JP2008067559A - 電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】負荷回路ごとにスイッチング電源を有する電子機器において、スイッチング電源における電力変換効率を向上させ、その構成部品の配置制限を少なくする。
【解決手段】複数の負荷回路5ごとに設けられた各スイッチング電源をそれぞれ駆動するスイッチング駆動制御回路1a,1b,1cと、主制御回路3からの情報によりスイッチング駆動制御回路1a,1b,1cを制御する電源制御回路2との間で、所定の通信プロトコルを用いて制御情報をやり取りし、また主制御回路3と電源制御回路2との間でも所定の通信プロトコルを用いて制御情報をやり取りする。電源制御回路2は、各負荷回路5の動作状況に応じた制御情報を送信することで、各スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cの動作を制御することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の負荷回路を有する電子機器に関し、特に、複数のスイッチング電源によりそれぞれ異なる負荷回路に電源が供給される電子機器に関する。
民生用のデジタルビデオカメラなど、複数の負荷回路を有する電子機器においては、各負荷回路の使用電力が異なることから、多くのスイッチング電源が用いられている。一般的に、これらのスイッチング電源は、内蔵バッテリから電力が供給されるDC/DCコンバータとして構成されている。
従来、上記のようなDC/DCコンバータとして、同期整流方式のDC/DCコンバータが広く利用されている。これは、ハイサイドスイッチ素子とローサイドスイッチ素子の直列回路を有するもので、それらのスイッチ素子を同期を取りながら交互にオン(ON)/オフ(OFF)することにより、電力変換を行う。また、このようなスイッチング電源は、回路基板上に実装されてパッケージ化された半導体装置として実用化されている(例えば、特許文献1および2参照)。
特開2006−25567号公報(段落番号〔0035〕〜〔0036〕、図1) 特開平10−146047号公報(段落番号〔0014〕〜〔0017〕、図1)
ところで、上記のようなスイッチング電源を備えた従来の電子機器においては、スイッチング電源におけるノイズの発生、電力変換効率の低下、構成部品の配置制限があり、また負荷電力の変更が難しく、設計自由度が低いという問題点がある。これは、以下の理由によるものである。
(1)IC(Integrated Circuit)化されたスイッチング電源の制御部はスイッチ素子の駆動回路を内蔵しており、配線上の駆動ラインの面積が大きく、これがノイズ源になっている。また、制御部とスイッチ素子とを必ずしも直近に配置できないため、スイッチ素子の駆動条件が悪い場合があり、これが原因で電力変換効率が低下し、同期整流方式のスイッチング電源ではハイサイドスイッチ素子とローサイドスイッチ素子が同時にオンしてしまう貫通問題がある。
(2)積層コイルとスイッチ素子とを複合したスイッチング電源では、積層コイルの直流抵抗、スイッチ素子の特性により電力変換効率が低下することがある。
(3)制御部にスイッチ素子を内蔵させたスイッチング電源では、スイッチ素子の特性によって、負荷回路のチャンネルごとにサポートできる出力電流の自由度が必ずしも高くならず、負荷電力の変更が難しい。また、制御部の直近に周辺部品を配置するという配置制限がある。
(4)スイッチ素子の駆動制御部がスイッチ素子を内蔵した構成のスイッチング電源では、負荷回路が軽負荷状態のときに電力変換効率が悪化してしまうことがある。
(5)スイッチング電源のスイッチング周波数が固定されているため、負荷回路のチャンネルごとに最適なスイッチング周波数にすることができず、高い電力変換効率が得られない。
(6)各負荷回路への出力のエラー状況をアラートする手段がないことから、データの記録処理時などにおいて、保護機能が作動したときに記録すべきデータを消失してしまうことがある。
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、スイッチング電源における電力変換効率が向上し、その構成部品の配置制限が少なくされた電子機器を提供することを目的とする。
本発明では上記課題を解決するために、複数のスイッチング電源によりそれぞれ異なる負荷回路に電源が供給される電子機器において、前記スイッチング電源に対する駆動信号を出力するスイッチング駆動回路と、外部回路と通信する第1の通信インタフェースと、前記第1の通信インタフェースを通じて受信した制御情報に応じて前記スイッチング電源の駆動を制御する制御回路とをそれぞれ備え、前記スイッチング電源ごとに個別に設けられた複数のスイッチング駆動制御回路と、前記各スイッチング駆動制御回路と通信する第2の通信インタフェースを備え、前記負荷回路の動作状況に応じた前記制御情報を前記第2の通信インタフェースを通じて送信することで、前記各スイッチング駆動制御回路の動作を制御する電源制御部とを有することを特徴とする電子機器が提供される。
