以下図面を参照しながら、本発明に係る電気光学装置用基板及び電気光学装置、並びに電子機器の各実施形態を説明する。尚、本実施形態では、電気光学装置の一例として、駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例に挙げる。
<第1実施形態>
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶装置の平面図であり、図2は、図1のH−H´線断面図である。
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されている。TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素部が設けられる、本発明に係る「表示領域」の一例としての画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(即ち、基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。本実施形態に係る液晶装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
TFTアレイ基板10は例えば石英基板、ガラス基板、シリコン基板等の透明基板である。対向基板20もTFTアレイ基板10と同様に透明基板である。
TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜が設けられている。例えば、画素電極9aはITO膜などの透明導電膜からなり、配向膜は、ポリイミド膜などの有機膜からなる。
対向基板20には、その全面に渡って対向電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は例えば、ITO膜などの透明導電膜からなる。配向膜22は、ポリイミド膜などの有機膜からなる。
対向基板20には、格子状又はストライプ状の遮光膜23が設けられている。このような構成を採ることで、後述する遮光部500と併せ、TFTアレイ基板10側からの入射光のチャネル領域1a´ないしその周辺への侵入をより確実に阻止することができる。
このように構成され、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜により所定の配向状態をとる。
尚、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等の駆動回路に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
次に、本実施形態に係る液晶装置の画素部の電気的な接続構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
図3において、画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素の各々には、画素電極9a及び本発明に係る「トランジスタ」の一例であるTFT30が形成されている。TFT30は、画素電極9aに電気的に接続されており、液晶装置の動作時に画素電極9aをスイッチング制御する。画像信号が供給されるデータ線6aは、TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、本実施形態に係る液晶装置は、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snが所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。
液晶層50を構成する液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。ここで保持された画像信号がリークすることを防ぐために、画素電極9aと対向電極21(図2参照)との間に形成される液晶容量と並列に、本発明に係る「容量素子」の一例である蓄積容量70aが電気的に接続されている。蓄積容量70aは、画像信号の供給に応じて各画素電極9aの電位を一時的に保持する保持容量として機能する。蓄積容量70aによれば、画素電極9aにおける電位保持特性が向上し、コントラスト向上やフリッカの低減といった表示特性の向上が可能となる。
次に、上述の動作を実現する画素部の具体的な構成について、図4及び図5を参照して説明する。ここに図4は、相隣接する複数の画素部の平面図である。図5は、図4のA−A´線断面図である。尚、図4及び図5では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。図4及び図5では、説明の便宜上、画素電極9aより上側に位置する部分の図示を省略している。図5において、TFTアレイ基板10から画素電極9aまでの部分が、本発明に係る「電気光学装置用基板」の一例を構成している。
