JP2008072945A - ハウス栽培における天敵昆虫による害虫防除方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハウス栽培における天敵昆虫による害虫防除方法を提供すること。
【解決手段】ハウス栽培における天敵昆虫による害虫防除方法であって、
(1)対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫を、予め人工飼育箱の中で、前記天敵昆虫を第二工程後の第三工程において有効密度まで増殖させるために必要となる量以上になるまで、人工増殖する第一工程、
(2)第一工程により人工増殖された虫を、ハウス内で放飼する第二工程、及び、
(3)前記天敵昆虫を有効密度まで増殖させ、ハウス内に生息する害虫を前記天敵昆虫により捕食させる第三工程を有することを特徴とする方法等。
【選択図】なし
【解決手段】ハウス栽培における天敵昆虫による害虫防除方法であって、
(1)対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫を、予め人工飼育箱の中で、前記天敵昆虫を第二工程後の第三工程において有効密度まで増殖させるために必要となる量以上になるまで、人工増殖する第一工程、
(2)第一工程により人工増殖された虫を、ハウス内で放飼する第二工程、及び、
(3)前記天敵昆虫を有効密度まで増殖させ、ハウス内に生息する害虫を前記天敵昆虫により捕食させる第三工程を有することを特徴とする方法等。
【選択図】なし
Description
本発明は、ハウス栽培における天敵昆虫による害虫防除方法に関する。
ハウス栽培において、天敵昆虫により害虫を防除することは知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
本発明は、害虫に対して優れた防除効果を発揮するようなハウス栽培における天敵昆虫による害虫防除方法を提供することを課題とする。
本発明者は、ハウス栽培における天敵昆虫による害虫防除方法につき、種々検討を行った。その結果、特定の3つの工程(後述の第一工程、第二工程及び第三工程)を組み合わせることにより、天敵昆虫をハウス栽培に使用した場合に、害虫に対して優れた防除効果を発揮することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.ハウス栽培における天敵昆虫による害虫防除方法であって、
(1)対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫を、予め人工飼育箱の中で、前記天敵昆虫を第二工程後の第三工程において有効密度まで増殖させるために必要となる量以上になるまで、人工増殖する第一工程、
(2)第一工程により人工増殖された虫を、ハウス内で放飼する第二工程、及び、
(3)前記天敵昆虫を有効密度まで増殖させ、ハウス内に生息する害虫を前記天敵昆虫により捕食させる第三工程を有することを特徴とする方法(以下、本発明防除方法と記すこともある。);
2.ハウス栽培が、ナスを対象作物とするハウス栽培であることを特徴とする前項1記載の害虫防除方法:
3.害虫がアブラムシ類であり、対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫がムギクビレアブラムシ若しくはトウモロコシアブラムシであり、且つ、天敵昆虫がアブラバチ類若しくはナミテントウであることを特徴とする前項1又は2記載の害虫防除方法;
4.害虫がハモグリバエ類であり、対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫がキツネノボタンハモグリバエ若しくはナモグリバエであり、且つ、天敵昆虫がハモグリミドリヒメコバチ若しくはイサエアヒメコバチであることを特徴とする前項1又は2記載の害虫防除方法;
5.害虫がアザミウマ類であり、対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫がクサキイロアザミウマ、イネアザミウマ、ムギクビレアブラムシ若しくはトウモロコシアブラムシであり、且つ、天敵昆虫がタイリクヒメハナカメムシであることを特徴とする前項1又は2記載の害虫防除方法;