このような電子機器によれば、電源制御部からスイッチング電源ごとに個別に設けられたスイッチング駆動制御回路に対して、各負荷回路の動作に応じた制御情報が第1および第2の通信インタフェースを通じて送信される。このような構成により、電源制御部とスイッチング電源の駆動制御回路との間は、制御情報の送受信用の信号線で接続され、負荷回路の動作状況に応じて、その負荷回路に対応するスイッチング電源の動作が個別に制御される。
本発明の電子機器によれば、電源制御部からスイッチング電源ごとに個別に設けられたスイッチング駆動制御回路に対して、各負荷回路の動作に応じた制御情報を第1および第2の通信インタフェースを通じて送信する構成としたことで、負荷回路の動作状況に応じてその負荷回路に対応するスイッチング電源の動作を個別に容易に制御でき、スイッチング電源の電力変換効率が向上する。これとともに、電源制御部とスイッチング電源の駆動制御回路との間は、制御情報の送受信用の信号線で接続されればよくなるので、スイッチング電源におけるノイズの発生を抑制でき、電力変換効率が一層向上する。さらに、電源制御部と各スイッチング駆動制御回路とを離間して配置でき、スイッチング電源の構成部品の配置制限が少なくなる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器の要部の構成を示すブロック図である。ここでは、複数のスイッチング電源によりそれぞれ異なる負荷回路に電源が供給される民生用デジタルビデオカメラとして構成された例を示している。
このデジタルビデオカメラは、後述するスイッチング電源に対する駆動信号を出力するスイッチング駆動回路と、外部回路と通信する通信インタフェースと、この通信インタフェースを通じて受信した制御情報に応じて上記スイッチング電源の駆動を制御する制御回路とをそれぞれ備え、スイッチング電源ごとに個別に設けられた複数のスイッチング駆動制御回路1a,1b,1cを有している。また、これらの各スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cと通信する通信インタフェースを備え、負荷回路の動作に応じた上記の制御情報を通信インタフェースを通じて送信することで、各スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cの動作を制御する電源制御回路2を有し、さらに、この電源制御回路2と通信する通信インタフェースを備え、各負荷回路の情報を電源制御回路2に送信する主制御回路3を有している。ここで、各スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cと電源制御回路2の間、および電源制御回路2と主制御回路3との間では、それぞれ所定の通信プロトコルに従ってデジタル通信が行われる。通信方式としては、例えばシリアル通信方式などを利用できる。
主制御回路3は、デジタルビデオカメラ全体を統括的に制御するメインCPU(Central Processing Unit)として構成され、電源制御回路2は、スイッチング電源を制御する制御ICとして構成され、スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cは、スイッチング電源を駆動するサブICとして構成されている。また、各スイッチング電源は、スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cに外付けされたハイサイドスイッチ素子およびローサイドスイッチ素子を有する同期整流方式のDC/DCコンバータである。
電源制御回路2には、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programable Read Only Memory)などの不揮発性記憶装置からなる記憶部4が接続され、負荷回路ごとの電圧設定値や異常検出データなどがやり取りされる。電源制御回路2は、例えば、主制御回路3から負荷回路ごとの制御状態の情報を受けると、それらの制御状態に応じたスイッチング駆動制御回路1a,1b,1cの制御状態の情報(例えば出力電圧の設定値や、スイッチ素子のオン/オフの情報など)を記憶部4から抽出し、それに応じた制御を実行する。したがって、記憶部4の設定情報を書き換えることで、負荷回路5の状態と、それに適したスイッチング駆動制御回路1a,1b,1cの制御状態との関係を更新でき、また、負荷回路5自体の更新、追加やスイッチング駆動制御回路1a,1b,1cの構成や特性の変更などにも容易に対応できる。
図2は、実施の形態の主制御回路3と各負荷回路5a,5b,5cとの間の接続関係を示す説明図である。