図4において、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aは、画素電極9aが夫々設けられた複数の画素によって構成されている。
複数の画素電極9aは、TFTアレイ基板10上に、本発明に係る「所定画素ピッチ」の一例としての画素ピッチD1でマトリクス状に配列されている。画素電極9aの縦横の境界にそれぞれ沿ってデータ線6a及び走査線3aが設けられている。走査線3aは、X方向に沿って延びており、データ線6aは、走査線3aと交差するように、Y方向に沿って延びている。走査線3a及びデータ線6aが互いに交差する個所の各々には画素スイッチング用のTFT30が設けられている。
走査線3a、データ線6a、蓄積容量70a、下側遮光膜11a、中継層93及びTFT30は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、画素電極9aに対応する各画素の開口領域(即ち、各画素において、表示に実際に寄与する光が透過又は反射される領域)を囲む非開口領域内に配置されている。尚、走査線3a、蓄積容量70a、データ線6a及び下側遮光膜11aは、本発明に係る「遮光部」の一例としての後述する遮光部500を構成している。走査線3a、蓄積容量70a、データ線6a及び下側遮光膜11aの各々は、上述した非開口領域を部分的に規定している。言い換えれば、走査線3a、蓄積容量70a、データ線6a及び下側遮光膜11aからなる遮光部が形成された領域が非開口領域となる。TFT30は、走査線3a及びデータ線6aが互いに交差する交差領域毎に、該交差領域に部分的に重なるように設けられている。
図4及び図5において、TFT30は、半導体層1aと、ゲート電極とされる走査線3aの一部とを備えている。
半導体層1aは、例えばポリシリコンからなり、Y方向に沿ったチャネル長を有するチャネル領域1a´、データ線側LDD領域1b及び画素電極側LDD領域1c、並びにデータ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極線側ソースドレイン領域1eからなる。即ち、TFT30はLDD構造を有している。尚、データ線側LDD領域1bは、本発明に係る第1の接合領域の一例であり、画素電極側LDD領域1cは、本発明に係る第2の接合領域の一例である。
データ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極線側ソースドレイン領域1eは、チャネル領域1a´を基準として、Y方向に沿ってほぼミラー対称に形成されている。データ線側LDD領域1bは、チャネル領域1a´及びデータ線側ソースドレイン領域1d間に形成されている。画素電極側LDD領域1cは、チャネル領域1a´及び画素電極線側ソースドレイン領域1e間に形成されている。データ線側LDD領域1b、画素電極側LDD領域1c、データ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極線側ソースドレイン領域1eは、例えばイオンプランテーション法等の不純物打ち込みによって半導体層1aに不純物を打ち込んでなる不純物領域である。データ線側LDD領域1b及び画素電極側LDD領域1cはそれぞれ、データ線側ソースドレイン領域1d及び画素電極線側ソースドレイン領域1eよりも不純物の少ない低濃度な不純物領域として形成される。このような不純物領域によれば、TFT30の非動作時において、ソース領域及びドレイン領域に流れるオフ電流を低減し、且つTFT30の動作時に流れるオン電流の低下を抑制できる。尚、TFT30は、LDD構造を有することが好ましいが、データ線側LDD領域1b、画素電極側LDD領域1cに不純物打ち込みを行わないオフセット構造であってもよいし、ゲート電極をマスクとして不純物を高濃度に打ち込んでデータ線側ソースドレイン領域及び画素電極線側ソースドレイン領域を形成する自己整合型であってもよい。
図4及び図5に示すように、TFT30のゲート電極は、走査線3aの一部として形成されており、例えば導電性ポリシリコンから形成されている。走査線3aは、X方向に沿って延びる本線部分と共に、TFT30のチャネル領域1a´のうち該本線部分が重ならない領域と重なるようにY方向に沿って該本線部分から両側に延在する部分を有している。このような走査線3aのうちチャネル領域1a´と重なる部分がゲート電極として機能する。ゲート電極及び半導体層1a間は、ゲート絶縁膜2(より具体的には、2層の絶縁膜2a及び2b)によって絶縁されている。
TFT30の下側に下地絶縁膜12を介して格子状に設けられた下側遮光膜11aは、TFTアレイ基板10側から装置内に入射する戻り光からTFT30のチャネル領域1a´及びその周辺を遮光する遮光部の一部として機能する。下側遮光膜11aは、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo、Pd等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。