6.ハウス栽培における天敵昆虫の増殖方法であって、
(1)対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫を、予め人工飼育箱の中で、前記天敵昆虫を第B工程後の第C工程において有効密度まで増殖させるために必要となる量以上になるまで、人工増殖する第A工程、
(2)第A工程により人工増殖された虫を、ハウス内で放飼する第B工程、及び、
(3)前記天敵昆虫を有効密度まで増殖させる第C工程
を有することを特徴とする方法(以下、本発明増殖方法と記すこともある。);
等を提供するものである。
1.ハウス栽培における天敵昆虫による害虫防除方法であって、
(1)対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫を、予め人工飼育箱の中で、前記天敵昆虫を第二工程後の第三工程において有効密度まで増殖させるために必要となる量以上になるまで、人工増殖する第一工程、
(2)第一工程により人工増殖された虫を、ハウス内で放飼する第二工程、及び、
(3)前記天敵昆虫を有効密度まで増殖させ、ハウス内に生息する害虫を前記天敵昆虫により捕食させる第三工程を有することを特徴とする方法(以下、本発明防除方法と記すこともある。);
2.ハウス栽培が、ナスを対象作物とするハウス栽培であることを特徴とする前項1記載の害虫防除方法:
3.害虫がアブラムシ類であり、対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫がムギクビレアブラムシ若しくはトウモロコシアブラムシであり、且つ、天敵昆虫がアブラバチ類若しくはナミテントウであることを特徴とする前項1又は2記載の害虫防除方法;
4.害虫がハモグリバエ類であり、対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫がキツネノボタンハモグリバエ若しくはナモグリバエであり、且つ、天敵昆虫がハモグリミドリヒメコバチ若しくはイサエアヒメコバチであることを特徴とする前項1又は2記載の害虫防除方法;
5.害虫がアザミウマ類であり、対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫がクサキイロアザミウマ、イネアザミウマ、ムギクビレアブラムシ若しくはトウモロコシアブラムシであり、且つ、天敵昆虫がタイリクヒメハナカメムシであることを特徴とする前項1又は2記載の害虫防除方法;
6.ハウス栽培における天敵昆虫の増殖方法であって、
(1)対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫を、予め人工飼育箱の中で、前記天敵昆虫を第B工程後の第C工程において有効密度まで増殖させるために必要となる量以上になるまで、人工増殖する第A工程、
(2)第A工程により人工増殖された虫を、ハウス内で放飼する第B工程、及び、
(3)前記天敵昆虫を有効密度まで増殖させる第C工程
を有することを特徴とする方法(以下、本発明増殖方法と記すこともある。);
等を提供するものである。
本発明防除方法により天敵昆虫をハウス栽培に使用した場合に、害虫に対して優れた防除効果を発揮させ、その結果、前記害虫を効果的に防除することができる。
本発明防除方法が好ましく適用されるハウス栽培としては、例えば、ナス、ピーマン、イチゴ、トマト、アスパラガスを対象作物とするハウス栽培等を挙げることができる。ここで「ハウス栽培」とは、ビニールハウスやガラス温室等で代表されるような農業資材・施設等を用いて作物を栽培するものであって、例えば、加温機による暖房、側窓や天窓の開閉による換気等により、ハウス内の温度を栽培する作物の生育適温に保ちながら栽培するものである。
本発明防除方法により効力を発揮する害虫による被害としては、例えば、アブラムシ類、ハモグリバエ類、アザミウマ類によって引き起こされるハウス栽培における対象作物に対する被害等を挙げることができる。そして対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫としては、例えば、クサキイロアザミウマ、イネアザミウマ、ムギクビレアブラムシ、トウモロコシアブラムシ、キツネノボタンハモグリバエ、ナモグリバエ等が挙げられる。そして当該害虫に対する天敵昆虫としては、例えば、アブラバチ類、ナミテントウ、ハモグリミドリヒメコバチ、イサエアヒメコバチ、タイリクヒメハナカメムシ等が挙げられる。