本実施の形態では、負荷回路5a,5b,5cの例としてそれぞれ、光学ブロック6のドライバIC6a、画像処理LSI(Large Scale Integration)7、記録装置8のドライバIC8aが設けられている。光学ブロック6は、レンズ、アイリス、シャッタなどの光学機構やこれらを動作させる駆動機構、被写体からの光を光電変換する固体撮像素子などを含む。ドライバIC6aは、光学ブロック6内の駆動機構を、主制御回路3からの制御信号に応じて駆動する回路である。画像処理LSI7は、固体撮像素子により得られた画像信号に対して、A/D変換、各種画質補正処理、圧縮符号化処理などを施す信号処理回路である。記録装置8は、画像処理LSI7により符号化された画像データを記録する装置であり、例えば、磁気テープ、光ディスクなどの可搬型記録媒体、あるいはハードディスクドライブ(HDD)を備える。ドライバIC8aは、記録装置8の動作を主制御回路3からの制御信号に応じて制御する回路である。なお、記録装置8に記録された画像データを読み出し、画像処理LSI7において伸張復号化処理して、そのデータに基づく画像を図示しないモニタに表示することもできる。
ここで、各負荷回路5a,5b,5c、すなわちドライバIC6a、画像処理LSI7、記録装置8には、それぞれに適する駆動電圧が、対応するDC/DCコンバータから供給される。この例では、ドライバIC6a、画像処理LSI7、記録装置8に対して、それぞれ3.3V、1.2V、2.8Vの電圧が供給されている。
図3は、実施の形態のスイッチング駆動制御回路1a,1b,1cの構成例を示す図である。なお、スイッチング駆動制御回路1a,1b,1c、およびそれらの回路内の一部とで構成されるスイッチング電源はそれぞれ同じ構成を有しているので、ここではスイッチング駆動制御回路1として、それらの構成について説明する。
このスイッチング駆動制御回路1cには、上記のようにハイサイドスイッチ素子であるNチャネルのトランジスタ(FET:Field-Effect Transistor)Q1とローサイドスイッチ素子であるNチャネルのトランジスタQ2とが接続されており、入力電圧Viをスイッチングして得られた脈流がインダクタL1およびコンデンサC1で整流、平滑されて、各々に対応する負荷回路5へ出力される。C2は平滑コンデンサ、D1はフライホイールダイオードであり、以上の各電源構成部品からなる同期整流回路部がスイッチング電源の周辺回路として接続されている。
また、スイッチング駆動制御回路1には、電源電圧Vccと、電源制御回路2からの基準電圧とが供給され、上記の同期整流回路部からの出力電圧Voを抵抗R1とR2で分圧した検出電圧が、その基準電圧とエラーアンプCP1,CP2で比較される。エラーアンプCP1の出力は、PWM(Pulse Width Modulation)制御を行うためのPWMコンパレータCP3で三角波と比較され、PWMコンパレータCP3の出力はアンド(AND)ゲートG1を通して出力制御回路11に入力される。出力制御回路11は、アンドゲートG1からのPWM駆動信号を、ハイサイドドライバ11aを通してトランジスタQ1のゲート端子に出力するとともに、PWM駆動信号の逆相信号を、ローサイドドライバ11bを通してトランジスタQ2のゲート端子に出力する。
エラーアンプCP2の出力は駆動制御部12に入力される。この駆動制御部12はスイッチング電源の起動、停止、保護を行うものであり、シリアルI/F12a、データレジスタ12b、デコーダ12cを備えている。シリアルI/F12aは、電源制御回路2との間でデジタルシリアル通信を行うための通信I/Fである。データレジスタ12bは、シリアルI/F12aを通じて受信した制御データや、このスイッチング駆動制御回路1において検出したエラー情報などを記憶する。デコーダ12cは、電源制御回路2からシリアルI/F12aを通じて受信された制御データをデコードし、このスイッチング駆動制御回路1内の各部を制御するための制御信号を生成する。
駆動制御部12は、デコーダ12cのデコード結果に応じて、例えば、アンドゲートG1に対してイネーブル信号を与えて、PWM駆動信号の供給の開始/停止を制御する。また、出力制御回路11に対して制御信号を与えて、トランジスタQ2に対するPWM駆動信号の供給を停止させることもできる。さらに、PWMコンパレータCP3に供給する三角波を制御して、PWM駆動信号の周波数を調整することもできる。
なお、この回路構成例では、例として、エラーアンプCP1の帰還回路を構成するコンデンサC3および抵抗R3が、スイッチング駆動制御回路1に外付けされている。また、この回路構成例では、スイッチング電源を構成するトランジスタQ1,Q2が対応するスイッチング駆動制御回路1の近傍に外付けされているが、これらをスイッチング駆動制御回路1に内蔵し、整流回路(インダクタL1およびコンデンサC1など)やその他の周辺回路(平滑コンデンサC2、フライホイールダイオードD1など)をスイッチング駆動制御回路1の近傍に外付けする構成としてもよい。