下地絶縁膜12は、下側遮光膜11aからTFT30を層間絶縁する機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用TFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。
図5において、TFTアレイ基板10上のTFT30よりも層間絶縁膜41を介して上層側には、蓄積容量70aが設けられている。蓄積容量70aは、下部容量電極71m及び上部容量電極300が誘電体膜75aを介して対向配置されることにより形成されている。
上部容量電極300は、TFT30の画素電極線側ソースドレイン領域1e及び画素電極9aに電気的に接続された画素電位側容量電極である。より具体的には、上部容量電極300は、コンタクトホール84aを介して中継層93に電気的に接続されており、中継層93と共に画素電極線側ソースドレイン領域1e及び画素電極9a間の電気的な接続を中継する。加えて、中継層93は、中継層93の一部である凸部93a及び当該凸部93aに電気的に接続されたコンタクトホール85aを介して画素電極9aに電気的に接続されている。従って、画素電極9a及び上部容量電極300は、電気的に接続されている。
上部容量電極300は、例えば金属又は合金を含んでTFT30の上側に設けられた非透明な金属膜である。上部容量電極300は、TFT30を遮光する遮光部の一部としても機能する。上部容量電極300は、Al(アルミニウム)、Ag(銀)等の金属を含んで形成されている。
尚、上部容量電極300は、本発明に係る「導電性遮光膜」として、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Pd(パラジウム)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したものから構成されていてもよい。この場合には、上部容量電極300の上側遮光膜としての機能を一層高めることができる。
下部容量電極71mは、画素電極9aが配置された画像表示領域10aからその周囲に延設されている。下部容量電極71mは、定電位源と電気的に接続され、固定電位に維持された固定電位側容量電極である。
下部容量電極71mも、上部容量電極300と同様に非透明な金属膜である。従って、蓄積容量70aは、金属膜−誘電体膜(絶縁膜)−金属膜の3層構造を有する、所謂MIM構造を有している。ここで、下部容量電極71mは、複数の画素に亘って延在され、これら複数の画素によって共用される。
本実施形態では、下部容量電極71mが金属膜として形成されているので、半導体を用いて下部容量電極71mを構成する場合に比べて液晶装置の駆動時に、当該液晶装置全体で消費される消費電力を低減でき、且つ各画素部における素子の高速動作が可能になる。従って、本実施形態に係る液晶装置は、高品位の画像表示が可能である。
誘電体膜75aは、例えばHTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜、或いは窒化シリコン膜等から構成された単層構造、或いは多層構造を有している。
図5において、TFTアレイ基板10上の蓄積容量70aよりも層間絶縁膜42を介して上層側には、データ線6a及び中継層93が設けられている。
データ線6aは、半導体層1aのデータ線側ソースドレイン領域1dに、層間絶縁膜41及び42並びにゲート絶縁膜2を貫通するコンタクトホール81aを介して電気的に接続されている。データ線6a及びコンタクトホール81a内部は、例えば、Al−Si−Cu、Al−Cu等のAl(アルミニウム)含有材料、又はAl単体、若しくはAl層とTiN層等との多層膜からなる。データ線6aは、TFT30を遮光する遮光部の一部として機能する。
中継層93は、層間絶縁膜42上においてデータ線6aと同層に形成されている。データ線6a及び中継層93は、例えば金属膜等の導電材料で構成される薄膜を層間絶縁膜42上に薄膜形成法を用いて形成しておき、当該薄膜を部分的に除去、即ちパターニングすることによって相互に離間させた状態で形成される。従って、データ線6a及び中継層93を同一工程で形成できるため、装置の製造プロセスを簡便にできる。
図5において、画素電極9aは、データ線6aよりも層間絶縁膜43を介して上層側に形成されている。画素電極9aは、上部容量電極300、コンタクトホール83a、84a及び85a、並びに中継層93を介して半導体層1aの画素電極線側ソースドレイン領域1eに電気的に接続されている。コンタクトホール85aは、層間絶縁層43に開孔された孔部の内壁にITO等の画素電極9aを構成する導電材料が成膜されることによって形成されている。画素電極9aの上側表面には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜が設けられている。
