以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.回胴式遊技機の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.電気的構成:
B.遊技の概要:
C.制御の概要:
C−1.遊技状態設定処理:
D.ROMの取り付け構造:
E.変形例:
E−1.第1変形例:
E−2.第2変形例:
E−3.第3変形例:
A.回胴式遊技機の装置構成 :
A−1.全体構成 :
図1は、回胴式遊技機1(以下、「遊技機1」と略記)の外観を示す正面図である。図1に示すように、遊技機1には、箱状に形成された筐体3と、筐体3の前面側を覆うようにして設けられた前面扉2などが設けられている。前面扉2は、実際に遊技が行われる中段の領域と、遊技の進行に応じて種々の演出が行われる上段の領域2uと、遊技メダルが払い出される下段の領域2dとの大きく3つの領域から構成され、更に中段の領域は、遊技の状態を表示するための遊技状態表示部2maと、遊技を行うための操作部2mbとから構成されている。
上段の領域2uには、中央に演出表示装置10が設けられ、演出表示装置10の左右にはスピーカ14が設けられ、演出表示装置10およびスピーカ14の上方には、各種のランプ類12が設けられている。演出表示装置10は、いわゆる液晶表示装置によって構成されており、遊技の進行状況に合わせて種々の図柄を表示して演出を行うことが可能となっている。
前面扉2の中段に設けられた遊技状態表示部2maの中央には、大きな表示窓20が設けられており、内部に設けられた3つの回胴20a、20b、20cが回転する様子を視認可能となっている。また、表示窓20の左右および下方には、遊技の状態を表示する各種の表示パネル類22が設けられている。
前面扉2の中段下方に設けられた操作部2mbは、手前に向かって突出した形状に形成されており、上面には、遊技メダルを投入するための遊技メダル投入口30と、クレジットとして貯留されている遊技メダルを1枚だけ投入するための一枚投入ボタン32と、貯留されている遊技メダルを3枚投入するための三枚投入ボタン34などが設けられている。尚、遊技メダルの貯留とは、遊技メダル投入口30に投入された遊技メダルの枚数が規定数(1ゲームに要する遊技メダル枚数の上限)を超えた場合にその超えた分をデータとして記憶しておく、あるいは、遊技メダルを実際に払い出す代わりにメダルの払い出し枚数をデータとして記憶しておくことをいう。また、操作部2mbの前面には、遊技メダルの投入後に回胴20a、20b、20cの回転を開始するためのスタートレバー36と、3つの回胴20a、20b、20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38cなどが設けられている。また、操作部2mbには、上面に精算ボタン40および返却ボタン42が設けられている。ここで、精算ボタン40とは、遊技機1の内部に貯留されている遊技メダルを外部に払い出す際に操作するボタンである。遊技メダルの投入後も、スタートレバー36を操作して回胴20a、20b、20cの回転を開始するまでの間であれば、投入済みの遊技メダルも精算ボタン40を操作することによって払い出すことが可能である。また、返却ボタン42とは、投入した遊技メダルが遊技機1の内部で詰まった場合に、メダルの詰まりを解消するために操作されるボタンである。
前面扉2の下段の領域2dには、遊技メダルが払い出される遊技メダル払出口50と、払い出された遊技メダルを受け止める受け皿52などが設けられている。
図2は、前面扉2を開いて遊技機1の内部の構成を示した斜視図である。前面扉2の裏面側上部には、サブ制御基板ユニット102が設けられており、その左右には一対のスピーカ14が取り付けられている。サブ制御基板ユニット102の内部には、後述するサブ制御基板220が格納されており、図1に示した演出表示装置10や、各種ランプ類12、スピーカ14などを用いて行われる各種演出の制御を司っている。
前面扉2のほぼ中央には表示窓20が設けられており、その下方には、後述する扉基板240が格納された扉基板ユニット104が設けられている。また、扉基板ユニット104の下方には、投入された遊技メダルの通路となるメダルセレクタ106や、遊技メダルを遊技メダル払出口50に導くためのコインシュータ108などが取り付けられている。メダルセレクタ106は、遊技メダル投入口30から投入された遊技メダルを主に寸法に基づいて選別し、規格寸法に適合した遊技メダルだけを受け入れる機能を有している。遊技者がスタートレバー36を操作する前に遊技メダルを投入すると、遊技メダルはメダルセレクタ106によって選別され、規格を満足しているものだけがホッパー116内に投入され、規格を満たしていないメダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却されるようになっている。
これに対して、スタートレバー36が操作された後に遊技メダルが投入された場合は、メダルセレクタ106内の通路が切り換わり、投入された遊技メダルはコインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50に返却される。また、メダルセレクタ106の内部には、図示しないメダルセンサが設けられており、寸法規格を満たして受け入れられた遊技メダルが通過すると、メダルセンサによって検出されて、その信号が後述する主制御基板200に供給されるようになっている。
一方、筐体3のほぼ中央には、3つの回胴20a、20b、20cが設けられており、各回胴の外周面には、後述するように複数種類の図柄が表示されている。これら回胴の上方には、遊技全体の制御を司る後述する主制御基板200が格納された主制御基板ユニット110と、各回胴を駆動するための後述する回胴基板260が格納された回胴基板ユニット112などが設けられている。また、3つの回胴20a、20b、20cの下方には、リアスピーカ114が設けられ、更にその下方には、投入された遊技メダルが集められるホッパー116や、遊技メダルを払い出すメダル払出装置118、遊技機1全体に電源を供給するための後述する電源基板280が格納された電源ユニット120などが搭載されている。メダル払出装置118から払い出された遊技メダルは、コインシュータ108を通って、遊技メダル払出口50から払い出されるようになっている。また、電源ユニット120の前面には、遊技機1の電源を投入するための電源スイッチ120sも設けられている。
図3は、3つの回胴20a、20b、20cの外周面に表示された図柄の配列を示す説明図である。各回胴には、何れも21個の図柄が外周面に表示されている。また、何れの回胴についても、表示されている図柄の種類は同じであるが、図柄の配列については回胴毎に異なる配列に設定されている。
A−2.電気的構成 :
図4は、本実施例に係る遊技機1の電気的構成を示す説明図である。図4に示すように、遊技機1には、主制御基板200を中心として、サブ制御基板220、扉基板240、回胴基板260、電源基板280、中継基板300等がデータをやり取り可能に接続されて構成されている。
