JP2008069879A - リニアソレノイドの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温時にリニアソレノイドの電流値が過大になるのを防止し、また、コントローラの演算負荷を下げる。
【解決手段】変速機コントローラ6は、摩擦締結要素への供給油圧を目標油圧tPとするリニアソレノイド5の電流値を目標電流値tIsolに設定し、リニアソレノイド5の実電流値rIsolと目標電流値tIsol(tIsol*)の偏差Errに基づきリニアソレノイド5のデューティー比Dutyをフィードバック制御する。このとき、変速機コントローラ6は、温度補正部B22においてリニアソレノイド5の目標電流値tIsol(tIsol**)を変速機油温TMPに応じて補正する。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動変速機の油圧制御に用いられるリニアソレノイドの制御に関する。
クラッチ、ブレーキ等の摩擦締結要素の締結状態を変更することで変速段の切り換える自動変速機においては、摩擦締結要素を締結、解放する際、摩擦締結要素への供給油圧をリニアソレノイドによって直接制御することで、変速フィーリングを向上させることが行われている。摩擦締結要素への供給油圧はリニアソレノイドの実電流値に応じて変化するので、所望の供給油圧を実現するためには、実電流値を所望の供給油圧に対応して設定される目標電流値に一致させる必要がある。
この点に関し、特許文献1に記載の技術では、目標電流値に応じてリニアソレノイドのデューティー比をフィードフォワード制御するとともに、実電流値と目標電流値との偏差がゼロになるようにリニアソレノイドのデューティー比をフィードバック制御することで、実電流値を目標電流値に近づけている。
さらに、リニアソレノイドの電気抵抗が小さくなる低温時は、目標電流値に対応するデューティー比でリニアソレノイドを駆動しても目標電流値以上の電流が流れてしまうので、特許文献1では、リニアソレノイドの電気抵抗を演算し、これに応じてフィードフォワードゲインを変更している。これにより、目標電流値以上の電流がリニアソレノイドに流れることによって、摩擦締結要素の締結、解放のタイミングが早まるのを防止し、変速機がインターロック気味になったりエンジンが吹け上がったりするのを防止している。
特開平9−280411号公報
特許文献1に記載の技術によれば、低温時における実電流値と目標電流値の偏差を減らすことが可能である。しかしながら、演算される電気抵抗には誤差が含まれ、実際の電気抵抗よりも電気抵抗の演算値が大きい場合は、リニアソレノイドの実電流値が目標電流値よりも大きくなり、上記問題が生じる。また、リニアソレノイドの電気抵抗の演算を繰り返し行う必要があり、コントローラの演算負荷が大きい。
本発明は、このような従来技術の技術的課題を鑑みてなされたもので、低温時にリニアソレノイドの電流値が過大になるのを防止し、また、コントローラの演算負荷を下げることを目的とする。
本発明は、自動変速機の摩擦締結要素への供給油圧を制御するリニアソレノイドを備え、前記供給油圧を目標油圧とする前記リニアソレノイドの電流値を目標電流値に設定し、前記リニアソレノイドの実電流値と前記目標電流値の偏差に基づき前記リニアソレノイドのデューティー比をフィードバック制御するリニアソレノイドの制御装置に係り、前記変速機の油温を検出する変速機油温検出手段と、前記リニアソレノイドの前記目標電流値を前記変速機の油温に応じて補正する温度補正手段と、を備える。
リニアソレノイドの電気抵抗はその温度に応じて変化し、変速機油温はリニアソレノイドの温度に概ね連動して変化する。したがって、変速機油温に応じてリニアソレノイドの目標電流値を補正するようにすれば、温度変化によるリニアソレノイドの電気抵抗の変化を補償し、目標油圧を実現することができる。従来技術のようにリニアソレノイドの電気抵抗を演算する必要はなく、コントローラの演算負荷を下げることができる。