以上に説明した画素部の構成は、図4に示すように、各画素部に共通である。画像表示領域10a(図1参照)には、かかる画素部が画素ピッチD1でマトリクス状に形成されていることになる。他方、本実施形態に係る液晶装置では、画像表示領域10aの周囲に位置する周辺領域に、図1及び図2を参照して説明したように、走査線駆動回路104及びデータ線駆動回路101等の駆動回路が形成されている。
次に、本実施形態に係る液晶装置の遮光部の一部としての蓄積容量を構成する一対の容量電極の平面形状について、図6を参照して詳細に説明する。ここに図6は、本実施形態に係る液晶装置の蓄積容量を構成する一対の容量電極の平面形状を示す平面図である。尚、図6では、図4に示した画素部を構成する構成要素のうち、TFT30、走査線3a及び蓄積容量70aを拡大して示している。
図6に示すように、蓄積容量70aを構成する上部容量電極300は、データ線側LDD領域1bを覆う第1電極部分301と、画素電極側LDD領域1cを覆う第2電極部分302とを有している。よって、データ線側LDD領域1b及び画素電極側LDD領域1cに上層側から入射する光を、第1電極部分301及び第2電極部分302の各々によって遮光することができる。従って、データ線側LDD領域1b及び画素電極側LDD領域1cにおける光リーク電流の発生を低減できる。
本実施形態では特に、上部容量電極300における第2電極部分302は、第1電極部分301よりもX方向の幅が広くなるように構成されている。即ち、第2電極部分302のX方向の幅W1bは、第1電極部分301のX方向の幅W1aよりも広くなっている。尚、第1電極部分301の幅W1aは、後述する遮光部500における第1部分510の本線部511の幅に一致する。よって、画素電極側LDD領域1cに入射する光を、データ線側LDD領域1bに入射する光よりも確実に遮光できる。即ち、画素電極側LDD領域1cに到達する光を遮る遮光性を、データ線側LDD領域1bに到達する光を遮る遮光性よりも高める或いは強化することができる。ここで、本願発明者は、TFT30の動作時に、画素電極側LDD領域1cにおいて、データ線側LDD領域1bに比べて光リーク電流が相対的に発生しやすいと推察している。即ち、TFT30の動作時に、画素電極側LDD領域1cに光が照射された場合には、データ線側LDD領域1bに光が照射された場合よりも、TFT30における光リーク電流が発生しやすいと推察している。従って、第2電極部分302が第1電極部分301の幅W1aよりも広い幅W1bを有するように形成されることによって、光リーク電流が相対的に生じ易い画素電極側LDD領域1cに対する遮光性を高めることができ、TFT30に流れる光リーク電流を効果的に低減できる。逆に言えば、画素電極側LDD領域1cに比べて光リーク電流が相対的に発生しにくいデータ線側LDD領域1bを覆う第1電極部分301が、第2電極部分302よりも狭い幅を有するように形成されることによって、開口率の無駄な低下を防止できる。
即ち、第2電極部分302の幅W2aを、より広く形成することによって、光リーク電流が相対的に発生しやすい画素電極側LDD領域1cに対する遮光性を向上させつつ、第1電極部分301の幅W1aを、より狭く形成することによって、開口率の無駄な低下を防止できる。つまり、光リーク電流が発生しやすい画素電極側LDD領域1cに対する遮光性のみを、いわばピンポイントで高めることで、開口率の無駄な低下を招くことなく、トランジスタにおける光リーク電流を効果的に低減できる。
次に、本実施形態に係る液晶装置の遮光部について、図4から図6に加えて、主に図7を参照して説明する。ここに図7は、本発明に係る液晶装置の遮光部の平面レイアウトを示す平面図である。
図4から図7において、遮光部500は、上述した、走査線3a、蓄積容量70a、データ線6a及び下側遮光膜11aから構成されており、画素電極9a毎の開口領域9aaを互いに隔てる非開口領域を規定している。
遮光部500は、Y方向及びX方向の各々に沿って延びる第1部分510及び第2部分520を有している。尚、第1部分510は、本発明に係る「第1部分」の一例であり、第2部分520は、本発明に係る「第2部分」の一例である。遮光部500は、マトリクス状に配列された画素電極9a毎の開口領域9aaを互いに隔てるように、相隣接する画素電極9a間に、概ね格子状に形成されている。第1部分510は、Y方向に沿って延びるデータ線6aと下側遮光膜11aのうちY方向に沿って延びる部分とを含んで構成され、第2部分520は、X方向に沿って延びる走査線3aと下側遮光膜11aのうちX方向に沿って延びる部分とを含んで構成されている。更に、第1部分510及び第2部分520は夫々、蓄積容量70aを部分的に含んで構成されている。
図4及び図7に示すように、TFT30は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、遮光部500における第1部分510及び第2部分520が相互に交差する交差部分550と部分的に重なるように画素電極9a毎に設けられている。