主制御基板200は、遊技機1で行われる遊技全体の進行や演出を司る基板である。この主制御基板200には、CPU201、ROM202、RAM203などがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて搭載されており、前面扉2に搭載された扉基板240から、スタートレバー36が操作されたことを示す信号を受け取って、後述する遊技制御処理を実行しながら、サブ制御基板220や、扉基板240、回胴基板260などに向かって制御コマンド(あるいは制御信号)を出力することにより、これら各種基板の動作を制御している。尚、遊技の進行に関する制御は主制御基板200によって行われていることから、本実施例の主制御基板200は、本発明の「制御基板」の一態様を構成している。また、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201やROM202を用いて所定のプログラムが実行されることから、本実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201やROM202は、本発明の「ICチップ」に相当する。
サブ制御基板220も、上述した主制御基板200と同様に、CPUや、ROM、RAMなどがバスによって互いにデータをやり取り可能に接続されて構成されている。また、サブ制御基板220には、各種のランプ類12や、各種のスピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどが接続されている。ここで回胴バックライト20Lとは、各回胴20a,20b,20cの内部に設けられて、回胴の表面に描かれた図柄(図3参照)を裏側から照らすライトである。サブ制御基板220は、主制御基板200から受け取った制御コマンドを解析して、各種ランプ類12、各種スピーカ14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lにそれぞれ駆動信号を出力することにより、各種の演出を行っている。
扉基板240には、メダルセレクタ106や、貯留されている遊技メダルを投入するための各種投入ボタン32,34、回胴の回転を開始するためのスタートレバー36、回転している回胴を停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38c、貯留されている遊技メダルや投入された遊技メダルを払い出して遊技を終了するための精算ボタン40、遊技の状態を表示する各種の表示パネル22などが接続されている。また、扉基板240は、前述した主制御基板200と、データをやり取り可能に接続されている。このため、前面扉2に設けられたスタートレバー36や、回胴停止ボタン38a、38b、38c、各種の投入ボタン32,34、精算ボタン40などを操作すると、扉基板240を介して、その信号を主制御基板200に供給することが可能となっている。また、メダルセレクタ106が、内蔵するメダルセンサによって遊技メダルの通過を検出した信号も、扉基板240を介して主制御基板200に供給されるようになっている。
回胴基板260には、3つの回胴20a,20b,20cをそれぞれ回転させるための回胴モータ24a,24b,24cと、それぞれの回胴の回転位置を検出するための回胴センサ26a,26b,26cなどが設けられている。回胴基板260は、回胴センサ26a,26b,26cによって、各回胴20a,20b,20cの回転位置を検出しながら、回胴モータ24a,24b,24cを駆動することにより、それぞれの回胴20a,20b,20cを、所望の回転位置で停止させることが可能となっている。尚、本実施例の遊技機1では、回胴モータ24a,24b,24cには、いわゆるステッピングモータが使用されている。
また、メダル払出装置118は、中継基板300を介して、主制御基板200に接続されており、主制御基板200からの制御信号に基づいて、所定枚数の遊技メダルを払い出す動作を行う。
これら各種制御基板、および基板で消費される電力は、電源基板280から供給されている。図4では、電源基板280から電力が供給される様子を破線の矢印で表している。図示されているように、主制御基板200およびサブ制御基板220には、電源基板280から直接電力が供給されており、各種基板(扉基板240、回胴基板260、中継基板300)には、主制御基板200を介して電力が供給されている。電源基板280には100Vの交流電圧が供給されており、この電力を規定電圧の直流電圧に変換した後、それぞれの制御基板および基板に供給している。
B.遊技の概要 :
以下では、上記の構成を有する回胴式の遊技機1において、遊技を進行するために行われる制御の内容について説明するが、その準備として、回胴式遊技機で行われる遊技の概要を説明しておく。
遊技を開始するにあたっては、遊技メダル投入口30から遊技メダルを投入して、メダルのベットを行う。ベットする遊技メダル数は、通常、1枚または3枚に固定されている。尚、遊技メダルがクレジットとして予め内部に貯留されている場合は、一枚投入ボタン32、あるいは三枚投入ボタン34を押すことにより、それぞれ1枚または3枚の遊技メダルをベットすることも可能である。
遊技メダルをベットして、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが回転を開始する。図3を用いて前述したように、各回胴には、複数の図柄が描かれているため、回胴が回転すると、表示窓20では、これら図柄が変動表示されることになる。また、図1を用いて前述したように、前面扉2の前面側には、それぞれの回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cが設けられている。回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すと、押したボタンに対応する回胴が回転を停止し、これに伴って、変動表示されていた図柄が何れかの図柄で停止表示される。このようにして、3つの回胴20a,20b,20cの回転を停止させると、それぞれの回胴で何れかの図柄が停止表示される。本実施例の遊技機1では、表示窓20の大きさは、各回胴あたり3つずつ、図柄が表示されるような大きさに設定されている。結局、3つの回胴20a,20b,20cが停止表示されると、表示窓20には、縦横3列ずつ、合計9つの図柄が表示されるようになっている。また、これら9つの図柄が表示される位置には、複数本の入賞ラインが予め設定されている。
図5は、本実施例の遊技機1に設定されている入賞ラインを示した説明図である。図示されるように、本実施例の遊技機1では、上段の入賞ラインL1と、中段の入賞ラインL2と、下段の入賞ラインL3と、右斜め上方向きの入賞ラインL4と、右斜め下方向きの入賞ラインL5の、合計5本の入賞ラインが設定されている。遊技メダルを1枚だけベットした場合には、中段の入賞ラインL2だけが有効となり、遊技メダルを3枚ベットした場合には5本全ての入賞ラインが有効となる。そして、3つの回胴20a,20b,20cが停止すると、有効な入賞ライン上には、何某かの図柄組合せが得られることになる。尚、ここで、入賞ラインは図5に示した直線形状の5種類のみが設定されているものとしているが、これに限らず、例えば、左回胴20aの上段位置と、中回胴20bの中段位置と、右回胴20cの上段位置とを結ぶ入賞ラインや、あるいは、左回胴20aの下段位置と、中回胴20bの中段位置と、右回胴20cの下段位置とを結ぶ入賞ラインなどの、直線でない入賞ラインなどを加えて、より多種類の入賞ラインを設定しておくこととしても良い。