対象作物と、害虫と、対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫と、天敵昆虫との組み合わせの代表例としては、例えば、表1に記載されるような組み合わせを挙げることができる。
本発明防除方法は、ハウス栽培における天敵昆虫による害虫防除方法であって、
(1)対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫を、予め人工飼育箱の中で、前記天敵昆虫を第二工程後の第三工程において有効密度まで増殖させるために必要となる量以上になるまで、人工増殖する第一工程、
(2)第一工程により人工増殖された虫を、ハウス内で放飼する第二工程、及び、
(3)前記天敵昆虫を有効密度まで増殖させ、ハウス内に生息する害虫を前記天敵昆虫により捕食させる第三工程を有することを特徴とする。
(1)対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫を、予め人工飼育箱の中で、前記天敵昆虫を第二工程後の第三工程において有効密度まで増殖させるために必要となる量以上になるまで、人工増殖する第一工程、
(2)第一工程により人工増殖された虫を、ハウス内で放飼する第二工程、及び、
(3)前記天敵昆虫を有効密度まで増殖させ、ハウス内に生息する害虫を前記天敵昆虫により捕食させる第三工程を有することを特徴とする。
本発明防除方法の第一工程における「対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫」(以下、被食虫と記すこともある。)とは、第三工程においてハウス内に生息する害虫を捕食させるための利用される天敵昆虫(ここでは「捕食虫」になる。)が、餌として捕らえ、殺しかつ食う虫であって、ハウス栽培での対象作物に被害を及ぼすことがない無害虫を意味する。好ましくは、天敵昆虫が餌として好んで捕食する虫であって、人工飼育箱の中で容易に増殖させることが可能である虫がよい。
本発明防除方法の第一工程において、対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫(即ち、被食虫)を予め人工飼育箱の中で、前記天敵昆虫を第二工程後の第三工程において有効密度まで増殖させるために必要となる量以上になるまで、人工増殖する
には、例えば、太陽光を取り入れられるような透明な素材からなる人工飼育箱で、当該飼育箱の内に被食虫が餌とする作物が入れられる大きさのものであり、さらにまた温度を一定に保つための加温機と、日照条件を制御若しくは補うための照明機器とを有するものを用いて、前記被食虫がその生物学的性質等から通常増殖し得る若しくは増殖し易いと知られた「限界的な下限温度」以上の温度、具体的には例えば、発育零点以上の温度、飛翔可能限界温度以上の温度及び産卵限界温度以上の温度のいずれかの温度(好ましくは、前記の各温度のうちいずれの温度をも満たすような温度)の条件下で人工的に飼育すればよい。具体的には例えば、被食虫がクサキイロアザミウマ、イネアザミウマの場合には、温度は20℃以上(好ましくは25℃から28℃)であり、光は長日条件であり、飼育期間は最短で20℃で1ヶ月程度、25℃で2週間程度である条件下で人工的に飼育すればよい。また被食虫がムギクビレアブラムシ、トウモロコシアブラムシ、キツネノボタンハモグリバエ、ナモグリバエの場合には、温度は20℃以上(好ましくは25℃から28℃)であり、光は長日条件であり、飼育期間は最短で20℃で3週間程度、25℃で10日間程度である条件下で人工的に飼育すればよい。
ここで「有効密度」としては、各種条件に拠っても異なるが、例えば、対象作物の一花当たり0.2〜2頭程度を挙げることができる。また、前記天敵昆虫1頭当たり2〜50頭程度、好ましくは2〜100頭程度が挙げられる。