本実施形態では特に、図6を参照して上述したように、蓄積容量70aを構成する上部容量電極300は、データ線側LDD領域1bを覆う第1電極部分301と、画素電極側LDD領域1cを覆う第2電極部分302とを有している。つまり、図7に示すように、遮光部500における第1部分510は、Y方向に沿って延びる本線部511と、該本線部511における画素電極側LDD領域1cと重なる部分からX方向に沿って両側に夫々延在する延在部512a及び512bとを有している。即ち、第2電極部分302の一部が延在部512a及び512bとして形成されている。よって、延在部512a及び512bによって、光リーク電流が相対的に発生しやすい画素電極側LDD領域1cに対する遮光性を向上させつつ、本線部511の幅W1aを狭く形成することによって、開口率の無駄な低下を防止できる。
更に、本実施形態では特に、画素ピッチD1は、12.0umであり、本線部511の幅W1a及び第2部分の幅W2はそれぞれ1.5umであり、延在部512aの長さLa及び幅W3aは夫々、1.5um及び3.5umであり、延在部512bの長さLb及び幅W3bは夫々、1.5um及び3.5umである。尚、本実施形態では、延在部512a及び512bの形状は互いに同じように形成されているので、以下では、適宜、延在部512a及び512bの各々を単に延在部512とも呼び、長さLa及びLbの各々を単に長さL、幅W3a及びW3bの各々を単に幅W3と夫々呼ぶこととする。また、本実施形態では、延在部512a及び512bの形状は、互いに同じになるように形成されているが、互いに異なるように形成してもよい。よって、例えばデータプロジェクタに実装される場合に要求される、例えば25%以上のような比較的高い透過率を実現することが可能となる。即ち、上述のように、画素ピッチD1を12.0um、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2の各々を1.5um、延在部512の長さLを1.5um、延在部512の幅W3を3.5umとすることで、開口率を70%以上とすることができ、例えばデータプロジェクタに要求される透過率25%以上を実現することが可能となっている。尚、画素ピッチD1、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2、並びに延在部512の長さL及び幅W3の組み合わせと開口率及び透過率との関係については、後に詳述する。
加えて、本実施形態では特に、延在部512の長さL及び幅W3の各々が1.5um及び3.5umであり、0.8um以上に設定されているので、上述したような画素電極側LDD領域1cに対する遮光性を実践上十分に高めることが可能である。また、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2の各々が1.5umであり、0.5um以上に設定されているので、相隣接する画素電極9a間の領域における液晶分子の配向不良に起因した光抜け等の表示上の不具合を実践上十分に低減或いは防止できる。また、画素ピッチD1が12.0umであり、12.0um以下に設定されているので、画像表示領域10a(図1参照)における高精細な表示を実現しつつ、装置の小型化も可能となる。
更に加えて、本実施形態によれば、上述したように、開口率を70%以上に高めることができるので、明るい表示が可能となる。よって、本実施形態に係る液晶装置では、上述した従来技術の如きマイクロレンズを設ける必要がなく、仮にマイクロレンズを設けた場合に生じ得る、マイクロレンズによって集光される光の熱によって液晶層50や配向膜等にダメージを与えてしまう事態を回避することができる。これにより、装置の信頼性が向上する。更に、マイクロレンズを設けないことによって、マイクロレンズを設けた場合と比較して、装置を製造するための製造コストの低減を図ることも可能である。
ここで、図8及び図9を参照して、画素ピッチD1、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2、並びに延在部512の長さL及び幅W3の組み合わせと開口率及び透過率との関係について説明する。ここに図8(a)は、画素ピッチ、遮光部の第1部分の本線部の幅、遮光部の第2部分の幅並びに延在部の長さ及び幅の組み合わせと開口率との関係を示すグラフであり、図8(b)は、図8(a)に示したグラフに対応する数値データを示す表である。図9(a)は、画素ピッチ、遮光部の第1部分の本線部の幅、遮光部の第2部分の幅並びに延在部の長さ及び幅の組み合わせと透過率との関係を示すグラフであり、図9(b)は、図9(a)に示したグラフに対応する数値データを示す表である。
図8(a)及び図8(b)において、データE1、E2及びE3は、延在部512の長さL及び幅W3がそれぞれ1.5um及び3.5umである場合における、画素ピッチD1(単位はum)と開口率(単位は%)との関係を示している。データE1では、本線部511の幅W1aが1.25um、第2部分512の幅W2が1.5umに設定されており、データE2では、本線部511の幅W1a及び第2部分512の幅W2のいずれもが1.5umに設定されており、データE3では、本線部511の幅W1a及び第2部分512の幅W2のいずれもが1.75umに設定されている。