そして、有効な入賞ライン上に揃った図柄組合せが、いわゆる「小役」と呼ばれる遊技役に対応する図柄組合せであった場合には、その小役の入賞が成立し、小役の種類に応じた枚数の遊技メダルが払い出される。
また、「小役」の他に、「再遊技役」と呼ばれる遊技役も設けられている。回胴が停止したときに有効な入賞ライン上に揃った図柄組合せが、「再遊技役」に対応する図柄組合せであった場合には、遊技メダルが払い出されることはないが、新たな遊技メダルをベットすることなく、もう一度遊技を行う権利が付与される。すなわち、再遊技役の入賞を成立させた時にベットしていた遊技メダルと、同じ枚数の遊技メダルがベットされたものとして、もう一度遊技を行うことが可能となる。
さらに、遊技役には、「レギュラーボーナス役(以下では、RB役)」や、「ビッグボーナス役(以下では、BB役)」などの、いわゆる「ボーナス役」と呼ばれる遊技役も設けられている。3つの回胴20a,20b,20cが停止したときに有効な入賞ライン上に揃った図柄組合せが、RB役に対応する図柄組合せであった場合には、遊技者にとって有利なレギュラーボーナス遊技(RB遊技)と呼ばれる遊技状態が開始される。RB遊技とは、通常遊技に比べて遊技役の種類(遊技メダルが払い出される図柄組合せの種類)が増加し、その増加した遊技役(増加役)の入賞が高い確率で成立する遊技状態のことである。このRB遊技は、所定回数(例えば、12ゲーム)の遊技が行われるか、増加役に所定回数(例えば、8回入賞)だけ入賞すると終了となる。また、BB役に対応する図柄組合せが揃った場合は、RB遊技よりも遊技者にとって更に有利な遊技状態であるビッグボーナス遊技(BB遊技)が開始される。BB遊技は、RB役の入賞が成立するまでの導入遊技と、RB役の入賞成立によって実施されるRB遊技とから構成されており、BB遊技中は、所定枚数(例えば、465枚)の遊技メダルが払い出されるまで、上述した「RB遊技」を複数回行うことが可能である。そのため、BB遊技が開始されると、遊技者は多量の遊技メダルを獲得することができる。
図6は、本実施例の遊技機1に設定されている遊技役の種類と、その遊技役の入賞を成立させる図柄組合せとを対応付けて示した説明図である。図示されているように、BB役の入賞を成立させる図柄組合せとしては、「赤セブン」と呼ばれる図柄が3つ揃った図柄組合せ、および「青セブン」と呼ばれる図柄が3つ揃った図柄組合せが設定されている。RB役の入賞を成立させる図柄組合せは、「バー」と呼ばれる図柄が3つ揃った図柄組合せに設定されている。小役の入賞を成立させる図柄組合せは、「スズ」の図柄が3つ揃うか、「スイカ」の図柄が3つ揃うか、あるいは左回胴20aの図柄が「チェリー」の図柄である図柄組合せに設定されている。さらに、再遊技役を成立させる図柄組合せは、「再遊技」の図柄が3つ揃った図柄組合せに設定されている。また、図6には、これらの遊技役の入賞が成立したときに遊技者に付与される特典も合わせて示されている。尚、「スズ」の図柄で入賞が成立した小役は、「スズの小役」と呼ばれ、「スイカ」の図柄で入賞が成立した小役は「スイカの小役」と、「チェリー」の図柄で入賞が成立した小役は「チェリーの小役」と呼ばれることがある。
もちろん、回胴20a,20b,20cが停止したときに、何れかの遊技役に入賞するとは限らない。この場合は、再び1枚、または3枚の遊技メダルをベットした後、スタートレバー36を操作して回胴を回転させることによって、次のゲームを行う。本実施例の遊技機1では、こうした操作を繰り返し行うことによってゲームが進行するようになっている。
こうした遊技の進行は、主制御基板200によって制御されている。以下では、主制御基板200が遊技の進行を制御するために行っている処理内容について説明する。
C.制御の概要 :
図7は、本実施例の遊技機1において主制御基板200が遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図8は、本実施例の遊技機1において主制御基板200が行う遊技制御処理の後半部分を示すフローチャートである。この遊技制御処理は、遊技機1に電源が投入され、更に主制御基板200や、サブ制御基板220に搭載されたROMのチェックサムなどの初期化処理が行われた後に実行される処理である。
図7に示すように、遊技制御処理を開始すると、先ず初めに遊技状態設定処理(ステップ100。以下、ステップを「S」と略記する)を行う。遊技状態設定処理の詳細については後述するが、この処理では、大まかには次のような処理を行う。本実施例の遊技機1では、前述したようにビックボーナス遊技(BB遊技)やレギュラーボーナス遊技(RB遊技)といった特殊な遊技状態が設けられており、遊技状態に応じて遊技役の入賞し易さや入賞する遊技役の種類が異なっている。そこで、現在の遊技状態を把握するとともに終了条件が満たされたか否かを判断して、終了条件が満たされた場合には、その遊技状態を終了させ、遊技状態を切り換える処理を行う。こうして遊技状態を切り換えることによって、遊技の印象を大きく変化させながら遊技が進行していく。
遊技状態設定処理に続いて、主制御基板200は、メダル投入確認処理を行う(S102)。メダル投入確認処理では、遊技メダル投入口30から遊技メダルが投入されたか否か、あるいは遊技メダルがクレジットとして貯留されている場合に、一枚投入ボタン32または三枚投入ボタン34が操作されたか否かを確認する。前述したように、投入された遊技メダルは、メダルセレクタ106に内蔵されたメダルセンサによって検出され、その検出信号が主制御基板200に供給される。また、各種投入ボタン32,34を操作した場合には、その操作信号が主制御基板200に供給される。主制御基板200は、これらの信号に基づいて、遊技メダルが投入されたか否かを判断することができる。そして、遊技メダルが投入されたら、遊技を開始可能な状態になる。尚、各種投入ボタン32,34が操作された場合には、遊技メダルの貯留枚数から投入枚数を減算する処理も同時に行われる。
上述のようにして遊技メダルの投入が確認できたら、スタートレバー36を操作することによって何時でも遊技を開始することが可能となるが、その前に、精算ボタン40が操作されたか否かの確認を行う(S104)。すなわち、遊技メダルをベットした後であっても、スタートレバー36を操作して回胴20a,20b,20cを回転させる前であれば、ベットした遊技メダルも含めてメダルを精算することが可能となっている。そして、精算ボタン40が操作されていた場合には(S104:yes)、精算処理を行うことにより、クレジットとして貯留されている遊技メダルおよび投入した遊技メダルを払い出す処理を行う(S106)。遊技メダルの払い出しは、主制御基板200からメダル払出装置118に向けて、払い出すべき遊技メダルの枚数を指示する制御信号を出力することによって行われる。こうして遊技メダルを払い出したら、遊技の開始前の状態(S100)に戻って、以降の処理を行う。