以上の構成により複数の負荷回路5a,5b,5cのそれぞれに対する駆動制御を行うようにしたことにより、次のような利点が得られる。
まず、スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cと電源制御回路2との間で制御情報を伝達するようにしたことで、両者のICを基板上で離れている場所に配置することができる。これにより、従来のFETドライバ内蔵タイプの電源制御ICで、その電源制御ICからFETゲート端子までの距離が取れないという問題が解消される。また、同様のタイプでは、FETゲート端子までの配線がある程度太くなければならず、且つこれがノイズ発生源となって基板上の各種回路に悪影響を与えてしまう恐れがあり、配線スペースを必要とするとともに、配線制限があったが、本デジタルビデオカメラでは基本的に両者を結ぶ配線は信号線のみであり、配線制限は緩和され、基板の小型化、セットの小型化が可能となる。
また、DC/DCコンバータの構成部品を、スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cの周辺の好ましい位置に配置することができる。例えば、スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cと対応するスイッチング素子とを直近に配置でき、スイッチングロスの低減を図ることができるとともに、電力変換効率が向上し、前述の貫通問題も解消される。
また、このような配置の自由度や制御の自由度が増したことにより、特にDC/DCコンバータのトランジスタQ1,Q2をスイッチング駆動制御回路1a,1b,1cに外付けで接続した場合には、これらのトランジスタQ1,Q2の選択にある程度自由を持たせることができ、対応する負荷電流供給能力を広げることができる。さらに、後述するような電源制御回路2から各スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cに対する制御により、所定の設定範囲内で出力を降圧させることもできる。
したがって、サポートできるチャンネル範囲であれば、デジタルビデオカメラの仕様やそのシステム世代の変化に左右されることなく、基本的に同じ全体回路構成により内部電源回路を設計することができ、従来のように、デジタルビデオカメラのシステム変更ごとに対応する電源制御ICを新規に開発する必要がなくなる。
次に、上記のように構成されたデジタルビデオカメラの具体的な制御動作について説明する。
上述したように、主制御回路3は、所定の通信プロトコルを使用して電源制御回路2と通信し、負荷回路5の状況に応じて電源制御回路2を制御する。その際、自身の制御ステータスに応じた必要負荷情報や負荷回路5の状況を電源制御回路2へ伝達することができる。
記憶部4には、各負荷チャンネルをサポートするスイッチング駆動制御回路1a,1b,1cの、起動時やその後の動作時における出力電圧情報が事前に記憶されている。電源制御回路2は、記憶部4の出力電圧情報を参照することで、各スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cの出力電圧をシリアル通信を通じて設定できる。
このような構成により、各スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cの出力電圧をそれぞれ所定の電圧範囲で自由に調整できるようになっている。例えば、負荷回路5a,5b,5cの動作状況に応じて最適な電力変換効率が得られるよう、対応するDC/DCコンバータのスイッチング周波数を変更できる。その際、主制御回路3から得た情報に基づいて、軽負荷のときは上述のPWM制御の周波数を例えば数kHzに落として軽負荷での電力ロスを低減し、電力変換効率を上昇させる。
また、軽負荷時に同期整流制御を行うとローサイド側のトランジスタQ2を流れる電流が0Aラインを下回り、臨界電流値を割った状態で転流してしまうので、これも電力変換効率の低下の要因となる。このため、負荷回路5a,5b,5cが軽負荷状態であるときは、対応するスイッチング電源のローサイド側のトランジスタQ2を停止させることもできる。
ここで、図4は、DC/DCコンバータのインダクタL1およびローサイド側のトランジスタQ2に流れる電流を示す図であり、Ilはインダクタ電流、IoはコンデンサC1により平滑された出力電流を示している。
同図の(A)に示すように、同期整流を行っているときは期間t1にローサイド側のトランジスタQ2に電流が流れる。軽負荷となって出力電流Ioが低下すると、同図の(B)に示すように、期間t2だけ0A以下の電流がローサイド側のトランジスタQ2に流れてしまうが、このときローサイド側のトランジスタQ2を停止させることで、並列接続されたフライホイールダイオードD1により0A以上の区間だけ転流させることができ、さらに電力変換効率を改善することができる。