図9(a)及び図9(b)において、データT1、T2及びT3は、延在部512の長さL及び幅W3がそれぞれ1.5um及び3.5umである場合における、画素ピッチD1(単位はum)と透過率(単位は%)との関係を示している。データT1では、図8(a)におけるデータE1に対応して、本線部511の幅W1aが1.25um、第2部分512の幅W2が1.5umに設定されており、データT2では、図8(a)におけるデータE2に対応して、本線部511の幅W1a及び第2部分512の幅W2のいずれもが1.5umに設定されており、データT3では、図8(a)におけるデータE2に対応して、本線部511の幅W1a及び第2部分512の幅W2のいずれもが1.75umに設定されている。
図8(a)及び図8(b)において、本実施形態では特に、上述したように画素ピッチD1が12.0um、本線部511の幅W1a及び第2部分の幅W2の各々が1.5um、延在部512の長さLが1.5um、延在部512の幅W3が3.5umであるので、開口率は、データE2におけるデータ点P1に相当し、72.92%となる。また、図9(a)及び図9(b)において、本実施形態における透過率は、データT2におけるデータ点P1tに相当し、25.14%となる。このように本実施形態によれば、例えばデータプロジェクタに必要とされる透過率(図中、「データ系に必要な透過率」)である25%以上を実現することが可能である、即ち、開口率を、透過率25%以上が実現できる値である70%以上とすることが可能である。
尚、図8及び図9において、画素ピッチD1、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2、並びに延在部512の長さL及び幅W3の組み合わせを、画素ピッチD1は8.5um以上且つ12.0um以下の範囲内で、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2の各々は0.5um以上且つ1.5um以下の範囲内で、延在部512の長さL及び幅W3の各々は、0.8um以上且つ3.5um以下の範囲内で且つ延在部512の面積が5.25um2(=1.5um×3.5um)以下となるように、設定してもよい。この場合には、データ範囲P2に相当し(図8(b)参照)、開口率を確実に60%以上とすることが可能となる。この際の透過率は、データ範囲P2tに相当し(図9(b)参照)、例えばリアプロジェクションテレビに必要とされる透過率(図中、「PTV系に必要な透過率」)である20%以上を確実に実現することができる。
図10(a)は、図8(a)とは異なる、画素ピッチD1、遮光部500の第1部分510の本線部511の幅W1a、遮光部500の第2部分520の幅W2並びに延在部512の長さL及び幅W3の組み合わせと開口率との関係を示すグラフであり、図10(b)は、図10(a)に示したグラフに対応する数値データを示す表である。
図10(a)及び図10(b)において、データE4、E5、E6及びE7は、延在部512の長さL及び幅W3がそれぞれ0.8um及び1.0umである場合における、画素ピッチD1(単位はum)と開口率(単位は%)との関係を示している。データE4では、本線部511の幅W1a及び第2部分512の幅W2のいずれもが0.5umに設定されており、データE5では、本線部511の幅W1a及び第2部分512の幅W2のいずれもが0.6umに設定されており、データE6では、本線部511の幅W1a及び第2部分512の幅W2のいずれもが0.8umに設定されており、データE7では、本線部511の幅W1a及び第2部分512の幅W2のいずれもが1.25umに設定されている。
図10(a)及び図10(b)において、画素ピッチD1、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2、並びに延在部512の長さL及び幅W3の組み合わせを、延在部512の長さL及び幅W3の各々は、0.8um及び1.0umに設定すると共に、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2はいずれも、0.5umに設定し、画素ピッチD1が3.0um以上且つ10um以下の範囲内となるように設定してもよい。この場合には、データ範囲P3に相当し(図10(b)参照)、開口率を確実に60%以上とすることが可能となる。よって、例えばリアプロジェクションテレビに必要とされる透過率である20%以上を確実に実現することができる。