には、例えば、太陽光を取り入れられるような透明な素材からなる人工飼育箱で、当該飼育箱の内に被食虫が餌とする作物が入れられる大きさのものであり、さらにまた温度を一定に保つための加温機と、日照条件を制御若しくは補うための照明機器とを有するものを用いて、前記被食虫がその生物学的性質等から通常増殖し得る若しくは増殖し易いと知られた「限界的な下限温度」以上の温度、具体的には例えば、発育零点以上の温度、飛翔可能限界温度以上の温度及び産卵限界温度以上の温度のいずれかの温度(好ましくは、前記の各温度のうちいずれの温度をも満たすような温度)の条件下で人工的に飼育すればよい。具体的には例えば、被食虫がクサキイロアザミウマ、イネアザミウマの場合には、温度は20℃以上(好ましくは25℃から28℃)であり、光は長日条件であり、飼育期間は最短で20℃で1ヶ月程度、25℃で2週間程度である条件下で人工的に飼育すればよい。また被食虫がムギクビレアブラムシ、トウモロコシアブラムシ、キツネノボタンハモグリバエ、ナモグリバエの場合には、温度は20℃以上(好ましくは25℃から28℃)であり、光は長日条件であり、飼育期間は最短で20℃で3週間程度、25℃で10日間程度である条件下で人工的に飼育すればよい。
ここで「有効密度」としては、各種条件に拠っても異なるが、例えば、対象作物の一花当たり0.2〜2頭程度を挙げることができる。また、前記天敵昆虫1頭当たり2〜50頭程度、好ましくは2〜100頭程度が挙げられる。
本発明防除方法の第二工程では、第一工程により人工増殖された被食虫をハウス内に投入することにより、放飼を開始すればよい。被食虫の放飼では、前記天敵昆虫を有効密度まで増殖させ得ることが可能となるような量(例えば、前記天敵昆虫1頭当たり2〜50頭程度、好ましくは2〜100頭程度)を維持しながら被食虫を飼育することが重要なことから、当該被食虫がその生物学的性質等から通常増殖し得る若しくは増殖し易いと知られた「限界的な下限温度」以上の温度、具体的には例えば、発育零点以上の温度、飛翔可能限界温度以上の温度及び産卵限界温度以上の温度のいずれかの温度(好ましくは、前記の各温度のうちいずれの温度をも満たすような温度)の条件下で放飼することが好ましい。また放飼する量としては、例えば、0.01〜200頭/m2、好ましくは0.1〜100頭/m2等を挙げることができる。
具体的には例えば、人工飼育箱から被食虫が寄生している植物を取り出し、手で叩くことによりハウス内に直接放飼しても良いし、被食虫が寄生している植物を適当な大きさに切り取って、その切片ごとハウス内に直接放飼しても良い。イネ科植物を餌とするような被食虫であるクサキイロアザミウマ、イネアザミウマ、ムギクビレアブラムシ、トウモロコシアブラムシの場合には、ムギ等のイネ科植物をハウスの空き地に予め植えておき、ここに放飼しても良い。
具体的には例えば、人工飼育箱から被食虫が寄生している植物を取り出し、手で叩くことによりハウス内に直接放飼しても良いし、被食虫が寄生している植物を適当な大きさに切り取って、その切片ごとハウス内に直接放飼しても良い。イネ科植物を餌とするような被食虫であるクサキイロアザミウマ、イネアザミウマ、ムギクビレアブラムシ、トウモロコシアブラムシの場合には、ムギ等のイネ科植物をハウスの空き地に予め植えておき、ここに放飼しても良い。
本発明防除方法の第三工程では、前記天敵昆虫を有効密度まで増殖させることにより、ハウス内に生息する害虫を前記天敵昆虫により捕食させればよい。天敵昆虫を有効密度まで増殖させるには、当該天敵昆虫が餌とする被食虫が、第二工程での放飼により必要量供給され得ることが重要なことから、当該被食虫がその生物学的性質等から通常増殖し得る若しくは増殖し易いと知られた「限界的な下限温度」以上の温度、具体的には例えば、発育零点以上の温度、飛翔可能限界温度以上の温度及び産卵限界温度以上の温度のいずれかの温度(好ましくは、前記の各温度のうちいずれの温度をも満たすような温度)の条件下で、かつ、第三工程での前記害虫の捕食により当該害虫の密度を抑制し得ることが重要なことから、前記天敵昆虫がその生物学的性質等から通常増殖し得る若しくは増殖し易いと知られた「限界的な下限温度」以上の温度、具体的には例えば、発育零点以上の温度、飛翔可能限界温度以上の温度及び産卵限界温度以上の温度のいずれかの温度(好ましくは、前記の各温度のうちいずれの温度をも満たすような温度)の条件下で前記害虫を捕食させることが好ましい。具体的には例えば、天敵昆虫がタイリクヒメハナカメムシ、ハモグリミドリヒメコバチ、イサエアヒメコバチ、アブラバチ類、ナミテントウの場合には、温度は15℃以上(好ましくは20℃以上)で捕食させればよい。また、天敵昆虫はハウス内に直接放飼しても良いし、ハウス内の一画にケージを設けて、その中で一時的に増殖させてからハウス内に放飼することもできる。