また、リニアソレノイドの温度は通常、変速機油温よりも早く上昇するので、変速機油温に応じて制御することで、リニアソレノイドの温度が低いときには上記制御が必ず行われるようになり(安全側で制御)、低温時に必要以上の電流がリニアソレノイドに流れ、摩擦締結要素の締結、解放のタイミングが早まってしまうのを確実に抑えることができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は自動変速機1を備えた車両の概略構成を示している。自動変速機1は内部の複数の摩擦締結要素(クラッチ、ブレーキ)2の締結状態を変更することで複数の変速段を切り換えることができる有段の自動変速機であり、エンジン3の回転を変速して図示しない駆動輪へと伝達する。
変速機1の油圧回路4にはリニアソレノイド5が設けられている。リニアソレノイド5は非通電時に全閉となるノーマルクローズタイプのリニアソレノイドであり、元圧から摩擦締結要素2への供給油圧を調製する。なお、この図では、1つの摩擦締結要素2と、これに対応する1つのリニアソレノイド5だけが描かれているが、複数の摩擦締結要素に対してそれぞれリニアソレノイドが設けられている。
変速機コントローラ6には、車速を検出する車速センサ7、アクセルペダルの位置(踏み込み量)を検出するアクセルペダル位置センサ8、セレクトレバーの位置を検出するインヒビタスイッチ9、リニアソレノイド5の実電流値を検出する電流計10、変速機1の油温TMPを検出する油温センサ11(変速機油温検出手段)からの検出値が入力される。
変速機コントローラ6は、変速機1の変速段が、車速、アクセルペダル位置、セレクトレバー位置に応じて所定の変速マップを参照して決定される目標変速段となるように、リニアソレノイド5をデューティー制御して摩擦締結要素2への供給油圧を制御し、摩擦締結要素2の締結状態を変更する。
具体的には、変速機コントローラ6は、摩擦締結要素2への供給油圧が所望の応答性で上昇あるいは下降するように目標油圧tPを設定し、さらにこの目標油圧tPを実現するリニアソレノイド5の電流値をテーブル検索により求め、これを目標電流値tIsolに設定する。そして、この目標電流値tIsolが実現されるようリニアソレノイド5の電流指令値cIsolを設定し、この電流指令値cIsolに基づきリニアソレノイド5のデューティー比Dutyをフィードフォワード制御する。さらに、目標電流値tIsolと電流計10で検出される実電流値rIsolとの偏差Errを求め、この偏差Errをゼロにするようにリニアソレノイド5のデューティー比Dutyをフィードバック制御する。
ところで、上記テーブル検索により設定される目標電流値tIsolは、リニアソレノイド5が十分に昇温しており、その電気抵抗が略一定になっているときの値である。したがって、冷間始動直後のようにリニアソレノイド5の温度が低いときは、リニアソレノイド5の電気抵抗が小さいため、上記テーブル検索により設定される目標電流値tIsolをそのまま電流指令値cIsolとしてリニアソレノイド5のデューティー比Dutyを設定すると、リニアソレノイド5の実電流値rIsolが目標電流値tIsolよりも大きくなり、摩擦締結要素2の締結、解放のタイミングが早まってしまう。摩擦締結要素2の締結、解放のタイミングが早くなると、変速機1がインターロック気味になったりエンジン3が吹け上がったりして、変速フィーリングを悪化させる
そこで、変速機コントローラ6は、変速機1の油温TMPが所定温度TMPth(例えば、60℃)よりも低い場合は、上記目標電流値tIsolを変速機1の油温TMPに応じて減少補正したものを電流指令値cIsolとすることで、低温時における実電流値rIsolと目標電流値tIsolとのずれを縮小する。
図2は、変速機コントローラ6が行う制御のうち、リニアソレノイド5の制御に関する部分を示している。
これについて説明すると、油圧・電流変換部B21では、摩擦締結要素2の目標油圧tPをテーブル参照によりリニアソレノイド5への目標電流値tIsolに変換する。電流指令値cIsolは、この目標電流値tIsolに、後述するフィードバック補正量FBを加算して目標電流値tIsol**とし、さらに温度補正部B22(温度補正手段)において、この目標電流値tIsol**を変速機油温TMPに応じて補正することで、算出される。