一方、精算ボタン40が操作されていない場合には(S104:no)、スタートレバー36が操作されたか否かを判断する(S108)。前述したように遊技者がスタートレバー36を操作すると、その操作信号が主制御基板200に供給され、3つの回胴20a,20b,20cが回転して遊技が開始される。主制御基板200は、スタートレバー36の操作信号に基づいて、スタートレバー36が操作されたか否かを判断することができる。そして、スタートレバー36が操作されていない場合は(S108:no)、遊技者が未だ遊技を開始していないものと判断されるので、精算ボタン40の操作の有無を確認しながら(S106)、スタートレバー36が操作されるまで待機する。一方、スタートレバー36が操作されたら(S108:yes)、内部抽選処理を開始する(S110)。
内部抽選処理では、図6を用いて前述した遊技役の何れかの入賞を許容するか否かを、抽選によって決定する処理を行う。尚、かかる抽選で何れかの遊技役に当選したとしても、直ちに遊技役の入賞が成立するわけではなく、回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作することにより、当選した遊技役に対応する図柄組合せを有効な入賞ライン上に揃えなければ遊技役の入賞を成立させることはできない。また逆に、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作したとしても、抽選で当選した遊技役でなければ、入賞ライン上に対応する図柄組合せを揃えることはできないようになっている。その意味で、かかる抽選は、図柄組合せを揃えて遊技役の入賞を成立させるための前提条件として、内部的に行われる抽選であることから、内部抽選と呼ばれている。また、内部抽選に当選した状態は、内部当選状態(あるいは単に、内部当選)と呼ばれている。
この内部抽選は、抽選テーブルと呼ばれる専用のテーブルを用いて行われており、このテーブルには、遊技役と内部抽選用乱数との対応関係が設定されている。ここで内部抽選用乱数とは、主制御基板200がスタートレバー操作信号を受け取ったときに取得する乱数である。本実施例の遊技機1では、内部抽選用乱数は2バイトデータとなっており、0〜65535の範囲の乱数値を取ることが可能となっている。尚、この抽選用の乱数は、主制御基板200に搭載された専用の乱数発生回路を用いてハードウェア的に生成することもできるし、乱数発生用のプログラムを用いてソフトウェア的に生成することも可能である。
図9は、最も一般的な遊技状態である通常遊技中に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、「スズの小役」に対しては0〜7000の乱数値が設定されている。これは、取得した乱数値がこの範囲にあった場合には、スズの小役に内部当選することを表している。同様に、「赤7のBB役」に対しては7001〜7100の乱数値が設定され、「青7のBB役」には7101〜7200の乱数値が設定されている。また、「RB役」に対しては7201〜7300の乱数値が設定され、「スイカの小役」には7301〜7500の乱数値が、「チェリーの小役」には7501〜7600の乱数値が、そして、「再遊技役」に対しては7601〜20100の乱数値が設定されている。尚、20101〜65535の乱数値には、何れの遊技役も設定されておらず、従って、取得した乱数値がこの範囲にあった場合は「ハズレ」となる。
内部抽選処理では、以上のようにして、スタートレバー36が操作されたことを検出して内部抽選用乱数を取得するとともに、抽選テーブルを参照することにより、何れの遊技役に内部当選したか、若しくは何れの遊技役にも内部当選しなかったかを判断する。そして、何れかの遊技役に内部当選したら、当選した遊技役を内部当選フラグにセットする。ここで内部当選フラグとは、内部抽選の結果を記憶しておくために用いられるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。
図10は、内部当選フラグが設定されているアドレスのデータ構造を示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1では、RAM203上の所定アドレスに設けられた1バイトデータのうち、下位側の7ビットが内部当選フラグとして用いられている。これら7ビット中の先頭のビットは、赤セブンのBB役に内部当選したことを記憶しておくためのビットであり、次のビットは青セブンのBB役に内部当選したことを記憶しておくためのビットであり、その次のビットはRB役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。以下の4つのビットも同様に、それぞれ、スズの小役、スイカの小役、チェリーの小役、再遊技役に内部当選したことを記憶しておくためのビットである。図7に示した内部抽選処理(S110)では、内部抽選用乱数を取得して、抽選テーブルを参照しながら、何れかの遊技役に内部当選しているか否かを判断し、何れかの遊技役に内部当選していれば、図10に示した内部当選フラグの対応するビットに「1」を設定する処理を行う。
内部抽選処理を行ったら、主制御基板200は、続いて回胴回転始動処理を開始する(S112)。回胴回転始動処理では、所定の条件が満足されているか否かを判断して、条件が満たされている場合は、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる処理を行う。本実施例の回胴回転始動処理では、スタートレバー36が操作され、且つ、前回に回胴20a,20b,20cの回転が開始されてから所定時間(例えば、4.1秒)経過した場合に回胴の回転を開始することとして、各回胴20a,20b,20cにそれぞれ設けられた回胴モータ24a,24b,24cに対して駆動信号を出力することにより、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる。
こうして3つの回胴20a,20b,20cを回転させたら、主制御基板200は、回胴の回転を停止させる処理(回胴回転停止処理)を行う(S114)。かかる処理では、すべての回胴の回転速度が所定速度で安定したことを確認した後、各回胴に対応する回胴停止ボタンの操作を有効化する。そして、回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されると、その操作信号が主制御基板200に供給される。主制御基板200は、各回転停止ボタンが操作された時に各回胴が何れの回転位置にあったかを、各回胴停止ボタンからの操作信号を受け取ったかに基づいて検出する。そして、その結果に基づいて、各回胴についての停止位置を決定し、決定した位置で回胴を停止させる制御を行う。尚、各回胴の停止位置を決定するに際しては、先に行われた内部抽選の結果が参照され、何れの遊技役にも内部当選していない場合には、どのようなタイミングで回胴停止ボタンが操作されても、遊技役を成立させる図柄組合せが停止表示されないように、回胴の停止位置が決定される。一方、ある遊技役に内部当選している場合には、よほどタイミングが外れていない限り、内部当選した遊技役を成立させる図柄組合せが停止表示されるように、各回胴の停止位置が決定されるようになっている。
