JP2008071537A - 固体酸化物形燃料電池用電極及び固体酸化物形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子伝導性を有する電子伝導材と、酸素イオン伝導性を有するイオン伝導材を有する固体酸化物形燃料電池用電極1において、イオン伝導パス1bとして機能するイオン伝導材中に、電子伝導材から成り、電気的に連続したパターンを有する電子伝導パス1aを形成する。
【選択図】図1
Description
電極自身のオーミック抵抗、反応抵抗の大きさは、電極中に形成されている電子伝導パス及びイオン伝導パスの状態に大きく影響される。
また、低温域においても反応場面積と導電特性を確保して十分な電極性能を発揮させるために、金属粒子としてのNi粒子同士が互いに接触し合うと共に、このNi粒子の表面に付着された混合伝導性複合酸化物粒子としてのSDC(サマリウムドープトセリア)粒子同士が互いに接触し合うようにし、SDC粒子によるNi粒子の表面被覆率を75〜95%とし、常温における比抵抗を1×10−4Ω・cm以下にすることが提案されている。
また、電極のオーミック抵抗を下げるには、例えばNiのような電子伝導材の量が電極の体積の50%以上を占めるような割合が必要となるため、電子伝導材の量が多くなってしまい、コストが高くなるという問題があった。
一方、空気極として使用する場合のイオン伝導材としては、LSC(La1−XSrXCoO3)、SSC(Sm1−XSrXCoO3)などのコバルト系酸化物や、LSM(La1−XSrXMnO3)などのランタンマンガン系酸化物等を用いることができる。
さらに、NiやAg等、一般に高価な金属材料から成る電子伝導材の使用量を大幅に減らすことができ、電池のコスト低減が可能になる。また、電極材料粉を混合・分散させる従来の製法に較べて、セル製造時の電極形成の歩留りが向上し、再現性よくセルの製造ができるようになる。
すなわち、電子伝導パス幅が1μmに満たない場合は、十分な電子伝導性を確保することができず、100μmを超えた場合には、電極中に占める電子伝導材の割合が多くなって、電極性能が劣化する傾向がある。
また、図7に示すように、電子伝導パス11aを縞状パターンに形成した第1層電極11の上に、同じパターンの第2層電極11´を90°だけ回転させて形成することにより、横方向及び縦方向にそれぞれ断続する第1層の電子伝導パス11aと第2層の電子伝導パス11a´とを連結して、同様に電解質表面から電気的に連続する電子伝導パス11a−11a´とすることができる。
このように、同じパターンを有する電極層を積層するようにすれば、パターンの成形型を変更することなく、多層構造の電極を積層することができる。
すなわち、図9は、電子伝導パス11aを縞状に形成して成る第1層電極11の上に、六角メッシュ状の電子伝導パス12aを備えた第2層電極12を積層したものであって、積層界面において縞状の電子伝導パス11aと六角メッシュ状の電子伝導パス12aが連結されることによって、電解質表面から電気的に連続した電子伝導パス11a−12aが形成されることになる。
すなわち、電解質2の上に形成された格子状の電子伝導パス1aを有する電極1の表面に、電極1と同じ電子伝導材及びイオン伝導材から成り、線状の電子伝導パス14aを有する層14、あるいは電子伝導材のみから成り、電子伝導パス14aとして機能する層14を断続的に成膜する。
このように、ガス流路21を電極1の側に設けることによって、セパレータ20の形状を単純なものとすることができる。
すなわち、従来構造の電極の場合には、集電体によって電極の全面を覆うようにしないと集電効率が劣化するが、本発明の燃料電池用電極1においては、電極内に連続的パターンに形成された電子伝導パス1aによって、電極面方向の集電が可能となることから、集電体22を電極1の周縁部において電子伝導パス1aに接触させるだけで十分な集電を行うことができ、セル体積を小さくして、体積出力密度が向上することができる。
なお、パターニングに際して、製法によっては、例えばインクジェット法などのように、電子伝導パスとイオン伝導パスとを同時に形成する場合と、マスキングして、一方を形成してから、他方を形成するようにする場合もある。
上記補助電子伝導パス1eを形成するための電極の製造法としては、湿式の印刷法やスプレー法が望ましい。すなわち、湿式法によって電極を成膜したのち、焼結を行うことによって当該電極中に気孔が生成されるので、電子伝導材の前駆体溶液を電極表面に塗布することによって、当該溶液が気孔を通じて電極構造中に浸入することから、これを焼成することによって電子伝導材が凝集し、比較的短距離の補助電子伝導パス1eが形成される。
また、電子伝導相とイオン伝導相の接点を増やす観点から、上記電子伝導パスの幅に対する当該補助電子伝導パスの幅の比が、0.001〜0.3の範囲内であることが望ましい。
電解質基板2として、厚さ500μmのYSZを用い、この表面に、スクリーン印刷法によって、電子伝導材としてのNiをパターン成形し、図1に示したような格子状をなす電子伝導パス1aを形成した。
なお、格子状をなす上記電子伝導パス1aの幅は50μm、隣接する各電子伝導パス間の距離を100μmとした。
空気極の焼成後、電子伝導材の前駆体としての濃度0.01Mの硝酸ニッケル溶液を数回に分けて徐々に燃料極1の表面に滴下し、2時間かけて当該前駆体溶液を燃料極中に含浸させた。そして、700℃で熱処理することによって、電子伝導相Niとイオン伝導相YSZ相(イオン伝導パス1b)の間に、Niから成る補助電子伝導パス1eを50μmの幅に形成して、本例の固体電解質形燃料電池を作製した。
上記実施例1と同様に、電解質基板2として、厚さ500μmのYSZを用い、Ni及びYSZ粉末を70:30の質量比で混合した燃料極スラリーをスクリーン印刷法によって、上記電解質基板2の上に塗布し、1300℃で燒結することにより、Ni−YSZサーメットから成る燃料極を15μmの厚さに形成した。
次いで、上記電解質基板2の裏面側に、上記実施例1の場合と同様に、LSMから成る空気極を15μmの厚さに形成して、当該比較例に係わる固体電解質形燃料電池を作製した。