フィードバック制御部B23は、フィードバック量調整部B23aと、PI制御部B23bとで構成される。フィードバック量調整部B23aは、目標電流値tIsolに対して一次遅れ補正を施すものである。これは、リニアソレノイド5の実電流値rIsolが目標電流値tIsolに対して遅れて変化することに対応させたもので、これにより、目標電流値tIsolが変更された直後に目標電流値tIsolと実電流値rIsolとの偏差Errが大きくなってしまい、フィードバック補正量FBが過大になるのを防止する。PI制御部B23bは、微分器と積分器とで構成される一般的なPI制御器であり、一次遅れ補正後の目標電流値tIsol*と実電流値rIsolとの偏差Errを所望の応答性でゼロに近づけるためのフィードバック補正量FBを算出する。
温度補正部B22は、図3に示すテーブルを参照して、変速機油温TMPに応じた温度補正係数TmpCrtを設定し、フィードバック補正後の目標電流値tIsol**に温度補正係数TmpCrtを掛けて得られる値を電流指令値cIsolとして設定する。
図3に示すように、変速機油温TMPが所定温度TMPth(例えば60℃)よりも低いときは、変速機油温TMPの低下に比例して温度補正係数TmpCrtが小さくなり、所定温度TMPth以上では温度補正係数TmpCrtは1になる。すなわち、温度補正部B22は、変速機油温TMPが所定温度TMPthよりも低いときに目標電流値tIsolの減少補正を行い、それ以外では行わない。また、変速機油温TMPが所定温度TMPthよりも低いときは変速機油温TMPと目標電流値tIsolの補正量(=tIsol**-cIsol)は一次式で表すことができる比例関係となる。
電流・デューティー比変換部B24では、テーブル検索により電流指令値cIsolをリニアソレノイド5のデューティー比Dutyに変換する。デューティー比Dutyが大きくなるほどリニアソレノイド5に印加される電圧の平均値(ON時、OFF時通じての平均値)が高くなるので、リニアソレノイド5の実電流値rIsolが大きくなる。
電圧補正部B25では、リニアソレノイド5ON時に印加される電圧に応じてデューティー比Dutyを補正する。リニアソレノイド5ON時に印加される電圧が低くなると同じデューティー比であってもリニアソレノイド5に印加される電圧の平均値が下がり、リニアソレノイド5に流れる電流が少なくなるからである。したがって、リニアソレノイド5ON時に印加される電圧が低くなるほどデューティー比Dutyを増大補正する。
D/A変換部B26では、電圧補正後のデューティー比DutyをD/A変換し、リニアソレノイド5に出力する。これにより、リニアソレノイド5がデューティー比Dutyで駆動される。リニアソレノイド5の実電流値rIsolは電流計10によって検出され、A/D変換部B27においてD/A変換された後、フィードバック制御部B23に送られる。
続いて、上記制御を行うことによる作用効果を説明する。
上記制御においては、摩擦締結要素2への供給油圧を目標油圧tPとするリニアソレノイド5の電流値を目標電流値tIsolに設定し、リニアソレノイド5の実電流値rIsolと目標電流値(上記実施形態では一次遅れ補正後の目標電流値tIsol*)の偏差Errに基づきリニアソレノイド5のデューティー比Dutyをフィードバック制御する。このとき、変速機1の油温TMPを検出し、温度補正部B22により、リニアソレノイド5の目標電流値(上記実施形態ではフィードバック補正後のtIsol**)を変速機油温TMPに応じて補正する(請求項1に記載の発明)。
リニアソレノイド5の電気抵抗はその温度に応じて変化し、変速機油温TMPはリニアソレノイド5の温度に概ね連動して変化するので、変速機油温TMPに応じてリニアソレノイド5の目標電流値tIsol**を補正するようにすれば、温度変化によるリニアソレノイド5の電気抵抗の変化を補償し、目標油圧tPを実現することができる。このとき、従来技術のようにリニアソレノイド5の電気抵抗を繰り返し演算する必要はなく、変速機コントローラ6の演算負荷を低く抑えることができる。