ここで「害虫の密度を抑制し」とは、天敵昆虫による害虫の捕食有無により、害虫の捕食有の場合の方が害虫の捕食無の場合よりも、ハウス内に生息する害虫の密度が低くなることを意味し、好ましくは、例えば、ハウス内で栽培される作物に経済的被害が発生する水準以下に抑えることである。
ここで「害虫の密度を抑制し」とは、天敵昆虫による害虫の捕食有無により、害虫の捕食有の場合の方が害虫の捕食無の場合よりも、ハウス内に生息する害虫の密度が低くなることを意味し、好ましくは、例えば、ハウス内で栽培される作物に経済的被害が発生する水準以下に抑えることである。
本発明において用いられる「害虫」とこれに対応する「天敵昆虫」との組み合わせの代表例としては、例えば、表2に記載されるような組み合わせを挙げることができる。
本発明は、本発明防除方法の他に、本発明増殖方法を含むものである。本発明増殖方法は、ハウス栽培における天敵昆虫の増殖方法であって、
(1)対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫を、予め人工飼育箱の中で、前記天敵昆虫を第B工程後の第C工程において有効密度まで増殖させるために必要となる量以上になるまで、人工増殖する第A工程、
(2)第A工程により人工増殖された虫を、ハウス内で放飼する第B工程、及び、
(3)前記天敵昆虫を有効密度まで増殖させる第C工程
を有することを特徴とする。
(1)対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫を、予め人工飼育箱の中で、前記天敵昆虫を第B工程後の第C工程において有効密度まで増殖させるために必要となる量以上になるまで、人工増殖する第A工程、
(2)第A工程により人工増殖された虫を、ハウス内で放飼する第B工程、及び、
(3)前記天敵昆虫を有効密度まで増殖させる第C工程
を有することを特徴とする。
本発明増殖方法の第A工程は、本発明防除方法の第一工程と同様であればよく、また本発明増殖方法の第B工程は、本発明防除方法の第二工程と同様であればよい。
本発明増殖方法の第C工程は、本発明防除方法の第三工程における天敵昆虫の増殖過程に相当するものであり、当該過程と同様であればよい。
本発明増殖方法の第C工程は、本発明防除方法の第三工程における天敵昆虫の増殖過程に相当するものであり、当該過程と同様であればよい。
以下、試験例等により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
試験例1
ナスを対象作物とするビニールハウス栽培におけるタイリクヒメハナカメムシによる害虫防除方法において、アザミウマ類の防除効果を確認するための試験を下記にように実施した。
ナスを対象作物とするビニールハウス栽培におけるタイリクヒメハナカメムシによる害虫防除方法において、アザミウマ類の防除効果を確認するための試験を下記にように実施した。
まず、ナスに被害を及ぼさずかつタイリクヒメハナカメムシにより捕食される虫であるクサキイロアザミウマを、予め人工飼育箱の中で、クサキイロアザミウマが増殖し易い温度(即ち、産卵限界温度以上の温度に相当する20〜25℃)の条件下で、前記タイリクヒメハナカメムシを第二工程後の第三工程において有効密度まで増殖させるために必要となる量以上になるまで餌植物としてイネ科のエンバクを用いて人工増殖した(本発明防除方法の第一工程に相当する)。
次いで、縦1m、横1m、高さ1mのプラスチック製容器で一つの側面が開放されたものを2個用意した。用意された容器各々の開放側面を0.4mm目合いのネットで被覆した後、当該容器各々の内に、予めポット植えで栽培され且つ害虫であるミナミキイロアザミウマが自然に寄生したナス(品種:竜馬)を3ポットずつ入れた。このようにして準備された容器各々を、ガラス温室内(25〜30℃、60〜95%RH)に設置した。