上記で得られた実施例1及び比較例の電池を用いて、燃料極と空気極に、それぞれ5%加湿水素と空気とを供給し、発電性能を調査した(発電温度:600℃、セル外径:30mm)。
その結果、上記実施例1による電池における燃料極の抵抗(オーミック抵抗+反応抵抗)は、インピーダンスアナライザを用い、参照極をつけることによって、空気極と燃料極の抵抗分離を行った。その結果として、比較例による電池に較べて約50%低減していることが確認された。
電解質基板2として、厚さ500μmの8YSZ(8モル%イットリウム安定化ジルコニア)を用い、この表面に、スパッタリング法によって、上記実施例1と同様の材料から成り、同様のパターンを有する第1層電極1を4μmの厚さに形成した後、さらにこの上に、図6に示したように同様のパターンの第2層電極1´を時計回り方向に30℃回転させた状態に4μmの厚さに形成し、都合8μmの燃料極を形成した。
そして、上記電解質基板2の裏面側に、同じくスパッタリング法によってLSMから成る空気極を6μmの厚さに形成した。
上記で得られた実施例2の電池について、上記同様の発電試験を行い、上記比較例の電池と比較した。
その結果、上記実施例2による電池における燃料極の抵抗(オーミック抵抗+反応抵抗)は、比較例による電池に較べて約60%低減していることが確認された。
1a、1a´、11a、11a´、12a、13a 電子伝導パス(電子伝導材)
1b、1b´、11b、11b´、12b、13b イオン伝導パス(イオン伝導材)
1c 熱応力緩和部
1d 空洞
1e 補助電子伝導パス
2 電解質
21 ガス流路
22 集電体
Claims (19)
- 電子伝導性を有する電子伝導材と、酸素イオン伝導性を有するイオン伝導材を備え、上記イオン伝導材から成るイオン伝導パスの間に、上記電子伝導材が電気的に連続したパターンを有する電子伝導パスを形成していることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用電極。
- 上記電子伝導パスの幅が1〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 上記電子伝導材及びイオン伝導材とは異なる熱膨張係数を備えた材料から成る熱応力緩和部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 上記電子伝導パス間に、空洞部を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 積層構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 各層の電子伝導パスが同じパターンを有し、同じパターンが層毎にずれていることを特徴とする請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 同じパターンの各層が回転方向にずれていることを特徴とする請求項6に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 同じパターンの各層が平行方向にずれていることを特徴とする請求項6に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 隣接する層同士のパターンが異なることを特徴とする請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 電解質から離間するにしたがって各層における電子伝導材の含有量が増加していることを特徴とする請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- ガス流の上流側に向けて積層厚さが増加していることを特徴とする請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- ガス流路を備えていることを特徴とする請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 上記電子伝導パスが周縁部において集電体と電気的に接触していることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 電子伝導材から成る補助電子伝導パスを備えていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つの項に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 上記補助電子伝導パスの幅が10nm〜5μmであることを特徴とする請求項14に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 上記電子伝導パスの幅に対する補助電子伝導パスの幅の比が0.001〜0.3であることを特徴とする請求項14又は15に記載の固体酸化物形燃料電池用電極。
- 請求項1〜16のいずれか1つの項に記載の電極における電子伝導材及びイオン伝導材をパターニングするに際して、インクジェット法、スクリーン印刷法、スパッタ法、スプレー法及び真空蒸着法のいずれかの方法、又はこれら方法の2種以上を組み合わせた方法を用いることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用電極の製造方法。
- 請求項14〜16のいずれか1つの項に記載の電極における補助電子伝導パスを製造するに際して、溶液含浸法、スプレー法及びディピング法のいずれかによって電子伝導材の前駆体溶液を流し込んだのち、焼結することを特徴とする固体酸化物形燃料電池用電極の製造方法。
- 請求項1〜16のいずれか1つの項に記載の電極を備えたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
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