遮蔽性シートである。粘着溶液Bとは、ガラスに対して180度ピール力が5N/25mmの接着強度を超えるものであったため、該シートを窓から剥離する際、窓に糊が残った。すなわち、再剥離性悪いものである。また、窓ガラスへの貼着時のair抜き性が悪く、貼着性がよくないので熱遮蔽性シートが脱落する問題があった。
比較例4は、表面層の鉛筆硬度がHであった。したがって、耐久性および耐擦傷性に問題があった。その結果、初期の近赤外線透過率は48%であったが、経時で該透過率が上昇し、近赤外線透過率が50%を超えるものであった。









Claims (3)

  1. 少なくとも粘着剤層と、基材フィルムと、熱遮蔽層と、表面層とを積層した熱遮蔽性シートであって、
    基材フィルムは、合成樹脂フィルムからなり、シートとしての強度を保有させるものであり、
    粘着剤層は、基材フィルムの一方に積層され、ガラスに対して180度ピール力が0.05乃至5.0N/25mmの接着強度を有し、
    熱遮蔽層は、基材フィルムの他方に積層され、少なくともバインダー樹脂と6硼化物微粒子とを有する耐溶媒性の層であり、
    表面層は、熱遮蔽層が積層された側の最外層として積層され、鉛筆硬度が3H以上である防水性の層であることを特徴とする熱遮蔽性シート。
  2. 前記表面層は、オルガノシロキサン系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の熱遮蔽性シート。
  3. 前記粘着剤層は、シリコン系もしくはウレタン系の粘着剤からなるものであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の熱遮蔽性シート。
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