前記容器各々に、タイリクヒメハナカメムシ雌成虫を2頭放飼した後、一方の容器のみに、上記で人工増殖されたクサキイロアザミウマを100頭/日、毎日投入した(他方の容器は非投入)(本発明防除方法の第二工程に相当する)。
クサキイロアザミウマ及びタイリクヒメハナカメムシ雌成虫を、クサキイロアザミウマ及びタイリクヒメハナカメムシが増殖し易い温度(即ち、産卵限界温度以上の温度に相当する20〜25℃)の条件下で、投入開始後35日間、前記容器各々の内で放飼することにより、タイリクヒメハナカメムシを有効密度まで増殖させた(本発明防除方法の第三工程に相当する)。
投入開始後35日後、前記容器各々の内に生存するアザミウマ類が前記タイリクヒメハナカメムシにより捕食されることに基づく、前記容器各々の天敵昆虫による害虫防除効果を評価するために、前記容器各々の内に生存するタイリクヒメハナカメムシの数とミナミキイロアザミウマの数とを計測した。その結果を表1に示した。
尚、当該計測は、次のように実施された。まず当該容器各々の内に、10cm×10cmの粘着トラップ材が設置(1日間)され、翌日、当該粘着トラップ材に捕捉されたタイリクヒメハナカメムシの数とミナミキイロアザミウマの数とが計測された。
次いで、縦1m、横1m、高さ1mのプラスチック製容器で一つの側面が開放されたものを2個用意した。用意された容器各々の開放側面を0.4mm目合いのネットで被覆した後、当該容器各々の内に、予めポット植えで栽培され且つ害虫であるミナミキイロアザミウマが自然に寄生したナス(品種:竜馬)を3ポットずつ入れた。このようにして準備された容器各々を、ガラス温室内(25〜30℃、60〜95%RH)に設置した。
前記容器各々に、タイリクヒメハナカメムシ雌成虫を2頭放飼した後、一方の容器のみに、上記で人工増殖されたクサキイロアザミウマを100頭/日、毎日投入した(他方の容器は非投入)(本発明防除方法の第二工程に相当する)。
クサキイロアザミウマ及びタイリクヒメハナカメムシ雌成虫を、クサキイロアザミウマ及びタイリクヒメハナカメムシが増殖し易い温度(即ち、産卵限界温度以上の温度に相当する20〜25℃)の条件下で、投入開始後35日間、前記容器各々の内で放飼することにより、タイリクヒメハナカメムシを有効密度まで増殖させた(本発明防除方法の第三工程に相当する)。
投入開始後35日後、前記容器各々の内に生存するアザミウマ類が前記タイリクヒメハナカメムシにより捕食されることに基づく、前記容器各々の天敵昆虫による害虫防除効果を評価するために、前記容器各々の内に生存するタイリクヒメハナカメムシの数とミナミキイロアザミウマの数とを計測した。その結果を表1に示した。
尚、当該計測は、次のように実施された。まず当該容器各々の内に、10cm×10cmの粘着トラップ材が設置(1日間)され、翌日、当該粘着トラップ材に捕捉されたタイリクヒメハナカメムシの数とミナミキイロアザミウマの数とが計測された。
表1から明らかなように、クサキイロアザミウマが投入された試験区(以下、本発明区と記す。)におけるタイリクヒメハナカメムシの数は、クサキイロアザミウマが投入されていない試験区(以下、比較区と記す。)におけるタイリクヒメハナカメムシの数と比較して有意に増加していた。
さらに害虫であるミナミキイロアザミウマの数は本発明区では、明らかに抑制されたが、比較区では多数発生し、またナスの被害果の発生有無を調査したところ、本発明区では被害果の発生は認められなかったが、比較区では被害果の発生が認められた。
さらに害虫であるミナミキイロアザミウマの数は本発明区では、明らかに抑制されたが、比較区では多数発生し、またナスの被害果の発生有無を調査したところ、本発明区では被害果の発生は認められなかったが、比較区では被害果の発生が認められた。
本発明防除方法により天敵昆虫をハウス栽培に使用した場合に、害虫に対して優れた防除効果を発揮させ、その結果、前記害虫を効果的に防除することができる。
Claims (6)
- ハウス栽培における天敵昆虫による害虫防除方法であって、
(1)対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫を、予め人工飼育箱の中で、前記天敵昆虫を第二工程後の第三工程において有効密度まで増殖させるために必要となる量以上になるまで、人工増殖する第一工程、