また、リニアソレノイド5の温度は、通常、変速機油温TMPよりも早く上昇するので、変速機油温TMPに応じて制御することで、リニアソレノイド5の温度が低いときには上記制御が必ず行われるようになり、低温時に必要以上の電流がリニアソレノイド5に流れてしまい、摩擦締結要素2の締結、解放のタイミングが早まってしまうのを確実に抑えることができる。
なお、上記実施形態におけるリニアソレノイド5はノーマルクローズタイプである。また、リニアソレノイド5の電気抵抗の低下が問題となるのは、変速機油温TMPが低いときであるので、上記変速機油温TMPに応じた目標電流値tIsol**の補正は、変速機油温TMPが所定温度TMPthよりも低いときに行えば足りる(請求項2に記載の発明)。
上記実施形態では、リニアソレノイド5の実電流値rIsolと目標電流値tIsol*の偏差Errに基づき目標電流値tIsolを補正して目標電流値tIsol**とし、これを温度補正部B22において変速機油温TMPに応じて補正した後、リニアソレノイド5のデューティー比Dutyに変換するようにしている(請求項3に記載の発明)。これによれば、フィードバック補正量(FB、電流値)に対しても温度補償が行われ、制御の精度を高めることができる。
このとき、変速機油温TMPと目標電流値tIsol**の補正量を比例関係にする(請求項4に記載の発明)。リニアソレノイド5の電気抵抗はリニアソレノイド5の温度によって変化し、リニアソレノイド5の温度と変速機油温TMPは概ね連動して変化するので、このように目標電流値tIsol**の補正量を設定すれば、リニアソレノイド5の電気抵抗による影響を高い精度で補償することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。本発明は摩擦締結要素への供給油圧をリニアソレノイドにより制御する構成の自動変速機であれば適用することができる。
自動変速機を備えた車両の概略構成図である。 変速機コントローラの制御ブロック図であり、特に、リニアソレノイドの制御に関する部分を示している。 変速機油温と温度補正係数の関係を示したテーブルである。
符号の説明
1 自動変速機
2 摩擦締結要素
4 油圧回路
5 リニアソレノイド
6 変速機コントローラ
7 車速センサ
8 アクセルペダル位置センサ
9 インヒビタスイッチ
10 電流計
11 油温センサ(変速機油温検出手段)
B22 温度補正部(温度補正手段)

Claims (4)

  1. 自動変速機の摩擦締結要素への供給油圧を制御するリニアソレノイドを備え、前記供給油圧を目標油圧とする前記リニアソレノイドの電流値を目標電流値に設定し、前記リニアソレノイドの実電流値と前記目標電流値の偏差に基づき前記リニアソレノイドのデューティー比をフィードバック制御するリニアソレノイドの制御装置において、
    前記変速機の油温を検出する変速機油温検出手段と、
    前記リニアソレノイドの前記目標電流値を前記変速機の油温に応じて補正する温度補正手段と、
    を備えたことを特徴とするリニアソレノイドの制御装置。
  2. 前記リニアソレノイドはノーマルクローズタイプであり、
    前記温度補正手段は、前記変速機の油温が所定温度よりも低いときに前記リニアソレノイドの前記目標電流値を前記変速機の油温に応じて補正することを特徴とする請求項1に記載のリニアソレノイドの制御装置。
  3. 前記リニアソレノイドの実電流値と前記目標電流値の偏差に基づき前記目標電流値を補正し、これを前記温度補正手段によって前記変速機の油温に応じて補正した後、前記リニアソレノイドのデューティー比に変換することを特徴とする請求項2に記載のリニアソレノイドの制御装置。
  4. 前記変速機の油温と前記目標電流値の補正量が比例関係にあることを特徴とする請求項3に記載のリニアソレノイドの制御装置。
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