或いは、図10(a)及び図10(b)において、画素ピッチD1、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2、並びに延在部512の長さL及び幅W3の組み合わせを、延在部512の長さL及び幅W3の各々は、0.8um及び1.0umに設定すると共に、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2はいずれも、0.6umに設定し、画素ピッチD1が3.5um以上且つ10um以下の範囲内となるように設定してもよい。この場合には、データ範囲P4に相当し(図10(b)参照)、開口率を確実に60%以上とすることが可能となる。よって、例えばリアプロジェクションテレビに必要とされる透過率である20%以上を確実に実現することができる。
或いは、図10(a)及び図10(b)において、画素ピッチD1、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2、並びに延在部512の長さL及び幅W3の組み合わせを、延在部512の長さL及び幅W3の各々は、0.8um及び1.0umに設定すると共に、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2はいずれも、0.8umに設定し、画素ピッチD1が4.5um以上且つ10um以下の範囲内となるように設定してもよい。この場合には、データ範囲P5に相当し(図10(b)参照)、開口率を確実に60%以上とすることが可能となる。よって、例えばリアプロジェクションテレビに必要とされる透過率である20%以上を確実に実現することができる。
或いは、図10(a)及び図10(b)において、画素ピッチD1、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2、並びに延在部512の長さL及び幅W3の組み合わせを、延在部512の長さL及び幅W3の各々は、0.8um及び1.0umに設定すると共に、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2はいずれも、1.25umに設定し、画素ピッチD1が6.0um以上且つ10um以下の範囲内となるように設定してもよい。この場合には、データ範囲P6に相当し(図10(b)参照)、開口率を確実に60%以上とすることが可能となる。よって、例えばリアプロジェクションテレビに必要とされる透過率である20%以上を確実に実現することができる。
図8から図10を参照して例示した如く、画素ピッチD1を3.0um以上且つ12.0um以下の範囲内で、本線部511の幅W1a及び第2部分520の幅W2の各々を0.5um以上且つ1.5um以下の範囲内で、延在部512の長さL及び幅W3の各々を0.8um以上且つ3.5um以下の範囲内で、それぞれ設定することにより、例えばデータプロジェクタやリアプロジェクションテレビ等の表示装置に実装される場合に要求される、例えば25%或いは20%以上のような比較的高い透過率を容易且つ確実に実現することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態に係る電気光学装置用基板を備えた液晶装置によれば、TFT30における光リーク電流の発生を低減しつつ、高い透過率を実現可能である。
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。ここに図11は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。
図11に示すように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
尚、図11を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
また本発明は、上述の実施形態で説明した液晶装置以外にも、シリコン基板上に素子を形成する反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置用基板、該電気光学装置用基板を備えた電気光学装置、及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1a…半導体層、1a´…チャネル領域、1b…データ線側LDD領域、1c…画素電極側LDD領域、1d…データ線側ソースドレイン領域、1e…画素電極側ソースドレイン領域、3a…走査線、6a…データ線、9a…画素電極、9aa…開口領域、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、20…対向基板、21…対向電極、23…遮光膜、30…TFT、50…液晶層、70a…蓄積容量、71m…下部容量電極、81a、83a…コンタクトホール、101…データ線駆動回路、102…外部回路接続端子、104…走査線駆動回路、106…上下導通端子、300…上部容量電極、510…第1部分、511…本線部、512、512a、512b…延在部、520…第2部分、D1…画素ピッチ、W1a…本線部の幅、W2…第2部分の幅、W3、W3a、W3b…延在部の幅、La、Lb、L…延在部の長さ