ここで、実施の形態ではスイッチング駆動制御回路1a,1b,1cにより外付けされたトランジスタQ1,Q2を駆動するようにしているが、この手法は各スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cが電力を供給する負荷条件に合わせた最適なスイッチ素子を選択できるという汎用性を持っており、設計の自由度が広がることになる。さらに、スイッチング駆動回路であるハイサイドドライバ11a、ローサイドドライバ11bからトランジスタQ1,Q2のゲート端子までの配線距離を短くすることが可能であり、駆動特性の向上による電力変換効率の改善を図ることができ、またノイズラインが短くなることで、デジタルビデオカメラ内部の他のデバイスに対する影響を大幅に改善することができる。
また、スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cは、自身がサポートしている各々の負荷回路5a,5b,5cへの電源系統に異常が生じようとしたとき、その電源系統に関する情報を事前に電源制御回路2を経由して主制御回路3に伝達することができる。そして、主制御回路3はその情報を受け取ると、デジタルビデオカメラ内の各部が異常に応じた適切な動作を行うように制御することが可能になる。例えば、記録装置8にアクセスして、記録途中あるいはすでに記録された映像データの消失を防止できるように終了動作を実行させる。
このように、実施の形態におけるデジタルビデオカメラでは、電源制御回路2からDC/DCコンバータごとに個別に設けられたスイッチング駆動制御回路1a,1b,1cへ各負荷回路5a,5b,5cの動作に応じた制御情報が通信インタフェースを通じて送信され、電源制御回路2とスイッチング駆動制御回路1a,1b,1cとの間はその通信のための信号線(デジタル信号線)で接続すればよいので、DC/DCコンバータにおけるノイズの発生を抑制でき、電力変換効率が向上し、構成部品の配置制限も少なく、また容易に負荷電力を変更することができ、設計自由度が高くなる。
次に、上述の実施の形態におけるデジタルビデオカメラの具体的な動作の例について説明する。
まず、撮影時の動作について説明する。図5は、実施の形態の撮影時の動作の流れを示すフローチャートである。
デジタルビデオカメラの操作者が撮影釦を押すなどしてデジタルビデオカメラが撮影モードに入ると(ステップS1)、スタンバイなどのアイドリング状態が解除され、負荷回路5a(すなわち画像処理LSI7)では撮影した画像データを所望の圧縮データにエンコードするために処理作業が増加する。これにより、必然的に負荷回路5aの動作電源である1.2V系統の消費電流が大きくなり、この出力系統のDC/DCコンバータの出力負荷が大きくなる。
このとき、デジタルビデオカメラ内部の主制御回路3は、画像処理LSI7に対して「撮像データを圧縮データにエンコードせよ」と命令を与えている主体であり、1.2V系統の消費電流がその命令に伴って増加することを把握していることになる。したがって、主制御回路3はそのエンコード命令を画像処理LSI7に与えるのと並行して、1.2V系統の消費電流が増えるという情報を電源制御回路2へ送信する(ステップS2)。電源制御回路2はこの情報に応じて、1.2V系統の電力を供給しているスイッチング駆動制御回路(例えばスイッチング駆動制御回路1a)に対し、重負荷供給に最適な電力変換効率や応答特性を持ち合わせる同期整流方式で且つ連続動作モードとなるように、規定のスイッチング周波数にシフトするように命令する(ステップS3)。これにより、1.2V系統の負荷回路5aに最適な状態となる(ステップS4)。
上記の例は、1.2V系統の電力を消費する負荷回路5aに関する例であるが、レンズの駆動動作を制御する場合であれば、負荷回路5b(すなわち光学ブロック6)に対する3.3V系統のスイッチング駆動制御回路(例えばスイッチング駆動制御回路1b)に対して同様の制御を行うこともできるし、負荷回路5c(すなわち記録装置8)におけるデータの記録動作や再生動作の制御の場合でも同様である。
また、上述したように、デジタルビデオカメラシステムにおける軽負荷条件や重負荷条件に合わせてローサイド側のトランジスタQ2の駆動を許可/禁止(Enable/Disable)することで、DC/DCコンバータの同期整流制御のオン/オフや、スイッチング周波数の低周波数化(スキップモード)、数百kHz〜2MHz程度の連続モード化などを実現できる。