(2)第一工程により人工増殖された虫を、ハウス内で放飼する第二工程、及び、
(3)前記天敵昆虫を有効密度まで増殖させ、ハウス内に生息する害虫を前記天敵昆虫により捕食させる第三工程を有することを特徴とする方法。 - ハウス栽培が、ナスを対象作物とするハウス栽培であることを特徴とする請求項1記載の害虫防除方法。
- 害虫がアブラムシ類であり、対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫がムギクビレアブラムシ若しくはトウモロコシアブラムシであり、且つ、天敵昆虫がアブラバチ類若しくはナミテントウであることを特徴とする請求項1又は2記載の害虫防除方法。
- 害虫がハモグリバエ類であり、対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫がキツネノボタンハモグリバエ若しくはナモグリバエであり、且つ、天敵昆虫がハモグリミドリヒメコバチ若しくはイサエアヒメコバチであることを特徴とする請求項1又は2記載の害虫防除方法。
- 害虫がアザミウマ類であり、対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫がクサキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマ、イネアザミウマ、ムギクビレアブラムシ若しくはトウモロコシアブラムシであり、且つ、天敵昆虫がタイリクヒメハナカメムシであることを特徴とする請求項1又は2記載の害虫防除方法。
- ハウス栽培における天敵昆虫の増殖方法であって、
(1)対象作物に被害を及ぼさずかつ天敵昆虫により捕食される虫を、予め人工飼育箱の中で、前記天敵昆虫を第B工程後の第C工程において有効密度まで増殖させるために必要となる量以上になるまで、人工増殖する第A工程、
(2)第A工程により人工増殖された虫を、ハウス内で放飼する第B工程、及び、
(3)前記天敵昆虫を有効密度まで増殖させる第C工程
を有することを特徴とする方法。
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JP (1) | JP2008072945A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101070143B1 (ko) | 2010-11-08 | 2011-10-05 | 조성자 | 천적을 이용한 가로수의 해충방제방법 |
KR101102113B1 (ko) * | 2010-11-02 | 2012-01-02 | 조성자 | 친환경적인 녹지공간 병·해충관리 시스템 및 방법 |
JP2013252123A (ja) * | 2011-06-24 | 2013-12-19 | National Agriculture & Food Research Organization | ハダニ類の天敵昆虫の飼育方法及び飼育容器 |
CN107361027A (zh) * | 2017-08-31 | 2017-11-21 | 中国农业科学院植物保护研究所 | 一种采用人工饲料循环灭菌法饲养捕食性蝽的装置及方法 |
CN111226652A (zh) * | 2020-04-10 | 2020-06-05 | 山东省植物保护总站 | 一种天敌昆虫配套式工厂生产的温室 |
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2006
- 2006-09-21 JP JP2006255386A patent/JP2008072945A/ja active Pending
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CN111226652B (zh) * | 2020-04-10 | 2024-05-28 | 山东省植物保护总站 | 一种天敌昆虫配套式工厂生产的温室 |
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