以上のようにして、3つの回胴20a,20b,20cを停止させたら、主制御基板200は、何れかの遊技役の入賞が成立したか否かを判断する(S116)。ここで、「遊技役の入賞が成立する」とは、内部当選した遊技役に対応する図柄組合せが、有効な入賞ライン上に揃って表示されることをいう。前述したように、本実施例の遊技機1では、内部抽選処理(S110)で何れかの遊技役に内部当選していても、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すタイミングによっては、その遊技役に対応する図柄組合せが有効な入賞ライン上に揃うとは限らない。そこで、主制御基板200は、回胴の回転を停止させた後、内部抽選で当選した遊技役の入賞が成立しているか否かを判断するのである。
そして、何れの遊技役の入賞も成立していないと判断された場合は(S116:no)、その遊技は終了となり、図7の遊技制御処理の先頭に戻って、遊技状態設定処理が行われる(図7のS100)。尚、本実施の遊技機1では、前述した内部抽選処理(S110)でボーナス役(「BB役」または「RB役」)に当選した場合において、有効な入賞ライン上に対応する図柄組合せが停止表示されず、ボーナス役の入賞が成立しなかったときに限り、ボーナス役の内部当選が持ち越され、次回の遊技以降もボーナス役の内部当選フラグがセットされている状態で遊技が行われる。これに対して、他の遊技役(「小役」や「再遊技役」)に内部当選した場合は、有効な入賞ライン上に当選役に対応する図柄組合せを停止表示させることができなければ、その内部当選は次遊技以降に持ち越されることなくリセットされてしまう。
一方、何れかの遊技役の入賞が成立したと判断された場合は(S116:yes)、先ず初めに、入賞の成立した遊技役が、再遊技役であるか否かを判断する(図8のS118)。そして、再遊技役に入賞していた場合は(S118:yes)、再遊技フラグをONに設定する(S120)。ここで、再遊技フラグとは、再遊技役に入賞したことを記憶しておくためのフラグである。この再遊技フラグがONにセットされていると、次回の遊技のメダル投入確認処理(図7のS102)において、再遊技役に入賞した遊技で投入されていた枚数の遊技メダルが自動的に再投入される。こうして再遊技フラグをONにすると、図7の遊技制御処理の先頭の遊技状態設定処理に戻って(S100)、新たな遊技を開始する。
これに対して、入賞した遊技役が再遊技役でなかった場合には(S118:no)、入賞した遊技役がBB役か否かを判断する(S122)。図6を用いて前述したように、BB役は、有効な入賞ライン上に、「赤セブン」の図柄が揃うか、「青セブン」の図柄が揃った場合に入賞が成立する遊技役である。そして、BB役に入賞したと判断された場合には(S124:yes)、BB遊技フラグをONに設定した後(S124)、遊技制御処理の先頭に戻って、新たな遊技を開始する。ここで、BB遊技フラグとは、遊技状態を、前述したビッグボーナス遊技(BB遊技)と呼ばれる有利な遊技状態とするか否かを示すフラグである。前述したように、本実施例の遊技機1には、複数の遊技状態が設けられており、これら遊技状態を切り換えながら遊技が進行していく。そして、現在の遊技状態が何れであるかは、遊技状態フラグと呼ばれる専用のフラグの状態によって表示されている。主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスには、遊技状態フラグを設定するための1バイト分の領域が確保されている。
図11は、遊技状態フラグが設定される1バイト分の領域のデータ構造を例示した説明図である。本実施例の遊技機1では、RAM203上の所定アドレスの1バイトデータのうち、下位側の2ビットが遊技状態フラグとして用いられている。これら2ビットの先頭のビットがBB遊技フラグに設定されており、BB遊技フラグをONにする場合には(S124)、このビットに「1」を設定する。尚、上述した再遊技フラグも遊技状態フラグと同様に、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。本実施例の遊技機1では、遊技状態フラグとして用いられる2ビットの1つ上位のビットが再遊技フラグとして用いられており、S120では、このビットに「1」を設定する処理を行う。
こうしてBB遊技フラグがONにセットされた状態で遊技制御処理の先頭に戻って遊技状態設定処理(S100)を開始すると、BB遊技フラグがONになっていることが検出され、遊技状態がBB遊技に切り換わって、以降の上述した一連の処理が行われる。S100において、BB遊技フラグに基づいて遊技状態をBB遊技に切り換える処理の詳細については後述する。
一方、入賞した遊技役がBB役ではなかった場合には(S122:no)、入賞した遊技役がRB役か否かを判断する(S126)。図6に示したように、RB役は、「バー」の図柄が有効な入賞ライン上に3つ揃った場合に入賞が成立する遊技役である。そして、RB役に入賞したと判断された場合には(S126:yes)、RB遊技フラグをONに設定する(S128)。ここで、RB遊技フラグとは、遊技状態を、前述したレギュラーボーナス遊技(RB遊技)とするか否かを示すフラグである。図11に示した遊技状態フラグの2ビットのうちの下位側のビットがRB遊技フラグに設定されており、RB遊技フラグをONにする場合には、このビットに「1」を設定する。RB遊技フラグがONにセットされた状態で遊技制御処理の先頭に戻ると、遊技状態設定処理(S100)において、遊技状態がRB遊技に切り換わって、以降の一連の処理が行われる。
これに対して、入賞した遊技役がRB役でないと判断された場合は(S126:no)、再遊技役、BB役、RB役の何れでもないから、何れかの小役に入賞したものと判断される。そこで、入賞した遊技役に応じた枚数の遊技メダルを払い出す処理を行う(S130)。すなわち、入賞した遊技役がベルの小役であれば、15枚の遊技メダルを払い出し、スイカの小役であれば10枚の遊技メダルを払い出し、チェリーの小役であれば2枚の遊技メダルを払い出す処理を行う。かかる処理は、主制御基板200の内部で払い出すべき遊技メダルの枚数を求めた後、主制御基板200からメダル払出装置118に対して制御信号を出力することによって行われる。こうして遊技メダルを払い出したら、図7および図8に示した遊技制御処理の先頭に戻って、新たな遊技を開始する。
以上に説明したように、本実施例の遊技機1では、遊技メダルを投入し、スタートレバー36を操作すると、回胴20a,20b,20cの回転が開始され、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押して回胴が停止したときに遊技役の入賞が成立しているか否かによって遊技メダルが払い出されるという遊技を繰り返し行う。この遊技の基本的な操作は共通であるが、本実施例の遊技機1では、複数の遊技状態が設けられており、何れの遊技状態であるかに応じて、遊技役の入賞し易さや入賞する遊技役の種類を切り換えることにより、遊技の印象を大きく異ならせることができる。この遊技状態を切り換えるための処理は、図7および図8に示した遊技制御処理の先頭で行われる遊技状態設定処理(S100)において行われている。以下では、遊技状態設定処理の内容について詳しく説明する。