例えば、デジタルビデオカメラにおける通常の動作状態(動画・静止画の撮像・記録状態、動画・静止画の再生・表示状態など)では、これらの動作での負荷状態にマッチした規定のスイッチング周波数でスイッチ素子を駆動し、その動作状態での電力変換効率を最適化する。一方、システムスタンバイ時などのアイドリング状態では、軽負荷の状態となるので、ローサイド側のトランジスタQ2の駆動を禁止したり、スイッチング周波数を低周波数化する。また、システム内の一部の負荷回路のみがアイドリング状態となった場合(例えば、図示しないモニタの表示が一時停止状態あるいは表示なしの状態となった場合など)には、そのような状態の通知を主制御回路3から受けた電源制御回路2が、対応するスイッチング駆動制御回路に対して低負荷状態に適した動作を行うように制御することができる。これにより、負荷状態に応じて常に最適な電力変換効率が得られ、消費電力の削減が可能となり、全体として、バッテリ動作時間の延伸や、低発熱化による小型化などの効果を得ることが可能となる。ここで、アイドリング状態と通常動作状態の各モード間で負荷状態の変化が大きいほど、電力変換効率や応答特性を向上させるなどの効果は大きくなる。
次に、異常発生時の動作について説明する。図6は、実施の形態の異常発生時の動作の流れを示すフローチャートである。
スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cで電源出力異常あるいは負荷動作異常が検知され(ステップS11)、その情報が電源制御回路2にシリアルバス通信で伝達されると(ステップS12)、電源制御回路2はエラー情報をシリアルバス通信で主制御回路3へ伝達する(ステップS13)。主制御回路3は、そのエラー情報を受け取ると、撮像データを保存するなどの保護処理を行うとともに(ステップS14)、受け取ったエラー情報を図示しないEEPROM領域などに格納し(ステップS15)、システムの動作を終了する(ステップS16)。
上記の動作により、例えばシステム中のIC、LSIの異常が生じた場合に、どの電源系統が異常になったのかのログを残すことができ、異常終了後の解析に役立てることができる。また、異常が生じたときにデジタルビデオカメラが突然動作停止になって、記録装置8での記録中あるいは記録待機状態の撮影データ、あるいはすでに記録された撮影データなどを紛失してしまうことを防ぐために、スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cからエラー情報が発信された直後にシステムを安全に停止させ、撮影データの紛失事故を回避することもできる。例えば、記録待機状態の撮影データについては、デジタルビデオカメラ内部の図示しないバックアップ用メモリ領域に記録して、その消失を防止してもよい。
なお、上記の異常検知の方法としては、図3に示すエラーアンプCP1がある閾値を下回ったときに短絡検出用のエラーアンプCP2が動作し、このエラーアンプCP2の出力が任意の一定期間H(高)レベルになることで異常と判断し、電源制御回路2に伝達する方法や、PWM制御の際のオンデューティ幅が一定幅以上を超えている期間もしくはパルス数が設定値より多くなったときに異常と判断する方法などがある。
このように、各スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cから電源制御回路2に対して制御信号を送出できるようにしたことで、各スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cにおける異常状態を電源制御回路2を介して主制御回路3に通知でき、主制御回路3が、それらの異常状態に応じた適切なシステムの終了動作を行うことが可能になる。また、スイッチング駆動制御回路1a,1b,1cからの個別の異常状態に応じて、対応する負荷回路のみに対して適切な動作を実行させることもできる。そして、そのような異常状態の発生やそれに対する制御などの情報を、記憶部4などにログとして保存しておくことができる。
なお、以上説明した実施の形態では、本発明をデジタルビデオカメラに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、複数の負荷回路とそれらに対する個別のスイッチング電源とを備えた各種の電子機器に対して適用することが可能である。
本発明の実施の形態に係る電子機器の要部の構成を示すブロック図である。 実施の形態の主制御回路と各負荷回路との間の接続関係を示す説明図である。 実施の形態のスイッチング駆動制御回路の構成例を示す図である。 DC/DCコンバータのインダクタおよびローサイド側のトランジスタに流れる電流を示す図である。 実施の形態の撮影時の動作の流れを示すフローチャートである。 実施の形態の異常発生時の動作の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1,1a,1b,1c……スイッチング駆動制御回路、2……電源制御回路、3……主制御回路、4……記憶部、5,5a,5b,5c……負荷回路、6……光学ブロック、6a,8a……ドライバIC、7……画像処理LSI、8……記録装置、11……出力制御回路、11a……ハイサイドドライバ、11b……ローサイドドライバ、12……駆動制御部、12a……シリアルI/F、12b……データレジスタ、12c……デコーダ、C1,C3……コンデンサ、C2……平滑コンデンサ、D1……フライホイールダイオード、CP1,CP2……エラーアンプ、CP3……PWMコンパレータ、G1……アンドゲート、L1……インダクタ、Q1,Q2……トランジスタ、R1,R2,R3……抵抗