C−1.遊技状態設定処理 :
図12は、本実施例の遊技機1が行う遊技状態設定処理の流れを示すフローチャートである。遊技状態設定処理を開始すると、先ず初めに主制御基板200のCPU201は、図11に示した遊技状態フラグを参照して、BB遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(S200)。図8を用いて前述したように、BB遊技フラグは、有効な入賞ライン上にBB役に対応する図柄組合せが揃うことにより、BB役の入賞が成立したと判断された場合に(図8のS122:yes)、ONの状態に設定されるフラグである。
そして、BB遊技フラグがONに設定されていた場合は(S200:yes)、次いで、BB遊技の終了条件が成立したか否かを判断する(S202)。前述したように本実施例の遊技機1では、BB遊技中に払い出された遊技メダルの枚数が所定枚数(例えば、465枚)に達すると、そのBB遊技が終了するように設定されている。そこで、BB遊技の開始後に所定枚数の遊技メダルが払い出されたか否かを判断し、払い出されていた場合にはBB遊技の終了条件が成立したと判断し(S202:yes)、BB遊技を終了させるべく、BB遊技フラグをOFFに設定する(S204)。また、前述したように、BB遊技は複数回のRB遊技から構成されており、BB遊技の終了条件が成立すると、BB遊技の中で行われるRB遊技も終了となるため、この場合には、RB遊技フラグも同時にOFFにセットする。
一方、BB遊技フラグがOFFに設定されていた場合や(S200:no)、BB遊技の終了条件が未だ成立していないと判断された場合には(S202:no)、RB遊技フラグがONに設定されているか否かを判断する(S206)。図8を用いて前述したように、RB遊技フラグは、RB役の入賞が成立したと判断された場合に(図8のS126:yes)、ONの状態に設定されるフラグである。
そして、RB遊技フラグがONに設定されていた場合は(S206:yes)、次いで、RB遊技の終了条件が成立したか否かを判断する(S208)。前述したように、RB遊技は、所定回数の遊技が行われるか(例えば、12回)、増加役に所定回数だけ入賞が成立すると(例えば、8回入賞)終了するようになっている。そして、何れかの終了条件が成立したと判断された場合には(S208:yes)、RB遊技を終了させるべく、RB遊技フラグをOFFに設定する(S210)。
これに対して、RB遊技フラグがOFFに設定されていた場合や(S206:no)、RB遊技の終了条件が未だ成立していないと判断された場合には(S208:no)、RB遊技フラグをOFFにする処理(S210)を省略する。
以上のようにして、現在の遊技状態がボーナス遊技(BB遊技あるいはRB遊技)中であるか否かを判断するとともに、そのボーナス遊技の終了条件が満たされたか否かを判断し、条件が満たされた場合にはそのボーナス遊技を終了させる処理を行ったら、現在の遊技状態フラグの設定に応じて抽選テーブルを選択する(S212)。前述したように、抽選テーブルとは、内部抽選処理(図7のS110)において参照されるテーブルであり、内部抽選用の乱数と遊技役との対応関係が設定されている。また、遊技役に内部当選する確率は、遊技状態によって異なるため、遊技状態毎にそれぞれ専用の抽選テーブルが予め用意されている。S212では、複数の抽選テーブルの中から、現在の遊技状態フラグの設定に応じて、適切な抽選テーブルを選択する処理を行う。
例えば、BB遊技フラグあるいはRB遊技フラグの何れもONにセットされていなければ、遊技状態は通常遊技である。そこで、図9に示した通常遊技用の抽選テーブルを選択する。
これに対して、BB遊技フラグがONの場合には、遊技状態をBB遊技とするべく、BB遊技用の抽選テーブルを選択する。図13は、本実施例の遊技機1で用いられるBB遊技用の抽選テーブルを例示した説明図である。図9に示した通常遊技用の抽選テーブルと比較すると、図13のBB遊技用の抽選テーブルでは、BB役に対する乱数範囲が設定されておらず、BB遊技中は、ボーナス役の入賞が成立し重ねてBB遊技が開始されることを避けるようになっている。また、再遊技役に対して乱数範囲が設定されておらず、代わって「JACIN」と呼ばれる特別な役に乱数値が設定されている。本実施例の遊技機1では、JACINに内部当選して「再遊技役」の図柄が3つ揃うとBB遊技の中でRB遊技が開始されるようになっている。
また、RB遊技フラグがONにセットされている場合には、遊技状態をRB遊技とするため、RB遊技用の抽選テーブルを選択する。尚、BB遊技の中でもRB遊技が行われることから、RB遊技フラグとBB遊技フラグとが共にONの場合もあるが、この場合も、RB遊技用の抽選テーブルを選択する。図14は、本実施例の遊技機1で用いられるRB遊技用の抽選テーブルを例示した説明図である。図9の通常遊技用の抽選テーブルと比べると、RB遊技用の抽選テーブルでは、BB役およびRB役に対して乱数範囲が設定されておらず、RB遊技中はボーナス役の入賞が成立しないようになっている。また、再遊技役に乱数範囲が設定される代わりに、「JAC」と呼ばれる役に広範囲の乱数値が設定されている。本実施例の遊技機1では、JACに内部当選して「再遊技役」の図柄が3つ揃うと、所定枚数(例えば15枚)の遊技メダルが払い出されるようになっている。このため、RB遊技用の抽選テーブルが選択された状態で前述した内部抽選処理(図7のS110)以降の一連の処理が行われると、高い確率でJACの入賞を成立させることができ、JAC入賞の度に15枚ずつの遊技メダルが払い出されるので、遊技者は効率よく遊技メダルを獲得することができる。
以上に説明したように、遊技状態フラグ(BB遊技フラグ、RB遊技フラグ)の現在の設定に基づいて、3種類の抽選テーブル(図9、図13、図14)の中から適切な抽選テーブルを選択したら、図12の遊技状態設定処理を終了して、図7および図8に示した遊技制御処理に復帰する。遊技制御処理では、こうして選択した抽選テーブルを用いて内部抽選処理以降の一連の処理を行うことにより遊技が進行する。そして、遊技状態設定処理で何れの抽選テーブルが選択されるかによって遊技状態が切り換わり、内部抽選において当選可能な遊技役の種類や遊技役の当選し易さが切り換わるようになっている。
ここで、前述したように遊技の進行は、主制御基板200によって制御されており、主制御基板200には、CPU201やROM202といったICチップが搭載されている。そして、ROM202には、遊技の進行を制御するためのプログラム、あるいは、前述した内部抽選処理で用いる抽選テーブル等の遊技に関する重要な情報が予め記憶されているため、正規のROM202を不正なROMに交換する不正行為が行われると、例えば、遊技者にとって大変有利なビックボーナス役(BB役)に頻繁に内部当選するような不正な態様で遊技が行われるおそれがある。こうした点に鑑みて、本実施例の遊技機1では、不正なROMに交換された場合でも、容易に発見することを可能として、遊技の公正を担保すべく、以下に説明するような構成によって、ROM202が取り付けられている。
D.ROMの取り付け構造 :
図15は、本実施例のROM202が主制御基板200に取り付けられている様子を示した斜視図である。また、図16は、ROM202を主制御基板200に取り付ける様子を示した分解組立図である。以下では、これら2つの図を参照しながら、ROM202を主制御基板200に取り付けるための構成について説明する。
図15に示されているように、ROM202は、ICソケット400を介して主制御基板200に取り付けられている。ICソケット400の底面には、複数の接続ピン402が下向きに設けられており(図16参照)、この接続ピン402を主制御基板200に設けられた接続孔210に差し込んだ後、主制御基板200の裏側から半田付けを行う。こうすることにより、ICソケット400は、主制御基板200に固定されるとともに、主制御基板200と電気的に接続された状態となる。
また、本実施例の遊技機1では、ICソケット400を主制御基板200に固定する際に、主制御基板200との間に結束部材500を挟んだ状態でICソケット400を取り付けるようになっている。図16に示されているように、結束部材500には、底部502が設けられており、さらに、ICソケット400には、一対の端子挿入部406を互いに連結するための連結部408が設けられている。ICソケット400を主制御基板200に固定すると、底部502が連結部408と主制御基板200との間に挟み込まれて、結束部材500が主制御基板200に固定されるようになっている。
こうして主制御基板200に固定されたICソケット400に、ROM202を装着する。図16に示されているように、ROM202の側面には、下方に延びる端子205が設けられており、この端子205をICソケット400の端子挿入部406の上面に設けられている挿入孔404に挿入する。すると、端子205が接続ピン402を介して主制御基板200と電気的に接続された状態となる。
次いで、ROM202をICソケット400に装着したまま、結束部材500の一端から延びるバンド部504を他端に設けられた挿通孔508に通して締め付ける。その結果、図15に示されているように、ROM202とICソケット400とが結束部材500によって結束された状態で、主制御基板200に取り付けられる。尚、バンド部504の先端および挿通孔508の内部は、一旦締め付けると抜けない構造となっている。また、図16では、結束部材500を締め付けた後、挿通孔508から突き出たバンド部504の先端を切除した状態が示されている。
以上に説明したように、本実施例のROM202は、結束部材500によってICソケット400に結束された状態で、主制御基板200に取り付けられている。従って、結束部材500を切断しない限り、ROM202をICソケット400から取り外すことができないので、正規のROM202を不正なROMと取り換えることが困難となる。
また、ROM202の不正な交換を目的として、結束部材500のバンド部504が切断されたとしても、本実施例の遊技機1では、次のような理由から、不正行為の発見が容易となっている。先ず、図16に示されているように、結束部材500には、底部502の両端に上方へ向けて支持部506が設けられている。そして、ICソケット400を主制御基板200に固定した状態では、支持部506がICソケット400の外側に位置して(図15参照)、この支持部506が連結部408に引っ掛かるため、結束部材500を取り外すことができないようになっている。つまり、ROM202の不正な交換が行われたとしても、結束部材500が切断されたままの状態で残るので、不正行為の事実を容易に発見することができる。その結果、ROM202を交換する不正行為を効果的に防止することが可能となる。
尚、支持部506を破壊した場合は、結束部材500を主制御基板200から取り外すことが可能である。しかし、この場合でも、偽造した結束部材(結束部材500と同様の構造をしているもの)を、ICソケット400と主制御基板200との間に挿入して元のように取り付けることは極めて困難である。つまり、偽造した結束部材を取り付けるには、少なくともICソケット400と主制御基板200との半田付けを取り外す必要がある。この半田付けを取り外す作業は、労力や時間を要するものであり、不正行為を行う上では困難な作業である。結局、支持部506を破壊した後、偽造した結束部材を取り付けるという作業は困難であるため、不正行為を抑止することができる。
加えて、結束部材500にICタグを予め組み込んでおけば、正規の結束部材500の代わりに偽造した結束部材が取り付けられたとしても、容易に見分けることができるので、ROM202を付け換える不正行為をより確実に防止することが可能となる。
さらに、図15に示されているように、本実施例の遊技機1では、結束部材500の支持部506に開口部510が設けられており、ROM202の裏面(ICソケット400側の面)を目視可能となっている。
図17は、開口部510からROM202とICソケット400との間を目視する様子を示した説明図である。図中の白抜きの矢印は、目視する方向を表している。図示されているように、開口部510は、ROM202とICソケット400の連結部408との間を見通すことができる位置に設けられている。このため、結束部材500を締め付けた後でも、ROM202の裏面に記載された固有IDを目視して、ROM202が正規のものであるか否かを容易に検査することができる。このため、ROM202を交換する不正行為をさらに効果的に防止することが可能となる。
尚、本実施例の結束部材500に設けられた開口部510によってROM202とICソケット400との間を目視可能であることから、本実施例の開口部510は、本発明の「目視部」に相当する。また、本実施例の遊技機1では、結束部材500に開口部510を設けていたが、もちろん、ROM202の裏面を目視可能な態様であれば、これに限定されるものではない。例えば、結束部材500を透明材料により形成することとしても、同様の効果を得ることができる。
E.変形例 :
E−1.第1変形例 :
上述した実施例では、結束部材500の底部502の両端に上方へ向けて支持部506が設けられており、この支持部506が連結部408に引っ掛かることによって、結束部材500を取り外すことができないものとして説明した。しかし、結束部材500は、このような形状に限定されるものではなく、例えば、結束部材500の両側に係止部を設けることとしてもよい。以下では、このような係止部を設けた第1変形例について説明する。
図18は、第1変形例のICソケット400および結束部材500を主制御基板200に固定する様子を示した分解組立図である。前述した実施例と同様に、第1変形例のICソケット400も、主制御基板200との間に結束部材500の底部502を挟んだ状態で取り付けられるようになっている。図18に示されているように、結束部材500の両側には、横方向に延びた係止部512が設けられている。そして、ICソケット400を主制御基板200に固定した状態では、係止部512がICソケット400の外側に位置し、結束部材500を取り外そうとしても、この係止部512がICソケット400の端子挿入部406に引っ掛かるようになっている。