Claims (12)

  1. 複数のスイッチング電源によりそれぞれ異なる負荷回路に電源が供給される電子機器において、
    前記スイッチング電源に対する駆動信号を出力するスイッチング駆動回路と、外部回路と通信する第1の通信インタフェースと、前記第1の通信インタフェースを通じて受信した制御情報に応じて前記スイッチング電源の駆動を制御する制御回路とをそれぞれ備え、前記スイッチング電源ごとに個別に設けられた複数のスイッチング駆動制御回路と、
    前記各スイッチング駆動制御回路と通信する第2の通信インタフェースを備え、前記負荷回路の動作状況に応じた前記制御情報を前記第2の通信インタフェースを通じて送信することで、前記各スイッチング駆動制御回路の動作を制御する電源制御部と、
    を有することを特徴とする電子機器。
  2. 前記スイッチング電源は、ハイサイドスイッチ素子およびローサイドスイッチ素子を有する同期整流方式のDC/DCコンバータであることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
  3. 前記スイッチング電源を構成する前記ハイサイドスイッチ素子および前記ローサイドスイッチ素子と整流回路とを、対応する前記スイッチング駆動制御回路の近傍に外付けしたことを特徴とする請求項2記載の電子機器。
  4. 前記スイッチング電源を構成する整流回路を、対応する前記スイッチング駆動制御回路の近傍に外付けし、当該スイッチング電源の前記ハイサイドスイッチ素子および前記ローサイドスイッチ素子を当該スイッチング駆動制御回路に内蔵したことを特徴とする請求項2記載の電子機器。
  5. 前記電源制御部は、前記負荷回路の動作状況に応じて対応する前記スイッチング電源のスイッチング周波数を個別に変更させることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
  6. 前記電源制御部は、いずれかの前記負荷回路が軽負荷状態となったとき、当該負荷回路に対応する前記スイッチング電源のスイッチング周波数を低下させるように制御することを特徴とする請求項5記載の電子機器。
  7. 前記電源制御部は、前記負荷回路が軽負荷状態となったとき、当該負荷回路に対応する前記DC/DCコンバータの前記ローサイドスイッチ素子を停止させることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
  8. 前記各スイッチング駆動制御回路は、対応する前記スイッチング電源における異常状態を検出する異常検出回路を備え、前記異常状態を検出した場合には、前記第1の通信インタフェースを通じて異常発生を前記電源制御部に対して通知し、
    前記電源制御部は、前記スイッチング駆動回路から前記第2の通信インタフェースを通じて前記異常発生の通知を受けると、対応する前記負荷回路に対して異常発生時に適した処理を実行するように制御することを特徴とする請求項2記載の電子機器。
  9. 前記電源制御部は、所定の前記スイッチング駆動回路から前記第2の通信インタフェースを通じて前記異常発生の通知を受けると、前記電子機器全体の動作を終了させるための終了制御処理を実行することを特徴とする請求項8記載の電子機器。
  10. 前記電源制御部は、前記スイッチング駆動回路から前記第2の通信インタフェースを通じて前記異常発生の通知を受けると、異常の発生を示すログ情報を不揮発性記録媒体に記録することを特徴とする請求項8記載の電子機器。
  11. 前記電子機器が、入力データを記録媒体に対して記録する記録装置を備えていた場合、前記電源制御部は、いずれかの前記スイッチング駆動回路から前記第2の通信インタフェースを通じて前記異常発生の通知を受けると、当該異常発生の通知を受けた時点までの記録すべきデータを保護するための処理を前記記録装置に実行させることを特徴とする請求項8記載の電子機器。
  12. 前記電源制御部は、
    前記電子機器内の前記負荷回路の動作を統括的に制御する主制御回路と、
    前記主制御回路との間で通信して、前記主制御回路による前記各負荷回路に対する制御状態に応じて、対応する前記スイッチング駆動制御回路の動作を制御する電源制御回路と、
    を備えていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
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