このため、前述した実施例と同様に、ROM202の不正交換が行われた場合でも、切断された結束部材500が残ったままとなり、不正行為の発見が容易となる。その結果、不正行為を効果的に防止することが可能となる。
E−2.第2変形例 :
上述した実施例および第1変形例では、結束部材を取り外そうとした場合に、ICソケットと係止される部分(支持部506あるいは係止部512)が結束部材500に設けられているものとして説明した。しかし、ICソケット400を主制御基板200に固定することによって、結束部材500が主制御基板200に脱着不能に取り付けられるようになっていれば、結束部材500の形状は、これらに限られるものではない。例えば、ICソケット400に突起部を設けるとともに、結束部材500に差込孔を設けることとしてもよい。以下では、このような構成を採用した第2変形例について説明する。
図19は、第2変形例のICソケット400および結束部材500を主制御基板200に固定する様子を示した分解組立図である。前述した実施例や第1変形例と同様に、第2変形例のICソケット400も、主制御基板200との間に結束部材500を挟んだ状態で取り付けられるようになっている。図19に示されているように、第2変形例のICソケット400には、連結部408から下方に延びる突起部410が設けられており、また、結束部材500の底部502(ICソケット400と主制御基板200との間に挟まれる部分)には、差込孔514が設けられている。そして、ICソケット400を主制御基板200に取り付ける際には、結束部材500に設けられた差込孔514に突起部410が差し込まれて、結束部材500が主制御基板200に固定されるようになっている。図19中の破線矢印は、突起部410を差込孔514に差し込む様子を表している。尚、ICソケット400の固定時には、突起部410の先端が主制御基板200に接触するようになっている。また、連結部408に設けられた突起部410は、結束部材500の差込孔514に対して嵌合されることから、第2変形例の突起部410は、本発明の「嵌合部」に相当し、差込孔514は、本発明の「被嵌合部」に相当している。
このように第2変形例に遊技機1では、差込孔514に突起部410を通しておくことによって、結束部材500が主制御基板200から取り外せないようになっている。このため、前述した実施例と同様に、結束部材500が切断されて正規のROM202が不正なROMに交換されたとしても、その痕跡を早期に発見することが容易となる。その結果、ROM202を交換する不正行為を効果的に防止することが可能となる。
また、第2変形例の結束部材500を柔軟な材料で形成しておけば、ICソケット400(およびROM202)の大きさに合わせて結束部材500が曲がるので、バンド部504と挿通孔508との締め付けを調節するだけで、ICソケット400の大きさの大小を問わず、結束部材500を適用することができる。従って、ICソケット400の大きさ毎に結束部材500を用意する必要がなく、結束部材500の共通化を図ることが可能となる。
尚、上述の説明では、突起部410を設けることとしていたが、突起部410を接続ピン402で代用することとしてもよい。すなわち、結束部材500の幅をICソケット400よりも広くしておくとともに、接続ピン402のそれぞれに対応する位置に差込孔514を設けておく。そして、接続ピン402を差込孔514に通してから、主制御基板200にICソケット400を固定すれば、突起部410を設けた場合と同様に、結束部材500を主制御基板200に固定することができる。
E−3.第3変形例 :
上述の第2実施例では、ICソケット400に突起部410を設けておき、結束部材500の差込孔514に差し込むようになっていた。しかし、これとは逆に、ICソケット400に嵌め込むための凸部を結束部材500に設けておくことも可能である。以下では、結束部材500に凸部を設けた第3変形例について説明する。
図20は、第3変形例のICソケット400および結束部材500を主制御基板200に固定する様子を示した分解組立図である。図示されているように、第3変形例の結束部材500では、底部502(ICソケット400と主制御基板200との間に挟まれる部分)に凸部516が設けられている。そして、ICソケット400を主制御基板200に固定すると、図中に破線矢印で示されているように、凸部516がICソケット400の連結部408と連結部408との間(以下、この部分を間隔部という)に嵌め込まれて、結束部材500が主制御基板200に固定されるようになっている。
このため、前述した実施例や変形例と同様に、ROM202の不正な交換が行われても、その事実が発覚し易くなる。その結果、不正行為を効果的に防止することが可能となる。
ここで、凸部516は、結束部材500を主制御基板200から取り外すことができない程度に、間隔部(連結部408と連結部408との間)に嵌め込まれるようになっていれば、どのような形状(あるいは大きさ)であってもよい。もちろん、凸部516を予め間隔部の形状(大きさ)に合わせて形成しておくことも可能であり、こうすることによって、結束部材500をより確実に固定することが可能となる。尚、ICソケット400の固定時には、結束部材500の凸部516がICソケット400の間隔部に差し込まれることから、第3変形例の凸部516は、本発明の「嵌合部」に相当し、第3変形例の間隔部は、本発明の「被嵌合部」に相当している。
また、一般的に広く用いられているICソケットの多くは、一対の端子挿入部406が複数の連結部408によって連結され、連結部408間に間隔部が設けられている。従って、結束部材500に凸部516を設けておけば、ICソケットを加工することなく、容易に適用することができ、結束部材500に汎用性を持たせることが可能となる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例や変形例では、ROM202を主制御基板200に取り付ける場合について説明したが、ICソケットを介して基板に装着するものであれば、ROMに限られるわけではなく、CPUなどのICチップ全般の取り付けにも適用可能である。また、ICチップがICソケットを介して装着される基板であれば、主制御基板200に限らず、サブ制御基板220や扉基板240などの各種基板にも好適に適用することができる。
また、第2変形例あるいは第3変形例に設けた嵌合部および被嵌合部を、前述した実施例のICソケット400および結束部材500に付加することとしてもよい。こうすることで、結束部材500の支持部506がICソケット400に引っ掛かるだけでなく、嵌合部と被嵌合部との嵌合によっても固定されるため、より強固に結束部材500の脱着を防止することが可能となる。
さらに、上述の実施例および変形例においては、回胴式遊技機に本発明を適用したものとして説明したが、これに限られるものではなく、例えば、パチンコ機あるいはアレンジボール機などの他の遊技機に対しても、本発明を好適に適用することが可能である。